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ロケーション管理をエクセルで行う|倉庫の置き場所を記録する方法

@SOHO編集部
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ロケーション管理をエクセルで行う|倉庫の置き場所を記録する方法

この記事のポイント

  • ✓倉庫や事務所の在庫の置き場所をエクセルで管理する方法を解説
  • ✓商品とロケーションの表の作り方
  • ✓XLOOKUPやCOUNTIFSなどの関数

ロケーション管理とは、倉庫や事務所の棚に番地を付け、どの商品がどの番地にあるかを記録しておく管理のことです。数百点ほどの品目を扱う小さな倉庫や、ネット販売の在庫を自宅や小さな事務所で保管している事業者なら、専用のシステムを入れなくても、エクセルの表で十分に始められます。ただし、番地の付け方と、入出庫のたびに表を直すルールを先に決めておかないと、表と棚の中身がすぐに食い違い、「表にはあるのに棚に無い」状態になります。

この記事では、エクセルでロケーション管理を始める前に決めること、番地の付け方、表の作り方、使える関数と設定、運用のルール、エクセルで管理するメリットと限界、在庫管理のシステムに切り替える目安までを順に説明します。棚卸しや配置換えのような作業を、複数の担当者で期限を決めて進めたい場合の方法として、ボード型のタスク管理の道具Pinatecaにも後半で触れます。

ロケーション管理の基本と3つの方式

ロケーションとは、倉庫の中の保管場所を示す住所のようなものです。「A棚の3列目の上から2段目」を「A-03-2」のような記号で表し、商品ごとにその記号を記録しておけば、初めてその倉庫に入った人でも、記号を見るだけで目的の商品にたどり着けます。

ロケーション管理の目的は、探す時間を減らすことと、取り違えを防ぐことの2つです。倉庫の運営会社の解説記事では、探す時間の積み重ねについて次のように紹介されています。

倉庫内の在庫を探すのに毎日30分以上かかってしまうという悩みはありませんか?この“探し物時間”が積み重なると、年間で170時間近くも業務ロスにつながるとも言われています。実際に、効果的なロケーション管理を導入した現場では、ピッキングミスが約40%削減され、作業効率が2倍にアップしたという報告もあります。 出典: max-line.jp

数字は現場によって大きく変わりますが、1日30分の探し物でも、年間の営業日を掛けると大きな時間になるという考え方は、どの規模の倉庫にも当てはまります。

ロケーション管理には、代表的な方式が3つあります。

固定ロケーション

商品ごとに保管する番地を決めておく方式です。「商品Aは必ずA-03-2」と決まっているので、作業する人が場所を覚えやすく、エクセルの表も「商品と番地の対応表」1枚で済みます。扱う品目が少なく、商品の入れ替わりが少ない倉庫に向いています。弱点は、在庫が少ない時期でも決められた棚を空けておく必要があり、棚の使い方に無駄が出やすいことです。

フリーロケーション

空いている棚に、その都度商品を入れていく方式です。棚を無駄なく使えますが、どこに何を入れたかを毎回記録しないと、すぐに場所が分からなくなります。エクセルで管理する場合は、入庫のたびに番地を書き込む運用が欠かせません。入出庫の回数が多く、記録の手間をかけられない現場では、エクセルでの運用は難しくなります。

2つを組み合わせる方式

よく出る商品は固定の番地に、それ以外の在庫は空いた棚に、と分ける方式です。ピッキングと呼ばれる、注文に合わせて商品を棚から取り出す作業は固定の棚で行い、補充用の在庫を空いた棚に保管します。エクセルで管理するなら、固定の番地の表と、補充在庫の場所の表を分けて作ると混乱しません。

エクセルで始める前に決めること

表を作る前に、次の3つを決めておきます。ここを曖昧にしたまま表を作ると、後から列を作り直すことになります。

1つ目は、番地の付け方です。一般的なのは「エリア」「列(棚の番号)」「段」の3つを組み合わせる方法で、「A-03-2」はAエリアの3番目の棚の2段目を表します。さらに細かく分けたい場合は、段の中の位置を「A-03-2-1」のように追加します。番号は桁をそろえ、「3」ではなく「03」と書きます。桁をそろえないと、エクセルで並べ替えたときに「1、10、11、2」の順に並んでしまいます。

2つ目は、番地の札を棚に付けることです。表の番地と棚の札が一致していなければ、ロケーション管理は機能しません。札は、ラベルシールに印刷して棚の正面の見やすい位置に貼ります。段ごとに札を付けると、上から数える手間がなくなります。

3つ目は、誰が表を直すかです。入庫した人、出庫した人がその場で表を直すのか、1日の終わりに担当者がまとめて直すのかを決めます。直す人が決まっていない表は、数日で棚の中身と合わなくなります。

ロケーション管理表の作り方

エクセルでのロケーション管理は、シートを3つに分けると扱いやすくなります。

ロケーション一覧のシート

倉庫の全番地を1行ずつ並べたシートです。列は「番地」「エリア」「棚の種類」「保管できる大きさ」「備考」の5つ程度で十分です。番地の一覧を先に作っておくと、他のシートで番地を入力するときに、この一覧から選ぶ形にでき、存在しない番地の入力を防げます。

商品一覧のシート

扱う商品を1行ずつ並べたシートで、商品マスタとも呼ばれます。マスタとは、何度も参照する基本の情報をまとめた表のことです。列は「商品コード」「商品名」「規格」「定位置の番地」「発注点」の5つが基本です。発注点とは、在庫がこの数を下回ったら発注する、という目安の数のことです。固定ロケーションなら、「定位置の番地」の列が対応表の役割を果たします。

在庫と入出庫の記録のシート

日々の入庫と出庫を1件ずつ記録するシートです。列は「日付」「商品コード」「商品名」「番地」「入庫数」「出庫数」「担当者」「備考」とします。商品名は手で入力せず、商品コードから自動で表示させると、入力の手間と誤字が減ります。現在の在庫数は、このシートの入庫数と出庫数を商品ごと、番地ごとに合計して求めます。

3つのシートとも、表を作ったら「テーブル」に変換しておきます。テーブルとは、表の範囲をエクセルに1つのまとまりとして認識させる機能のことで、行を追加すると書式や数式が自動で広がり、並べ替えや絞り込みのボタンも付きます。設定の方法はMicrosoftの公式のExcel のテーブルの概要で確かめられます。

使える関数と設定

ロケーション管理表で使う関数と設定を、役割ごとに紹介します。

番地を一覧から選ばせる「データの入力規則」

記録のシートの「番地」の列に、ロケーション一覧の番地だけを選べるようにします。番地の列を選び、「データ」タブの「データの入力規則」から「リスト」を選んで、元の値にロケーション一覧の番地の列を指定します。これで、セルを選ぶと番地の一覧が出て、そこから選ぶ形になります。手入力による「A-3-2」と「A-03-2」のような表記の揺れを防げる、最も効き目の大きい設定です。手順はMicrosoftの公式のセルにデータの入力規則を適用するに載っています。

商品コードから名前と定位置を引く「XLOOKUP」

XLOOKUPは、ある値をもとに別の表から対応する値を探して表示する関数です。記録のシートで商品コードを入力したら、商品名と定位置の番地が自動で表示されるようにします。たとえば商品コードがB列にあり、商品一覧のテーブルの名前が「商品一覧」なら、商品名の列には次の式を入れます。

=XLOOKUP(B2,商品一覧[商品コード],商品一覧[商品名],"未登録")

最後の「未登録」は、商品一覧に無いコードが入力されたときに表示する文字です。エラーの表示の代わりに分かりやすい言葉が出るので、入力の誤りにすぐ気づけます。XLOOKUPはMicrosoft 365やExcel 2021以降で使える関数で、それより古い版ではVLOOKUPやINDEXとMATCHの組み合わせを使います。詳しい使い方は、Microsoftの公式のXLOOKUP 関数で確かめられます。

番地ごとの在庫数を出す「SUMIFS」

SUMIFSは、複数の条件に合う行だけを合計する関数です。「この商品の、この番地の入庫数の合計」から「出庫数の合計」を引けば、番地ごとの現在の在庫数が出ます。在庫の一覧を別のシートに作り、商品コードと番地を並べた行ごとに、記録のシートの入庫数と出庫数を合計します。

=SUMIFS(記録[入庫数],記録[商品コード],A2,記録[番地],B2)-SUMIFS(記録[出庫数],記録[商品コード],A2,記録[番地],B2)

同じ番地に何品目あるかを数える「COUNTIFS」

フリーロケーションでは、1つの番地に何品目が入っているかを把握しておくと、空いた棚を探すときに役立ちます。COUNTIFSは、複数の条件に合う行の数を数える関数で、在庫の一覧で「番地がA-03-2で、在庫数が1以上」の行を数えれば、その番地に入っている品目の数が分かります。在庫数が0になった行は数えないようにしておくのがこつです。

在庫が少ない商品に色を付ける「条件付き書式」

在庫の一覧で、在庫数が発注点以下になった行に自動で色が付くようにします。在庫数の列を選び、「ホーム」タブの「条件付き書式」から「新しいルール」を選んで、「数式を使用して、書式設定するセルを決定」に、在庫数のセルが発注点のセル以下であるという式を入れます。色が付いた行だけを見れば、発注が必要な商品がすぐに分かります。

番地で絞り込んで一覧にする「FILTER」

FILTERは、条件に合う行だけを取り出して別の場所に並べる関数です。在庫の一覧から「番地がA-03-2の行」だけを取り出せば、その棚に何が入っているかを1つの画面で確かめられます。棚の前で作業する人に、番地ごとの中身を印刷して渡すときにも使えます。FILTERもMicrosoft 365やExcel 2021以降で使える関数で、古い版では、テーブルの絞り込みのボタンで同じことができます。

ロケーション管理表の記入例

ここまでの説明を、実際の表の形で確かめます。小さな雑貨の倉庫を例に、在庫の一覧のシートに並ぶ行は次のようになります。

商品コード 商品名 番地 入庫数の合計 出庫数の合計 現在の在庫数 発注点
ZK-0012 布製のペンケース 紺 A-01-1 120 85 35 20
ZK-0012 布製のペンケース 紺 C-04-3 60 0 60 20
ZK-0031 木製のコースター 4枚組 A-02-2 80 71 9 15
ZK-0047 麻のエコバッグ 生成り B-01-1 50 18 32 10

1つ目と2つ目の行は、同じ商品が2つの番地に分かれて保管されている例です。A-01-1が出荷用の定位置、C-04-3が補充用の在庫の置き場所になっています。この場合、商品全体の在庫は95個ですが、出荷用の棚には35個しかありません。番地ごとに在庫数を出しておくと、「全体ではあるのに出荷用の棚が空になる」という事態に早く気づけます。

3つ目の行は、現在の在庫数が発注点を下回っている例です。条件付き書式で色が付き、発注が必要だと分かります。補充の在庫を別の番地に持っている場合は、発注の前に、そこから出荷用の棚へ移せないかを先に確かめます。

記録のシートでは、1行に1回の動きを書きます。たとえば、C-04-3からA-01-1へ30個を移した日には、「C-04-3 出庫30」と「A-01-1 入庫30」の2行を同じ日付で書きます。移動の記録を1行で済ませようとすると、どちらの番地の数が変わったのかが後から分からなくなるので、必ず2行に分けます。

よくある失敗と防ぎ方

エクセルのロケーション管理で起きやすい失敗と、その防ぎ方を整理します。

最も多いのは、商品を棚から棚へ移したのに、記録を直さない失敗です。「少しの間だけ」と思って空いた棚に移した商品が、そのまま何週間も記録と違う場所にあり、探す時間がかえって増えます。移動は必ず記録のシートに2行で書く、と決め、棚の前に「移したら記録」と書いた紙を貼っておくと忘れにくくなります。

2つ目は、番地の札が剥がれたり、汚れて読めなくなったりする失敗です。札が読めない棚には、作業する人が勝手に別の商品を入れてしまいます。棚卸しのたびに札の状態も見て、読みにくい札は貼り替えます。

3つ目は、同じファイルのコピーが何個もできる失敗です。担当者が自分のパソコンに保存したファイルに記録を続けると、どれが最新か分からなくなります。ファイルの保存場所は1か所に決め、ファイル名に日付を付けて複製することを禁止します。

4つ目は、関数の入った列を誤って上書きする失敗です。商品名の列に手で文字を打ち込むと、XLOOKUPの式が消えて、それ以降の行で商品名が出なくなります。関数の入った列は、シートの保護の機能で入力できないようにしておくと防げます。

5つ目は、表の作り手が1人しかいない失敗です。作った人が異動や退職でいなくなると、関数の意味や運用のルールが分からなくなり、表が使われなくなります。シートの1枚目に「使い方」のシートを作り、番地の付け方、記録のルール、関数の意味を短く書いておきます。

入出庫と棚卸しの運用ルール

表を作っても、日々の運用で記録が抜ければ、棚の中身と表はすぐに食い違います。最低限決めておきたいルールは次の5つです。

  1. 入庫したら、その日のうちに記録のシートに日付、商品コード、番地、入庫数を書く
  2. 出庫したら、出荷の作業が終わった時点で出庫数を書く。複数の番地から取り出した場合は、番地ごとに行を分ける
  3. 棚の間で商品を移したら、元の番地の出庫と、移した先の番地の入庫の2行を書く
  4. 表に無い番地に商品を入れない。新しい棚を作ったら、先にロケーション一覧に番地を追加する
  5. 月に1度、または四半期に1度、棚の実物を数えて表と照らし合わせる

5つ目の作業を棚卸しと呼びます。棚卸しとは、実際に棚にある在庫を数え、帳簿や表の数と合っているかを確かめる作業のことです。数が合わない番地が見つかったら、記録のシートを日付順にさかのぼり、記録漏れや番地の書き間違いを探します。原因が分からない差は、備考に「棚卸しで差異」と書いて調整の行を追加し、表の数を実物に合わせます。

出荷の前の確かめ方も決めておきます。ピッキングの指示書に、商品名だけでなく番地を印刷しておくと、作業する人は番地の順に棚を回るだけで済みます。指示書を番地の順に並べ替えておけば、倉庫の中を行ったり来たりする無駄も減ります。取り出した商品は、箱に詰める前に商品コードと数を指示書と照らし合わせ、違っていたらその場で記録のシートの備考に書きます。誤出荷の多くは、似た商品が隣り合った番地に保管されている場所で起きるので、色違いやサイズ違いの商品は、あえて離れた番地に分けるのも有効です。

棚卸しの作業では、全番地を一度に数えようとせず、エリアごとに日を分けると、通常の業務を止めずに済みます。たとえば毎週金曜にAエリア、翌週にBエリア、と順番に回すと、1か月で倉庫全体を一巡できます。この方法を循環棚卸しと呼びます。

よく出る商品を取り出しやすい番地に割り当てる

ロケーション管理の効き目をさらに高めるのが、出荷の多い商品ほど取り出しやすい番地に割り当てる方法です。出入口に近い棚、腰から目の高さの段は、取り出す時間が短く、体への負担も小さい場所です。そこに出荷の少ない商品が入っていると、毎日の作業で遠くの棚や床に近い段まで何度も往復することになります。

割り当てを決めるには、ABC分析と呼ばれる考え方が使えます。ABC分析とは、商品を出荷の多い順に並べ、上位の商品をA、中位をB、下位をCに分ける方法です。エクセルなら、記録のシートの出庫数を商品ごとに合計し、多い順に並べ替えるだけで分けられます。目安として、出荷数の合計の7割ほどを占める上位の商品をAとし、続く2割ほどをB、残りをCとします。

手順は次のとおりです。

  1. 過去3か月分の記録から、商品ごとの出庫数の合計を出す
  2. 出庫数の多い順に並べ替え、上から順に累計の割合を計算する
  3. 累計の割合でA、B、Cに分け、商品一覧のシートに「区分」の列を追加して書き込む
  4. Aの商品を出入口に近い棚の中段に、Cの商品を奥の棚や上下の段に移す
  5. 移した結果を記録のシートに2行ずつ書き、商品一覧の定位置の番地を書き換える

売れ筋は季節や販促で入れ替わるので、割り当ては半年に1度ほど見直します。見直しのたびに全商品を動かす必要はなく、AとCが入れ替わった商品だけを移せば十分です。

Googleスプレッドシートで共有する場合

複数の人で同じ表を見たい場合は、エクセルのファイルを共有のフォルダに保存する代わりに、Googleスプレッドシートで管理する方法もあります。ブラウザで開くので、倉庫のタブレットや担当者のスマートフォンからも記録でき、同じ表を複数の人が同時に開いても、読み取り専用になることはありません。

ただし、エクセルとまったく同じ使い勝手ではありません。テーブルの書き方や一部の関数の扱いが異なるので、エクセルで作った表を取り込んだら、関数が正しく計算されているかを最初に確かめます。誰がいつどのセルを直したかは、変更履歴の機能で確かめられるので、記録の誤りの原因を探すときに役立ちます。共有の範囲は、編集できる人と閲覧だけの人を分けて設定し、表を作った人以外が列の構成を変えないようにしておきます。

エクセルで管理するメリット

エクセルでロケーション管理をする最大の利点は、追加の費用がかからないことです。多くの会社や個人事業者はすでにエクセルを使える環境を持っているので、ソフトを新たに契約する必要がありません。専用の在庫管理システムは、初期費用と毎月の利用料がかかるのが一般的で、扱う品目が少ないうちは費用に見合わないこともあります。

2つ目の利点は、自由に作り変えられることです。自社の倉庫の形や、扱う商品の性質に合わせて、列を追加したり、番地の付け方を変えたりできます。システムの場合、画面の項目を変えるには設定の変更や追加の費用が必要になることがあります。

3つ目の利点は、多くの人がすでに操作に慣れていることです。新しいシステムを入れると、使い方を覚えるまでの期間が必要ですが、エクセルなら、基本の入力と並べ替えができる人なら、すぐに記録を始められます。

4つ目の利点は、小さく試せることです。いきなりシステムを入れるのではなく、まずエクセルでロケーション管理を始め、番地の付け方や運用のルールが現場に合うかを確かめてから、必要に応じてシステムに移すという順番が取れます。エクセルで決めた番地とルールは、システムに移った後もそのまま使えます。

エクセルの限界とデメリット

一方で、エクセルでのロケーション管理には、規模が大きくなると避けられない限界があります。

最も大きいのは、複数の人が同時に記録しにくいことです。共有のフォルダに保存したファイルを複数の人が開くと、どちらかが読み取り専用になったり、保存のときに変更がぶつかったりします。クラウドに保存して共同編集する方法もありますが、同じ行を同時に直すと、どちらかの入力が上書きされることがあります。

2つ目は、記録が実物の動きより遅れることです。倉庫で作業した人が、事務所に戻ってから表を直す運用では、その間の在庫の数は表に反映されていません。出荷の多い日には、表を見て在庫があると判断した商品が、実際にはすでに出荷されていた、ということが起きます。

3つ目は、入力の誤りに気づきにくいことです。入力規則や関数で誤りを減らすことはできますが、数量の打ち間違いや、出庫の記録の書き忘れは防げません。誤りは棚卸しのときまで見つからず、原因を探すのに時間がかかります。

4つ目は、ファイルが大きくなると動作が重くなることです。記録のシートに何年分もの入出庫の行がたまると、関数の計算に時間がかかります。年度ごとにファイルを分け、前年の最終の在庫数を新しいファイルの最初の行に書き写す運用にすると、重さを抑えられます。

5つ目は、バーコードの読み取りや、ハンディ端末と呼ばれる持ち運べる読み取り機との連携が難しいことです。バーコードリーダーをパソコンにつなげば、セルに商品コードを読み込むことはできますが、倉庫の中を歩きながら記録する仕組みを作るのは、エクセルでは手間がかかります。

在庫管理システムに切り替える目安

エクセルからシステムへの切り替えを考える目安は、次の4つのどれかに当てはまったときです。

  • 扱う品目が数百点を超え、記録の行が1日に数十件以上になった
  • 3人以上が同時に入出庫の記録をする必要が出てきた
  • 棚卸しのたびに、原因の分からない差が繰り返し見つかる
  • ネット販売の複数の販路の在庫を、1つの在庫数で管理する必要が出てきた

特に4つ目は、エクセルでは対応が難しい場面です。在庫管理と出荷の仕組みを提供している会社の解説記事でも、複数の販路の在庫をまとめて管理する仕組みに切り替えた事業者の例が次のように紹介されています。

そこで、複数の販路で出荷の指示と在庫管理ができる一元管理システムを、自社サイトをShopifyに切り替えるタイミングで導入しました。受注から出荷までを自動化し、作業は月に1時間ほどで済むと話しており、空いた時間で別の事業も始めています。 出典: next-engine.net

この例は販路の切り替えという節目に合わせて仕組みを変えたものです。切り替えの時期は、繁忙期を避け、新しい仕組みに慣れるまでの期間をエクセルと並行して動かすと、移行の失敗を防げます。システムを選ぶときは、ロケーション管理の機能があるか、エクセルの表をそのまま取り込めるか、毎月の費用が自社の規模に見合うかを、各社の公式の案内で確かめます。

棚卸しや配置換えの作業を複数人で進めたいとき

ロケーション管理の表そのものとは別に、棚卸しや棚の配置換え、番地の札の貼り替えといった作業を、複数の担当者で期限を決めて進めたい場面があります。「Aエリアの棚卸しは誰が、いつまでに」「新しい棚の番地をロケーション一覧に追加するのは誰か」を、口頭やメールだけで回していると、抜けや重複が起きます。

担当と期限と進み具合を、複数の人で同じ画面に並べたい場合の候補の1つが、ボード型のタスク管理の道具のPinatecaです。公式の料金ページによると、5人までのチームならフリープランで期限なしに無料で使え、ボードは10個まで作れます。フリープランでも、カンバン、ガントチャート、カレンダー、リストなど8種類のボードと、チャット、カードごとのコメント、カスタムフィールドが使えます。たとえば「棚卸し」のボードにエリアごとのカードを作り、担当者と期限を付けて「未着手」「作業中」「差異の確認中」「完了」の列で動かせば、どのエリアの作業がどこまで進んでいるかを全員が同じ画面で確かめられます。6人目、または11個目のボードからはスタンダードプラン(1人あたり月額500円、税抜、年払いなら1人あたり月額400円)になります。Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。

なお、Pinatecaは在庫の数を数えたり、ロケーションを記録したりする道具ではありません。在庫と番地の記録はエクセルやシステムで行い、それに伴う作業の分担と期限の管理をボードで行う、という使い分けになります。

小さな事業者の倉庫での進め方

ネット販売を個人や数人で営んでいる事業者の場合、倉庫は自宅の一室や小さな貸し倉庫であることが多く、棚の数も数台から十数台です。この規模なら、ロケーション一覧と商品一覧の2つのシートだけで始め、入出庫の記録は販売サイトの受注の記録で代用する方法もあります。

始め方の手順は次のとおりです。

  1. 棚の1台ごとに「A」「B」「C」と記号を付け、段ごとに「1」「2」「3」と番号を振って札を貼る
  2. 商品一覧のシートに、全商品の商品コードと定位置の番地を書く
  3. 入荷のたびに、商品を定位置の番地に入れ、入りきらない分は空いた番地に入れて商品一覧の備考に追記する
  4. 月末に、商品一覧を番地の順に並べ替えて印刷し、棚の順に歩いて実物と照らし合わせる

この程度の運用でも、「どこに保管したか分からない」という時間はほとんどなくなります。まず小さく始め、出荷の件数が増えて記録が追いつかなくなった時点で、入出庫の記録のシートを追加する、という順番で広げていきます。最初の段階で必要な費用は、ラベルシールと札を貼る手間だけです。たとえば棚10台、各5段の倉庫なら番地は50か所で、1日あれば札を貼り終えられます。

運営者として見てきた、外部の力を借りる場面

在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、在庫やロケーションの管理表の整備は、社外の人に任せやすい仕事の1つです。表の設計、関数の組み込み、運用ルールの文書化といった作業は、倉庫の現場にいなくても進められるので、エクセルに詳しいフリーランスに業務委託で頼む会社が少なくありません。中間の手数料が乗らない直接のやり取りなら、同じ予算でより多くの作業を頼め、受ける側も手取りが厚くなります。

外部に頼むときに失敗しやすいのは、「いい感じの表を作ってほしい」とだけ伝えてしまう場合です。番地の付け方、扱う品目の数、記録する人の人数、棚卸しの頻度を先に書き出して渡すと、見積もりの差が小さくなり、出来上がった表も現場で使えるものになります。まず1つの倉庫、1つのエリアで試してもらい、うまくいったら他の倉庫に広げる、という進め方が費用の面でも安全です。

業務の仕組みづくりをAIの活用まで含めて手伝う仕事の内容は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で紹介しています。エクセルの表から本格的な業務アプリに移す段階では、アプリケーション開発のお仕事で紹介している開発の担い手に相談する方法もあります。経営の視点から在庫と業務の流れ全体を見直したい場合は、経営の助言を専門とする国家資格の中小企業診断士の知見が役立ちます。

よくある質問

Q. ロケーションの番地はどのように付けるのがよいですか?

「エリア」「棚の番号」「段」の3つを組み合わせ、「A-03-2」のように書く方法が一般的です。番号は「3」ではなく「03」のように桁をそろえると、エクセルで並べ替えたときに順番が崩れません。番地は表に書くだけでなく、同じ記号の札を棚の正面に貼り、表と棚の表示を一致させておくことが欠かせません。

Q. 固定ロケーションとフリーロケーションはどちらを選べばよいですか?

扱う品目が少なく入れ替わりも少ないなら、商品ごとに場所を決める固定ロケーションがエクセルで管理しやすい方式です。棚を無駄なく使いたい場合はフリーロケーションですが、入庫のたびに番地を記録する手間がかかります。よく出る商品だけを固定にし、補充用の在庫を空いた棚に保管する組み合わせも選べます。

Q. エクセルのロケーション管理表で必ず入れておきたい設定は何ですか?

番地の列に「データの入力規則」でリストを設定し、ロケーション一覧の番地だけを選べるようにする設定が最も効果的です。「A-3-2」と「A-03-2」のような表記の揺れを防げます。あわせて表をテーブルに変換し、商品コードから商品名を自動で表示させると、入力の手間と誤字が減ります。

Q. エクセルから在庫管理システムに切り替える目安はありますか?

扱う品目が数百点を超えた、3人以上が同時に記録する必要が出てきた、棚卸しのたびに原因不明の差が見つかる、複数の販路の在庫を1つの数で管理したい、のどれかに当てはまったときが目安です。切り替えは繁忙期を避け、慣れるまでの期間はエクセルと並行して動かすと失敗を防げます。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年1月21日最終更新:2026年11月6日
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@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。

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