VOCアンケートで顧客の声を集める方法と、届いた意見を対応に回す流れ


この記事のポイント
- ✓VOCアンケートで顧客の声を集める方法を
- ✓配るタイミングから解説します
- ✓問い合わせやレビューと合わせて声を集め
VOCアンケートを始めたものの、集まった意見を読んで「参考になった」で終わっている。あるいは、どんな設問で何を聞けばよいのかが分からず、まだ始められていない。顧客の声を集める取り組みでいちばん多いつまずきは、集めることと、届いた声を対応や改善に回すことが、別々の仕事として切り離されていることです。
この記事では、VOCアンケートの目的の決め方と設問の作り方、配るタイミングを説明したうえで、届いた意見を分類し、担当を決め、返信と改善に回すまでの流れを整理します。アンケートの回答を1件ずつ担当と状況つきで管理し、同じ画面から返信できるHalictにも触れます。
VOCとは何か、アンケートはその入口の1つ
VOCとは「Voice of Customer」の略で、顧客の声のことです。商品やサービスについて顧客が感じている満足、不満、要望、疑問をまとめて指します。市場調査の会社は、VOCを次のように説明しています。
顧客の声は、VOCと呼ばれ、商品やサービスの改善、顧客満足度の向上、そして企業の収益増加につながる貴重な情報源となります。 出典: asmarq.co.jp
顧客の声が届く経路は、アンケートだけではありません。問い合わせのメールや電話、口コミサイトのレビュー、SNSの投稿、営業や窓口の担当者が聞いた雑談の中の一言も、すべて顧客の声です。
| 経路 | 声の特徴 | 集め方 |
|---|---|---|
| アンケート | こちらが聞きたいことを、多くの人から同じ形で集められる | フォームや紙で配る |
| 問い合わせ | 困ったその場の、具体的な言葉が届く | 問い合わせ窓口の記録 |
| レビュー・口コミ | 第三者に向けた率直な評価 | 口コミサイトや販売サイトを定期的に読む |
| SNS | 自発的な声。良くも悪くも極端になりやすい | 商品名やサービス名で検索する |
| 担当者の聞き取り | 書くほどではない小さな不満 | 担当者が記録する決まりを作る |
アンケートだけでは拾えない声がある
アンケートは、聞きたいことを多くの人から同じ形で集められる点で、VOCを集める方法の中心になります。ただし、アンケートだけでは足りないという指摘もあります。顧客対応の仕組みを提供する会社は、次のように書いています。
十分とは言い切れません。アンケートで拾えるのは「答える人の声」に限られるためです。問い合わせ履歴やFAQの検索ログなど、顧客が実際に困って入力した言葉もあわせて見ることで、アンケートには出にくいニーズや不満を見つけやすくなります。 出典: helpfeel.com
アンケートに答えてくれるのは、ある程度の関心を持っている人です。何も言わずに離れていく人の声は、アンケートには出てきません。VOCアンケートは、問い合わせやレビューと合わせて見ることで、はじめて全体像に近づきます。
VOCアンケートの目的を先に決める
VOCアンケートを作る前に、何のために声を集めるのかを1文で書きます。目的によって、聞く相手も設問も配るタイミングも変わるからです。
| 目的 | 聞く相手 | 中心になる設問 |
|---|---|---|
| 不満の原因を見つける | 利用中の顧客全体 | 困ったこと、改善してほしい点 |
| 解約の理由を知る | 解約した顧客、利用が減った顧客 | やめた理由、他に選んだもの |
| 新しい商品の手がかりを得る | 長く使っている顧客 | 今の商品で足りないこと |
| 申し込みの決め手を知る | 申し込んだばかりの顧客 | 比べたもの、決めた理由 |
1回のアンケートで扱う目的は、多くても2つまでにします。目的を欲張ると設問が増え、回答の負担が大きくなって、最後まで答える人が減ります。
結果を誰が、何に使うかを決める
目的と一緒に、結果を誰が見て、何を決めるのかも決めておきます。営業の担当が見るのか、商品を作る担当が見るのか、窓口の担当が見るのかで、必要な設問は変わります。結果を使う人が決まっていないアンケートは、集計されないまま終わることが多くなります。
VOCアンケートの設問の作り方
VOCアンケートの設問は、点数で答える設問と、言葉で答える設問を組み合わせます。点数だけでは理由が分からず、言葉だけでは全体の傾向がつかめないからです。
基本の設問の組み立て
| 順番 | 設問の種類 | 例 |
|---|---|---|
| 1 | 全体の評価 | 当社のサービス全体について、どのくらい満足していますか(5段階) |
| 2 | 推奨意向 | 友人や同僚にどのくらい薦めたいですか(0から10) |
| 3 | 良かった点 | 特に良かった点を選んでください(複数選択) |
| 4 | 困った点 | 使っていて困ったことを選んでください(複数選択と「特になし」) |
| 5 | 具体的な声 | 困ったことや改善してほしいことを、具体的にお書きください(自由記述) |
| 6 | 返信の希望 | 今回のご意見について、担当者からの連絡を希望しますか |
| 7 | 属性 | 利用期間、利用しているプランなど |
推奨意向は、NPS(ネット・プロモーター・スコア)という指標の聞き方です。0から10の11段階で聞き、9か10を付けた人の割合から0から6を付けた人の割合を引いて計算します。計算の仕方は、考案したベイン・アンド・カンパニーのNPSの解説ページに書かれています。
自由記述は「具体的な場面」を聞く
VOCアンケートの中心は、自由記述で集まる具体的な声です。「ご意見をお書きください」とだけ聞くと、「特になし」や「いつもありがとうございます」のような答えが多くなります。具体的な声を集めるには、場面を指定して聞きます。
- 「最近、使っていて手間がかかったと感じた場面があれば教えてください」
- 「申し込みを決める前に、迷ったことや不安だったことを教えてください」
- 「他の会社のサービスと比べて、物足りないと感じた点を教えてください」
場面を指定すると、答える人は具体的な出来事を思い出しやすくなります。
返信の希望を聞く設問を入れる
VOCアンケートで見落とされがちなのが、「担当者からの連絡を希望しますか」という設問です。自由記述に不満や要望を書いた人の中には、返事を期待している人がいます。返信を希望する人には連絡先を書いてもらい、希望しない人には書いてもらわない形にすると、匿名のまま本音を書きたい人の声も拾えます。
VOCアンケートを配るタイミング
顧客の声は、体験の直後ほど具体的になります。VOCアンケートは、決まった時期にまとめて送るより、顧客が何かを体験した直後に送るほうが、具体的な声が集まりやすくなります。
| タイミング | 集まりやすい声 |
|---|---|
| 申し込みの直後 | 申し込みまでに迷ったこと、決め手 |
| 利用を始めて2週間から1か月後 | 使い始めで困ったこと、説明の分かりにくさ |
| 問い合わせの対応が終わった後 | 対応の速さや分かりやすさへの評価 |
| 契約の更新の前 | 続けるか迷っている理由 |
| 解約の手続きのとき | やめた理由、他に選んだもの |
解約のときの声は特に大切
解約のときのアンケートは、離れていく人の声を拾える数少ない機会です。解約の手続きの画面に、やめた理由を選ぶ設問を1つと、自由記述を1つだけ入れます。答えなくても解約できる形にしておけば、手続きの邪魔にはなりません。
やめた理由の選択肢は、次のような例から、自分たちのサービスに合うものを5つから7つ選びます。
| 選択肢の例 | 理由が多いときに見直すこと |
|---|---|
| 料金が高いと感じた | 料金の説明、安いプランの有無 |
| 使い方が難しかった | 初回の案内、説明の資料 |
| 必要な機能が無かった | 機能の追加の検討、説明の不足 |
| 他のサービスに移った | 比べられた相手との違い |
| 使う機会が減った | 利用を続けてもらう工夫 |
| 対応に不満があった | 問い合わせへの対応 |
「他のサービスに移った」を選んだ人には、差し支えなければどのサービスに移ったかを任意で聞きます。比べられた相手が分かれば、どこで差がついたのかを考える手がかりになります。
解約のときのアンケートで集まった理由は、引き留めのための材料ではなく、次の顧客が同じ理由でやめないための材料として使います。解約の手続きの画面で強く引き留めると、かえって印象を悪くします。
送りすぎない
体験のたびにアンケートを送ると、顧客は疲れてしまいます。同じ人に送るのは、多くても1か月に1回までなど、上限を決めておきます。
送る相手の記録は、顧客ごとに「最後にアンケートを送った日」を残す形にすると管理しやすくなります。問い合わせの対応の後に送るアンケートと、利用を始めて1か月後に送るアンケートが同じ週に重なりそうなときは、どちらか一方だけを送ります。どちらを優先するかは、そのとき知りたいことに近いほうで決めます。
アンケートを送る相手を選ぶときに、満足していそうな人だけを選ばないことも大切です。対応がうまくいった相手にだけ送ると、結果は良く見えますが、改善の手がかりは見つかりません。
依頼の文面と、回答画面の作り方
設問が決まっても、依頼の文面や回答画面が分かりにくいと、答えてもらえません。VOCアンケートは「本音を書いてもらう」ことが目的なので、答える人が安心して書ける形を作ります。
依頼の文面に書く4つのこと
依頼のメールや画面の冒頭には、次の4つを書きます。
| 書くこと | 例 |
|---|---|
| 何のためのアンケートか | サービスの改善のため、使っていて困ったことを教えてください |
| かかる時間 | 回答にかかる時間は約3分です |
| 回答の扱い | いただいた内容は改善の検討にだけ使い、個人が分かる形で公開することはありません |
| 締め切り | 10月31日までにご回答ください |
特に大切なのは「回答の扱い」です。不満を書いたら担当者に伝わって気まずくなるのではないか、と心配する人は少なくありません。何に使い、何には使わないかを明確に書くと、具体的な声を書いてもらいやすくなります。
良い声も悪い声も同じように歓迎する
依頼の文面で「ご満足いただけた点をお聞かせください」とだけ書くと、良い声ばかりが集まります。反対に「ご不満をお聞かせください」とだけ書くと、普段は満足している人が答えにくくなります。「良かった点も、困った点も、どちらも改善の手がかりになります」と書いて、両方を歓迎していることを伝えます。
回答画面はスマートフォンで確かめる
多くの人はスマートフォンで答えます。公開する前に、自分のスマートフォンで最初から最後まで答えてみて、自由記述の欄が小さすぎないか、選択肢が画面の外に切れていないかを確かめます。自由記述の欄が1行しかないと、短い答えしか書かれなくなります。複数行が入る大きさにしておくと、具体的な声が集まりやすくなります。
問い合わせやレビューの声もアンケートと一緒に扱う
アンケートだけでは拾えない声を補うために、問い合わせやレビューの声も同じ分類で記録します。経路が違っても同じ分類で数えれば、どの話題の声が多いのかを経路をまたいで比べられます。
問い合わせの記録に分類を付ける
問い合わせの対応の記録に、アンケートと同じ「何について」の分類を付けます。対応した人が、対応の終わりに1つ選ぶだけで構いません。これだけで、アンケートで不満が少ない話題でも、問い合わせでは質問が多い、といったずれが見つかります。アンケートでは満足と答えていても、実は使い方が分かりにくくて問い合わせている、ということはよくあります。
レビューは月に1回まとめて読む
口コミサイトや販売サイトのレビューは、毎日追うと負担が大きいので、月に1回まとめて読み、同じ分類で数えます。レビューに返信できる場所であれば、厳しい内容にも丁寧に返信します。返信の内容は、レビューを書いた本人だけでなく、これから選ぶ人も読んでいます。
担当者が聞いた声を記録する入口を作る
窓口や営業の担当者は、顧客との会話の中で「実はここが使いにくい」といった一言をよく聞いています。こうした声は記録されないまま消えがちです。社内向けの簡単なフォームを1つ作り、担当者が聞いた声を1行で書ける入口を用意します。書く手間が小さいほど、声は集まります。
分類の具体例(オンライン教室の場合)
分類の作り方を、オンライン教室を例に示します。最初の1か月に届いた声を読み、多かった話題から分類を作った結果の例です。
| 何について | 不満の例 | 要望の例 |
|---|---|---|
| 申し込み | 支払い方法が少ない | 体験の授業を受けてから決めたい |
| 初回の案内 | 接続の方法が分からなかった | 事前に接続を試せる時間がほしい |
| 授業の内容 | 進むのが速い | 復習用の資料がほしい |
| 振替・欠席 | 連絡の方法が分かりにくい | 前日まで振替できるようにしてほしい |
| 料金 | 教材費が別にかかると知らなかった | 兄弟で受けると安くなる仕組みがほしい |
| 講師の対応 | 質問への返事が遅い | 授業の後に質問できる時間がほしい |
この表を1か月ごとに件数つきで更新していくと、「初回の案内」の不満が減ってきた、「振替・欠席」の要望が増えてきた、といった変化が見えるようになります。分類にどれにも当てはまらない声が全体の2割を超えてきたら、分類を見直す合図です。
届いた声を分類する
声が集まったら、まず分類します。分類しないまま読むと、印象に残った一部の声だけで判断してしまいます。
分類の軸は2つ
分類は、「何について」と「どんな声か」の2つの軸で行うと整理しやすくなります。
| 何について(例) | どんな声か |
|---|---|
| 申し込みの手続き | 不満 |
| 料金 | 要望 |
| 商品やサービスの品質 | 質問 |
| 説明や案内 | 称賛 |
| 問い合わせへの対応 | その他 |
「何について」の分類は、最初に届いた声を50件ほど読んで、多かった話題から5つから8つを決めます。最初から細かく作り込むと、どこに入れるかで迷う声が増えます。
分類した結果を数える
分類したら、月ごとに件数を数えます。表計算ソフトのピボットテーブルで、「何について」と「どんな声か」を縦横に並べれば、どの話題の不満が多いかが一目で分かります。同じ話題の不満が毎月上位に来るなら、そこが改善の優先順位の高いところです。
AIで要約や分類を手伝わせるときの注意
自由記述が数百件を超えると、人の手で全部を読んで分類するのは大変です。生成AIに要約や分類の下書きを作らせる方法もありますが、AIの分類をそのまま結論にせず、人が元の声を読んで確かめることが前提です。また、名前や連絡先などの個人に関わる情報を含む回答を外部のAIに渡す場合は、その扱いが自社の決まりや、個人情報保護委員会の法令・ガイドライン等に照らして問題がないかを確かめてから行います。
届いた声を対応に回す流れ
VOCアンケートでいちばん大切なのは、集めた声を対応に回すことです。声には、すぐに個別の対応が必要なものと、まとめて改善に回すものがあります。この2つを分けて流れを作ります。
流れ1:個別の対応が必要な声
返信を希望している声、強い不満や不具合の報告、契約に関わる相談は、個別の対応に回します。
- 届いた声に、対応が必要かどうかの印を付ける
- 担当者を決める
- 状況を「未対応」「対応中」「完了」で管理する
- 返信した内容を記録に残す
- 必要なら、改善の候補として次の流れにも回す
ここで止まりやすいのが、担当者を決める段階です。誰が振り分けるのかを決めておかないと、全員が見ているのに誰も手を付けない状態になります。当番を決めて、毎日決まった時間に未対応の声を確かめる形が確実です。
流れ2:まとめて改善に回す声
個別の対応が要らない要望や小さな不満は、分類して件数を数え、月に1回の会議で改善の候補として扱います。
- 分類ごとの件数と、代表的な声を3件ほど抜き出す
- 件数が多いもの、影響が大きいものから改善の候補を選ぶ
- 改善の作業に担当と期限を付ける
- 改善した内容を顧客に伝える
- 次のアンケートで、同じ話題の不満が減ったかを確かめる
顧客に結果を伝える
声を寄せてくれた顧客に、何を変えたかを伝えることも、VOCの取り組みの一部です。メールのお知らせやWebサイトの更新情報で「いただいたご意見をもとに、申し込みの画面を分かりやすくしました」と伝えると、次のアンケートにも答えてもらいやすくなります。
個別の返信の文面の例
返信を希望している声には、できるだけ早く、具体的に返します。返信の文面は、声の種類ごとにひな形を用意しておくと、担当者によって言うことが変わる問題を防げます。
不満への返信
不満への返信では、まず書いてくれたことへのお礼を伝え、次に何が起きたのかを確かめた結果を書き、最後にこれからどうするかを書きます。言い訳から始めないことが大切です。
「このたびはアンケートにご回答いただき、ありがとうございます。初回の授業の前に、接続の方法が分からずお困りになったとのこと、ご不便をおかけしました。確認したところ、ご案内のメールに接続の手順を書いていなかったことが原因でした。来月から、案内のメールに画像つきの手順を追加し、授業の前日に接続を試せる時間を設けます。」
要望への返信
要望には、すぐに応えられるかどうかを正直に書きます。応えられない場合でも、検討した事実と理由を伝えれば、多くの人は納得します。「すぐには対応できませんが、同じご要望が他にも届いているため、来期の見直しで検討します」のように、次にいつ判断するかを書くと、放っておかれた印象を与えません。
返信した後の記録
返信したら、何を返したかを記録に残します。同じ人から次に声が届いたとき、前回のやり取りを踏まえて返せるからです。記録が担当者のメールソフトの中にしか無いと、担当が変わったときに経緯をたどれなくなります。
改善の候補に優先順位を付ける
分類して数えた結果、改善の候補が複数出てきたら、どれから手を付けるかを決めます。件数の多さだけで決めると、手間のわりに効果の小さいものから始めてしまうことがあります。
| 見る点 | 確かめること |
|---|---|
| 件数 | その話題の声が毎月どのくらい届いているか |
| 影響の大きさ | 解約や申し込みの取りやめにつながっているか |
| 直す手間 | 文面の修正で済むか、仕組みから作り直す必要があるか |
| 直した効果の確かめやすさ | 次のアンケートや問い合わせの件数で確かめられるか |
件数が多く、影響が大きく、直す手間が小さいものから始めるのが基本です。たとえば「案内のメールが分かりにくい」という声は、文面を直すだけで済むことが多く、効果も問い合わせの件数ですぐに確かめられます。最初に小さな改善で成果を出すと、社内でVOCの取り組みへの理解が得られやすくなります。
改善の作業を見える形で回す
改善の作業は、担当と期限を付けて一覧にし、進み具合を全員が確かめられる形にします。少人数なら表計算でも回りますが、改善の作業が10件を超えたり、複数の担当にまたがったりすると、止まっている作業が見つけにくくなります。
その場面で使えるのがPinatecaです。公式サイトによると、Pinateca はカンバン・ガント・カレンダー・リストなど8種類のボードとチャットを備えたプロジェクト管理の道具で、5人まで無料で使えます。改善の作業をカードにして「未着手」「進行中」「確認待ち」「完了」の列で動かせば、どの改善が止まっているかを同じ画面で確かめられます。Pinateca は、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
少人数で回すための道具の選び方
VOCアンケートの道具は、集める道具と、届いた声を管理する道具に分けて考えます。
集めるだけなら無料のフォームで足りる
アンケートを作って回答を集めるだけなら、Googleフォームのような無料の道具で十分です。回答はGoogleスプレッドシートに書き出せます。保存先の選び方は、Googleのフォームの回答の保存先を選択するに書かれています。スプレッドシートに担当と状況の列を追加して、届いた声を管理する方法もあります。
表計算での管理が苦しくなる場面
スプレッドシートでの管理は、次のような場面で苦しくなります。
- 返信を希望する声が増え、返信をメールソフトで別に送るので、返したかどうかが表に反映されない
- 複数人が同時に担当や状況を書き換え、どれが最新か分からなくなる
- 新しい声が届いたことに気づくのが遅れる
回答の管理と返信を1つの画面で行う
こうした場面で使えるのがHalictです。公式サイトによると、Halict はフォームで集めた回答を1件ごとに担当・ステージ(対応の段階)・タグを付けて管理し、同じ画面から返信を送れます。送ったメールが開封されたかも記録されます。タグは自由に追加でき、絞り込みに使えるので、先に説明した「何について」「どんな声か」の分類をタグで付ければ、話題ごとに声を一覧できます。ステージの変更、担当者の割り当て、メモ、メールの送信は、時系列の履歴として残ります。
フォームの数と回答の数はどのプランでも無制限で、1人で使うフリーのプランは0円です。新しい回答をSlack・Teams・Chatwork・Discordに通知する機能はチームのプラン(月額7,800円・税抜)から使えます。回答はCSVで書き出せるので、月ごとの集計は表計算ソフトで行えます。Halict は、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
結果を社内で共有する方法
集めた声は、担当者だけが読んでいても改善にはつながりません。商品を作る人、窓口の人、営業の人がそれぞれ同じ声を読むことで、改善の手が打てるようになります。
月に1回の報告は1枚にまとめる
社内への報告は、1か月に1回、1枚の資料にまとめます。載せるのは次の4つです。
| 載せること | 中身 |
|---|---|
| 全体の数字 | 回答数、満足度の平均、推奨意向の結果と前回との比較 |
| 分類ごとの件数 | 不満と要望の多い話題の上位3つ |
| 代表的な声 | 上位の話題ごとに、具体的な声を2件から3件 |
| 改善の進み具合 | 前回決めた改善が終わったか、効果はあったか |
数字だけの報告は読み流されがちです。代表的な声を原文のまま載せると、読む人が顧客の困りごとを具体的に想像でき、改善の議論が進みやすくなります。
声を届ける相手を決める
分類ごとに、その声を誰に届けるかを決めておきます。「申し込み」の声は申し込みの画面を担当する人へ、「料金」の声は料金を決める人へ、というように届け先が決まっていれば、報告を待たずに直接伝えられます。特に、不具合の報告や強い不満は、月に1回の報告を待たずに、その日のうちに担当者へ伝える決まりにします。
良い声も共有する
改善の材料になるのは不満だけではありません。「説明が丁寧で助かった」「返信が早くて安心した」といった良い声は、対応した担当者に必ず伝えます。どの対応が評価されているのかが分かれば、その対応を他の担当者にも広げられます。
VOCの取り組みが続かない理由と対策
VOCアンケートは、始めることよりも続けることのほうが難しい取り組みです。続かなくなる理由と、その対策をまとめます。
声を読む時間が決まっていない
声を読む時間を「手が空いたとき」にしていると、忙しい時期に読まれなくなり、そのまま止まります。週に1回、30分でもよいので、届いた声を読む時間を予定に入れます。
改善が見えないので、社内の関心が下がる
声を集めても何も変わらないと、社内でも「やっても意味がない」という空気になります。小さなことでも、声をもとに変えたことを社内で共有します。「申し込みの画面の文言を直したら、同じ質問が1か月に10件から3件に減った」のように、変化が数字で見えると、取り組みが続きやすくなります。
厳しい声を避けてしまう
厳しい声は読むのがつらいものです。しかし、厳しい声ほど、具体的な改善の手がかりが書かれていることが多くあります。担当者1人に厳しい声を読ませ続けるのではなく、複数人で読み、責めるためではなく直すために読む、という前提を共有します。
採用や人事の場面でのVOCの考え方
顧客の声を集める考え方は、採用や人事の場面にも当てはまります。応募者や面接を受けた人に、応募の手続きや面接の案内が分かりやすかったかを聞くと、応募の途中でやめてしまう理由が見えてきます。
応募者に聞く設問は、顧客向けのVOCアンケートと同じ考え方で作れます。「応募の手続きで分かりにくかったところ」「面接の日程の調整で困ったこと」「仕事内容の説明で足りなかったこと」のように、場面を指定して聞きます。選考の結果にかかわらず答えてもらえるよう、選考とは関係がないこと、答えなくても不利にならないことを冒頭に書きます。応募から連絡までの時間が長いと感じた、という声が多ければ、返信の目安を決めて応募者に伝えるだけでも、途中でやめる人は減りやすくなります。
在宅ワークとフリーランスの仲介を長く運営してきた立場から見ると、依頼する側と受ける側の関係が長く続くかどうかは、困ったことを早く言える関係かどうかで決まることが多いと感じます。顧客の声を集める仕組みも同じで、小さな不満を言いやすい入口があるかどうかが、離れていく顧客を減らす分かれ目になります。
VOCの分析を仕事にする道
VOCアンケートの設計、集計、分析、改善の提案は、専門の仕事としても依頼されます。中小企業の経営の課題を診断し、改善を助言する国家資格に中小企業診断士があり、顧客の声の分析は経営改善の助言でもよく扱われます。調査の設計と分析を専門にする仕事の収入の目安は、研究者の年収・単価相場で確かめられます。
自由記述の分類や要約にAIを取り入れる支援、VOCをもとにしたマーケティングの改善は、需要が伸びている分野です。AIやマーケティングに関わる仕事の中身はAI・マーケティング・セキュリティのお仕事で、業務へのAIの取り入れ方を支援する仕事はAIコンサル・業務活用支援のお仕事で紹介しています。まずは自分の事業で、1か月だけVOCアンケートを回し、届いた声を分類して1つ改善するところまでやってみてください。
よくある質問
Q. VOCアンケートと満足度アンケートは何が違いますか?
満足度アンケートは、満足の度合いを点数で測ることが中心です。VOCアンケートは、点数に加えて、顧客が困ったことや要望を具体的な言葉で集め、対応や改善に回すことが中心です。実際には両方の設問を組み合わせることが多く、点数で全体の傾向をつかみ、自由記述で理由と具体的な場面を集めます。
Q. VOCアンケートの回答数はどのくらい必要ですか?
目的によって変わります。全体の満足度の傾向を見るなら、数十件から百件程度あると数字が安定しやすくなります。不満の原因を探るのが目的なら、件数よりも具体的な声の中身が大切で、数十件の自由記述でも改善の手がかりは見つかります。回答数が少ないうちは、割合の細かな上下よりも、同じ不満が繰り返し出ていないかを見ます。
Q. 匿名でアンケートを取ると、個別の対応ができませんか?
返信を希望するかどうかを聞く設問を入れ、希望する人にだけ連絡先を書いてもらえば、匿名で答えたい人と返事がほしい人の両方に対応できます。連絡先を書いてもらう場合は、何に使うかを設問の横に書き、目的以外には使わないようにします。
Q. 集めた声はどのくらいの頻度で見直せばよいですか?
個別の対応が必要な声は毎日確かめ、返信を希望している人には早めに連絡します。まとめて改善に回す声は、月に1回、分類ごとの件数と代表的な声を見直すのが目安です。週に1回、短い時間でも声を読む時間を予定に入れておくと、取り組みが止まりにくくなります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
関連記事
カテゴリから探す

クラウドソーシング入門
クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド
職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク
副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス
フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金
確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ
プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング
サービス比較・おすすめランキング

AI活用
職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド
市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド
クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア
転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人
看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人
薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人
介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人
保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人
医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険
生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人
無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース
バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業
契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代
シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ
サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック
暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

ガジェット・機材
フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方
子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金
個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

M&A・事業売却
会社売却・事業承継・事業譲渡を考える経営者向け。売却の流れ、税金、従業員への伝え方、仲介会社の選び方

アウトソーシング・外注ガイド
SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方







