料理代行を個人で受けるには|依頼の集め方と契約前に決めておくこと

永井 蓮
永井 蓮
料理代行を個人で受けるには|依頼の集め方と契約前に決めておくこと

この記事のポイント

  • ✓料理代行を個人で受けるときの3つの受け方
  • ✓資格と営業許可の考え方
  • ✓契約の前に依頼者と決めておくことを整理します

料理が得意で、その腕を仕事にしたい。そう考えて、料理代行を個人で受ける働き方に関心を持つ人が多くなっています。共働きの家庭、子育て中の家庭、高齢の親を持つ家庭など、平日の食事の準備を誰かに任せたいという声は、身近なところにたくさんあります。一方で、個人で受ける場合は、依頼の集め方、料金の決め方、依頼者との約束、衛生とアレルギーへの備えを、すべて自分で考えなければなりません。この記事では、料理代行を個人で受ける3つの方法と、資格や営業許可の考え方、依頼の集め方、契約の前に依頼者と決めておくことを、食品衛生法や消費者契約法などの一次資料をもとに整理します。

料理代行を個人で受けるとは

料理代行とは、依頼者の家を訪ね、その家の台所で、依頼者が用意した食材や一緒に買い出しした食材を使って、食事を作る仕事のことです。数日分の作り置きのおかずをまとめて作る形が多く、2時間から3時間で、主菜と副菜を合わせて10品前後を作る、といった依頼がよく見られます。

依頼の中身は、家庭によってさまざまです。

・平日の夕食のおかずを、数日分まとめて作り置きしてほしい ・子どもの離乳食や幼児食を作ってほしい ・高齢の親のために、やわらかく食べやすい食事を作ってほしい ・体づくりのために、たんぱく質の多い食事を作ってほしい ・来客の日に、もてなしの料理を作ってほしい

料理代行は、レストランのように自分の店で料理を出す仕事とは違い、依頼者の生活の場に入って、その家庭のための食事を作る仕事です。料理の腕と同じくらい、依頼者の好みや家庭の事情をくみ取る力と、他人の家で気持ちよく働くための気配りが求められます。

受け方は3つ

料理代行を個人で受ける方法は、大きく3つあります。

1. 家事代行の会社にスタッフとして登録する

家事代行や料理代行の会社に登録し、会社から紹介された家庭を訪ねる方法です。会社が集客、料金の受け取り、トラブルの窓口を受け持ってくれるので、自分は料理に集中できます。研修を受けられる会社もあります。その代わり、依頼者が払う料金の一部は会社の取り分になり、受け取る報酬は料金より少なくなります。

2. マッチングサービスに登録する

個人のスキルと依頼者をつなぐマッチングサービスに、料理代行の出品をする方法です。料金や内容を自分で決められ、サービスが決済の仕組みを用意していることが多いので、料金の取りはぐれを防ぎやすくなります。サービスの手数料がかかるので、登録の前に、手数料の率と、誰が負担するかを確かめておきましょう。

3. 依頼者と直接契約する

知人の紹介や、地域での口コミ、SNSなどを通じて、依頼者と直接、料金と内容を決める方法です。間に入る会社の取り分がないので、依頼者は同じ予算でより長い時間を頼め、受ける側は手元に残る報酬が厚くなります。その代わり、集客、料金の受け取り、トラブルへの対応まで、すべて自分で行います。

3つの受け方の比べ方

比べる点 会社に登録 マッチングサービス 直接契約
集客 会社が行う サービス上で自分が行う 自分で行う
料金の決め方 会社の規定 自分で決める 自分で決める
手元に残る割合 少なめ 手数料の分だけ少ない 多い
料金の受け取り 会社から サービスを通じて 依頼者から直接
トラブルの窓口 会社 サービスと自分 自分
始めやすさ 高い 中くらい 紹介があれば高い

初めて料理代行をする人は、会社に登録して、他人の家で料理をする経験を積んでから、マッチングサービスや直接契約に広げていく順番が無理のない始め方です。会社の研修や、先輩のスタッフのやり方から、短い時間で多くの品数を作る段取りや、依頼者とのやりとりのこつを学べます。

資格は必要か

料理代行を受けるのに、法律で必ず必要とされる資格はありません。調理師の免許がなくても、料理代行の仕事は受けられます。

ただ、資格は依頼者に安心してもらう材料になります。次のような資格や経験は、依頼を集めるときの強みとして紹介できます。

・調理師や栄養士、管理栄養士の資格 ・飲食店や給食の調理の仕事の経験 ・食物アレルギーや離乳食についての講座の受講 ・介護の食事(やわらかい食事など)を作った経験

資格があることよりも、「何が得意か」をはっきり伝えることが大切です。「和食の作り置きが得意」「幼児食の取り分けに慣れている」「冷凍しやすいおかずのレパートリーが多い」のように、依頼者の困りごとに合わせて得意なことを示すと、依頼につながりやすくなります。

営業許可が要るかどうかの分かれ目

料理を仕事にするとき、必ず確かめておきたいのが、食品衛生法の営業許可です。食品衛生法の第55条は、次のように定めています。

前条に規定する営業を営もうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。 出典: e-Gov法令検索 食品衛生法

営業許可とは、飲食店や、食品を作って売る仕事を始めるときに、保健所を通じて受ける許可のことです。許可は、営業のための施設ごとに、その施設が決められた基準に合っているかを確かめたうえで出されます。

依頼者の家で作る場合

料理代行の多くは、依頼者の家の台所で、依頼者の食材を使い、その家庭が食べるための食事を作る形です。自分の施設で料理を作って提供したり販売したりするわけではないため、飲食店の営業とは形が違います。

自分の家で作って届ける場合

一方で、自分の家の台所で料理を作り、依頼者の家に届けたり、販売したりする場合は、扱いが変わります。食品を作って提供する営業として、営業許可が必要になるのが原則です。食品衛生法施行規則の施設の基準では、住居など食品を扱うことを目的としない部屋が同じ建物にある場合、それらと区画されていることが求められています。家庭の台所は住まいと区切られていないため、そのままでは基準を満たさないことが多いと考えておきましょう。

迷ったら保健所に聞く

依頼の形によっては、どちらに当たるか判断に迷うことがあります。たとえば、依頼者の家で作ったものの一部を、依頼者の家族が住む別の家に届けてほしいと頼まれた場合や、イベントで料理を振る舞ってほしいと頼まれた場合などです。新しい形の依頼を受けるときは、仕事をする地域の保健所に、依頼の形を具体的に伝えて確かめましょう。

料金の決め方

料理代行の料金は、1時間あたりの料金で決める形が一般的です。料理代行のマッチングを行うサービスの1つは、料金の目安を次のように示しています。

どのような料理代行をしてもらいたいかによっても変動します。例えば、一般的な料理代行ですと、2時間で4,000円-5,000円(交通費等込、材料費別)ほどとなっております。 出典: any-times.com

これは1つのサービスの中での目安で、地域、品数、作る料理の難しさ、資格の有無によって、料金は大きく変わります。自分で料金を決めるときは、次の要素を考えに入れます。

料金に含めるもの

・調理の時間(下ごしらえから片付けまで) ・献立を考える時間 ・買い出しを頼まれた場合の時間 ・移動の時間と交通費 ・自分で持っていく道具や消耗品の費用

材料費の扱い

材料費は、料金とは別に依頼者が負担する形が一般的です。依頼者が事前に食材を用意する形、一緒に買い出しに行く形、こちらが立て替えて買い出しし、レシートと一緒に精算する形があります。立て替えの場合は、上限の金額と精算の方法を、最初に決めておきましょう。

計算の例

たとえば、1回3時間の作り置きの依頼で、1時間あたり2,500円に設定し、交通費を別に受け取る場合、料金は7,500円と交通費になります。献立を考える時間に30分、移動に往復1時間かかるとすると、実際に使う時間は4時間30分です。料金を使った時間で割ると、1時間あたりは約1,670円になります。料金を決めるときは、調理の時間だけでなく、準備と移動を含めた時間で考えることが大切です。

定期の依頼の扱い

料理代行は、毎週や隔週など、定期的に頼まれることが多い仕事です。定期の依頼では、毎回の日時をあらかじめ決めておくと、自分の予定も組みやすくなります。定期の依頼に割引を設ける場合は、割引の条件(月に何回以上、何か月以上など)と、条件を満たさなくなったときの扱いを決めておきます。祝日や年末年始の扱い、依頼者の旅行などで休む月の扱いも、最初に話しておくと、あとで行き違いが起きません。

料金は、最初に低く設定すると、あとで上げるのが難しくなります。始めたばかりの時期に「お試し価格」を設ける場合は、期間や回数を決めて、通常の料金を最初から示しておくと、値上げの話をしやすくなります。

依頼の集め方

直接契約やマッチングサービスで料理代行を受ける場合は、自分で依頼を集める必要があります。

知人の紹介から始める

最も始めやすいのは、知人や友人、その家族からの依頼です。最初の数件は、知り合いの家で経験を積み、作った料理の写真(依頼者の許可を得たもの)や、感想を集めます。紹介で始まった仕事でも、料金や約束は必ず書面に残しましょう。

地域の口コミと掲示

料理代行は、移動できる範囲の中で仕事をするので、地域の口コミが強い仕事です。子育て支援の施設や、地域の情報誌、コミュニティの掲示板など、地域の人が目にする場所での案内は、遠くのSNSより依頼につながることがあります。掲示を出す場合は、施設の決まりを確かめてから出しましょう。

SNSと情報発信

SNSでは、作り置きのおかずの写真、献立の組み立て方、保存の工夫などを発信すると、料理の腕と考え方が伝わります。依頼者の家の様子が写り込まないように、写真は料理だけを写すよう気をつけます。発信の中で、受けられる地域、料金、予約の方法を、いつも同じ場所に分かりやすく示しておくと、依頼の相談が届きやすくなります。

SNSの運用や、Webでの集客の方法を学びたい人は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で、どんな仕事があるかを確かめておくと参考になります。案内のチラシやロゴのデザインを人に頼む場合は、デザイナーの年収・単価相場で、依頼の費用の目安をつかめます。

案内に書いておくこと

依頼を集めるための案内には、次の内容を書いておきます。

・受けられる地域と、交通費の扱い ・1時間あたりの料金と、最低の利用時間 ・作れる品数の目安(3時間で何品くらいか) ・得意な料理と、対応できる食事(離乳食、やわらかい食事など) ・材料費の扱い(依頼者が用意する、一緒に買い出しするなど) ・キャンセルのルール ・申し込みと問い合わせの方法

契約の前に依頼者と決めておくこと

料理代行のトラブルの多くは、最初の約束があいまいなことから起こります。初めての依頼の前に、次の項目を依頼者と話し合い、書面かメールで残しておきましょう。

決めておく項目

  1. 日時と、作業の時間(何時から何時までか)
  2. 作る品数と、献立を誰が決めるか
  3. 食材の用意の方法(依頼者が用意、一緒に買い出し、立て替えなど)
  4. 使ってよい調理器具、調味料、保存容器
  5. 食物アレルギー、苦手な食材、宗教や健康上の理由で食べられないもの
  6. 片付けの範囲(使った器具だけか、台所全体か)
  7. 料金、交通費、材料費の精算の方法と時期
  8. キャンセルと日時の変更のルール
  9. 依頼者が留守の間に作業する場合の鍵の扱い
  10. 器具や家財を壊してしまったときの扱い
  11. 料理の写真をSNSなどに載せてよいか

特に大切なのが、5番目のアレルギーと食べられないものです。口頭で聞くだけでなく、紙かメールで書いてもらい、控えを持っておきましょう。家族の中で1人だけアレルギーがある場合は、どの料理を誰が食べるのかまで確かめておきます。

キャンセル料の決め方

キャンセル料は、依頼者にとっても受ける側にとっても大切な約束です。ただし、個人の家庭(消費者)と結ぶ契約では、消費者契約法の決まりに気をつける必要があります。消費者契約法の第9条では、契約の解除に伴う違約金などを定める条項のうち、同じ種類の契約の解除で事業者に生じる平均的な損害の額を超える部分は無効になる、と定めています。

つまり、キャンセル料は、キャンセルによって実際に生じる損害に見合う額にしておく必要があります。「前日のキャンセルは料金の50%、当日は100%」のように決める場合も、その時期にキャンセルされると、ほかの依頼を受けられなくなる、準備した献立が無駄になる、といった実際の損害と釣り合っているかを考えて決めましょう。法律の内容は、e-Gov法令検索の消費者契約法で確かめられます。

書面の作り方

難しい契約書を作る必要はありません。上の項目を並べた簡単な確認書を作り、依頼者と自分がそれぞれ控えを持つだけでも、あとの行き違いを大きく減らせます。メールやメッセージで送り、依頼者から「この内容で大丈夫です」と返事をもらっておく形でもかまいません。依頼者に送る案内や確認書の文面を整える力は、ビジネス文書検定で体系立てて身につけることもできます。

衛生とアレルギーへの備え

他人の家で、他人が食べる料理を作る仕事なので、衛生とアレルギーへの備えは欠かせません。

衛生の基本

・作業の前と、生の肉や魚を扱ったあとには、必ず手を洗う ・自分の体調が悪いとき(下痢、発熱、手の傷など)は、無理をせず日を改める ・まな板と包丁は、生の肉や魚を切ったあとに、よく洗ってから野菜を切る ・作ったおかずは、粗熱をとってから保存容器に入れ、冷蔵庫や冷凍庫にしまう ・保存容器に料理の名前と作った日を書いておく

作り置きのおかずは、保存の方法と、食べきる目安を依頼者に伝えることも大切です。料理によって日持ちが違うので、汁気の多いもの、生の野菜を使ったもの、魚料理などは早めに食べてもらうよう、一言添えましょう。

アレルギーへの備え

アレルギーのある家族がいる家庭では、原因の食材を使わないことに加えて、調味料や加工品に原因の食材が含まれていないかを、原材料の表示で確かめます。同じ台所で原因の食材を使う料理を作る場合は、器具を分けるなど、混ざらない工夫が必要です。自分で判断できないことがあれば、作る前に依頼者に確かめ、迷ったら使わないことを基本にしましょう。

初回の打ち合わせで聞いておくこと

初めての依頼の前に、15分から30分ほどの打ち合わせの時間をとると、当日の作業がぐっと楽になります。打ち合わせは、オンラインのビデオ通話でも、初回の訪問の最初の時間でもかまいません。聞いておきたいことを、聞き取りの用紙にまとめておくと、聞き漏れを防げます。

家族と食事のこと

・家族の人数と年齢、それぞれが食べる量の目安 ・食物アレルギーと、食べられないもの ・好きな料理、苦手な食材 ・味付けの好み(薄味、甘め、辛いものが好きかなど) ・主に食べる時間帯(夕食だけか、昼食のお弁当にも使うか)

台所と道具のこと

・コンロの数と種類(ガスかIHか)、オーブンや電子レンジの有無 ・よく使う鍋やフライパンの大きさ ・保存容器の数と、冷蔵庫と冷凍庫の空き ・使ってほしくない器具や調味料

依頼の目的のこと

・平日の夕食の準備を楽にしたいのか、栄養の偏りを直したいのか ・子どもが食べやすい料理にしたいのか、大人向けの料理にしたいのか ・作り置きを何日で食べきりたいか

聞き取った内容は、依頼者ごとに記録しておき、毎回の訪問の前に見直します。2回目以降は、前回の感想と、残ったおかずの様子を聞いて、献立に反映させます。

献立の組み立て方の例

作り置きの依頼では、限られた時間で、日持ちと食べやすさを考えた献立を組み立てる必要があります。3時間で10品前後を作る場合の、組み立て方の考え方を示します。

主菜と副菜の割合を決める

主菜(肉や魚のおかず)を3品から4品、副菜(野菜や豆、海藻のおかず)を5品から6品、というように割合を先に決めます。主菜は、焼く、煮る、揚げ焼きにするなど、調理の方法を分けると、同じ道具を取り合わずに並行して作れます。

日持ちで順番を決める

作り置きのおかずは、日持ちの短いものから食べてもらう順番を、依頼者に伝えます。生の野菜を使ったサラダやあえものは早めに、味のしみる煮物や漬けるおかずは後半に、といった順番を、保存容器に書く日付と合わせて伝えると分かりやすくなります。

冷凍できるものを入れる

数日で食べきれない分は、冷凍に向くおかずにしておきます。ハンバーグや肉そぼろ、下味をつけた肉など、冷凍しても味が落ちにくいものを組み込むと、依頼者は次の訪問までの間も無駄なく使えます。冷凍したものの解凍と温め直しの方法も、一言添えておきましょう。

食材を使い回す

同じ食材を、違う料理に使い回すと、材料費を抑えられ、買い出しも楽になります。たとえば、にんじんを、きんぴら、ラペ、煮物に分けて使う、といった組み立てです。依頼者にとっても、材料費の負担が軽くなります。

依頼者の家で働くときの気配り

料理代行は、依頼者の生活の場に入る仕事です。料理の腕と同じくらい、気持ちよく迎え入れてもらうための気配りが、次の依頼につながります。

・約束の時間に遅れない。遅れそうなときは、分かった時点ですぐに連絡する ・台所以外の部屋には、依頼者の許可なく入らない ・冷蔵庫や戸棚を開けるときは、最初に「開けてもよいですか」と確かめる ・使った器具は元の場所に戻し、どこに戻したかを伝える ・家の中で見聞きしたこと(家族の事情、家の様子)を、ほかの人に話したりSNSに書いたりしない ・ごみの分け方は、その地域と家庭の決まりに合わせる

依頼者が留守の間に作業する場合は、鍵の受け渡しの方法、作業が終わったときの連絡の方法、帰るときの戸締まりの確認の方法を決めておきます。作業が終わったら、作った料理の一覧と、保存の方法を書いたメモを台所に残し、写真付きのメッセージで知らせると、依頼者は帰宅してすぐに状況が分かります。

当日の流れの例

3時間の作り置きの依頼の場合の、当日の流れの例を示します。

・到着前:献立と食材のリストを見直し、作る順番を決めておく ・到着後の10分:あいさつ、台所の確認、冷蔵庫の中と食材の確認、器具と保存容器の確認 ・最初の30分:下ごしらえ(洗う、切る、下味をつける)をまとめて行う ・次の1時間30分:火を使う料理を、コンロとオーブンと電子レンジを並行して使いながら進める ・次の30分:粗熱をとり、保存容器に詰め、名前と日付を書く ・最後の20分:片付け、依頼者への説明(料理の名前、保存の方法、食べきる目安)

短い時間で多くの品数を作るには、段取りがすべてです。ゲームの攻略と同じで、最初に全体の流れを組み立て、待ち時間(煮込み、オーブンなど)の間に別の作業を進めるのが基本です。最初の数回は時間が足りなくなりがちなので、品数を少なめに約束しておき、慣れてきたら品数を広げていくと、約束の時間を守れます。

よくあるトラブルと、防ぎ方

味付けの好みが合わない

依頼者の好みの味は、家庭ごとに違います。初回に、塩味の濃さ、甘さ、辛さの好み、よく使う調味料を聞いておきます。初回のあとに感想を聞き、次の回に生かすと、回を重ねるごとに好みに近づけられます。

品数が約束に届かない

台所の広さやコンロの数は家庭によって違い、思ったより作業が進まないことがあります。初めての家庭では、品数を控えめに約束し、台所の様子を見てから次回の品数を決めるようにしましょう。

器具や家財を壊してしまう

他人の家の器具を使うので、うっかり壊してしまうこともあります。壊したときは、すぐに依頼者に伝え、どう対応するかを話し合います。個人で受ける場合は、仕事中の事故に備える賠償責任保険に入っておくと安心です。会社やマッチングサービスを通じて受ける場合は、その会社やサービスに保険の仕組みがあるかを確かめておきましょう。

料金の支払いが遅れる

直接契約では、支払いが遅れることもあります。支払いの方法と時期を最初に決めておき、振込なら期日を、現金なら当日の受け取りを約束しておきます。回を重ねて関係ができても、支払いの約束はあいまいにしないことが大切です。

税金と、知っておきたい法律の線

個人で料理代行を受けて得た報酬は、雇われて得る給与とは違い、多くの場合、雑所得か事業所得として扱われます。継続して事業として行う場合は、税務署に個人事業の開業の届け出を出し、確定申告で所得を申告することになります。

所得は、受け取った報酬から、仕事のためにかかった経費を差し引いて計算します。交通費、仕事用の調理器具や保存容器、エプロン、講座の受講料などは、経費になる可能性があります。どこまでが経費になるかは事情によって変わるので、迷うものは税務署で確かめましょう。報酬と経費は、毎月記録しておくと、申告のときに慌てません。会社勤めをしながら副業で受ける場合は、勤め先の就業規則で副業が認められているかも確かめておきます。

フリーランス法の対象にならない場合がある

フリーランスとして働く人を守るための法律(フリーランス法)は、事業者が個人に仕事を委託する取引を対象にしています。個人の家庭から直接、料理代行を受ける場合は、相手が事業者ではないため、この法律の対象にはなりません。その分、料金や支払いの約束を自分で書面に残しておくことが、自分を守る手段になります。

家庭に直接雇われる場合

家庭と雇用の契約を結んで、家政婦として家事を行う場合は、家事使用人という扱いになります。労働基準法は、第116条で家事使用人には適用しないと定めています。業務委託として受けるのか、雇われて働くのかで、守られ方が大きく変わるので、どちらの形で仕事を受けるのかを、最初にはっきりさせておきましょう。

料理代行が向いている人

ここまでの内容を踏まえると、料理代行を個人で受ける働き方が向いているのは、次のような人です。

・限られた時間の中で、段取りを組み立てて動くのが得意な人 ・家庭料理のレパートリーが広く、冷蔵庫の中身から献立を考えられる人 ・相手の好みや事情を聞き取り、それに合わせることを楽しめる人 ・他人の家で働くことに抵抗がなく、礼儀と気配りを大切にできる人 ・料金や約束を、相手にきちんと伝えられる人

反対に、自分の作りたい料理を作りたい人や、決まった場所で決まった仕事をしたい人には、飲食店や給食の調理の仕事のほうが合うかもしれません。料理代行は、料理の腕を「誰かの暮らしを助けること」に使う仕事です。

始めるときは、平日の夕方や週末など、自分が無理なく動ける時間を先に決め、その範囲で依頼を受けましょう。依頼が多くなってきても、移動の時間と準備の時間を含めて予定を組み、1日に受ける件数の上限を決めておくと、1件ごとの質を保てます。体調を崩して当日に休むことになれば、依頼者の食事の予定が崩れてしまいます。自分の体と時間の管理も、仕事の一部です。

料理代行を長く続けるために

フリーランスや在宅ワークの市場を20年見てきた運営者の立場から言えば、個人で仕事を受けて長く続いている人に共通しているのは、技術に加えて、相手との約束を丁寧に言葉にしていることです。料理代行でも、アレルギーや好みを聞き取り、保存の方法と食べきる目安を伝え、次の回に感想を生かす人ほど、同じ家庭から長く頼まれています。単発の仕事をこなすより、「この人に任せると安心だ」と思ってもらえる関係を作ることに時間を使っています。

個人で直接受ける仕事は、間に入る会社の取り分がないぶん、依頼する側は同じ予算でより長い時間を頼め、受ける側は手元に残る報酬が厚くなります。手数料0%で直接取引できる仕組みは、料理代行のような地域の仕事と同じく、在宅の仕事でも双方にとって無理のない関係を作りやすい環境です。

料理の知識を生かして、レシピや食の記事を書く在宅の仕事に広げる人もいます。Webライターが文字単価を上げる方法【2026年版】|1円→5円のステップでは、文章の仕事の単価を上げていく段階を紹介しています。予約の受付や依頼者とのやりとりをAIや道具で効率化したい人は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で、どんな支援の仕事があるかを確かめられます。

よくある質問

Q. 料理代行を個人で受けるのに資格は必要ですか?

法律で必ず必要とされる資格はありません。調理師の免許がなくても料理代行は受けられます。ただ、調理師や栄養士の資格、飲食店や給食の調理の経験は、依頼者に安心してもらう材料になります。資格よりも、作り置きや幼児食など、何が得意かをはっきり伝えることが依頼につながります。

Q. 料理代行に食品衛生法の営業許可は要りますか?

依頼者の家の台所で、依頼者の食材を使い、その家庭が食べる食事を作る形は、自分の施設で料理を提供する飲食店の営業とは形が違います。一方、自分の家で作って届けたり販売したりする場合は、営業許可が必要になるのが原則です。判断に迷う依頼は、仕事をする地域の保健所に確かめましょう。

Q. 料理代行の料金はどう決めればよいですか?

1時間あたりの料金で決め、材料費と交通費は別に精算する形が一般的です。料理代行のマッチングを行うサービスの1つは、2時間で4,000円から5,000円(交通費等込、材料費別)を目安として示しています。献立を考える時間や移動の時間も含めて、自分の時間1時間あたりに残る額を計算して決めましょう。

Q. キャンセル料は自由に決めてよいですか?

個人の家庭と結ぶ契約では、消費者契約法の第9条により、解除に伴う違約金などのうち、同じ種類の契約の解除で生じる平均的な損害の額を超える部分は無効になります。キャンセル料は、ほかの依頼を受けられなくなるなど、実際に生じる損害に見合う額で決め、依頼の前に書面で伝えておきましょう。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年10月9日最終更新:2026年10月11日
永井 蓮

この記事を書いた人

永井 蓮@SOHO編集部

フリーランスゲームエンジニア

ゲーム開発会社でUnityエンジニアとして勤務後、フリーランスに転身。インディーゲームをSteamでリリースした経験を持ち、ゲーム開発・XR・メタバース系の記事を執筆しています。

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