司会業を副業にするには、結婚式やイベントで仕事を受けるまでの流れ


この記事のポイント
- ✓司会業を副業にする道を
- ✓イベントや式典の司会に分けて整理しました
- ✓初めての仕事を受けるまでの流れ
司会業を副業にしたいと考える人の多くは、会社の式典や友人の結婚式でマイクを持った経験があり、「話すことを仕事にできないか」「週末だけ司会をして収入を得られないか」と感じています。ただ、司会の仕事はどこで募集しているのか、資格は要るのか、未経験から本番を任されるまでにどれくらいかかるのかが見えにくく、最初の一歩で止まりがちです。
先に結論を書きます。司会業を副業で始める道は、主に3つあります。結婚式の司会者を抱える事務所に登録して仕事を受ける道、葬儀社で葬儀の司会を担当する道、イベントや企業の式典の司会を受ける道です。どの道でも国家資格のような必須の資格はありませんが、多くの事務所は養成の研修やオーディションを経てから本番を任せます。そして、司会の仕事の多くは雇用ではなく業務委託の契約で行われます。
この記事では、3つの道の違い、仕事を受けるまでの流れ、身につけたい技術、契約と保険と税金の扱い、副業として続けるコツまでを順に見ていきます。
司会業の副業は3つの道に分かれる
司会の仕事を、場面で分けると次のようになります。
| 道 | 主な場面 | 仕事の入り方 | 曜日の傾向 |
|---|---|---|---|
| 結婚式の司会 | 披露宴、二次会 | 司会者事務所に登録、式場と契約 | 土日祝が中心 |
| 葬儀の司会 | 通夜、告別式 | 葬儀社や司会の派遣会社に応募 | 曜日を問わず、急に入る |
| イベント・式典の司会 | 企業の式典、展示会、地域の催し、表彰式 | 事務所、紹介、直接の依頼 | 平日と週末の両方 |
副業として始めやすいのは、土日に仕事が集中する結婚式の司会です。平日に会社勤めをしている人でも、週末の時間で仕事を受けられます。ただし、結婚式は日取りの良い週末に依頼が集中し、季節による波も大きいため、毎週安定して仕事が入るとは限りません。
葬儀の司会は、曜日に関係なく仕事が発生します。通夜は夕方から夜、告別式は日中に行われることが多く、平日の昼間に動ける人に向いています。予定が急に決まる仕事なので、会社勤めとの両立は日程の調整がしやすいかどうかにかかっています。
イベントや式典の司会は、場面が幅広く、企業の行事であれば平日の日中が中心です。会社の休みを取って受けるのか、週末の地域の催しを中心にするのかで、両立のしやすさが変わります。
結婚式の司会は、事務所への登録から始まる
結婚式の司会者の多くは、司会者事務所やブライダルの司会を専門に扱う会社に所属し、そこから式場の仕事を受けています。式場が個人の司会者と直接契約することもありますが、未経験の人がいきなり式場から依頼を受けることはまずありません。
事務所に入る流れは、おおむね次のとおりです。まず、募集に応募してオーディションを受けます。オーディションでは、原稿の読み上げ、自己紹介、決められた場面の司会の実演などで、声の出し方や話し方、人前での落ち着きを見られます。合格すると研修に進み、披露宴の進行、言葉の決まり、新郎新婦との打ち合わせの進め方を学びます。研修のあとに、先輩の司会を見学したり、補助として現場に入ったりして、本番を任されるまでの準備を重ねます。
事務所によっては、研修の受講料がかかるところと、かからないところがあります。研修の費用、期間、修了後に仕事を回してもらえる見込みは、応募の前に必ず確かめてください。研修を受けても、すぐに仕事が回ってくるとは限りません。
結婚式の司会の仕事は、本番の当日だけではありません。式の数週間前に新郎新婦と打ち合わせをして、2人のなれそめや招待客の情報を聞き取り、進行表と原稿を作ります。当日は式場のスタッフと進行を確かめ、披露宴の全体を通して時間を管理します。1件の仕事にかかる時間は、当日の数時間だけでなく、打ち合わせと準備を含めて考える必要があります。
葬儀の司会は未経験から入れる求人がある
葬儀の司会は、結婚式に比べて未経験から入れる求人が多く見られます。求人ボックスに掲載された求人には、次のような募集があります。
【仕事内容】葬祭司会スタッフ募集!月収20万円~30万円可能!通夜・葬式の司会スタッフの募集です。...【経験・資格】未経験者歓迎フリーター活躍中ブランクOK副業・WワークOK年齢不問 出典: 求人ボックス
この求人のように「副業・WワークOK」と書かれた葬儀の司会の募集は少なくありません。葬儀の司会は、宗派や地域の習わしに沿った決まった進行があり、言葉づかいにも決まりが多い仕事です。そのため、事務所や葬儀社が研修で型を教え、その型に沿って司会を務める形がとられています。
葬儀の司会で大切なのは、話のうまさより、落ち着いた声と正確な進行です。遺族の気持ちに配慮し、故人の名前や喪主の名前、読経の時間などを間違えずに進めることが求められます。結婚式の司会のように場を盛り上げる力は求められず、静かに式を整える力が評価されます。
一方で、葬儀は予定が急に決まります。依頼が入るのは前日や当日のこともあり、平日の日中に動けるかどうかで受けられる仕事の量が変わります。会社勤めの人が副業として葬儀の司会を受けるなら、夕方以降の通夜を中心にする、休日に入れる日をあらかじめ伝えておく、といった工夫が必要です。
イベント・式典の司会は、実績と紹介で広がる
企業の式典や展示会、地域の催し、表彰式などの司会は、結婚式や葬儀とは別の力が求められます。台本どおりに進めるだけでなく、登壇者の紹介、時間が押したときの調整、会場の雰囲気づくりを、その場の判断で行う必要があるからです。
この分野の仕事は、司会者事務所やイベントの制作会社を通じて入るほか、過去に担当した主催者からの紹介や、直接の依頼で広がっていきます。最初から大きな式典を任されることは少なく、地域の催しや小さな会社の行事、セミナーの進行などで実績を積み、その実績を見た主催者から次の依頼が来る、という流れが一般的です。
近年は、オンラインの配信イベントやウェビナーの司会の需要もあります。ウェビナーとは、インターネットで配信するセミナーのことです。オンラインの司会では、画面越しに参加者の反応を読み取り、質問を拾って登壇者につなぐ力が求められます。自宅から参加できる案件もあり、移動の時間がかからない点で副業と相性のよい仕事です。
イベントの司会を続けていくには、実績を見せられる形にしておくことが大切です。担当した催しの種類、規模、自分が果たした役割を一覧にしておくと、新しい主催者に依頼を検討してもらうときの材料になります。
未経験から本番を任されるまでの流れ
ここまでの内容を、未経験から本番の司会を任されるまでの流れとして並べ直します。
1つめは、どの道を目指すかを決めることです。土日に動けるなら結婚式、平日の日中や夕方に動けるなら葬儀、話の幅を広げたいならイベントや式典、と自分の時間の使い方から考えます。2つめは、基礎の練習です。発声、滑舌、原稿の読み方を、自分の声を録音して聞き返しながら練習します。
3つめは、事務所や会社への応募です。結婚式や葬儀の司会なら、事務所や葬儀社の募集に応募し、オーディションや面接を受けます。4つめは、研修と見学です。事務所の研修を受け、先輩の現場を見学し、補助として現場に入ります。
5つめは、最初の本番です。多くの事務所では、先輩の確認を経てから本番を任せます。最初の本番では、原稿を何度も読み込み、式場や会場の下見をして、当日の段取りを頭に入れておきます。6つめは、振り返りと次の仕事です。本番のあとに、良かった点と直す点を記録し、事務所や依頼主の評価を聞いて次に生かします。
養成の講座を出している民間のスクールもあります。講座で基礎を学んでから事務所に応募する人もいますが、講座を修了したからといって仕事が保証されるわけではありません。受講料と、修了後に仕事につながる仕組みがあるかを確かめてから申し込んでください。
司会者として身につけたい技術とコツ
司会の仕事で評価されるのは、声と言葉、進行の管理、場の空気を読む力の3つです。
声と言葉の技術は、聞き取りやすい発声、正確な滑舌、場面に合った言葉づかいです。結婚式では忌み言葉と呼ばれる、別れや繰り返しを連想させる言葉を避けるのが習わしで、葬儀では重ね言葉を避けます。こうした言葉の決まりは、研修で教わるだけでなく、自分で一覧を作って原稿を点検する習慣をつけると身につきます。
進行の管理は、時間どおりに式を進める力です。披露宴なら、乾杯、歓談、余興、手紙の朗読といった流れを、料理を出すタイミングや会場のスタッフの動きと合わせて進めます。時間が押したときに、どこを短くするかを判断するのも司会者の役目です。
場の空気を読む力は、経験で磨かれる部分が大きい技術です。会場の反応を見て、話す速さや間の取り方を変える。緊張している登壇者に声をかけて落ち着かせる。予定外の出来事が起きたときに、慌てずに場をつなぐ。こうした場面で頼りになるのは、事前の準備です。打ち合わせで聞き取った情報が多いほど、とっさのときに使える話題が増えます。
練習のコツは、本番と同じ条件で練習することです。立ったまま、マイクを持つ手の形で、時間を計りながら原稿を読みます。自分の声を録音して聞き返すと、早口や語尾の癖に気づけます。
お金をかけずにできる、おすすめの練習方法
司会の技術は、高い講座に通わなくても、日々の練習で伸ばせる部分が大きくあります。費用をかけずに始められる練習方法を紹介します。
1つめは、ニュースの読み上げです。新聞やニュースサイトの記事を、声に出して1分間読みます。アナウンサーの読み方を手本に、句読点での間の取り方、数字や固有名詞の読み方を意識します。録音して手本と聞き比べると、自分の癖がはっきり分かります。
2つめは、司会の原稿の書き写しと音読です。結婚式や式典の司会の言い回しを紹介した書籍を図書館で借り、決まった言い回しを書き写して音読します。言葉の決まりと、場面ごとの定番の表現が身につきます。
3つめは、身近な場での実践です。地域の集まり、趣味のサークルの会合、職場の朝礼や送別会など、進行役を引き受けられる場はあります。人前で時間を管理しながら話す経験は、どんな練習にも勝ります。
4つめは、プロの司会を見ることです。結婚式や式典に招かれたときは、司会者の話し方、立ち位置、時間の管理を観察してください。良いと感じた点を書き留めておくと、自分の原稿づくりに生かせます。
結婚式の司会1件の仕事の流れ
結婚式の司会の仕事が、1件の依頼でどのように進むのかを、打ち合わせから当日まで順に見ておきます。事務所や式場によって細かな違いはありますが、大きな流れは共通しています。
依頼を受けると、まず式場の担当者から、日時、会場、招待客の人数、式の形式などの基本の情報が届きます。次に、式の数週間前に新郎新婦との打ち合わせを行います。打ち合わせでは、2人のなれそめ、家族構成、乾杯や祝辞を頼む来賓の名前と肩書き、余興の内容、避けてほしい話題などを聞き取ります。名前の読み方は、この場で必ず確かめます。
打ち合わせの内容をもとに、進行表と司会の原稿を作ります。開宴の言葉、新郎新婦の紹介、来賓の紹介、歓談中の案内、両親への手紙の前の言葉、結びの言葉など、場面ごとの言葉を準備します。原稿ができたら、事務所の先輩や担当者に見てもらう職場もあります。
当日は、開宴の1時間以上前に会場に入り、式場のスタッフ、音響や照明の担当者と進行を確かめます。マイクの音量を試し、来賓の席の位置を確かめ、乾杯の発声をする人には段取りを伝えます。披露宴が始まったら、時間を見ながら進行を管理し、終わったあとに新郎新婦や式場へあいさつをして仕事が終わります。
依頼主に選ばれるためのプロフィールの作り方
事務所に所属していても、個人で仕事を受けていても、依頼主は司会者のプロフィールを見て依頼を決めます。プロフィールの作り方で、声のかかり方が変わります。
プロフィールに入れたいのは、得意な場面、これまでに担当した仕事の種類と規模、話し方の特徴、対応できる地域と曜日です。たとえば「企業の表彰式と地域の催しの進行が中心で、100人規模までの会場を担当してきた」のように、具体的に書くほど依頼主は判断しやすくなります。
声のサンプルも大切です。司会は声を聞いてもらうのがいちばん伝わります。式典の開会の言葉や案内のアナウンスを1分程度録音し、聞いてもらえる形にしておくと、依頼主は安心して頼めます。録音するときは、雑音の少ない部屋で、本番と同じ話し方で読んでください。
写真は、清潔感のある服装で、明るい表情のものを選びます。結婚式なら華やかさ、葬儀なら落ち着き、式典なら信頼感と、目指す場面に合った印象の写真にすると、プロフィールの内容と合わさって伝わりやすくなります。
契約の形は雇用か業務委託かを確かめる
司会の仕事を受けるときに、必ず確かめてほしいのが契約の形です。司会者事務所や式場との契約は、多くが雇用ではなく業務委託です。業務委託とは、会社に雇われるのではなく、1件ごとの仕事を請け負い、その対価として報酬を受け取る契約のことです。
業務委託では、雇用のように最低賃金や残業代の決まりは原則として当てはまらず、社会保険や雇用保険にも加入しません。報酬は1件ごとに決まることが多く、打ち合わせや準備の時間に別の報酬が出るかどうかは契約しだいです。交通費の扱い、衣装やメイクの費用の負担、キャンセルになったときの報酬の扱いも、契約の前に確かめてください。
一方、葬儀社や司会の派遣会社の中には、司会者をアルバイトやパートとして雇う形をとるところもあります。この場合は雇用なので、最低賃金や労働時間の決まりが適用され、勤務時間によっては社会保険や雇用保険の対象になります。
同じ「司会者募集」でも、求人票の雇用形態の欄に「業務委託」とあるか「アルバイト・パート」とあるかで、扱いがまったく違います。応募の前に雇用形態を確かめ、分からなければ面接で聞いてください。
フリーランス法で守られる範囲を知っておく
業務委託で司会の仕事を受ける人は、2024年11月に施行されたフリーランス法の保護を受けられる場合があります。厚生労働省は、この法律について次のように説明しています。
個人で働くフリーランスに業務委託を行う発注事業者に対し、業務委託をした際の取引条件の明示、給付を受領した日から原則60日以内での報酬支払、ハラスメント対策のための体制整備等が義務付けられます。 出典: フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ|厚生労働省
同じページには、会社に雇われている人が副業で行う事業について業務委託を受ける場合も、この法律の対象になると書かれています。会社勤めをしながら週末に司会を受ける人も、相手が事業者であれば保護の対象になり得ます。
この法律で、発注する事業者は、仕事の内容、報酬の額、支払期日などの取引条件を書面やメールで示すことが求められます。司会の仕事では、口頭や電話だけで依頼が決まることが少なくありませんが、条件を書いた文面を受け取っておくと、後で行き違いが起きたときの確かな記録になります。
ただし、新郎新婦や遺族から個人として直接依頼を受ける場合は、相手が事業者ではないため、この法律の対象外です。個人から直接受ける仕事では、自分で見積書や確認の文面を作り、報酬と支払いの時期、キャンセルの扱いを先に決めておく必要があります。取引で困ったときは、厚生労働省の委託を受けた相談窓口「フリーランス・トラブル110番」に相談できます。
保険で備えておきたいこと
司会の仕事は体を大きく動かすものではありませんが、本番中のトラブルに備えておくことは大切です。
1つめは、賠償責任への備えです。司会者が会場の機材を壊してしまった、進行の誤りで主催者に損害を与えてしまった、といった場面に備える保険があります。事務所に所属している場合は、事務所が保険に加入していることがあるので、どこまでが補償されるのかを確かめてください。個人で仕事を受ける場合は、フリーランス向けの賠償責任保険に加入する方法があります。
2つめは、自分のけがへの備えです。業務委託の司会者は労災保険の対象外ですが、フリーランスとして働く人は労災保険に特別加入できる仕組みがあります。厚生労働省は、フリーランスの労災保険の特別加入について案内しています。会場への移動中や設営の手伝いの最中のけがにも備えたい人は、加入を検討してみてください。
3つめは、体調を崩して本番に出られないときの備えです。司会の仕事は代わりの人を立てにくく、急な欠席は依頼主に大きな迷惑をかけます。事務所に所属していれば代役を手配してもらえることが多いので、体調に不安があるときの連絡の手順を確かめておきましょう。個人で受ける場合は、信頼できる同業者と、互いに代役を引き受け合う関係を作っておくと安心です。
副業として始める前に、勤め先の決まりを確かめる
会社に勤めながら司会の仕事を受ける場合は、勤め先の就業規則を先に確かめてください。厚生労働省のモデル就業規則では、副業や兼業を原則として認めたうえで、事前の届出を求め、会社の業務に支障がある場合や秘密が漏れるおそれがある場合などに限って禁止や制限ができる形が示されています。ただし、実際の決まりは会社ごとに違います。
司会の仕事は人前に立つため、勤め先の取引先や同僚と会場で顔を合わせることもあります。副業が知られて困る状況にならないよう、届出が必要な会社では、始める前に届け出ておくのが確実です。
時間の面でも確かめておくことがあります。結婚式の司会は、打ち合わせが平日の夜や週末に入ることがあり、本番の前の週は準備に時間をとられます。葬儀の司会は急な依頼が多く、本業の会議や出張と重なると受けられません。副業としてどの程度の件数を受けられるかを、本業の忙しさと照らし合わせて考えておきましょう。
本業を休んで本番に出るような働き方は、長く続けるうえで無理が出ます。最初は、本業に影響が出ない範囲の件数から始め、慣れてから件数を考えるのが安全です。
報酬の受け取り方と、確定申告の考え方
業務委託で受けた司会の報酬は、給与ではなく事業所得か雑所得として扱われるのが一般的です。副業として小さく続けるなら雑所得、事業として継続的に行うなら事業所得として扱われることが多いものの、どちらに当たるかは規模や継続の状況で判断されます。迷ったら税務署で確かめてください。
会社員の場合、給与以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。所得とは、受け取った報酬から経費を差し引いた額のことです。司会の仕事では、衣装、メイク、会場までの交通費、発声の講座の受講料、原稿づくりに使う書籍などが経費になり得ます。経費として認められるかは仕事との関係で判断されるため、領収書と、何のために使ったかの記録を残しておいてください。
報酬の種類や支払う側の扱いによっては、所得税が差し引かれた額で振り込まれることがあります。差し引かれた税額は、確定申告で精算されます。年の終わりに支払った側から明細が届くことがあるので、受け取った報酬の記録と突き合わせて保存しておきましょう。
所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は必要になることがあります。住んでいる市区町村の案内を確かめてください。
司会業の副業で起きやすい失敗
司会の副業を始めた人がつまずきやすい点を、先に知っておくと避けられます。
1つめは、準備の時間を見込んでいないことです。結婚式の司会では、本番の数時間のほかに、打ち合わせ、原稿づくり、下見に時間がかかります。報酬を本番の時間だけで割ると高く見えても、準備を含めた時間で割ると、思ったほど高くないことがあります。1件の仕事に実際に何時間かかったかを記録しておくと、受ける件数の判断に役立ちます。
2つめは、名前や読み方の誤りです。新郎新婦や来賓、故人の名前を間違えることは、司会者として最も避けたい失敗です。打ち合わせで読み方を確かめ、原稿にふりがなを振っておく、当日に担当者と再確認する、といった手順を習慣にしてください。
3つめは、研修やスクールに費用をかけすぎることです。講座を重ねても、本番の経験に勝る練習はありません。研修は事務所に入るための入口と考え、早めに現場に出る道を探すほうが、上達は早くなります。
4つめは、契約の内容をあいまいにしたまま受けることです。キャンセルの扱い、交通費、支払いの時期を決めずに受けると、トラブルのもとになります。条件は文面で受け取る習慣をつけましょう。
友人や知人から個人で依頼を受けるときの決め方
司会を始めると、友人や知人から「二次会の司会をお願いしたい」「町内の催しの進行を頼みたい」と、個人として依頼を受けることがあります。こうした依頼は経験を積むよい機会ですが、決め方をあいまいにすると、関係がこじれる原因になります。
まず、報酬を受け取るかどうかを先に決めます。無償で引き受けるのか、謝礼を受け取るのか、仕事として報酬を受け取るのかを、依頼を受けた時点ではっきりさせます。仕事として受けるなら、報酬の額、交通費の扱い、打ち合わせの回数、キャンセルになったときの扱いを、メッセージなど文面で残る形で伝えてください。
次に、仕事の範囲を決めます。司会だけを担当するのか、進行表づくりや余興の段取り、音響の操作まで手伝うのかで、準備の時間は大きく変わります。範囲を決めずに受けると、当日になって想定外の作業を頼まれることがあります。
個人からの依頼は、前の節で見たフリーランス法の対象外です。法律による支払期日の決まりがないため、支払いの時期も先に決めておきます。知り合いだからこそ、条件を文面にしておくことが、関係を守ることにつながります。
オンラインのイベントで司会をするときの準備
オンラインのイベントやウェビナーの司会は、自宅から参加できる場合があり、移動の時間がかからない分、副業と組み合わせやすい仕事です。会場での司会とは準備の中身が違うので、受ける前に確かめておきましょう。
1つめは、機材です。声をはっきり届けるためのマイク、顔を明るく映すための照明、安定したインターネットの回線が基本になります。パソコンに付いているマイクやカメラでも参加はできますが、声の聞き取りやすさは外付けのマイクで大きく変わります。回線は、途中で途切れると進行が止まるため、有線でつなげる環境があると安心です。
2つめは、配信の仕組みに慣れることです。主催者が使う配信のサービスで、画面の共有、参加者の質問の受け付け、登壇者の切り替えがどう行われるのかを、本番の前に練習しておきます。主催者と事前に通しの練習をする機会を設けてもらえるか、依頼の段階で確かめてください。
3つめは、話し方の調整です。画面越しでは、会場のような拍手や笑い声の反応がありません。反応が見えない中でも間を取り、参加者のコメントや質問を拾って声に出すことで、場の一体感を作ります。
司会業を本業にするか、副業で続けるかの判断
副業で司会を続けていると、「いずれは本業にしたい」と考える人も出てきます。転職や独立を考えるときは、いくつかの点を冷静に見ておく必要があります。
1つめは、仕事の量の波です。結婚式の司会は季節や日取りによって依頼の数が大きく変わり、年間を通じて同じ収入を得るのは簡単ではありません。葬儀の司会は年間を通じて仕事がありますが、依頼が急に入る働き方になります。本業にするなら、複数の分野の仕事を組み合わせ、収入の波をならす工夫が必要です。
2つめは、社会保険と老後の備えです。業務委託の司会者として独立すると、会社員の健康保険と厚生年金から、国民健康保険と国民年金に切り替わります。国民年金の保険料は令和8年度で1か月あたり17,920円です。会社が負担していた保険料の分を、自分の収入でまかなうことになります。
3つめは、収入の柱をいくつ持てるかです。司会のほかに、話し方の講座の講師、原稿や台本づくり、ナレーションの収録など、話す力と書く力を生かせる仕事を組み合わせている人もいます。本業にするかどうかは、司会の依頼が安定して入るようになってから、副業での実績と収入の記録をもとに判断するのが安全です。
掲載データから見る、司会の経験の広げ方
ここまで見てきたように、司会業の副業は、どの道を選ぶかで仕事の入り方も契約の形も変わります。最後に、司会の経験を、その先の働き方にどう広げるかを考えます。
在宅ワークや業務委託の市場を長く見てきた運営者として感じるのは、司会のように話す仕事を続けている人ほど、原稿を書く力が自然に育っているということです。結婚式の進行原稿、式典の台本、イベントの案内文は、どれも聞き手に伝わる言葉を選ぶ作業です。この力は、文章を書く仕事にそのままつながります。
文章を書く仕事や編集の仕事の収入の水準は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で職業ごとの統計をもとに確かめられます。司会の原稿づくりの経験を、台本や文章の仕事に広げるときの目安になります。文章の仕事の単価がどう決まるかは、Webライターが文字単価を上げる方法【2026年版】|1円→5円のステップで段階を追って説明しています。
式典の案内状や依頼主とのやり取りの文面を正確に書く力は、ビジネス文書検定の資格ガイドで試験の内容を見て、体系的に確かめられます。
司会の仕事を事務所経由で受けると、事務所が報酬の一部を受け取る形になることが一般的です。運営者として見てきた限りでは、仲介の手数料がかからない直接のやり取りでは、同じ予算でも依頼する側は頼める仕事が増え、受け手の手元に残る額も厚くなるという、双方にとって得な形が生まれやすくなります。事務所で経験と信頼を積み、紹介や直接の依頼を少しずつ増やしていく。司会業を副業として長く続けるための、無理のない広げ方の1つです。
よくある質問
Q. 司会業を副業にするのに資格は必要ですか?
司会の仕事に国家資格のような必須の資格はありません。ただし、結婚式の司会者事務所の多くはオーディションと研修を経てから本番を任せます。葬儀の司会も、事務所や葬儀社の研修で決まった進行の型を学んでから担当します。民間の養成講座もありますが、修了しても仕事が保証されるわけではありません。
Q. 会社員でも司会の副業はできますか?
勤め先の就業規則で副業が認められていればできます。厚生労働省のモデル就業規則は副業を原則認めたうえで届出を求める形ですが、実際の決まりは会社ごとに違います。結婚式の司会は土日が中心なので両立しやすい一方、葬儀の司会は急な依頼が多いため、本業との日程の調整ができるかを確かめてください。
Q. 司会の仕事の契約は雇用ですか、業務委託ですか?
司会者事務所や式場との契約は業務委託が多く、最低賃金や社会保険の決まりは原則として当てはまりません。葬儀社などではアルバイトとして雇う形もあります。業務委託で相手が事業者なら、フリーランス法により取引条件の明示や原則60日以内の報酬支払が発注側に義務付けられています。
Q. 司会の副業で確定申告は必要ですか?
会社員の場合、給与以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要です。所得は報酬から衣装、交通費、講座の受講料などの経費を差し引いた額です。報酬から所得税が差し引かれて振り込まれた場合は確定申告で精算されます。所得税の申告が不要でも住民税の申告が必要になることがあります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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