特性要因図の書き方|魚の骨の図で原因を整理する手順


この記事のポイント
- ✓問題の結果と考えられる原因を魚の骨の形に整理する図です
- ✓背骨・大骨・小骨の意味
- ✓4Mや5M1Eの分け方
特性要因図を調べている人の多くは、職場でミスやトラブルが続き、「原因を洗い出して図にまとめて」と言われたものの、何をどこに書けばよいのか分からずに困っています。特性要因図は、問題という結果に対して考えられる原因を、魚の骨のような形に整理する図で、書く順番と分け方の型を知っていれば、紙1枚と30分ほどで最初の版を作れます。この記事では、図の各部分の意味、分け方の型、書き方の手順、仕事での例、作った後の確かめ方までを順に説明します。図から出てきた確かめるべき作業を複数人で分担するときは、プロジェクト管理ツールのPinatecaのような道具で担当と期限を共有する方法もあり、後半で紹介します。
特性要因図とは何か
特性要因図とは、ある結果(特性)と、それに影響していると考えられる原因(要因)の関係を、1枚の図に整理したものです。形が魚の骨に似ていることから、フィッシュボーン図、フィッシュボーンチャートとも呼ばれます。品質の改善に使われる基本的な図や表をまとめたQC七つ道具の1つで、製造の現場で長く使われてきましたが、今では事務、販売、医療、介護、システム開発など、幅広い仕事で使われています。
ここでいう「特性」とは、改善したい結果のことです。たとえば「不良品が増えた」「問い合わせへの返信が遅れる」「入力ミスが多い」「売上が下がった」などです。「要因」とは、その結果を生み出していると考えられる原因の候補のことです。
特性要因図の目的は、原因を決めつけることではなく、原因の候補を漏れなく並べて、どこから確かめるかを決めることにあります。BREXAの技術コラムは、この図が求められる背景を次のように書いています。
世の中、「●●という結果の原因は、〇〇だ」とシンプルにはいかないことが多いというのは、誰でも容易に想像が付きます。特に設計製造の世界では、ある問題に対する原因は非常に多岐にわたることがあり、しかも複雑に絡み合っていたりします。 出典: engineering-technology.brexa.com
問題が起きると、人はつい最初に思い付いた原因に飛び付きがちです。特性要因図は、その思い込みを一度脇に置き、ほかの可能性も含めて広く並べるための道具だと考えると分かりやすくなります。
魚の骨の各部分の意味
特性要因図は、いくつかの部分から組み立てられています。それぞれの部分を魚の骨になぞらえた呼び方を覚えておくと、図を読むときも描くときも迷いません。Dropboxの解説は、各部分を次のように説明しています。
実際に図式化された特性要因図を見ると、魚の骨を構成する 4 つの要素が見て取れます。これらは魚の骨になぞらえて、背骨、大骨、小骨などと呼ばれています。 出典: navi.dropbox.jp
各部分の役割は次のとおりです。
- 特性(魚の頭): 図の右端に書く、改善したい結果。四角で囲むことが多い
- 背骨: 特性に向かって左から右へまっすぐ引く太い矢印
- 大骨: 背骨に斜めにつながる矢印。原因の大きな分類(人、機械、方法、材料など)を書く
- 中骨、小骨: 大骨につながる矢印。大きな分類の中の、より具体的な原因を書く
- 孫骨: 小骨につながる矢印。小骨の原因を、さらに細かく掘り下げたもの
矢印の向きは、原因から結果へ向かいます。小骨から大骨へ、大骨から背骨へ、背骨から特性へと、すべての矢印が最終的に右端の特性に集まる形になります。この向きを守ると、「何が何の原因になっているか」が図の上で一目で分かります。
大骨の分け方の型(4Mと5M1E)
大骨にどんな分類を書くかは、特性要因図の出来を大きく左右します。分類に漏れがあると、その分類に属する原因をまとめて見落とすことになるからです。そこでよく使われるのが、4Mと呼ばれる型です。
4Mは、次の4つの英語の頭文字を取ったものです。
- Man(人): 作業する人の知識、経験、体調、慣れ
- Machine(機械): 機械や設備、道具の状態
- Method(方法): 作業の手順、決まり、やり方
- Material(材料): 使う材料や部品、元になる情報
BREXAの技術コラムによると、この4Mに Measurement(検査・測定)を加えた5M、さらに Environment(環境)を加えた5M1E、Management(マネジメント)を加えた6Mといった型もあります。要因が広い範囲にわたる場合や、徹底的に洗い出したい場合に使います。
製造業以外の仕事では、4Mの言葉をそのまま使うと当てはまりにくいことがあります。その場合は、仕事に合わせて言い換えます。
| 4Mの分類 | 事務の仕事での言い換え | サービスの仕事での言い換え |
|---|---|---|
| 人 | 担当者 | スタッフ |
| 機械 | パソコン、システム | 設備、予約の仕組み |
| 方法 | 手順、決まり | 接客の流れ |
| 材料 | 元の書類、入力する情報 | 商品、案内の資料 |
| 環境 | 職場の騒がしさ、時間帯 | 混雑、季節 |
大骨の数は、4本から6本程度が扱いやすい数です。多すぎると図が混み合い、少なすぎると分類の中身が広くなりすぎます。
特性要因図の書き方の手順
特性要因図は、次の6つの手順で書きます。
- 特性を決める: 改善したい結果を、できるだけ具体的に書く
- 背骨を引く: 紙の右端に特性を書き、左から右へ太い矢印を引く
- 大骨を書く: 4Mなどの型を使って、大きな分類を4本から6本書く
- 小骨を書く: それぞれの大骨について、考えられる原因を書き出す
- 孫骨を書く: 小骨について「なぜそれが起きるのか」を考え、さらに細かい原因を書く
- 重要そうな原因に印を付ける: 全体を見渡し、影響が大きそうな原因に丸を付ける
手順1の特性は、できるだけ数字で書くのが望ましいとされています。前に紹介したBREXAの技術コラムも、「不良率増加」のような書き方より、「不良率が10%増加した」のように数字で定めるほうがよいと説明しています。
「ミスが多い」ではなく「9月の請求書の入力ミスが12件あった」と書くと、何について原因を探しているのかが関係者の間で揃います。また、改善した後に同じ数字で効果を確かめられます。
手順4と5では、1人で考えるより、実際に作業をしている人を含めた数人で話し合うほうが、原因の候補が多く出ます。このときは、出てきた意見をその場で否定しないことが大切です。明らかに関係なさそうな意見も、まずは書いておき、手順6で絞り込みます。
書き方の例1 事務の入力ミス
ここでは、事務の仕事でよくある「請求書の入力ミス」を例に、特性要因図の中身を文章で示します。数字は説明のための仮のものです。
特性は「9月の請求書の金額の入力ミスが12件あった」とします。大骨は、担当者、システム、手順、元の情報、環境の5本です。
担当者の大骨には、次のような小骨が並びます。
- 新しく入った人が、取引先ごとの決まりを知らない
- 月末に作業が集中して、急いで入力している
- ほかの仕事と並行して、途中で手を止めることが多い
システムの大骨には、次のような小骨が並びます。
- 金額の欄に桁の区切りが表示されず、桁の間違いに気づきにくい
- 前月の請求書を複製して作るため、前月の金額が残ったままになる
手順の大骨には、次のような小骨が並びます。
- 入力した後に確かめる手順が決まっていない
- 取引先ごとの割引の決まりが、担当者の記憶に頼っている
元の情報の大骨には、次のような小骨が並びます。
- 注文の内容が、メール、電話のメモ、チャットに分かれている
- 手書きのメモの数字が読みにくい
環境の大骨には、次のような小骨が並びます。
- 月末は電話が多く、入力の途中で何度も中断される
こうして並べてみると、ミスの原因は担当者の不注意だけではなく、システムの表示、手順の欠け、情報の散らばりなど、複数の分類にまたがっていることが分かります。「気を付けましょう」で終わらせずに済むのが、特性要因図の大きな利点です。
書き方の例2 問い合わせへの返信の遅れ
2つ目の例は、サービスの仕事でよくある「問い合わせへの返信が遅い」です。
特性は「問い合わせの受付から返信までに、平均で2営業日かかっている」とします。大骨は、スタッフ、仕組み、流れ、情報の4本にします。
スタッフの大骨には、「答え方が分からない質問を抱え込む」「担当者が休むと止まる」といった小骨が入ります。仕組みの大骨には、「問い合わせが複数のメールアドレスに分かれて届く」「誰が担当しているかが見えない」といった小骨が入ります。流れの大骨には、「上司の確認が必要な質問の、確認の待ち時間が長い」「返信の文面を毎回一から書いている」といった小骨が入ります。情報の大骨には、「よくある質問の答えがまとまっていない」「過去の対応の記録が探しにくい」といった小骨が入ります。
さらに孫骨まで掘り下げると、たとえば「上司の確認の待ち時間が長い」の原因として、「どの質問で確認が必要なのか決まっていないため、念のため全部確認に回している」という具体的な原因が見えてくることがあります。この場合、確認が必要な質問の基準を決めるだけで、待ち時間を大きく縮められる可能性があります。
このように、孫骨まで掘ると、手を打てる具体的な原因に近づきます。小骨で止めると、「確認が遅い」のような、まだ打ち手の決まらない言葉のまま終わってしまいます。
書き方の例3 小さなお店の売上の低下
3つ目の例は、個人で営んでいる小さなお店の「売上の低下」です。売上の問題は原因が広い範囲にわたりやすく、大骨の選び方の練習に向いています。数字は説明のための仮のものです。
特性は「9月の売上が前年の同じ月より15%減った」とします。売上の場合、4Mの型はそのままでは当てはまりにくいので、大骨を「お客さま」「商品」「価格」「売り方」「店の外の環境」の5本に言い換えます。
お客さまの大骨には、「常連のお客さまの来店の回数が減った」「新しいお客さまが少ない」といった小骨が入ります。商品の大骨には、「人気の商品が品切れになる日が多かった」「新しい商品が出ていない」といった小骨が入ります。価格の大骨には、「仕入れの値上がりに合わせて値上げした」「近くの店が値下げした」といった小骨が入ります。売り方の大骨には、「SNSでの発信の回数が減った」「営業時間を短くした」といった小骨が入ります。店の外の環境の大骨には、「9月は雨の日が多かった」「近くの道路が工事で通りにくかった」といった小骨が入ります。
この例で大事なのは、自分では変えられない原因(天気や工事)と、自分で変えられる原因(品切れ、発信の回数、営業時間)を見分けることです。図ができたら、変えられる原因のほうに印を付け、確かめる対象を絞ります。たとえば「人気の商品が品切れになる日が多かった」なら、品切れの日と売上の記録を照らし合わせれば、影響の大きさを数字で確かめられます。
売上の特性要因図では、思い込みが入りやすい点にも注意が必要です。値上げをした直後に売上が落ちると、値上げが原因だと決めつけがちですが、同じ時期に品切れや発信の減少が重なっていれば、本当の原因は別のところにあるかもしれません。図に複数の候補を並べておくことで、決めつけを防げます。
紙、表計算ソフト、作図の道具で描く方法
特性要因図を描く方法は、大きく3つあります。目的と人数に合わせて選びます。
1つ目は、紙やホワイトボードに手で描く方法です。数人で集まって話し合いながら作るときに最も向いています。大きな紙の右端に特性を書き、背骨と大骨を先に引いておけば、あとは付箋に原因を書いて貼っていくだけです。付箋なら位置を自由に動かせるので、似た原因をまとめたり、大骨を移したりするのも簡単です。完成したら写真に撮って共有します。
2つ目は、表計算ソフトや文書作成ソフトの図形の機能で描く方法です。矢印と四角の図形を組み合わせれば、きれいな図を作れます。報告書に載せる清書の図を作るときに向いています。ただし、原因が多いと矢印の位置の調整に時間がかかるので、話し合いの段階では紙で作り、清書だけをソフトで行うのが効率的です。
3つ目は、作図の機能を持つ道具や、オンラインのホワイトボードを使う方法です。離れた場所にいる人とも同じ図を見ながら話し合えるので、在宅勤務の多い職場や、社外の人と一緒に原因を探るときに向いています。
どの方法でも、最初に背骨と大骨を描いてから原因を書き込む、という順番は変わりません。また、描き方の見た目より、原因の中身が具体的に書かれているかのほうがずっと大切です。きれいな図を作ることに時間を使いすぎないよう、最初の版は手早く作り、確かめの段階に時間を回します。
表の形で整理する方法もあります。大骨を列の見出しにして、その下に小骨を並べていく表です。魚の骨の形にはなりませんが、原因の一覧としては同じ役割を果たし、表計算ソフトで並べ替えや印付けがしやすいという利点があります。
対策の決め方
確かめた結果、影響が大きいと分かった原因に対して、対策を決めます。対策を考えるときは、次の順番で検討すると、効果の高い対策を選びやすくなります。
- なくす: 原因そのものをなくせないか。たとえば、前月の請求書を複製する手順をやめ、毎回空の雛形から作るようにする
- 仕組みで防ぐ: 間違えにくい仕組みにできないか。たとえば、金額の欄に桁の区切りを表示する、前月と大きく違う金額には警告を出す
- 気づけるようにする: 起きてもすぐに気づけないか。たとえば、入力の後に別の人が金額だけを確かめる手順を入れる
- 気を付ける: 最後の手段として、注意を呼びかける
この順番は、上ほど効果が長続きするという考え方に立っています。「気を付ける」は手軽ですが、忙しい時期や新しい人が入ったときに効果が薄れます。可能な限り、上の段階の対策を探します。
対策が決まったら、誰がいつまでに何をするかを決め、効果を確かめる日も決めます。効果の確かめには、特性に書いた数字を使います。「9月の入力ミスが12件」だったなら、対策の後の10月や11月に同じ数え方で数え、減ったかどうかを確かめます。減っていなければ、特性要因図に戻り、確かめていない原因や、図に書かれていなかった原因を探します。
原因を出し合うときの進め方
特性要因図は、1人で書くこともできますが、数人で話し合いながら書くと、より多くの原因の候補が出ます。話し合いを進めるときのコツを紹介します。
まず、参加者を選びます。実際にその作業をしている人を必ず含めます。管理する立場の人だけで話し合うと、現場で実際に起きていることが図に反映されません。人数は3人から6人程度が話しやすい規模です。
次に、時間を区切ります。最初の15分は、とにかく原因の候補を出す時間にします。付箋に1枚1つずつ書いてもらい、大骨の近くに貼っていく方法がよく使われます。オンラインの場合は、共有のホワイトボードの機能を使うと、同じように進められます。
候補を出す時間には、次の決まりを守ります。
- 人を責める言葉を使わない。「Aさんが不注意」ではなく「確かめる手順がない」と、仕組みの言葉で書く
- 出てきた意見を否定しない。絞り込みは後で行う
- 思い付いたことは、関係が薄そうでも書く
候補が出そろったら、似たものをまとめ、大骨と小骨の位置を整えます。最後に、全員で「影響が大きそうなもの」に印を付けます。1人3票ずつ持って投票する方法も、意見の偏りを防ぐのに役立ちます。
作った後にすること(原因の確かめ方)
特性要因図ができても、そこに書かれているのは原因の候補であって、本当の原因が分かったわけではありません。印を付けた原因が本当に結果に影響しているのかを、事実で確かめる必要があります。BREXAの技術コラムは、この点を次のように書いています。
特性要因図ではっきりとした仮説を踏まえて、「実際に本当にそうなのか」と現場や、現場の過去データに基づいて検証します。ここでは現状のマニュアルを使って作業をしてみる、材料を基に戻して作業をするなどして、実際に製品に不良が出るかどうかを確認します。 出典: engineering-technology.brexa.com
事務やサービスの仕事でも、考え方は同じです。確かめ方の例を挙げます。
- 記録を見る: 入力ミスが起きた12件について、月末の何日に、誰が、どの取引先の分で起こしたかを調べる。特定の取引先や日に偏っていれば、その原因が有力になる
- やってみる: 前月の請求書を複製する手順で、実際に金額が残るかを試す
- 変えてみる: 確かめの手順を1週間だけ試しに入れて、ミスの件数が変わるかを見る
- 聞いてみる: 作業している人に、ミスが起きたときの状況を具体的に聞く
確かめた結果、影響が大きいと分かった原因に対して、対策を決めます。影響がないと分かった原因は、図に「確認済み、影響なし」と書いておくと、同じ議論を繰り返さずに済みます。
公的な事例集で原因の書き方を学ぶ
原因の書き方に慣れるには、実際の事故やトラブルの原因がどのように書かれているかを読むのが近道です。厚生労働省の職場のあんぜんサイトには、労働災害の事例が公開されていて、それぞれの事例について、災害の状況、原因、対策が整理されています。
事例を読むと、原因が1つではなく、複数の分類にまたがって書かれていることが多いと気づきます。たとえば、作業する人の不慣れ、機械の安全装置の不備、作業の手順の欠け、作業場所の明るさといった具合です。これは、特性要因図の大骨の分け方とよく似ています。
同じサイトのヒヤリ・ハット事例集では、事故には至らなかったものの、ひやりとした出来事が、墜落・転落、転倒、はさまれ・巻き込まれといった事故の型ごとに、イラスト付きで紹介されています。製造や建設の仕事でなくても、「人」「設備」「手順」「環境」のどこに原因があったのかを考えながら読むと、原因を仕組みの言葉で書く練習になります。
公的な事例集の良いところは、原因を個人の不注意で片付けず、再発を防ぐための対策まで書かれている点です。自分の職場の特性要因図を書くときも、原因の書き方の手本として参考にできます。
よくある失敗と注意点
特性要因図でよくある失敗と、その避け方を整理します。
1つ目は、特性が曖昧なことです。「仕事がうまくいかない」のような広い特性では、原因の候補が無限に広がり、図がまとまりません。特性は1つの問題に絞り、数字で書きます。
2つ目は、原因を人のせいにすることです。「担当者の注意不足」「やる気がない」といった原因は、書くのは簡単ですが、打ち手につながりません。そのような原因が出てきたら、「なぜ注意が足りなくなるのか」と掘り下げ、「確かめる手順がない」「作業が中断されやすい」のような、仕組みの言葉に書き換えます。
3つ目は、大骨の分類が混ざることです。同じ原因が2本の大骨に重複して書かれていると、話し合いが混乱します。どちらにも入りそうな原因は、どちらか1つに決めて書きます。
4つ目は、図を作って終わることです。特性要因図は原因の候補を並べる道具で、確かめと対策までやって初めて意味を持ちます。図を作ったら、確かめる原因と担当、期限を決めて、次の行動に移ります。
5つ目は、一度作った図を見直さないことです。対策を打った後も問題が続く場合は、図に書かれていなかった原因があるかもしれません。図を見直し、新しい原因の候補を書き足します。
報告書に特性要因図を載せるときの書き方
特性要因図は、トラブルの報告書や改善の提案書に載せる資料としても使えます。ただし、図だけを載せると、読み手はどこを見ればよいか分かりません。報告書に載せるときは、図の前後に次の内容を文章で添えます。
- 特性: 何が、いつ、どのくらい起きたのか。「9月の請求書の金額の入力ミスが12件」
- 図の作り方: 誰が、いつ、どのように作ったのか。「経理の担当者4人で、10月3日に話し合って作成」
- 有力な原因: 印を付けた原因と、その理由
- 確かめた結果: どの原因を、どう確かめ、何が分かったか
- 対策: 何を、誰が、いつまでに行うか
- 効果の確かめ方: いつ、何の数字で効果を確かめるか
このうち、読み手が最も知りたいのは「確かめた結果」と「対策」です。図は、その結論に至るまでに、ほかの原因も検討したことを示す根拠として使います。図の中の有力な原因に色を付けたり、丸で囲んだりしておくと、文章と図の対応が分かりやすくなります。
報告書で気を付けたいのは、原因の書き方です。社外に出す報告書や、関係者が多く読む報告書では、特定の人の名前を出して原因とすることは避け、仕組みの言葉で書きます。個人の責任を問う場ではなく、再発を防ぐための資料だという位置づけを、書き方で示すことが大切です。
特性要因図と一緒に使う道具
特性要因図は、ほかの道具と組み合わせることで、より効果を発揮します。よく一緒に使われる道具と、その順番を紹介します。
パレート図は、問題の種類ごとの件数を多い順に並べた図です。特性要因図を書く前に、パレート図でどの問題が最も多いかを確かめ、その問題を特性に選ぶ、という順番がよく使われます。限られた時間を、最も影響の大きい問題に使えます。
なぜなぜ分析は、問題に対して「なぜ」を繰り返して、根本の原因を探る方法です。特性要因図で印を付けた原因について、さらに深く掘り下げるときに使います。特性要因図が「横に広げる」道具だとすれば、なぜなぜ分析は「縦に深める」道具です。
チェックシートは、データを集めるための表です。特性要因図で挙がった原因を確かめるとき、どの原因がどれくらい起きているかを数えるのに使います。
これらを組み合わせた流れは、次のようになります。
- パレート図で、最も多い問題を選ぶ
- 特性要因図で、その問題の原因の候補を広く並べる
- なぜなぜ分析で、有力な原因を深く掘り下げる
- チェックシートで、原因を数えて確かめる
- 対策を打ち、パレート図で効果を確かめる
確かめる作業をチームで分担するとき
特性要因図で印を付けた原因が5つあれば、確かめる作業も5つ生まれます。少人数で確かめる作業が数個なら、図の横に「確かめる原因」「方法」「担当」「期限」「結果」の表を作るだけで十分に回ります。紙の図をそのまま写真に撮り、表計算ソフトの表と一緒に共有する方法もあります。
一方で、確かめる作業が多い、部署をまたいで協力が必要、作業の途中で相談や確認のやり取りが何度も発生する、といった場合は、表のセルにやり取りが書き込まれて追いにくくなりがちです。その段階では、確かめる作業を1枚ずつのカードにして、担当と期限と話し合いを1か所にまとめられるプロジェクト管理ツールを使うと、どの作業が止まっているかに気づきやすくなります。
候補の1つがPinatecaです。公式サイトによると、カンバン、ガント、カレンダー、リストなど8種類のボードとチャットが無料プランから使え、カードにコメントを付けたり、画像やファイルを添付したり、カスタムフィールドで項目を追加したりできます。5人までのチームなら期限なしで無料で、ボードは10個まで作れます。6人目、または11個目のボードからはスタンダードプランで、料金は1人あたり月額500円(年払いなら1人あたり月額400円、税抜)です。たとえば、「確かめる」「確かめ中」「影響あり」「影響なし」の4つの列を作り、確かめる原因をカードにして担当と期限を付ければ、確かめの進み具合を1画面で見渡せます。特性要因図そのものを描くのは紙やホワイトボードの役割で、Pinatecaは図から出てきた作業を分担して進めるための道具です。Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
特性要因図の考え方が活きる仕事
特性要因図の考え方は、品質管理の担当者だけでなく、問題の原因を探るさまざまな仕事で役に立ちます。
システムやアプリの開発では、不具合が起きたときに、原因をコードだけでなく、テストの手順、仕様の書き方、開発の体制といった複数の分類から探る場面があります。アプリケーション開発のお仕事では、開発の仕事の内容と進め方が紹介されています。業務の流れを見直して、AIや仕組みで改善する提案をする仕事では、現場の問題の原因を整理する段階で、特性要因図の考え方がそのまま使えます。AIコンサル・業務活用支援のお仕事が参考になります。
医療機関の受付や事務の仕事でも、受付の待ち時間や書類の不備といった問題の原因を、人、仕組み、手順、情報に分けて整理する場面があります。医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)の資格ガイドでは、医療事務の資格の内容が紹介されています。経営の改善を体系的に学びたい人には、中小企業診断士の資格ガイドも参考になります。
業務委託の現場で見えること
在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた範囲では、依頼主と受注者の間で納期の遅れや品質の問題が起きたとき、原因を「相手の能力」に求めると、関係は長く続きません。長く続いている取引ほど、問題が起きたときに、指示の伝え方、確認の手順、使っている道具、情報の渡し方といった仕組みの側から原因を探し、お互いに直せるところを直しています。これは、特性要因図で原因を人のせいにせず、仕組みの言葉で書くという考え方そのものです。
依頼主と受注者が直接やり取りできる形は、こうした原因の話し合いとも相性がよいと感じます。間に人が入ると、問題の状況が伝言で伝わり、原因の手がかりになる細かな事実が抜け落ちがちです。手数料0%で直接取引できる仕組みなら、受ける側は手取りが厚くなり、依頼する側は同じ予算でより手厚い改善を頼めます。業務の改善や品質の見直しに関わる仕事に関心がある人は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事のような分野の依頼内容も確かめてみてください。
よくある質問
Q. 特性要因図とフィッシュボーン図は同じものですか?
同じものです。結果と原因の関係を整理した図の形が魚の骨に似ていることから、フィッシュボーン図、フィッシュボーンチャートとも呼ばれます。右端に改善したい結果を書き、そこへ向かう背骨に、原因の大きな分類を示す大骨、具体的な原因を示す小骨や孫骨をつなげていく形で描きます。品質の改善に使われるQC七つ道具の1つです。
Q. 大骨には何を書けばよいですか?
よく使われるのは4Mと呼ばれる型で、人、機械、方法、材料の4つです。これに測定を加えた5M、さらに環境を加えた5M1Eなどの型もあります。事務やサービスの仕事では、担当者、システム、手順、元の情報、環境のように、自分の仕事に合わせて言い換えて使えます。大骨の数は4本から6本程度が扱いやすい目安です。
Q. 特性要因図はどのくらいの時間で作れますか?
数人で話し合いながら作る場合、原因の候補を出すのに15分、整理と絞り込みに15分ほどで、最初の版を作れます。最初から完璧を目指す必要はなく、まずは原因の候補を広く並べ、影響が大きそうなものに印を付けるところまで進めます。その後、記録を見る、試してみるなどの方法で、印を付けた原因を確かめていきます。
Q. 特性要因図となぜなぜ分析はどう使い分けますか?
特性要因図は、原因の候補を人、機械、方法などの分類ごとに横へ広く並べる道具です。なぜなぜ分析は、1つの原因について「なぜ」を繰り返し、縦に深く掘り下げる道具です。まず特性要因図で候補を広く出し、影響が大きそうな原因についてなぜなぜ分析で掘り下げる、という順番で組み合わせると、見落としと浅い結論の両方を防げます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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