理事会の議事録の書き方|残す項目と決議の記録のしかた


この記事のポイント
- ✓理事会の議事録の書き方を
- ✓一般社団法人法と施行規則で決まっている記載事項
- ✓議事の経過と決議の結果の書き方
理事会の議事録を初めて任されると、何をどこまで書けばよいのか、前年の議事録を真似すれば足りるのか、と迷う人が多いはずです。会社の打ち合わせのメモと違い、理事会の議事録は法律で書く項目と署名の方法、保管の期間が決まっている書類です。この記事では、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下、一般社団法人法)と、その施行規則に沿って、理事会の議事録に書く項目、議事の経過と決議の書き方、オンライン開催や書面による決議のときの書き方、署名と保管までを順に説明します。理事会で決まったことを担当と期限つきで追いかける方法として、ボードで仕事を管理するPinatecaにも後半で触れます。
理事会の議事録とは何か
理事会の議事録とは、理事会で何が話し合われ、何が決まったかを記録した書類です。単なる覚え書きではなく、法人が正しい手続きで意思決定をしたことを後から示す証拠になります。
議事録が必要になる場面は、思っているより多くあります。
- 代表理事を選んだり、事務所を移したりしたときに、法務局で登記を申請する
- 理事の責任が問われたときに、誰が賛成し、誰が反対したかを確かめる
- 社員(一般社団法人の構成員)や債権者から、閲覧を求められる
- 翌年の担当者が、過去の決定の経緯を調べる
このため、議事録は「後から読んだ人が、その場にいなくても何が決まったか分かる」ように書く必要があります。
なお、「理事会」と呼ばれる会議は、法人の種類によって根拠となる決まりが違います。一般社団法人と一般財団法人は一般社団法人法、社会福祉法人は社会福祉法、マンションの管理組合は管理規約というように、それぞれの法律や規約で手続きが定められています。この記事では、理事会の議事録について法律に具体的な定めがある一般社団法人法を軸に説明します。ほかの法人や団体で議事録を書く場合は、ここで説明する考え方を土台にしながら、自分の団体の法律、定款、規約の定めを必ず確かめてください。
法律で決まっていること
一般社団法人法の第95条第3項は、理事会の議事録について次のように定めています。
理事会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した理事(定款で議事録に署名し、又は記名押印しなければならない者を当該理事会に出席した代表理事とする旨の定めがある場合にあっては、当該代表理事)及び監事は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。 出典: e-Gov法令検索(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律)
この条文から分かる決まりを、言葉を言い換えて整理すると次のようになります。
- 理事会を開いたら、議事録を必ず作る
- 書く中身は、法務省令(施行規則)で決まっている
- 紙で作るなら、出席した理事全員と監事が署名するか、名前を記して印を押す
- 定款に「署名するのは出席した代表理事」と定めておけば、署名する理事は代表理事だけでよい。ただしこの場合も監事は署名する
同じ条の第4項では、議事録をデータ(電磁的記録)で作る場合は、署名や押印の代わりに法務省令で定める措置をとるとしています。施行規則の第90条で、この措置は電子署名とされています。
第5項にも大切な決まりがあります。理事会の決議に参加した理事で、議事録に異議をとどめなかった人は、その決議に賛成したものと推定されます。反対した理事がいたのに議事録に書かなかった場合、その理事も賛成したと扱われるおそれがあるということです。反対や棄権があったときに、誰がそうしたのかを正確に書く理由はここにあります。
保管についても決まりがあります。第97条により、議事録は理事会の日から10年間、法人の主たる事務所に備え置かなければなりません。一般財団法人の理事会にも、同じ決まりが準用されています。
議事録に書く項目
議事録に書く中身は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行規則の第15条第3項に並んでいます。条文の言葉は硬いので、意味を言い換えながら1つずつ説明します。
1. 開催した日時と場所
理事会を開いた日時と場所を書きます。会場にいない理事、監事、会計監査人がオンラインや電話で出席した場合は、その出席の方法も書きます。「Web会議システムにより出席」のような書き方です。
2. 招集の経緯が特別な場合は、その旨
通常は、招集する権限のある理事が理事会を招集します。理事の請求を受けて招集した場合、請求した理事が自ら招集した場合、監事の請求を受けて招集した場合、監事が自ら招集した場合は、その旨を書きます。いつもどおりの招集なら、この項目は書かなくてかまいません。
3. 議事の経過の要領と、その結果
議事録の中心になる部分です。「議事の経過の要領」とは、話し合いの流れの要点のことです。誰がどの議案を説明し、どんな質問や意見が出て、最終的にどう決まったかを書きます。発言を一言一句書き起こす必要はありません。
4. 特別の利害関係がある理事の氏名
決議する議案について、個人的な利害がからむ理事がいる場合は、その理事の名前を書きます。たとえば、理事本人と法人が取引をする議案では、その理事は議決に加わることができません(第95条第2項)。
5. 法律の決まりで述べられた意見や発言の概要
理事が法人と取引をしたあとの報告、監事が理事の不正を見つけたときの報告など、法律で理事会に報告することが決まっているものがあった場合は、その内容の概要を書きます。
6. 定款で署名者を代表理事に限っている場合の、出席理事の氏名
署名するのが代表理事だけの場合、ほかにどの理事が出席したのかが署名欄から分からなくなります。そのため、代表理事以外の出席した理事の名前を書きます。
7. 出席した会計監査人の氏名または名称
会計監査人を置いている法人で、会計監査人が出席した場合に書きます。
8. 議長の氏名
理事会に議長がいる場合は、議長の名前を書きます。
この8項目のうち、2、4、5、7は該当するときだけ書く項目です。毎回必ず書くのは、日時と場所、議事の経過の要領と結果、議長の氏名(議長がいる場合)、そして定款の定めによっては出席理事の氏名です。実際の議事録では、これらに加えて、出席した理事と監事の人数や名前、議事録を作った人の名前も書くのが一般的です。
社員総会の議事録との違い
一般社団法人では、理事会のほかに社員総会も開きます。どちらも議事録が必要ですが、決まりにはいくつか違いがあります。混同しやすいので、主な違いを表で比べます。
| 項目 | 理事会の議事録 | 社員総会の議事録 |
|---|---|---|
| 根拠の条文 | 一般社団法人法 第95条・第97条 | 一般社団法人法 第57条 |
| 署名や押印 | 出席した理事と監事が署名または記名押印(定款で代表理事に限ることができる) | 法律では署名の義務は定められていない(定款で定めていることが多い) |
| 主たる事務所での保管 | 10年間 | 10年間 |
| 従たる事務所での保管 | 定めなし | 写しを5年間(データで閲覧に応じられる措置をとっていれば不要) |
| 社員による閲覧 | 権利の行使に必要なときに、裁判所の許可を得て請求できる | 業務時間内はいつでも請求できる |
このように、理事会の議事録は署名の決まりが厳しく、閲覧には裁判所の許可が要るという点で、社員総会の議事録と扱いが違います。理事会では業務の細かな決定や利害のからむ取引が話し合われることが多いため、記録の正しさをより強く求め、外に出す場面を絞っていると考えると分かりやすくなります。
社員総会と理事会を同じ日に続けて開く法人も多くあります。その場合も、議事録は会議ごとに別々に作ります。1つの議事録に両方の会議の内容を書くと、署名する人や保管の決まりが違うため、扱いが混乱します。
理事会で決めることと、報告の決まり
議事録に書く議案の中身を理解するために、理事会が何を決める場なのかも押さえておきます。一般社団法人法の第90条では、理事会の仕事として、業務執行の決定、理事の職務の執行の監督、代表理事の選定と解職の3つを挙げています。
さらに同じ条の第4項では、次のような重要な決定は理事会で決めなければならず、個々の理事に任せることはできないとしています。
- 重要な財産の処分と譲り受け
- 多額の借り入れ
- 重要な使用人の選任と解任
- 従たる事務所など重要な組織の設置、変更、廃止
これらの決定は、議事録の中でも特に正確に書く必要があります。財産の処分なら対象の財産と金額、借り入れなら借入先と金額と期間、事務所の設置なら所在地と時期を、資料と突き合わせて書きます。
また第91条第2項では、代表理事と、業務を執行する理事として選ばれた理事は、3か月に1回以上、自分の職務の執行の状況を理事会に報告しなければならないとしています。定款で「毎事業年度に4か月を超える間隔で2回以上」と定めた場合は、その定めに従います。この職務の報告は、理事会への報告の省略(第98条)の対象外なので、実際に理事会を開いて報告し、その概要を議事録に残します。理事会を年に何回開くかを決めるときは、この報告の決まりも考えに入れておきます。
書き方の手順
議事録は、理事会が終わってから一気に書こうとすると、記憶が曖昧になって手間がかかります。開催の前から準備を始めると、短い時間で正確に仕上がります。
開催の前:ひな形に分かっていることを入れておく
理事会の招集通知と議案の資料が届いた時点で、議事録のひな形に次のことを入れておきます。
- 開催の日時と場所、オンラインで参加する人の予定
- 理事と監事の名前の一覧
- 議案の番号と題名
- 議長を務める予定の人
議案ごとに見出しを作っておけば、当日は話し合いの要点と結果を書き込むだけで済みます。
当日:要点と結果を書き留める
当日は、議案ごとに次の点を書き留めます。
- 誰が議案を説明したか
- 出た質問と、それへの回答の要点
- 修正があった場合は、その内容
- 採決の方法と結果(全員一致か、賛成多数か。反対や棄権をした人の名前)
- 途中で出入りした理事がいれば、その時刻
採決の前に、議決に加わることができる理事の過半数が出席しているか(定足数)を確かめ、その数も書き留めておきます。一般社団法人法の第95条第1項では、理事会の決議は、議決に加わることができる理事の過半数が出席し、その過半数で行うとされています。定款でこれより厳しい割合を決めている場合は、定款に従います。
録音をとる場合は、出席者に事前に伝えておきます。録音は書き起こしのためではなく、要点を確かめ直すための控えとして使うと、作業が重くなりません。
終了後:その日のうちに下書きを作る
理事会が終わったら、記憶が新しいうちに下書きを作ります。当日のメモを、議案ごとに「説明」「質疑」「決議の結果」の順に並べ直すと、読みやすい議事の経過になります。
確認:議長と出席者に読んでもらう
下書きができたら、議長と、議案を説明した理事に確認してもらいます。発言の要点がずれていないか、決議の結果が正しいかを見てもらいます。署名をもらう前に内容を固めておくと、署名のあとで直す手間が省けます。
署名と保管
内容が固まったら、署名をもらいます。紙なら出席した理事と監事の署名か記名押印、データなら電子署名です。署名が終わった議事録は、10年間、主たる事務所に備え置きます。
議事の経過の要領を書くときのコツ
議事録の中で、一番書き方に迷うのが議事の経過の要領です。次の点を押さえると、後から読む人に伝わる記録になります。
発言は要点を、決定は正確に
話し合いの流れは要点だけでかまいませんが、決まったことは正確に書きます。金額、日付、契約の相手、人の名前は、資料と突き合わせて間違いがないか確かめます。「予算を増額することとした」ではなく、「令和8年度の広報費の予算を、原案の120万円から150万円に変更することを承認した」のように、何がいくらからいくらに変わったかまで書きます。
決議の結果は、人数と名前で書く
「異議なく承認された」「全員一致で可決した」のように結果を書きます。反対や棄権があった場合は、「賛成多数(理事6名中賛成5名、反対1名:理事 〇〇〇〇)により可決した」のように、反対した人の名前も書きます。「法律で決まっていること」で触れたとおり、議事録に異議をとどめなかった理事は賛成したと推定されるため、反対した人にとっても記録が重要になります。
主語をはっきりさせる
「説明があった」「了承された」と主語を省くと、誰の説明で、誰が了承したのか分からなくなります。「事務局長〇〇〇〇から、資料1に基づき説明があった」のように、誰が何をしたかを書きます。
継続審議や宿題も書く
その日に決まらなかった議案は、「次回の理事会で改めて審議することとした」と書きます。誰かが調べて報告することになった場合は、担当の人と報告の時期も書いておくと、次の理事会で確かめやすくなります。
書き方を毎回そろえる
議事録の書式は、毎回同じ形にそろえます。項目の順番や言い回しが毎回違うと、過去の議事録と比べるのが難しくなります。一度ひな形を作ったら、変える必要が出たときだけ直します。
議事録の例
一般社団法人の通常の理事会を想定した議事録の例です。自分の法人の定款と照らし合わせて、必要な項目を加えたり外したりして使います。
一般社団法人〇〇協会 第〇回理事会議事録
1.日時 令和8年10月14日(水)午後2時00分から午後3時30分まで
2.場所 当法人事務所会議室(東京都〇〇区〇〇1-2-3)
理事 △△△△は、Web会議システムにより出席した。
Web会議システムにより、出席者の音声と映像が即時に他の出席者に伝わり、
適時的確な意見表明が互いにできる状態であることを確認した。
3.理事総数 7名 出席理事 6名(うちWeb会議システムによる出席1名)
監事総数 2名 出席監事 2名
4.議長 代表理事 〇〇〇〇
5.議事の経過の要領及びその結果
議長は開会を宣し、定足数を満たしていることを確認したのち、議案の審議に入った。
第1号議案 令和8年度上半期の事業報告の件
議長の指名により、事務局長 □□□□から資料1に基づき説明があった。
理事 ◇◇◇◇から、会員数の推移について質問があり、事務局長から回答があった。
議長が承認を求めたところ、全員一致でこれを承認した。
第2号議案 事務所移転の件
議長から、事務所を令和9年1月1日付で東京都〇〇区〇〇4-5-6へ移転したい旨の説明があった。
審議の結果、賛成多数(出席理事6名中賛成5名、反対1名:理事 ☆☆☆☆)により原案どおり可決した。
報告事項 理事 ◎◎◎◎と当法人との取引の報告
理事 ◎◎◎◎から、令和8年9月に当法人と締結した業務委託契約の重要な事実について報告があった。
以上をもって全ての議事を終了したので、議長は午後3時30分に閉会を宣した。
上記の決議を明確にするため、この議事録を作成し、出席した理事及び監事がこれに記名押印する。
令和8年10月20日
一般社団法人〇〇協会 理事会
議長 代表理事 〇〇〇〇 印
理事 (以下、出席理事の記名押印)
監事 (以下、出席監事の記名押印)
この例では、オンラインで出席した理事がいることを場所の欄に書き、音声と映像が互いに伝わる状態だったことを確かめた旨も入れています。法律の条文が求めているのは出席の方法ですが、後から「本当に議論に参加できていたか」を問われたときに備えて、通信の状態を確かめたことも書いておく例が多く見られます。
議案の種類ごとの書き方
議事の経過の要領は、議案の種類によって書く内容が少しずつ違います。よく出てくる議案ごとに、押さえておきたい点を挙げます。
承認を求める議案
事業報告、決算、予算、規程の改定など、原案を承認するかどうかを決める議案です。誰が説明したか、主な質問と回答、修正の有無、決議の結果を書きます。原案から修正して承認した場合は、「第3条中『月1回』を『月2回』に改めたうえで承認した」のように、どこをどう直したかを具体的に書きます。
人を選ぶ議案
代表理事や業務執行理事を選ぶ議案です。選ばれた人の名前と、その人がその場で就任を承諾したかどうかを書きます。「被選定者はその場で就任を承諾した」と書いておくと、登記の申請のときに就任承諾書の代わりに使える場合があります。登記に使う場合は、法務局の案内で必要な記載を事前に確かめておきます。
報告事項
決議を伴わない報告です。誰が何について報告したかと、出た質問の要点を書きます。法律で報告が義務付けられている事項(理事と法人の取引の報告、職務の執行の状況の報告など)は、施行規則で概要を書くことになっているため、報告の中身の要点を省略せずに書きます。
継続審議になった議案
その日に結論が出なかった議案は、結論が出なかった理由と、次にどうするかを書きます。「見積もりを複数社から取ったうえで、次回の理事会で改めて審議することとした」のように、次の理事会で何を確かめるのかが分かる書き方にします。
利害関係のある理事がいる議案
議案に特別の利害関係がある理事がいる場合は、その理事の名前と、その理事が議決に加わらなかったことを書きます。定足数や賛成の数を数えるときも、その理事を除いた人数で数えるので、「議決に加わることができる理事5名中、賛成5名」のように、分母の数も書いておくと誤解がありません。
議事録を書く前に定款で確かめること
議事録の書き方は、法律だけでなく定款によっても変わります。初めて議事録を担当するときは、書き始める前に定款の次の部分を読んでおきます。
- 議事録に署名する人の定め。代表理事に限っているか、出席した理事全員か
- 理事会の決議の要件。法律より厳しい割合を定めていないか
- 理事会の招集の手続き。招集する人と、招集通知を出す期限
- 決議の省略(みなし決議)の定めがあるか。定めがなければ、書面やメールでの決議はできません
- 議長を誰が務めるか
定款の定めと議事録の書き方が食い違っていると、議事録の効力が問題になることがあります。たとえば、定款に決議の省略の定めがないのに、メールで同意を集めて決議したことにしても、理事会の決議があったとは扱われません。前年の議事録を参考にする場合も、その後に定款が変わっていないかを確かめてから使います。
オンライン開催と、書面による決議の書き方
理事会をオンラインで開いたり、会議を開かずに書面で決めたりする場合は、議事録の書き方が少し変わります。
オンラインや電話で出席した人がいる場合
「議事録の例」で示したように、場所の欄に「Web会議システムにより出席」と、出席の方法を書きます。全員がオンラインで参加した場合も、議長がいた場所など、開催の場所として扱う場所を書いておきます。
理事会の決議を省略した場合
一般社団法人法の第96条では、定款に定めがあれば、理事全員が書面やメールなどで提案に同意したときに、理事会の決議があったものとみなすことができます(監事が異議を述べた場合を除く)。いわゆる「みなし決議」です。
この場合も議事録は必要で、施行規則の第15条第4項に書く項目が決まっています。
- 決議があったものとみなされた事項の内容
- その提案をした理事の氏名
- 決議があったものとみなされた日
- 議事録の作成を担当した理事の氏名
同意の書面やメールそのものも、議事録と一緒に10年間備え置く必要があります(第97条)。メールで同意を集めた場合は、そのメールを印刷するかデータで保存しておきます。
理事会への報告を省略した場合
第98条では、理事や監事が、理事会に報告すべきことを理事と監事の全員に知らせたときは、理事会への報告を省略できるとしています。この場合も、報告を省略した事項の内容、省略された日、議事録の作成を担当した理事の氏名を議事録に書きます。ただし、代表理事などが職務の状況を定期的に理事会に報告する決まり(第91条第2項)は、この省略の対象になりません。
署名と押印、電子署名
紙の議事録では、出席した理事と監事が署名するか、記名押印します。署名は自分の手で名前を書くこと、記名押印は印刷やゴム印で名前を記したうえで印を押すことです。
データで議事録を作る場合は、署名や押印の代わりに電子署名を付けます。施行規則の第90条では、電子署名とは、その情報を作った人が誰かを示せて、内容が書き換えられていないかを確かめられる措置とされています。PDFにした議事録に、電子署名のサービスで署名する方法が使われています。
法務局での登記に議事録を添付する場合は、押印や電子署名に、登記の手続きの決まりで求められる条件が加わることがあります。代表理事を選んだ議事録のように登記に使う議事録は、法務局の案内で必要な押印や電子署名の種類を確かめてから作ります。
保管と閲覧
署名が終わった議事録は、理事会の日から10年間、主たる事務所に備え置きます。データで作った場合も同じ期間保存します。
一般社団法人の社員は、権利を行使するために必要があるときは、裁判所の許可を得て議事録の閲覧や写しを求めることができます。債権者も、理事や監事の責任を追及するために必要なときは、裁判所の許可を得て同じ請求ができます(第97条第2項・第3項)。いつ求められても出せるように、年度ごとにファイルを分け、議事録の一覧を付けておくと探しやすくなります。
データで保存する場合は、10年後にも開ける形で保存することが大切です。特定のソフトでしか開けない形式より、PDFのように広く使われている形式にしておくと安心です。電子署名を付けたPDFは、署名のあとに中身を書き換えると署名が無効になるので、確定した版を1つに決めて保存します。保存先のパソコンや共有フォルダが壊れたときに備えて、別の場所にも控えを保存しておきます。
保管の場所を決めずに担当者の手元に置いたままにしていると、担当者が交代したときに行方が分からなくなります。紙の原本は事務所の決まった棚やキャビネットに、データは法人の共有フォルダに保存し、保管場所を引き継ぎの書類にも書いておきます。
よくある間違いと防ぎ方
理事会の議事録で起きやすい間違いを挙げます。
- 監事の署名が抜けている。署名を代表理事に限る定款の定めがあっても、監事は署名します
- 反対した理事の名前が書かれていない。反対した理事が賛成したと推定されるおそれがあります
- 決議の内容が曖昧。金額、日付、相手先は資料と突き合わせて書きます
- 定足数を確かめた記録がない。出席者の数と、定足数を満たしていることを書きます
- 途中で退席した理事がいるのに、その後の決議の出席者の数を直していない。退席の時刻と、その後の出席者の数を書きます
- 特別の利害関係がある理事が議決に加わっている。議案ごとに利害関係の有無を確かめ、ある場合はその理事の名前を書き、議決に加わっていないことを記録します
- みなし決議の同意書を保管していない。同意の書面やメールも10年間備え置きます
間違いを防ぐ一番の方法は、署名に回す前に、議事録を作った人とは別の人が読むことです。作った本人は、頭の中で足りない情報を補って読んでしまうため、抜けに気づきにくくなります。事務局のもう1人や、議案を説明した理事に、上の一覧と照らし合わせながら読んでもらいます。
前年の議事録を写して使う場合は、その年の出席者や議案に合わせて直し忘れがないかを、最後に一度読み通して確かめます。人の名前と日付の直し忘れが特に多い間違いです。
担当者が交代するときの引き継ぎ
理事会の議事録の担当は、事務局の異動や役員の改選で数年ごとに入れ替わることが多い仕事です。引き継ぎがうまくいかないと、新しい担当者が過去の議事録を探し回ったり、署名の決まりを知らずに作り直しになったりします。引き継ぎのときは、次のものを1つの資料にして渡します。
- 議事録のひな形(データ)と、直近3回分の議事録
- 定款のうち、理事会と議事録に関わる条文の写し
- 署名や押印をもらう手順(誰に、どの順番で、どの方法で回すか)
- 紙の原本とデータの保管場所、年度ごとのファイルの一覧
- 決議の省略をしたときの同意書の保管場所
- 登記に使った議事録と、そのときに法務局で求められた記載
特に、署名をもらう手順は文書に残っていないことが多い部分です。理事が遠方に住んでいて郵送で署名を回している、電子署名のサービスを使っている、といった運用は、前任者の頭の中にしかないことがあります。
新しい担当者は、最初の理事会の議事録を前任者に見てもらってから署名に回すと安心です。1回目で書き方の癖をそろえておけば、2回目からは1人で作れるようになります。
決まったことを、担当と期限つきで追いかける
議事録ができあがっても、決まったことが実行されなければ意味がありません。理事会の決定には、「次回までに見積もりを取る」「来月の会報で会員に知らせる」のように、誰かが動く必要がある宿題が多く含まれています。これらが議事録の中に埋もれたままだと、次の理事会で「あの件はどうなりましたか」と確かめるまで誰も手を付けていなかった、ということが起きます。
宿題が少ないうちは、議事録の最後に「今後の対応」として、宿題と担当者と期限を一覧にしておけば足ります。表計算ソフトで「決定事項」「担当」「期限」「状況」の列を作り、理事会のたびに更新する方法もあります。
事務局が複数人いて、理事会の宿題に加えて日々の事務の仕事も並行して進む場合は、ボードで仕事を共有できる道具が役に立ちます。その1つがPinatecaです。公式サイトによると、Pinateca ではカードに担当と期限を付けて、カンバンで進み具合を、ガントチャートで締め切りの重なりを見られます。カードごとのコメントで作業についての相談をその場に残せ、見積もりの金額や議案の番号のような項目は、カスタムフィールドとしてカードに追加できます。理事会で決まった宿題を1枚ずつカードにしておけば、次の理事会の前に、どの宿題が終わっていてどれが残っているかを一目で確かめられます。料金は、5人までのチームならボード10個まで無料で、6人目、または11個目のボードからはスタンダードプラン(1人あたり月額500円・税抜)になります。
Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
なお、Pinateca は議事録そのものを作る道具ではありません。議事録は法律で決まった項目に沿って文書として作り、署名して保管します。ボードは、議事録で決まったことを実行に移すための道具として使い分けます。
在宅ワークの仲介を続けてきた運営者として見てきたこと
フリーランスと在宅ワークの仲介を2004年から続けてきた運営者の立場で見ると、団体や法人の事務局の仕事は、外部の人に任せられる仕事として広がってきています。理事会の資料作り、議事録の下書き、会員への連絡といった仕事は、手順が決まっていて、在宅でも進めやすいためです。こうした仕事を長く任されている人は、法律で決まった項目と、その団体ならではの書き方の両方を、ひな形として整えて持っています。
議事録の正確さは、団体の信頼そのものに関わります。1回の理事会で決まった金額や日付の誤りが、登記のやり直しや会員への訂正の連絡につながることもあります。早く書くことより、資料と突き合わせて正しく書くことを優先する姿勢が、事務局の仕事では何より評価されています。
法人の運営や経営の助言に関わる仕事に興味がある場合は、経営の専門家として知られる中小企業診断士の資格の内容が参考になります。会議の記録や事務の流れをAIや道具で効率化する仕事は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で内容と受け方を確かめられます。
よくある質問
Q. 理事会の議事録には誰が署名すればいいですか?
一般社団法人法では、紙の議事録の場合、出席した理事全員と監事が署名するか記名押印します。定款で「署名するのは出席した代表理事」と定めている場合は、理事のうち署名するのは代表理事だけで足りますが、監事は署名が必要です。データで作る場合は、署名や押印の代わりに電子署名を付けます。
Q. 理事会の議事録はいつまで保管すればいいですか?
一般社団法人法の第97条により、理事会の日から10年間、法人の主たる事務所に備え置く必要があります。書面やメールで同意を集めて決議を省略した場合は、その同意の書面やデータも同じく10年間備え置きます。社会福祉法人やマンションの管理組合など、法人の種類が違う場合は、それぞれの法律や規約の定めを確かめてください。
Q. 発言は全部書き起こさないといけませんか?
書き起こす必要はありません。施行規則で求められているのは「議事の経過の要領及びその結果」で、話し合いの流れの要点と決議の結果を書けば足ります。ただし、決まったことの金額や日付、反対や棄権をした理事の名前、法律で報告が義務付けられている事項の概要は、省略せずに正確に書きます。
Q. オンラインで出席した理事がいる場合、どう書けばいいですか?
開催した場所の欄に、会場にいなかった理事の名前と「Web会議システムにより出席」のように出席の方法を書きます。施行規則の第15条で、会場にいない理事や監事が出席した場合はその方法を書くことになっているためです。あわせて、音声と映像が互いに伝わる状態だったことを確かめた旨を書いておく例が多く見られます。
この記事について
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監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
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@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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