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アサーションとは|相手を尊重しながら自分の意見を伝える方法

@SOHO編集部
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アサーションとは|相手を尊重しながら自分の意見を伝える方法

この記事のポイント

  • ✓自分も相手も大切にしながら
  • ✓意見や気持ちを率直に伝える自己表現のことです
  • ✓DESC法やIメッセージの使い方

頼まれた仕事を断れずに抱え込んでしまう、会議で反対意見を言えずに後で後悔する、逆に強く言いすぎて相手との関係がぎくしゃくしてしまう。そんな悩みから、アサーションという言葉にたどり着いた人は多いはずです。アサーションとは、自分も相手も大切にしながら、自分の意見や気持ちを、率直に、その場にふさわしい形で伝える自己表現のことです。我慢して黙ることでも、相手を言い負かすことでもない、3つ目の伝え方だと考えると分かりやすいでしょう。この記事では、アサーションの意味と3つの表現のタイプ、伝え方の型として知られるDESC法とIメッセージ、断る・頼む・反対するといった場面ごとの例文、身につけるための練習の方法、職場で生かすときの注意点までを順に説明します。チームの中で頼みごとや役割分担を見える形にしておく道具として、プロジェクト管理ツールのPinatecaにも後半で触れます。

アサーションとは何か

アサーション(assertion)は、英語では「主張」「断言」という意味の言葉です。ただ、コミュニケーションの分野でいうアサーションは、自分の言い分を押し通すという意味ではありません。日本でアサーションの研修を行っている団体は、次のように説明しています。

アサーションとは、自分も相手も大切にしながら、意見や考え、気持ちを率直に、正直に、その場にふさわしく表現することです。 出典: japan-assertion.jp

この説明の中で大事なのは、「自分も相手も」という部分です。自分の気持ちだけを大切にすれば、相手を傷つける言い方になります。相手の気持ちだけを大切にすれば、自分が我慢することになります。アサーションは、その両方を同時に大切にしようとする考え方です。

アサーションの考え方は、アメリカで心理療法の1つとして生まれ、対人関係で自分を表現することが苦手な人を支援する方法として発展しました。その後、人権を大切にする運動の広がりとともに、誰もが自分を表現してよいという考え方として広まり、日本でも職場の研修や学校の教育、カウンセリングの場で使われるようになりました。

アサーションは、性格を変えることではありません。おとなしい人が急に話し上手になる必要はありませんし、はっきり物を言う人が黙る必要もありません。自分の性格はそのままに、伝え方の選び方を増やすことが目的です。言い方を1つ知っているだけで、言いにくい場面での気持ちの負担はずっと軽くなります。

3つの表現のタイプ

アサーションを理解するときに役立つのが、人の自己表現を3つのタイプに分ける考え方です。

タイプ 特徴 よく出る言葉の例
非主張的(ノン・アサーティブ) 自分の気持ちを抑え、相手に合わせる 「大丈夫です」「何でもいいです」「私が悪いので」
攻撃的(アグレッシブ) 自分の言い分を通し、相手を抑え込む 「普通こうでしょう」「なんでできないの」
アサーティブ 自分の気持ちを伝え、相手の気持ちも聞く 「私はこう考えています。あなたはどう思いますか」

1つ目の非主張的なタイプは、自分より相手を優先する表現です。その場の衝突は避けられますが、言いたいことを言えない不満が自分の中にたまっていきます。相手から見ても、本心が分からないので、「本当はどう思っているのか」と不安になることがあります。我慢が続くと、ある日突然爆発して、攻撃的な言い方に変わってしまうこともあります。

2つ目の攻撃的なタイプは、相手より自分を優先する表現です。大声で怒鳴るような分かりやすい攻撃だけでなく、皮肉を言う、相手を無視する、遠回しに責めるといった言い方も含まれます。その場では自分の言い分が通るかもしれませんが、相手は納得しておらず、関係が悪くなったり、周りの人が意見を言わなくなったりします。

3つ目のアサーティブなタイプは、自分も相手も大切にする表現です。自分の考えをはっきり伝えたうえで、相手の考えも聞き、違いがあれば話し合って折り合いを探します。結果として自分の意見が通らないこともありますが、伝えるべきことを伝えたという納得が残ります。

ほとんどの人は、場面や相手によって3つのタイプを行き来しています。家族には攻撃的になりやすいのに、上司の前では非主張的になる、という人も多いでしょう。自分がどの場面でどのタイプになりやすいかを知ることが、アサーションを身につける第一歩です。

アサーションが職場で求められる理由

アサーションは、個人の人間関係の悩みを軽くするだけでなく、職場全体にとっても役に立つ考え方です。職場で求められる理由を挙げます。

1つ目は、問題が早く表に出るようになることです。仕事の遅れや、手順のおかしなところに気づいても、言い出しにくい雰囲気の職場では、問題が大きくなるまで誰も口に出しません。一人ひとりが、相手を責めずに事実と自分の考えを伝えられれば、小さなうちに問題を直せます。

2つ目は、仕事の抱え込みを防げることです。頼まれた仕事を断れない人に仕事が集中すると、その人が体調を崩したり、締切に間に合わなくなったりします。「今週は手いっぱいなので、来週の月曜からなら対応できます」と伝えられれば、仕事の割り振りを見直すきっかけになります。

3つ目は、ハラスメントの予防につながることです。厳しい指導と、相手の人格を否定する言い方の境目は、伝え方によるところが大きいものです。厚生労働省は、職場のハラスメントの防止に向けた情報をあかるい職場応援団というサイトで公開しています。相手を尊重する伝え方を身につけることは、指導する立場の人にとって、自分を守ることにもなります。

4つ目は、心の健康を保つことです。言いたいことを我慢し続けると、気持ちの負担がたまっていきます。働く人の心の健康については、厚生労働省のこころの耳で、働く人や家族、職場の上司に向けた情報が公開されています。気持ちの不調が続くときは、伝え方の工夫で解決しようとせず、専門の窓口や医療機関に相談することが大切です。

5つ目は、テレワークの広がりです。顔を合わせずにチャットやメールでやり取りする時間が長くなると、表情や声の調子で気持ちを伝えることができません。短い文字だけのやり取りでは、遠慮しすぎて用件が伝わらなかったり、きつい言い方に受け取られたりしやすくなります。文字でもアサーティブに伝える工夫が、以前より大切になっています。

アサーティブに伝えるための4つの手順(DESC法)

アサーティブな伝え方の型として、よく知られているのがDESC法です。4つの手順の英語の頭文字を取って、こう呼ばれています。

  1. D(Describe)描写する:相手の行動や状況を、事実として客観的に伝える
  2. E(Express)表現する:その事実について、自分がどう感じているか、どう考えているかを伝える
  3. S(Specify)提案する:相手にしてほしいことを、具体的に1つか2つ提案する
  4. C(Choose)選ぶ:相手が提案を受け入れた場合と、受け入れなかった場合に、自分がどうするかを考えておく

たとえば、締切の直前に毎回資料を渡してくる同僚に伝える場面で考えてみます。

  • D:「この3回、会議の資料をいただいたのが、会議の30分前でした」
  • E:「目を通す時間が足りず、会議で十分に意見を言えないのが気がかりです」
  • S:「次からは、前の日の夕方までに共有していただけると助かります」
  • C:「前の日が難しければ、当日の朝でも構いません。どの時間なら間に合いそうですか」

ポイントは、1つ目のDで相手の人柄を責めないことです。「いつも遅いですよね」と言うと、相手は責められたと感じて身構えます。「この3回、30分前でした」と事実だけを伝えれば、相手も受け止めやすくなります。

4つ目のCは、相手が提案を断ることもある、と前もって考えておく手順です。アサーションでは、相手にも断る自由があると考えます。断られたときにどうするかを決めておけば、断られても慌てずに、次の提案を出せます。

主語を「私」にして伝える(Iメッセージ)

アサーティブに伝えるもう1つのこつが、主語を「あなた」ではなく「私」にして伝える方法です。Iメッセージと呼ばれます。

「あなたは」を主語にした言い方は、相手を評価したり責めたりする響きになりやすいものです。

  • 「あなたはいつも報告が遅い」
  • 「あなたの説明は分かりにくい」

同じことを「私は」を主語にして言い換えると、自分の気持ちや困りごととして伝えられます。

  • 「報告が早めにもらえると、私は次の段取りを組みやすくて助かります」
  • 「私には、この部分の説明がまだ理解できていないので、もう一度教えてもらえますか」

Iメッセージは、相手を変えようとするのではなく、自分の状態を伝えて、相手に判断を任せる言い方です。言われた相手は、責められたと感じにくいので、素直に受け止めやすくなります。

ただし、「私はあなたのせいで困っています」のように、主語を私にしただけで中身が相手を責める言葉になっていると、Iメッセージの効果はありません。私が困っていることと、相手にしてほしいことを、分けて伝えるのがこつです。

場面別の例文:頼まれごとを断るとき

ここからは、言いにくい場面ごとに、アサーティブな言い方の例を紹介します。まずは、頼まれごとを断るときです。

断るのが苦手な人は、「断ったら嫌われるのではないか」と考えがちです。しかし、断ることは相手を否定することではありません。引き受けられない事情を伝え、できる範囲を示すことで、相手は別の手を考えられます。

断るときの基本の形は、次の3つの要素です。

  1. 頼ってもらったことへの感謝を伝える
  2. 引き受けられない理由を短く伝える
  3. できる範囲や、代わりの案を示す

上司から急ぎの仕事を頼まれたときの例です。

声をかけていただいて、ありがとうございます。 今、明日の午前が締切の〇〇の資料を仕上げているところで、今日中にお引き受けするのは難しい状況です。 明日の午後からでしたら対応できますが、それでは間に合いませんか。 もし今日中に必要でしたら、〇〇の締切を1日延ばしてよいかを相談させてください。

この例では、断るだけで終わらず、上司が判断するための材料として、今の仕事の締切と、代わりの案を2つ示しています。上司は、どちらの仕事を優先するかを決めればよいので、話が早く進みます。

同僚からの飲み会の誘いのように、仕事以外の頼みごとを断るときは、理由を詳しく話す必要はありません。「誘ってくれてありがとう。今回は予定があって行けないけれど、また声をかけてね」と、感謝と次の機会への気持ちを伝えれば十分です。

場面別の例文:仕事を頼むとき・反対意見を言うとき

仕事を頼むときも、アサーションの考え方が役に立ちます。頼むのが苦手な人は、遠慮して何をしてほしいのかがあいまいになりがちです。頼むときは、何を、いつまでに、どの程度してほしいのかを具体的に伝え、相手が断る余地も残しておきます。

〇〇さん、今少しよいですか。 来週の会議で使う売上の表を、今週の金曜日までにまとめていただけないでしょうか。 先月の表と同じ形で、数字を新しくしていただければ十分です。 今週ほかの仕事で忙しいようでしたら、遠慮なく言ってください。別の方法を考えます。

最後の一文があることで、相手は無理なときに断りやすくなります。断られる可能性を残した頼み方の方が、結果として相手は気持ちよく引き受けてくれることが多いものです。

会議で反対意見を言うときは、相手の案のよいところを認めたうえで、自分の考えを伝えます。

〇〇さんの案は、費用を抑えられる点がよいと思います。 そのうえで、私は1点気になっていることがあります。 この方法だと、お客様への連絡が1週間ほど遅れることになり、問い合わせが増えるのではないかと心配しています。 連絡の部分だけ、先に進める方法は考えられないでしょうか。

反対意見は、相手の人ではなく、案の中身に向けて伝えるのが基本です。「その案はだめだと思います」ではなく、「この部分が心配です」と、どこが気になるのかを具体的に示すと、議論が前に進みます。

場面別の例文:上司・部下・取引先に伝えるとき

立場の違う相手に伝えるときは、言葉づかいだけでなく、伝える順番も工夫します。

上司に意見を伝えるときは、まず上司の方針を理解していることを示し、そのうえで自分の考えを提案の形で伝えます。

部長の、今期は新規の顧客を優先するという方針は理解しています。 そのうえで、既存のお客様からの問い合わせへの返信が、最近2日から3日かかるようになっていることが気になっています。 返信の担当を1人決めて、新規の営業と分けることを試してみてもよいでしょうか。

部下に注意を伝えるときは、人柄ではなく行動について伝え、どうしてほしいかをはっきり示します。

今日の報告書で、数字の誤りが2か所ありました。 お客様に出す前に気づけたので大事には至りませんでしたが、私はこのまま外に出ていたらと心配になりました。 次からは、出す前に一度、元の表と数字を照らし合わせてもらえますか。 確認のやり方で迷うところがあれば、一緒に手順を考えましょう。

取引先に、納期や条件について言いにくいことを伝えるときは、事実と理由をはっきりさせ、代わりの案を添えます。

ご依頼いただいた〇〇の件で、ご相談がございます。 部品の入荷が遅れており、当初お約束していた11月10日の納品が難しくなりました。 誠に申し訳ございません。 11月17日でしたら確実に納品できますが、ご都合はいかがでしょうか。 一部だけでも先にお届けできるよう、手配を進めることもできます。

アサーションを身につける練習の方法

アサーションは、知識として理解するだけでは身につきません。研修を行う側も、繰り返しの練習が大切だと説明しています。

アサーションの習得には反復練習が大切です。実際のコミュニケーションの中で実践して、感覚を掴んでいきましょう。アサーションは、相手をコントロールするような手法ではありません。 出典: kaonavi.jp

1人でもできる練習の方法を4つ紹介します。

1つ目は、自分の表現のくせを記録することです。1週間、言いたいことを言えなかった場面と、言いすぎてしまった場面を、1行ずつメモします。「誰に」「どんな場面で」「どう言ったか」を書いておくと、自分がどの相手、どの場面で非主張的になったり攻撃的になったりするかが見えてきます。

2つ目は、言えなかった場面の言い直しを書くことです。メモした場面について、DESC法の4つの手順に沿って、どう言えばよかったかを書いてみます。実際に言う必要はありません。言葉を一度書いておくだけで、次に似た場面が来たときに、口から出やすくなります。

3つ目は、小さな場面から試すことです。いきなり上司に反対意見を言うのは難しくても、店で注文と違う料理が出てきたときに「すみません、注文したのは〇〇だったのですが」と伝える、といった小さな場面なら試しやすいでしょう。小さな成功を重ねることで、少しずつ自信がつきます。

4つ目は、信頼できる人と練習することです。家族や友人、同僚に相手役を頼み、言いにくい場面を再現して話してみます。相手から「その言い方なら受け止めやすい」「ここは少しきつく聞こえた」と感想をもらうと、自分では気づかない点が分かります。

職場で研修として取り入れる場合は、少人数のグループに分かれ、場面を決めて交代で演じる練習がよく行われます。演じる人のほかに観察する役を決め、「事実と気持ちを分けて言えていたか」「提案が具体的だったか」「相手が断る余地を残していたか」の3つの点で感想を伝え合うと、練習の中身が深まります。研修の後は、職場で実際に試した場面を1か月後に持ち寄って振り返る機会を作ると、学んだことが日常の会話に根づきやすくなります。

アサーションを使うときの注意点

アサーションを実践するときに、気をつけたい点を挙げます。

1つ目は、相手を思いどおりに動かすための技術ではないということです。アサーティブに伝えても、相手が提案を受け入れるとは限りません。相手にも断る自由があり、相手の考えも尊重するのがアサーションです。「アサーティブに言ったのに聞いてくれない」と相手を責めるのは、考え方の出発点から外れています。

2つ目は、いつも主張しなければならないわけではないということです。自分の考えを言うかどうかを、自分で選ぶこともアサーションの一部です。今は言わない方がよいと自分で判断して黙るのは、我慢とは違います。大切なのは、言えないのではなく、言うか言わないかを自分で選べることです。

3つ目は、相手が攻撃的な場合は無理をしないことです。相手が怒鳴っている、人格を否定する言葉を繰り返している、といった場面では、伝え方の工夫だけで状況を変えるのは難しいものです。その場を離れる、上司や人事、社内外の相談窓口に相談するといった対応を優先しましょう。

4つ目は、文化や相手との関係に合わせることです。同じ言い方でも、相手との関係や職場の雰囲気によって、受け止められ方は変わります。型どおりに話すことにこだわらず、相手の反応を見ながら言葉を選ぶことが大切です。初めのうちは、DESC法の4つの手順をすべて言葉にしようとして、かえって不自然な話し方になることもあります。慣れるまでは、事実を先に言うことと、提案を1つだけ添えることの2つだけを意識するところから始めても十分です。

チャットやメールでアサーティブに伝えるこつ

文字だけのやり取りでは、声の調子や表情が伝わらないため、対面と同じ言葉でも、きつく受け取られたり、逆に用件が伝わらなかったりします。チャットやメールでアサーティブに伝えるこつを挙げます。

1つ目は、結論を先に書くことです。遠慮して前置きを長く書くと、何を頼みたいのか、何を断りたいのかが最後まで読まないと分かりません。「〇〇の件で、締切の相談です」と、1行目に用件を書いてから事情を説明します。

2つ目は、短い文に分けることです。長い1文に気持ちと事情と提案を詰め込むと、読む側はどこが大事なのか分からなくなります。事実、気持ち、提案を、それぞれ別の文にすると、DESC法の手順がそのまま文章の形になります。

3つ目は、感情を表す言葉を一言添えることです。「助かります」「心配しています」「ありがたいです」のような言葉があると、文字だけでも気持ちが伝わりやすくなります。反対に、「了解」「はい」だけの短い返事は、急いでいるだけでも冷たく受け取られることがあります。

4つ目は、送る前に一度読み返すことです。怒りや焦りを感じているときに書いた文章は、自分が思っているより強い言葉になっていることがあります。すぐに送らず、少し時間をあけてから読み返し、相手を責める言葉になっていないかを確かめましょう。

5つ目は、込み入った話は文字にこだわらないことです。行き違いが2回、3回と続くときは、文字でやり取りを重ねるより、短い時間でも電話やオンラインの会議で話した方が早く解決します。「文字だと伝わりにくいので、5分ほどお話しできますか」と提案するのも、アサーティブな伝え方の1つです。

相手の言い方がきついときの受け止め方

アサーションは、自分が伝える側に立つときだけでなく、相手の言葉を受け止める側に立つときにも役立ちます。相手から強い言い方をされたとき、すぐに言い返したり、黙り込んだりする前に、次の順番で受け止めてみましょう。

  1. 事実と言い方を分ける:「言い方はきついが、指摘されている事実は何か」を考える
  2. 事実を確かめる:「〇〇が間に合っていない、というご指摘ですね」と、相手の言いたいことを言い直して確かめる
  3. 自分の考えを伝える:事実に誤りがあれば落ち着いて伝え、正しければ対応を示す
  4. 言い方について伝える:必要なら「強く言われると、私は落ち着いて考えにくくなります」と、Iメッセージで伝える

相手の言い方がきついと、内容まで受け入れられなくなりがちです。しかし、言い方と中身を分けて考えると、相手の指摘のうち受け止めるべき部分と、受け止めなくてよい部分が見えてきます。中身に正しい点があれば受け止め、人格を否定するような言葉は受け流す。この切り分けができるだけで、気持ちの負担はずっと軽くなります。

ただし、同じ相手から繰り返し人格を否定される、大声で威圧されるといった状態が続く場合は、1人で受け止め続ける必要はありません。記録を残し、信頼できる上司や人事、社内外の相談窓口に相談しましょう。

頼みごとや役割分担を見える形にしておく方法

アサーションで頼みごとをうまく伝えられても、その後で「誰が引き受けたのか」「いつまでだったか」があいまいになると、行き違いのもとになります。口頭やチャットで頼んだ仕事は、時間がたつと流れてしまい、頼んだ側も頼まれた側も、約束の中身を思い出せなくなりがちです。

人数が少なく、頼みごとも数件なら、共有の表計算ソフトのシートに「依頼の内容」「頼んだ人」「引き受けた人」「期限」「状況」の列を作って管理すれば十分に回ります。頼んだ内容を文字で残しておくだけでも、「言った」「聞いていない」という食い違いはかなり減ります。

チームの人数が増え、頼みごとが部署をまたいで行き来するようになると、シートの更新が追いつかなくなります。担当と期限と進み具合を複数人で共有したい場面では、プロジェクト管理ツールを使う方法があります。その選択肢の1つが、国産のプロジェクト管理ツールのPinateca(ピナテカ)です。公式サイトによると、カンバン、ガントチャート、カレンダー、リストなど8種類のボードとチャットが無料プランから使えます。頼みごとを1枚ずつカードにして担当者と期限を付ければ、誰が何を引き受けているのかが一覧で見えます。カードにはコメントのやり取りが残るので、「この部分の進め方を相談したい」といったやり取りも、カードの中でアサーティブに続けられます。自分あての担当の割り当てや締切は受信箱に集まり、リソースボードを使えば、誰に仕事が寄っているかも確かめられます。仕事が1人に集中していることが画面で見えれば、「今週は手いっぱいです」と言い出しやすくなります。

公式の料金ページでは、5人までのチームなら期限なしで無料、ボードは10個まで、クレジットカードの登録は不要とされています。6人目、または11個目のボードからはスタンダードプランになり、料金は1人あたり月額500円(税抜、年払いなら1人あたり月額400円)です。Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。

なお、道具を入れれば伝え方の問題が解決するわけではありません。どう頼み、どう断るかはこの記事で説明した伝え方で人が考え、決まった約束を見える形にしておく部分に道具を使う、という分担になります。

伝える力が生きる働き方

アサーティブに伝える力は、会社員だけでなく、フリーランスや副業で働く人にとっても大きな武器になります。会社員なら上司が間に入ってくれる交渉も、個人で仕事を受ける場合は、自分で取引先と話さなければなりません。納期の相談、追加の作業の料金の交渉、条件に合わない依頼の断り方など、アサーションが必要な場面は日常的にあります。

たとえばデザインの仕事では、修正の依頼が何度も続いたときに、「最初にお約束した修正は2回まででした。3回目以降は追加の料金をいただく形でもよろしいでしょうか」と、事実と提案を伝える力が求められます。デザイナーという職種の単価の相場は、デザイナーの年収・単価相場で調べられます。

組織の中のコミュニケーションや人材育成を支援する仕事もあります。研修の設計や業務の改善を支援する仕事、最近では社内のやり取りにAIの道具を取り入れる支援の仕事の中身は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で紹介しています。組織と人の課題を経営の視点で分析する力を身につけたい人には、国家資格の中小企業診断士という道もあります。在宅で働く環境を整えるときに使える国の支援については、テレワーク 助成金 2026の記事で紹介しています。

運営者として見てきた「断り方のうまい人」

在宅ワークとフリーランスの仲介を20年あまり続けてきた運営者として見てきた限りでは、長く仕事が続く人は、引き受け方だけでなく、断り方もうまい人です。

続く人は、無理な納期や条件の依頼を受けたときに、黙って引き受けて後で遅れることも、ぶっきらぼうに断ることもしません。「その納期では品質を保てないので、1週間いただけますか」「この予算でしたら、ここまでの範囲なら対応できます」と、できることとできないことを、理由と代わりの案を添えて伝えます。依頼する側から見ると、無理なことを無理と言ってくれる相手の方が、かえって安心して任せられます。

もう1つ見えてくるのは、間に入る手数料が小さい直接の取引ほど、こうした率直なやり取りが関係を深めるという点です。手数料が小さければ、同じ予算でも依頼する側はより多くの仕事を頼め、受ける側の手取りは厚くなります。手数料0%で直接取引している相手どうしは、条件の相談もお互いの事情を分かったうえで率直にでき、長い付き合いにつながりやすくなります。

アサーションは、一度に身につくものではありません。言えなかった場面を書き出し、言い直しの言葉を考え、小さな場面で試してみる。その繰り返しが、自分も相手も大切にする伝え方を、少しずつ自分のものにしていきます。調査や分析を通じて人の行動を考える仕事に関心がある人は、研究者の年収・単価相場のような相場の情報から、関わり方を考えてみるのもよいでしょう。

よくある質問

Q. アサーションとは簡単に言うとどういう意味ですか?

自分も相手も大切にしながら、意見や気持ちを率直に、その場にふさわしい形で伝える自己表現のことです。我慢して黙る伝え方でも、相手を言い負かす伝え方でもない、3つ目の伝え方と考えると分かりやすくなります。性格を変えることではなく、伝え方の選び方を増やすことが目的です。

Q. アサーティブな人と攻撃的な人の違いは何ですか?

攻撃的な人は、自分の言い分を通すために相手を抑え込み、相手の気持ちを聞きません。アサーティブな人は、自分の考えをはっきり伝えたうえで、相手の考えも聞き、違いがあれば話し合って折り合いを探します。相手にも断る自由があると考えている点が大きな違いです。

Q. DESC法とはどのような方法ですか?

言いにくいことを伝えるときの4つの手順です。相手の行動や状況を事実として伝え、それについての自分の気持ちを伝え、してほしいことを具体的に提案し、相手が受け入れた場合と断った場合にどうするかを考えておきます。最初の手順で相手の人柄を責めないのが要点です。

Q. アサーションはどうやって練習すればよいですか?

言いたいことを言えなかった場面と言いすぎた場面を1週間メモし、自分のくせを知るところから始めます。そのうえで、言えなかった場面の言い直しを書いてみる、店での注文の伝え方のような小さな場面で試す、信頼できる人に相手役を頼んで練習する、といった方法を重ねていきます。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年1月12日最終更新:2026年10月24日
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