実績ゼロからAI・セキュリティ支援に応募する人が、代わりに見せられる資料

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
実績ゼロからAI・セキュリティ支援に応募する人が、代わりに見せられる資料

この記事のポイント

  • AI・セキュリティ支援に実績ゼロで応募するとき
  • 職歴の代わりに見せられる資料は5種類あります
  • 渡し方までまとめました

AI・セキュリティ支援に実績ゼロで応募するとき、何を見せればいいのか。結論から書きます。見せるべきなのは「経歴」ではなく「他人の課題を想定して作った成果物」です。

実績がある人はそれを提出できる。ない人は代わりを作る。ただそれだけの話で、代わりになる資料は5種類あります。しかも全部、無料のツールと公開情報だけで作れます。

この記事では、その5種類の中身と作り方、実際の渡し方までを整理します。ポートフォリオという言葉に身構える必要はありません。要は「この人に頼んだら何が返ってくるか」が伝わる紙が1つあればいいという話です。

実績ゼロが不利になる、本当の理由

まず前提を整理します。実績がないと通らないのは、能力が疑われているからではありません。発注側が「完成品のイメージを持てない」からです。

依頼する側の頭の中では、支払う金額と受け取るものを天秤にかけています。受け取るものが想像できないと、天秤が成立しない。だから判断が保留になり、実績のある人に流れる。それだけの構造です。

つまり、必要なのは実績そのものではなく、完成品のイメージを渡すことです。ここを取り違えると、「まず案件を1つ取らないと実績が作れない」という堂々巡りに入ります。実際には順番が逆で、成果物を先に作れば案件は取れます。

もうひとつ押さえておきたいのが、この分野で求められている水準です。

特定の資格は必須ではありませんが、中級者向けとして設計されています。AIやシステム開発・運用の基礎的な業務経験があるとスムーズにご受講いただけます。 出典: gsx.co.jp

資格は必須ではないが、基礎的な業務経験は前提とされている。この構図は、支援案件の募集でもほぼ同じです。裏を返すと、「基礎が身についていること」さえ示せれば、支援業務そのものの経験がなくても土俵には乗れるということです。

そして基礎が身についていることを示す方法は、資格証よりも成果物のほうが直接的です。正直なところ、資格の名前だけを並べた応募文より、粗くても実物が1つ付いている応募文のほうが読まれます。

代わりに見せられる資料は、この5種類

1 自作の規程・ガイドラインのドラフト

いちばん効くのがこれです。架空の会社を1つ設定し、その会社向けに「生成AIツールの社内利用ルール」を書いてみる。分量はA4で3枚から5枚もあれば十分です。

架空の会社の設定は、細かく作り込みます。従業員80名の受託開発会社、顧客の設計データを預かる業務がある、社内では表計算ソフトとチャットツールを使用、といった具合です。設定が具体的なほど、書かれるルールも具体的になります。

中身は、公開されている指針を土台にします。国が公表しているAI関連のガイドラインや、業界団体の利用指針が公開されていますので、そこから条項を拾って自分の言葉で再構成する。原典は経済産業省総務省のサイトで確認できます。

このドラフトが1本あると、発注側は「この人に頼めばこういう文書が上がってくる」と即座に理解します。ポートフォリオとして、これ以上に効率のいいものはありません。

2 公開情報だけで作った調査レポート

テーマを1つ決めて、公開情報を集めて整理したレポートです。「生成AIの業務利用で報告されている情報漏洩の類型」「中小企業がAIツールを導入する際に見落としやすい確認事項」といった切り口が作りやすい。

ポイントは、集めた情報を並べるだけで終わらせないことです。必ず最後に「だから何をすべきか」を3つ書く。この3つがあるかないかで、レポートの価値がまったく変わります。

分量はA4で5枚前後。出典は本文中に明記します。出典の書き方が丁寧かどうかは、実務での信頼性の指標として見られていると考えたほうがいい。

3 チェックリスト

意外と評価されるのがこれです。「AIツールを社内導入する前に確認する20項目」のような形で、実務でそのまま使えるものを作る。

チェックリストは、作った人の経験値が透けて見える資料です。項目の粒度が揃っているか、抜けがないか、順番が実務の流れに沿っているか。読む側は数秒で判断できます。

そして、依頼主にとって「明日から使えるもの」なので、これ自体が営業資料として機能します。提案の添付として送ると、返信率が変わってきます。

4 学習ログ

学んだ内容と、その過程での気づきを時系列で残したものです。ブログでも、テキストファイルでも構いません。

「〇月〇日、生成AIのプロンプトインジェクションについて学習。仕組みを理解したつもりだったが、実際に自分のチャットボットで試したら想定外の挙動になり、入力の検証だけでは不十分だと分かった」。このレベルの粒度で書けていると、思考の過程が伝わります。

正直なところ、学習ログを提出資料に含める人は少ないです。だからこそ差が付きます。完成品からは分からない「詰まったときにどう考えるか」が見えるので、一緒に働く相手を選ぶ材料としては非常に有効なんですね。

5 既存資料の改善提案

公開されている資料を1つ選び、「自分ならこう直す」を書いたものです。たとえば、一般公開されている情報セキュリティの啓発資料を取り上げ、読み手にとって分かりにくい部分と、その改善案を並べる。

注意点があります。実在する特定企業の資料を名指しで批評するのは避けてください。相手の心証を害するだけでなく、あなたの評価も下げます。題材にするなら、公的機関が広く配布している一般向け資料か、自分で作った架空のたたき台にすること。

改善提案は、視点の鋭さを示すのに向いています。ただし5種類の中では上級者向けなので、最初の1本には向きません。

作るときに、絶対に守る線

実績ゼロの人が資料を作るとき、やってはいけないことがあります。ここを外すと、資料が武器ではなく地雷になります。

前職や現職の実物を使わないこと。これが最優先です。「社内で作った資料の一部を加工して出す」は、内容がどれだけ薄まっていてもリスクがあります。守秘義務違反を疑われた時点で、その応募は終わります。

架空の設定であることを明記すること。表紙に「本資料は架空の企業を想定して作成したサンプルです」と1行入れておく。この1行があるかないかで、読む側の受け止め方が変わります。実績と誤認させようとしたと思われたら、信頼は回復しません。

生成AIの出力をそのまま貼らないこと。下書きに使うのは構いませんが、事実確認と修正は必ず自分で行います。AIに骨組みだけを作らせ、中身は自分で書くという分け方が現実的です。とくにこの分野では、出力の検証をせずに納品する人が最も嫌われます。

数字を作らないこと。「導入企業の70%が」といった根拠のない数値を書いてしまう人がいますが、出典を確認されたら即座に破綻します。数字を使うなら必ず公開されている統計から引き、出典を書く。書けないなら数字を使わない。

1本目を作る、5つのステップ

どれから作るかで迷ったら、規程のドラフトから始めてください。応募先の反応がいちばん大きく、他の資料の土台にもなるからです。手順を分解します。

ステップ1 架空の会社を決める(30分)

業種、従業員数、扱っているデータ、使っているツール。この4つを紙に書きます。自分が働いたことのある業種に寄せると、細部が具体的になります。まったく知らない業種を選ぶと、途中で手が止まります。

ステップ2 目次を作る(1時間)

公開されている指針の構成を見て、章立てを借ります。目的、適用範囲、利用してよいツール、入力してはいけない情報、生成物の取り扱い、違反時の対応。この6章があれば、規程として形になります。

目次の段階で相談できる相手がいれば見てもらうと早いのですが、いなくても問題ありません。指針の構成をなぞっている限り、大きく外すことはないからです。

ステップ3 各章の中身を書く(8時間から12時間)

ここがいちばん時間を使います。1章あたり2時間前後を見ておくとよいでしょう。

書くときのコツは、抽象的な原則で終わらせないことです。「機密情報を入力してはならない」だけでは実務で使えません。「顧客から預かった設計データ、個人が特定できる情報、社内システムの認証情報は、外部の生成AIサービスに入力してはならない」まで書く。この具体性が、そのまま評価になります。

ステップ4 参照した資料の一覧を付ける(1時間)

末尾に、参考にした指針や資料の一覧を付けます。出典を書けることは、この分野では能力の一部として見られます。

ステップ5 サマリを1枚作る(1時間)

最後に、表紙となる1枚を作ります。想定した企業の設定、この規程で何を防ごうとしているか、使う際の注意点。この3項目で足ります。

合計で12時間から16時間。週末2回で1本仕上がる計算です。

ありがちな失敗を、先に潰しておく

完璧を目指して完成しない

いちばん多い失敗です。もっと勉強してから、と思っているうちに半年が経つ。

粗くても完成しているものは提出できますが、完璧を目指して途中のものは提出できません。この差は決定的です。まず1本を最後まで書き切り、応募しながら改訂していくほうが、結果的に品質も上がります。

資料が多すぎて焦点がぼやける

5種類すべてを並べて送る人がいます。相手からすると、どれを見ればいいのか分からない。

用意しておくのは複数でよいのですが、送るのは案件に合わせて1本か2本。規程作成の案件なら規程ドラフト、調査系の案件ならレポート。合わせて出せることも評価の対象です。

見た目に時間をかけすぎる

配色や図の作り込みに何時間もかけてしまうケース。この分野の資料で見られているのは、体裁ではなく内容の粒度です。

装飾に凝った資料は、かえって中身の薄さを疑われることもあります。白黒で、見出しと本文の区別が付いていれば十分だと考えてください。

費用はいくらかかるか

結論、無料でそろいます。

文書作成は、無料で使える表計算とワープロのオンライン版で十分です。体裁を整えるためだけに有料ソフトを買う必要はありません。PDFへの書き出しも標準機能で対応できます。

図が必要なら、無料の作図ツールがいくつもあります。凝った図は不要で、四角と矢印で構造が伝わればそれで足ります。むしろ装飾が多い資料は、中身が薄いと見なされやすい。

置き場所も無料で用意できます。クラウドストレージの共有リンク、無料のブログ、文書公開サービス。どれでも構いません。

つまり、実績ゼロから資料をそろえるのにかかる費用は、実質0円で、必要なのは時間だけです。目安として、5種類のうち3つを作るのに20時間から30時間といったところでしょう。週末2回から3回分です。

資料の質を上げる、3つのチェック観点

作った資料を出す前に、自分で見直すポイントがあります。ここを通すだけで、完成度の印象がかなり変わります。

観点1 誰が読むかが決まっているか

同じ内容でも、読み手が経営層か情シス担当者か現場社員かで、書くべき粒度が変わります。1つの資料で全員に向けようとすると、誰にも刺さらないものが出来上がります。

冒頭に「本資料は情シス担当者向けです」と書くだけで解決します。書けないなら、読み手が定まっていない証拠なので、そこから決め直したほうが早い。

観点2 読んだあとの行動が書かれているか

調査レポートでも規程でも、読み終えた人が次に何をすればいいのかが書かれていないと、資料は使われずに終わります。

末尾に「本資料を踏まえて、まず着手すべき3項目」を置く。これだけで、資料が読み物から道具に変わります。実務で使われる資料を作れる人だ、という評価にも直結します。

観点3 自分の判断が入っているか

公開情報を集めただけの資料は、検索すれば同じものが出てきます。価値になるのは、集めた情報に対してあなたが下した判断です。

「この項目は多くの指針で挙げられているが、従業員80名規模では運用が回らないため、簡略化した形を提案する」。この一文があるかないかで、資料の性格が変わります。判断が間違っていても構いません。判断を示せる人かどうかが見られています。

正直なところ、3つのうち観点3を満たしている資料はかなり少ないです。裏を返せば、ここを意識するだけで上位に入れるということでもあります。

渡し方で、評価は変わる

作った資料を、どう渡すか。ここで損をしている人がかなり多い。

まず、いきなり全部を送らないこと。5本の資料を添付されても、相手は開きません。送るのは1本、多くて2本です。

そして必ず、1枚のサマリを先頭に付けます。「この資料は何か」「誰向けに作ったか」「読むと何が分かるか」を3行で書いたページです。これがあると、忙しい担当者でも中身にたどり着けます。

形式はPDFに統一します。編集可能なファイルで送ると、相手の環境で体裁が崩れる可能性がありますし、意図しない編集履歴が残ることもあります。

リンクで渡す場合は、権限設定を確認してください。「リンクを知っている全員が閲覧可能」になっているかどうか。閲覧申請が必要な設定のまま送ると、相手は開けずにそのまま流れます。これ、本当によくある取りこぼしです。

応募文の中では、資料を添えた理由を1行で書きます。「実務での支援経験はまだありませんので、想定課題に対して作成したサンプルを添付します。ご覧いただければ、作業の粒度と文書の精度をご判断いただけるかと思います」。

この書き方だと、実績がないことを隠していません。隠していないのに不利にならないのは、代わりの判断材料を渡しているからです。

どの順番で学ぶか

資料を作りながら学ぶのが、いちばん早い。読んでから作るのではなく、作りながら足りない部分を埋めるという順番です。

最初に押さえるべきは、生成AIの仕組みとリスクの全体像です。攻撃手法の細部より先に、どこにデータが渡り、何が残るのかという流れを掴む。ここが分かっていないと、規程もチェックリストも書けません。体系的に押さえたいなら生成AIパスポートが入口として扱いやすく、試験範囲がそのまま資料の目次の候補になります。

次に、手を動かす側の基礎です。集計や簡単な自動化ができると、調査レポートの説得力が上がります。Python3エンジニア認定基礎試験の範囲は、実務で使う最小限を押さえるのにちょうどよい水準です。

そして、AIツールを業務にどう組み込むかという視点。ノーコードでワークフローを組む考え方を知っておくと、提案の幅が広がります。実際の組み立て方はDifyで業務自動化|ノーコードAIワークフローの作り方にまとまっているので、自分の資料で「導入例」を書くときの土台になります。

生成系ツールの実務利用に関心があるなら、権利や商用利用の論点が具体的に扱われているAIイラスト販売で副業|Midjourney・Stable Diffusion活用も読んでおくと、規程のドラフトに「生成物の権利の扱い」という条項を書けるようになります。

働き手側の生産性という切り口を押さえたいなら、職種別の実践例が整理されたフリーランスのAI活用で生産性を3倍にする方法|職種別の実践テクニックが参考になります。支援する相手の業務を想像できるかどうかは、資料の具体性に直結します。

案件そのものの中身も、先に把握しておいたほうが資料の狙いが定まります。業務内容が整理されたAIコンサル・業務活用支援のお仕事を読んでおくと、どんな成果物が求められるかが逆算できます。開発が絡む方向ならAIチャットボット・アプリ開発のお仕事、生成系の制作寄りなら画像生成AI(Stable Diffusion等)のお仕事も見ておくとよいでしょう。

金額の感覚も持っておきたいところです。技術寄りの成果物ならソフトウェア作成者の年収・単価相場、文書作成が中心なら著述家,記者,編集者の年収・単価相場が近い水準になります。実績ゼロの時期は安く受けがちですが、相場を知らずに受けると後から上げられません。

応募文の中で、資料に触れる位置

資料を作っても、応募文の書き方次第で読まれずに終わります。位置の話をしておきます。

添付やリンクへの言及は、応募文の後半ではなく前半に置いてください。読み手は最後まで読むとは限りません。冒頭の3行以内で「添付に想定課題への成果物サンプルを1本つけています」と書く。

そして、資料の中身を1行で要約します。「従業員80名の受託開発会社を想定した、生成AI利用規程のドラフトです」。これがあると、開くかどうかの判断がその場でできます。要約なしにリンクだけ置かれた場合、多くの担当者は開きません。

自己紹介は短くします。経歴を長く書くほど、実績のなさが目立つ構造になっているからです。それより、作ったものの説明に文字数を使う。応募文全体で400字から600字、そのうち半分を資料の説明に充てるくらいの配分が現実的です。

そして最後に、次の一歩を書きます。「ご覧いただいたうえで、貴社の状況に合わせた形での修正案もお出しできます」。この一文があると、返信のきっかけが生まれます。返信しやすい終わり方をしているかどうかは、応募の通過率にはっきり出ます。

資料をどこに置いておくか

作った資料の置き場所も、地味ですが差が出るところです。

おすすめは、公開の場所と非公開の場所を分けることです。規程やチェックリストのような「見せても困らないもの」は公開し、URLを1つ持っておく。応募のたびに添付する手間がなくなりますし、URLを貼れる応募フォームでは有利になります。

公開する場所は、無料のブログでも文書公開サービスでも構いません。凝ったサイトを作る必要はまったくなく、むしろ資料そのものにたどり着くまでのクリック数が少ないほうが読まれます。

一方で、案件ごとに手を入れたバージョンや、まだ粗い試作は非公開のままにしておきます。全部を見せると、完成度の低いものが基準として受け取られてしまうからです。

そして、更新日を必ず記載してください。AI関連の資料は、1年経つと前提が変わります。古い日付のまま置かれている資料は、内容が正しくても信頼されにくい。半年に一度は見直して、日付を更新する。この運用ができている人は、それだけで丁寧な仕事をする人だと伝わります。

実績ゼロの期間を、どう扱うか

もうひとつ、講座が想定している対象像を見ておきます。

本講座は、AIを業務で扱うアプリケーション開発エンジニア、インフラ・運用エンジニア、情シス担当者、セキュリティコンサルタントなど、AIを活用する現場でセキュリティ判断が求められる方を主な対象としています。 生成AIやLLMを活用したシステム開発や業務改善に関わる中では、AIを使用した攻撃、AIの悪用、AIからの情報漏洩といった新たなAI脅威への対策が求められていますが、こうしたセキュリティ面の判断に不安を感じている方に特におすすめです。 出典: gsx.co.jp

情シス担当者やインフラ運用の経験者が対象に含まれている点に注目してください。つまり、セキュリティ専業でなくても入口はあるということです。

実績ゼロと言っている人の多くは、実は隣接する経験を持っています。表計算での集計、社内マニュアルの作成、ツール導入時の説明会、問い合わせ対応。これらは全部、支援業務の構成要素です。

だから、応募文では「実績がない」と書くのではなく、「支援業務としての受注実績はありませんが、社内で〇〇を担当していました」と書く。事実は同じでも、相手が読み取れる情報量がまったく違います。

在宅ワーク市場から見えるデータ考察

フリーランスと在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から、最初の1件を取れる人と取れない人の差について書きます。

運営者として見てきた限りでは、差が出るのは資料の完成度ではありませんでした。「相手の状況を想定して作られているかどうか」です。

技術的に精緻でも、誰に向けた資料か分からないものは反応が薄い。逆に、粗くても「従業員80名の受託開発会社を想定して作りました」と書かれている資料には、担当者が自社を重ねて読みます。重ねて読めた瞬間に、依頼の可能性が生まれる。

もうひとつ、最初の1件を取ったあとの動きにも傾向があります。長く続く人は、受注した案件の成果物を、そのまま次のポートフォリオにできる形で残しています。守秘義務があるので現物は出せませんが、「どういう課題に、どういう構成の文書で答えたか」を抽象化して1枚にまとめておく。この習慣がある人は、3件目以降の受注速度がまったく違います。

そして、額面と手取りの話です。同じ10万円の契約でも、仲介手数料が引かれる経路と、依頼主と直接つながる経路では、手元に残る金額が変わります。手数料0%で直接つながる形は、発注側から見れば同じ予算でより多く頼めるということであり、受け手から見れば同じ働きで手取りが厚くなるということです。

実績ゼロの時期はどうしても受注単価が低くなります。だからこそ、同じ働きに対して手元に残る金額の差が、続けられるかどうかを左右する。ここは金額の大小の話ではなく、割に合うかどうかという質の話だと考えています。

資料は、作った瞬間から使えます。応募のたびに書き直す必要もありません。実績がないことを嘆く時間があるなら、架空の会社を1つ設定して、A4で3枚書き始めるほうが早い。それが、この分野でいちばん確実な最初の一歩です。

よくある質問

Q. 実績ゼロでAI・セキュリティ支援に応募するとき、何を添付すればよいですか?

架空の企業を想定して作成した規程やガイドラインのドラフトが最も有効です。A4で3枚から5枚あれば十分で、公開されている指針を土台に自分の言葉で再構成します。調査レポートやチェックリストも、実務でそのまま使える形なら判断材料になります。

Q. 前職で作った資料を加工して見せてもよいですか?

避けてください。内容を薄めても守秘義務違反を疑われるリスクがあり、疑われた時点で応募は不利になります。架空の設定で新規に作り、表紙にサンプルである旨を1行明記しておくのが安全です。

Q. 資料を作るのに費用はかかりますか?

無料のオンライン文書ツールと作図ツールでそろいます。PDF書き出しも標準機能で足ります。必要なのは時間で、5種類のうち3つを作るのに20時間から30時間、週末2回から3回分が目安です。

Q. 作った資料はどう渡すのが効果的ですか?

1本か2本に絞り、先頭に「何の資料か」「誰向けか」「読むと何が分かるか」を3行で書いたサマリを付けます。形式はPDFに統一し、リンクで渡す場合は閲覧権限の設定を必ず確認してください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年3月25日最終更新:2026年9月22日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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