顧客アンケートで聞く項目の選び方と、回答を次の改善につなげる進め方


この記事のポイント
- ✓顧客アンケートで聞く項目の選び方を
- ✓目的から逆算する考え方
- ✓聞き方の注意点まで具体例で解説します
顧客アンケートを作ろうとして、聞きたいことを思いつくままに並べたら20問を超えてしまった。あるいは、回答は集まったものの、結果を眺めて「満足度は高めだった」で終わってしまった。顧客アンケートでよく起きるのは、この2つの失敗です。どちらも原因は同じで、アンケートで何を決めたいのかが決まらないまま、項目を選んでいることにあります。
この記事では、顧客アンケートで聞く項目の選び方を、目的から逆算する考え方と具体的な項目の例で説明します。そのうえで、集まった回答を集計し、改善を決め、担当と期限をつけて実行し、顧客に結果を伝えるまでの進め方を整理します。回答への返信や担当決めまで1か所で回したい場合に使える、フォームと回答の管理を1つにしたHalictにも触れます。
顧客アンケートは「決めるための道具」
顧客アンケートとは、商品やサービスを使った顧客に質問をして、その考えや感じたことを集める調査です。自社の中だけでは見えにくい顧客の本音を知る手段として、多くの会社や店舗で使われています。
顧客アンケートは、企業や事業者が顧客の声を直接収集できる貴重な手段です。商品やサービスに関する満足度、購入のきっかけ、不満に感じる部分などは、いくら事業者自身がデータ分析やマーケティングリサーチを行っていても、顧客目線の本音を知ることは容易ではありません。 出典: commune.co.jp
ただし、アンケートは顧客の声を集めること自体が目的ではありません。集めた声をもとに、次に何を変えるか、何を続けるかを決めるための道具です。この視点を持つと、聞くべき項目と聞かなくてよい項目の区別がつくようになります。
「知りたいこと」と「決めたいこと」は違う
アンケートを作るとき、多くの人は「顧客について知りたいこと」から考え始めます。年代、職業、購入のきっかけ、満足度、要望。知りたいことは際限なく出てきます。一方で「このアンケートの結果で何を決めたいか」から考えると、項目は自然に絞られます。
| 決めたいこと | 必要な項目の例 |
|---|---|
| 来月から受付の手順を変えるかどうか | 受付の待ち時間の評価、受付で困ったこと |
| 新しいプランを用意するかどうか | 今のプランで足りない点、追加で払ってもよい金額の範囲 |
| どの広告を続けるか | 知ったきっかけ、申し込みを決めた理由 |
| 解約の理由を減らすには何をすべきか | 不満に感じた点、他社と比べた点 |
決めたいことが1つ決まれば、そのために必要な項目は3つから5つ程度に収まります。決めたいことが複数ある場合は、優先順位をつけて、1回のアンケートで扱うのは2つ程度までにします。
聞く項目を選ぶ前に決める3つのこと
項目を選ぶ前に、次の3つを紙に書き出しておきます。
1. このアンケートで決めること
冒頭で説明したとおり、アンケートの結果で何を決めるかを1文で書きます。「サービスを改善する」のような大きな書き方ではなく、「予約の受付をWebだけにするか、電話も残すかを決める」のように、選ぶ対象がはっきりした書き方にします。
2. 誰に聞くか
同じ質問でも、聞く相手によって答えは変わります。使い始めたばかりの顧客、長く使っている顧客、最近使わなくなった顧客では、見えている課題が違います。決めたいことに一番関係のある顧客に絞って聞くと、結果の解釈がぶれません。全員に同じアンケートを送る場合は、利用期間などで回答を分けて見られるよう、分けるための項目を1つ入れておきます。
3. 結果をいつ、誰が見るか
アンケートの締め切りと、結果を見て判断する会議の日程を先に決めておきます。結果を見る人が決まっていないアンケートは、集計されないまま放置されがちです。判断する人が決まっていれば、その人が判断に必要な項目は何かを事前に確かめられます。
特に最初の「目的の明確化」が重要で、それに基づいて「設問作成」「配布チャネル」「分析方法」が変わってきます。 出典: commune.co.jp
項目の種類と、それぞれの役割
顧客アンケートの項目は、役割で5つの種類に分けられます。1つのアンケートには、それぞれの種類から必要なものだけを選んで入れます。
種類1:全体の評価を聞く項目
「全体としてどのくらい満足していますか」のように、総合的な評価を聞く項目です。5段階の評価で聞くのが一般的です。毎回同じ聞き方で続けると、時期による変化を追えます。
全体の評価の聞き方として広く知られているものに、NPS(ネット・プロモーター・スコア)があります。NPSは「友人や同僚にどのくらい薦めたいか」を0から10の11段階で聞き、9か10をつけた人の割合から、0から6をつけた人の割合を引いて計算する指標です。考案したベイン・アンド・カンパニーのNPSの解説ページに計算の仕方が書かれています。満足度とNPSのどちらを使うかは、一度決めたら変えないことが大切です。
種類2:場面ごとの評価を聞く項目
申し込み、受付、商品の質、問い合わせへの対応、支払いなど、顧客が体験する場面ごとに評価を聞く項目です。全体の評価が下がったときに、どの場面に原因があるかを探す手がかりになります。場面を細かく分けすぎると設問が増えるので、決めたいことに関係する場面だけを選びます。
種類3:理由を聞く項目
評価の理由を、選択肢か自由記述で聞く項目です。「満足」「不満」という評価だけでは、何を変えればよいかが分かりません。低い評価をつけた人に「特に気になった点」を選んでもらうと、改善の対象が具体的になります。選択肢は、過去の問い合わせや口コミで多かった内容から作ると、実態に近いものになります。
種類4:行動を聞く項目
「どこで知りましたか」「他社のサービスと比べましたか」「今後も使い続けますか」のように、顧客の行動や予定を聞く項目です。評価ではなく事実を聞くので、答えやすく、結果を集客や引き留めの判断に使いやすいのが特徴です。
種類5:回答者を分けるための項目
利用期間、利用の頻度、使っているプランなど、回答を分けて見るための項目です。年代や性別を聞く場合は、本当に分けて見る必要があるかを考えます。使わない属性を聞くと設問が増えるだけでなく、回答者に余計な個人情報を求めることになります。
| 種類 | 役割 | 1回のアンケートでの目安 |
|---|---|---|
| 全体の評価 | 時期による変化を追う | 1問 |
| 場面ごとの評価 | 原因の場面を探す | 2問から4問 |
| 理由 | 改善の対象を具体的にする | 1問から2問 |
| 行動 | 集客や引き留めの判断に使う | 1問から2問 |
| 回答者を分ける | 結果を分けて見る | 1問から2問 |
この目安で組むと、全体で6問から10問程度に収まります。
業種ごとに入れたい項目の例
項目の種類の考え方は共通ですが、業種によって、場面ごとの評価で取り上げる場面が変わります。代表的な業種ごとに、入れることの多い項目を整理します。
飲食店
来店から退店までの流れに沿って、場面を分けます。料理の味、提供までの時間、スタッフの対応、店内の清潔さ、価格に対する満足が中心です。来店の目的(食事、会食、持ち帰りなど)を回答者を分ける項目として入れると、目的ごとに求められていることの違いが見えます。会計の直後に渡すカードやレシートのQRコードから回答してもらう形が多く、設問は5問程度に絞るのが現実的です。
ネットショップ
商品を探す、選ぶ、注文する、届く、使う、の流れで場面を分けます。商品の見つけやすさ、商品ページの情報の十分さ、注文の手続きの分かりやすさ、配送の速さと梱包の状態、商品の品質が中心です。商品が届いてから数日後に送ると、使ってみた感想まで含めた評価が集まります。
法人向けのサービス
法人の顧客には、担当者が答えることが多いので、担当者自身の評価と、会社としての評価を分けて聞きます。導入の手続き、日々の使いやすさ、問い合わせへの対応、費用に対する効果、契約を続けるかどうかの見通しが中心です。回答者の数が少なくなりやすいので、1件ずつの回答を丁寧に読み、必要なら担当者に個別に話を聞きます。
教室やスクール
受講の申し込み、授業の内容、講師の教え方、教材、受講の環境(教室や配信の質)、目標への近づき具合が中心です。受講期間の途中と終了時の2回に分けて聞くと、途中で改善できる点と、次の期に生かす点を分けて拾えます。
どの業種でも、場面ごとの評価をすべて聞く必要はありません。決めたいことに関係する場面だけを選ぶ、という考え方は同じです。
設問数は「5分で終わる」が目安
設問が多いアンケートは、途中で離脱する人が増え、最後のほうの回答が雑になります。顧客は好意で答えてくれているので、負担はできるだけ小さくします。
時間で考える
設問数の目安は、回答にかかる時間で考えるのが分かりやすい方法です。選択式の設問なら1問に10秒から20秒、自由記述なら1問に1分程度かかります。5分程度で終わる量にすると、最後まで答えてもらいやすくなります。アンケートの冒頭に「所要時間は約3分です」と書いておくと、回答を始める人も増えます。
削る項目の選び方
設問が多すぎるときは、次の順で削ります。
- 結果を見ても判断に使わない項目
- 社内のデータで分かる項目(購入日、利用プランなど)
- 別の項目の答えから推測できる項目
特に2つ目は見落とされがちです。顧客管理の記録で分かることを、わざわざ顧客に答えてもらう必要はありません。アンケートの回答と顧客の記録を結びつけられるなら、その項目は削れます。
聞き方で結果がゆがまないようにする
同じことを聞いても、聞き方によって答えが変わります。結果を判断に使うなら、答えが一方に寄らない聞き方を心がけます。
1つの設問で1つのことを聞く
「スタッフの対応と説明の分かりやすさに満足していますか」のように、2つのことを1つの設問で聞くと、どちらに対する評価なのかが分からなくなります。対応には満足していても、説明は分かりにくかったという人は答えに迷います。1つの設問では1つのことだけを聞きます。
答えを誘導しない
「当店の丁寧な接客にご満足いただけましたか」は、「丁寧な接客」と決めつけたうえで聞いています。こうした聞き方では、満足と答える人が増え、本当の評価が見えにくくなります。「スタッフの接客はいかがでしたか」のように、評価の言葉を設問に入れずに聞きます。
選択肢の偏りに気をつける
5段階の評価なら、「とても満足」「満足」「どちらとも言えない」「不満」「とても不満」のように、良い側と悪い側の数をそろえます。良い側だけ細かく分けると、全体の評価が高く出ます。理由を選ぶ設問には、「その他」と自由記述の欄を添えて、選択肢にない答えを拾えるようにします。
自由記述は具体的な問いにする
「ご意見をお聞かせください」という漠然とした自由記述は、空欄のまま送られることが多くなります。「次回までに改善してほしいことを1つ挙げるとしたら何ですか」のように、答える範囲を絞った問いにすると、具体的な意見が集まりやすくなります。
個人情報を聞くときの注意
アンケートで名前やメールアドレスを聞く場合は、個人情報を取得することになります。個人情報保護法は、本人から書面(Webのフォームのような電磁的な記録も含む)で直接個人情報を取得する場合、あらかじめ利用目的を本人に明示するよう定めています(個人情報保護法第21条)。
具体的には、フォームの冒頭か送信ボタンの近くに、「いただいた回答は、サービスの改善と、ご回答へのご連絡のためにのみ使います」のように、何のために使うのかを書いておきます。返信が必要ない調査なら、そもそも名前やメールアドレスを聞かない設計にするのが一番安全です。個別の事情での扱いが分からない場合は、個人情報保護委員会の相談窓口や専門家に確かめます。
配る前に、身近な人に試しに答えてもらう
項目と聞き方が決まったら、顧客に配る前に、社内の人や身近な人に試しに答えてもらいます。作った本人には分かりやすく見える設問でも、初めて読む人には意味が取りにくいことがよくあります。
試しに答えてもらうときは、次の3点を確かめます。
- 設問の意味が1回読んで分かるか(読み返した設問はないか)
- 選択肢の中に、自分の答えが見つからない設問はないか
- 実際に答え終わるまでに何分かかったか
答えた人に、迷った設問と、その理由を聞きます。社内の言葉や略語が設問に混ざっていると、顧客には通じません。たとえば社内で「Bプラン」と呼んでいるものを、顧客は「月額のプラン」と認識しているかもしれません。顧客が使っている言葉に直すだけで、回答の質は大きく上がります。スマートフォンとパソコンの両方で表示を確かめ、選択肢が切れていないか、送信のボタンが分かりやすいかも見ておきます。
配り方と、回答を集める時期
項目が決まったら、アンケートを配ります。配り方によって、回答する人の層が変わることを意識しておきます。
配る経路ごとの特徴
| 配る経路 | 向いている場面 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 購入や利用の直後のメール | 体験の記憶が新しいうちに聞きたい | 送る時期を利用直後にそろえる |
| 店頭のQRコード | 来店した顧客に聞きたい | 時間のある人の回答に偏りやすい |
| 定期的な一斉メール | 長く使っている顧客の評価を追いたい | 回答する人が熱心な顧客に偏りやすい |
| 解約の手続きの画面 | 解約の理由を知りたい | 設問は1問か2問に絞る |
どの経路でも、回答する人は全顧客の一部です。回答した人の偏りを意識して結果を読むことが大切です。
回答を集める時期
体験についての評価は、体験の直後に聞くほど正確になります。何週間もたってから聞くと、記憶があいまいになり、全体の印象だけで答えるようになります。定期的に全体の評価を追う調査は、毎回同じ時期に行うと、季節による変動の影響を受けにくくなります。
回答してもらいやすくする工夫
回答の数が少ないと、結果から判断できることが限られます。回答してもらいやすくするには、次の点を整えます。
- アンケートの目的と所要時間を冒頭に書く
- スマートフォンで答えやすい画面にする(選択肢は縦に並べ、文字を小さくしすぎない)
- 必須の設問は最小限にし、答えにくい設問は任意にする
- 締め切りを書き、締め切りの数日前に1回だけ案内を送る
- 回答の結果をどう使うかを伝える
謝礼を用意する方法もありますが、謝礼が目当ての回答が増えると、内容が雑になることがあります。謝礼をつける場合は、抽選で少数の人に渡す形にするなど、回答の質に影響しにくい方法を選びます。何より効くのは、前回のアンケートの結果を受けて何を変えたかを伝えることです。自分の回答が役に立つと分かれば、次も答えようと思ってもらえます。
回答を集計して、改善の候補を出す
アンケートが締め切られたら、集計に入ります。集計は、決めたいことに答えを出すために行います。
単純な集計で全体を見る
最初に、設問ごとに回答の割合を出します。表計算ソフトで回答を一覧にし、選択肢ごとの件数と割合を数えれば十分です。5段階の評価は、平均点だけでなく、低い評価をつけた人の割合も見ます。平均点が同じでも、低い評価の人が多いか少ないかで、取るべき対応は変わります。
分けて見る
次に、回答者を分ける項目で回答を分けて見ます。利用期間が短い顧客と長い顧客で、場面ごとの評価がどう違うかを比べると、どの顧客にとって何が課題かが見えてきます。分けたあとの人数が少なすぎると、偶然の差を課題と読み違えるので、人数も一緒に確かめます。
自由記述を分類する
自由記述は、1件ずつ読んで内容ごとに分類します。「待ち時間」「料金」「説明の分かりにくさ」のように分類の名前をつけ、それぞれの件数を数えます。件数の多い分類が、改善の候補になります。件数は少なくても、同じ不満を書いた人が長く使っている顧客に多い場合は、優先して検討します。
自由記述の件数が多い場合は、AIに分類の案を作ってもらう方法もあります。ただし、AIが付けた分類は、人が全件を読んで確かめる前提で使います。皮肉や遠回しな書き方の不満は、AIが好意的な意見に分類してしまうことがあるためです。顧客の名前や連絡先が含まれる回答をAIに渡す場合は、勤め先の決まりに従い、個人を特定できる情報を取り除いてから渡します。
改善の候補に優先順位をつける
改善の候補が出たら、「顧客への影響の大きさ」と「取り組む手間」の2つの観点で並べます。影響が大きく手間の小さいものから取りかかると、早い段階で顧客に変化を感じてもらえます。影響が大きく手間も大きいものは、計画を立てて段階的に進めます。
結果を社内に伝えるときの形
集計の結果を判断する人に伝えるときは、次の4つを1枚にまとめると、会議で話が進みやすくなります。
| 要素 | 書くこと |
|---|---|
| 調査の概要 | 目的、対象、期間、回答数 |
| 決めたいことへの答え | 結果から言えることを3行程度で |
| 根拠の数字 | 判断に使う設問の結果を、前回と並べて |
| 提案 | 取り組む改善の候補と、担当・期限の案 |
すべての設問の結果を並べると、判断に必要な数字が埋もれます。決めたいことに関係する設問だけを前に出し、残りは資料の後ろに回します。自由記述は、分類した件数と、代表的な声を原文のまま数件添えると、数字だけでは伝わらない顧客の温度感が伝わります。
回答を次の改善につなげる進め方
アンケートの価値は、集計したあとに何を変えたかで決まります。改善につなげるには、次の4つの段階を踏みます。
段階1:個別の対応が必要な回答に返す
集計とは別に、個別に対応すべき回答を拾います。強い不満を書いた顧客、具体的な不具合を知らせてくれた顧客、返信を希望している顧客には、できるだけ早く返信します。回答に返事が来るだけで、顧客の受け止め方は大きく変わります。返信が遅れたり、誰が返すのか決まらないまま放置されたりすると、アンケートに答えたことがかえって不満になります。
個別の対応では、回答1件ごとに「誰が担当するか」「どこまで対応したか」を記録しておくことが欠かせません。表計算ソフトで管理する場合は、担当者と対応状況の列を作り、返信を送ったらその行を更新します。
段階2:改善を決めて、担当と期限をつける
集計から出た改善の候補のうち、取り組むものを決めます。決めた改善には、必ず担当者と期限をつけます。「受付の案内をわかりやすくする」のような大きな改善は、「受付の案内文を作り直す」「案内文を掲示する場所を決める」のように、手が動く単位まで分けてから担当を割り振ります。
段階3:顧客に結果と対応を伝える
アンケートの結果と、それを受けて何を変えたかを顧客に伝えます。メールやWebサイトのお知らせで、「いただいたご意見をもとに、受付の時間を変更しました」と伝えると、顧客は自分の声が届いたと感じます。次のアンケートに答えてくれる人も増えます。
段階4:次のアンケートで変化を確かめる
改善を実行したら、次のアンケートで同じ項目を聞き、評価が変わったかを確かめます。ここで設問の聞き方を変えてしまうと、前回と比べられなくなります。比べたい項目は、聞き方も選択肢もそのままにしておきます。
よくある失敗と、その避け方
顧客アンケートでつまずきやすい点を、最後に整理します。
失敗1:結果を社内で共有して終わる
集計結果を会議で報告し、「参考になった」で終わってしまう失敗です。報告の場で、改善するものと担当者、期限まで決めることを、あらかじめ会議の目的にしておきます。決める人が出席していない会議で報告しても、改善は動きません。
失敗2:調査のたびに設問を作り直す
毎回新しい設問を作ると、前回と比べられず、改善の効果が確かめられません。全体の評価と、続けて追いたい場面の評価は、聞き方も選択肢も固定します。新しく知りたいことは、固定した設問に加える形で聞きます。
失敗3:満足している人の声ばかりを読む
アンケートに答えてくれるのは、比較的好意的な顧客であることが多いものです。高い評価だけを見て安心すると、離れていった顧客の不満を見落とします。低い評価の回答と自由記述の不満は、件数が少なくても必ず目を通します。解約した顧客に短いアンケートを送ると、普段のアンケートでは見えない理由が分かることがあります。
失敗4:返信を約束したまま放置する
「ご意見にはお返事します」と書いたのに返信しないと、アンケートに答えたことがかえって不満の種になります。返信を約束する場合は、誰がいつまでに返すかを決めてから配ります。返信できる体制がないなら、約束しない書き方にとどめます。
回答の受け付けと対応を1か所で回す道具
アンケートを作るだけなら、Googleフォームのような無料の道具で十分です。Googleのヘルプによると、Googleフォームではオンラインのアンケートを作って送り、回答をリアルタイムで分析できます。回答はGoogleスプレッドシートに書き出せるので、集計も表計算で進められます。回答への個別の返信が要らない調査なら、これで不足はありません。
一方で、回答が届いたあとの対応まで考えると、作業が複数の道具に分かれがちです。回答はフォームの画面か表計算ソフトで見て、担当や対応状況は表に手で書き込み、返信はメールソフトから送る。回答の数が増えると、どの回答に誰が返信したかが分からなくなります。
フォームと回答の管理を1つにする選択肢
回答のあとの対応まで1か所で済ませたい場合は、Halictのように、フォームと回答の管理を1つにした道具があります。公式サイトの案内によると、Halictではフォームを作り、届いた回答1件ごとに担当者・ステージ(対応の段階)・タグを残して、同じ画面から返信を送れます。送ったメールの開封とクリックも記録できます。作りたいアンケートを伝えるとAIが質問の構成の下書きを作る機能や、回答者に1画面1問ずつ表示する形式もあります。
料金は、メンバー1人までのフリープランが0円で、フォームの数と回答の数は無制限、ステージの管理と自動返信も使えます。Googleスプレッドシートへの追記は、メンバー3人までのスタータープラン(月額2,980円・税抜)から使えます。
Halictは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
改善のタスクをチームで回すとき
アンケートから決まった改善を複数の人で進める場合は、改善のタスクを担当と期限つきで共有できる道具があると、進み具合を追いやすくなります。ボードやガントチャートでタスクを管理できるPinatecaは、5人までのチームなら無料で使え、カードの中のチェックリストで細かい手順の進み具合も見られます。アンケートの改善を1枚のカードにし、担当者と期限をつけてボードに並べると、どの改善が止まっているかが会議の前に分かります。ガントチャートのボードに切り替えれば、改善の期間が横棒で並ぶので、次のアンケートを配る日までに終わるかどうかも見通せます。
Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
顧客アンケートの例(項目の選び方を当てはめる)
ここまでの考え方を当てはめて、小さな美容室が「予約の方法を見直すかどうか」を決めるためのアンケートを組んでみます。
| 番号 | 種類 | 設問 | 形式 |
|---|---|---|---|
| 1 | 回答者を分ける | 当店のご利用は何回目ですか | 選択式 |
| 2 | 行動 | 前回はどの方法で予約しましたか | 選択式(Web・電話・店頭・その他) |
| 3 | 場面ごとの評価 | 予約のしやすさはいかがでしたか | 5段階 |
| 4 | 理由 | 予約のときに不便に感じた点があれば選んでください | 複数選択(その他の欄つき) |
| 5 | 行動 | 次回、使いたい予約の方法はどれですか | 選択式 |
| 6 | 全体の評価 | 全体としての満足度を教えてください | 5段階 |
| 7 | 理由 | 次回までに改善してほしいことを1つ挙げてください | 自由記述 |
7問で、回答にかかる時間は3分程度です。決めたいことが「予約の方法の見直し」なので、施術の内容や料金についての設問は入れていません。それらは別の機会に、別の決めたいことのために聞きます。
美容室やサロンでは、予約や顧客の管理にクラウドのサービスを取り入れる動きも広がっています。予約・顧客管理・決済をまとめて導入する考え方は、美容・サロン業界のDX2026|予約管理 × 顧客管理 × 決済のSaaS一括導入で整理されています。
アンケートの設計と分析を仕事にする
顧客アンケートの設計と分析は、多くの会社が必要としながら、社内に詳しい人がいない分野です。外部の力を借りる会社も少なくありません。
求められる力
項目の選び方、偏りの出ない聞き方、集計と分析、結果を改善につなげる提案。この一連の流れを担える人は、マーケティングの支援の仕事で頼られます。こうした仕事はAI・マーケティング・セキュリティのお仕事で紹介されています。調査の設計や統計の分析を専門とする仕事の報酬の目安は、研究者の年収・単価相場が参考になります。
中小企業の経営の改善を支援する専門家として、中小企業診断士の資格があります。顧客の声をもとに経営の課題を整理し、改善の計画を立てる支援は、この資格を持つ人の仕事の1つです。
運営者として見てきたこと
2004年から在宅ワークとフリーランスの仲介を続けてきた中で、アンケートの集計や分析を外部に頼む会社が、作業を頼むだけでなく「結果をどう読めばよいか」の助言を求めていることをよく見てきました。数字をまとめるだけの人より、結果から次に何をすべきかまで提案できる人のほうが、長く仕事を任されています。依頼者と直接やり取りできる形なら、仲介の取り分が無い分、同じ予算でも受け手の手元に残る額が厚くなり、依頼者も分析や提案に予算を回せます。
よくある質問
Q. 顧客アンケートの設問は何問くらいが適切ですか?
回答にかかる時間が5分程度に収まる量が目安です。選択式なら1問10秒から20秒、自由記述なら1問1分程度かかるので、全体で6問から10問程度になります。設問が多すぎるときは、判断に使わない項目、社内の記録で分かる項目、他の項目から推測できる項目の順に削ります。冒頭に所要時間を書いておくと、回答を始める人が増えます。
Q. 顧客アンケートで名前やメールアドレスを聞いてもよいですか?
聞くことはできますが、個人情報を取得することになるので、何のために使うのかをフォームの冒頭などで事前に示す必要があります。返信や連絡が要らない調査なら、名前やメールアドレスを聞かない設計にするのが安全です。聞く場合も、回答者が任意で記入できるようにしておくと、答えにくさが減ります。
Q. 満足度は5段階と10段階のどちらで聞くべきですか?
一般的には5段階がよく使われ、回答者が迷いにくいのが利点です。NPSを使う場合は0から10の11段階で聞くのが決まりです。どちらを使う場合も、良い側と悪い側の選択肢の数をそろえ、一度決めた段階の数を次の調査でも変えないことが大切です。段階の数を変えると、前回の結果と比べられなくなります。
Q. アンケートの結果を改善につなげるには何から始めればよいですか?
まず、強い不満や返信の希望がある回答に、担当を決めて早めに返信します。次に、集計から出た改善の候補を、顧客への影響の大きさと取り組む手間で並べ、取り組むものに担当と期限をつけます。改善したら顧客に結果を伝え、次のアンケートで同じ項目を同じ聞き方で聞いて、評価が変わったかを確かめます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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