社外への退職の挨拶メール|後任を紹介する例文


この記事のポイント
- ✓社外への退職挨拶メールの書き方を
- ✓BCCで一斉に送るときの注意
- ✓退職理由や転職先の書き方
社外への退職挨拶メールは、最終出社日の2〜3週間前を目安に、後任が決まってから送るのが基本です。社内向けと違って、取引先が知りたいのは「いつまで担当しているのか」「この先は誰に連絡すればよいのか」の2点で、感謝の言葉はその上に乗せる形になります。この記事では、送る時期と順番、件名の付け方、本文の組み立て、後任を紹介する書き方、相手別の例文、返信が来たときの対応、送信前の確認項目までを順番に説明します。
社外への退職挨拶メールの役割と、いまの送り方
社外への退職挨拶メールとは、取引先や協力会社など会社の外でお世話になった相手に、退職することと、その後の窓口を知らせるためのメールです。お礼の手紙のように見えて、実際には「仕事の引き継ぎの連絡」という性格が強いのが特徴です。
社内向けとの違いは「引き継ぎの連絡」であること
社内向けの退職挨拶メールは、最終出社日に「最後のお礼」として送るのが一般的です。一方、社外向けは、相手の仕事が滞らないように、退職よりかなり前に送ります。社内向けの文面を宛先だけ変えて送ると、後任の名前や連絡先が抜けたり、社内の事情を書きすぎたりしやすくなります。社外向けは最初から別の文面として作ります。
退職挨拶メールを送るタイミングは、社内向けか社外向けかによって異なります。自分の状況に合わせて適切に社内・社外に分けて送るようにしましょう。 出典: next.rikunabi.com
直接の挨拶とメールの使い分け
長く担当してきた主要な取引先には、メールだけで済ませず、後任と一緒に訪問するか、Web会議で顔を合わせて挨拶するのが丁寧です。その場合、メールは訪問の前に「退職のご報告と、後任を連れてご挨拶に伺いたい」という連絡として送ります。訪問した後には、改めてお礼のメールを送ると印象が残ります。
取引の回数が少ない相手や、遠方の相手、一度だけ仕事をした相手には、メールでの挨拶で問題ありません。在宅勤務やWeb会議が広がった現在では、メールとオンラインの挨拶を組み合わせる会社も増えています。
退職を伝えてよい時期は会社が決める
社外に退職を伝える前に、必ず上司に確かめておきたいのが「いつから社外に伝えてよいか」です。退職が決まっても、会社として後任の体制が固まるまでは、取引先に知らせないよう求められることがあります。先に個人の判断で伝えてしまうと、取引先から会社に問い合わせが入り、社内の調整が乱れます。上司と相談して、伝える時期、伝える相手の範囲、後任の名前を確定させてから送ります。
送る時期と順番
社外へのメールは、送る時期が早すぎても遅すぎても相手を困らせます。目安と、送る順番を整理しておきます。
最終出社日の2〜3週間前が目安
取引先や関係会社など、社外向けへの退職の報告は、最終出社日の2〜3週間前など、余裕を持って伝えます。メールで伝える際もこのくらいが目安です。 出典: next.rikunabi.com
2〜3週間あれば、取引先は後任とのやり取りを始め、進行中の案件について質問する時間を取れます。一方で、2か月も前に伝えると、相手が「この人はもうすぐいなくなる」と考え、大事な相談を後任に回すまでの宙ぶらりんの期間が長くなります。
有給休暇をまとめて取ってから退職する場合は、最終出社日と退職日がずれます。社外に伝えるときは、退職日ではなく「担当として連絡が取れる最後の日」を基準にします。相手にとって大事なのは、いつまで返事がもらえるかだからです。
送る順番は「主要な取引先から」
送る順番は、取引の大きさや進行中の案件の多さで決めます。
- 主要な取引先、進行中の案件がある相手(訪問やWeb会議で直接挨拶する)
- 定期的にやり取りのある取引先(後任を紹介するメールを送る)
- 過去に取引があった相手、協力会社(簡潔な挨拶のメールを送る)
主要な取引先への挨拶が済む前に、一斉送信のメールが届いてしまうと、「大事な取引先なのに後回しにされた」と受け取られます。直接の挨拶が必要な相手を先に済ませてから、残りの相手に送ります。
送る時間帯
送る時間帯は、相手の始業直後や終業間際を避け、午前の遅めか午後の早めにします。始業直後は他のメールに埋もれやすく、終業間際は返信の負担をかけます。社内向けについては、返信が来ることも考えて午後の早めの時間帯が勧められています。社外向けも同じ考え方で、平日の日中に送るのが無難です。休日や深夜に送るのは避けます。予約送信の機能がある場合は、それを使えば作業する時間と届く時間を分けられます。
相手の繁忙期や長い休みの前後は避ける
送る日を決めるときは、相手の会社の事情にも目を向けます。決算の月や年末年始、大型連休の直前は、取引先も仕事が立て込んでいます。この時期に届いた挨拶メールは読まれずに埋もれたり、後任への連絡が休み明けまで遅れたりします。退職日が長い休みの直後にある場合は、休みに入る前に早めに送り、休み明けにもう一度、後任から連絡を入れる形にすると行き違いを防げます。
メールではなく手紙や電話で伝えたい相手
年配の経営者や、長い付き合いのある取引先の中には、メールだけの挨拶を物足りなく感じる人もいます。そうした相手には、メールに加えて、手書きの一筆を添えた挨拶状を郵送する方法があります。電話で直接お礼を伝えてから、連絡先を記したメールを送るのも丁寧です。メールは記録として残り、電話や手紙は気持ちを伝える役割を持つと考え、相手との関係の深さに合わせて組み合わせます。
件名の付け方
件名は、受け取った人が開く前に用件を分かるようにします。取引先は毎日多くのメールを受け取っているため、件名だけで「退職の挨拶」と「後任の紹介」が分かることが大切です。
件名に入れる要素
件名には、次の3つを入れます。
- 用件(退職のご挨拶、担当者変更のお知らせ)
- 自分の会社名と氏名
- 後任の名前(後任を紹介する場合)
例を挙げます。
- 退職のご挨拶と後任のご紹介(株式会社〇〇 山田)
- 【担当者変更のお知らせ】株式会社〇〇 山田より
- 退職のご挨拶(株式会社〇〇 営業部 山田太郎)
「お世話になりました」だけの件名は、誰からの何のメールかが分かりません。迷惑メールと見分けがつかず、開封されないこともあります。
「担当者変更」を前に出すほうがよい場合
取引先の担当者が、自分と直接やり取りしたことのない人にまで送る場合は、「退職のご挨拶」よりも「担当者変更のお知らせ」を前に出したほうが伝わります。経理や総務など、請求書や契約の窓口となる部署には、退職の挨拶よりも「連絡先が変わる」という事実のほうが重要だからです。
本文の組み立て方
社外向けの退職挨拶メールは、次の順番で組み立てると、読み手が迷わずに済みます。
| 順番 | 書くこと | 気をつけること |
|---|---|---|
| 1 | 宛名 | 会社名、部署名、氏名、敬称を正確に |
| 2 | 冒頭の挨拶と名乗り | 「いつもお世話になっております」と会社名、氏名 |
| 3 | 退職の報告 | 最終出社日、または担当の最終日をはっきり書く |
| 4 | お礼の言葉 | 一緒に進めた仕事に触れると気持ちが伝わる |
| 5 | 後任の紹介 | 名前、部署、連絡先、引き継ぎの状況 |
| 6 | 今後の連絡の案内 | いつから後任に連絡すればよいか |
| 7 | 結びの挨拶 | 相手の会社の発展を祈る言葉 |
| 8 | 署名 | 会社名、氏名、電話番号、メールアドレス |
退職の理由は書かない
社外へのメールでは、退職の理由を具体的に書く必要はありません。「一身上の都合により」と書くのが一般的です。転職先や今後の予定も、基本的には書きません。取引先から見れば、知りたいのは引き継ぎの情報で、退職の事情ではないからです。
特に、同業の会社へ転職する場合や独立する場合は注意が必要です。転職先や独立後の連絡先をメールに書くと、元の会社の取引先を引き抜こうとしていると受け取られるおそれがあります。会社によっては、就業規則や入社時の誓約書で、退職後の競業や取引先への勧誘を制限していることもあります。個人の連絡先を伝えたい相手がいる場合も、会社のメールに書くのは避け、会社のルールを確かめたうえで、別の機会に伝えます。
お礼の言葉は具体的に
お礼の言葉は、「大変お世話になりました」だけでも失礼ではありませんが、一緒に進めた仕事に一言触れると、定型文ではない気持ちが伝わります。たとえば「〇〇の立ち上げでは、短い期間の中で何度も打ち合わせの時間をいただきました」のように、相手が思い出せる具体的な出来事を書きます。
アパレルや雑貨のように、展示会やシーズンごとの仕入れで顔を合わせる業界では、取引先の担当者と長く付き合うことが多くなります。こうした業界で働いていた人の退職メールを見ると、「〇〇年春夏の展示会では」「新作の撮影の際には」のように、季節や企画の名前を添えた一文が、相手の記憶に残りやすいようです。
お礼の一文は長くしすぎないことも大切です。思い出を何行も書き連ねると、相手は肝心の後任の情報を探すのに手間取ります。お礼は2〜3文にとどめ、その後に後任の紹介を続ける順番にすると、気持ちと用件の両方が伝わります。相手との思い出が多い場合は、メールではなく訪問や電話のときに直接伝えるほうが、相手の心にも残ります。
後任の紹介で書くこと
後任の紹介は、社外向けの退職挨拶メールで最も大事な部分です。次の情報を必ず入れます。
- 後任の氏名(読み方が難しい場合はふりがな)
- 所属部署と役職
- メールアドレスと電話番号
- いつから後任が窓口になるか
- 進行中の案件をどこまで引き継いでいるか
後任のメールアドレスは、本文に書くだけでなく、メールのCCに後任を入れておくと、相手がそのまま返信できて便利です。CCとは、主な宛先とは別に、内容を共有したい人を追加する欄のことです。CCに入れた人のアドレスは他の受信者にも見えるため、後任のアドレスを入れる用途に向いています。
相手別の例文
ここからは、相手や状況ごとの例文を紹介します。〇〇の部分は自分の状況に合わせて書き換えてください。
例文1:後任を紹介する基本の形
件名:退職のご挨拶と後任のご紹介(株式会社〇〇 山田)
株式会社△△ 営業部 佐藤様
いつも大変お世話になっております。 株式会社〇〇の山田です。
私事で恐縮ですが、一身上の都合により、〇月〇日をもちまして退職することとなりました。 在職中は格別のご高配を賜り、心より御礼申し上げます。 特に〇〇の案件では、急な日程の変更にも柔軟にご対応いただき、大変助けられました。
今後の御社のご担当は、同じ営業部の鈴木が引き継ぎます。 鈴木には、これまでの経緯と進行中の案件の状況をすべて伝えております。 〇月〇日以降のご連絡は、鈴木までお願いいたします。 本メールのCCに鈴木を入れておりますので、ご確認ください。
後任:営業部 鈴木花子 メールアドレス:〇〇〇〇@〇〇.co.jp 電話番号:〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
本来であれば直接お伺いしてご挨拶すべきところ、メールでのご連絡となりましたことをお詫び申し上げます。 末筆ながら、佐藤様と株式会社△△の皆様のますますのご発展をお祈りいたします。
(署名)
例文2:後任と一緒に訪問する前に送る
件名:退職のご報告と後任同行でのご挨拶のお願い(株式会社〇〇 山田)
株式会社△△ 営業部 佐藤様
いつもお世話になっております。 株式会社〇〇の山田です。
突然のご連絡となり恐縮ですが、〇月〇日をもちまして退職することとなりました。 つきましては、後任の鈴木とともに、直接ご挨拶に伺いたく存じます。 〇月〇日から〇月〇日の間で、30分ほどお時間をいただけるご都合のよい日時を、いくつかお知らせいただけますと幸いです。 Web会議でのご挨拶をご希望の場合も、お気軽にお申し付けください。
お忙しいところ恐れ入りますが、どうぞよろしくお願いいたします。
(署名)
例文3:後任が決まっていない、または部署で引き継ぐ
後任が決まっていない場合や、特定の人ではなく部署全体で引き継ぐ場合は、窓口を部署の代表アドレスにします。
件名:退職のご挨拶とご連絡先の変更について(株式会社〇〇 山田)
株式会社△△ 佐藤様
いつも大変お世話になっております。 株式会社〇〇の山田です。
私事で恐縮ですが、〇月〇日をもちまして退職することとなりました。 これまで多くのご支援をいただき、誠にありがとうございました。
今後のご連絡は、営業部の代表窓口までお願いいたします。 担当者が決まり次第、改めて部署よりご連絡いたします。
営業部 代表窓口 メールアドレス:〇〇〇〇@〇〇.co.jp 電話番号:〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
末筆ながら、御社のますますのご発展をお祈り申し上げます。
(署名)
例文4:取引の少ない相手へ簡潔に
件名:退職のご挨拶(株式会社〇〇 山田)
株式会社△△ 佐藤様
お世話になっております。 株式会社〇〇の山田です。
〇月〇日をもちまして退職することとなりましたので、ご挨拶申し上げます。 〇〇の際には大変お世話になり、ありがとうございました。 今後、弊社へのご連絡は、営業部の鈴木までお願いいたします。
皆様のご健康とご活躍をお祈りしております。
(署名)
立場や業種による書き分け
社外への退職挨拶メールの骨組みは同じでも、自分の立場や業種によって、相手が気にすることは変わります。代表的な場面ごとに、書き足したい点を整理しておきます。
営業担当として取引先を持っていた場合
営業担当の退職で取引先が最も気にするのは、条件や約束がそのまま引き継がれるかどうかです。値引きの条件、納期の約束、見積もりの有効期限など、口頭で合意していたことが後任に伝わっていないと、後で行き違いが起きます。メールには「これまでのお取り決めは、すべて鈴木に引き継いでおります」と一文入れ、実際に引き継ぎの資料にも残しておきます。進行中の見積もりや提案がある場合は、案件名を挙げて「〇〇のお見積もりについては、鈴木より改めてご連絡いたします」と書くと、相手が安心します。
制作やデザインなど、案件ごとに担当していた場合
制作やデザインの仕事では、取引先の担当者が「この人だから頼んでいた」と感じていることが少なくありません。後任の紹介では、後任がこれまでどんな案件を担当してきたかを一言添えると、相手の不安が和らぎます。たとえば「鈴木はこれまで〇〇のカタログ制作を担当しており、御社の案件の進め方も共有しております」のように書きます。データの保管場所や、過去の制作物の扱いについて取引先から質問が来ることもあるため、引き継ぎの資料にまとめておきます。
経理や総務など、請求や契約の窓口だった場合
経理や総務の担当者が退職する場合、取引先が知りたいのは、請求書の送り先、支払いの問い合わせ先、契約書の窓口がどう変わるかです。挨拶の言葉は短くし、「〇月分以降の請求書は、経理部の鈴木宛てにお送りください」のように、変わる点を具体的に書きます。請求書の送り先のアドレスや郵送先の宛名が変わる場合は、表のように並べて書くと間違いが起きません。
派遣社員や契約社員として働いていた場合
派遣社員として働いていた場合、社外への挨拶をするかどうかは、派遣先の会社の方針によって決まります。取引先とのやり取りを任されていても、退職の連絡を派遣先の担当者がまとめて行うことがあります。自分から送る前に、派遣先の上司と派遣元の担当者の両方に確かめます。契約社員の場合も、契約の満了で退職するときに、会社として取引先にどう伝えるかを先に相談しておきます。
よくある失敗と防ぎ方
社外への退職挨拶メールでは、内容そのものよりも、送り方の小さな誤りで相手の印象を損ねることが多くあります。よくある失敗と、その防ぎ方を挙げておきます。
社内と社外の文面を取り違える
社内向けと社外向けのメールを同じ日に作っていると、取り違えが起きやすくなります。社内向けの文面には、同僚とのくだけた思い出話や、部署の内情が含まれていることがあります。これが取引先に届くと、会社としての信用に関わります。社外向けの文面は別のファイルで作り、宛先を入れるのは本文を書き終えて確認してからにします。
後任に知らせる前に送ってしまう
後任が、自分が担当になることを知らないうちに取引先からの連絡を受けると、話が噛み合わず相手を困らせます。後任には、送る前に文面を見てもらい、名前や連絡先、引き継ぎの状況が正しいかを確かめてもらいます。CCに後任を入れる場合は、そのことも事前に伝えておきます。
最終日の直前に慌てて送る
最終出社日の前日や当日に社外へのメールを送ると、取引先は質問をする時間がありません。引き継ぎの資料に抜けがあっても、確かめる相手がすでにいない状態になります。退職が決まったら、引き継ぎの予定と一緒に、社外への挨拶の予定も書き出しておきます。
不満や事情を書いてしまう
退職の理由に会社への不満がある場合でも、社外へのメールには一切書きません。取引先は会社を通して付き合っている相手で、個人の事情を伝える場ではありません。「新しい環境で挑戦することにしました」のような前向きな言葉も、社外向けには必要ありません。退職の事実と、お礼と、後任の情報があれば十分です。
一斉に送るときの注意点
取引先が多いと、1通ずつ送るのは大変です。ただ、一斉に送る場合は、宛先の扱いを誤ると情報の漏えいにつながります。
複数の会社に送るときはBCCを使う
BCCとは、ほかの受信者にアドレスが見えないように送る欄のことです。複数の会社にまとめて送るときに、宛先やCCに全員のアドレスを並べてしまうと、取引先同士がお互いのアドレスを知ることになります。取引先のアドレスは個人情報にあたる場合があり、誤って公開すると会社として謝罪が必要になることもあります。
送信先が広く他部署にまでわたる場合は、宛先が見えない「BCC」で送るのが一般的です。 出典: next.rikunabi.com
これは社内向けの説明ですが、社外向けではなおさら大切です。BCCで送る場合は、宛先の欄に自分のアドレスを入れ、取引先はすべてBCCに入れます。本文の冒頭は「関係者各位」「お取引先の皆様」のように、特定の人に向けない書き方にします。
特にお世話になった相手には個別に送る
BCCの一斉送信は、どうしても定型文の印象になります。長く担当した相手や、特にお世話になった相手には、宛名と具体的なお礼を書いた個別のメールを送ります。一斉送信と個別のメールの両方が同じ人に届かないよう、送る相手の一覧を作って管理します。
会社のルールと送信の承認
会社によっては、社外への一斉送信に上司の承認が必要だったり、誤送信を防ぐために送信を一定時間保留する仕組みを入れていたりします。退職前の慌ただしい時期ほど、こうしたルールを見落としがちです。送る前に、社内のルールを確かめておきます。
返信が来たときの対応
退職の挨拶メールには、取引先から返信が届くことがあります。返信への対応も、最後の仕事として丁寧に行います。
在職中に届いた返信には必ず返す
在職中に届いた返信には、短くても返事をします。お礼の言葉に加えて、後任への引き継ぎを改めてお願いする一文を添えると、相手も安心します。質問が含まれている場合は、自分で答えられる範囲で答え、続きは後任に回すことを伝えます。
返信への返事の例文
取引先から「これまでありがとうございました」という返信が届いた場合の返事の例です。
件名:Re: 退職のご挨拶と後任のご紹介(株式会社〇〇 山田)
株式会社△△ 佐藤様
ご丁寧なご返信をいただき、ありがとうございます。 佐藤様には最後まで温かいお言葉をいただき、大変励みになりました。 今後は鈴木が担当いたしますので、引き続きよろしくお願いいたします。
佐藤様のますますのご活躍をお祈りしております。
(署名)
返事は、相手の返信から時間をおかずに送ります。件名は「Re:」を付けたままにしておくと、相手がどのメールへの返事かをすぐに分かります。
退職後の返信は後任が受け取る
退職後に届いた返信は、自分では読めません。会社のメールアドレスは退職と同時に止められることが多く、送った相手にはエラーが返るか、届いても誰も読まない状態になります。退職前に、自分のアドレスに届いたメールを後任に転送する設定ができるか、情報システムの担当に確かめておきます。自動返信で「退職しました。今後は鈴木までご連絡ください」と案内する方法もあります。
送信前に確かめたい項目
退職前は引き継ぎや片付けで忙しく、確認がおろそかになりがちです。送信の前に、次の項目を見直します。
| 確かめること | よくある間違い |
|---|---|
| 宛名の会社名と氏名 | 社名の旧表記、前任者の名前のまま |
| 最終出社日と担当の最終日 | 退職日と最終出社日を混同している |
| 後任の名前と連絡先 | アドレスの1文字違い、電話番号の誤り |
| 宛先の欄 | 一斉送信なのにBCCではなく宛先に並べている |
| 転職先や個人の連絡先 | 会社のルールに反して書いてしまう |
| 誤字や変換の誤り | 「御社」「貴社」の使い分け、敬語の重なり |
| 添付ファイル | 不要なファイルを付けたままにしている |
メールの中では、相手の会社を「貴社」と書きます。「御社」は話し言葉で使う言い方です。また、「おっしゃられる」のように敬語を重ねると、かえって不自然になります。
声に出して読み返す
送る前に、本文を声に出して読み返すと、言葉の重なりや、話の順番のおかしさに気づきやすくなります。後任の名前の読み方を間違えていないかも、このときに確かめます。読み方が難しい名前には、本文でふりがなを添えておくと、相手が電話をかけるときに困りません。
メールの前に整えておく引き継ぎの準備
社外への退職挨拶メールは、引き継ぎがきちんとできていて初めて意味を持ちます。メールで「すべて引き継いでおります」と書いても、実際に後任が答えられなければ、取引先の信頼を損ねます。メールを送る前に、次の準備を済ませておきます。
取引先ごとの引き継ぎの資料
取引先ごとに、次の内容を1枚の資料にまとめて後任に渡します。
- 取引先の会社名、担当者の氏名、部署、連絡先
- 取引の内容と、これまでの経緯
- 進行中の案件と、次に行うことと期限
- 価格や納期などの取り決め、口頭で約束したこと
- 担当者の好みや注意点(連絡は電話よりメールがよい、など)
この資料があれば、後任は取引先からの最初の連絡にも落ち着いて対応できます。自分が退職した後に後任が困らないことが、取引先にとっての一番の安心です。
後任との顔合わせの段取り
主要な取引先には、メールを送る前に後任との顔合わせの日程を決めておくと、メールの中で「〇月〇日に鈴木とともに伺います」と具体的に書けます。訪問が難しい場合は、Web会議で15分ほど時間をもらい、後任を紹介するだけでも、取引先の受け止め方は大きく変わります。
署名を最新の内容にしておく
退職挨拶メールの署名には、会社名、部署名、氏名、電話番号、メールアドレスを入れます。部署の異動や電話番号の変更があったのに署名を直していないと、取引先が古い連絡先に問い合わせてしまいます。社外へのメールでは、署名に自分の携帯電話の番号や個人のアドレスを入れないようにします。会社の業務用の携帯電話がある場合も、退職後は使えなくなるため、署名には会社の代表番号か部署の番号を書くほうが親切です。
後任の側から送る着任の挨拶
退職者の挨拶メールに続いて、後任からも取引先に着任の挨拶を送ると、引き継ぎがより確かなものになります。退職者のメールのCCに入っていた場合でも、後任から改めて送ることで、取引先は「この人が新しい窓口だ」と認識できます。
着任の挨拶では、前任者の名前を出して担当を引き継いだことを伝え、進行中の案件について把握している内容を簡単に書きます。「〇〇の件は、来週中にお見積もりをお送りします」のように、次の行動を具体的に書くと、取引先は安心してやり取りを続けられます。前任者がいる間に送れば、分からないことを前任者に確かめながら対応できるため、最終出社日の1週間前ごろまでに送るのが理想です。
退職した後の仕事とのつながり
退職の挨拶は、会社員としての最後の仕事であると同時に、次の働き方への入り口でもあります。
独立やフリーランスを考えている場合
退職してフリーランスとして独立する人にとって、前の職場の取引先との関係は気になるところです。ただ、先に触れたように、退職の挨拶メールで独立後の営業をするのは避けます。独立後に一から仕事を探す方法として、業務委託の案件を扱うサービスを使う人が増えています。マーケティングやSNS運用の経験を生かせる仕事については、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で、案件の種類と求められるスキルを確かめられます。
独立して経営の相談に乗る仕事を目指すなら、資格を取るのも1つの方法です。中小企業診断士では、経営の助言を行う国家資格の試験の内容と、取った後の働き方を紹介しています。
運営者として見てきたこと
フリーランスと在宅ワークの仲介を20年あまり運営してきた立場から見ると、会社員時代の退職の仕方が丁寧だった人ほど、独立後に思わぬところから声がかかっています。最後まで引き継ぎに手を抜かなかった人は、元の取引先から「あの人なら」と覚えられています。引き抜きのような営業をしなくても、時間がたってから、相手のほうから相談が来ることがあるのです。
独立後は、会社の看板の代わりに、一人ひとりの信用が仕事を呼びます。仲介の手数料が乗らない直接の取引なら、依頼する側は同じ予算でより多くの仕事を頼め、受ける側は手取りが厚くなります。こうした関係を長く続けている人を見ると、最初の仕事の始め方と同じくらい、前の仕事の終わらせ方が丁寧です。退職の挨拶メールは、その丁寧さを最後に示せる機会です。
デザインや制作の仕事で独立を考えている人は、デザイナーの年収・単価相場で、会社員とフリーランスの収入の目安や案件の単価の幅を確かめておくと、独立後の計画を立てやすくなります。
よくある質問
Q. 社外への退職挨拶メールはいつ送ればよいですか?
最終出社日の2〜3週間前が目安です。後任が決まり、上司から社外に伝えてよいと許可をもらってから送ります。主要な取引先には、メールの前に訪問やWeb会議で直接挨拶し、その後に定期的なやり取りのある相手、過去に取引のあった相手の順に送ると、相手に失礼がありません。
Q. 退職の理由や転職先は書いたほうがよいですか?
書かなくて構いません。理由は「一身上の都合により」とするのが一般的です。転職先や独立後の連絡先を会社のメールに書くと、取引先の引き抜きと受け取られるおそれがあります。会社によっては退職後の競業や勧誘を制限するルールもあるため、書く前に必ず確かめます。
Q. 複数の取引先にまとめて送ってもよいですか?
送っても構いませんが、取引先のアドレスは必ずBCCに入れます。宛先やCCに並べると、取引先同士がお互いのアドレスを知ってしまいます。長く担当した相手や特にお世話になった相手には、一斉送信とは別に、宛名と具体的なお礼を書いた個別のメールを送ると気持ちが伝わります。
Q. 取引先から返信が来たら返事は必要ですか?
在職中に届いた返信には、短くても返事をします。お礼に加えて、後任への引き継ぎを改めてお願いする一文を添えます。退職後は自分のアドレスに届いたメールを読めなくなることが多いため、退職前に後任への転送や自動返信の設定ができるかを、社内の担当者に確かめておきます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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