アイゼンハワーマトリクスを使えるツールの選び方と、紙やエクセルから移す手順


この記事のポイント
- ✓アイゼンハワーマトリクスを使えるツールの選び方を
- ✓エクセルやスプレッドシート
- ✓2軸のボードに分けて解説します
アイゼンハワーマトリクスを紙に書いて試してみた。考え方は分かりやすいのに、1週間もすると紙が古くなり、書き直すのが面倒でやめてしまった。エクセルで表を作ってみたものの、4つの枠に仕事を振り分けるのが手間で続かない。アイゼンハワーマトリクスのツールを探している人の多くは、こうした「考え方は良いのに、続ける仕組みがない」状態にいます。
この記事では、アイゼンハワーマトリクスを使えるツールを、紙、エクセルやスプレッドシート、タスク管理アプリのTodoist、ボード型のTrello、縦横の2軸でカードを並べられるボードの5つに分けて、それぞれで4つの枠を作る方法と、向いている人を説明します。各ツールの機能と料金は、公式のヘルプと料金ページで確かめた内容だけを書いています。後半では、紙やエクセルで管理していた仕事をツールに移す手順と、続かなくなる原因の直し方も整理します。2軸のボードの例として、プロジェクト管理のPinatecaにも触れます。
アイゼンハワーマトリクスとは
アイゼンハワーマトリクスは、仕事を「緊急かどうか」と「重要かどうか」の2つの軸で4つに分け、取りかかる順番を決める方法です。名前は、アメリカの第34代大統領ドワイト・アイゼンハワーに由来します。
もとになったのは、1954年にアイゼンハワーが行った演説の一節とされています。カリフォルニア大学サンタバーバラ校が公開している歴代大統領の文書の記録には、アイゼンハワーがある大学の元学長の言葉として、次のように紹介した記録が残っています。
This President said, "I have two kinds of problems, the urgent and the important. The urgent are not important, and the important are never urgent." 出典: presidency.ucsb.edu
訳すと、「問題には2種類ある。緊急なものと、重要なものだ。緊急なものは重要ではなく、重要なものは決して緊急ではない」という意味です。アイゼンハワー自身は4つの枠の図を示したわけではなく、この考え方を4つの枠で整理した形が、後に「アイゼンハワーマトリクス」として広まりました。
4つの枠は次のとおりです。
| 枠 | 中身 | 扱い方 |
|---|---|---|
| 緊急かつ重要 | 締め切りが迫った納品、トラブルの対応 | すぐに自分でやる |
| 緊急ではないが重要 | 学習、仕組みづくり、将来の計画 | 日にちを決めてやる |
| 緊急だが重要ではない | 多くの電話やメール、定型の依頼 | 人に任せる、まとめて片付ける |
| 緊急でも重要でもない | 惰性で続けている作業 | やめる、後回しにする |
この方法の価値は、2つ目の「緊急ではないが重要」な仕事に時間を取れるようになることです。緊急な仕事は放っておいても目に入りますが、重要で緊急ではない仕事は、意識して予定に入れないと、いつまでも後回しになります。
ツールを選ぶ前に決めておく3つのこと
ツールを先に選ぶと、使い方が定まらないまま機能に振り回されます。先に次の3つを決めておくと、合うツールが自然に絞れます。
1つ目は、自分1人で使うのか、チームで共有するのかです。 1人で使うなら、手軽さを優先して紙やスマートフォンのアプリで十分なことが多くあります。チームで共有するなら、誰がどの枠の仕事を持っているかが見えるツールが必要になります。
2つ目は、どのくらいの頻度で見直すかです。 4つの枠への振り分けは、一度決めたら終わりではありません。締め切りが近づけば、「緊急ではないが重要」だった仕事が「緊急かつ重要」に移ります。毎日見直すのか、週に1回見直すのかで、書き直しの手間が少ないツールを選ぶべきかが変わります。
3つ目は、「緊急」と「重要」の線引きを言葉にしておくことです。 例えば、「緊急」は3日以内に締め切りがあるもの、「重要」は売上や取引先との信頼に関わるもの、のように決めます。線引きがあいまいだと、どのツールを使っても振り分けに迷い、続かなくなります。
建築の図面の仕事を例にすると、「明日提出の修正図面」は緊急かつ重要、「よく使う部品の図面を整理して作業を速くする」は緊急ではないが重要、「図面の書式についての問い合わせへの返信」は緊急だが自分でなくてもよい、と分けられます。自分の仕事で同じように例を3つ4つ書き出してから、ツールを選ぶのがおすすめです。
紙やホワイトボードで使う場合
いちばん手軽なのは、紙やホワイトボードに十字の線を引いて4つの枠を作る方法です。
紙の良さは、書いた瞬間に全体が見えることです。アプリを開く手間がなく、ふせんを使えば枠の間を移すのも簡単です。机の前の壁にホワイトボードを掛けておけば、仕事中に自然と目に入ります。
一方で、紙には弱点もあります。1つ目は、締め切りが来ても知らせてくれないことです。2つ目は、外出先から見られないことです。3つ目は、終わった仕事を消したり書き直したりするうちに、紙が見にくくなることです。冒頭で書いたように、紙で始めた人が続かなくなる理由の多くはここにあります。
紙で続けるなら、週に1回、決まった曜日に新しい紙に書き直す、と決めておくのが効果的です。書き直しの手間そのものが、仕事を見直す時間になります。抱える仕事が10件を超えるようになったら、次のエクセルやアプリに移る目安と考えてください。
エクセルやスプレッドシートで作る場合
エクセルやGoogleスプレッドシートで作る方法は、仕事の件数が多い人や、すでに仕事の一覧を表で管理している人に向いています。
作り方はいくつかありますが、続けやすいのは、4つの枠を図の形で作るのではなく、仕事の一覧に「緊急」「重要」の2つの列を足す方法です。
| 仕事 | 締め切り | 緊急 | 重要 | 枠 |
|---|---|---|---|---|
| A社の修正図面 | 10/16 | ○ | ○ | 緊急かつ重要 |
| 部品の図面の整理 | 10/31 | ○ | 重要 | |
| 書式の問い合わせへの返信 | 10/15 | ○ | 緊急 |
手順は次のとおりです。
- 仕事の一覧の表に「緊急」「重要」の列を足し、当てはまるものに印を付ける
- 「枠」の列に、2つの列の組み合わせから枠の名前を出す数式を入れる
- フィルターで「枠」の列を絞り込み、枠ごとに仕事を見る
- 必要なら、枠ごとの件数をCOUNTIFS関数で数えて、表の上に表示する
「緊急」の列は、締め切りの日付から自動で判定することもできます。例えば、締め切りが今日から3日以内なら「○」を出す数式を入れておけば、日がたつにつれて自動で「緊急」に変わります。手で印を付け直す手間が減り、見直しの抜けも防げます。
エクセルの弱点は、表が大きくなると、今取りかかるべき仕事が埋もれることです。フィルターをかけ直すのも、毎日続けると手間になります。また、チームで共有すると、誰かが列を消したり並べ替えたりして表が崩れることがあります。共有するなら、編集できる人を決めておくか、次に説明するアプリを検討します。
Todoistで使う場合
Todoistは、ToDoの管理に特化したアプリです。公式のヘルプに、アイゼンハワーマトリクスを設定する方法が2通り載っています。
1つ目は、ラベルを使う方法です。「重要」と「緊急」の2つのラベルを作り、ラベルの組み合わせで4つのフィルター(条件で仕事を絞り込んで表示する画面)を作ります。新しい仕事を登録するときに、当てはまるラベルを付けるだけで、4つの枠に自動で振り分けられます。
2つ目は、優先度を使う方法です。Todoistの仕事には、P1からP4までの4段階の優先度を付けられます。公式のヘルプでは、P1を緊急かつ重要、P2を緊急ではないが重要、P3を緊急だが重要ではない、P4を緊急でも重要でもない、に当てはめる方法が紹介されています。進め方も、P1を最初に片付け、P2にはすべて日付を決め、P3はなるべく人に任せ、P4は最後に片付けるか、やらない選択もある、と案内されています。
注意したいのは、無料プランの制限です。公式の料金ページでは、無料の「初心者」プランで使えるフィルター画面は3件までです。4つの枠をすべてフィルターで作るには4件が必要なので、無料プランでは1つ足りません。無料で使うなら、優先度の方法で仕事を登録し、フィルターは使わずに優先度の順に並べて表示する、といった工夫が必要です。
有料の「プロ」プランでは、フィルター画面は150件まで使えます。料金ページの表示では、年払いで年額8,064円(1か月あたり672円)です。チームで使う「ビジネス」プランは、1人あたり年払いで年額11,520円に地方税がかかると表示されています。料金は改定されることがあるので、申し込む前に公式の料金ページで確かめてください。
Todoistが向いているのは、1人で多くの仕事を抱えていて、スマートフォンでもパソコンでも同じ一覧を見たい人です。
Trelloで使う場合
Trelloは、ボードの上にリスト(列)を並べ、その中にカードを並べて仕事を管理するアプリです。アイゼンハワーマトリクスとして使うなら、1つのボードに4つのリストを作り、それぞれを4つの枠に見立てます。
手順は次のとおりです。
- 新しいボードを作り、「緊急かつ重要」「重要」「緊急」「どちらでもない」の4つのリストを作る
- 仕事を1つずつカードにして、当てはまるリストに入れる
- 締め切りや状況が変わったら、カードを別のリストへ動かす
- 終わったカードは「完了」のリストに移すか、アーカイブする
Trelloの良さは、カードをつかんで動かすだけで枠を移せる手軽さです。紙のふせんに近い感覚で使えます。ただし、リストは横一列に並ぶので、4つの枠が十字に並ぶ図の形にはなりません。「縦と横の2軸で見たい」人には、少し物足りなく感じるかもしれません。
公式の料金ページでは、無料プランはワークスペースあたり10人のコラボレーター(共同で使う人)まで、ボードはワークスペースあたり最大10枚と案内されています。有料のStandardプランは、年払いで1人あたり月5ドル、月払いで月6ドルです。料金はドル建てで表示されています。
縦横の2軸でカードを並べられるボードを使う場合
紙の十字の図と同じ形のまま、アプリで管理したい人もいるはずです。その場合は、縦と横の軸を自分で決めてカードを並べられるボードが合います。
その用途で使える選択肢の1つが、プロジェクト管理のPinatecaです。公式の使い方ガイドによると、Pinatecaには8種類のボードがあり、そのうちの「グリッドボード」は、縦と横の軸を自分で決めてカードを2次元に並べられます。ガイドでは「効果×手間」で優先順位を決める使い方が例に挙がっています。横の軸を「緊急」、縦の軸を「重要」にすれば、紙に描く十字の図と同じ形でアイゼンハワーマトリクスを作れます。
グリッドボードには一覧の見え方も付いていて、マス目に並べたカードを表の形で確かめられると案内されています。カードには担当者や期限を付けられるので、チームで「緊急だが重要ではない」仕事を誰に任せたかも、同じ画面で見られます。
料金ページでは、5人まで無料で、無料プランからすべての種類のボードを使えます。無料プランのボードは10個までです。Trelloからの移行にも対応しており、Trelloのエクスポートファイルを読み込むと、リストの並び、カード、ラベル、添付、コメントまで取り込めると案内されています。Trelloで4つのリストを作って使っていた人が、2軸の形に移りたいときにも使えます。
Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
5つの方法を比べた早見表
ここまでの5つの方法を、選ぶときに見る点で並べます。
| 方法 | 費用 | 4つの枠の見え方 | 締め切りの通知 | チームでの共有 |
|---|---|---|---|---|
| 紙・ホワイトボード | ほぼ不要 | 十字の図そのまま | なし | 同じ場所にいる人だけ |
| エクセル・スプレッドシート | 手持ちのもので可 | 一覧を枠で絞り込む | 基本はなし | 共有はできるが表が崩れやすい |
| Todoist | 無料から | ラベルや優先度で絞り込む | あり | 有料のビジネスプランで |
| Trello | 無料から | 4つのリストを横に並べる | 期限の設定あり | 無料でも10人まで |
| 2軸のボード(Pinatecaのグリッド) | 無料から | 縦横の2軸で十字の図に近い形 | 期限の設定あり | 無料でも5人まで |
選び方の目安は次のとおりです。1人で数件の仕事を整理するだけなら、紙で十分です。仕事が10件を超え、スマートフォンでも見たいならTodoist。カードを動かす手軽さを重視するならTrello。十字の図の形のまま、チームで担当まで見たいなら2軸のボードです。どの方法を選んでも、線引きと見直しの日を決めておくことが、続けるための前提になります。
スプレッドシートで枠を自動で判定する数式の例
エクセルやGoogleスプレッドシートで作る場合に、手で枠を書き込む手間を減らす数式の例を紹介します。表の列は、A列が仕事、B列が締め切り、C列が緊急、D列が重要、E列が枠、という並びとします。
C列の「緊急」を、締め切りから自動で判定するには、C2のセルに「=IF(B2="","",IF(B2-TODAY()<=3,"○",""))」と入れます。締め切りが空欄なら何も出さず、今日から3日以内なら「○」を出す数式です。3の部分を変えれば、自分の線引きに合わせられます。
D列の「重要」は、自動では判定できないので、仕事を登録するときに自分で「○」を付けます。重要かどうかは、締め切りのように数字で決められないからです。
E列の「枠」には、E2のセルに「=IF(AND(C2="○",D2="○"),"緊急かつ重要",IF(D2="○","重要",IF(C2="○","緊急","どちらでもない")))」と入れます。CとDの組み合わせから、4つの枠の名前が自動で出ます。
この数式を下の行にコピーすれば、仕事を登録して「重要」に印を付けるだけで、枠が自動で決まります。日がたって締め切りが近づくと、「重要」だった仕事が自動で「緊急かつ重要」に変わるので、見直しの漏れを防げます。枠ごとの件数は、「=COUNTIF(E:E,"緊急かつ重要")」のように数えられます。「緊急かつ重要」の件数が増えてきたら、新しい依頼を受けるのを控える合図として使えます。
申し込む前に無料の範囲で試したい点
ここで紹介したアプリは、どれも無料の範囲から試せます。有料のプランに申し込む前に、1週間ほど実際の仕事で使って、次の点を確かめておくと失敗が減ります。
登録の速さ。 新しい依頼が来たときに、10秒ほどで登録できるかを確かめます。登録に手間がかかるツールは、忙しい日ほど使わなくなります。
スマートフォンとパソコンの両方での見やすさ。 外出先でも4つの枠を確かめたいなら、スマートフォンのアプリの画面で枠の区別が分かりやすいかを見ます。パソコンでは見やすくても、スマートフォンでは表示が崩れるツールもあります。
通知の量。 期限の通知が多すぎると、通知そのものが「緊急だが重要ではない」割り込みになります。通知の時刻や種類を調整できるかを確かめます。
データの書き出し。 後で別のツールに移りたくなったときに、仕事の一覧を書き出せるかを確かめます。書き出せないツールに長く仕事をためると、移るときに手で写し直すことになります。
無料の上限。 前の節までで触れたとおり、無料の範囲にはフィルターの数やボードの数、使える人数の上限があります。今の仕事の量と、半年後に増えそうな量の両方で、上限に当たらないかを見積もります。
紙やエクセルからツールに移す手順
ここからは、紙やエクセルで管理していた仕事を、アプリに移す手順を説明します。移すときにいちばん大事なのは、古い一覧をそのまま写さないことです。
手順1:今ある仕事をすべて書き出す。 紙、エクセル、メールの受信箱、頭の中にある仕事を、いったん1つの一覧に書き出します。この時点では、枠に振り分けなくてかまいません。
手順2:やめる仕事を先に決める。 書き出した中から、もうやらなくてよい仕事、誰かに任せられる仕事を先に外します。アイゼンハワーマトリクスの4つ目の枠にあたる仕事を、移す前に整理しておくと、新しいツールが最初から見やすくなります。
手順3:線引きに沿って振り分ける。 前に決めた「緊急」「重要」の線引きに沿って、残った仕事を4つの枠に振り分けます。迷った仕事は、締め切りと、やらなかったときに何が起きるかを書き添えてから判断します。
手順4:ツールに登録する。 振り分けた仕事を、選んだツールに登録します。Trelloからの移行なら、Pinatecaのように取り込みの機能を持つツールもあります。件数が数十件までなら、手で登録し直すほうが、1件ずつ仕事を見直す機会になります。
手順5:1週間は古い一覧と並べて使う。 移した直後は、登録の漏れが見つかるものです。1週間は古い紙や表を捨てずに残し、新しいツールと見比べます。漏れがないことを確かめてから、古い一覧の使用をやめます。
手順6:見直しの日を決める。 週に1回、決まった曜日と時刻に、4つの枠を見直す予定を入れます。ツールを変えても、見直しをしなければ枠は古くなっていきます。
続かなくなる原因と直し方
アイゼンハワーマトリクスがツールを変えても続かない場合、原因はツールではなく使い方にあることがほとんどです。よくある原因と直し方を整理します。
「緊急かつ重要」の枠に仕事が集まりすぎる。 すべてが緊急で重要に見えるときは、線引きがあいまいになっています。「緊急」の条件を「3日以内に締め切り」のように日付で決め直すと、振り分けが機械的にでき、迷いが減ります。
「緊急ではないが重要」の仕事に手が付かない。 この枠の仕事は、締め切りがないので後回しになりがちです。Todoistの公式ヘルプが勧めているとおり、この枠の仕事には必ず日付を決めます。週の予定の中に、この枠の仕事のための時間をあらかじめ確保しておくのも効果的です。
「任せる」枠の仕事を結局自分でやっている。 1人で仕事をしている人は、任せる相手がいないことがあります。その場合は、「任せる」を「まとめて片付ける」と読み替え、1日の決まった時間にまとめて処理します。メールの返信を午後4時にまとめる、といった形です。
登録するのが面倒になる。 1件の登録に何項目も入力していると、登録そのものが負担になります。最初は仕事の名前と枠だけを登録し、締め切りや担当は必要なものだけ後から付けます。
見直しをしなくなる。 見直しの時間を予定に入れていないと、忙しい週ほど見直しが飛びます。見直しの時間は短くてかまいません。15分でも決まった時刻に枠を眺めるだけで、古くなった振り分けに気づけます。
在宅で仕事を受ける人の1週間に当てはめた例
考え方を具体的にするために、在宅で図面の作成やデータの入力を受けている人の、ある週の仕事を4つの枠に振り分けた例を示します。
月曜日の朝に、抱えている仕事を書き出すと、次の8件があったとします。A社の修正図面の提出(水曜締め切り)、B社の新しい図面の作成(来週金曜締め切り)、C社からの見積もりの依頼への返信、請求書の作成と送付、よく使う部品の図面を整理して自分用の型を作る、新しいCADの操作を学ぶ講座の受講、SNSで同業者の投稿を眺める、使っていない会員サイトのメールの整理。
これを4つの枠に振り分けると、次のようになります。「緊急かつ重要」は、A社の修正図面と請求書の作成です。請求書は月末の締めに間に合わないと入金が遅れるので、重要に入れます。「緊急ではないが重要」は、B社の新しい図面、部品の図面の整理、CADの講座の受講です。「緊急だが重要ではない」は、C社への見積もりの返信と、会員サイトのメールの整理です。見積もりの返信は早いほうがよいものの、内容は定型なので、まとめて片付けます。「緊急でも重要でもない」は、SNSを眺めることです。
振り分けたら、1週間の予定に落とし込みます。月曜と火曜の午前はA社の修正図面、火曜の午後に請求書の作成。水曜の午後に見積もりの返信とメールの整理をまとめて30分。木曜と金曜はB社の新しい図面に集中し、金曜の夕方に1時間、部品の図面の整理を進めます。CADの講座は、土曜の午前に1時間の予定を入れます。SNSは、仕事の時間には開かないと決めます。
この例で大事なのは、「緊急ではないが重要」な3件すべてに、具体的な曜日と時間を入れたことです。B社の図面は来週の締め切りですが、今週のうちに半分まで進めておけば、来週に別の急ぎの依頼が入っても慌てずに済みます。部品の図面の整理と講座の受講は、締め切りがないので放っておけば何か月も手が付きませんが、こうした準備こそが、次の仕事を速くします。
ツールと一緒に続けたい4つの習慣
どのツールを選んでも、ツールだけでは仕事は片付きません。アイゼンハワーマトリクスを毎日の仕事に生かすために、ツールと一緒に続けたい習慣を4つ紹介します。
1日の始めに、今日やる仕事を3つだけ選びます。 4つの枠を眺めて、「緊急かつ重要」から1つか2つ、「緊急ではないが重要」から1つを選びます。全部をやろうとすると、結局どれも中途半端になります。3つに絞ると、1日の終わりに「今日はこれを終えた」と言える仕事が残ります。
集中できる時間帯を、重要な仕事に充てます。 多くの人は、朝の早い時間のほうが集中しやすいものです。その時間をメールの返信に使ってしまうと、重要な仕事に取りかかるころには疲れています。朝の最初の1時間から2時間は、「緊急ではないが重要」な仕事に充て、メールやチャットはその後にまとめて確かめる、という順番にすると、重要な仕事が少しずつでも前に進みます。
すぐ終わる仕事は、枠に振り分けずにその場で片付けます。 返信1通、ファイルの送付1件のように、数分で終わる仕事まで枠に振り分けると、登録の手間のほうが大きくなります。数分で終わるものはその場で片付け、それより時間がかかるものだけを枠に登録すると、ツールの中が整理された状態に保てます。
1日の終わりに5分だけ見直します。 終わった仕事を完了にし、明日やる仕事の候補を確かめます。新しく入った依頼があれば、その場で枠に振り分けておきます。この5分があるだけで、翌朝すぐに仕事を始められます。週に1回の見直しと組み合わせると、4つの枠が古くなるのを防げます。
チームでアイゼンハワーマトリクスを使うときの注意
アイゼンハワーマトリクスは個人の方法として知られていますが、チームで共有すると、仕事の任せ方を話し合う道具になります。ただし、チームで使うときには、個人で使うときにはない注意があります。
最も大事なのは、「重要」の基準をチームで合わせることです。営業の担当者にとって重要な仕事と、設計の担当者にとって重要な仕事は違います。チームの目標に照らして何が重要かを先に話し合い、基準を共有しておかないと、各自が自分の基準で振り分けて、枠がばらばらになります。
次に、「緊急だが重要ではない」枠の仕事を誰が引き受けるかを決めておくことです。この枠の仕事を「任せる」と決めても、任される側の負担が見えていないと、特定の人に仕事が集まります。担当者を付けて、誰がどれだけ抱えているかを見える形にしておきます。
最後に、チームのボードは個人の仕事の一覧とは分けておくことです。チームで共有するのはチームの仕事だけにし、個人の細かい作業は各自のツールで管理すると、チームのボードが見やすく保てます。
仕事の優先順位を決める力が求められる場面
最後に、アイゼンハワーマトリクスのような仕事の整理の方法が、仕事の場でどう役立つかを市場の目線で整理します。
在宅で仕事を受けるフリーランスにとって、優先順位を決める力は、そのまま納期を守る力になります。複数の取引先から依頼を受けると、締め切りが重なることは避けられません。どの仕事を先に仕上げ、どの依頼の納期を相談するかを判断できる人ほど、取引先からの信頼を積み上げられます。
仕事の整理を自分の仕事に生かすだけでなく、他の人や会社の仕事の流れを整える側に回る道もあります。定型の作業を見つけて自動化する仕事は、RPA・業務自動化ツールのお仕事として依頼があり、「緊急だが重要ではない」仕事を仕組みで減らす発想がそのまま生きます。AIの活用やWebの集客の支援まで広げたい場合は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事でどんな依頼があるかを見ておくと、方向を決めやすくなります。
デザインや調査のように、1つの制作物に深く取り組む仕事ほど、「緊急ではないが重要」な学習や準備の時間が質を左右します。制作の仕事の相場はデザイナーの年収・単価相場、調査や分析の仕事の相場は研究者の年収・単価相場で確かめられます。
在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、長く仕事が続く人は、急ぎの仕事をこなすだけでなく、急ぎでない準備に時間を取っています。よく使う資料の型を作る、作業の手順を整える、新しい道具を試す。こうした準備が、次の仕事を速く、正確にします。仲介の手数料がかからない直接の取引であれば、依頼する側は同じ予算で丁寧な仕事を頼みやすく、受ける側は手取りが厚くなります。手取りに余裕が出れば、その分を「緊急ではないが重要」な準備の時間に回せます。優先順位を決める道具は、その時間を守るための仕組みです。
よくある質問
Q. アイゼンハワーマトリクスは無料のツールでも使えますか?
紙やエクセル、Googleスプレッドシートなら費用をかけずに使えます。Todoistの無料プランはフィルター画面が3件までなので、4つの枠をフィルターで作るには1つ足りず、優先度の順に並べるなどの工夫が要ります。Trelloの無料プランでも、4つのリストを作れば4つの枠として使えます。
Q. エクセルでアイゼンハワーマトリクスを作るコツはありますか?
4つの枠を図で作るより、仕事の一覧に「緊急」「重要」の2つの列を足し、フィルターで枠ごとに絞り込む形が続けやすい方法です。「緊急」の列は締め切りの日付から数式で自動判定にすると、日がたつにつれて自動で切り替わり、手で印を付け直す手間が減ります。
Q. 「緊急」と「重要」の区別がつかないときはどうすればよいですか?
線引きを言葉で決めておきます。例えば「緊急」は3日以内に締め切りがあるもの、「重要」は売上や取引先との信頼に関わるもの、のように決めると、振り分けに迷いにくくなります。迷った仕事は、やらなかったときに何が起きるかを書き添えてから判断します。
Q. 紙からアプリに移すときに気をつけることは何ですか?
古い一覧をそのまま写さず、すべての仕事を書き出してから、やめる仕事と任せる仕事を先に外します。移した直後は登録の漏れが出やすいので、1週間ほど古い一覧と並べて見比べ、漏れがないことを確かめてから古い一覧の使用をやめます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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