株主総会・取締役会の議事録作成を外注するには|法務事務の依頼範囲


この記事のポイント
- ✓取締役会や株主総会の議事録作成を外注したい担当者向けに
- ✓費用相場・依頼できる範囲・失敗しない選び方を解説します
- ✓手数料が乗る仲介経由と直接依頼のコスト差も具体的に示します
「取締役会 議事録 外注」と検索した方の多くは、次回の取締役会や株主総会が近づいているのに議事録を作る人手が足りず、誰にどう頼めばいいのか分からない状況にいるはずです。結論から言うと、議事録作成は文字起こしから体裁の整った成果物への清書まで、外部委託が十分に成立する業務です。ただし依頼先の選び方と業務範囲の切り分け方を間違えると、法的に必要な記載事項が抜け落ちたり、想定より費用がかさんだりします。この記事では、費用相場・依頼できる範囲・失敗しない選び方を、発注者の立場で具体的に解説します。
取締役会議事録の外注が増えている背景
中小企業やスタートアップでは、経営企画や総務の担当者が一人で複数の業務を兼務しているケースが珍しくありません。取締役会や株主総会は年に数回から毎月と頻度に幅がありますが、いずれも会社法上の記載要件を満たした議事録を一定期間保存する義務があります。
企業の意思決定を記録し、その信頼性と透明性を確保することは、ガバナンスを支える重要な要素です。取締役会議事録は、法的義務を果たすだけでなく、将来的な紛争の予防や企業の健全な運営に寄与します。本記事では、取締役会議事録が果たす重要な役割やその意義に加え、法律で求められる要件や実際の作成手順、効率的に議事録を作成するためのツールや実務上のポイント等について詳しく解説します。
出典: japan-ai.co.jp
この記述の通り、議事録は単なる会議メモではなく、会社の意思決定の正当性を証明する法的文書です。だからこそ、忙しい時期にクオリティを落とさず作成するために、外部の専門家やライターへの外注を検討する担当者が増えています。特にコーポレートガバナンス・コード対応や上場準備を進める企業では、取締役会の開催頻度が上がり、社内リソースだけでは対応しきれなくなるケースが目立ちます。
もう一つの背景として、テレワークの定着で会議自体がオンライン開催になり、録音データをそのまま文字起こし業者やフリーランスのライターに渡して議事録化する流れが一般的になったことも挙げられます。録音データさえあれば、遠隔地の専門家にも依頼しやすくなり、外注のハードルが下がっています。
取締役会議事録を作成しない場合のリスク
「そもそも外注するほど厳密に作らなくてもいいのでは」と考える担当者もいますが、これは誤解です。
取締役会議事録を作成しない場合、会社法に基づき法的リスクが発生します。具体的には、会社法第976条において、議事録を適切に保存しなかった場合に最大100万円の過料が科される可能性があります。また、議事録が作成されていないことで、取締役会の決議内容が曖昧となり、企業の意思決定の正当性を証明できなくなる場合があります。
出典: japan-ai.co.jp
過料の金額もさることながら、実務上より深刻なのは「決議の正当性を証明できない」ことです。株主から決議の有効性を争われた場合や、金融機関から融資審査で議事録の提出を求められた場合、記録が不十分だと会社の信用に直接関わります。外注を検討する担当者の多くは、この法的リスクを認識した上で「品質を担保できる外部の手を借りたい」という動機を持っています。
誰が議事録を作成する責任を負うのか
外注先を選ぶ前に、社内での責任の所在を整理しておく必要があります。
取締役会議事録を作成する責任者は、一般的には議長を務める取締役とされています。ただし、実際の作業は取締役会の出席者や事務局スタッフがサポートすることが多いです。議長には、議事録の内容が正確であることを確認し、署名または記名押印を行う責任があります。
出典: japan-ai.co.jp
つまり、外注できるのはあくまで「作成の作業」であって、「内容の正確性を確認し署名する責任」までは委譲できません。この線引きを最初に理解しておくと、依頼範囲を決めるときに迷いが少なくなります。外部のライターや事務代行者に依頼するのは、録音データからの文字起こし、法定記載事項に沿った体裁への整形、誤字脱字のチェックといった作業部分であり、最終的な内容確認と押印は社内の議長や取締役会事務局が行うのが基本形です。
取締役会議事録に記載すべき内容
外注先に的確な指示を出すためにも、記載事項の全体像を押さえておきましょう。
必須の記載事項
会社法および会社法施行規則で定められている主な記載事項は次の通りです。
・取締役会が開催された日時および場所 ・取締役会の議事の経過の要領およびその結果 ・決議を要する事項について特別の利害関係を有する取締役の氏名 ・議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名 ・出席した取締役、監査役、会計参与、会計監査人の氏名
これらは省略すると議事録として不完全になり、後から補記することも困難です。外注先には録音データだけでなく、出席者名簿や当日の議案書もあわせて渡すと、記載漏れを防ぎやすくなります。
決議事項と報告事項の区別
議事録では、決議を要した事項と、単に報告として共有された事項を明確に区別して記載する必要があります。この区別が曖昧だと、後から「あれは決議されたのか、報告されただけなのか」という争いが生じかねません。外注先に依頼する際は、議事の進行表やアジェンダを事前に共有し、どの項目が決議事項でどの項目が報告事項かを明示しておくと、成果物の精度が上がります。
取締役会議事録作成を外注する際の費用相場
発注者が最も気にするのは費用感でしょう。議事録作成の外注費用は、依頼する業務範囲と分量によって大きく変わります。
・録音データからの文字起こしのみ:1時間の会議あたり5,000円〜1万5,000円程度 ・文字起こしに加えて法定記載事項に沿った議事録形式への清書:1回あたり2万円〜5万円程度 ・司法書士や行政書士による内容確認・体裁チェックまで含める場合:1回あたり3万円〜8万円程度 ・株主総会の運営支援(招集通知作成や当日の運営補助を含む)まで依頼する場合:数十万円規模になることもある
文字起こしのみであれば比較的安価に依頼できますが、法定要件を満たした議事録として仕上げるには、会社法の記載要件を理解しているライターや専門家に依頼する方が結果的に手戻りが少なくなります。
ここで発注者が見落としがちなのが、仲介会社や代理店を経由した場合の中間マージンです。議事録作成代行サービスの多くは、実際に作業するライターや専門家に加えて運営会社の手数料が上乗せされています。この手数料は20%〜30%程度になることも珍しくなく、同じ予算でも直接フリーランスに依頼すればより多くの回数を依頼できる計算になります。仲介を挟まずフリーランスへ直接依頼すれば中間マージンが発生しないため、その分の費用を品質確認や追加校正に回すという選択肢も生まれます。
議事録作成を外注する5つのステップ
実際に外注する際の流れを整理します。
ステップ1:依頼範囲を決める
まず、文字起こしだけを依頼するのか、法定記載事項に沿った清書まで依頼するのか、体裁チェックや内容確認まで含めるのかを決めます。範囲が曖昧なまま見積もりを取ると、後から追加費用が発生しやすくなります。
ステップ2:録音データと関連資料を準備する
会議の録音データに加えて、出席者名簿、議案書、決議事項の一覧を用意します。資料が揃っているほど、外注先の作業がスムーズになり、成果物の精度も上がります。
ステップ3:候補先を比較する
議事録作成代行サービス、フリーランスの秘書経験者やライター、司法書士事務所など、依頼先の選択肢は複数あります。それぞれ料金体系と対応範囲が異なるため、複数社から見積もりを取って比較するのが基本です。
ステップ4:納期と修正回数を確認する
取締役会後、株主総会後は決算スケジュールとも連動するため、納期に余裕を持たせて依頼することが重要です。あわせて、初稿提出後の修正が何回まで無料かも事前に確認しておきましょう。
ステップ5:守秘義務契約を締結する
取締役会や株主総会の内容には未公表の経営情報が含まれるため、外注先とは必ず秘密保持契約(NDA)を締結してから資料を渡します。個人のフリーランスに依頼する場合でも、この手続きを省略してはいけません。
議事録外注を内製化と比較したときのコスト構造
議事録作成を社内で内製化する場合、担当者の人件費に加えて、本来その担当者が対応できたはずの他業務の機会損失が発生します。特に総務や経営企画の担当者が議事録作成に半日を費やすと、その分だけ他の業務が滞留します。
一方で外注する場合、直接費用は発生するものの、担当者は本来の業務に集中できます。単純な時給換算だけでなく、担当者のスキルセットが議事録作成に最適化されていない場合、外注した方が品質と速度の両面で優れた結果になることも少なくありません。特に法定記載事項の理解が浅いまま担当者が議事録を作成すると、後から専門家によるチェックが必要になり、二度手間になるリスクもあります。
コストだけを見て内製化を選ぶのではなく、担当者の専門性や作業時間、リスクの許容度まで含めて判断することが望ましいでしょう。
依頼先選びで失敗しないためのポイント
会社法の記載要件を理解しているか確認する
単なる文字起こしの経験だけでなく、会社法施行規則に基づく記載事項を理解している依頼先を選ぶことが重要です。過去の実績や対応可能な書類の一覧を確認し、取締役会議事録や株主総会議事録の作成経験があるかを尋ねましょう。
守秘義務への理解と契約対応
経営情報を扱う業務であるため、NDAの締結にきちんと応じてくれるかどうかも重要な判断材料です。契約書のひな形を提示してもらえるか、修正に応じてもらえるかを確認しておくと安心です。
納品形式の柔軟性
Word形式、PDF形式、押印用の紙媒体対応など、納品形式に柔軟に対応してくれるかも確認しておきましょう。特に押印や製本が必要な場合は、対応可能かどうかを事前に伝えておく必要があります。
見積もりの内訳が明確か
「議事録作成一式」とまとめて提示されるだけでなく、文字起こし料金、清書料金、修正対応料金がどのように分かれているかを確認しましょう。内訳が不明瞭な見積もりは、後から追加費用を請求されるリスクがあります。
私自身、初めて外部に議事録作成を依頼した際、複数社から見積もりを取らずに一社だけで即決してしまい、後から他社の方が同じ範囲で3割ほど安く対応していたことを知った経験があります。安さだけで選ぶのも危険ですが、最低でも2〜3社の見積もりを比較してから決める習慣は、外注先選びの基本として身につけておいた方がよいでしょう。
AI議事録ツールとの使い分け
近年はAIによる自動文字起こし・要約ツールも普及しており、議事録作成の一部を自動化する動きもあります。ただし、AIツールはあくまで音声をテキスト化し、大まかな要約を作る段階までが得意領域です。会社法の記載要件に沿った体裁への整形や、決議事項と報告事項の区別、特別利害関係を持つ取締役の明記といった法務的な精度が求められる部分は、専門知識を持つ人による確認が欠かせません。
実務では、AIツールで一次的な文字起こしを済ませたうえで、そのテキストを議事録作成の経験があるフリーランスや専門家に清書・チェックしてもらうという二段構えの外注が効率的です。この組み合わせにより、コストを抑えつつ品質も担保しやすくなります。
独自データ考察:直接依頼という選択肢
議事録作成や法務事務の外注先を探す際、代理店や仲介サービスを経由すると、前述の通り手数料が上乗せされます。一方で、フリーランスの秘書経験者や法務事務の経験者に直接依頼できる場ですAIコンサル・業務活用支援のお仕事やアプリケーション開発のお仕事のように専門分野ごとに依頼先を探せる仕組みを使えば、中間マージンを省いた依頼が可能になります。
また、議事録作成に限らず、経理・法務まわりの事務作業を広く任せたい場合は社労士フリーランスの需要と将来性|企業が外注する労務業務とはで紹介されているような、社会保険労務士の業務範囲との違いを理解しておくと、依頼先の切り分けがしやすくなります。労務関連の手続きと議事録作成は別領域の専門性が求められるため、混同せずに依頼先を分けるのが望ましいでしょう。
限られた予算で複数の外注業務を組み合わせたい場合はスタートアップの外注活用ガイド|限られた予算で最大の成果を出す方法【2026年版】も参考になります。議事録作成だけでなく、経理事務や広報業務なども合わせて外注する際の予算配分の考え方が整理されています。
さらに、議事録作成者自身のキャリアや報酬水準を把握しておきたい場合は著述家,記者,編集者の年収・単価相場のデータも参考になります。文字起こしや清書を専門とするライターの単価感を把握しておくと、見積もりが適正かどうかの判断材料になります。
20年この市場を見てきた立場から言えば、議事録作成のような専門性の高い事務業務ほど、一度信頼できる依頼先を見つけると長く継続して任せる企業が多い傾向にあります。単発の依頼で終わるのではなく、四半期ごとの取締役会や年次の株主総会のたびに同じ依頼先へ継続して依頼することで、企業の議事運営の癖や記載スタイルを理解してもらえるようになり、毎回のやり取りコストが下がっていきます。
運営者として見てきた限りでは、仲介会社を経由した依頼は初回の安心感こそあるものの、担当者が固定されず毎回異なるライターが対応するケースも多く、結果として品質のばらつきが出やすい傾向があります。一方、フリーランスに直接依頼する形態は、同じ担当者と継続的に関係を築けるため、額面上の費用差以上に「手取りが厚くなる」構造が双方に生まれます。発注者は中間マージンを払わない分、同じ予算でより高頻度に依頼できますし、受注する側も仲介手数料が引かれない分の対価をそのまま受け取れます。この双方が得をする構造は、単なる価格比較では見えにくい、直接取引ならではの利点だと言えるでしょう。
法務事務や議事録作成のような機密性の高い業務を外部に任せる際は、費用の安さだけでなく、守秘義務への対応、法定記載事項への理解、継続的な依頼のしやすさという3つの軸で依頼先を評価することをおすすめします。
よくある質問
Q. 取締役会議事録の作成を外注する場合、費用相場はどれくらいですか?
文字起こしのみなら1時間の会議あたり5,000円〜1万5,000円程度、法定記載事項に沿った清書まで含めると1回あたり2万円〜5万円程度が目安です。仲介会社を経由すると手数料が上乗せされる点に注意してください。
Q. 議事録作成を外注しても法的な責任は発生しませんか?
作成作業自体は外注できますが、内容の正確性を確認し署名または記名押印する責任は議長を務める取締役に残ります。外注先に依頼するのはあくまで作業部分と理解しておく必要があります。
Q. AIの議事録ツールだけで対応できますか?
音声の文字起こしや大まかな要約はAIツールが得意ですが、会社法の記載要件に沿った体裁整形や決議事項の区別といった法務的な精度は人による確認が必要です。AIと専門家の併用が現実的です。
Q. フリーランスに直接依頼する場合、どんな点に注意すべきですか?
経営情報を扱うため、必ず秘密保持契約(NDA)を締結してから資料を渡してください。あわせて、会社法の記載要件を理解した経験があるかを事前に確認しておくと安心です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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