合意形成の進め方|意見が割れたときにまとめる手順とコツ


この記事のポイント
- ✓立場や意見の違う人たちが話し合い
- ✓全員が納得して動ける結論にたどり着くことです
- ✓決めた後の共有までの手順と
会議で意見が割れて結論が出ない。声の大きい人の意見で決まってしまい、後から「聞いていない」「納得していない」と不満が出る。チームで仕事を進めていると、こうした場面に何度も出会います。合意形成は、立場や意見の違う人たちが話し合い、全員が納得して動ける結論にたどり着くための進め方です。全員の意見が最初から一致している必要はなく、違いを前提にして、手順を踏んで結論を出すことに意味があります。この記事では、合意形成の意味と、うまくいく合意とそうでない合意の違い、準備から決めた後の共有までの手順、意見が割れたときの進め方、会議やオンラインでのコツを順に説明します。論点ごとの話し合いと決まったことをチームで共有する道具として、ボードで進み具合を見渡せるPinatecaを使う方法もあわせて紹介します。
合意形成とは何か
合意形成とは、関係する人たちが意見を出し合い、話し合いを通じて、全員が受け入れられる結論を作り上げていくことです。英語ではコンセンサス・ビルディングと呼ばれます。職場では、新しい仕事の進め方を決めるとき、予算の配分を決めるとき、部署をまたいだ企画を進めるとき、取引先と条件を決めるときなど、さまざまな場面で必要になります。
多数決や上からの指示との違い
物事の決め方には、合意形成のほかに、多数決や、責任者が1人で決めて指示する方法もあります。
| 決め方 | 特徴 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 責任者が決める | 速い。少数の意見は反映されにくい | 緊急の判断、責任の所在がはっきりしている事柄 |
| 多数決 | 公平に見えるが、少数派の不満が残りやすい | 選択肢がはっきりしていて、どれを選んでも大きな害がない事柄 |
| 合意形成 | 時間がかかるが、決めた後の実行がスムーズ | 多くの人の協力が必要で、決めた後に全員が動く事柄 |
合意形成は時間がかかる決め方です。そのため、すべての事柄を合意形成で決める必要はありません。決めた後に多くの人が動く必要がある事柄、関係者の仕事のやり方が大きく変わる事柄ほど、合意形成に時間をかける価値があります。逆に、緊急の判断や、責任者が決めるべき事柄まで合意形成で進めようとすると、決定が遅れ、かえって混乱を招きます。どの決め方を使うかを、事柄ごとにあらかじめ決めておくと、毎回「これは話し合うべきか」で迷わずに済みます。たとえば、チーム全員の働き方が変わる事柄は合意形成、日々の作業の割り振りは責任者が決める、といった分け方です。
合意は「全員が賛成」ではない
合意形成というと、全員が心から賛成する結論を目指すものと思われがちですが、実際にはそうではありません。目指すのは、「自分の第一希望ではないが、この結論なら受け入れて協力できる」と全員が言える状態です。全員の第一希望が一致することはまれで、それを求めると話し合いが終わりません。反対の意見を持っていた人も、自分の意見が十分に聞かれ、検討されたと感じれば、結論を受け入れやすくなります。
良い合意形成の基準
人材育成や組織づくりを支援する会社のコラムは、良い合意形成かどうかを判断する基準について次のように書いています。
目的の達成具合によってわかります。たとえ満場一致で合意形成をした上で行動したとしても、その結果失敗していれば「良い合意形成だった」とは思えないのが実際のところでしょう。逆にいずれかが妥協した上でも、結果的に目的を達成できれば、その合意形成は成功したものとみなされるはずです。 出典: sofia-inc.com
全員が気持ちよく賛成したかどうかより、決めたことを実行して目的に近づけたかどうかが、合意形成の本当の成果です。話し合いの場の雰囲気をよくすることだけに気を取られず、何のために合意するのかを常に確かめることが大切です。
職場で合意形成が求められる背景
近年、職場で合意形成の進め方が注目されているのには理由があります。1つは、仕事の進め方が多様になり、立場や働き方の違う人が一緒に仕事をする場面が増えたことです。正社員、契約社員、パートタイム、業務委託のフリーランス、取引先の担当者など、雇用の形も所属も違う人が同じ企画に関わると、それぞれの立場から見える課題や優先順位が異なります。
もう1つは、在宅勤務やオンライン会議が広がり、顔を合わせて雑談をしながら少しずつ意見をすり合わせる機会が減ったことです。以前なら廊下や休憩室で自然に済んでいた事前の相談がなくなり、会議の場で初めて意見の違いが表に出ることが増えました。
働く人自身も、職場の人間関係や日々の業務の改善についての話し合いを重視しています。厚生労働省の調査は、労働者が会社とのコミュニケーションで重視する内容について次のように報告しています。
労働者が労使コミュニケーションを重視する内容(複数回答)についてみると、「職場の人間関係」66.0%(同 66.2%)が最も多く、次いで「日常業務改善」59.0%(同 57.7%)、「作業環境改善」52.5%(同 52.0%)などとなっている 出典: mhlw.go.jp(令和6年 労使コミュニケーション調査)
労使コミュニケーションとは、会社と働く人の間の意思疎通のことです。日々の業務の改善や作業の環境といった、仕事の進め方そのものについて話し合いたいと考える人が多いことが分かります。こうした話し合いで結論を出し、全員が動ける形にするのが、合意形成の役割です。
合意形成の準備
合意形成の成否の半分は、話し合いを始める前の準備で決まります。準備を飛ばしていきなり会議を開くと、論点がずれたまま時間だけが過ぎていきます。
何を決めるのかを1文で書く
最初に、話し合いで何を決めるのかを1文で書きます。「新しい受付の手順をどうするか」では範囲が広すぎます。「来月から、問い合わせの受付を電話とメールのどちらに一本化するかを決める」のように、決める対象と、いつまでに決めるのかを明確にします。決める対象がはっきりしていないと、参加者はそれぞれ違うことを話し合っていることになり、合意にたどり着けません。
関係者を洗い出す
決めたことの影響を受ける人、決めたことを実行する人、決める権限を持つ人を洗い出します。影響を受けるのに話し合いに呼ばれなかった人は、後から結論に反対しやすくなります。全員を会議に呼べない場合でも、事前に意見を聞く、決まった後に理由を説明する、といった形で関わってもらいます。
決め方を先に決める
話し合いの最後にどうやって結論を出すのかを、事前に参加者と共有しておきます。全員の合意を目指すのか、合意に至らなければ責任者が決めるのか、期限までに決まらなければどうするのか。決め方が決まっていないと、議論が長引いたときに「誰が決めるのか」でもめることになります。「話し合いで出た意見をもとに、最終的には部長が判断する」と最初に伝えておけば、参加者は自分の意見を伝えることに集中できます。
材料をそろえる
話し合いに必要な情報を事前に集め、参加者に配っておきます。現状の数字、過去の経緯、他社や他部署の例、選択肢ごとの費用の見積もりなどです。同じ情報を全員が持っていないと、話し合いは「知っている人」と「知らない人」の間の説明に時間を取られ、本題に入れません。
合意形成の進め方6ステップ
準備ができたら、次の6つの段階で話し合いを進めます。
- 目的を共有する
- 論点を整理する
- 意見を出し尽くす
- 選択肢を比べる
- 結論を決める
- 決めたことを確かめ、共有する
ステップ1 目的を共有する
話し合いの冒頭で、何のために決めるのかを確かめます。「問い合わせの受付を一本化する」のが目的なのではなく、「お客様への返信を早くし、担当者の負担を減らす」のが目的で、受付の一本化はその手段です。目的を共有しておくと、意見が割れたときに「どちらが目的に近いか」という共通の物差しで比べられるようになります。
ステップ2 論点を整理する
決める事柄を、いくつかの論点に分けます。受付の一本化であれば、「どの方法に一本化するか」「いつから切り替えるか」「お客様にどう知らせるか」「切り替えの期間中はどう対応するか」といった論点が考えられます。論点を分けずに話し合うと、ある人は方法の話をし、別の人は時期の話をする、というすれ違いが起きます。ホワイトボードや共有の画面に論点を書き出し、今どの論点を話しているのかを全員に見える形にします。
ステップ3 意見を出し尽くす
論点ごとに、参加者全員の意見を出してもらいます。このとき大切なのは、意見を出す段階と、意見を評価する段階を分けることです。意見が出るたびに「それは無理だ」「前にやって失敗した」と否定されると、参加者は発言をためらうようになります。まずは評価をせずに出し尽くし、出そろってから比べます。発言の少ない人には、順番に指名して意見を聞く、付箋に書いてもらう、事前に意見を集めておく、といった工夫で、意見を出しやすくします。
意見を聞くときは、賛成か反対かという立場だけでなく、その理由を聞くことが重要です。表に出ている主張の裏には、「担当者の負担が増えるのが心配」「お客様からの苦情が怖い」といった関心や不安があります。主張は対立していても、その奥にある関心は両立できることが多く、そこに合意の糸口があります。
ステップ4 選択肢を比べる
意見が出そろったら、選択肢として整理し、比べます。比べるときは、ステップ1で共有した目的に照らして、評価の基準を決めます。たとえば「お客様への返信の速さ」「担当者の負担」「切り替えの費用」「お客様の使いやすさ」の4つを基準にし、選択肢ごとに評価を書き込んだ表を作ります。
| 基準 | 電話に一本化 | メールに一本化 | 問い合わせフォームに一本化 |
|---|---|---|---|
| 返信の速さ | その場で答えられる | 返信まで時間がかかる | 返信まで時間がかかる |
| 担当者の負担 | 電話の対応で作業が中断される | まとめて対応できる | 内容が整理された状態で届く |
| 切り替えの費用 | 追加の費用は少ない | 追加の費用は少ない | フォームの準備が必要 |
| お客様の使いやすさ | 高齢のお客様に好まれる | 記録が残る | 入力の手間がある |
表にすると、それぞれの選択肢の良い点と悪い点が並び、議論が感情ではなく基準に沿って進むようになります。どの選択肢にも欠点があることが見えると、「欠点をどう補うか」という建設的な議論に移りやすくなります。
ステップ5 結論を決める
比べた結果をもとに、事前に決めておいた決め方で結論を出します。全員の合意を目指す場合は、「この結論で進めることに、どうしても受け入れられない人はいますか」と確かめます。賛成かどうかを聞くのではなく、受け入れられないかどうかを聞くのがこつです。「賛成ですか」と聞かれると、少しでも引っかかりがある人は手を挙げにくくなりますが、「受け入れられない人はいますか」と聞けば、協力できる人は黙っていればよく、本当に困る人だけが声を上げられます。受け入れられないという人がいれば、何があれば受け入れられるのかを聞き、結論に条件を加えて調整します。
ステップ6 決めたことを確かめ、共有する
結論が出たら、何が決まったのか、誰が何をいつまでにするのかを、その場で読み上げて確かめます。会議が終わった後で「そういう意味だと思っていなかった」という食い違いが起きるのを防ぐためです。決まったことと、その理由、話し合いに参加しなかった関係者への説明の方法も、記録に残して共有します。記録の残し方は、後の節で詳しく説明します。
意見が割れたときの進め方
話し合いをしていると、どうしても意見が真っ二つに割れる場面があります。そのときに試したい方法を紹介します。
対立している点を細かく分ける
大きな対立に見えても、細かく分けると、実は一部分でしか意見が違っていないことがよくあります。「新しい仕組みを入れるかどうか」で割れているように見えて、実際には「入れること自体には全員賛成だが、時期で意見が違う」ということもあります。対立している点を細かく分け、合意できている部分と、まだ合意できていない部分を分けて書き出すと、話し合うべき範囲が狭まります。
主張の奥の関心を聞く
先ほど述べたように、主張の奥にある関心を聞くと、両立の道が見えてきます。「電話の受付は残すべきだ」と主張する人の関心が「電話でしか連絡できないお客様を取り残したくない」ということなら、「受付はフォームに一本化し、電話は折り返しの専用にする」という第3の案が生まれるかもしれません。
試しにやってみる
どちらの案が良いか、話し合いだけでは決めきれない場合は、期間を区切って試してみる方法があります。「まず1か月、メールに一本化してみて、返信の速さと担当者の負担を測ってから、続けるかどうかを決める」とすれば、反対している人も「試すだけなら」と受け入れやすくなります。試す期間と、続けるかどうかを判断する基準を、事前に決めておくことが大切です。
時間をあける
議論が感情的になったときは、無理に結論を出そうとせず、いったん話し合いを止めて時間をあけます。数日おいて、それぞれが考えを整理してから再開すると、落ち着いて話し合えることがあります。その間に、対立している人と個別に話を聞いておくと、会議の場では言いにくかった本音が分かることもあります。
決め方に戻る
どうしても合意に至らない場合は、事前に決めておいた決め方に従います。責任者が判断する、多数決で決める、といった方法です。決め方が事前に共有されていれば、結論に反対だった人も、手続きとしては受け入れやすくなります。このとき、責任者は、反対意見をどう受け止めたのか、なぜその結論にしたのかを説明します。
合意形成でよくある失敗
合意形成がうまくいかないときには、いくつかの決まった型があります。自分たちの話し合いが当てはまっていないかを確かめてみてください。
決まったように見えて決まっていない
会議の終わりに「では、その方向で」と言って解散したものの、具体的に何が決まったのか、誰が何をするのかが曖昧なまま、という失敗です。参加者はそれぞれ違う解釈で持ち帰り、数週間後に「そういう話ではなかった」ともめることになります。結論は必ず文章にして読み上げ、担当と期限を決めてから会議を終えます。
根回しで決まっている
会議の前に関係者の一部だけで結論が決まっていて、会議は形だけの承認の場になっている、という状態です。事前の相談そのものは悪いことではありませんが、会議に参加した人が「自分たちの意見は最初から聞くつもりがなかった」と感じると、結論への協力が得られなくなります。事前に相談した内容は「現時点の案」として会議で示し、参加者の意見で変わる余地を残しておきます。
反対意見が出ないことを合意と思い込む
会議で誰も反対しなかったからといって、全員が納得したとは限りません。役職の差や雰囲気から、反対を言い出せなかっただけかもしれません。会議の後で個別に感想を聞く、匿名で意見を出せる方法を用意する、といった形で、表に出ない反対がないかを確かめます。
妥協で目的を見失う
意見の違う人たちの顔を立てようとして、それぞれの案を少しずつ取り入れた結果、どの目的も満たさない中途半端な結論になることがあります。全員が少しずつ納得していても、目的が達成できなければ良い合意とは言えません。調整に迷ったときは、最初に共有した目的に戻り、どの案が目的に最も近いかで判断します。
決めた後に見直さない
合意した結論を実行してみたら、思ったような効果が出なかった、ということはよくあります。そのときに「一度決めたことだから」と見直しを避けると、問題が大きくなります。合意の段階で、いつ、どの基準で結果を振り返るかを決めておけば、見直しも合意の一部として自然に行えます。
場面ごとの合意形成の例
合意形成の進め方は、場面によって重点が変わります。職場でよくある3つの場面を例に、どこに気をつけるかを示します。
部署をまたいだ業務の分担を決める
営業部と事務部門の間で、見積書の作成をどちらが担当するかを決める場面です。両部署とも「相手がやるべきだ」と考えていることが多く、立場の主張だけでは平行線になります。まず、見積書の作成にかかる作業を細かく分け、それぞれの作業に必要な情報を誰が持っているかを書き出します。そのうえで、「価格の判断は営業、書類の作成と送付は事務」のように、作業ごとに分担を決めると、どちらか一方に押しつける形を避けられます。決めた分担は、試しに1か月運用してから見直すと、両部署とも受け入れやすくなります。
取引先と条件を決める
取引先と納期や価格を決める場面では、お互いの会社の事情を背負っているため、譲れる範囲に限りがあります。最初に、自社として絶対に譲れない条件と、調整できる条件を社内で整理しておくことが大切です。話し合いでは、相手の条件の理由を聞き、「納期を1週間延ばせるなら、価格はこの水準で受けられる」のように、複数の条件を組み合わせて調整すると、双方が受け入れられる結論にたどり着きやすくなります。合意した内容は、打ち合わせの後に文章で送り、確認の返事をもらっておきます。
チームの決まりごとを作る
在宅勤務の日の連絡のルールや、会議の進め方など、チームの決まりごとを作る場面です。こうした決まりは全員の毎日の働き方に関わるため、一部の人だけで決めると守られにくくなります。全員から困っていることを集め、困りごとを解消するための決まりの案を出してもらい、試しに運用してから正式に決める、という流れが向いています。決まりは少ない数から始め、必要になったら追加するほうが、全員が覚えて守りやすくなります。
合意した内容の残し方
合意は、記録に残して初めて全員の共通の約束になります。会議の議事録やメモに、次の項目を残しておくと、後から読み返したときにも何がどう決まったのかが分かります。
- 決めた事柄と結論。何について、どう決まったのかを1〜2文で
- 結論に至った理由。比べた選択肢と、選んだ理由
- 出た反対意見と、その扱い。どのような懸念があり、どう対応することにしたのか
- 実行すること。誰が、何を、いつまでに行うのか
- 振り返りの時期と基準。いつ、何を見て、続けるかどうかを判断するのか
- 参加しなかった関係者への伝え方。誰が、いつまでに説明するのか
特に大切なのが、反対意見とその扱いを残すことです。反対した人の懸念が記録に残っていれば、本人は自分の意見が無視されなかったと感じられます。また、実行してみて懸念が当たった場合に、すぐに対応を見直すきっかけになります。記録は会議の当日中に共有し、内容に誤りがないかを参加者に確かめてもらいます。数日たってから共有すると、記憶が薄れて確認が難しくなるためです。
合意形成を進める人の役割
話し合いを進める役割の人をファシリテーターと呼びます。ファシリテーターとは、話し合いの中身に意見を言うのではなく、話し合いがうまく進むように手助けをする人のことです。
中立を保つ
ファシリテーターは、特定の意見に肩入れせず、全員の意見を公平に扱います。ファシリテーター自身が結論に強い意見を持っている場合は、別の人に進行を任せるか、自分の意見を述べるときは「進行役としてではなく、1人の参加者として」と断ってから話します。
発言の量をそろえる
話し合いでは、声の大きい人や役職の高い人の発言が多くなりがちです。ファシリテーターは、発言の少ない人に話を振る、1人の発言が長くなったら要点をまとめて次の人に移る、といった形で、発言の量をそろえます。役職の高い人には、最初に意見を言うと他の人が反対しにくくなるため、最後に話してもらうよう事前にお願いしておく方法もあります。
見える形にする
出た意見や論点を、ホワイトボードや共有の画面に書き出していきます。発言が書き出されると、話し合いの流れが全員に見え、同じ話の繰り返しが減ります。書き出すときは、発言した人の言葉をできるだけそのまま使い、勝手に言い換えないことが大切です。
時間を管理する
論点ごとに時間の目安を決め、時間が来たら次に進むか、延長するかを参加者に確かめます。1つの論点に時間を使いすぎて、肝心の結論を出す時間がなくなるのは、よくある失敗です。
日頃の関係づくりが合意形成を速くする
合意形成は、会議の場の技術だけで決まるものではありません。日頃から相談しやすい関係があるかどうかで、話し合いの速さと質が大きく変わります。先ほどのコラムは、職場の調査の結果をもとに次のように書いています。
よっつ目は、関係性づくりの機会を意図的に設計することです。弊社ソフィアの調査では、「部門横断の交流会」72%、「職場内対話会」71%が継続希望として高く評価され、雑談や立ち話が業務にプラスという回答も56%ありました。関係性は雑談の延長に見えますが、実際には「相談しやすさ」「連携しやすさ」を通じて、合意形成の速度と質に影響します。 出典: sofia-inc.com
普段から部署をまたいで話す機会があれば、会議の前に「こういう案を考えているが、どう思うか」と気軽に相談できます。事前に相談されていれば、会議の場で初めて聞いた案に反発することも減ります。日頃の関係づくりは遠回りに見えて、合意形成の時間を短くするいちばん確かな方法です。
会議とオンラインでのコツ
合意形成の話し合いは、対面の会議とオンライン会議で気をつける点が少し違います。
対面の会議
対面では、表情や声の調子から相手の気持ちが読み取りやすい反面、その場の空気に流されやすいという面もあります。反対意見を言いにくい雰囲気になっていないかに気を配り、「反対の立場から見るとどうか」と、あえて別の視点を出してもらう時間をとるのも効果的です。会議室のホワイトボードに論点と意見を書き出し、終わったら写真に撮って共有すると、記録の手間も省けます。
オンライン会議
オンラインでは、発言のタイミングがつかみにくく、話す人が偏りやすくなります。発言の順番を決めて全員に意見を聞く、チャットの欄に意見を書いてもらう、といった工夫で、全員が意見を出せるようにします。画面の共有で論点の一覧を映し続けると、今どこを話しているのかが全員に見えます。顔が見えないと反応が分かりにくいため、要所で「ここまでで疑問や反対はありますか」と確かめる回数を、対面のときより多くします。
会議の外の話し合い
すべての議論を会議の時間内で済ませる必要はありません。論点ごとに文章で意見を出し合う場を設けておけば、会議の前に意見の違いを把握でき、会議の時間を結論を出すことに使えます。文章で意見を出す場では、じっくり考えてから書けるため、会議では発言しにくい人の意見も集まりやすくなります。
論点と決まったことを共有する方法
合意形成の話し合いは、1回の会議で終わるとは限りません。論点ごとに何度か話し合いを重ねる場合や、会議の外でも意見をやり取りする場合は、「どの論点がまだ決まっていないのか」「何がいつ決まったのか」「誰が次に何をするのか」が分からなくなりがちです。チャットの流れの中で決まったことは、後から探すのが難しく、参加しなかった人に伝わりにくくなります。
論点ごとの話し合いと、決まったことの実行を複数人で共有したい場合の選択肢の1つが、ボードで仕事を進めるプロジェクト管理のPinatecaです。公式の案内によると、Pinatecaではカンバン、ガントチャート、カレンダー、リストのほか、論点ごとに立てて決まるまで話すためのディスカッションボードを含む8種類のボードを、無料のプランから使えます。5人までのチームならボード10個まで無料と案内されています。論点を1つずつディスカッションボードに立てて意見を出し合い、決まったことをカンバンのカードにして担当者と期限を付ければ、話し合いの経緯と、決まった後の実行がつながった形で残ります。カードのコメントには経緯が残り、横断検索でカードやコメントをまたいで探せるため、「あの件はなぜこう決めたのか」を後から確かめるときにも役立ちます。Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
合意形成の力が生きる仕事
合意形成を進める力は、社内の会議だけでなく、外部の人と一緒に仕事を進める場面で大きな価値を持ちます。業務委託の仕事を紹介するサイトでも、部署をまたいだ業務の見直しや、新しい仕組みの導入を支援する依頼では、関係者の意見を聞き取り、合意を取りながら進める力が求められています。
社内の業務の流れを整理し、関係者と合意を取りながら新しい道具の導入を進める支援の仕事は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で、依頼の種類と求められる経験を紹介しています。会社の経営課題を診断し、経営者や社員と話し合いながら改善策をまとめる専門家としては、国家資格の中小企業診断士があります。在宅勤務の広がりで、オンラインでの合意形成が欠かせなくなった職場も多く、在宅勤務の環境を整える会社向けの支援制度は、テレワーク 助成金 2026で紹介しています。
在宅ワークとフリーランスの仲介を20年あまり続けてきた運営者として見てきた限りでは、発注する側と受ける側の間で起きるもめごとの多くは、仕事の範囲や修正の回数についての合意が曖昧なまま作業が始まったことに原因があります。最初の打ち合わせで、何を目的に、何を、どこまで、いつまでに行うのかを文章で確かめ合っておくと、後の食い違いは大きく減ります。仲介の手数料が上乗せされない直接の取引では、双方が条件を直接話し合える分、合意の中身を細かく詰めやすいという利点もあります。合意形成の手順は、社内の会議だけでなく、社外の人と気持ちよく仕事を続けるための基本でもあります。
よくある質問
Q. 合意形成と多数決はどう違うのですか?
多数決は賛成の多い案に決める方法で、速く公平に見える反面、少数派の不満が残りやすい決め方です。合意形成は、意見の違いを話し合いで調整し、第一希望でなくても全員が受け入れて協力できる結論を目指します。時間はかかりますが、決めた後に多くの人が動く事柄では、実行がスムーズになるという利点があります。
Q. 意見が真っ二つに割れたときはどうすればよいですか?
対立している点を細かく分け、合意できている部分と、まだ合意できていない部分を分けて書き出すことから始めます。主張の奥にある関心や不安を聞くと、両方の関心を満たす第3の案が見つかることもあります。話し合いで決めきれない場合は、期間と判断の基準を決めて試してみる方法や、事前に決めた決め方に従う方法があります。
Q. 会議で発言しない人の意見はどう集めればよいですか?
順番に指名して全員に意見を聞く、付箋やチャットに書いてもらう、会議の前に文章で意見を集めておく、といった方法があります。意見を出す段階では評価や否定をしないと決めておくと、発言のためらいが減ります。役職の高い人に最後に話してもらうよう頼んでおくと、他の人が先に本音を出しやすくなります。
Q. 合意形成にかかる時間を短くするこつはありますか?
何を決めるのか、どう決めるのかを事前に共有し、必要な資料を前もって配っておくことが効果的です。論点を分けて1つずつ話し合い、時間の目安を決めて進めると、議論が横道にそれにくくなります。日頃から部署をまたいで相談しやすい関係をつくっておくと、会議の前に意見の違いが分かり、話し合いが速く進みます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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