経理の副業を土日のみ在宅で受けるには|平日の勤めと両立できる仕事の探し方

@SOHO編集部
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経理の副業を土日のみ在宅で受けるには|平日の勤めと両立できる仕事の探し方

この記事のポイント

  • ✓経理の副業を土日のみ在宅で受けたい会社員向けに
  • ✓週末に向く仕事と向かない仕事
  • ✓勤め先の規則の確かめ方

平日は会社で働きながら、経理の経験を生かして、土日だけ在宅で副業をしたい。でも、土日のみで受けられる経理の仕事は本当にあるのか、勤め先に知られたら困らないか、どこまで引き受けてよいのかが分からない。そんな疑問を持って調べている人に向けて、この記事を書きました。

結論から言うと、経理の仕事には、締め切りに余裕があり、週末にまとめて進められるものが少なくありません。一方で、資格がないと引き受けてはいけない仕事や、月末や年度末に作業が集中する仕事もあります。この記事では、週末に向く仕事の見分け方、勤め先の規則の確かめ方、法律上の線引き、募集の探し方、税金の扱いまでを、厚生労働省や国税庁などの資料をもとに順番に整理します。

土日のみ在宅でできる経理の仕事はあるか

経理の仕事は、もともと会社の中で行うものでした。それが、クラウド会計ソフトの広がりと、領収書や請求書をデータでやり取りする習慣が定着したことで、場所を問わずに進められる仕事に変わってきました。紙の伝票を会社に取りに行かなくても、データを受け取れば自宅のパソコンで作業できます。

さらに、経理の仕事の多くは「いつまでに終わればよいか」が決まっていて、「何時から何時まで席にいるか」は問われません。たとえば、1か月分の取引を帳簿に記録する作業なら、翌月の決まった日までに終わればよく、それを土曜日の午前中に進めても問題ありません。この性質が、平日に本業がある人の副業と相性がよい理由です。

デザインの仕事にたとえると、経理の仕事は、決まった型の上に情報を正しく並べていく作業に似ています。デザインでも、余白や文字の大きさのルールさえ守れば、誰が作っても読みやすい紙面になります。経理も同じで、勘定科目の分け方や記録の手順という型を身につければ、才能ではなくスキルとして再現できる仕事です。

ただし、すべての経理の仕事が週末に向いているわけではありません。取引先からの問い合わせにすぐ返す必要がある仕事や、平日の銀行の営業時間に合わせた作業が必要な仕事は、土日のみの働き方とは合いません。次の節で、向く仕事と向かない仕事を分けて見ていきます。

週末に向く仕事と、向かない仕事

土日のみで受けるなら、仕事を選ぶ段階で「週末にまとめて進められるか」を基準にすることが大切です。

週末に向く仕事

・記帳の代行:受け取った領収書や通帳のデータをもとに、会計ソフトに取引を記録する仕事です。締め切りが月単位で決まることが多く、週末にまとめて進めやすい仕事です
・経費の精算の確認:社員が提出した経費の申請と領収書を突き合わせ、誤りがないかを確かめる仕事です
・請求書の作成:取引先ごとの請求書を、決まった様式で作る仕事です。月末の締めに合わせて、前の週末に準備しておけます
・帳簿の整理と月次の資料づくり:記録された取引をもとに、1か月の数字をまとめた表を作る仕事です

週末に向かない仕事

・入金や支払いの当日対応:銀行の営業日に合わせて、その日のうちに振り込みや入金の確認が必要な仕事
・取引先や社員からの問い合わせの即時対応:平日の日中に返事が求められる仕事
・月末や決算の時期の集中作業:短い期間に作業量が急に増える仕事は、平日に本業がある人には負担が大きくなります

週末に向かない仕事でも、依頼する側と相談して、「問い合わせへの返信は翌営業日まで」「支払いの処理は金曜の夜までに準備し、実行は先方で行う」のように分担を決めれば、引き受けられる場合もあります。大切なのは、引き受ける前に、作業の締め切りと連絡の頻度を確かめておくことです。

まず勤め先の規則を確かめる

経理の副業を始める前に、最初に確かめたいのが勤め先の規則です。副業が認められているかどうか、届け出が必要かどうかは、会社によって違います。

厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、裁判の例を踏まえ、会社の考え方について次のように述べています。

裁判例を踏まえれば、原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当である。 出典: mhlw.go.jp

厚生労働省のモデル就業規則(令和7年12月版)では、副業・兼業の条文が第70条にあり、会社が副業を禁止したり制限したりできる場合として、労務の提供に支障がある場合、企業秘密が漏れる場合、会社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を壊す行為がある場合、競業によって会社の利益を害する場合の4つが挙げられています。

経理の副業で特に気をつけたいのは、4つ目の競業と、2つ目の秘密の扱いです。勤め先と同じ業界の会社や、勤め先の取引先の経理を引き受けると、会社の利益や秘密に関わるおそれが出てきます。経理は会社のお金の流れをすべて見る仕事なので、引き受ける相手は慎重に選んでください。

自分の会社の就業規則が、モデル就業規則と同じとは限りません。届け出の手続きがあるか、どんな副業なら認められるかは、勤め先の就業規則と人事の担当で確かめてください。届け出が必要な会社で黙って始めると、後で問題になることがあります。

資格がないと引き受けてはいけない仕事の線引き

経理の副業で、もう1つ必ず知っておきたいのが、法律で資格者だけに認められている仕事の線引きです。経理の経験があっても、引き受けてはいけない仕事があります。

1つ目は、税金の申告に関わる仕事です。税理士法の第52条では、税理士または税理士法人でない者は、税理士業務を行ってはならないと定めています。税理士業務とは、同法の第2条で、他人の求めに応じて、税務代理、税務書類の作成、税務相談を行うことと定められています。つまり、資格のない人が、報酬の有無にかかわらず、他人の確定申告書を作ったり、税金の計算について相談に乗ったりすることは、仕事として引き受けられません。一方で、同じ第2条には「会計帳簿の記帳の代行」という言葉も出てきます。帳簿をつける作業そのものと、税務書類の作成や税務相談とは、分けて考える必要があります。条文はe-Govの法令検索で確かめられます。

2つ目は、社会保険や労働保険の手続きに関わる仕事です。社会保険労務士法の第27条では、社会保険労務士または社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、同法で定める事務を業として行ってはならないとしています。この事務には、社会保険などの届け出の書類を作って出すことが含まれます。給与計算を引き受ける場合でも、社会保険の届け出の代行まで頼まれたら、引き受けられるかを確かめる必要があります。

どこまでが引き受けられる仕事なのかは、作業の中身で判断が変わることがあります。募集の段階で「確定申告の書類作成まで」「社会保険の手続きまで」と書かれていたら、その部分を誰が行うのかを確かめ、資格者が行う体制になっているかを確認してください。迷うときは、税理士会や社会保険労務士会の窓口に相談するのが確実です。

土日のみで受けられる募集の探し方

勤め先の規則と仕事の線引きを確かめたら、いよいよ募集を探します。経理の副業の募集は、いくつかの場所で見つけられます。

求人検索サイトで「在宅」「土日」の条件を付けて探す

雇用の形の募集を探すなら、求人検索サイトで「経理 在宅 土日」のように条件を組み合わせて検索します。求人ボックスに掲載されていた経理の募集には、次のような記載がありました。

【この仕事のやりがい】業務の慣れ、経験により、月1回程度打ち合わせ面談はあると思いますが、基本的に在宅勤務となりますので、家事、副業...【勤務地】基本的に在宅、たまに打合せ東京都千代田区神田和泉町 出典: 求人ボックス

この例のように、基本は在宅でも、月に1回程度の打ち合わせがある募集もあります。打ち合わせが平日の日中に設定される場合、本業との調整が必要になるので、応募の前に打ち合わせの曜日や時間を確かめておきましょう。

業務委託の仕事を探す

業務委託で受けるなら、仕事を依頼したい人と受けたい人をつなぐマッチングのサービスで探す方法があります。「記帳代行」「経理代行」「請求書作成」のように、作業の名前で検索すると見つけやすくなります。小さな会社や個人事業主からの依頼は、作業の範囲が限られていて、週末に進めやすいものが多い傾向です。

知り合いや前の職場からの紹介

経理の副業では、知り合いからの紹介も多い入口です。個人で事業をしている知人や、前の職場の取引先から、帳簿づけを手伝ってほしいと頼まれることがあります。ただし、前の職場の関係者からの依頼は、勤め先の競業や秘密の扱いに触れないかを、特に慎重に確かめてください。

応募の前に整えておくスキルと道具

経理の副業を在宅で受けるには、経理の知識に加えて、在宅で仕事を進めるための道具の準備が必要です。

会計ソフトの操作

依頼する側が使っている会計ソフトで作業することが多いので、代表的なクラウド会計ソフトの操作に慣れておくと、応募できる募集の幅が広がります。多くのソフトには無料で試せる期間があるので、自分の家計の記録などで一通り触っておくのがおすすめです。

表計算ソフト

ExcelやGoogleスプレッドシートで、並べ替え、絞り込み、集計、よく使う関数を扱えるようにしておきます。会計ソフトから書き出したデータを加工して、依頼する側が見やすい表にまとめる場面がよくあります。

簿記の知識

経理の実務の経験がある人でも、簿記の資格を持っていると、知識の水準を相手に伝えやすくなります。未経験の分野の仕事に応募するときは、資格が判断の材料になることがあります。

文章でのやり取り

在宅の副業では、依頼する側とのやり取りの多くがメールやチャットになります。不足している書類の依頼や、確認したい点の質問を、簡潔で失礼のない文章で送る力が欠かせません。仕事の文章の基本を体系立てて学びたい人には、ビジネス文書検定があります。

私が独立したばかりのころ、自分の帳簿づけを月末までためてしまい、領収書の山を前に週末をまるごと使ったことがありました。そのとき、取引をその都度会計ソフトに登録する習慣に変えたら、月末の作業は1時間ほどで終わるようになりました。経理の副業を受ける側になったら、依頼する人にもこうした「ためない仕組み」を提案できると、仕事が格段に進めやすくなります。

週末の時間割の作り方

土日のみで副業を続けるには、週末の時間の使い方を決めておくことが大切です。本業の疲れを抱えたまま週末に詰め込みすぎると、どちらも続かなくなります。

デザインで紙面を作るとき、情報を詰め込まずに余白をとると、かえって伝わりやすくなります。週末の時間割も同じで、作業の時間と休む時間の間に余白をとっておくと、長く続けられます。

時間割を作るときは、次のように考えるとまとまりやすくなります。

  1. 1週間に副業に使える時間の上限を決める(例:土曜の午前に3時間、日曜の午前に2時間)
  2. 毎月必ず発生する作業(記帳、請求書の作成など)を、どの週末に行うかを決める
  3. 月末の締めの前の週末には、余裕をもって時間を空けておく
  4. 少なくとも週末のどちらか半日は、副業を入れない時間として確保する

引き受ける仕事の量は、この上限から逆算して決めます。1社あたりの作業にかかる時間を最初に記録しておくと、あと何社引き受けられるかを判断できます。

時間割を立てたら、最初の2か月は実際にかかった時間を記録して、見積もりとの差を確かめます。慣れない会社の帳簿は、最初の月に想定の倍近い時間がかかることも珍しくありません。2か月分の記録がそろえば、その会社の作業が安定してどのくらいで終わるかが分かり、次の依頼を受けるかどうかの判断材料になります。

家族と暮らしている人は、副業の時間を家族にも伝えておくと、週末の予定とぶつかりにくくなります。土曜の午前は作業、午後は家族の時間、と区切りをはっきりさせておくと、どちらの時間にも集中できます。時間割は、自分のためだけでなく、周りの人と週末を気持ちよく過ごすための約束でもあります。

記帳の代行を週末に進める作業の流れ

週末に向く仕事の代表である記帳の代行を例に、1か月分の作業の流れを具体的に見ていきます。流れが分かると、1社あたりにどのくらいの時間がかかるかを見積もりやすくなります。

1. 資料を受け取る

まず、依頼する側から、その月の領収書や請求書の画像、通帳やクレジットカードの明細のデータを受け取ります。受け取る方法は、共有のフォルダにまとめて入れてもらう形が多く使われます。受け取ったら、そろっている資料の一覧を作り、足りないものがあればすぐに依頼する側に伝えます。

2. 取引を記録する

次に、会計ソフトに取引を記録します。銀行やカードの明細を自動で取り込める会計ソフトなら、取り込まれた取引に勘定科目を割り当てていく作業が中心になります。判断に迷う取引は、その場で止まらずに印を付けておき、まとめて質問します。

3. 資料と記録を突き合わせる

記録が終わったら、領収書や請求書と、会計ソフトの記録が合っているかを確かめます。金額の打ち間違いや、同じ取引の二重の記録がないかを見ます。通帳の残高と、会計ソフトの残高が一致しているかの確認も、この段階で行います。

4. 質問と報告を送る

最後に、迷った取引についての質問と、その月の作業が終わったことの報告をまとめて送ります。質問は、取引の日付、金額、相手を書いたうえで、「◯◯の費用として記録してよいでしょうか」のように、答えやすい形にします。

この流れを週末に回すなら、土曜の午前に資料の確認と記録、日曜の午前に突き合わせと報告、と分けるとちょうどよい区切りになります。

依頼する側とのやり取りで気をつけること

在宅の経理の副業は、依頼する側と顔を合わせずに進むことが多い仕事です。やり取りの質が、そのまま仕事の評価につながります。私がデザインの仕事で多くのクライアントとやり取りしてきた経験から言えるのは、「相手が次に何をすればよいか」が一目で分かる連絡ほど、仕事が速く進むということです。

たとえば、領収書が足りないときに「資料が足りません」とだけ送ると、相手はどの資料かを探すところから始めなければなりません。「9月12日のカード明細の、文具店への3,300円の支払いについて、領収書の画像をお送りいただけますか」と書けば、相手はすぐに対応できます。

土日のみで働く場合は、連絡のタイミングにも気を配ります。週末に作業して質問を送ると、相手が返事をするのは平日になります。返事を待つ間に次の作業が止まらないよう、質問は作業の早い段階でまとめて送り、返事が来るまでの間にほかの作業を進められるようにしておきます。

また、相手の平日の仕事を妨げないよう、急ぎでない連絡は週末にまとめて送り、平日の夜遅くや早朝の連絡は避けるのが無難です。「土日に作業しているので、ご返信は平日のご都合のよいときで大丈夫です」と一言添えておくと、相手も気兼ねなく返せます。

繁忙期とのつきあい方

経理の仕事には、作業が集中する時期があります。月末と月初、決算の前後、年末から年明けにかけての時期です。土日のみで働く人は、この時期の作業量をあらかじめ見込んでおく必要があります。

年末から年明けは、年末調整や確定申告の準備で、経理に関わる仕事が増える時期です。ただし、前の節で説明したとおり、税務書類の作成や税務相談は税理士の業務です。この時期に増える仕事のうち、引き受けられるのは、資料の整理や帳簿の締めの準備など、資格者の作業の前段階にあたる部分です。

繁忙期に無理なく対応するには、次のような工夫が役立ちます。

・繁忙期の前の週末に、通常の作業を前倒しで終えておく
・繁忙期に追加で引き受ける作業の量を、事前に依頼する側と決めておく
・本業の繁忙期と重なる場合は、早めに相手に伝え、締め切りの調整を相談する

経理の本業がある人の場合、本業の繁忙期と副業の繁忙期が同じ時期に重なることがよくあります。月末や年度末に両方の締めが重なると、週末だけでは時間が足りなくなります。引き受ける会社の数は、いちばん忙しい月を基準に決めておくと、無理が生じにくくなります。

本業と副業の働き方の違いを知っておく

経理の副業を、雇用の形で受けるか、業務委託の形で受けるかによって、本業との関係が変わります。

雇用の形で副業をする場合、労働時間は本業と副業で通算されるのが原則です。厚生労働省のガイドラインでは、事業主が異なる複数の事業場で、労働基準法の労働時間の決まりが適用される労働者として働く場合、それらの労働時間が通算されると説明されています。平日に本業で働き、土日に別の会社に雇われて働くと、1週間の労働時間の合計が長くなり、残業代の扱いなどに関わってきます。

一方で、同じガイドラインでは、労働基準法が適用されない場合として、フリーランス、独立、起業などが例に挙げられ、その時間は通算されないとされています。業務委託で記帳の代行などを引き受ける場合は、労働時間の通算の対象にはなりません。

ただし、通算されないからといって、いくら働いてもよいわけではありません。ガイドラインでも、過労などで業務に支障が出ないようにする観点から、就業時間を把握することなどを通じて健康に配慮することが望ましいとされています。週末を全部副業に充てて、月曜に疲れが残るようでは、本業にも副業にも影響が出ます。

業務委託で受ける場合は、令和6年11月1日に施行されたフリーランス法によって、発注する事業者に取引条件の明示や、原則60日以内の報酬の支払いなどが義務付けられています。

契約の前に確かめること

仕事が決まりそうになったら、契約の前に条件を確かめます。経理の仕事は、お金と秘密の情報を扱う仕事なので、ほかの副業以上に条件をはっきりさせておくことが大切です。

確かめておきたい点は、次のとおりです。

・仕事の範囲(記帳だけか、請求書の作成や月次の資料づくりまで含むのか)
・資格者が行う部分(税務申告や社会保険の手続きを、誰が行うのか)
・作業の締め切りと、データを受け取る日
・連絡の手段と、返信の目安(土日のみの対応でよいか)
・報酬の額、計算の仕方、支払いの期日
・使う会計ソフトのアカウントを誰が用意するのか
・知り得た情報の扱いと、契約が終わったときのデータの返却や削除

特に、データを受け取る日と作業の締め切りの関係は大切です。たとえば、月曜の締め切りなのに、資料が金曜の夜に届くようでは、土日のみの働き方では間に合わないことがあります。「資料が届いてから何日後が締め切りか」の形で決めておくと、無理が生じません。

業務委託でトラブルになったときは、厚生労働省の案内でも紹介されている「フリーランス・トラブル110番」で相談できます。

確定申告と住民税の扱い

副業で収入を得たら、税金の手続きも必要になります。経理の仕事をする人だからこそ、自分の税金の扱いは正しく押さえておきましょう。

国税庁の「確定申告が必要な方」のページでは、給与を1か所から受けていて、その全部が源泉徴収の対象となる場合、給与所得と退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える人は、確定申告が必要とされています。業務委託で受けた副業の報酬は、経費を差し引いた所得がこの計算に入ります。副業が雇用の形で、給与を2か所から受けている場合は、別の条件で判断されます。

住民税についても知っておきたいことがあります。地方税法の第321条の3の第2項では、給与所得者に給与所得以外の所得がある場合、その分の住民税を給与から差し引く方法(特別徴収)で一緒に集めることができるとしたうえで、申告書に普通徴収(自分で納める方法)を希望すると書いた場合は、その限りではないと定めています。業務委託の報酬のような給与以外の所得なら、自分で納める方法を選べる余地があるということです。

ただし、これは給与以外の所得についての話です。副業が雇用の形でアルバイトとして給与を受け取る場合は、この選び方の対象になりません。また、自治体によって手続きの扱いが違うこともあります。

所得の区分や経費の扱いは、個別の事情で変わります。経理の知識がある人ほど自分で判断しがちですが、迷う点は税務署やお住まいの市区町村の窓口で確かめてください。

経験のない作業を頼まれたときの考え方

経理の副業を続けていると、これまで経験したことのない作業を頼まれることがあります。たとえば、記帳の代行を引き受けていた相手から、「給与の計算もお願いできませんか」「売上の分析の資料も作ってほしい」と相談される場面です。

こうしたときは、すぐに引き受けるか断るかを決める前に、3つのことを確かめます。

1つ目は、法律上引き受けてよい作業かどうかです。前の節で説明したとおり、税務書類の作成や社会保険の届け出の代行は、資格者の業務です。給与の計算そのものと、社会保険の手続きの代行は分けて考え、どこまでを頼まれているのかを確かめます。

2つ目は、自分の力で正確にこなせるかどうかです。経理の仕事は、間違いが相手のお金や信用に直接響きます。経験のない作業を引き受けるなら、最初の1か月は時間に余裕をもたせてもらい、作業の結果を相手にも確かめてもらう形にします。

3つ目は、週末の時間で収まるかどうかです。作業が増えれば、それだけ週末の時間が埋まります。引き受ける前に、追加の作業にかかる時間を見積もり、時間割の上限を超えないかを確かめます。

断る場合も、「今の時間の中では正確にお引き受けするのが難しいため、今回は見送らせてください」と理由を添えて伝えれば、信頼を損なうことはありません。むしろ、できないことをできないと言える人のほうが、お金を扱う仕事では信頼されます。

始める前に確かめるチェックリスト

ここまでの内容を、経理の副業を始める前のチェックリストとしてまとめます。1つずつ確かめてから始めると、後で困ることがぐっと減ります。

・勤め先の就業規則で、副業が認められているか、届け出が必要かを確かめた
・勤め先と競合する会社や、勤め先の取引先の経理ではないことを確かめた
・引き受ける作業に、税務書類の作成や税務相談、社会保険の届け出の代行が含まれていないことを確かめた
・1週間に副業に使える時間の上限を決めた
・作業の締め切りと、資料を受け取る日の関係を確かめた
・連絡の手段と、返信の目安(土日のみの対応でよいか)を相手と決めた
・報酬の額、計算の仕方、支払いの期日を書面やメールで確かめた
・副業用のパソコンとアカウントを、本業や家族と分けた
・確定申告と住民税の手続きの流れを確かめた

チェックリストは、一度確かめて終わりではありません。引き受ける相手が増えたときや、仕事の範囲が広がったときには、もう一度見直してください。

情報の扱いと、在宅の作業環境

経理の副業では、取引先の売上、仕入れ先、従業員の給与など、外に出てはいけない情報に日常的に触れます。在宅で作業するからこそ、情報の扱いには会社にいるとき以上に気を配る必要があります。

まず、本業のパソコンと副業のパソコンを分けることです。勤め先から貸与されたパソコンで副業の作業をすると、勤め先の規則に触れるおそれがあるうえ、情報が混ざる原因にもなります。

次に、依頼する側から共有された会計ソフトのアカウントや、銀行のデータを見るための情報は、パスワードを管理する道具に保存し、紙に書き出さないようにします。家族と共用のパソコンを使う場合は、副業用のユーザーを分けておきます。

ネットワークやセキュリティの知識を深めておくと、依頼する側から信頼されやすくなります。情報の守り方に関わる仕事にどんなものがあるかは、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で確かめられます。

経理の副業から広がるキャリア

経理の副業を続けていくと、そこからさまざまな仕事に広がっていく道があります。

会計ソフトや表計算の作業を効率化するうちに、生成AIを使った仕訳の下書きや、資料の要約に関心が向く人もいます。企業がAIを業務に取り入れる手伝いをする仕事は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事にまとまっています。作業の自動化そのものに興味が出てきたら、アプリケーション開発のお仕事で、ツールを作る側の仕事の広がりを見ておくのもよいでしょう。

月次の資料を見やすい表やグラフにまとめる作業は、デザインの考え方が生きる部分でもあります。数字を伝える資料づくりに手応えを感じたら、デザイナーの年収・単価相場で、資料やWebのデザインの仕事の単価の目安を確かめてみてください。デザインは才能ではなくスキルなので、経理で身につけた正確さは、そのまま強みになります。

フリーランス・在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見ると、経理の副業を長く続けている人は、作業の正確さに加えて、「この人に預ければ月末が楽になる」という安心感を相手に与えている人です。取引先と直接やり取りする働き方なら、仲介の手数料が乗らない分、依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなります。手数料0%の直接取引は、お金を扱う仕事だからこそ大切な、顔の見える信頼関係を育てやすい形です。

よくある質問

Q. 経理の副業を土日のみ在宅で受けることはできますか?

記帳の代行、経費の精算の確認、請求書の作成、月次の資料づくりなど、締め切りが月単位で決まる仕事は、週末にまとめて進めやすい仕事です。一方で、入金や支払いの当日対応や、平日の問い合わせへの即時対応が必要な仕事は向きません。引き受ける前に、締め切りと連絡の頻度を確かめてください。

Q. 簿記の資格があれば他人の確定申告書を作ってもよいですか?

税理士法では、税理士または税理士法人でない者が、他人の求めに応じて税務書類の作成や税務相談を行うことは認められていません。簿記の資格や経理の経験があっても同じです。帳簿の記帳の代行と、税務書類の作成や税務相談は分けて考え、申告に関わる部分は資格者が行う体制かを確かめてください。

Q. 会社員が経理の副業をするとき、勤め先の許可は必要ですか?

会社によって違います。厚生労働省のモデル就業規則では副業・兼業の条文が第70条にあり、届け出の手続きや、禁止・制限できる場合が示されていますが、実際の決まりは勤め先の就業規則で確かめる必要があります。同じ業界の会社や取引先の経理を引き受ける場合は、競業や秘密の扱いにも注意してください。

Q. 経理の副業の収入はいくらから確定申告が必要ですか?

国税庁の案内では、給与を1か所から受けていてその全部が源泉徴収の対象となる人は、給与と退職所得以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要です。所得は収入から経費を差し引いた額です。20万円以下でも住民税の申告は別に必要になります。個別の扱いは税務署や市区町村の窓口で確かめてください。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年2月2日最終更新:2026年10月14日
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