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事例インタビューの進め方|導入の話を聞く質問と記事のまとめ方

@SOHO編集部
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事例インタビューの進め方|導入の話を聞く質問と記事のまとめ方

この記事のポイント

  • ✓事例インタビューの進め方を
  • ✓取材先の選び方と依頼文
  • ✓公開前の確認と景品表示法の注意まで順に説明します

事例インタビューを任されたものの、誰に頼めばよいのか、何を聞けば記事になるのか、話を聞いたあとどう書けばよいのかで手が止まっている人は少なくありません。結論から言うと、事例インタビューは「導入前の課題」「選んだ理由」「導入後の変化」「これから」の4つを軸に質問を組み、記事も同じ順に並べれば、読み手が知りたいことを外さずに書けます。この記事では、取材先の選び方と依頼の仕方、事前の準備、当日の進め方、質問の例、記事の構成、公開前の確認までを順に説明します。取材の依頼や事前アンケートの回答を、担当と状況を付けて管理できるHalictのようなフォームの使いどころにも途中で触れます。

事例インタビューとは何か

事例インタビューとは、商品やサービスを実際に使っている顧客に話を聞き、導入のいきさつと使ってみた結果を記事や資料にまとめる取材のことです。会社のサイトでは「導入事例」「お客様の声」「ユーザーインタビュー」といった名前で公開されていることが多く、営業の資料や展示会の配布物として使われることもあります。

似たものに「お客様の声」のアンケートがあります。アンケートは短い感想を多く集めるのに向いていますが、なぜその商品を選んだのか、導入までにどんな迷いがあったのかといった背景までは伝わりません。事例インタビューは1社か1人に時間をかけて話を聞くので、導入を検討している読み手が「自分たちの状況に近い会社が、どう判断したのか」を具体的に追えるのが強みです。

もう1つの違いは、話し手が誰かです。会社が自分で書く商品紹介は、どうしても売り手の目線になります。事例インタビューは顧客自身の言葉で語られるため、同じ機能の説明でも「現場ではこう使っている」「ここで助かった」という実感がこもります。導入を検討している側にとっては、カタログの説明よりも判断の材料にしやすい情報です。

事例インタビューの形には、大きく分けて3つあります。

  • 記事型:取材内容を読み物として書く。会社のサイトやブログに載せる
  • 一問一答型:質問と答えを交互に並べる。話し手の言葉がそのまま伝わる
  • 資料型:1枚から数枚の資料にまとめる。営業の場で手渡したり、資料請求の特典にしたりする

どの形にするかで、聞く量も書き方も変わります。最初に「どこで、誰に読ませるのか」を決めてから取材の準備に入ると、あとで聞き漏れに気づいて追加の取材をお願いする事態を避けられます。

事例インタビューが求められている背景

事例インタビューの数が増えている背景には、買い手の調べ方の変化があります。業務用のソフトウェアや外注サービスを選ぶとき、担当者は営業の人に会う前に、ネットで比較記事や導入事例を読み、候補を絞り込んでおくのが当たり前になりました。営業の説明を聞く段階では、すでに「この会社の事例は自分たちに近い」「この業種での実績はなさそうだ」と判断されていることも珍しくありません。

導入事例の制作を支援している会社も、事例の役割をこう説明しています。

本記事では、導入事例を作成する目的や効果、目的別の型を紹介します。また、導入事例インタビューのテンプレートも用意しました。自社の製品・サービスに合わせてカスタマイズし、ご活用ください。 出典: sairu.co.jp

このように、事例は「作って終わり」の記事ではなく、目的に合わせて型を選び、営業や問い合わせの獲得に使い続ける資産として扱われています。

もう1つの背景は、広告の表示に関する決まりが厳しくなったことです。消費者庁は、広告であるのに広告であることを隠す、いわゆるステルスマーケティングを、令和5年10月1日から景品表示法の違反としています。会社が依頼して書かせた口コミや、謝礼を払って投稿してもらった感想を、第三者の自然な声のように見せることはできません。事例インタビューは、会社が自分のサイトで、自分の顧客の話として公開するものなので、もともと広告であることが分かりやすい形です。そのため、口コミを集める代わりに、取材した事例を正面から出す会社が増えています。

人手の面でも事例インタビューは見直されています。少人数の会社では、営業が1社ずつ同じ説明を繰り返す余裕がありません。よくある質問への答えが事例の中に含まれていれば、商談の前に読んでもらうだけで説明の時間を短くできます。

事例インタビューのメリットとデメリット

事例インタビューは手間のかかる仕事です。始める前に、得られるものとかかるものを整理しておくと、社内で時間を確保するときにも説明しやすくなります。

主なメリットは次の4つです。

  • 導入を検討している人が、自分と近い会社の判断の過程を追える
  • 営業の場で「同じ業種のこの会社ではこう使っています」と具体的に話せる
  • 顧客の言葉で書かれるので、売り手の説明よりも信頼されやすい
  • 取材の過程で、自社の商品が評価されている点と不満を持たれている点が分かる

最後の点は見落とされがちですが、とても大きな収穫です。取材で「最初は設定に戸惑った」「この機能は使っていない」といった話が出てくることがあります。記事に載せるかどうかは別として、開発や営業にとっては貴重な声です。取材のメモは記事を書き終えたあとも社内で共有できる形で残しておきます。

一方、デメリットもあります。

  • 取材先探しから公開まで、早くても1か月から2か月ほどかかる
  • 顧客の側にも、取材と原稿確認の時間を割いてもらう必要がある
  • 社名や数字の公開を断られ、匿名の事例になることがある
  • 公開後に担当者が異動したり、契約が終わったりすると、記事の扱いを見直す必要がある

特に時間の見込みは甘くなりがちです。取材の日程を合わせるのに2週間、原稿を書くのに1週間、顧客の社内で確認を回してもらうのに2週間から3週間かかるのは普通のことです。顧客の側では、広報や法務の確認が必要になる会社もあります。公開したい時期から逆算して、余裕を持って依頼を始めることが、事例インタビューを続けるうえでの一番のこつです。

取材先の選び方と依頼の仕方

事例インタビューの出来は、誰に話を聞くかで半分以上決まります。「一番大きな顧客」や「一番長く使っている顧客」を選びたくなりますが、それが読み手にとって役立つ事例になるとは限りません。

取材先を選ぶときは、次の3つの観点で考えます。

  1. 読ませたい相手に近いか:これから増やしたい業種や会社の規模に近い顧客を選ぶ
  2. 変化が語れるか:導入の前と後で、作業や数字がどう変わったかを話せる顧客を選ぶ
  3. 担当者が話せる立場か:導入の判断に関わった人や、毎日使っている人に話を聞けるかを確かめる

候補が決まったら、まずは普段やり取りしている営業やサポートの担当者から、取材を受けてもらえそうかを打診してもらいます。いきなり正式な依頼文を送るより、関係のある人がひと声かけてくれるほうが、受けてもらえる確率は高くなります。

正式に依頼するときは、相手が社内で説明しやすいように、必要なことを1通にまとめて送ります。

件名:導入事例の取材のお願い(株式会社〇〇)

〇〇株式会社 〇〇様

いつも〇〇をご利用いただき、ありがとうございます。株式会社△△の□□です。このたび、〇〇を導入いただいた経緯と、その後の運用の様子を、導入事例として当社のサイトでご紹介させていただけないかと考え、ご連絡いたしました。

取材は1時間ほどで、オンラインでも対面でもかまいません。記事は公開前に必ずご確認いただき、社名、お名前、数字など、公開を控えたい内容は修正できます。ご都合のよい候補日を3つほどお知らせいただけますと幸いです。

依頼文には、取材の時間、取材の方法、公開する場所、公開前に原稿を確認できること、断っても取引に影響しないことを必ず書きます。相手が気にするのは「どれだけ時間を取られるか」と「何を公開されるか」の2点です。この2つに先に答えておけば、相手の上司への説明もしやすくなります。

お礼の品を用意する会社もありますが、金額の大きな謝礼を払って好意的な話だけを語ってもらうと、記事の信頼性を損ないます。記念品程度にとどめ、話の内容は相手の言葉に任せるのが基本です。

取材前の準備と事前アンケート

当日の1時間を有効に使うためには、取材の前にどれだけ情報を集めておけるかが勝負です。準備なしで取材に臨むと、会社の概要や導入の時期といった基本的な確認だけで時間の半分を使ってしまいます。

準備の流れは次のとおりです。

  1. 社内の記録を集める:契約の時期、プラン、利用状況、問い合わせの履歴を営業とサポートから聞いておく
  2. 相手の会社を調べる:会社のサイト、事業の内容、従業員数、最近のニュースを確認する
  3. 記事の構成案を作る:どんな見出しで、どの順番で書くかの仮の骨組みを作る
  4. 質問票を送る:当日の質問を事前に送り、答えを考えておいてもらう
  5. 事前アンケートを取る:数字や基本情報は、当日ではなく事前に書いてもらう

特に役立つのが事前アンケートです。導入した時期、使っている部署と人数、導入前に使っていた方法、導入後に変わった作業時間などは、口頭で聞くより書いてもらうほうが正確です。相手も社内の資料を見ながら答えられるので、当日に「あとで確認します」と宿題が残ることが減ります。

アンケートは、メールに質問を並べて返信してもらう方法でも、表計算ソフトの表を送って埋めてもらう方法でもかまいません。年に数件の取材なら、それで十分に回ります。

取材の数が増えてきたときの管理

事例を定期的に増やすようになると、依頼中、日程調整中、取材済み、原稿確認中、公開済みと、案件ごとに状況が分かれていきます。複数の担当者で分担していると、「あの会社への確認は誰が送ったのか」「原稿の戻りを催促したか」が分からなくなりがちです。

こうした段階での選択肢の1つが、受付から対応までをまとめるフォームのサービスであるHalictです。公式サイトによると、Halict ではフォームに届いた回答の1件ごとに担当と状況が残り、返信も同じ画面から送れて、相手がメールを開いたかどうかまで記録されます。事前アンケートをフォームで受け取り、取材先ごとに「日程調整中」「原稿確認中」のような状況を付けておけば、誰が次に何をするのかをチーム全員で確かめられます。回答は一覧で見られ、CSVで書き出して記事の下書きに使うこともできます。

料金のページでは、メンバー1人までのフリープランが0円で、フォームの数と回答の数は無制限、状況の管理、自動返信、CSVの書き出しが使えると案内されています。メンバー3人までのスタータープランは月額2,980円(税抜)です。なお、Halict は記事を書いたり取材の日程を調整したりする道具ではなく、フォームで受け取った回答を担当と状況を付けて返信まで管理するための道具です。

Halictは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。

取材当日の流れ

取材は60分を目安に組みます。それより短いと深い話に入る前に時間切れになり、長すぎると相手の負担が大きくなります。オンラインの場合は、録画や録音の許可を最初に取ります。

60分の取材の時間配分の例です。

時間 内容
最初の5分 あいさつ、取材の目的と記事の使い道の説明、録音の許可
次の10分 相手の会社と担当業務、導入前の状況
次の15分 導入前の課題と、選ぶまでの経緯
次の15分 導入後の使い方と、変わったこと
次の10分 これからの使い方、同じ悩みを持つ人への一言
最後の5分 確認事項、写真撮影、今後の流れの説明

最初の5分はとても大切です。相手は「何を聞かれるのか」「失礼なことを言わないか」と緊張しています。記事は公開前に必ず確認してもらえること、話しにくいことは話さなくてよいこと、記事にしない前提の話も歓迎することを伝えると、表情が和らぎます。

取材には、聞き手のほかに記録係を1人用意できると安心です。聞き手は相手の話に集中し、記録係は話の要点と、印象に残った言葉をそのまま書き留めます。録音があっても、その場で「この言葉は見出しに使える」と印を付けておくと、あとで原稿を書くときの時間を大きく減らせます。

写真が必要な場合は、取材の最後に撮影の時間を取ります。オフィスで商品を使っている様子、担当者の顔写真、チームの集合写真などです。顔写真を載せたくない人もいるので、撮影の前に必ず掲載の可否を確かめます。

導入の話を聞く質問の例

質問は、記事の構成と同じ4つの段階に分けて用意します。すべてを聞く必要はなく、事前アンケートで分かっていることは省き、相手の答えに合わせて掘り下げます。

導入前の状況と課題

  • 担当されている業務と、チームの人数を教えてください
  • 導入する前は、どのような方法でその業務をしていましたか
  • その方法で、困っていたことや時間がかかっていたことは何ですか
  • その課題に気づいたきっかけは何でしたか
  • 課題をそのままにしていたら、どうなっていたと思いますか

選ぶまでの経緯

  • どのような方法で解決策を探しましたか
  • ほかに検討したサービスや方法はありましたか
  • 最終的にこのサービスを選んだ決め手は何でしたか
  • 導入に反対や心配の声はありましたか。どう説明しましたか
  • 導入を決めるまでに、どのくらいの期間がかかりましたか

導入後の変化

  • 導入してから、最初につまずいたことはありましたか
  • 今はどの部署で、どのように使っていますか
  • 作業の時間や手間は、導入前と比べてどう変わりましたか
  • 数字で表せる変化はありますか(件数、時間、費用など)
  • 思っていなかった効果はありましたか

これからと読み手への一言

  • 今後、どのような使い方をしていきたいですか
  • 同じような課題を持つ会社に、何を伝えたいですか
  • 改善してほしい点があれば教えてください

数字を聞くときは、正確でなくても「だいたいどのくらいか」を聞き、記事に載せる前に確認してもらいます。「月に20時間かかっていた集計が5時間になった」のような具体的な数字は、記事の説得力を大きく高めます。ただし、数字はあくまで相手の会社での結果です。記事では「この会社の場合」と分かる書き方にします。

改善してほしい点を聞くのは勇気がいりますが、これも大切な質問です。良い話ばかりの事例は、読み手に「本当だろうか」と思われます。小さな不満やつまずきが正直に語られている事例のほうが、かえって信頼されます。

話を引き出すコツ

同じ質問票を使っても、聞き手によって出てくる話の深さはまったく違います。話を引き出すためのコツを6つ紹介します。

  1. 「なぜ」を2回重ねる:「選んだ決め手は何ですか」「使いやすかったからです」で終わらせず、「どの場面で使いやすいと感じましたか」「それまではその場面で何に困っていましたか」と掘り下げる
  2. 具体的な場面を聞く:「便利になりました」ではなく「導入した次の月の締め日に、どんなことが起きましたか」と、時と場所を指定して聞く
  3. 沈黙を怖がらない:相手が考えているときに次の質問を重ねない。数秒待つと、本音に近い言葉が出てくることが多い
  4. 相手の言葉を繰り返す:「集計に追われていた、というのは」と相手の言葉で聞き返すと、自然に話が続く
  5. 専門用語を使わない:自社の機能名ではなく、相手が普段使っている言葉で聞く
  6. 記事にしない話も歓迎する:「ここだけの話でもかまいません」と伝えると、背景がよく分かる話が出てくる。記事に使うかどうかは原稿の確認で決める

導入事例の制作を多く手がけている会社も、インタビューの中で話を引き出す力が、事例の出来を左右すると書いています。

導入事例には、機能やメリットの説明だけでは伝えにくい訴求ポイントを「お客様の声」として発信できる利点があります。しかし、インタビューで的確に話を引き出せなければ、効果的な導入事例を作ることはかないません。 出典: marketing.clabel.jp

取材に慣れないうちは、質問票を順番に読み上げるだけになりがちです。質問票は「聞き漏れを防ぐための確認表」と考え、会話の流れを優先して、最後に聞いていない項目がないかを確かめる使い方にすると、話が自然に深まります。

事例インタビューでよくある失敗と対策

事例インタビューでつまずく場面は、ある程度決まっています。よくある失敗と、その対策を整理します。

失敗 起きること 対策
自社の宣伝の質問ばかりする 相手が答えに困り、どの事例も同じ内容になる 相手の業務と課題の質問から始める
導入前の話を聞き漏らす 変化が伝わらず、ただの使い方紹介になる 導入前の方法と困りごとを必ず聞く
数字を確かめずに載せる 公開前の確認で大きく直され、公開が遅れる 数字は事前アンケートで書いてもらう
原稿の確認期限を決めない 顧客の社内で止まり、公開できない 確認の期限と、連絡が取れないときの扱いを決めておく
話し言葉をそのまま載せる 読みにくく、話し手の印象も悪くなる 意味を変えずに整え、確認してもらう
撮影の準備をしていない 写真がなく、記事が文字だけになる 依頼の段階で撮影の可否を確かめる

中でも多いのが、原稿の確認で公開が止まる失敗です。顧客の社内では、担当者のあとに上司、広報、法務と確認が回ることがあります。依頼の段階で「原稿は〇月〇日ごろにお送りし、2週間ほどでご確認いただけると助かります」と伝え、相手の社内でどこまで確認が必要かを聞いておきます。

もう1つ多いのが、どの事例も同じ見出しになってしまう失敗です。「導入の決め手は使いやすさ」「サポートが丁寧」という話は、どの顧客からも出てきます。事例ごとの違いは、導入前の課題と、その会社ならではの使い方に表れます。取材ではそこに時間を多く割きます。

記事の構成と書き方

取材が終わったら、録音を文字に起こし、記事の形に整えます。構成は、取材の質問と同じ4つの段階に沿わせるのが基本です。

  1. リード:どんな会社が、どんな課題を、どう解決したのかを3行から5行で示す
  2. 会社と担当者の紹介:事業の内容、規模、話し手の役割
  3. 導入前の課題:困っていたことを、具体的な場面とともに書く
  4. 選んだ理由:比較した方法と、決め手になった点
  5. 導入後の変化:使い方と、数字や作業の変化
  6. これから:今後の使い方と、読み手への一言

見出しには、話し手の言葉をそのまま使うと効果的です。「導入の背景」のような一般的な見出しより、「毎月の締め日は、夜まで集計に追われていた」のような具体的な言葉のほうが、読み手の目に留まります。

記事の冒頭のリードは、忙しい読み手が最初の数行だけで内容をつかめるように書きます。業種、会社の規模、課題、結果の4つを入れると、読み手は「自分たちに関係があるか」をすぐに判断できます。

文字に起こした話し言葉は、そのまま載せると読みにくくなります。「えー」「まあ」といったつなぎの言葉は削り、同じ話が何度も出てきたらまとめ、話の順番も記事の流れに合わせて並べ替えます。ただし、意味を変えたり、言っていないことを付け加えたりしてはいけません。整えた原稿は、必ず話し手に確認してもらいます。

一問一答型にするか、記事型にするかは、話し手の話し方で決めてもかまいません。話が具体的で言葉に勢いのある人なら一問一答型で魅力が伝わり、話が行き来しやすい人なら記事型で整理したほうが読みやすくなります。

文字数は、記事型で3,000字から5,000字程度に収まる会社が多いようです。長すぎると最後まで読まれず、短すぎると判断の材料が足りません。読み手が5分ほどで読み終えられる量を目安にします。

一問一答型と記事型の書き分け

同じ取材の内容でも、一問一答型と記事型では書き方の手順が違います。それぞれの進め方を具体的に見ておきます。

一問一答型は、質問を太めの見出しのように並べ、その下に話し手の答えを続ける形です。質問の文は、取材で実際に聞いた言葉より短く整えます。「導入前はどのような方法で集計をしていましたか」のように、1つの質問で1つのことだけを聞く文にすると、答えの段落も読みやすくなります。答えの部分は話し手の口調を少し残すと、人柄が伝わります。ただし、1つの答えが長くなりすぎた場合は、間に聞き手の短い相づちの質問をはさみ、段落を分けます。

記事型は、書き手が地の文で流れを作り、要所で話し手の言葉をかぎかっこで引く形です。地の文には「何が起きたか」という事実を書き、かぎかっこには「どう感じたか」という気持ちを入れると、役割が分かれて読みやすくなります。かぎかっこの言葉は、1つの段落に1つか2つまでにすると、言葉の重みが薄まりません。

どちらの型でも、最後に「導入を検討している人への一言」を入れると、記事の締めくくりが自然になります。話し手が自分の言葉で背中を押してくれる一文は、読み手が問い合わせに進むきっかけになりやすい部分です。取材の最後に必ず聞いておく質問として、質問票の末尾に入れておくと聞き忘れを防げます。

書き上げた原稿は、声に出して読んでみると、話し言葉と書き言葉が混ざっている箇所や、主語の分からない文に気づけます。顧客に確認を頼む前に、社内の誰か1人に読んでもらい、初めて読む人に意味が通じるかを確かめておくと、確認のやり取りの回数を減らせます。

公開前の確認と法律の注意

原稿ができたら、公開の前に確認を2段階で行います。1つは社内の確認で、事実の誤り、機能名の表記、料金の記述を営業とサポートに見てもらいます。もう1つが顧客の確認で、社名、お名前、肩書き、数字、写真の使い方を見てもらいます。

顧客に確認をお願いするときは、修正してよい範囲をはっきり伝えます。表現の好みで全面的に書き直されることもありますが、それも含めて受け入れる姿勢でいるほうが、関係を長く保てます。

法律の面で気をつけたいのは、景品表示法です。事例インタビューは会社が自分のサイトで出す広告の一種なので、内容が実際より著しく優れていると誤解させる表示は、優良誤認表示として禁止されています。消費者庁は、効果や性能をうたう表示について、裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、出せなければ不当な表示とみなされると説明しています。

消費者庁長官は、商品・サービスの内容(効果、性能)に関する表示についての優良誤認表示に該当するか否かを判断する必要がある場合に、期間を定めて、事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。 出典: caa.go.jp

たとえば、ある顧客で作業時間が半分になったとしても、「導入すれば誰でも作業時間が半分に」と書くことはできません。「この会社では、集計の時間が月20時間から10時間に減った」のように、誰の、どの条件での結果なのかが分かる書き方にします。

ステルスマーケティングの規制にも注意します。会社のサイトに載せる事例は広告だと分かりやすいものですが、同じ内容を顧客の名前でSNSに投稿してもらう場合などは、会社の依頼による投稿だと分かるように示す必要があります。判断に迷う場合は、消費者庁の案内を確かめるか、専門家に相談してください。

顔写真やお名前は個人情報にあたります。公開する範囲を書面やメールで確かめ、記録を残しておきます。担当者が退職や異動をしたときに記事をどう扱うかも、あらかじめ決めておくと安心です。

公開したあとの使い方

事例は、公開したら終わりではありません。むしろ公開してからが本番です。

まず、営業の資料に組み込みます。商談の前に関連する事例を送っておくと、相手は自分たちの状況と比べながら話を聞けます。同じ業種の事例が複数あれば、業種ごとに一覧にしておくと便利です。

次に、サイトの中で見つけてもらう工夫をします。料金のページや機能の紹介ページから、関係する事例へのリンクを張ります。導入を迷っている人は、料金を見たあとに「本当に自分たちに合うか」を確かめたくなるからです。

展示会やセミナーでは、資料型にした事例を配ります。1枚に、会社の紹介、課題、選んだ理由、結果の4つを収めると、立ち話の短い時間でも内容が伝わります。

公開から時間がたった事例は、定期的に見直します。担当者の肩書きが変わっていないか、紹介している機能や料金が今も正しいかを、半年から1年に1回は確かめます。顧客の側でも使い方が深まっていることがあり、続編の取材をお願いすると、新しい事例として公開できることもあります。

事例の反応も記録しておきます。どの事例がよく読まれ、どの事例のあとに問い合わせが増えたのかが分かると、次に取材する顧客の選び方が見えてきます。

事例インタビューを外部に頼むという選択

社内に書き手がいない場合や、取材の数を増やしたい場合は、取材と執筆を外部のライターや制作会社に頼む方法もあります。

外部に頼むときは、すべてを任せるのではなく、取材先の選定と依頼、顧客との関係の調整は社内で受け持ち、取材と原稿作成を外部に任せる分担が一般的です。顧客との窓口を外部に預けると、確認の連絡が遅れたり、言葉の行き違いが起きたりしやすいからです。

依頼する前に、事例の目的、読ませたい相手、記事の型、文字数、写真の有無、確認の流れを1枚にまとめて渡しておくと、仕上がりのぶれが小さくなります。取材や記事の仕事の内容と進め方は、取材・インタビュー記事のお仕事で詳しく紹介しています。記事に載せる写真や図版を整える場合は、デザイナーの年収・単価相場で、デザインを外部に頼むときの相場の考え方を確かめられます。

業種によっては、事例そのものが専門的な判断を含むこともあります。たとえば製造業の現場の改善を扱う事例は、製造業のAI活用ガイド2026|人手不足を解消する5つの導入事例のように、業界の背景を押さえたうえで書くと、読み手に伝わりやすくなります。経営の改善を幅広く扱う専門家として、中小企業診断士の資格を持つ人が、事例の構成や効果の整理に関わる例もあります。

在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営の立場から見ると、長く頼まれ続ける書き手ほど、取材そのものより、取材の前の準備と確認の段取りに時間を使っています。依頼する側にとっても、準備と確認の流れを一緒に作ってくれる書き手は、記事の質だけでなく担当者の負担を軽くしてくれる存在です。仲介の手数料がかからない直接のやり取りであれば、同じ予算でも取材の回数を確保しやすく、書き手の側も手取りが厚くなるので、事例を継続して積み重ねていく体制を組みやすくなります。

事例インタビューは、1本目がいちばん大変です。依頼文、質問票、事前アンケート、構成の型、確認の流れを1度作ってしまえば、2本目からは同じ手順で進められます。まずは身近な顧客1社に声をかけ、小さく始めることが、事例を積み重ねていく近道です。

よくある質問

Q. 事例インタビューの取材時間はどのくらいが適切ですか?

60分を目安にするのが一般的です。会社の概要や導入の時期、数字などは事前アンケートで書いてもらい、当日は導入前の課題、選んだ理由、導入後の変化といった、口頭でなければ聞けない話に時間を使います。90分を超えると相手の負担が大きくなるため、聞き足りない点はメールで補うとよいでしょう。

Q. 取材を断られにくい依頼の仕方はありますか?

いきなり正式な依頼文を送るより、普段やり取りしている営業やサポートの担当者から先に打診してもらうほうが受けてもらいやすくなります。依頼文には、取材の時間、方法、公開する場所、公開前に原稿を確認できること、断っても取引に影響しないことを書き、相手が社内で説明しやすい形にします。

Q. 社名を出せないと言われた場合はどうすればよいですか?

業種、会社の規模、地域などをぼかした匿名の事例として公開する方法があります。社名がなくても、導入前の課題と導入後の変化が具体的に書かれていれば、読み手には十分に役立ちます。どこまでなら公開できるかを相手と相談し、確認した範囲をメールなどで記録しておくと安心です。

Q. 事例記事に数字を載せるときの注意点は何ですか?

数字は取材先の会社での結果であることが分かるように書き、公開前に必ず確認してもらいます。「導入すれば誰でも作業時間が半分になる」のように一般化した書き方は、実際より優れていると誤解させるおそれがあります。「この会社では月20時間が10時間に」のように、条件と対象を明らかにします。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年2月8日最終更新:2026年10月24日
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