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段取り力を身につけるには|仕事の前に決めておくことと練習の仕方

@SOHO編集部
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段取り力を身につけるには|仕事の前に決めておくことと練習の仕方

この記事のポイント

  • ✓見通す・分ける・見積もる・準備する・調整するの5つの力に分けて整理しました
  • ✓仕事の前に決めておく6つのこと
  • ✓毎日の仕事でできる練習の仕方

同じ量の仕事を任されても、余裕を持って終える人と、締め切りの前日まで追われる人がいます。この差を生んでいるのが、段取り力です。段取り力とは、仕事を始める前に、ゴールまでの道筋を見通し、必要な準備を整え、作業の順番を決める力のことです。

段取り力は、生まれつきの性格で決まるものではありません。いくつかの小さな力の組み合わせで、それぞれを意識して練習すれば、少しずつ伸ばせます。逆に言えば、段取りが苦手だと感じている人は、どの力が足りていないのかが分からないまま、「段取りが下手」とひとまとめにして悩んでいることが多いのです。

この記事では、段取り力を5つの力に分けて整理し、仕事を始める前に決めておくこと、毎日の仕事でできる練習の仕方、仕事以外の場面での練習、段取り力が伸びない原因までを順に説明します。チームで仕事を進める人に向けて、段取りを全員で共有する方法も扱い、担当と期限を見える形にできるPinatecaのような道具にも触れます。

段取り力とは何か

段取り力について、ビジネススクールのグロービス経営大学院の記事は、次のように書き出しています。

「タスクが多すぎて、何から手をつければいいかわからない」と感じることはありませんか?そんなときに鍵となるのが「段取り力」です。タイムマネジメントに苦手意識がある人でも、段取りの工夫次第で仕事の流れは大きく変わります。 出典: mba.globis.ac.jp

同じ記事では、段取り力の高い人に共通する習慣として、全体像を正確に捉えること、ボトルネック(流れを詰まらせている部分)から先に解消すること、仕事の流れを動画のように物語として想像すること、の3つを挙げています。

ここで大事なのは、段取り力は「速く作業する力」ではないという点です。作業の速さは、慣れや技術で決まります。段取り力は、作業を始める前と、作業の合間に発揮される力です。作業そのものが速くなくても、段取りがよければ、手戻りや待ち時間が減り、結果として仕事は早く、確実に終わります。

段取り力を5つの力に分けて考える

段取り力は、次の5つの力に分けて考えると、何を練習すればよいかが見えてきます。

力 内容 足りないときに起こること
見通す力 ゴールまでの全体の流れを思い描く 途中で「あれも必要だった」と気づく
分ける力 大きな仕事を、手をつけられる大きさの作業に分ける 何から始めればよいか分からず、手が止まる
見積もる力 それぞれの作業にかかる時間を予想する 予定を詰め込みすぎて、毎日やり残す
準備する力 作業に必要なもの、人、情報を先にそろえる 作業の途中で、資料や返事を待って止まる
調整する力 予定外のことが起きたときに、順番や期限を組み直す 1つの遅れで、その後の予定が全部崩れる

5つの力は、仕事の流れの中で順番に使われます。仕事を受けたときに見通し、分け、見積もり、作業の前に準備し、作業の途中で調整する、という流れです。そのため、前の力が弱いと、後の力にも影響が出ます。見通しが甘いまま作業を分けると、必要な作業が抜け落ち、見積もりも外れます。

自分の段取りでつまずくのはどの場面かを振り返ると、どの力が足りていないかが分かります。たとえば、毎日やり残しが出るなら見積もる力、途中で待たされることが多いなら準備する力が足りていない可能性があります。全部を一度に伸ばそうとせず、いちばんつまずいている力から練習するのが近道です。

見通す力

見通す力とは、仕事を始める前に、ゴールまでの流れを頭の中で一通りたどる力です。グロービスの記事が挙げている「動画のようにストーリーで想像する」は、まさにこの力のことです。会議の資料を作るなら、資料を配る場面、出席者が読んで質問する場面まで思い描くと、必要な数字や想定される質問への答えまで準備できます。

分ける力

分ける力とは、「企画書を作る」のような大きな仕事を、「前回の資料を読み返す」「必要な数字を集める」のように、すぐに手をつけられる大きさに分ける力です。1つの作業が1時間から2時間で終わる大きさが目安です。

見積もる力

見積もる力とは、それぞれの作業にかかる時間を予想する力です。多くの人は、作業時間を短めに見積もる傾向があります。見積もる力は、実際にかかった時間を記録し、見積もりと比べることでしか伸びません。

準備する力

準備する力とは、作業に必要な資料、道具、人の協力を、作業を始める前にそろえる力です。特に、誰かの返事や確認が必要な作業は、早めに依頼しておくことが大事です。準備には、物をそろえることだけでなく、作業に集中できる環境を整えることも含まれます。通知を止める、必要なファイルを開いておく、作業の途中で調べものが必要になりそうな部分を先に調べておく、といった小さな準備の積み重ねが、作業の途中で手が止まる回数を減らします。グロービスの記事が挙げる「ボトルネックから先に潰す」は、この力と深く関わっています。

調整する力

調整する力とは、予定外のことが起きたときに、作業の順番や期限を組み直す力です。急な依頼、見積もりより長くかかった作業、体調不良など、予定どおりに進まないことは必ずあります。そのときに、何を後に回し、誰に何を伝えるかを素早く決める力です。

仕事の前に決めておく6つのこと

段取り力の土台は、仕事を始める前に決めておくことにあります。新しい仕事を受けたら、作業に入る前に、次の6つを決めます。

1. ゴール

その仕事が終わったとき、何がどうなっていればよいかを決めます。「報告書を作る」ではなく、「部長が会議で判断に使える報告書を、A4で2枚にまとめ、木曜の正午までにメールで送る」のように、誰が、何に使うのかまで書きます。

2. 完了の条件

ゴールに加えて、何をもって「終わった」とするかを決めます。報告書なら、「上司の確認を受けて修正を終えた時点」なのか、「送った時点」なのかで、作業の量が変わります。完了の条件があいまいだと、仕事がいつまでも終わらなくなります。

3. 期限と、途中の確認日

最終の締め切りだけでなく、途中で誰かに見せる日を決めます。全部作り終えてから見せると、方向が違っていた場合に、すべて作り直すことになります。全体の2割から3割ほど進んだところで一度見せると、手戻りを小さくできます。

4. 関係する人

その仕事に関わる人を書き出します。依頼した人、情報をもらう人、確認する人、成果物を使う人です。関係する人が分かれば、誰にいつ何を頼むか、誰に途中経過を伝えるかが決まります。

5. 必要なもの

資料、データ、道具、アカウントなど、作業に必要なものを書き出します。手元にないものは、いつまでに、誰からもらうかを決めます。

6. 起こりそうな問題

最後に、途中で起こりそうな問題を考えます。「必要なデータがそろわないかもしれない」「確認する人が出張でいないかもしれない」といった問題を先に考えておけば、早めに手を打てます。すべての問題を予想することはできませんが、1つか2つ考えておくだけでも、慌てる場面は減ります。

この6つは、紙1枚に書き出しておくと、作業の途中で迷ったときに見返せます。慣れないうちは、新しい仕事を受けるたびに、この6つを書き出す習慣をつけます。

毎日の仕事でできる練習の仕方

段取り力は、特別な訓練をしなくても、毎日の仕事の中で練習できます。次の5つの練習を、できるものから始めます。

練習1. 朝の10分で、その日の作業を書き出して並べる

毎朝、仕事を始める前の10分で、その日にやる作業を書き出し、順番を決めます。書き出した作業ごとに、かかる時間の見積もりも書きます。これは、分ける力と見積もる力の練習になります。

練習2. 見積もりと実際の時間を記録する

朝に書いた見積もりの横に、実際にかかった時間を書き込みます。1週間続けると、自分がどんな作業の見積もりを外しやすいかが見えてきます。たとえば、「メールの返信は見積もりの2倍かかる」「資料作りは見積もりどおり」といった癖が分かれば、次の見積もりに生かせます。見積もる力を伸ばす、最も確実な練習です。

練習3. 作業の前に、終わった場面を思い描く

作業を始める前に、作業が終わった場面を1分ほど思い描きます。誰に渡すのか、相手は何を確かめるのか、そのとき何を聞かれそうか。思い描いた場面から逆にたどると、作業で必要なことが見えてきます。見通す力の練習です。

練習4. 頼む作業を、その日の最初にする

誰かに依頼する、確認をお願いする、資料をもらう、といった作業は、その日のうちでできるだけ早い時間にします。相手の返事を待つ時間を、自分の別の作業の時間に重ねられるからです。準備する力の練習になります。

練習5. 1日の終わりに、明日の最初の作業を決める

1日の仕事の終わりに、翌日の最初にやる作業を1つ決めて書いておきます。翌朝、何から始めるかで迷う時間がなくなります。作業の途中で終わる場合は、次に何をするかを1行で書いておきます。

1か月で段取り力を身につける練習の計画

段取り力の練習は、一度にすべてを始めると続きません。1週ごとに1つの力に絞って練習すると、無理なく身につけられます。次は、1か月の練習の計画の例です。

週 練習する力 やること
1週目 分ける力と見積もる力 毎朝、その日の作業を書き出し、それぞれに見積もりの時間を書く。夕方に実際の時間を書き込む
2週目 見通す力 新しい仕事を受けたら、作業の前に「仕事の前に決めておく6つのこと」を紙に書き出す
3週目 準備する力 人に頼む作業、確認が必要な作業を、毎日その日の最初にする
4週目 調整する力 予定が崩れた日に、何を後に回し、誰に何を伝えたかを記録する。週末に1か月の記録を振り返る

1週目の見積もりの記録は、2週目以降も続けます。4週間分の記録がたまると、自分の見積もりの癖がはっきり見えてきます。

4週目の振り返りでは、1か月前と比べて、やり残しの数が減ったか、慌てる場面が減ったかを確かめます。変化が小さくても構いません。段取り力は、数か月から年単位で少しずつ伸びていく力です。1か月の練習で身についた習慣を、翌月も続けることが大事です。

仕事以外の場面で段取り力を練習する

段取り力は、仕事以外の場面でも練習できます。日常の中には、段取りを練習する機会がたくさんあります。

料理

料理は、段取り力の練習にとても向いています。複数の料理を同時に作るとき、煮込みに時間がかかるものを先に火にかけ、その間に野菜を切り、最後に炒め物を仕上げて、全部の料理を同じ時間にそろえる。これは、作業を分け、時間を見積もり、待ち時間に別の作業を重ねる、という段取りそのものです。

旅行の計画

旅行の計画も、段取りの練習になります。行きたい場所を書き出し、移動の時間を見積もり、予約が必要なものを早めに手配し、雨の日の予定も考えておく。旅行の計画で使う力は、仕事の段取りで使う力と同じです。

家の片づけや引っ越し

家の片づけや引っ越しは、作業の量が多く、順番を間違えると二度手間になる作業です。どの部屋から始めるか、捨てるものをいつ出すか、業者にいつ連絡するかを決める練習になります。

家族の予定の調整

家族の予定を調整することも、段取りの練習になります。子どもの学校の行事、通院、親の介護、家の用事など、複数の人の予定を重ね合わせ、誰が何を担当するかを決める作業は、チームで仕事の担当を決める作業とよく似ています。家族で1つの予定表を共有し、週の初めに1週間の予定を確かめる習慣をつけると、仕事でもチームの予定を見通す感覚が身につきます。

資格の勉強

資格の勉強は、試験日という締め切りから逆算して計画を立てる練習になります。出題範囲を分け、それぞれにかかる時間を見積もり、週ごとの目標を決め、遅れたら計画を組み直す。仕事の段取りと同じ手順を、自分の学びで試せます。

仕事以外の場面での練習は、失敗しても大きな影響が出にくいのが利点です。思いどおりにいかなかったときに、どこで段取りがずれたのかを振り返ると、仕事の段取りにも生かせる気づきが得られます。

職種別に見る段取り力の使い方

段取り力の基本は同じでも、職種によって、特に求められる場面は違います。

事務の仕事

事務の仕事では、決まった期限のある作業(月末の締め、請求書の発行、給与の計算など)と、日々の問い合わせや依頼への対応が混ざります。期限のある作業は、月の初めに予定に入れておき、そこから逆算して準備の作業を割り振ります。日々の対応は、まとめて処理する時間を決めておくと、期限のある作業が途切れにくくなります。

営業の仕事

営業の仕事では、顧客との約束が段取りの中心になります。訪問や打ち合わせの前に、相手が知りたいこと、持っていく資料、次の約束をいつにするかまで決めておくと、1回の打ち合わせで話が先に進みます。提案書の作成のように社内の確認が必要な作業は、確認する人の予定を先に押さえておきます。

制作の仕事

文章、デザイン、プログラムなどの制作の仕事では、依頼の内容を最初にどれだけ正確に確かめるかで、段取りの大半が決まります。作り始める前に、完成の形、使う場面、修正の回数の目安を確かめ、全体の2割から3割ほど進んだところで一度見せると、大きな手戻りを防げます。

現場の仕事

工事、イベント、店舗の運営などの現場の仕事では、人、物、場所の手配が段取りの中心です。前日までに手配が済んでいるかを確かめる一覧を作り、当日は予定外のことに対応する時間を残しておきます。天候や交通など、自分では変えられないことへの備えも欠かせません。

段取り力が高い人の習慣

段取り力が高い人には、いくつかの共通する習慣があります。どれも、特別な才能ではなく、意識すれば身につけられるものです。

メモを取る

段取り力が高い人の多くは、こまめにメモを取ります。思いついたこと、頼まれたこと、気になったことを、その場で書き留めます。三菱電機のビジネスコラムでも、メモを取ることの効用として、うっかり忘れやミスを防ぐだけでなく、自分の考えの整理や、仕事を中断した後の再開にも役立つことが挙げられています。

やらない仕事を決める

段取り力が高い人は、やることだけでなく、やらないことも決めています。段取りについて解説した記事でも、次のように書かれています。

常に手が動いている状態を「仕事をしている」と感じてしまうのも、段取りがうまくいかない人の特徴です。しかし、成果につながらない作業をいくら積み重ねても、評価や結果には結びつきません。段取り力が高い人ほど、「やらない仕事」を見極める力を持っているのです。 出典: lean-operation.com

忙しいときほど、すべての作業を同じように丁寧にこなそうとしがちです。けれど、仕事の中には、やめても困る人がいない作業や、もっと簡単な形で済む作業があります。そうした作業を見つけて減らすことも、段取り力の一部です。

早めに相談する

段取り力が高い人は、困ったことがあると、早めに相談します。締め切りに間に合わないかもしれないと分かった時点で、関係する人に伝えます。締め切りの直前に伝えるより、早めに伝えたほうが、相手も対応を考えられます。

振り返る

段取り力が高い人は、仕事が終わった後に振り返ります。予定どおりに進んだか、どこでずれたか、次にどうするか。振り返りを続けることで、段取りの精度が上がっていきます。

上司や依頼主と段取りをすり合わせる

自分の段取りがどれだけよくても、仕事を頼んだ人の考えとずれていては意味がありません。上司や依頼主と段取りをすり合わせることも、段取り力の一部です。

受けたときに、自分の段取りを伝える

仕事を受けたら、自分がどう進めるつもりかを、短く伝えます。

例文:ご依頼の資料は、月曜に構成をお見せし、水曜に下書き、金曜の午前に完成版をお送りする予定で進めます。構成の段階で方向が合っているかご確認いただけると助かります。

こう伝えておけば、相手は途中で確認する時期が分かり、方向が違っていた場合も早めに修正できます。

進み具合を自分から伝える

相手から聞かれる前に、進み具合を伝えます。予定どおりなら「予定どおり進んでいます」の一言で十分です。遅れそうな場合は、遅れが分かった時点で、いつなら出せるか、先に出せる部分はあるかを添えて伝えます。

優先順位を相談する

複数の仕事を同時に頼まれて、全部を期限までに終えるのが難しい場合は、自分だけで順番を決めず、頼んだ人に優先順位を相談します。「AとBのどちらを先に進めればよいでしょうか」と聞くだけで、判断を誤るおそれが減ります。

段取り力が伸びない原因

段取りを意識しているのに、なかなか段取り力が伸びないと感じる人もいます。その場合は、次の原因が考えられます。

計画を立てるだけで、振り返っていない

計画を立てても、実際どうだったかを振り返らなければ、見積もる力も見通す力も伸びません。計画と結果を比べる時間を、週に1回は持ちます。

完璧な計画を立てようとしている

最初から完璧な計画を立てようとすると、計画に時間がかかりすぎ、作業に入るのが遅れます。計画は、7割ほどの精度で立て、作業しながら直していくものです。予定外のことは必ず起こるので、計画を直すことを失敗と考える必要はありません。

道具に頼りすぎている

新しい手帳やアプリを使えば段取りがよくなる、と考える人もいます。道具は段取りを助けますが、段取りの考え方そのものを身につけていなければ、道具を変えても同じところでつまずきます。道具を探す前に、この記事で説明した6つのことと5つの練習を試してみます。

引き受けすぎている

段取り力がどれだけ高くても、時間に対して仕事の量が多すぎれば、予定どおりには進みません。新しい仕事を引き受ける前に、今の予定に入るかどうかを確かめ、入らない場合は期限を相談するか、断ることも必要です。

段取りの工夫を続けても、締め切りを守れない、仕事を忘れてしまうといった困りごとが長く続き、生活にも支障が出ている場合は、1人で抱え込まず、医療機関に相談するという選択肢もあります。

自分の段取り力を点検する一覧

自分の段取り力がどのくらい身についているかを、次の一覧で点検してみます。当てはまらない項目が、これから練習する場所です。

  • 新しい仕事を受けたとき、ゴールと完了の条件を確かめている
  • 最終の締め切りだけでなく、途中で見せる日を決めている
  • 大きな仕事を、1時間から2時間で終わる作業に分けている
  • 作業ごとに、かかる時間を見積もっている
  • 見積もりと実際の時間を比べたことがある
  • 人に頼む作業を、早めに頼んでいる
  • 予定に、予定外のことのための余白を残している
  • 遅れそうなとき、遅れが分かった時点で関係する人に伝えている
  • 週に1回、予定どおり進んだかを振り返っている
  • やらない仕事、減らす仕事を考えたことがある

全部に当てはまる人は多くありません。当てはまらない項目を1つ選び、次の1週間はその項目だけを意識して仕事をしてみます。1つずつ当てはまる項目を増やしていくことが、段取り力を身につける確実な方法です。

段取り力が高まると何が変わるか

段取り力を身につけると、仕事の進め方だけでなく、働き方そのものが変わっていきます。

手戻りが減る

ゴールと完了の条件を最初に確かめ、途中で一度見せる習慣がつくと、作り直しが大きく減ります。作り直しにかかっていた時間が、ほかの仕事や、学びの時間に回せるようになります。

慌てる場面が減る

締め切りの重なりや、必要な資料が足りないことに早く気づけるようになるため、前日に慌てる場面が減ります。慌てずに作業できると、ミスも減ります。

信頼が増える

予定を伝え、進み具合を自分から伝え、遅れそうなときは早めに相談する。こうした段取りのよさは、上司や依頼主からの信頼につながります。信頼されると、大事な仕事を任されるようになり、仕事の幅が広がります。

自分の時間が見えるようになる

見積もりと実際の時間を記録し続けると、自分が1日にどのくらいの仕事をこなせるかが分かるようになります。引き受けられる仕事の量が分かれば、無理な引き受け方をせずに済みます。

在宅で働く人の段取り力

在宅で働く人にとって、段取り力は会社勤めの人以上に大切になります。在宅では、周りに予定を声かけしてくれる人がいません。仕事と生活の区切りもつけにくく、自分で段取りを組まなければ、仕事がだらだらと長引いたり、逆に手が止まったりしがちです。

在宅で働く人は、次の点を段取りに組み込みます。

  • 仕事を始める時間と終える時間を決め、その中で段取りを組む
  • 家事や家族の予定も、仕事の予定と同じ場所に書く
  • 複数の依頼主から仕事を受けている場合は、締め切りを1か所にまとめて書く
  • 依頼主への途中経過の報告を、あらかじめ予定に入れておく

特に最後の点は、在宅で働く人の信頼に直結します。在宅では、依頼主から仕事の進み具合が見えません。進み具合を自分から伝えることで、依頼主は安心して仕事を任せられます。

段取りを記録して、次の仕事に生かす

同じような仕事をくり返す場合は、一度組んだ段取りを記録しておくと、次の仕事で一から考えずに済みます。

段取りのひな形を作る

たとえば、毎月の報告書の作成、イベントの準備、新しい取引先との契約の手続きのように、くり返す仕事は、作業の一覧と順番、それぞれにかかった時間、関係する人、途中で困ったことを記録しておきます。次に同じ仕事をするときは、その記録をひな形として使い、日付だけを入れ替えます。

困ったことを次の段取りに書き足す

ひな形には、前回困ったことと、その対策も残しておきます。「前回は承認に3日かかった。次回は承認の依頼を2日早める」のように書いておくと、同じつまずきをくり返しません。

ひな形を人と共有する

ひな形は、自分だけでなく、同じ仕事をする人と共有すると、チーム全体の段取りがそろいます。担当が替わったときの引き継ぎにも使えます。共有するときは、作業の一覧に加えて、なぜその順番にしているのかという理由も書いておくと、受け取った人が状況に合わせて直しやすくなります。

チームで段取りを共有する

1人の段取り力が上がってきたら、次はチームで段取りを共有することを考えます。チームの仕事では、自分の作業が他の人の作業とつながっているため、1人の段取りがよくても、チーム全体の段取りが悪ければ、仕事は遅れます。

全員が同じ予定を見る

チームで仕事を進めるときは、誰が、どの作業を、いつまでにやるかを、全員が同じものを見て確かめられるようにします。口頭やメールで伝えただけでは、人によって覚えている内容がずれていきます。

待ちの作業を見える形にする

チームの仕事が遅れる原因の多くは、誰かの作業が終わるのを、別の誰かが待っていることにあります。誰が何を待っているかが見えていれば、待たせている人が自分の作業を先に進めることができます。

道具を使う

人数が少なく作業が多くないうちは、表計算ソフトの一覧で十分に回ります。一方で、作業の数が増え、複数の人が同時に更新するようになると、表では誰がどこを直したかが追いにくくなり、遅れにも気づきにくくなります。

こうした場面で選択肢になるのが、プロジェクト管理の道具のPinatecaです。公式サイトによると、作業を1枚ずつのカードにして、列に並べて進み具合を動かすカンバンや、作業の期間を横棒で並べて締め切りの重なりを見るガントチャートなど、8種類のボードを使えます。人やチームごとに仕事の量の偏りを見るリソースボードもあり、誰に作業が集中しているかを確かめながら割り振れます。カードには担当者と期限を設定でき、5人までのチームなら無料で使えると案内されています。

Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。

道具は、段取りを全員で見える形にするためのものです。何をどの順番でやるかを決めるのは、この記事で説明した段取りの考え方そのものです。

在宅の仕事から見た、段取り力の価値

在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた編集部の立場から見ると、在宅の仕事を長く続けている人に共通しているのは、技術の高さ以上に、段取りのよさです。依頼を受けた時点でゴールと期限を確かめ、途中経過を早めに見せ、遅れそうなときは前もって伝える。この積み重ねが、依頼主からの信頼になり、次の依頼につながっていきます。

段取り力は、業務の進め方そのものを整える仕事にも生かせます。ほかの会社の業務の見直しや、AIを使った作業の効率化を支援する仕事については、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で詳しく紹介しています。企業の業務の改善を経営の視点から支える専門家の資格としては、中小企業診断士があります。開発の仕事では、作業の分け方と見積もりが特に重視されます。開発の仕事の進め方は、アプリケーション開発のお仕事で確かめられます。

段取り力は、見通す、分ける、見積もる、準備する、調整するの5つの力の組み合わせです。まずは明日の朝の10分で、その日の作業を書き出して見積もりを書き、夕方に実際の時間と比べるところから始めてみてください。

よくある質問

Q. 段取り力は生まれつきのものですか?

生まれつきの性格で決まるものではありません。段取り力は、ゴールまでの流れを見通す力、仕事を分ける力、時間を見積もる力、必要なものを先にそろえる力、予定外のことに合わせて組み直す力の組み合わせです。どれも、毎日の仕事の中で意識して練習すれば伸ばせます。自分がどの場面でつまずくかを振り返り、足りない力から練習するのが近道です。

Q. 段取り力を鍛えるのに、最初に何から始めればよいですか?

最も効果が分かりやすいのは、作業ごとに見積もった時間と、実際にかかった時間を記録して比べることです。1週間ほど続けると、自分がどんな作業の時間を短く見積もりがちかが分かります。あわせて、朝の10分でその日の作業を書き出して順番を決め、1日の終わりに翌日の最初の作業を決めておく習慣をつけると、段取りの土台ができます。

Q. 段取りを組んでも、予定どおりに進まないのはなぜですか?

多いのは、作業時間を短く見積もっている、予定を余白なく埋めている、急な依頼や割り込みの時間を見込んでいない、の3つです。計画は7割ほどの精度で立て、予定外のことが起きたら組み直すものと考えます。予定の2割から3割を余白として残し、実際にかかった時間の記録をもとに見積もりを直していくと、予定とのずれが小さくなります。

Q. チームの段取りをよくするにはどうすればよいですか?

誰が、どの作業を、いつまでにやるかを、全員が同じものを見て確かめられるようにすることが出発点です。特に、誰かの作業を別の誰かが待っている状態を見える形にすると、遅れの原因を早く見つけられます。人数が少なければ表計算ソフトの一覧で十分ですが、作業や人数が増えて表での管理が苦しくなったら、プロジェクト管理の道具を検討します。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年2月12日最終更新:2026年10月20日
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