アンケートの集計のやり方と、回答を集めながら整理する流れ


この記事のポイント
- ✓アンケートの集計のやり方を
- ✓単一回答・複数回答・評価・自由記述・クロス集計の順にExcelとスプレッドシートの手順で解説します
- ✓集計しやすいデータの整え方
アンケートの集計は、回答が集まってから始めるものだと思われがちです。けれど実際には、集計が楽になるかどうかは、アンケートを作る段階でほぼ決まっています。設問の作り方を少し変えるだけで、集計にかかる時間は大きく変わります。そして、集計のやり方そのものは、いくつかの決まった手順を覚えれば、誰でもできるようになります。
この記事では、アンケートの集計のやり方を、単一回答、複数回答、評価、自由記述、クロス集計の順に、Excelとスプレッドシートでの手順を交えて整理します。後半では、回答を集めながら整理していく流れと、集めた回答に返信や担当決めが必要な場面で役立つフォームのサービスとして、無料から使えるHalictにも触れます。
アンケートの集計でつまずく理由
アンケートは、顧客の満足度、イベントの感想、社内の意見、商品の評価など、さまざまな場面で使われています。無料で使えるフォームの道具が広まったことで、アンケートを作って配るところまでは、誰でも簡単にできるようになりました。一方で、集まった回答をどう集計し、どうまとめればよいか分からない、という悩みは減っていません。
つまずく理由は、大きく分けて3つあります。
1つ目は、集計しにくい形で回答を集めてしまうことです。同じ内容を聞いているのに、回答の書き方が人によってばらばらになる設問を作ってしまうと、集計の前に表記をそろえる作業が必要になります。
2つ目は、設問の種類ごとの集計の仕方を知らないことです。1つだけ選ぶ設問と、いくつでも選べる設問では、割合の計算の仕方が違います。この違いを知らないまま集計すると、合計が100%を超えるグラフができて、見た人を混乱させます。
3つ目は、集計の目的が決まっていないことです。何を知りたくてアンケートを取ったのかが曖昧なまま集計を始めると、すべての設問の円グラフを並べただけの報告書ができあがります。見た目はにぎやかでも、何を判断すればよいのかが伝わりません。
デザインの仕事で言えば、レイアウトの前に情報の優先順位を決めるのと同じです。全部を同じ大きさで並べた画面は、何も伝えません。集計も、何を一番伝えたいのかを先に決めることで、ようやく形になります。
集計を楽にするのは、集める前の設計
集計を楽にするために、アンケートを作る段階で決めておきたいことが4つあります。
1つ目は、知りたいことを先に書き出すことです。「満足度を知りたい」ではなく、「次回のイベントで、開催の時間帯を変えるべきかどうかを判断したい」のように、判断したいことまで書きます。判断したいことが決まれば、必要な設問と、不要な設問が見えてきます。
2つ目は、選択肢で答えられる設問は選択肢にすることです。年代、利用の頻度、満足度のように、ある程度の区分で足りる設問を自由記述にすると、「30代」「三十代」「35歳」と書き方がばらばらになり、集計の前に手でそろえる必要が出てきます。
3つ目は、選択肢の区切り方をそろえることです。年代なら「20代」「30代」のように重なりのない区切りにし、「その他」を用意します。満足度なら「とても満足」「満足」「どちらとも言えない」「不満」「とても不満」のように、段階の数と言葉をそろえます。
4つ目は、自由記述の設問を絞ることです。自由記述は、選択肢では拾えない声を集められる大切な設問ですが、集計にいちばん時間がかかります。1つのアンケートで2〜3問程度に絞ると、集計の負担が現実的な範囲に収まります。
この4つを押さえておくと、集まった回答をそのまま集計に使えるようになります。
集計しにくい設問と、直した設問の例
集める前の設計がどれほど集計に効くかを、よくある設問の直し方で示します。
例1:年代を自由に書かせている
直す前は「あなたの年齢を教えてください」と自由に書いてもらう設問です。「34」「34歳」「三十四」「30代半ば」と書き方がばらばらになり、集計の前に1件ずつそろえる必要が出ます。直した後は「20代」「30代」「40代」「50代」「60代以上」「答えたくない」の選択肢から選ぶ形にします。年齢そのものが必要な場合は、数字だけを入力できる項目にします。
例2:1つの設問で2つのことを聞いている
直す前は「料金と使いやすさに満足していますか」という設問です。「満足していない」と答えた人が、料金に不満なのか、使いやすさに不満なのかが分かりません。直した後は「料金に満足していますか」「使いやすさに満足していますか」の2問に分けます。
例3:選択肢が重なっている
直す前は利用の頻度を「週1回」「週1〜2回」「月数回」と聞いている設問です。週1回の人がどちらを選べばよいか迷い、回答が2つに割れます。直した後は「ほぼ毎日」「週2〜3回」「週1回程度」「月に2〜3回」「月1回以下」のように、重ならない区切りにします。
このような直しは、アンケートを配る前に、身近な人に2〜3人答えてもらうだけで見つかります。答えた人が迷った設問は、集計でも必ず困る設問です。
回答のデータを集計しやすい形に整える
集計を始める前に、回答のデータを集計しやすい形に整えます。基本の形は、「1行に1人の回答」「1列に1つの設問」です。
Googleフォームで集めた回答は、回答のタブからスプレッドシートへのリンクを作ると、この形のまま表として書き出されます。CSV形式でダウンロードすることもできます(フォームの回答を表示、管理する)。紙のアンケートを集計する場合は、自分でこの形の表を作り、1枚ずつ入力していきます。
データを整えるときに確かめる点は次のとおりです。
・見出しの行が1行だけになっているか(2行にまたがる見出しは、集計の機能がうまく働かない)
・空白の行や、途中に入れた合計の行がないか
・同じ意味の回答の書き方がそろっているか(「はい」と「ハイ」など)
・テストで送った回答や、同じ人の重複した回答が混ざっていないか
整えた元のデータは、そのまま保存しておき、集計は別のシートで行います。元のデータに直接手を加えると、集計を間違えたときに戻れなくなるからです。集計用のシートは、元のデータを参照する式で作っておけば、回答が増えても自動で数字が更新されます。
単一回答の集計:1つだけ選ぶ設問
「性別」「年代」「満足度」のように、選択肢から1つだけ選ぶ設問は、選択肢ごとの回答数を数え、全体の回答数で割って割合を出します。これを単純集計と呼びます。
Excelやスプレッドシートでは、COUNTIF関数を使います。集計用のシートに選択肢を縦に並べ、隣の列に =COUNTIF(回答の列,"20代") のような式を入れれば、その選択肢を選んだ人の数が出ます。割合は、その数を回答数の合計で割って出します。
単一回答の割合は、すべての選択肢を合計すると100%になります。この性質があるので、円グラフや、100%の積み上げ横棒グラフで示すのに向いています。
注意したいのは、無回答の扱いです。任意の設問で答えなかった人がいる場合、割合の分母を「回答した人の数」にするのか「アンケート全体の回答者数」にするのかで、数字が変わります。どちらにするかを決め、報告書に「回答者120人のうち、この設問に答えた115人を分母にしています」のように書き添えます。
複数回答の集計:いくつでも選べる設問
「利用したことのあるサービスをすべて選んでください」のように、いくつでも選べる設問は、単一回答とは集計の仕方が違います。
Googleフォームのチェックボックスの設問で集めた回答は、スプレッドシートに書き出すと、選んだ選択肢が1つのセルにカンマで区切られて入ります。この形のままでは、COUNTIF関数で選択肢ごとの数を正しく数えられません。数える方法は2つあります。
1つ目は、ワイルドカードを使う方法です。=COUNTIF(回答の列,"*サービスA*") のように、選択肢の名前の前後に「*」を付けると、その名前を含むセルの数を数えられます。ただし、「サービスA」と「サービスAプラス」のように、ある選択肢の名前が別の選択肢の名前の一部になっていると、数を取り違えます。
2つ目は、選択肢ごとに列を分ける方法です。スプレッドシートのSPLIT関数や、Excelの「区切り位置」の機能を使って、カンマで区切られた回答を別々の列に分けます。そのうえで選択肢ごとの数を数えます。手間はかかりますが、確実です。
複数回答の割合は、合計すると100%を超えるのが普通です。分母は回答者の数で、「回答者のうち何%がその選択肢を選んだか」を示すからです。そのため、円グラフではなく、選択肢ごとの横棒グラフで示します。円グラフにすると、合計が100%にならず、見る人が誤解します。
評価や数値の集計:平均だけで判断しない
「1から5の5段階で評価してください」「1か月に何回利用しますか」のように、数字で答える設問は、平均を出すのが一般的です。ExcelではAVERAGE関数で求められます。
ただし、平均だけを見て判断するのは危険です。例えば、5段階の評価で平均が3.0だったとき、全員が3を付けたのか、半分が1で半分が5を付けたのかで、意味がまったく違います。前者は「可もなく不可もない」、後者は「好き嫌いがはっきり分かれる」です。
そこで、平均と一緒に、評価ごとの人数の分布も示します。1から5の各評価を何人が付けたかをCOUNTIF関数で数え、横棒グラフにすれば、評価の偏りが一目で分かります。中央値(MEDIAN関数)も併せて見ると、極端な値に引っ張られにくい真ん中の値が分かります。
満足度の設問では、「とても満足」と「満足」を合わせた割合を「満足の割合」として示す方法もよく使われます。この場合も、どの選択肢を合わせたのかを報告書に明記します。
自由記述の整理:読んで、分けて、数える
自由記述の回答は、数を数えるだけでは集計できません。読んで、内容ごとに分け、分けたものを数える、という手順を踏みます。
最初に、すべての回答を一度読み通します。読みながら、よく出てくる話題をメモしていきます。「料金」「使いやすさ」「サポートの対応」「機能の不足」のような話題です。
次に、回答の隣に列を作り、それぞれの回答がどの話題に当てはまるかを書き込みます。1つの回答が複数の話題に触れている場合は、話題ごとに列を分けるか、主な話題を1つ選びます。話題の名前は、途中で増えたり変わったりするので、最初は仮の名前で構いません。
最後に、話題ごとの件数を数えます。これで、自由記述の回答を「料金に触れた回答が何件」と数字で示せるようになります。
この作業で大切なのは、数字だけで終わらせないことです。それぞれの話題を代表する回答を2〜3件選び、原文のまま報告書に載せます。数字は規模を、原文は中身を伝えます。両方があって、ようやく読み手に伝わります。
以前、クライアントのWebサイトのリニューアルの前に、利用者のアンケートの自由記述を整理したことがあります。回答はおよそ300件。最初は一つ一つに色を付けて分けようとしたのですが、途中で話題の分け方が変わり、最初からやり直すことになりました。それ以来、最初の50件ほどを読んで話題の候補を決め、残りはその候補に当てはめながら、どうしても当てはまらないものだけ新しい話題を作る、という順番にしています。デザインでもいきなり色を塗らず、まずラフで配置を決めるのと同じです。
クロス集計:2つの設問を掛け合わせる
単純集計で全体の傾向をつかんだら、次はクロス集計で、属性ごとの違いを見ます。クロス集計とは、2つの設問を掛け合わせて、「年代ごとの満足度」「利用の頻度ごとの不満の内容」のように、ある設問の答えを別の設問の答えで分けて数える集計です。
Excelでは、ピボットテーブルを使うとクロス集計を簡単に作れます。回答のデータの中のセルを選び、挿入タブからピボットテーブルを選ぶと、集計の表を作る画面が開きます(ピボットテーブルを作成してワークシート データを分析する)。行に「年代」、列に「満足度」、値に回答の件数を入れれば、年代ごとの満足度の表ができます。Googleスプレッドシートにも、同じようにピボットテーブルの機能があります。
クロス集計で気をつけたいのは、分けた後の人数です。全体で100人の回答でも、年代で5つに分けると、1つの区分が10人程度になることがあります。10人のうち3人が不満なら30%ですが、1人増えるだけで40%になります。人数が少ない区分の割合は大きく揺れるので、割合と一緒に人数も示し、少ない区分については断定を避けます。
クロス集計の表は、割合で見るときに、どの方向の合計を100%にするかも決めます。「年代ごとの満足度」を見たいなら、年代ごとの行の合計を100%にします。
グラフの選び方と、見せ方のこつ
集計した結果は、グラフにすると伝わりやすくなります。設問の種類ごとに、向いているグラフがあります。
| 設問の種類 | 向いているグラフ | 理由 |
|---|---|---|
| 単一回答 | 円グラフ、100%積み上げ横棒 | 合計が100%になるため |
| 複数回答 | 横棒グラフ | 合計が100%を超えるため |
| 評価(5段階など) | 横棒の分布、100%積み上げ横棒 | 偏りが分かるため |
| クロス集計 | 100%積み上げ横棒 | 区分ごとの違いを比べやすいため |
| 時期ごとの変化 | 折れ線グラフ | 推移が分かるため |
グラフを作るときのこつを3つ挙げます。
1つ目は、選択肢の並び順をそろえることです。横棒グラフは、回答の多い順に並べると読みやすくなります。ただし、満足度のように順番に意味がある選択肢は、多い順ではなく、選択肢の順番のまま並べます。
2つ目は、色を使いすぎないことです。強調したい1本だけに色を付け、残りは灰色にすると、見る人の目が自然にそこへ向かいます。余白は音楽でいう休符で、詰め込まないことが伝わりやすさにつながります。
3つ目は、グラフの上に結論を書くことです。「満足度」というタイトルではなく、「30代の満足度が他の年代より低い」のように、グラフから読み取ってほしいことをタイトルにします。
紙のアンケートを集計する手順
イベントの会場や店舗、病院の待合室などでは、今も紙のアンケートがよく使われています。紙の回答は、まず表に入力する作業が必要になるため、手順を決めておかないと時間がかかります。
最初に、入力用の表を作ります。1行に1枚、1列に1つの設問という基本の形は同じです。それぞれの用紙に通し番号を書き込み、表にも同じ番号の列を作っておくと、入力の間違いを見つけたときに元の用紙を探せます。
選択肢の設問は、選択肢の文字ではなく番号で入力します。「とても満足」を1、「満足」を2のように決めておけば、入力が速くなり、表記の揺れも起きません。番号と選択肢の対応表は、別のシートに残しておきます。Excelでは、入力する列にデータの入力規則を設定し、決まった番号以外を入力できないようにしておくと、打ち間違いを防げます。
複数回答の設問は、選択肢ごとに列を分け、選ばれていれば1、選ばれていなければ0を入力します。こうしておくと、列の合計がそのまま選んだ人の数になり、後の集計が楽になります。
自由記述は、書かれている文章をそのまま入力します。読めない文字がある場合は、推測で埋めず、読めない部分に印を付けておきます。
入力が終わったら、ランダムに選んだ1割程度の用紙を、表と照らし合わせて確かめます。間違いが多く見つかった場合は、入力した人や時間帯を確かめ、その範囲を全件見直します。2人で入力を分担する場合は、同じ用紙を2人が別々に入力し、食い違う箇所だけを確かめる方法もあります。
紙のアンケートは、次回からフォームに切り替えることも検討します。QRコードを用紙や掲示物に印刷しておけば、紙とフォームの両方で回答を受け付けられ、入力の作業を少しずつ減らせます。
回答を集めながら整理する流れ
アンケートの集計は、すべての回答が集まってから一度に行う必要はありません。回答を集めながら少しずつ整理していくと、締め切りの後の作業が大きく減ります。
回答の受付を始めたら、最初の10〜20件が届いた時点で、一度データを確かめます。設問の意図が伝わっていない、選択肢が足りずに「その他」ばかり選ばれている、といった問題に早めに気づけます。受付の途中で設問を直すと集計が複雑になるので、直すなら早い段階で行います。
受付の期間中は、週に1回程度、集計用のシートを開いて数字の動きを確かめます。元のデータを参照する式で集計表を作っておけば、開くだけで最新の数字が分かります。自由記述の回答も、届いた分から話題を書き込んでいくと、締め切りの後に何百件も一度に読む必要がなくなります。
Googleフォームでは、回答のタブの概要で、設問ごとの回答をグラフで確かめることもできます。全体の傾向を手早くつかむにはこれで十分で、クロス集計や詳しい分析が必要になった時点でスプレッドシートに移ります。
アンケートの集計を解説している記事でも、回答数が多い場合や、集計結果をすぐに共有したい場合は、手作業の集計に限界があると指摘されています。
回答数が非常に多い、リアルタイムで集計結果を共有したい、複雑な分岐設問がある場合などは、Excelでの手作業集計だと限界があるため、専用のアンケート集計・分析ツールの利用を検討するとよいでしょう。 出典: surveroid.jp
集計の結果を報告書に整理する構成
集計が終わったら、結果を報告書に整理します。報告書は、集計した順番に設問を並べるのではなく、読む人が判断しやすい順番に組み立てます。基本の構成は次の5つです。
- 調査の目的と、判断したいこと
- 調査の概要(期間、方法、回答数、回答者の属性)
- 結論(判断に関わる発見を3つ程度)
- 結論の根拠になる集計とグラフ
- 自由記述の代表的な声と、次に行うこと
いちばん大切なのは、結論を先に書くことです。読む人の多くは、最初の1ページしか読みません。最初のページで「30代の満足度が低く、主な理由は予約の取りにくさだった」と分かれば、残りのページは必要な人だけが確かめれば済みます。
調査の概要には、回答数と回答の期間、集め方を必ず書きます。後から数字を見た人が、どれくらいの規模の調査なのかを判断できるようにするためです。回答率が分かる場合は、それも書きます。
すべての設問のグラフを報告書の本文に入れる必要はありません。結論に関わる設問のグラフだけを本文に入れ、残りは巻末の資料としてまとめて載せます。本文のグラフが多すぎると、どれが大事なのかが伝わりません。
最後の「次に行うこと」は、誰が、いつまでに、何をするかまで書けると理想的です。アンケートは、結果を見て何かを変えて初めて意味を持ちます。報告書がその出発点になるように組み立てます。
AIを集計に使うときの注意
最近は、自由記述の分類や要約、集計の式の作成に、生成AIを使う人も増えています。数百件の自由記述を話題ごとに分ける下書きを作らせたり、ピボットテーブルの作り方を聞いたりすると、作業の時間を大きく減らせます。
ただし、使うときに気をつけたい点が3つあります。
1つ目は、結果を必ず人が確かめることです。AIが作った分類は、もっともらしく見えても、原文の意図と違う話題に振り分けていることがあります。件数を数える作業も、AIに直接答えさせると数え間違うことがあるので、件数はExcelやスプレッドシートの関数で数えます。AIには分類の候補を出させ、数えるのは表の機能に任せる、という分担が安全です。
2つ目は、個人情報を含むデータをそのまま渡さないことです。名前やメールアドレス、自由記述に書かれた個人的な事情を含む回答を外部のAIのサービスに入力する場合は、勤め先や取引先の決まりを確かめ、必要なら個人を特定できる部分を外してから使います。
3つ目は、代表的な声の選び方を任せきりにしないことです。報告書に載せる原文の声は、読む人の判断に大きく影響します。AIに候補を挙げさせるのはよいとしても、最終的にどの声を載せるかは、全体を読んだ人が決めます。
集めて終わりにしない:返信や担当決めが要る場面
アンケートの中には、集計して終わりにできないものがあります。顧客の満足度のアンケートで「不満」を選んだ人、イベントの感想で「質問への回答がほしい」と書いた人、商品の評価で不具合を報告した人。こうした回答には、誰かが返信したり、対応したりする必要があります。
この場合、集計とは別に、回答1件ごとの対応の管理が必要になります。よくあるのは、回答のスプレッドシートに「担当」「対応の状況」「返信した日」の列を手で加え、返信はメールソフトから送る、という形です。回答が少ないうちはこれで回りますが、件数が増えると、誰がどの回答に返信したのか、どれが対応の途中なのかが分からなくなってきます。返信の文面がメールソフトに、対応の状況がスプレッドシートに、と情報が分かれることも、取りこぼしの原因になります。
Googleフォームは、無料で使え、回答の集計やグラフの表示まで手早くできる優れた道具です。集計が目的のアンケートであれば、多くの場合はこれで十分です。そのうえで、回答が届いたあとの担当決めや返信を、表計算とメールソフトで回している場面では、届いた回答の対応まで管理できるフォームのサービスを検討する価値があります。
その選択肢の1つがHalictです。公式サイトによると、フォームで受け付けた回答を1件ずつ担当、ステージ、タグつきで管理でき、同じ画面から返信まで送れて、開封まで記録されます。AIによるフォームの下書きの生成、1画面1問で答えられる表示、12種類の項目、自動返信、回答一覧のCSVでの書き出しにも対応しています。1人で使うフリープランは無料で、フォームの数も回答の数も無制限です。3人まで使えるスタータープランは月額2,980円(税抜)で、Googleスプレッドシートへの連携が加わります。月額7,800円(税抜)のチームプランでは、回答者への一斉メールと開封やクリックの計測、Slack や Teams への通知が使えます。
Halictは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
集計用のデータはCSVで書き出してExcelやスプレッドシートで分析し、返信が必要な回答の対応はフォームの画面で管理する、という分担にすると、どちらの作業も止まりにくくなります。
集計で気をつけたいこと
最後に、アンケートの集計で気をつけたい点を整理します。
1つ目は、回答者の偏りです。アンケートに答えてくれるのは、もともと関心の高い人や、強い不満を持っている人に偏りがちです。回答者の属性を確かめ、全体の利用者と比べて偏りがないかを見ます。偏りがある場合は、報告書にその旨を書き添えます。
2つ目は、回答数の少なさです。回答が20〜30件程度の場合、割合の数字は1件の違いで大きく動きます。少ない回答数で「前回より5%下がった」と判断するのは危険です。回答数が少ないときは、割合より件数で示し、傾向として読む程度にとどめます。
3つ目は、個人情報の扱いです。名前やメールアドレスを集めたアンケートの集計表を共有するときは、個人を特定できる列を外してから渡します。自由記述にも、名前や連絡先が書かれていることがあるので、共有する前に目を通します。集計の目的以外に回答を使わないことも、アンケートの冒頭で伝えておきます。
4つ目は、元のデータを残しておくことです。集計を間違えたときや、後から別の切り口で分析したくなったときに、元のデータがあれば何度でもやり直せます。
集計と分析の力が活きる仕事
アンケートを集計し、結果を分かりやすく伝える力は、さまざまな仕事で求められています。業務委託の仕事でも、「アンケートの結果をまとめてほしい」「顧客の声を整理して報告書にしてほしい」という依頼は珍しくありません。
AIを業務に取り入れる支援の仕事では、自由記述の分類や要約にAIを使う方法を提案する場面が増えています。AIコンサル・業務活用支援のお仕事では、こうした業務改善の支援の仕事の内容を紹介しています。マーケティングの仕事では、顧客のアンケートの分析が施策を決める出発点になります。AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で、仕事の種類と求められる力を確かめられます。
集計の結果をグラフや資料に整える力は、デザインの仕事にもそのままつながります。デザインの仕事の単価の目安はデザイナーの年収・単価相場で確認できます。調査の設計や分析を専門に深めたい人には、研究者の年収・単価相場も参考になります。事業者の経営の課題を、調査の結果から読み解いて助言する立場を目指すなら、中小企業診断士という資格もあります。
フリーランスと在宅ワークの市場を長く見てきた立場から言えば、長く仕事が続く人ほど、集計の数字を並べるだけでなく、「だから次に何をすればよいか」まで添えて渡しています。デザインは才能ではなくスキルで、集計も同じです。手順を覚え、目的から逆算して見せ方を決めれば、誰でも伝わる集計ができるようになります。仲介の手数料がかからない直接取引では、依頼する側は同じ予算でより多くを任せられ、受ける側は手取りが厚くなります。そうした関係を続けていくうえで、伝わる報告書は何よりの信頼の材料になります。
よくある質問
Q. アンケートの集計は、Excelとスプレッドシートのどちらがよいですか?
どちらでも基本の集計はできます。Googleフォームで回答を集める場合は、回答がそのまま書き出されるスプレッドシートが手間が少なく、複数人で同時に見るのにも向いています。大量のデータを細かく分析したい場合や、社内でExcelの資料に慣れている場合はExcelが使いやすいでしょう。
Q. 複数回答の設問の割合が100%を超えるのは間違いですか?
間違いではありません。複数回答の割合は、回答者の数を分母にして「何%の人がその選択肢を選んだか」を示すため、合計は100%を超えるのが普通です。誤解を防ぐため、円グラフではなく横棒グラフで示し、複数回答であることをグラフに書き添えます。
Q. 自由記述の回答が多すぎて読み切れないときはどうすればよいですか?
最初の50件ほどを読んで話題の候補を決め、残りはその候補に当てはめながら分けていくと効率よく進みます。AIを使って話題の分類の下書きを作る方法もありますが、分類の結果は必ず人が原文と照らして確かめます。
Q. アンケートの回答数はどのくらいあれば集計の結果を信用できますか?
目的によって変わりますが、属性ごとのクロス集計を行う場合は、分けた後の1つの区分に少なくとも30件程度あると、割合の揺れが小さくなります。回答数が少ないときは、割合より件数で示し、傾向として読む程度にとどめるのが安全です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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