バナー制作を在宅で受ける流れ|案件の探し方と用意する実績


この記事のポイント
- ✓バナー制作を在宅で受けたい方へ
- ✓業務委託・派遣の在宅勤務など働き方の違い
- ✓採用につながる実績の作り方
バナー制作を在宅で受けたいと考えたとき、多くの方が迷うのは「どこで仕事を見つけるか」と「何を見せれば依頼してもらえるか」の2点です。バナーは1枚あたりの作業範囲がはっきりしていて、パソコンと制作ソフトがあれば自宅で完結しやすいため、在宅のデザインの仕事の入り口として選ばれやすい分野です。一方で、応募する人も多く、実績の見せ方と仕事の受け方を整えていないと、なかなか最初の1件にたどり着けません。この記事では、受ける側の立場から、在宅でバナー制作の仕事を得るまでの流れと、用意しておく実績、契約やお金の注意点を順番に整理します。
在宅のバナー制作はどんな仕事か。受ける側から見た全体像
バナーとは、Webサイトや広告の枠、SNSの投稿などに表示される、画像を中心にした小さな広告や案内のことです。ネットショップのセール告知、サービスの申し込みを促す広告、記事の見出し画像、キャンペーンの案内など、使われる場面は幅広くあります。
在宅で受けるバナー制作の仕事は、おおむね次のような流れで進みます。
- 依頼主から、目的、掲載先、サイズ、入れたい文言、素材を受け取る
- 構成を考え、ラフ(下書き)を作って方向性を確認してもらう
- デザインを仕上げ、修正の依頼に対応する
- 掲載先の仕様に合わせた形式とサイズで書き出し、納品する
作業そのものはデザインソフトの操作ですが、仕事の質を左右するのは「誰に何を伝えて、どんな行動をしてもらうためのバナーか」を理解する力です。同じ商品でも、新規の客に向けた広告と、既存の客に向けたセールの告知では、目立たせる要素が変わります。依頼主の意図をくみ取り、限られた面積の中で情報の優先順位をつける力が、継続して依頼される人とそうでない人を分けます。
バナー制作は、1つの案件の作業時間が比較的短く、成果物が目に見えて分かりやすいのが特徴です。そのため、在宅のデザインの仕事の中でも始めやすい分野だと言えます。ただし、短時間で仕上がる分、1件あたりの報酬は大きくなりにくく、同じ依頼主から継続して仕事を受けられるかどうかが収入の安定に直結します。
在宅でバナー制作を受ける3つの働き方
在宅でバナー制作に関わる方法は、大きく分けて3つあります。働き方によって、守られるルールも収入の形も変わります。
業務委託で案件ごとに受ける
最も一般的なのは、企業や個人事業主から業務委託でバナー制作を受ける形です。業務委託とは、雇用契約を結ばずに、仕事の完成や作業の提供に対して報酬を受け取る契約のことです。1枚いくら、1セットいくらといった形で報酬が決まり、作業する時間や場所は自分で決められます。
自由度が高い一方で、労働基準法の保護は原則として受けられません。報酬の額、支払日、修正の回数、著作権の扱いなどは、契約の段階で自分で確かめる必要があります。
派遣や雇用で在宅勤務する
企業のWeb担当として雇用され、在宅勤務の形でバナー制作を担当する働き方もあります。派遣会社を通じて、ネットショップの運営会社などに在宅中心で勤務する求人も見られます。
たとえば大手の派遣会社の求人検索で「バナー 在宅」と調べると、2026年10月時点で42件の求人が表示され、その中には一部在宅でネットショップの更新やメルマガのバナー制作を担当する求人が時給1,750円、eラーニングの教材制作を担当する求人が時給2,250円といった条件で掲載されています(テンプスタッフの求人検索結果)。雇用の形であれば、最低賃金や労働時間の決まりが適用され、条件を満たせば社会保険にも加入します。
ただし、「一部在宅」の求人は、週に何日か出社が求められることが多く、完全に自宅だけで働けるとは限りません。勤務地と出社の頻度は、応募前に必ず確かめましょう。
制作会社の外注パートナーとして受ける
広告代理店やWeb制作会社は、繁忙期や大量のバナーが必要な案件で、外部のデザイナーに作業を依頼することがあります。制作会社のディレクターが依頼主との調整を担い、デザイナーは制作に集中できるのが利点です。仕様や品質の基準が明確な分、指示に正確に応える力が求められます。一度信頼されると、継続して仕事を受けやすい形です。
報酬はどう決まるか。単価を左右する要素
業務委託のバナー制作の報酬は、依頼主や案件によって大きく異なります。金額の目安を一律に示すことは難しいため、ここでは報酬を左右する要素と、自分の価格を考える手順を整理します。
報酬を左右する主な要素は次のとおりです。
| 要素 | 報酬が上がりやすい条件 |
|---|---|
| 用途 | 広告として配信し、成果を測るバナー |
| 素材 | 写真の切り抜きや加工、イラストの作成を含む |
| サイズ展開 | 1つのデザインを複数のサイズに展開する |
| 文言 | キャッチコピーの提案まで含む |
| 納期 | 短納期、土日の対応を求められる |
| 修正 | 修正の回数に上限を設けない |
価格を決めるときは、作業にかかる時間から逆算する方法が分かりやすいです。仮に、1枚のバナーを仕上げるのに、打ち合わせと修正を含めて3時間かかるとします。目標とする時間あたりの収入が2,000円なら、1枚6,000円が必要な計算です。もし提示された報酬が3,000円なら、時間あたり1,000円になります。
最初のうちは作業に時間がかかり、時間あたりの収入が低くなりがちです。慣れて作業が速くなるほど、同じ報酬でも時間あたりの収入は上がります。自分の作業時間を記録しておくと、どのくらいの報酬で受けるべきかを判断する材料になります。
仲介サービスを通じて受ける場合は、手数料が差し引かれる点にも注意が必要です。手数料の率はサービスごとに異なるため、登録前に公式の案内で確認してください。手数料を差し引いたあとに手元にいくら残るかで、案件を比べる習慣をつけておくと失敗しません。
デザイン職全体の収入の傾向を知りたい方は、Webデザイナー 年収のリアル:30代フリーランスが語る稼ぎ方とキャリアパスで、フリーランスのWebデザイナーの収入の考え方やキャリアの広げ方を確認できます。
用意する実績。依頼につながるポートフォリオの作り方
在宅でバナー制作を受けるうえで、最も大切なのが実績を見せる資料、つまりポートフォリオです。依頼主は、応募者の経歴よりも「この人に頼むとどんなバナーができるか」を見て判断します。
実務の実績がないときの作り方
仕事の経験がない段階でも、ポートフォリオは作れます。おすすめは、実在しない架空の商品やサービスを設定して、バナーを作る方法です。たとえば「地域のパン屋の新商品の告知」「オンライン英会話の無料体験の広告」「アパレルの季節のセール」など、業種と目的の違うものを5点から10点ほど用意します。
実在する企業のバナーを勝手に作り直して公開するのは避けてください。企業のロゴや商品写真には権利があり、無断で使うと問題になります。練習として作り直すことは自分の勉強になりますが、公開するポートフォリオには、自分で用意した素材や、利用条件を確かめたフリー素材だけを使いましょう。
1点ごとに制作意図を書く
ポートフォリオの各作品には、画像だけでなく、次の内容を短く書き添えます。
・誰に向けたバナーか(年齢層、状況) ・何をしてもらうためのバナーか(申し込み、来店、購入) ・どの情報を最も目立たせ、なぜそう判断したか ・制作にかかった時間と、使ったソフト
この説明があると、依頼主は「目的を考えて作れる人」だと判断できます。見た目がきれいなだけのバナーは数多くありますが、意図を言葉で説明できる人は多くありません。
サイズ展開を見せる
広告のバナーは、1つのデザインを複数のサイズに展開して使うのが一般的です。Google広告のヘルプでは、アップロード型のディスプレイ広告の形式としてGIF、JPG、PNGが挙げられ、ファイルの最大サイズは150KBとされています。広告のサイズも、300×250のレクタングル、728×90のビッグバナー、320×50のモバイルバナーなど、多くの種類が示されています(Google 広告 ヘルプ「アップロード型ディスプレイ広告の仕様」)。
ポートフォリオでは、同じデザインを正方形に近い形、横長の形、縦長の形に展開した例を見せると、実務に慣れていることが伝わります。横長の細い枠では文字を減らし、縦長の枠では写真を大きく見せるといった工夫を説明できると、さらに評価が高まります。
公開の方法
ポートフォリオは、ポートフォリオ用のサービスや自分のWebサイトに整理して、URLを1つで共有できる形にしておくと便利です。作品の数は多すぎる必要はありません。得意な業種や見せたい作風が伝わるよう、質の高いものから順に並べ、古くなった作品は入れ替えていきましょう。応募のたびに画像を添付するより、相手が見やすく、更新も簡単です。仕事として受けた作品を載せる場合は、依頼主に掲載の許可をとってからにしてください。
在宅でバナーを作るための道具とスキル
バナー制作に必要な道具は、パソコン、デザインソフト、素材を確認できる環境です。
デザインソフトは、写真の加工に強いソフト、図形や文字の扱いに強いソフト、ブラウザで共同作業できるデザインツールなどがあります。依頼主や制作会社によって、納品するデータの形式やソフトが指定されることがあるため、求人や案件の条件で多く指定されているソフトから身につけるのが近道です。
ソフトの操作と同じくらい大切なのが、次のスキルです。
・情報の優先順位をつける力:伝えることを1つか2つに絞り、ほかは小さく見せる ・文字の読みやすさを整える力:スマートフォンの小さな画面でも読める大きさと太さを選ぶ ・配色の基本:背景と文字の明るさに差をつけ、ボタンの色を目立たせる ・書き出しの知識:掲載先の容量の上限に収めながら、画質を保つ
バナーの文言を依頼主と一緒に考える場面も多くあります。短い言葉で伝える力は、文章の仕事と共通する部分があります。Webライターが文字単価を上げる方法【2026年版】|1円→5円のステップでは、文章の仕事で単価を上げていく手順が整理されていて、短いコピーの考え方にも応用できます。
フォントや写真素材の利用条件も必ず確認しましょう。無料で使える素材でも、商用での利用や広告への利用を認めていないものがあります。依頼主が用意した素材を使う場合も、権利の確認ができているかを念のため尋ねておくと安心です。
案件の探し方。在宅のバナー制作の入り口
在宅でバナー制作の仕事を探す方法は、主に次の5つです。
クラウドソーシングと仲介サービス
インターネット上で依頼主と受注者をつなぐサービスには、バナー制作の募集が多く掲載されています。最初の実績を作りやすい一方、応募者が多く、報酬が低めの案件も混ざっています。募集の内容を読み、目的やサイズ、修正回数がはっきり書かれている案件を選ぶと、トラブルが少なくなります。
在宅可の求人サイト
在宅で働けるデザインの求人を掲載しているサイトでは、業務委託だけでなく、雇用の形の求人も探せます。週に何時間働けるか、どのソフトを使えるかといった条件で絞り込み、自分に合う形を選びましょう。
派遣会社への登録
ネットショップの運営やWeb担当の業務で、バナー制作を含む派遣の求人があります。雇用の形で収入を安定させたい方に向いています。
SNSでの発信
自分の作品をSNSで定期的に公開し、制作の考え方を発信していると、直接依頼が届くことがあります。すぐに結果が出る方法ではありませんが、続けるほど効果が出やすい方法です。
知人や地域のつながり
地域の飲食店や教室、知人の事業など、身近なところにもバナーの需要があります。最初の1件を実績として掲載させてもらえるよう、事前にお願いしておくとよいでしょう。
避けたほうがよい募集の見分け方
在宅の仕事の募集には、注意が必要なものも混ざっています。次のような特徴がある募集は、応募を見送るか、慎重に確かめてから進めましょう。
・仕事を始める前に、教材費や登録料などの支払いを求める ・テストとして、無報酬で本番と同じバナーを何枚も作らせる ・仲介サービスの外の連絡手段へ、早い段階で移るよう求める ・依頼主の名前や事業の内容が分からず、質問しても答えがない
特に、仕事を紹介する代わりに先にお金を払わせる形は、トラブルの相談が多い典型的な例です。報酬を受け取る側がお金を払う必要がある募集は、内容をよく確かめ、不安があれば消費生活センターに相談してください。
応募文の書き方。最初の1件を得るための伝え方
仲介サービスや求人サイトで応募するとき、応募文の書き方で結果が大きく変わります。依頼主は多くの応募に目を通すため、最初の数行で「この人は募集の内容を理解している」と伝わることが大切です。
応募文に入れたい要素は次の4つです。
- 募集の内容を読んだうえでの理解(何のためのバナーか、誰に向けたものか)
- 近い分野の作品のURLと、その作品で工夫した点
- 進め方(ラフの提出時期、修正の回数、納品の形式)
- 対応できる時間帯と連絡の手段
たとえば、次のような形です。
「〇〇様、はじめまして。募集内容を拝見し、秋のセールの告知を、既存のお客様に向けてスマートフォンで見やすく伝えるバナーだと理解しました。近い事例として、アパレルの季節セールを想定したバナーを制作しており、割引率よりも期間を目立たせる構成にしています(ポートフォリオのURL)。進め方としては、ご依頼から2日以内にラフを2案お送りし、方向性を決めていただいたあと、修正は2回まで含めて対応いたします。平日の日中と夜はメッセージを確認できます。」
定型の自己紹介を長く書くより、募集の内容に合わせて一文ずつ書き直すほうが、依頼主に伝わります。応募した案件と結果を記録しておくと、どんな書き方が選ばれやすいかが見えてきます。
最初のうちは、応募しても返事がないことが続くかもしれません。応募数の多い人気の募集だけでなく、条件がやや細かい募集や、継続を前提とした募集にも目を向けると、選ばれる機会が広がります。
受注から納品までの流れ。最初に確かめる項目
受注したら、作業を始める前に次の項目を確かめます。ここをあいまいにしたまま進めると、修正が何度も続いたり、報酬の支払いでもめたりする原因になります。
| 確認する項目 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 目的 | 申し込み、購入、来店など、何をしてもらいたいか |
| 掲載先 | 広告、Webサイト、SNSのどれか |
| サイズと形式 | 縦横の大きさ、ファイル形式、容量の上限 |
| 文言 | 入れる文言の確定版、目立たせたい言葉 |
| 素材 | 写真、ロゴ、指定の色やフォント |
| 修正 | 修正の回数、修正とみなす範囲 |
| 納期 | ラフの提出日、最終の納品日 |
| 報酬 | 金額、支払日、支払い方法 |
| 権利 | 著作権の扱い、ポートフォリオへの掲載の可否 |
ラフの段階で方向性を合わせておくと、完成後の大きなやり直しを防げます。色違いや配置違いの案を2つから3つ出し、依頼主に選んでもらう方法がよく使われます。
納品のときは、指定された形式とサイズで書き出し、ファイル名を分かりやすく整えます。編集用のデータを渡すかどうかは、契約の段階で決めておきましょう。編集用のデータまで渡す場合は、その分を報酬に含めるかどうかも話し合っておくと安心です。
修正のやりとりでもめないために
バナー制作で起きやすいトラブルの多くは、修正をめぐるものです。「もう少し華やかに」「全体的にもっと目立つように」といった感覚的な依頼が何度も続くと、作業時間が膨らみ、時間あたりの収入が大きく下がります。
こうした事態を防ぐには、修正の依頼を受けたときに、具体的な変更点に言い換えて確認するのが効果的です。「華やかに」という依頼であれば、「背景の色を明るい黄色に変える案と、写真を大きくする案のどちらが近いでしょうか」と、選べる形で返します。依頼主も自分の希望を言葉にしやすくなり、やりとりの回数が減ります。
また、構成そのものを変える依頼は、修正ではなく作り直しに当たる場合があります。最初の契約で「修正は2回まで。構成の変更は別途相談」のように範囲を決めておくと、追加の作業に対して報酬を話し合う根拠になります。
在宅で続けるための環境と時間の使い方
在宅でバナー制作を続けるには、作業の環境と時間の管理も欠かせません。
画面の大きさと色の見え方は、デザインの仕上がりに影響します。ノートパソコンだけで作業すると、全体を見渡しにくく、色の確認も難しくなります。外部のモニターを使い、スマートフォンの実機でも表示を確かめる習慣をつけると、掲載後の見え方とのずれを減らせます。
データの管理も大切です。依頼主ごとにフォルダを分け、素材、作業用のデータ、納品したデータを区別して保存しておきましょう。過去の制作物を再利用するときや、依頼主から以前のデータを求められたときに、すぐに取り出せます。依頼主から預かった素材は、契約が終わったあとの扱いも確認しておくと安心です。
会社員の方が副業として始める場合は、勤務先の就業規則で副業がどう扱われているかを最初に確認してください。届け出が必要な会社もあれば、同業の仕事を制限している会社もあります。作業時間は、本業に支障が出ない範囲で、週に何時間と決めておくと続けやすくなります。納期が重なると睡眠時間を削りがちなので、受ける件数は余裕を持って調整しましょう。
契約とお金の注意点。フリーランス法と源泉徴収
業務委託でバナー制作を受ける場合、知っておきたい法律と税金の決まりがあります。
フリーランス法で守られること
令和6年11月1日に、いわゆるフリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)が施行されました。個人で働くフリーランスに業務委託をする事業者に対して、取引の条件をはっきり示すことなどが義務づけられています。厚生労働省の案内では、次のように説明されています。
個人で働くフリーランスに業務委託を行う発注事業者に対し、業務委託をした際の取引条件の明示、給付を受領した日から原則60日以内での報酬支払、ハラスメント対策のための体制整備等が義務付けられます。 出典: 厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法」
発注する事業者が従業員を使っているかどうかなどによって、負う義務の範囲は異なります。会社員の方が副業でバナー制作を受ける場合も、事業者として業務委託を受けていれば、この法律のフリーランスに当たります。取引の条件が示されないまま作業を求められたときは、業務の内容、報酬の額、支払日を書面やメールで示してもらうよう依頼しましょう。受注のたびに、前の節の表にある項目を自分で確かめる習慣をつけておくと、この法律の趣旨に沿った取引の形を自然に整えられます。やりとりの記録は、支払いが遅れたときなどに相談窓口へ状況を説明する材料にもなるため、メールやメッセージで残しておくことが大切です。
デザインの報酬と源泉徴収
会社などからデザインの報酬を受け取る場合、報酬から所得税が差し引かれて支払われることがあります。これを源泉徴収といいます。国税庁の質疑応答事例では、広告用のポスターのイラストやレタリングへの報酬について、次のように説明されています。
イラストレーターへの報酬……ポスター等グラフィックデザインの重要な要素である「構図、イラスト」に対するものであり、創作又は意匠(デザイン)といえるので、デザインの報酬に該当します。 出典: 国税庁「コピーライター、イラストレーター及びレタリングライターへの報酬」
源泉徴収される税額は、支払金額が100万円以下の部分について10.21%です(国税庁 No.2795)。たとえば報酬が1万円なら、1,021円が差し引かれて8,979円が振り込まれます。差し引かれた税金は、確定申告で精算します。請求書を作るときは、源泉徴収の対象になるかどうかを依頼主に確認しておくと、入金額の食い違いを防げます。個人の依頼主など、源泉徴収をしない支払い元もあるため、扱いは取引ごとに確かめてください。
副業で受ける場合も、所得の額によって確定申告が必要になります。収入と経費の記録は、受注した月ごとにまとめておきましょう。税金の個別の判断は、税務署の相談窓口で確認してください。
広告の表現で気をつけること。景品表示法とステマ規制
バナーは広告として使われることが多いため、表現のルールにも注意が必要です。
広告の表示については、景品表示法という法律があります。消費者庁は、この法律の目的を次のように説明しています。
景品表示法は、うそや大げさな表示など消費者をだますような表示を規制し、消費者がより良い商品・サービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守ります。 出典: 消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」
規制の対象は商品やサービスを提供する事業者、つまり依頼主ですが、制作する側も知っておくと、問題のある表現を事前に指摘できます。たとえば、根拠の分からない「業界No.1」「満足度98%」といった表示、実際には存在しない「通常価格」と比べた割引表示などは、依頼主に根拠を確認したほうがよい表現です。
また、令和5年10月1日から、広告であることを隠す、いわゆるステルスマーケティングも景品表示法の規制の対象になりました。SNSの投稿用のバナーを作るときに、広告であることが分からない作りにしてほしいと依頼された場合は、その危うさを依頼主に伝えましょう。
表現の確認は、最終的には依頼主の責任ですが、「この表現は根拠がありますか」と一言確かめられる制作者は、依頼主から信頼されます。トラブルを未然に防ぐことは、継続して依頼を受けるための大切な姿勢です。
継続して依頼を受けるためにできること
バナー制作で収入を安定させるには、新しい依頼主を探し続けるより、一度取引した依頼主から継続して依頼を受けることが近道です。
継続につながりやすい行動は次のとおりです。
・納期より少し早めに納品する ・修正の依頼には、意図をくみ取ったうえで素早く対応する ・掲載後の結果(クリックの数や申し込みの数)を聞ける場合は聞き、次の改善に生かす ・同じ依頼主のデザインのルール(色、フォント、ロゴの扱い)を記録し、毎回そろえる
広告のバナーは、複数の案を作って比べ、成果の高いものを残していく使い方をされることがあります。こうした比較の結果を共有してもらえる関係ができると、成果を意識したデザインを提案できるようになり、報酬の交渉もしやすくなります。
報酬を上げていく順序。作業者から提案者へ
在宅でバナー制作を続けていくと、同じ作業を続けているだけでは報酬が伸びにくい時期が来ます。報酬を上げていくには、担当する範囲を少しずつ広げていくのが現実的な方法です。
最初の段階は、指示どおりに正確に作る段階です。サイズ、文言、素材が決まった状態で依頼を受け、期日どおりに仕上げます。ここでは速さと正確さが評価されます。
次の段階は、構成を提案する段階です。依頼主から目的と素材だけを受け取り、どの情報をどう配置するかを自分で考えて複数の案を示します。提案の手間が加わる分、1枚あたりの報酬を上げる根拠になります。
さらに進むと、文言を含めて提案する段階、掲載後の結果を見て改善案を出す段階へと広がります。広告の成果を一緒に追いかけられる制作者は、依頼主にとって単なる作業の外注先ではなく、売上に関わる相談相手になります。この段階まで来ると、1枚ごとの報酬ではなく、1か月単位の継続契約で受ける形も選べるようになります。
報酬の交渉は、担当する範囲が広がったタイミングで切り出すと受け入れられやすくなります。「次回から構成案の作成も担当するので、1枚あたりの報酬をこの額にしたい」と、作業の中身と金額をセットで伝えるのがコツです。値上げだけを求めるより、依頼主にとっての利点が分かる形で伝えましょう。
在宅のデザイン求人から見えること。バナーの先に広がる仕事
ここからは、在宅ワークの求人を長く見てきた立場から、バナー制作を足がかりにした仕事の広げ方を整理します。
在宅のデザインの求人では、バナーの単体の制作だけでなく、ネットショップの商品ページ、メールマガジン、SNSの投稿画像など、周辺の制作物をまとめて担当できる人が求められる傾向があります。バナーで身につけた「限られた面積で情報の優先順位をつける力」は、こうした周辺の制作物にもそのまま生きます。
広告の運用やマーケティングの知識を身につけると、さらに仕事の幅が広がります。AI・マーケティング・セキュリティのお仕事のページでは、マーケティングに関わる在宅の仕事の種類と、求められるスキルを確認できます。バナーの制作から、広告の成果を見ながら改善を提案する立場に進むと、依頼主にとって代わりのきかない存在になれます。
文言の提案まで担当したい方は、文章を書く力の土台を固めておくと役立ちます。ビジネス文書検定のページでは、ビジネスの場で通じる文章の書き方を問う検定の概要と、仕事での生かし方を確認できます。
運営者として見てきた限りでは、長く依頼が続くデザイナーほど、1枚ごとの見た目の美しさより「この人に頼むと話が早い」という関係づくりに時間を使っています。最初の打ち合わせで確認の項目を漏れなく聞き、ラフで方向性をそろえ、期日を守る。この基本を積み重ねることが、結果として報酬の交渉力にもつながります。
また、仲介手数料がかからない形で依頼主と直接取引できる場合は、同じ予算でも受け取る報酬が厚くなります。依頼する側にとっても、中間の手数料がない分、同じ予算でより多くのバナーを頼めるため、双方にとって利点があります。在宅でバナー制作を続けていくなら、報酬の額面だけでなく、手数料を差し引いたあとに手元に残る額で仕事を選ぶ視点を持っておきましょう。
よくある質問
Q. 未経験でも在宅でバナー制作の仕事を受けられますか?
受けられる可能性はありますが、実績を示すポートフォリオが必要です。架空の商品やサービスを設定して、業種と目的の違うバナーを5点から10点ほど作り、それぞれに誰に向けて何をしてもらうためのバナーかを書き添えておくと、依頼主に判断材料を示せます。
Q. バナー制作の報酬はどう決めればよいですか?
作業時間から逆算するのが分かりやすい方法です。打ち合わせと修正を含めた1枚あたりの作業時間に、目標とする時間あたりの収入を掛けて考えます。仲介サービスを使う場合は手数料を差し引いた額で比べ、修正回数やサイズ展開の有無も報酬に反映させましょう。
Q. 在宅でバナーを作るのに必要な道具は何ですか?
パソコン、デザインソフト、素材の確認ができる環境が基本です。依頼主によって納品データの形式やソフトが指定されることがあるため、求人や案件で多く指定されているソフトから身につけると効率的です。フォントや写真素材は、商用や広告での利用が認められているかを確認してください。
Q. 業務委託で受けるときに確認すべきことは何ですか?
目的、掲載先、サイズと形式、文言、素材、修正の回数、納期、報酬の額と支払日、著作権の扱いを作業前に確認します。フリーランス法では、発注する事業者に取引条件の明示などが義務づけられているので、条件が示されないときは書面やメールで示してもらうよう依頼しましょう。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
佐々木 美月@SOHO編集部
通訳・翻訳フリーランス
外資系メーカーで通訳として8年間勤務後、フリーランスに転身。TOEIC 980点、英検1級、TOEFL 110点。語学資格の活かし方や翻訳フリーランスの実務について発信しています。
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