問い合わせ分析の進め方|件数と内容を分けて、よくある質問と改善につなげる方法


この記事のポイント
- ✓問い合わせ分析の進め方を
- ✓記録の形をそろえる準備から
- ✓表計算での集計の手順まで説明します
問い合わせ分析とは、お客様から届いた問い合わせを集めて数え、中身を分類して、どこに困りごとが集まっているのかを明らかにする作業のことです。問い合わせには、商品の分かりにくい点や、案内の文の足りない点、手続きのつまずきやすい点が、お客様の言葉でそのまま書かれています。うまく分析すれば、よくある質問のページを充実させて問い合わせそのものを減らしたり、商品や説明文を直したりする手がかりになります。この記事では、問い合わせ分析の進め方を、件数と内容を分けて考えるところから、記録の形のそろえ方、分類のコードの作り方、表計算での集計の手順、結果を改善につなげる方法まで順に説明します。問い合わせの受付から返信までを1つの画面で管理したい場合は、Halictのような道具を使う方法もあります。
問い合わせ分析は件数と内容を分けて考える
問い合わせ分析を始めるときに、最初に押さえておきたいのは、件数の分析と内容の分析を分けて考えることです。
件数の分析は、問い合わせがいつ、どの経路から、どのくらい届いているのかを数える作業です。月ごとの件数の増え方、曜日や時間帯ごとの偏り、電話やメールやフォームといった経路ごとの割合などを見ます。人の配置や、受付の時間を決めるときの材料になります。
内容の分析は、問い合わせが何について書かれているのかを分類し、どの困りごとが多いのかを明らかにする作業です。「ログインできない」「料金の内訳が分からない」「届いた商品が違う」といった分類ごとの件数を見て、多いものから手を打ちます。よくある質問のページや、商品、案内の文の改善につながるのは、主にこちらの分析です。
2つを混ぜてしまうと、「先月より問い合わせが増えた」という事実だけで終わってしまいがちです。件数が増えた理由が、お客様の数が増えたからなのか、特定の困りごとが増えたからなのかは、内容の分析をしないと分かりません。反対に、内容だけを見ていると、ある困りごとが本当に増えているのか、たまたま目についただけなのかが判断できません。両方を並べて見ることで、初めて手を打つべき場所が見えてきます。
このほかに、対応の質の分析もあります。最初の返信までにかかった時間や、解決までのやりとりの回数などを見て、受け付ける側の対応がうまく回っているかを確かめるものです。この記事では、件数、内容、対応の質の3つの順に説明します。
分析の前に記録の形をそろえる
問い合わせ分析でいちばんつまずきやすいのは、分析の作業そのものではなく、その前の記録です。問い合わせがメールの受信箱や、電話のメモ、チャットの履歴にばらばらに残っていると、数えることすらできません。分析を始める前に、問い合わせを1件ごとに同じ形で記録する仕組みを作ります。
1件ごとに記録しておきたい項目は、次のとおりです。
- 受付の日時
- 受付の経路(電話、メール、フォーム、チャットなど)
- 問い合わせの種類(分類のコード)
- 対象の商品やサービス
- 問い合わせの内容の要約
- 担当者
- 対応の状況(未対応、対応中、完了など)
- 最初に返信した日時
- 対応が完了した日時
- やりとりの回数
このうち、分析で特に大事なのは、問い合わせの種類と、日時の3つ(受付、最初の返信、完了)です。種類が記録されていれば内容の分析ができ、日時が記録されていれば件数の分析と対応の質の分析ができます。
記録の形は、最初から完璧にしようとしなくても構いません。まずは表計算ソフトで1件1行の表を作り、上の項目を列として並べるところから始めます。大事なのは、担当者によって書き方がばらばらにならないことです。日時の書き方や、状況の言葉(「完了」「済」「クローズ」などが混ざらないように)を、最初に決めておきます。
分類のコードの作り方
内容の分析をするには、問い合わせを種類ごとに分ける必要があります。そのための決まりが、分類のコードです。分類のコードとは、「操作方法」「料金・請求」「不具合」のような種類の名前を、あらかじめ決めておいたものです。
分類のコードを作るときのこつを挙げます。
大きな分類は5つから8つ程度にする
分類が多すぎると、担当者がどれを選べばよいか迷い、同じ内容の問い合わせが別々の分類に入ってしまいます。最初は大きな分類を5つから8つ程度にし、必要に応じて小さな分類を付け足します。
過去の問い合わせを読んでから決める
分類のコードは、頭の中で考えるより、実際に届いた問い合わせを読んで作るほうが、実態に合います。直近の1か月から3か月の問い合わせを、まず50件から100件ほど読み、似たものをまとめていくと、自然に分類が見えてきます。
1件に1つの主な分類を付ける
1件の問い合わせに複数の内容が含まれていることもあります。その場合でも、いちばん中心になる内容で1つの主な分類を決めます。複数の分類を付けると、件数を数えるときに二重に数えてしまうからです。ほかの内容も記録しておきたい場合は、タグのような補助の印を使います。
「その他」が増えたら見直す
分類に当てはまらない問い合わせを「その他」に入れておくのはよいのですが、「その他」の件数が全体の1割を超えるようになったら、新しい分類を作るか、分類の名前を見直す合図です。「その他」に入った問い合わせを読み直すと、新しい困りごとが見つかることもあります。
分類のコードを作ったら、それぞれの分類にどんな問い合わせが入るのか、例を添えた一覧を作って、担当者全員で共有します。
件数の分析で見ること
記録がそろったら、まず件数の分析から始めます。見ておきたいのは、次のような点です。
時期ごとの件数
月ごとや週ごとの件数を並べて、増えているのか、減っているのかを見ます。件数の増減は、お客様の数の増減にも左右されるので、可能であれば、売上の件数や利用者の数あたりの問い合わせの件数でも見ます。お客様が2倍になって問い合わせも2倍になったのなら、困りごとが増えたわけではありません。
曜日と時間帯
曜日や時間帯ごとの件数を見ると、問い合わせが集中する時間が分かります。週の初めの午前中に集中している、夜の時間帯の問い合わせが多い、といった傾向が分かれば、担当者の配置や、返信の目安の決め方に活かせます。
経路ごとの割合
電話、メール、フォーム、チャットのそれぞれから、どのくらい届いているのかを見ます。経路によって、届く問い合わせの種類が違うこともあります。急ぎの困りごとは電話に、込み入った相談はフォームに集まりやすい、といった違いが見えると、窓口の案内の仕方を考える材料になります。
急な増加
特定の日に問い合わせが急に増えていないかも見ます。新しい商品を出した日、料金を改定した日、メールマガジンを送った日、システムの不具合が起きた日などに、問い合わせが急に増えることがあります。何が起きた日なのかを記録と照らし合わせると、原因が分かります。
内容の分析で見ること
件数の傾向をつかんだら、次は内容の分析です。
分類ごとの件数を多い順に並べる
まず、分類ごとの件数を数え、多い順に並べます。多くの場合、上位のいくつかの分類が、全体の件数の大きな部分を占めています。この上位の分類が、最初に手を打つべき場所です。件数の多い順に並べ、上位から順に積み上げた割合を見ると、どこまで手を打てば全体のどのくらいを減らせるかの見当がつきます。
分類と商品をかけ合わせて見る
分類ごとの件数を、商品やサービスごとに分けて見ると、さらに具体的な手がかりが得られます。たとえば「操作方法」の問い合わせが多いと分かっても、それがどの商品の、どの機能についてなのかが分からなければ、直す場所が決まりません。2つの項目をかけ合わせて数える方法を、クロス集計と呼びます。
文章の中身を読む
件数だけでなく、問い合わせの文章そのものを読むことも大切です。同じ「料金・請求」の分類でも、「請求の金額が思っていたのと違う」のか、「支払い方法を変えたい」のかで、打つべき手が違います。上位の分類については、問い合わせの文章を何十件か読み、お客様がどんな言葉で、どこでつまずいているのかを書き出します。
お客様が使っている言葉は、そのままよくある質問のページや案内の文に使える材料になります。社内の呼び方と、お客様の呼び方が違うことは珍しくありません。お客様の言葉で書かれた案内のほうが、検索でも見つけてもらいやすくなります。
自由に書かれた文章の読み方のこつ
問い合わせの多くは、お客様が自由に書いた文章です。上位の分類の文章を読むときは、ただ読み流すのではなく、次の3つに分けて書き出すと、整理しやすくなります。
- 事実:お客様の身に何が起きたのか(「ボタンを押しても画面が変わらない」「請求書の金額が2回分になっている」)
- 気持ち:お客様がどう感じているのか(「困っている」「急いでいる」「不安だ」)
- 要望:お客様が何をしてほしいのか(「使えるようにしてほしい」「返金してほしい」「やり方を教えてほしい」)
事実を集めると、商品や手続きのどこに問題があるのかが見えてきます。気持ちを集めると、どの困りごとがお客様にとって重いのかが分かります。要望を集めると、お客様が本当に求めている解決の形が分かります。
同じ言葉が何度も出てくることにも注目します。たとえば、「どこにあるか分からない」という言い方が多ければ、機能そのものより、その機能の見つけにくさが問題だと考えられます。よく出てくる言葉を数えるだけでも、困りごとの中心が浮かび上がることがあります。
文章を読む作業は、1人で行うより、商品を作る人や案内の文を書く人と一緒に行うと効果があります。お客様の言葉を直接読むと、社内で想像していた困りごとと、実際の困りごとのずれに気づきやすくなるからです。
対応の質の分析で見ること
問い合わせ分析では、お客様の困りごとだけでなく、受け付ける側の対応がうまく回っているかも確かめます。
最初の返信までの時間
問い合わせを受けてから、最初に返信するまでにかかった時間を見ます。案内している返信の目安を守れているか、目安を超えた件がどのくらいあるかを確かめます。曜日や担当者ごとに分けて見ると、返信が遅れやすい場面が分かります。
解決までの時間とやりとりの回数
対応が完了するまでの時間と、やりとりの回数も見ます。やりとりの回数が多い分類は、最初の返信で必要な情報を聞き切れていない可能性があります。問い合わせのフォームに項目を加える、返信のひな形に確認の質問を入れておく、といった改善につながります。
同じ人からの再度の問い合わせ
一度対応が完了したのに、同じ人から同じ内容で再び問い合わせが来ている場合は、最初の返信で解決していなかったことを示しています。再度の問い合わせが多い分類は、返信の内容を見直す必要があります。
対応の質の数字は、担当者を責めるためのものではありません。返信が遅れる原因が、人の数の不足なのか、調べるのに時間がかかる問い合わせが多いのかを見極め、仕組みで改善するための材料として使います。
分析の結果から返信のひな形を育てる
問い合わせ分析の結果は、返信のひな形を作り、育てることにも活かせます。返信のひな形とは、よくある問い合わせへの返信の文を、あらかじめ用意しておいたもののことです。
ひな形を作るときは、分類ごとの件数の上位から順に取りかかります。上位の分類の問い合わせの文章と、実際に送った返信を並べて読み、いちばん分かりやすかった返信をもとに、ひな形を作ります。
ひな形には、次のような部分を入れておきます。
- 問い合わせへのお礼と、困りごとを理解したことの確認
- 答え(結論)と、手順がある場合は番号付きの手順
- 解決しなかった場合に教えてほしい情報(使っている環境、画面の表示など)
- 関係する案内のページへのリンク
3つ目の「解決しなかった場合に教えてほしい情報」を入れておくと、やりとりの回数を減らせます。対応の質の分析で、やりとりの回数が多かった分類ほど、この部分を充実させる意味があります。
ひな形は、作って終わりではありません。ひな形で返信したのに、同じ人から再び問い合わせが来た件を集めると、ひな形の説明の足りない部分が見えてきます。月に1回の振り返りのときに、ひな形の文も見直す習慣をつけると、返信の質が少しずつ上がっていきます。
ひな形を使うときも、問い合わせの文章をよく読み、その人の状況に合わせて書き足すことを忘れないようにします。ひな形をそのまま貼り付けただけの返信は、お客様にすぐ伝わり、かえって不満を招くことがあります。
表計算ソフトで集計する手順
問い合わせの記録が表計算ソフトにまとまっていれば、集計はピボットテーブルという機能で行えます。ピボットテーブルとは、表の中の項目を選ぶだけで、項目ごとの件数や合計を自動で数えて表にまとめてくれる機能です。ExcelにもGoogleスプレッドシートにも、同じような機能があります。
集計の大まかな流れは、次のとおりです。
- 問い合わせの記録の表で、1行目に項目の名前、2行目以降に1件ずつの記録が並んでいることを確かめる
- 表の範囲を選んで、ピボットテーブルを作る
- 行に「問い合わせの種類」を、値に件数を入れて、分類ごとの件数を出す
- 列に「受付の月」を入れると、分類ごとの月別の件数が出る
- 行を「対象の商品」に替えたり、列に「受付の経路」を入れたりして、見たい組み合わせを確かめる
月ごとに集計するには、受付の日時から「月」だけを取り出した列を作っておくと便利です。日時の書き方がばらばらだと、この作業でつまずくので、記録の段階で書き方をそろえておくことが、ここで効いてきます。
最初の返信までの時間は、「最初に返信した日時」から「受付の日時」を引いた列を作れば出せます。この列の平均や、目安を超えた件数を数えると、対応の質の数字が分かります。
集計した結果は、グラフにすると傾向がつかみやすくなります。時期ごとの件数は折れ線のグラフ、分類ごとの件数は横向きの棒のグラフにすると、読み手に伝わりやすくなります。
質問と答えをまとめたページにつなげる
内容の分析で上位に来た分類は、よくある質問のページを作る、あるいは充実させる材料になります。お客様が問い合わせる前に、自分で答えを見つけられれば、お客様の手間も、受け付ける側の手間も減ります。
よくある質問のページを作るときは、次の順で進めます。
- 分類ごとの件数の上位から、質問の候補を選ぶ
- 問い合わせの文章から、お客様が使っている言葉で質問の文を書く
- 答えは、結論を先に書き、手順がある場合は番号を付けて並べる
- 答えの中で、関係するページや手続きの画面へのリンクを示す
- 公開したら、その分類の問い合わせの件数が減ったかを確かめる
5の確かめは、とても大切です。よくある質問のページを作っても、お客様に見つけてもらえなければ、問い合わせは減りません。公開した前後で、その分類の件数を比べ、減っていなければ、ページの場所や、質問の書き方、問い合わせのフォームからの案内の仕方を見直します。
問い合わせのフォームの近くに、よくある質問のページへの案内を設けるのも効果があります。フォームに入力する前に、同じ困りごとの答えがないかを見てもらえるからです。
商品や案内の文の改善につなげる
問い合わせ分析の結果は、よくある質問のページだけでなく、商品やサービスそのもの、案内の文、手続きの画面の改善にもつながります。
たとえば、「料金の内訳が分からない」という問い合わせが多ければ、請求書や料金のページの書き方を見直します。「設定の場所が分からない」という問い合わせが多ければ、画面のボタンの名前や配置を見直します。「届いた商品が思っていたのと違う」という問い合わせが多ければ、商品のページの写真や説明文を見直します。
分析の結果を改善につなげるには、結果を関係する部署や担当者に届けることが欠かせません。月に1回、次のような形の短い報告を作ると、共有しやすくなります。
- 今月の問い合わせの件数と、前の月との比較
- 分類ごとの件数の上位と、その主な中身
- 先月に打った手と、その分類の件数の変化
- 次に手を打ちたい分類と、その案
報告は、数字だけでなく、お客様の言葉をいくつか添えると、読み手に困りごとの実感が伝わります。改善の担当者が、お客様の言葉を直接読むことで、何を直せばよいかが具体的に見えてくるからです。
分析の頻度と担当の決め方
問い合わせ分析を続けるには、いつ、誰が、何をするのかを決めておくことが大切です。決めておかないと、忙しい時期に後回しになり、気づいたときには数か月分の記録が整理されないまま残っている、ということになりがちです。
頻度の目安は、次のように考えます。
- 毎日:届いた問い合わせに分類のコードを付ける(受け付けた担当者が、その場で付けるのがいちばん確実)
- 毎週:未対応の件と、返信の目安を超えた件がないかを確かめる
- 毎月:件数、分類ごとの件数、対応の質の数字を集計し、短い報告にまとめる
- 半年ごと:分類のコードそのものを見直す
分類のコードを付ける作業は、担当者によって判断がぶれやすい部分です。同じような問い合わせが、ある人は「操作方法」、別の人は「不具合」に分類している、ということが起きます。月に1回、分類に迷った問い合わせを持ち寄って、どの分類にするかを話し合う時間を設けると、判断のぶれがそろっていきます。
集計と報告の担当は、1人に決めておくのが基本です。ただし、その人が休んだときにも作業が止まらないよう、集計の手順を書いた手順書を作り、ほかの人も同じ手順で集計できるようにしておきます。
小さな事業者や個人で始める場合
問い合わせ分析というと、大きな会社のコールセンターがするもののように思えるかもしれません。しかし、問い合わせの件数が月に数十件の小さな事業者や、個人で仕事をしている人にとっても、分析は役に立ちます。
件数が少ない場合は、複雑な集計は要りません。表計算ソフトに1件1行で記録し、月の終わりに分類ごとの件数を数えるだけで十分です。10件の問い合わせのうち4件が同じ内容なら、それだけで手を打つべき場所がはっきりします。
小さな事業者で特に効果が出やすいのは、よくある問い合わせへの答えを、あらかじめ文章にしておくことです。同じ質問への返信を毎回一から書くのは、時間がかかるうえ、答えの内容がぶれる原因にもなります。上位の分類ごとに返信のひな形を作っておけば、返信の時間を短くでき、答えの質もそろいます。
個人で仕事を受けている人の場合は、仕事の依頼の前に届く質問も、分析の対象になります。料金や納期、作業の範囲について同じ質問が多ければ、サービスの案内のページにその答えを書いておくと、依頼までのやりとりが短くなります。
問い合わせ分析でよくある失敗
問い合わせ分析を始めても、うまく活かせないことがあります。よくある失敗と、その避け方を挙げます。
件数の増減だけを追ってしまう
毎月の件数の増減だけを報告して終わってしまう失敗です。件数が増えた理由が分からなければ、手の打ちようがありません。件数と内容を必ず並べて見るようにします。
分類が細かすぎて使われない
分類のコードを細かく作りすぎると、担当者が選ぶのに迷い、結局「その他」ばかりが増えます。最初は大きな分類で始め、必要になってから細かくします。
報告して終わる
分析の報告を作ることが目的になり、改善の手が打たれないまま、毎月同じ報告が続く失敗です。報告には、必ず次に手を打つ分類と案を入れ、誰がいつまでに何をするかまで決めます。
改善のあとに効果を確かめない
よくある質問のページを作った、案内の文を直した、という改善のあとに、その分類の件数が減ったかを確かめない失敗です。効果を確かめなければ、改善が正しかったのか分かりません。改善した日を記録しておき、前後の件数を比べます。
個人情報と、迷惑な問い合わせの記録の扱い
問い合わせの記録には、お客様の名前やメールアドレス、相談の中身など、個人情報が含まれます。分析のために記録を使うときは、個人情報の扱いに気をつけます。
個人情報保護法の第18条には、次のように書かれています。
個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。 出典: e-Gov法令検索(個人情報保護法)
言い換えると、事業者は、あらかじめ決めて示した使い道の範囲を超えて、本人の同意なしに個人情報を使ってはいけない、ということです。問い合わせの記録を分析に使う場合は、プライバシーポリシーなどで示している利用目的の範囲に収まっているかを確かめます。
分析の作業では、名前やメールアドレスなど、分析に要らない項目を外した表を使うと、情報が漏れる危険を減らせます。社内で報告を共有するときも、お客様が特定できる情報は載せないようにします。
問い合わせの中には、度を越えた暴言や、長時間にわたって同じ要求を繰り返すような、迷惑な行為にあたるものもあります。厚生労働省によると、労働施策総合推進法などの改正により、カスタマーハラスメントの防止のための措置が事業主の義務になり、令和8年10月1日から施行されています。こうした問い合わせを受けたときの記録の残し方や、担当者を守る手順も、問い合わせの管理の仕組みに組み込んでおくことが大切です。くわしくは厚生労働省の職場におけるハラスメントの防止のページで確かめられます。
表計算で回すのが苦しくなったら
問い合わせの件数が少ないうちは、表計算ソフトの表で記録と分析を回せます。しかし、件数が増えたり、複数の担当者で対応したりするようになると、表計算の運用には限界が出てきます。担当者がそれぞれ表を書き換えるうちに、書き方がばらばらになる、返信したかどうかの記入が漏れる、メールソフトでの返信と表の状況がずれる、といったことが起きやすくなります。こうなると、分析の元になる記録そのものが信用できなくなります。
このような場面では、問い合わせの受付から返信までを1つにまとめた道具を使う方法があります。たとえばHalictは、フォームを作って問い合わせを受け付け、届いた1件ごとに担当と状況(ステージ)を付けて管理し、同じ画面から返信まで送れる道具です。公式サイトの機能のページでは、担当者・タグ・期間・全文検索での絞り込み、ステージの変更や担当者の割り当て、タグの追加、メモ、メールの送信が時系列で残ること、回答と運営の情報をCSVに書き出せること、新しい回答をGoogleスプレッドシートに1行ずつ追記できることなどが紹介されています。メールアドレスをもとに、同じ人の複数の回答を1人として束ねる機能もあるとされています。
分析の観点では、受付の日時、担当、状況、タグがそろった形で記録が残ることが、そのまま分析の土台になります。この記事で説明した分類のコードをタグとして決めておけば、CSVに書き出して、表計算ソフトのピボットテーブルで集計できます。公式の料金のページでは、フォームの数も受け取る回答の数も、どのプランでも無制限とされ、よくある質問のページでは、フリープランは1人で使えると説明されています。
Halictは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
運営者として見てきた、問い合わせを活かせる組織
在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、問い合わせを事業の改善に活かせている組織には、共通点があります。それは、問い合わせを「処理して終わる仕事」ではなく、「お客様が教えてくれる改善の材料」として扱い、記録を続けていることです。
問い合わせ分析は、一度やって終わるものではありません。分類のコードを決め、記録を続け、月に1回でも数字を見直す習慣があるかどうかで、1年後に見えてくるものが大きく変わります。地道な記録を続けた組織ほど、よくある質問のページが育ち、同じ問い合わせが減り、担当者がより難しい相談に時間を使えるようになっていきます。
こうした分析と改善の仕事は、外部の人に手伝ってもらうこともできます。手数料のかからない直接のやりとりでは、依頼する側は同じ予算でより多くの作業を頼め、受ける側は手取りが厚くなります。毎月の集計と報告のように、継続して頼まれやすい仕事は、こうした直接の関係が長く続く分野です。
データの集計や分析の報告を仕事として受けたい人は、マーケ戦略・分析・レポート作成のお仕事で、どんな依頼があるかを確かめられます。問い合わせのフォームやWebサイトの改善まで手伝う仕事は、Webサイトコンサル・保守・分析のお仕事で紹介しています。経営の視点から業務の改善を支える力を体系的に身につけたい場合は、中小企業診断士の資格の内容も参考になります。
よくある質問
Q. 問い合わせ分析は何から始めればよいですか?
まず、問い合わせを1件ごとに同じ形で記録する仕組みを作ることから始めます。受付の日時、経路、問い合わせの種類、担当者、対応の状況、最初の返信と完了の日時を、表計算ソフトの1件1行の表にそろえるだけでも、件数と内容の分析ができるようになります。分類のコードは、過去の問い合わせを読んでから決めると実態に合います。
Q. 問い合わせの分類はいくつくらいに分ければよいですか?
最初は大きな分類を5つから8つ程度にするのが扱いやすいです。分類が多すぎると、担当者が迷って同じ内容が別々の分類に入ってしまいます。「その他」に入る件数が全体の1割を超えるようになったら、新しい分類を作るか、分類の名前を見直す合図です。
Q. 分析の結果をよくある質問のページに活かすにはどうすればよいですか?
分類ごとの件数の上位から質問の候補を選び、お客様が使っている言葉で質問の文を書きます。答えは結論を先に書き、手順は番号を付けて並べます。公開したあとに、その分類の問い合わせの件数が減ったかを確かめ、減っていなければページの場所や書き方、フォームからの案内を見直してください。
Q. 問い合わせの記録を分析に使うときに気をつけることはありますか?
問い合わせの記録には個人情報が含まれるので、プライバシーポリシーなどで示している利用目的の範囲で使うことが大切です。分析の作業では、名前やメールアドレスなど分析に要らない項目を外した表を使い、社内で報告を共有するときもお客様が特定できる情報を載せないようにしてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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