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年次有給休暇管理簿の作り方|記録する項目と保存期間

@SOHO編集部
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年次有給休暇管理簿の作り方|記録する項目と保存期間

この記事のポイント

  • ✓年次有給休暇管理簿の作り方を
  • ✓法律で決まっている記録の項目
  • ✓年5日の取得義務との関係から順に説明します

年次有給休暇管理簿は、従業員ごとに有給休暇をいつ、何日与えたかを記録する書類で、2019年4月から会社に作成と保存が義務づけられています。初めて担当になると、「何を書けばよいのか」「パートの人も必要なのか」「何年残すのか」がまとめて気になるはずです。この記事では、法律で決まっている記録の項目と保存期間を最初に示し、年5日の取得義務との関係、付与日数の数え方、Excelでの作り方までを順に説明します。

年次有給休暇管理簿とは何か

年次有給休暇管理簿とは、従業員1人ひとりについて、有給休暇を取った日(時季)、取った日数、基準日を記録した書類のことです。基準日とは、その年の有給休暇が新しく与えられる日のことで、入社して6か月がたった日が最初の基準日になります。

この書類は、労働基準法施行規則の第24条の7で作成が求められています。施行規則とは、法律の細かい決まりを国の省令で定めたもので、労働基準法を実際に運用するためのルールです。条文には、次のように書かれています。

使用者は、法第三十九条第五項から第七項までの規定により有給休暇を与えたときは、時季、日数及び基準日(第一基準日及び第二基準日を含む。)を労働者ごとに明らかにした書類(第五十五条の二及び第五十六条第三項において「年次有給休暇管理簿」という。)を作成し、当該有給休暇を与えた期間中及び当該期間の満了後五年間保存しなければならない。 出典: e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」

なぜ2019年に義務になったのか

2019年4月から、年10日以上の有給休暇が与えられる従業員には、そのうち5日を会社が確実に取らせることが義務になりました。働き方改革の一環として労働基準法が改正されたためです。会社が5日を取らせたかどうかを確かめるには、従業員ごとの取得の記録が欠かせません。そこで、取得の義務とあわせて、管理簿の作成と保存も決まりになりました。

対象になる従業員

条文の「法第三十九条第五項から第七項まで」とは、従業員が自分で希望して取った有給休暇(第5項)、労使の協定で会社がまとめて日を決めた有給休暇(第6項)、会社が時季を指定して取らせた有給休暇(第7項)のことです。つまり、従業員が有給休暇を取るどの形でも、管理簿の記録の対象になります。

正社員だけでなく、パートやアルバイトでも、条件を満たせば有給休暇が与えられます。有給休暇を与えた従業員がいれば、雇用の形にかかわらず管理簿を作ると考えておくのが確実です。

年次有給休暇管理簿に記録する項目

法律で必ず記録することになっているのは、時季、日数、基準日の3つです。それぞれの意味を、実際の記入例とあわせて確かめます。

法律で決まっている3つの項目

項目 意味 記入例
時季 有給休暇を実際に取った日 2026年5月7日、2026年8月13日、8月14日
日数 その基準日から1年間に取った日数の合計 6日
基準日 有給休暇が新しく与えられた日 2026年4月1日

時季は「取った日付」を1日ずつ書きます。まとめて「5月に3日」と書くのではなく、何月何日に取ったかが分かる形にします。日数は、基準日から1年間に取った日数の合計です。半日単位や時間単位で取った場合は、その分も分かるように記録します。

第一基準日と第二基準日

条文にある「第一基準日」と「第二基準日」は、入社日がばらばらな従業員の基準日を、会社が1つの日にそろえる場合に出てくる言葉です。たとえば、入社して6か月を待たずに有給休暇を前倒しで与えた場合、その前倒しで与えた日を第一基準日と呼びます。さらに、翌年から全社の基準日にそろえるために、1年たたないうちに次の有給休暇を与えた場合、その日を第二基準日と呼びます。

基準日をそろえていない会社であれば、この2つを気にする必要はありません。基準日をそろえている会社では、どの日を起点に5日を数えるかが変わるため、管理簿にも第一基準日と第二基準日を書いておきます。

あわせて記録しておくと便利な項目

法律で決まっているのは3つだけですが、実務では次の項目もあわせて記録しておくと、確認の手間が大きく減ります。

  • 従業員の氏名、社員番号、入社日
  • その基準日に与えた日数(新しく付与した日数)
  • 前の年からの繰り越しの日数
  • 取得の形(1日、半日、時間単位)
  • 残りの日数
  • 年5日の取得義務を満たしたかどうか
  • 会社が時季を指定したかどうか

特に「残りの日数」と「年5日を満たしたか」は、従業員から問い合わせが多い項目です。この2つが一目で分かるようにしておくと、担当者が毎回計算し直す必要がなくなります。

有給休暇が与えられる日数

管理簿を正しく作るには、従業員ごとに何日の有給休暇が与えられるのかを知っておく必要があります。労働基準法第39条では、入社してから6か月続けて勤め、その間の出勤すべき日の8割以上を出勤した人に、10日の有給休暇を与えることが決まっています。

フルタイムの従業員の日数

週の所定労働時間が30時間以上、または週5日以上働く従業員は、次の日数が与えられます。

入社してからの期間 与えられる日数
6か月 10日
1年6か月 11日
2年6か月 12日
3年6か月 14日
4年6か月 16日
5年6か月 18日
6年6か月以上 20日

最も多いのは、6年6か月以上勤めた人の20日です。これより多く与えるのは会社の自由ですが、少なくすることはできません。

パートやアルバイトの日数(比例付与)

週の所定労働時間が30時間未満で、週4日以下しか働かない従業員には、働く日数に応じて少なめの日数が与えられます。これを比例付与と呼びます。比例付与とは、働く日数の割合に合わせて有給休暇の日数を決める仕組みのことです。労働基準法施行規則第24条の3で、次のように決まっています。

週の所定労働日数 年間の所定労働日数 6か月 1年6か月 2年6か月 3年6か月 4年6か月 5年6か月 6年6か月以上
4日 169〜216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121〜168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73〜120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48〜72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

この表で、週4日で3年6か月以上勤めた人、週3日で5年6か月以上勤めた人は、与えられる日数が10日以上になります。その場合は、パートであっても年5日の取得義務の対象になるので、管理簿で取得の状況を追う必要があります。

使わなかった有給休暇の繰り越し

その年に使わなかった有給休暇は、翌年に繰り越せます。労働基準法第115条で、有給休暇を取る権利は2年で時効になると決まっているためです。つまり、与えられた日から2年以内であれば使えるということです。管理簿に繰り越しの日数を記録しておくと、従業員ごとに使える日数がすぐに分かります。

年5日の取得義務と管理簿の関係

年10日以上の有給休暇が与えられる従業員には、基準日から1年以内に5日を取らせることが会社の義務です。労働基準法第39条第7項に定められています。管理簿は、この義務を果たしたかどうかを確かめるための記録でもあります。

5日に数えてよいもの

従業員が自分で希望して取った有給休暇と、労使の協定で日を決めて取らせた有給休暇(計画的付与)は、その日数を5日から差し引けます。第39条第8項で、これらの日数分は会社が時季を指定する必要がないと決まっているためです。たとえば、従業員が自分で3日を取っていれば、会社が指定するのは残りの2日で足ります。

一方で、時間単位で取った有給休暇は、この差し引きの対象に含まれていません。第8項で差し引けるとされているのは、従業員が希望して取った分(第5項)と計画的付与の分(第6項)だからです。時間単位の取得が多い職場では、管理簿で1日単位の取得と時間単位の取得を分けて記録しておくと、5日の判定を誤りません。

会社が時季を指定するときの手順

基準日から半年ほどたっても取得が5日に届いていない従業員がいれば、会社が時季を指定します。その際は、あらかじめ本人の希望を聞き、できる限りその希望に沿うよう努めることが、施行規則第24条の6で決められています。また、会社が時季を指定する場合は、対象になる従業員の範囲と指定の方法を就業規則に書いておく必要があります。

守らなかったときの罰則

年5日を取らせなかった場合、労働基準法第120条により30万円以下の罰金の対象になります。管理簿の作成と保存そのものも省令で決められた義務で、労働基準監督署の調査で確認され、不備があれば指導を受けます。

年次有給休暇管理簿の保存期間

条文では保存期間が5年間と書かれていますが、現在は経過措置として3年間とされています。経過措置とは、新しい決まりに移るまでの間、古い基準や別の基準を当面使ってよいとする扱いのことです。労働基準法施行規則第71条で、管理簿の保存期間は「当分の間、これらの規定中『五年間』とあるのは、『三年間』とする」と決まっています。

いつから数えるのか

保存期間は、有給休暇を与えた期間が終わったときから数えます。条文に「当該有給休暇を与えた期間中及び当該期間の満了後」とあるのは、そのためです。

基準日 有給休暇を与えた期間 保存が必要な期限(3年の場合)
2026年4月1日 2026年4月1日〜2027年3月31日 2030年3月31日まで
2026年10月1日 2026年10月1日〜2027年9月30日 2030年9月30日まで

つまり、その1年間の記録は、期間中に加えて、期間が終わってから3年間は残しておく必要があります。いずれ5年に戻る可能性もあるため、最初から5年残せる形で管理しておくと、決まりが変わったときに慌てずに済みます。

ほかの労務の書類との違い

管理簿のほかにも、労働基準法では労働者名簿、賃金台帳、出勤簿などの保存が求められています。これらも同じく、条文上は5年、当分の間は3年とされています。ただし、書類ごとに数え始める日が違うため、管理簿と同じ日に一斉に処分してよいわけではありません。労働基準法施行規則第56条では、労働者名簿は従業員が退職した日や亡くなった日から、賃金台帳は最後に記入した日から数えると決まっています。賃金の支払日がそれより後になる場合は、支払日から数えます。たとえば、2026年3月末に退職した従業員の労働者名簿は、退職した日から3年間は残しておく必要があります。書類ごとに「いつから数えるか」を一覧にしておくと、処分の判断を誤りません。

年次有給休暇管理簿の作り方

管理簿には決まった様式がありません。法律で決まった3つの項目が従業員ごとに分かれば、紙でも、Excelでも、勤怠管理のシステムでもかまいません。厚生労働省の山口労働局は、次のように案内しています。

なお、年次有給休暇管理簿は、労働者名簿または賃金台帳とあわせて調製することができます。また、必要なときにいつでも出力できる仕組みとした上で、システム上で管理することも差し支えありません。 出典: 山口労働局「年次有給休暇管理簿について」

「あわせて調製する」とは、労働者名簿や賃金台帳と1つの書類にまとめて作ってよいという意味です。同じページでは、Excel形式の作成例も公開されています。

Excelで作る手順

従業員が数十人までであれば、Excelで十分に管理できます。次の手順で作ると、あとから確認しやすい管理簿になります。

  1. 1枚目のシートに、従業員の一覧(氏名、社員番号、入社日、週の所定労働日数)を作る
  2. 2枚目のシートに、取得の記録(社員番号、取得日、取得の形、日数)を1行1件で入力する
  3. 3枚目のシートで、従業員ごとに基準日、付与日数、取得日数、残日数、5日の達成を集計する

取得の記録を1行1件で入力しておくのがコツです。従業員ごとに横に日付を並べていく形にすると、取得が多い人ほど列が足りなくなり、集計の式も複雑になります。

基準日を自動で出す式

入社日から6か月後の最初の基準日は、EDATE関数で出せます。EDATE関数とは、ある日付から指定した月数だけ前後の日付を返す関数です。入社日がB2のセルにあるとき、次の式で6か月後の日付が出ます。

=EDATE(B2,6)

2回目以降の基準日は、そこから12か月ずつ進めます。詳しい使い方は、MicrosoftのEDATE関数の説明で確かめられます。

取得日数を数える式

基準日から1年間に取った日数は、SUMIFS関数で合計できます。SUMIFS関数とは、複数の条件に合う行の数値だけを合計する関数です。取得の記録のシートで、A列が社員番号、B列が取得日、D列が日数(1日なら1、半日なら0.5)のとき、次のように書きます。

=SUMIFS(記録!D:D,記録!A:A,A2,記録!B:B,">="&C2)-SUMIFS(記録!D:D,記録!A:A,A2,記録!B:B,">="&EDATE(C2,12))

ここで、A2は社員番号、C2はその年の基準日です。前半の式で基準日以降に取った日数をすべて合計し、後半の式で次の基準日以降に取った日数を差し引いています。こうすると、社員番号が同じで、取得日が基準日から1年以内の行だけが合計されます。条件の書き方はSUMIFS関数の説明にまとまっています。

5日を満たしたかを表示する式

取得日数がE2のセルにあるとき、次の式で5日の達成を表示できます。

=IF(E2>=5,"達成","未達")

この列に条件付き書式で色を付けておくと、「未達」の従業員がすぐに見つかります。基準日から半年たった時点で一覧を見直し、未達の人に声をかける流れを決めておくと、年度の終わりに慌てずに済みます。

管理簿の記入例を3人の従業員で確かめる

表の作り方だけでは、実際にどう書くのかが分かりにくいものです。ここでは、勤め方の違う3人の従業員を例に、管理簿にどう記録するかを文章で追っていきます。

1人目は、2023年4月1日に入社したフルタイムの正社員です。最初の基準日は6か月後の2023年10月1日で、このとき10日が与えられました。2026年10月1日は3回目の付与の日にあたり、入社から3年6か月がたっているので14日が与えられます。前の年に使い残した分があれば、それを繰り越しの欄に書きます。この人が11月に2日、翌年の1月に1日、3月に半日を取った場合、取得日の欄には4つの日付が並び、日数の欄には合計の3.5日が入ります。この時点ではまだ5日に届いていないので、残りの半年で1.5日以上を取ってもらう必要があります。

2人目は、週3日働くパートの従業員で、2025年4月1日に入社しました。最初の基準日は2025年10月1日で、比例付与の表から5日が与えられます。与えられる日数が10日に届かないため、この人は年5日の取得義務の対象ではありません。ただし、取った日と日数は管理簿に記録します。勤め続けて与えられる日数が10日以上になった年からは、5日の義務の対象に入るので、その年が来たことに気づけるよう、管理簿に次の付与日数をあらかじめ書いておくと安心です。

3人目は、2026年7月1日に入社した中途採用の正社員で、会社が全社の基準日を10月1日にそろえているため、入社から3か月で10日を前倒しで与えられました。この場合、2026年10月1日が第一基準日になります。5日の義務は、この日から1年以内に果たす必要があります。管理簿には、本来の基準日ではなく第一基準日を書き、そこから1年以内の取得を数えます。

このように、同じ管理簿でも、勤め方と基準日の決め方によって、5日の判定の仕方が変わります。担当者が判断に迷わないよう、従業員ごとに「5日の義務の対象かどうか」と「5日を数え始める日」を1つの欄にまとめておくと、確認がぐっと楽になります。

管理簿の担当になったら最初にやること

前の担当者から管理簿を引き継いだときや、初めて管理簿を作るときは、いきなり表を作り始めるより、先に今の状態を確かめるほうが早く進みます。次の順に進めると、抜けや重複を防げます。

  1. 就業規則を開き、有給休暇の付与日数、基準日のそろえ方、時季指定の決まり、時間単位の取得の有無を確かめる
  2. 従業員の一覧を作り、入社日、雇用の形、週の所定労働日数を書き出す
  3. 従業員ごとに、今の基準日と与えられている日数、前の年からの繰り越しの日数を確かめる
  4. この1年に取った日を、出勤簿や休暇の申請書から拾い出して記録する
  5. 年5日の義務の対象になる人を選び出し、それぞれの取得の状況を確かめる

特に3つ目の繰り越しの日数は、前の担当者の記録が残っていないと分からなくなりがちです。給与明細に有給休暇の残りの日数を書いている会社であれば、その数字を手がかりにできます。どうしても分からない場合は、従業員本人に確かめたうえで、確かめた日と方法を管理簿の余白に書いておくと、あとで食い違いが出たときに説明できます。

就業規則とは、会社で働くときの決まりを書いた文書のことで、常時10人以上を雇う会社には作成と届出が義務づけられています。休暇に関する事項は、就業規則に必ず書く項目の1つです。会社が時季を指定して有給休暇を取らせる場合は、その決まりも就業規則に書いておく必要があります。

有給休暇の申請を受けてから記録するまでの流れ

管理簿の記録は、従業員から有給休暇の申請を受けたところから始まります。申請の受け方が決まっていないと、口頭で伝えられた休暇が記録から漏れ、年度の終わりに取得日数が合わなくなります。

申請は、紙の申請書、メール、勤怠管理のシステムなど、会社で1つの方法に決めておきます。申請には、取りたい日、取得の形(1日、半日、時間単位)、申請した日を書いてもらいます。上司が承認したら、担当者がその内容を管理簿の取得の記録に1行ずつ入力します。急な体調不良で当日の朝に連絡があった場合も、あとで申請書を出してもらい、記録の漏れを防ぎます。

有給休暇は、従業員が希望した日に与えるのが原則です。労働基準法第39条第5項では、請求された時季に与えることが事業の正常な運営を妨げる場合に限って、会社が別の時季に変えられると決まっています。これを時季変更権と呼びます。時季変更権とは、会社が休暇の日をずらしてもらうよう求められる権利のことで、休暇そのものを取らせないことまでは認められていません。「忙しいから」という理由だけで変更を求めるのは避け、代わりの人を手配できるかを先に検討します。

会社が時季を変えてもらった場合は、元の希望日と変更後の日を、申請の記録に残しておくと安心です。あとで従業員との間で食い違いが出たときに、いつ、どういう理由で変えたのかを説明できます。

従業員に残りの日数を知らせる工夫

管理簿は会社のための記録ですが、従業員にとっても、自分があと何日休めるのかを知る手がかりになります。従業員から「あと何日残っていますか」と聞かれるたびに担当者が調べていると、それだけで毎月かなりの時間がかかります。

給与明細に、その月末時点の有給休暇の残りの日数を印字する方法は、多くの会社で使われています。従業員は毎月の明細で自分の残りの日数を確かめられ、担当者への問い合わせが減ります。勤怠管理のシステムを使っている会社であれば、従業員が自分の画面で残りの日数を確かめられる機能を使うのも手です。

基準日から半年がたった時点で、取得が少ない従業員に個別に声をかける運用もおすすめです。「今年はまだ2日なので、あと3日を年度内に取ってください」と具体的な日数で伝えると、従業員も予定を立てやすくなります。会社が時季を指定するのは、こうした声かけをしても取得が進まない場合の最後の手段と考えておくと、職場の雰囲気を損なわずに義務を果たせます。

紙、Excel、勤怠管理システムの選び方

管理簿をどの形で作るかは、従業員の数と、勤怠をどう記録しているかで決めます。

形 向いている会社 気をつけること
紙 従業員が数人で、有給休暇の申請も紙で受けている 集計を手で行うため、計算の誤りが起きやすい
Excel 従業員が数十人までで、担当者が決まっている 担当者が替わると式の意味が分からなくなりやすい
勤怠管理システム 従業員が多い、入社日がばらばら、拠点が複数ある 月額の費用がかかる。出力の機能があるか確かめる

紙で管理する場合も、法律で決まった3つの項目が従業員ごとに分かれば問題ありません。ただし、紙は検索に向かないため、労働基準監督署から求められたときにすぐ出せるよう、従業員ごとにファイルを分けて保管します。

Excelで管理する場合は、式を入れたセルを保護し、誤って上書きされないようにします。また、担当者が替わっても分かるように、どの列に何を入れるかを1枚目のシートの上に書いておくと引き継ぎが楽になります。

勤怠管理システムを使う場合は、管理簿の形で出力できるか、過去の分を3年以上残せるか、退職した従業員の記録も残るかを確かめます。山口労働局の案内にあるとおり、必要なときにいつでも出力できることが条件です。

入社日がばらばらな会社の基準日のそろえ方

中途採用が多い会社では、従業員ごとに基準日が違い、管理簿の確認が毎月のように発生します。そのため、全社の基準日を4月1日や10月1日などにそろえる会社もあります。

基準日をそろえる場合、法律で決まった日数を下回らないよう、入社して6か月を待たずに有給休暇を前倒しで与えるのが一般的です。たとえば、2026年7月1日に入社した従業員には、本来は2027年1月1日に10日が与えられます。これを全社の基準日である10月1日に前倒しして与えれば、従業員にとって不利にはなりません。

前倒しで与えた場合、年5日の義務は、前倒しした日から1年以内に果たす必要があります。また、前倒しのあと1年たたないうちに次の付与日が来る場合は、施行規則第24条の5の決まりにより、2つの期間を合わせた月数に応じて取らせる日数を計算します。このあたりは計算が複雑になるため、迷ったときは管轄の労働基準監督署か社会保険労務士に確かめると確実です。

管理簿の運用でつまずきやすい点

管理簿は作って終わりではなく、毎月の勤怠とあわせて更新していく書類です。運用の中でよく起きるつまずきを挙げます。

繰り越し分と新しい分のどちらから使うか

有給休暇を取ったとき、繰り越した分と新しく与えた分のどちらから減らすかは、法律では決まっていません。一般には、時効が早く来る繰り越し分から使う扱いが多く見られます。どちらにするかを就業規則に書き、管理簿の計算もその決まりに合わせます。

退職する従業員の記録

退職する従業員がまとめて有給休暇を取る場合も、管理簿に記録します。退職したあとも、記録は保存期間の終わりまで残しておく必要があります。退職者のファイルを先に処分してしまう失敗が多いので、退職者の分も保存期限を書いた一覧で管理します。退職の日までに使い切れなかった有給休暇は、退職とともに使えなくなるのが原則です。退職の予定が分かった時点で残りの日数を本人に伝え、引き継ぎの日程と休暇の日程を一緒に決めておくと、最終日の前に慌てずに済みます。

時間単位の有給休暇の記録

時間単位の有給休暇は、労使の協定を結んだ場合に、年5日以内で認められています。時間単位で取った分は、1日の所定労働時間を何時間とみなすかを決め、その時間数で日数に換算して管理します。前の節で見たとおり、時間単位の分は会社が取らせる5日から差し引けないので、管理簿でも1日単位の取得と分けておきます。

在宅で働く人と有給休暇の管理

在宅で働く人の中には、会社に雇われている人と、業務委託で仕事を受けている人がいます。有給休暇は、労働基準法でいう労働者、つまり会社に雇われて働く人に与えられる休暇です。業務委託で仕事を受けている人は、原則として有給休暇の対象にはなりません。在宅でも雇用契約で働いている場合は、通勤する従業員と同じように有給休暇が与えられ、管理簿の対象になります。

テレワークで働く従業員が増えると、出社の記録だけでは働いた日が分からなくなり、勤怠の管理を見直す会社が多くなります。テレワークの環境づくりに使える国の支援はテレワーク 助成金 2026で整理しています。また、介護や福祉の事業所では、シフトと休暇の管理を紙からシステムに移す動きが進んでいます。その支援策は介護・福祉事業所のDX化2026|IT導入補助金で介護記録を完全デジタル化にまとまっています。

労務の管理を支える仕事

有給休暇の管理簿のように、法律に沿った書類を整える仕事は、在宅でも請け負える分野の1つです。医療機関の事務では、受付や会計に加えて、職員の勤怠の集計を任されることもあります。医療事務の資格の内容は医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)で確かめられます。中小企業の経営を支える立場で、労務を含む社内の仕組みづくりまで助言する専門家には、中小企業診断士という国家資格があります。

運営者として見てきた、管理の仕組みが続く会社の共通点

2004年から在宅ワークとフリーランスの仲介を続けてきた運営者として見てきた限りでは、事務の仕組みが長く続く会社ほど、記録の形が単純です。複雑な式を組み込んだExcelより、「1行に1件を入力するだけ」の形のほうが、担当者が替わっても崩れません。管理簿も同じで、法律で決まった3つの項目を確実に残し、残りの日数と5日の達成が一目で分かる形にしておけば十分です。

勤怠や書類の管理を外部に頼む会社も増えています。仲介の手数料がかからない直接の取引であれば、依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなります。業務の仕組みづくりを支える仕事の内容は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事でも紹介しています。

年次有給休暇管理簿は、従業員が休みを取れているかを会社が確かめるための記録です。時季、日数、基準日の3つを従業員ごとに残し、期間が終わってから3年間保存する。この基本を押さえたうえで、自分の会社の人数と勤怠の記録の仕方に合った形を選んでください。

よくある質問

Q. 年次有給休暇管理簿はパートやアルバイトにも必要ですか?

必要です。管理簿は、有給休暇を与えた従業員ごとに作る書類で、雇用の形は問いません。パートやアルバイトでも、6か月続けて勤め、出勤すべき日の8割以上を出勤すれば、働く日数に応じた有給休暇が与えられます。与えた従業員がいれば、その人の分も管理簿に記録します。

Q. 年次有給休暇管理簿は何年保存すればよいですか?

条文上は5年ですが、現在は経過措置で3年とされています。数え始めるのは、その有給休暇を与えた1年間の期間が終わってからです。たとえば基準日が2026年4月1日なら、期間は2027年3月31日までで、そこから3年後の2030年3月31日まで保存します。

Q. 管理簿の様式は決まっていますか?

決まった様式はありません。時季、日数、基準日の3つが従業員ごとに分かれば、紙でもExcelでも勤怠管理のシステムでもかまいません。労働者名簿や賃金台帳と1つにまとめて作ることも認められています。システムで管理する場合は、必要なときにいつでも出力できるようにしておきます。

Q. 管理簿を作っていないと罰則はありますか?

年5日の有給休暇を取らせなかった場合は、労働基準法により30万円以下の罰金の対象になります。管理簿の作成と保存も省令で決められた義務で、労働基準監督署の調査で確認され、不備があれば指導を受けます。個別の扱いに迷うときは、管轄の労働基準監督署に確かめると確実です。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年2月19日最終更新:2026年10月25日
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