調剤薬局の1日の流れ|朝から終業までの動き方を追う


この記事のポイント
- ✓調剤薬局の1日の流れを
- ✓開局前の準備から午前のピーク
- ✓閉局後の締め作業まで時間に沿って整理しました
調剤薬局の1日の流れは、一言でいえば「隣の医療機関の診療時間に合わせて、波が2回来る仕事」です。午前の診療が終わるころに1回目の山があり、午後の診療が終わるころにもう1回の山が来ます。その間の時間に、薬歴の記載、医薬品の発注、在宅訪問といった、患者さんからは見えない仕事が詰め込まれています。
調剤薬局への就職や転職を考えている人にとって、この「波」と「波の間」をどう過ごすかを知っておくことは、職場選びそのものに直結します。同じ調剤薬局でも、門前の医療機関の診療科、1日に受ける処方箋の枚数、薬剤師と事務スタッフの人数によって、1日の密度はまったく違うからです。この記事では、開局前から閉局後までの流れを時間に沿って追い、薬剤師と調剤事務がそれぞれ何をしているのか、どこに忙しさの差が生まれるのかを整理します。
調剤薬局の1日を決める「門前」と「処方箋枚数」
1日の流れを追う前に、調剤薬局の忙しさを決める2つの前提を押さえておきます。ここを知らないまま「調剤薬局の1日」を語っても、実態とずれた話になるからです。
1つ目の前提は、処方箋がどこから来るかです。調剤薬局の多くは、特定の病院やクリニックの近くに店を構え、そこから出る処方箋を中心に受ける形で営業しています。いわゆる門前薬局です。この場合、薬局の開局時間も、混む時間帯も、扱う薬の種類も、門前の医療機関の診療時間と診療科でほぼ決まります。内科のクリニックの前なら慢性疾患の長期処方が多く、小児科の前なら散剤やシロップの調剤が多く、皮膚科の前なら軟膏の混合が増えます。大きな病院の前にある薬局は、診療科が多いため処方の種類が幅広く、抗がん剤や注射薬のような専門性の高い薬を扱う場面もあります。
一方で、地域のさまざまな医療機関から処方箋を受ける薬局もあります。住宅地の中にある薬局や、ドラッグストアに併設された調剤コーナーがその例です。この形では、特定の時間に患者さんが集中しにくい代わりに、どの医療機関の処方にも対応できるよう、幅広い在庫を持つ必要があります。
2つ目の前提は、処方箋の枚数と人員の関係です。薬局の薬剤師の人数には基準があり、1日平均の処方箋の取扱枚数40枚につき薬剤師1人を置くことが目安とされています。つまり、1日に120枚の処方箋を受ける薬局なら、薬剤師は少なくとも3人必要という計算です。ただし、これはあくまで最低限の目安で、実際には在宅訪問や休憩の交代を考えると、基準ぎりぎりの人数では現場が回りにくくなります。
正直なところ、求人票に「処方箋枚数」と「薬剤師数」の両方が書かれていない薬局は、1日の忙しさを読み取るのが難しいと考えたほうがよいでしょう。この2つの数字の組み合わせが、1日の流れの密度をほぼ決めているからです。
開局前:8時半から9時までの準備
ここからは、平日の9時に開局し、18時半に閉局する、内科系クリニックの門前薬局を例に1日を追っていきます。
出勤は開局の30分ほど前です。最初にするのは、店内の機器と環境の確認です。冷所保存が必要な薬を入れている冷蔵庫の温度を確かめて記録し、錠剤を1回分ずつまとめる分包機や、散剤を量る電子天秤が正常に動くかを点検します。調剤台や監査台を整え、レジに釣り銭を用意します。
次に、医薬品の納品を受け取ります。前日の夕方に医薬品卸へ発注した薬が、朝の便で届くことが多いからです。届いた箱を開けて、発注した品目と数量、使用期限、ロット番号を照合し、それぞれの棚に収めていきます。この検品の作業は、薬剤師だけでなく調剤事務のスタッフが担当している薬局も多くあります。
開局前には、その日の予定の共有もします。前日から預かっている処方箋で、薬が足りずに後から届ける約束をしている患者さんがいないか。その日に在宅訪問をする患者さんは誰で、誰が何時に出るのか。昼休みの交代の順番はどうするか。小さな薬局では朝礼というほどの形式はなくても、数分の声かけでこれらを確認しておくと、ピークの時間帯に慌てずに済みます。
最近は、オンラインで資格確認を行うマイナ保険証や、電子処方箋に対応している薬局が増え、開局前にシステムが正常に接続できるかを確かめる作業も加わりました。レセプトコンピューター、電子薬歴、資格確認の端末がつながっていないと、受付そのものが止まってしまうからです。
開局前の30分は短いですが、ここで準備が抜けると、午前のピークに在庫切れや機器のトラブルが重なり、患者さんを待たせることになります。1日の流れの中で、実は最も「段取り力」が問われる時間帯です。
午前のピーク:処方箋を受けてから薬を渡すまで
開局して最初の1時間ほどは、比較的落ち着いています。門前のクリニックで診察を終えた患者さんが薬局に来るまでには、少し時間があるからです。この時間に、朝のうちに届いたFAXや電子処方箋で事前に送られてきた処方の準備を進めておく薬局もあります。
10時を過ぎると、患者さんが途切れなく訪れるようになり、11時から12時半ごろに1回目の山が来ます。この時間帯に、1枚の処方箋がたどる流れは次のとおりです。
まず受付です。調剤事務のスタッフが処方箋を受け取り、保険の資格を確認します。初めて来た患者さんには、アレルギーや副作用の経験、ほかに飲んでいる薬、妊娠や授乳の有無などを尋ねる問診票を書いてもらいます。お薬手帳を預かり、ジェネリック医薬品を希望するかも確認します。
次に入力です。処方箋の内容をレセプトコンピューターに入力し、薬剤料や調剤の手数料を計算します。入力の正確さは、そのまま月末の請求につながるため、調剤事務の腕の見せどころです。
そして調剤です。薬剤師が処方箋の内容を確認し、飲み合わせや用量に問題がないかを見たうえで、薬を棚から取りそろえます。錠剤をそのまま渡すこともあれば、飲み忘れを防ぐために1回分ずつ袋にまとめる一包化をすることもあります。散剤を量って混ぜる、軟膏を練り合わせる、シロップを量るといった作業も、この段階です。
処方の内容に疑問があれば、処方した医師に問い合わせる疑義照会を行います。用量が多すぎるように見える、ほかの医療機関で出ている薬と重なっている、といった場合です。電話がつながるまで調剤が止まるため、ピークの時間帯の疑義照会は、待ち時間が延びる大きな要因になります。
調剤が終わると監査です。調剤した人とは別の薬剤師が、処方箋と薬を1つずつ照らし合わせて間違いがないかを確認します。薬剤師が1人しかいない時間帯は、自分で調剤したものを時間をおいて見直すことになり、ここで慎重さが求められます。最近は、バーコードで薬を読み取って照合する監査システムを入れている薬局も増えています。
最後に服薬指導と交付です。薬剤師が患者さんに薬の飲み方、注意したい副作用、ほかの薬との飲み合わせを説明し、体調の変化や飲み残しがないかを聞き取ります。会計を済ませて、1枚の処方箋の流れが終わります。
ピークの時間帯は、この流れが同時に何本も走っています。受付に患者さんが並び、調剤台には処方箋が積まれ、監査を待つ薬がたまっていく。正直なところ、この1時間半の忙しさは、外から想像するよりかなり激しいものです。
調剤事務は1日をどう動いているか
薬剤師の動きに比べると、調剤事務の仕事は外から見えにくいものです。ただ、調剤薬局の現場では、事務スタッフの動きが1日の流れの速さを大きく左右します。調剤事務の仕事について、ある調剤薬局の運営会社は次のように紹介しています。
調剤事務は患者さんと最初にお話する”薬局の顔”であり、薬局の雰囲気は調剤事務が決めるといっても過言ではありません。 出典: cosmos-ph.co.jp
実際、調剤事務の1日は、受付と会計を軸に回ります。朝は検品と棚入れ、開局後は受付、保険の確認、処方箋の入力、会計を繰り返します。ピークの時間帯には、待っている患者さんに声をかけて待ち時間の目安を伝えたり、急いでいる患者さんの事情を薬剤師に伝えたりと、受付と調剤室の間の橋渡しも担います。
昼の落ち着いた時間には、電話の対応、医薬品卸への発注の補助、在庫の数量の確認、お薬手帳のシールの準備などを進めます。薬局によっては、薬剤師の指示のもとで、薬を棚から取りそろえる作業や、一包化した薬を数える作業の一部を事務スタッフが手伝うこともあります。薬剤師が患者さんとの対話や薬の確認に時間を使えるよう、薬剤師でなくてもできる作業を分担する流れが、ここ数年で広がってきました。
調剤事務の1日が大きく変わるのは、月の初めです。1か月分の調剤報酬を請求するレセプトの作業があり、原則として翌月の10日までに審査支払機関へ提出します。現在はオンラインでの請求が中心ですが、それでも手間がなくなったわけではありません。
オンラインで行うため、業務自体は簡素化されていますが、エラーが表示された場合は1件ずつ丁寧に修正していく必要があります 出典: cosmos-ph.co.jp
月の初めの数日間は、通常の受付や会計と並行して、入力の誤りや保険の情報の不備を1件ずつ確かめる作業が入ります。この時期に休みを取りにくい薬局もあるので、調剤事務として働くなら、月の前半と後半で忙しさが違うことを知っておくと、働き方の見通しが立てやすくなります。
調剤事務の仕事に必要な知識を体系的に学んでおきたい人は、医療事務の資格の内容を見ておくと、受付から請求までの全体像がつかみやすくなります。医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)では、試験の範囲や受験の流れが紹介されていて、保険の仕組みや請求の考え方をどこから学べばよいかの目安になります。
昼の時間帯:休憩の交代と、見えない仕事
12時半を過ぎて門前のクリニックが昼休みに入ると、薬局にも落ち着いた時間が戻ってきます。ただし、薬局そのものは閉まらないことが多く、スタッフは交代で休憩を取ります。薬剤師が2人の薬局なら、1人ずつ1時間ずつ抜ける、といった形です。
この昼の時間帯に集中して片付けるのが、午前中に後回しにした仕事です。
代表的なのが薬歴の記載です。薬歴とは、患者さんごとに、どんな薬をいつ出したか、服薬指導で何を話したか、体調や副作用の訴えがあったかを記録するものです。ピークの時間帯は患者さんへの対応を優先するため、要点だけを残しておき、昼にまとめて書き上げる薬剤師が少なくありません。薬歴は次に同じ患者さんが来たときの判断材料になるうえ、調剤報酬の算定の根拠にもなるため、手を抜けない仕事です。
医薬品の発注も昼の仕事です。午前中に出た薬の在庫を確かめ、夕方や翌朝の便で届くように医薬品卸へ発注します。在庫を多く持ちすぎると使用期限切れの損失が出て、少なすぎると患者さんに薬を渡せなくなるため、発注の判断には経験が必要です。近年は一部の医薬品の供給が不安定になり、同じ成分の別の製品を探したり、近くの薬局と在庫を融通し合ったりする手間も増えました。
在宅訪問に出るのも、この時間帯が多くなります。通院が難しい患者さんの自宅や介護施設に薬を届け、飲み残しがないか、飲み方に困っていないかを確かめ、必要に応じて医師やケアマネジャーに報告します。在宅に力を入れている薬局では、昼の数時間を使って何件も回ることもあり、薬局に残る薬剤師の人数が一時的に減ります。
私が以前、知人の薬剤師に1日の流れを聞いたとき、「一番疲れるのはピークより、昼に在宅と薬歴と発注が全部重なった日」と話していました。患者さんの対応は終わりが見えるけれど、見えない仕事は後ろにずれていくだけだから、というのがその理由です。この話は、調剤薬局の1日を理解するうえで核心を突いていると感じます。ピークの忙しさは誰の目にも見えますが、薬局ごとの働きやすさの差は、むしろ昼の時間の使い方に出ます。
午後から夕方:2回目の山と、服薬のフォロー
15時に門前のクリニックの午後の診療が始まると、16時ごろから再び患者さんが増え、17時から閉局前にかけて2回目の山が来ます。仕事帰りの患者さんが多い時間帯なので、急いでいる人や、平日の昼には来られない若い世代の患者さんが増えるのが特徴です。
午後の山に入る前の時間には、服薬期間中のフォローを行う薬局が増えています。薬を渡して終わりではなく、新しい薬が始まった患者さんや、飲み方が複雑な患者さんに電話やアプリで連絡を取り、きちんと飲めているか、副作用が出ていないかを確かめる仕事です。医薬品に関する法律の改正で、薬剤師が必要に応じて服薬状況を把握し、指導することが求められるようになり、この「渡したあと」の仕事の比重が年々大きくなっています。
かかりつけ薬剤師として患者さんを担当している薬剤師は、この時間に、担当する患者さんの残薬や、ほかの医療機関で出ている薬の情報を整理することもあります。患者さんから電話で「この薬とサプリメントを一緒に飲んでもいいか」と相談を受けることもあり、午後は薬局の中での対話の仕事が増える時間帯です。
夕方の山が過ぎると、閉局に向けた準備が始まります。ただし、閉局の時刻ちょうどに駆け込んでくる患者さんもいるため、門前のクリニックの受付終了時刻と、薬局の閉局時刻の間にどれくらいの差があるかによって、実際に仕事が終わる時刻が変わります。クリニックの受付が18時まで、薬局の閉局が18時半という組み合わせだと、最後の患者さんの対応が閉局後にずれ込むことは珍しくありません。
求人票の勤務時間を見るときは、薬局の閉局時刻だけでなく、門前の医療機関の受付終了時刻も確かめておくことをおすすめします。この差が小さい薬局ほど、残業が発生しやすい構造にあるからです。
閉局後:締めの作業と翌日の準備
閉局後の30分から1時間ほどは、1日の締めくくりの作業にあてられます。
まずはレジの締めです。その日の売上と現金を照合し、差額がないかを確認します。調剤事務のスタッフが担当することが多い仕事です。
次に、薬歴の残りを書き上げます。午後の山で書き切れなかった分を、その日のうちに仕上げておく薬局が大半です。電子薬歴の導入が進み、服薬指導の内容を定型文から選んで記録できるようになったことで、以前に比べると時間は短くなってきましたが、患者さんごとの細かな気づきを残すには、やはり手で書き足す作業が必要です。
医薬品の管理も閉局後の大切な仕事です。麻薬や向精神薬など、法律で厳しく管理が求められる薬は、帳簿の数量と実際の在庫を確かめ、施錠できる場所に保管します。翌朝の便で届くよう、最後の発注もこの時間に済ませます。
最後に、調剤台や分包機を清掃し、翌日に来る予定の患者さんの処方の準備や、在宅訪問の薬のセットを進めて、1日が終わります。
ここまで追ってみると、調剤薬局の1日は「患者さんに薬を渡す時間」と「その裏で記録と在庫を整える時間」が交互に来る構造になっていることが分かります。求人票に書かれている勤務時間の中で、この裏の仕事をどこで片付ける設計になっているのかが、働きやすさを見分けるうえでの最大のポイントです。
曜日と時期で変わる流れ:土曜日、連休前、月初め
1日の流れは、曜日や時期によっても形を変えます。平日の1日だけを見て職場を判断すると、入ってから「思っていたより忙しい日がある」と感じることになりかねません。
まず土曜日です。門前のクリニックが土曜の午前だけ診療している場合、薬局も午前から昼過ぎまでの短い営業になります。時間は短いものの、平日に来られない患者さんが集中するため、密度は平日の午前より高くなる傾向があります。土曜は出勤する人数を減らしている薬局も多く、少ない人数で山を越えることになります。土曜の勤務が月に何回あるのか、そのときの人数は何人なのかは、求人票の休日の欄だけでは分からないので、面接で確かめたい点です。
次に、大型連休や年末年始の前です。医療機関が長く休む前には、患者さんが薬を多めにもらっておこうとするため、処方の日数が長くなり、1枚あたりの調剤に時間がかかります。慢性疾患の薬を2か月分や3か月分まとめて出す処方が増えると、一包化の作業量が一気に膨らみます。在庫も普段より多く必要になるので、連休前の数日は発注と検品の量も増えます。
連休明けの数日も、忙しくなりやすい時期です。休みの間に体調を崩した患者さんが一斉に受診し、門前のクリニックが混雑するため、薬局の山も大きくなります。
そして、先ほど触れた月の初めです。調剤事務のスタッフがレセプトの確認に時間を取られる数日間は、受付や入力を薬剤師が手伝う場面も出てきます。
季節の波もあります。冬はかぜやインフルエンザ、春は花粉症の患者さんが増え、診療科によっては処方箋の枚数が平常時より目に見えて増えます。夏は落ち着く薬局が多く、この時期に有給休暇を取りやすくしている職場もあります。
こうした波を知っておくと、休みの取りやすい時期や、忙しい時期に備えた体調管理の見通しが立てられます。見学に行くなら、できれば平日だけでなく、土曜日や月の初めの様子も聞いておくと、1年を通した働き方がより具体的に想像できます。
新人の1日は、どこから任されていくか
調剤薬局に入ったばかりの人の1日は、ここまで紹介した流れとは少し違います。いきなりすべての工程を担当するのではなく、段階を踏んで任される範囲が広がっていくのが一般的です。
新卒や未経験で入った薬剤師は、最初の数週間、薬の棚の配置を覚えることから始めます。どの薬がどこにあるのかが分からないと、ピークの時間帯に調剤の流れを止めてしまうからです。先輩の調剤を横で見ながら、ピッキング、一包化、散剤の計量といった作業を1つずつ覚え、慣れてきたら自分で調剤し、先輩に監査してもらう形に移ります。
服薬指導は、まず先輩の説明を隣で聞くことから始まります。薬ごとに伝えるべき注意点、患者さんの年齢や生活に合わせた説明の仕方、聞き取るべき体調の変化を覚え、落ち着いた時間帯の患者さんから自分で担当していきます。ピークの時間帯に1人で服薬指導を回せるようになるまでには、数か月かかるのが普通です。
監査を任されるのは、その後です。ほかの人が調剤した薬の最終確認は、責任の重い工程なので、調剤と服薬指導に十分慣れてから担当することが多くなります。
調剤事務も同じように段階を踏みます。最初は受付と会計から始め、保険の種類や公費の制度を覚えながら入力を任されるようになり、レセプトの確認は経験を積んでから担当します。
新人の時期に大切なのは、1日の流れの全体を早めにつかむことです。自分が担当している工程の前後で何が起きているのかが分かると、次に何を準備しておけばよいかが見えてきます。教育の担当者が決まっているか、どのくらいの期間でどの工程を任せる計画になっているかは、職場ごとの差が大きい部分なので、入る前に確かめておくと安心です。
薬局のタイプで1日の流れはどう変わるか
ここまで紹介したのは、内科系クリニックの門前薬局の1日です。同じ調剤薬局でも、タイプが違えば1日の流れはかなり変わります。
大きな病院の門前薬局では、朝から夕方まで患者さんの波が途切れにくく、昼に落ち着く時間がほとんどないこともあります。処方の種類が多く、専門性の高い薬を扱うため、学べることは多い一方で、薬剤師の人数が多い分、担当が受付、調剤、監査、服薬指導と分業されやすい傾向があります。
小児科や耳鼻科の門前薬局は、季節の影響を強く受けます。冬のかぜやインフルエンザの時期、春の花粉の時期には処方箋が一気に増え、夏には落ち着きます。1日の流れだけでなく、1年の中での波も大きいのが特徴です。
在宅訪問に力を入れている薬局では、薬剤師の1日の半分近くが外回りになることもあります。施設に入居している患者さんの薬を一包化してセットする作業が大量に発生し、午前中を施設の薬の準備に、午後を訪問にあてる、といった組み立てになります。
ドラッグストアに併設された調剤薬局は、開局時間が長く、夜や土日も営業していることが多いため、シフト制で遅番や休日の勤務が入ります。処方箋の対応に加えて、市販薬の相談に乗る場面もあり、1日の中で接する人の幅が広くなります。
自分に合う職場を探すときは、「調剤薬局で働きたい」という大きな括りではなく、「どのタイプの薬局の1日を過ごしたいか」という単位で考えると、ミスマッチを減らせます。薬剤師の給与の水準は、薬局のタイプや地域によっても差が出ます。年代ごとの年収の推移や相場の目安は薬剤師の年収・単価相場にまとまっているので、提示された条件が相場のどのあたりにあるかを確かめる材料にしてください。
求人票から1日の忙しさを読み取る方法
最後に、求人票のどこを見れば、その薬局の1日の流れが想像できるかをまとめます。
最も大切なのは、1日の処方箋の枚数と、薬剤師と調剤事務の人数です。先ほど紹介した40枚に1人という基準に対して、実際の人数にどれくらい余裕があるかを計算してみてください。基準ぎりぎりの人数なら、休憩の交代や在宅訪問で抜けたときに、残った人の負担が大きくなります。事務スタッフが少ない薬局では、薬剤師が受付や会計まで担うことになり、ピークの時間帯の忙しさが増します。
次に、門前の医療機関の診療科と診療時間です。診療科から扱う薬の種類と季節の波が、診療時間から1日の山の時刻と閉局後の残業の起きやすさが読み取れます。
在宅訪問の件数も確認したい項目です。在宅に力を入れている薬局は、外回りの時間があるぶん、店内の人数が手薄になる時間帯が生まれます。在宅の経験を積みたい人には魅力的ですが、店内の調剤に集中したい人には合わないこともあります。
設備の面では、電子薬歴、監査システム、自動分包機などが入っているかを見ます。こうした設備は、記録と確認の時間を短くし、薬剤師が患者さんと話す時間を生みます。
そして、可能であれば見学をさせてもらうことです。ピークの時間帯と、昼の落ち着いた時間帯の両方を見ると、スタッフの動き方、声のかけ合い方、休憩が本当に取れているかが分かります。
就職や転職の迷いを1人で抱えているなら、第三者に話を聞いてもらうのもひとつの方法です。職場・転職・キャリア相談のお仕事では、キャリア相談の担当者がどんな相談に乗っているのかが紹介されているので、相談先を探すときの参考になります。
フリーランスや在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から言えば、仕事の満足度を左右するのは、仕事の中身そのものより「その職場の1日の設計」であることが少なくありません。同じ業務でも、見えない仕事をこなす時間が勤務時間の中に組み込まれている職場と、個人の残業で吸収させている職場とでは、続けやすさがまったく違います。運営者として見てきた限りでは、長く働き続ける人は、求人票の条件より先に、この1日の設計を確かめてから職場を選んでいます。調剤薬局を選ぶときも、給与や休日の数字と並べて、ピークの前後に何が起きているのかを見ておくことをおすすめします。
よくある質問
Q. 調剤薬局で一番忙しい時間帯はいつですか?
門前の医療機関の診療時間によりますが、午前の診療が終わる11時から12時半ごろと、午後の診療が終わる17時から閉局前にかけての2回が山になるのが一般的です。昼の時間帯は患者さんが減る代わりに、薬歴の記載、医薬品の発注、在宅訪問といった裏の仕事が集中します。
Q. 調剤薬局の薬剤師は1日に何枚の処方箋を担当しますか?
薬局の薬剤師の人数は、1日平均の処方箋の取扱枚数40枚につき1人が基準の目安とされています。ただしこれは最低限の目安で、休憩の交代や在宅訪問を考えると、実際には基準より余裕のある人数でないと現場が回りにくくなります。求人票では処方箋枚数と薬剤師数を合わせて確認しましょう。
Q. 調剤事務の1日はどのような流れですか?
朝は医薬品の検品と棚入れ、開局後は受付、保険の確認、処方箋の入力、会計を繰り返し、昼の時間には電話対応や発注の補助、在庫確認を進めます。月の初めには1か月分の調剤報酬を請求するレセプトの作業が加わり、原則として翌月10日までの提出に向けて、入力の誤りを1件ずつ確かめる時期になります。
Q. 調剤薬局は残業が多いですか?
薬局によって大きく違います。門前の医療機関の受付終了時刻と薬局の閉局時刻の差が小さい薬局では、最後の患者さんの対応が閉局後にずれ込みやすくなります。薬歴の記載や発注を勤務時間内に片付けられる人員配置になっているかも、残業の多さを左右します。見学でピーク前後の様子を見るのが確実です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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