病院の薬剤部の志望動機をどう書くか|ここを選んだ理由の組み立て方

前田 壮一
前田 壮一
病院の薬剤部の志望動機をどう書くか|ここを選んだ理由の組み立て方

この記事のポイント

  • 病院の薬剤部の志望動機を
  • 入って何をしたいかの3つの層で組み立てる方法をまとめました
  • 病院の薬剤部のページから材料を拾う方法

まず、安心してください。病院の薬剤部の志望動機は、上手な文章が書ける人ほど通る、というものではありません。

見られているのは、文章の巧さではなく、「この人は病院の薬剤部の仕事を分かったうえで、うちを選んでいるか」という一点です。そこさえ押さえれば、飾った言葉を使わなくても、十分に伝わる志望動機になります。

ただ、ここでつまずく人が多いのも事実です。「チーム医療に貢献したい」「専門性を高めたい」。こうした言葉は、どの病院に出しても通じるぶん、どの病院にも響きません。

この記事では、病院の薬剤部が志望動機のどこを見ているのかを整理したうえで、「なぜ病院か」「なぜこの病院か」「入って何をしたいか」という3つの層で組み立てる方法をお話しします。立場ごとの例文、避けたい書き方、面接で深掘りされたときの答え方まで、順に書いていきます。

病院の薬剤部は、志望動機で何を見ているのか

組み立て方の前に、読む側の事情を知っておきましょう。病院の薬剤部で採用に関わる薬剤部長や主任が、志望動機から読み取ろうとしていることは、おおむね次の4つです。

病院の仕事を、分かっているか

病院の薬剤部の仕事は、調剤薬局とはかなり違います。入院患者の注射薬や抗がん剤の調製、病棟での持参薬の確認、医師への処方の提案、夜間の当直。

志望動機に、こうした仕事の中身が少しでも具体的に書かれていると、「実習や見学で、ちゃんと見てきた人だな」と伝わります。反対に「患者さんの笑顔のために」だけだと、病院の仕事を知らないまま応募しているのでは、と受け取られかねません。

長く働いてくれそうか

病院の薬剤師は、一人前になるまでに時間がかかります。注射や病棟、無菌調製といった業務をローテーションで覚えるのに、数年かかる病院も多いです。

採用する側から見ると、育てた人が1年2年で辞めてしまうのが一番の痛手です。だから志望動機では、「この病院で、数年先まで何をしていたいか」が見えるかどうかが大切になります。

学ぶことを、仕事の一部と思っているか

病院の薬剤部には、勉強会や症例検討、学会での発表など、学ぶ機会がたくさんあります。認定薬剤師を目指す人も多い職場です。

「学ばせてください」という受け身ではなく、「こういう分野を、こういう形で学んで、患者さんに返したい」という姿勢があるかが見られています。

チームの一員として、動けそうか

病院の薬剤師は、医師、看護師、管理栄養士、臨床検査技師などと一緒に治療に関わります。

志望動機やこれまでの経験の中に、人と協力して何かを進めた場面が入っていると、チームの中で働く姿を想像してもらいやすくなります。

志望動機は「3つの層」で組み立てる

ここからが組み立て方です。病院の薬剤部の志望動機は、次の3つの層を順に積み上げると、筋の通った内容になります。

1つ目の層は「なぜ病院なのか」。薬局でも企業でもなく、病院の薬剤部を選ぶ理由です。

2つ目の層は「なぜこの病院なのか」。数ある病院の中から、ここを選んだ理由です。

3つ目の層は「入って何をしたいのか」。この病院で、どんな薬剤師として何をしていきたいかです。

3つの層は、下から順につながっていることが大事です。「病院で患者さんの治療に深く関わりたい。この病院は病棟薬剤業務に力を入れている。だから入職後はまず病棟業務を身につけ、将来は感染症の領域で医師に提案できる薬剤師になりたい」。こう並べると、1つの流れとして読めますよね。

反対に、層ごとの話がばらばらだと、「病院で治療に関わりたい。この病院は通勤しやすい。将来は在宅医療をやりたい」のように、何を大事にしている人なのかが伝わらなくなります。

履歴書の志望動機の欄であれば、全体で200字から300字程度が目安です。3つの層それぞれを2文程度で書くと、ちょうど収まります。面接では、この3つの層を土台に、それぞれを具体的な経験で膨らませて話します。

1つ目の層:「なぜ病院なのか」の書き方

「なぜ病院なのか」は、自分のこれまでの経験から理由を引き出すところです。立場によって、書ける材料が違います。

新卒の場合

新卒の人にとって一番の材料は、病院での実務実習です。

実習で印象に残った場面を1つ選んでください。病棟で患者さんの持参薬を確認したとき、抗がん剤の副作用の相談を受けたとき、カンファレンスで薬剤師が医師に提案していたとき。その場面で「病院の薬剤師は、治療の途中にずっと関わり続けるんだ」と感じたことを、自分の言葉で書きます。

大事なのは、場面を具体的にすることです。「実習で病院薬剤師の姿に感銘を受けた」では弱く、「実習で、腎機能の低下に合わせて抗菌薬の量を医師に提案する場面を見て」と書くと、同じ内容でも説得力がまったく違います。

調剤薬局から移る場合

薬局からの人は、薬局での経験の中で「ここから先に関われない」ともどかしく感じた場面が材料になります。

処方の意図が分からず、疑義照会でしか関われなかった。入院した患者さんの薬が、退院後に大きく変わっていて、その理由を知りたいと思った。点滴や注射の治療について、患者さんに聞かれても答えられなかった。

こうした経験を書くと、「病院に行けば楽になると思っている人」ではなく、「病院でしか得られないものを取りに来た人」として伝わります。

ドラッグストアから移る場合

ドラッグストアからの人は、市販薬の相談や、地域の人の健康相談に乗ってきた経験があります。

「受診をすすめた方のその後を知る機会がなく、治療の現場で薬の専門家として関わりたいと考えた」というように、ドラッグストアでの経験の延長線上に病院を置くと、自然な流れになります。

別の病院から移る場合

病院から病院へ移る人は、「なぜ病院か」は説明の必要が少ないぶん、「なぜ移るのか」を前向きに言い換えることが大切です。

前の病院の不満をそのまま書くのは避けてください。「前の病院では調剤業務が中心で、病棟に関わる機会が限られていた。病棟業務に力を入れている環境で、臨床の経験を積みたい」のように、足りなかったものを、次に得たいものとして書きます。

2つ目の層:「なぜこの病院なのか」を見つける材料

多くの人が一番苦労するのが、この層です。どこの病院も「チーム医療」「患者さん中心」と掲げているので、違いが見えにくいからです。

材料は、実はかなり身近なところにあります。

病院の薬剤部のページを、隅々まで読む

病院のホームページには、たいてい薬剤部のページがあります。ここには、その病院の薬剤部が何に力を入れているかが、具体的に書かれています。

たとえば、ある病院の薬剤部のページでは、認定資格を取った薬剤師について次のように紹介しています。

◆感染制御認定薬剤師について 感染制御認定薬剤師を取得するには、薬剤師としての実務経験が5年以上、3年以上感染制御に関わる業務を実施、日本病院薬剤師会が認定する研修会において10単位取得、認定試験に合格、感染制御に関する報告を20例以上提出し、日本病院薬剤師会に認定される必要があります。今後も認定取得により得た知識を患者さんに還元できるよう努めていきます。 出典: shimizuhospital.com

こうした記述から読み取れるのは、「この病院の薬剤部は、感染対策に薬剤師が関わっていて、認定を取る人を支えている」ということです。感染症の領域に関心がある人なら、ここがそのまま「なぜこの病院か」の材料になります。

同時に、この引用からは、認定資格には実務の年数や症例の報告といった要件があることも分かります。志望動機で「認定薬剤師を目指したい」と書くなら、こうした要件を理解したうえで、何年かけてどう取り組むのかまで考えておくと、話に厚みが出ます。

ページの中で、拾っておきたい項目

薬剤部のページを読むときは、次の項目を探してメモしておきましょう。

・薬剤師の人数と病床数 ・病棟薬剤業務を行っている病棟の数 ・参加しているチーム:感染対策、栄養サポート、緩和ケア、抗菌薬の適正使用など ・認定薬剤師や専門薬剤師の取得状況と、学会の認定施設になっているか ・新人や中途入職者の教育の流れ ・地域の保険薬局との連携の取り組み ・院内製剤や治験への関わり

この中から、自分の経験や関心と重なるものを1つか2つ選びます。全部を盛り込もうとすると、かえって焦点がぼやけます。

見学や説明会で聞いたことを使う

見学や説明会に参加したなら、そこで聞いた話は何よりの材料です。

「見学の際に、薬剤師が病棟で看護師と薬の投与の順番を相談している姿を見て」「説明会で、中途入職者にも半年かけて注射と病棟の業務を教える計画があると伺い」。自分の目で見て、耳で聞いたことは、ほかの応募者には書けない志望動機になります。

病院の役割から、自分との接点を探す

その病院が地域でどんな役割を持っているかも、材料になります。

救急の拠点になっている、がん治療の拠点病院に指定されている、地域の回復期や在宅医療を支えている。その役割の中で、薬剤師として自分が関わりたい部分を1つ選んで書くと、「この病院だから」という理由がはっきりします。

3つ目の層:「入って何をしたいか」は段階で書く

3つ目の層は、「入ってからの自分」を描くところです。ここは、段階に分けて書くと現実味が出ます。

最初の1年から2年

まずは、病院の業務を一通り身につけることです。

新卒でも中途でも、最初から専門的なことを任されるわけではありません。「まずは調剤や注射、病棟の業務を確実に身につけ、安心して任せてもらえる薬剤師になりたい」と書けば、地に足のついた姿勢として伝わります。

中途の人なら、ここに前の職場の経験をどう生かすかを添えます。「薬局で多くの外来患者さんの服薬を支えてきた経験を、入院時の持参薬の確認や、退院後の薬局との連携に生かしたい」といった形です。

3年から5年

病院の業務に慣れたあとに、どの分野に力を入れたいかを書きます。

ここで、2つ目の層で見つけた「この病院の強み」とつなげると、流れがきれいになります。感染対策に力を入れている病院なら感染症の領域、がん治療の拠点病院ならがんの領域、というように、病院の方向と自分の方向を重ねます。

仕事のやりがいを、自分の言葉で

病院で働く薬剤師が、どんなところにやりがいを感じているのか。ある医療法人の採用ページでは、薬剤師がこう語っています。

毎日何かを学べること、自分の成長を感じること、多職種と連携して人の健康・笑顔のために働けることにやりがいを感じています。 出典: ameria.org

こうした現場の人の言葉は、志望動機の方向を考えるうえで参考になります。ただし、そのまま借りて書くのは避けてください。「学べること」「成長」「多職種との連携」のうち、自分がこれまでの経験で本当に大事にしてきたのはどれか。それを、自分の場面で言い換えて書くのがポイントです。

私自身、40代で仕事を変えたとき、応募書類の志望動機を何度も書き直しました。最初に書いたものは、どこかで見た立派な言葉を並べただけで、読み返すと自分の話が1つも入っていなかったんです。そこで、これまでの仕事で一番手応えを感じた場面を3つ書き出し、そのうち1つを軸に書き直しました。面接でも、その場面について聞かれたとき、自然に言葉が出てきた。借りた言葉ではなく、自分の場面から書いた志望動機は、話すときにも崩れません。

立場別の例文

ここまでの組み立て方を使った例文を、立場ごとに示します。〇〇の部分は、応募する病院に合わせて書き換えてください。そのまま使うのではなく、自分の経験の場面に置き換えることが前提です。

新卒の例文

「病院での実務実習で、腎機能が低下した患者さんの抗菌薬の量について、薬剤師が医師に根拠を示して提案し、治療が変わる場面を見ました。治療の途中に関わり続ける病院薬剤師の仕事に魅力を感じ、病院を志望しています。〇〇病院は病棟薬剤業務を全病棟で行い、感染対策のチームにも薬剤師が参加していると伺いました。入職後はまず調剤と病棟の業務を確実に身につけ、将来は感染症の領域で医師に提案できる薬剤師になりたいと考えています。」

調剤薬局から移る場合の例文

「調剤薬局で6年間、外来患者さんの服薬指導に携わってきました。入院を経て薬が大きく変わった患者さんから理由を尋ねられ、治療の経過を知らないまま説明する難しさを感じたことが、病院を志望するきっかけです。〇〇病院は地域の保険薬局との情報共有に力を入れていると伺い、薬局での経験を入院時の持参薬の確認や退院時の連携に生かせると考えました。まずは注射や病棟の業務を一から学び、将来は外来と入院をつなぐ役割を担える薬剤師を目指します。」

別の病院から移る場合の例文

「現在の病院では4年間、調剤と注射の業務を中心に担当してきました。病棟に関わる機会が限られる中で、患者さんの状態に合わせて薬を調整する臨床の経験をさらに積みたいと考えるようになりました。〇〇病院はがん治療の拠点病院として、薬剤師が外来化学療法の患者さんの相談にも関わっていると伺いました。これまでの無菌調製の経験を土台に、がん領域の薬物療法に深く関わり、将来は認定資格の取得も目指したいと考えています。」

ブランクがある場合の例文

「子育てのため5年間現場を離れていましたが、その間も研修会への参加や、新しい薬の情報の確認を続けてきました。以前勤めていた病院で病棟業務に携わった経験を生かし、再び入院患者さんの治療に関わりたいと考えています。〇〇病院は復職者向けに段階的な研修の計画があると伺い、安心して力を取り戻せる環境だと感じました。まずは業務の感覚を取り戻し、日勤の中で確実に病棟の業務を担えるようになることを目標にしています。」

書き上げたあとに確かめる3つのこと

志望動機を書き終えたら、提出する前に、次の3つを確かめてください。どれも数分でできます。

病院名を入れ替えても、通じてしまわないか

書いた志望動機の「〇〇病院」の部分を、別の病院の名前に入れ替えて読んでみてください。

それでも違和感なく読めてしまうなら、2つ目の層が弱いということです。その病院の薬剤部のページや、見学で聞いた話から、もう1つだけ具体的な材料を足しましょう。入れ替えたときに「この病院には当てはまらない」と感じる一文が入っていれば、合格です。

声に出して読んで、自分の言葉になっているか

書いた文章を、声に出して読んでみてください。

読んでいて引っかかるところ、言い慣れない言葉があるところは、どこかから借りてきた表現であることが多いです。面接では、書類に書いたことを自分の口で話すことになります。話しにくい言葉は、話しやすい言葉に置き換えておきましょう。

3つの層が、1本の線でつながっているか

最後に、「なぜ病院か」「なぜこの病院か」「入って何をしたいか」を、それぞれ1行に縮めて並べてみてください。

「治療に関わり続けたい」「病棟業務に力を入れている」「病棟業務を身につけ感染症の領域へ」。このように並べたとき、話が1本の線でつながっていれば、読む側にも迷わず伝わります。どこかで話が飛んでいたら、飛んでいる層を書き直します。

家族や知人など、薬剤師ではない人に読んでもらうのもおすすめです。専門用語が分からない人にも、「この人がなぜこの病院で働きたいのか」が伝わるなら、薬剤部長にはなおさら伝わります。

公立病院の採用試験の場合

市立病院や県立病院などの公立病院では、自治体の職員採用試験の形で募集することが多く、志望動機を面接シートや申込書に書く形式になっていることがあります。

この場合も、組み立て方は同じです。ただ、公立病院では「地域の医療を支える公的な病院で働く意味」を聞かれやすい傾向があります。救急や災害時の医療、採算の取りにくい医療を担っているといった、その病院の地域での役割に触れ、そこで薬剤師として何を担いたいかを書き添えると、公立病院を選ぶ理由がはっきりします。

避けたい書き方

最後に、病院の薬剤部の志望動機で、評価を下げてしまいやすい書き方を挙げておきます。

待遇や通勤の便利さを、理由の中心にする

「通勤しやすい」「福利厚生が充実している」は、本音としては大事な理由です。でも、志望動機の中心に置くと、「条件がよい病院があれば、すぐに移ってしまうのでは」と受け取られます。条件は、面接の後半や、条件面の確認の場で話せば十分です。

どの病院にも言える言葉だけで書く

「チーム医療に貢献したい」「専門性を高めたい」「地域医療に貢献したい」。どれも間違いではありませんが、これだけでは、ほかの病院に出す志望動機と区別がつきません。必ず、2つ目の層の「この病院だから」の材料を1つ入れてください。

「学ばせていただきたい」だけで終わる

学ぶ姿勢を示すのは大切です。ただ、「教育体制が整っているので学ばせていただきたい」だけだと、受け身な印象になります。学んだことを、どう患者さんや病院に返すのかまで書きましょう。

前の職場への不満を、そのまま書く

「前の職場は人間関係が悪く」「残業が多く」といった書き方は、どれほど事実でも避けてください。読む側は、うちに来ても同じ不満を持つのでは、と考えてしまいます。不満は、「次に得たいもの」に言い換えて書くのが原則です。

認定資格の取得だけを目的にする

「認定薬剤師の資格を取りたい」だけを理由にすると、資格を取ったら辞めてしまうのでは、と心配されることがあります。資格を取って、何をしたいのか。そこまで書くことで、資格が目的ではなく手段だと伝わります。

伝えたいことを、全部詰め込む

熱意があるほど、経験も関心も全部書きたくなります。でも、欄いっぱいに小さな字で詰め込まれた志望動機は、読む側にとって要点がつかみにくくなります。

採用に関わる人は、多くの応募書類を限られた時間で読んでいます。1つの経験、1つの病院の特徴、1つの目標。この3つに絞った短い志望動機のほうが、印象に残ります。書ききれなかった経験は、面接で聞かれたときのためにとっておけば大丈夫です。むしろ、面接で「書類には書いていませんが」と話せる材料が残っているほうが、会話に広がりが出ます。

面接で志望動機を深掘りされたとき

書類で書いた志望動機は、面接で必ず深掘りされます。よく聞かれる質問と、答え方の考え方をまとめておきます。

「薬局ではなく、なぜ病院なのですか」

1つ目の層を、具体的な経験で膨らませて答えます。書類に書いた場面を、そのときに何を感じ、何を考えたかまで話せるように準備しておきましょう。

「当直や夜勤は大丈夫ですか」

急性期の病院では、ほぼ必ず聞かれます。生活の事情があるなら、正直に伝えたうえで、「月にこのくらいの回数なら対応できる」と具体的に答えるほうが、入ってからの行き違いを防げます。できないことを「大丈夫です」と言ってしまうと、あとで自分が苦しくなります。

「ほかにどの病院を受けていますか」

隠す必要はありませんが、受けている病院に共通する軸を説明できるようにしておきましょう。「病棟薬剤業務に力を入れている病院を中心に受けています」と答えられれば、志望動機の一貫性を示せます。

「入職後に、苦労しそうなことは何ですか」

これは、病院の仕事を理解しているかを見る質問です。「注射薬の配合や投与の管理は経験がないので、最初は時間がかかると思います。研修の資料を事前に読み、分からないことは早めに確認するようにします」のように、課題と対策を合わせて答えます。

最後の逆質問で、志望動機を補強する

面接の最後に「何か質問はありますか」と聞かれたら、志望動機を補強するチャンスです。

志望動機で「病棟業務を身につけたい」と伝えたなら、「中途で入った人は、何年目くらいから病棟を担当されていますか」と聞く。「感染症の領域に関わりたい」と伝えたなら、「感染対策のチームには、若手の薬剤師も参加できますか」と聞く。

こうした質問は、入職後の自分を具体的に想像していることの表れとして受け取られます。反対に、「特にありません」で終えてしまうと、せっかく組み立てた志望動機の熱が、最後に少し冷めて見えてしまいます。

給与や休日の質問が悪いわけではありません。ただ、逆質問が条件のことだけになると、志望動機との印象がずれることがあるので、仕事の中身についての質問を1つは入れておくと安心です。

薬局から病院へ移るときの年収の変化や、どの時期に動くのがよいかは、調剤薬局から転職病院薬剤師へ|30代で年収を落とさずキャリア移行を成功させるコツで具体的に整理しています。面接で条件の話になったときに、自分の考えを落ち着いて伝えるための準備になります。

運営者として見てきたこと

最後に、少し広い視点から書いておきます。

運営者としてこの市場を20年見てきた限りでは、専門職の人が職場を選ぶときに、「その職場で何を身につけ、それを誰にどう返すか」を言葉にできている人ほど、入ったあとも長く、手応えを持って働いています。志望動機を組み立てる作業は、応募書類のためだけではなく、自分のキャリアの軸を確かめる作業でもあります。

病院で積んだ専門性は、職場の外でも生きます。医療系の文章の監修や、薬の情報に関する相談を業務委託で受ける薬剤師も増えていて、そうした仕事では、依頼者と直接やりとりできる手数料0%の形のほうが、同じ予算で依頼者は相談しやすく、受け手の手取りも厚くなります。何を身につけたいかを言葉にしておくことは、こうした先の選択肢を広げることにもつながります。

年収を含めた条件の比べ方については、薬剤師の年収・単価相場で、薬剤師の年収が働く場所や年齢によってどう違うのかを統計をもとにまとめています。志望動機で「なぜこの病院か」を固めたうえで、条件の面でも無理のない選択かを確かめておくと、面接で迷いなく話せるようになります。

皆さんが書く志望動機は、完璧な文章である必要はありません。自分の場面から書いた、自分の言葉であること。それが、病院の薬剤部の採用で一番伝わる志望動機です。

よくある質問

Q. 病院の薬剤部の志望動機は何文字くらいが目安ですか?

履歴書の志望動機の欄であれば200字から300字程度が目安です。なぜ病院か、なぜこの病院か、入って何をしたいかの3つを、それぞれ2文程度で書くとちょうど収まります。面接では、この3つを土台にして、具体的な経験の場面を加えて1分から2分程度で話せるように準備しておくと安心です。

Q. 病院見学に行っていなくても志望動機は書けますか?

書けます。病院のホームページの薬剤部のページには、薬剤師の人数、病棟業務の状況、参加しているチーム、認定資格の取得状況などが載っていることが多く、そこから「この病院を選ぶ理由」を拾えます。ただ、見学で見聞きしたことは強い材料になるので、可能であれば応募前に見学を申し込むことをおすすめします。

Q. 調剤薬局から病院の薬剤部に移る志望動機で気をつけることは?

「病院のほうが専門的だから」だけでなく、薬局での経験の中で病院でしか関われないと感じた具体的な場面を書くことが大切です。また、注射や病棟の業務は一から学ぶ姿勢を示しつつ、外来患者の服薬支援の経験を持参薬の確認や退院時の連携に生かせると伝えると、薬局経験が強みとして伝わります。

Q. 志望動機で認定薬剤師を目指したいと書いてもよいですか?

書いて構いませんが、資格の取得だけを目的にしないことが大切です。認定資格の多くは実務年数や症例の報告などの要件があるため、要件を理解したうえで、取得して何を患者さんや病院に返したいのかまで書きましょう。その病院が該当する領域に力を入れているかを確かめてから書くと、説得力が増します。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年1月29日最終更新:2026年9月16日
前田 壮一

この記事を書いた人

前田 壮一@SOHO編集部

元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身

大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。

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