アンケートを集める方法と、回答率を落とさない設計のしかた


この記事のポイント
- ✓アンケートを集める方法を
- ✓Webフォーム・紙・メール・調査会社のパネルに分けて比べ
- ✓回答率を落とさない設問の数や順番
アンケートを作ったのに回答が集まらない。あるいは、集まったけれど途中で答えるのをやめた人が多く、使える回答が少ない。アンケートの収集でつまずく原因の多くは、質問の中身より、集め方と設計にあります。誰に、どの経路で、何問を、どんな順番で聞くか。この組み立てが合っていないと、どれだけ良い質問を用意しても回答は集まりません。
この記事では、アンケートを集める方法を、Webのフォーム、紙、メール、調査会社のパネルの4つに分けて比べ、目的に合った選び方を整理します。そのうえで、回答率を落とさない設問の数と順番、依頼文の書き方、締め切りとリマインドの設計を順に説明します。集めた後に、回答者一人ひとりへのお礼や個別の対応が必要な場面では、回答に担当を付けて同じ画面から返信まで送れるフォームの道具 Halict も役に立ちます。
アンケートの収集で最初に決める3つのこと
アンケートを作り始める前に、次の3つを決めておきます。ここが曖昧なまま質問を並べ始めると、聞きたいことが増え続け、設問の数が膨らんで回答率が落ちます。
- 何を決めるために集めるのか
- 誰に答えてもらうのか
- 何件あれば判断できるのか
1つ目は、アンケートの目的を「知りたいこと」ではなく「決めたいこと」で書くことです。「お客様の満足度を知りたい」ではなく、「来年度もこの講座を続けるか、内容を変えるかを決めたい」と書きます。決めたいことがはっきりすると、それに関係しない質問を外せます。
2つ目は、答えてもらう相手の範囲です。既存のお客様、講座の参加者、社員、まだ取引のない一般の人。相手によって、届ける経路も、答えてもらえる問数も変わります。既存のお客様なら連絡先が分かっているのでメールで依頼できますが、一般の人の意見を集めたいなら、調査会社のパネルを使うなど別の手段が必要になります。
3つ目は、必要な件数です。社内の10人の意見を集めるのと、全国の消費者の傾向をつかむのとでは、必要な件数がまったく違います。統計の一般的な目安として、母集団(調べたい対象の全体)が大きい場合、誤差を前後5%ほどに収めたいなら、およそ400件の回答が必要とされています。ただし、講座の参加者30人の感想を集めるような場面では、全員から回答をもらうことを目指すほうが現実的です。
この3つを1枚の紙に書いておくと、質問を作る段階で迷ったときに立ち返る基準になります。依頼する相手に「このアンケートは何のためですか」と聞かれたときにも、そのまま答えられます。
アンケートを集める4つの方法と向き不向き
アンケートを集める経路は、大きく分けて4つあります。それぞれの特徴を表にまとめると次のようになります。
| 方法 | 費用の目安 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| Webのフォーム | 無料から | 既存のお客様、参加者、社員。連絡先やURLを届けられる相手 | URLを届ける経路が必要。届かなければ答えてもらえない |
| 紙の用紙 | 印刷代と入力の手間 | 店頭、会場、高齢の方が多い場 | 集計のときに手で入力し直す必要がある |
| メール本文での回答 | 無料 | 数問だけ聞きたい、相手が少ない | 返信の形がばらばらになり、集計しにくい |
| 調査会社のパネル | 数万円から、条件で変わる | 一般の消費者の傾向を知りたい、つながりのない相手 | 費用がかかる。質問の設計は自分で考える必要がある |
いちばん多く使われているのは、Webのフォームです。アンケートを作る道具について、メール配信の仕組みを扱う会社は次のように説明しています。
アンケートツールとは、Webアンケートの作成および回答データの収集、さらに分析などができるシステムのことです。通常アンケートフォームを一から構築するにはプログラミングやデザインの知識が必要ですが、アンケートツールを使えば、顧客に対する満足度調査や従業員に対する社内の意見調査などを、誰でも簡単にオンライン上で実施することができます。 出典: webcas.jp
Webのフォームの強みは、回答がそのままデータになることです。紙のように集計のために入力し直す手間がなく、届いた回答を一覧やグラフですぐに確かめられます。Googleフォームのように無料で使える道具もあり、作ってURLを配るまでの時間も短く済みます。
紙の用紙は、古い方法に見えますが、場面によってはWebより回答率が高くなります。セミナーの会場で、終わった直後に配って、その場で回収する形です。参加者が会場にいるうちに書いてもらえるので、後からメールで依頼するより確実に集まります。紙の用紙にQRコードを印刷し、紙でもスマートフォンでも答えられるようにしておくと、集計の手間も減らせます。
調査会社のパネルは、自分とつながりのない人の意見を集めたいときの選択肢です。大手の調査会社は、自社の調査について次のように紹介しています。
「アンケート調査(ネットリサーチ)」は、業界トップクラスの調査実績を誇る、オンライン型アンケートです。国内約3,600万人へのアンケートの実施が可能です。 出典: macromill.com
新しい商品やサービスを考える段階で、まだお客様がいない場合は、こうしたパネルを使わないと意見を集められません。費用は、質問の数や対象の条件、回答の件数で変わるので、調査会社に見積もりを取って確かめます。
Webのフォームで集めるときの手順
ここからは、多くの人が使うWebのフォームでの集め方を、手順で整理します。
手順1:フォームを作る
Googleフォームを例にすると、公式ヘルプの手順は、forms.google.com を開き、空白のフォームを選んで名前を付ける、という流れです。質問の追加、回答の形式の選択、必須の設定を行い、回答をGoogleスプレッドシートに保存するかどうかも選べます。手順の詳細は Googleフォームの使い方のヘルプ で確かめられます。
手順2:設定を確かめてから公開する
公開の前に、回答の送信を1回に限るか、回答の編集を許可するか、送信後に表示する確認メッセージを何にするか、を設定します。Googleフォームの公式ヘルプでは、これらは画面上部の「設定」から変えられると説明されています。公開は右上の「公開」から行い、回答できる人の範囲も選べます。詳しくは フォームを公開して回答者と共有するヘルプ に書かれています。
同じヘルプには、「結果の概要を表示する」をオンにすると、フォームに回答できるすべての人が回答の概要を閲覧できる、という注意も書かれています。社外の人に答えてもらうアンケートでは、意図せず他の人の回答が見えてしまわないよう、この設定は必ず確かめます。
手順3:届ける経路を決める
フォームのURLを、メール、チャット、SNS、紙のQRコードなど、相手に届く経路で配ります。既存のお客様であれば、購入や利用の直後に送る案内のメールの中にURLを入れる方法が、もっとも回答が集まりやすい経路です。体験した記憶が新しいうちに頼めるからです。
ホームページやブログに埋め込む方法もあります。ただし、ページに埋め込んだだけでは、通りがかった人しか答えないため、特定の相手の意見を集めたい場面には向きません。
回答率を落とさない設問の数と所要時間
回答率にもっとも大きく効くのは、設問の数です。質問が多いほど、途中でやめる人が増えます。目安として、相手との関係ごとに次のように考えます。
・関係の浅い相手(一般の人、一度だけ利用したお客様):5問前後、所要時間は3分以内
・関係のある相手(講座の参加者、継続して利用しているお客様):10問前後、所要時間は5分以内
・協力を約束してくれている相手(社員、モニター):20問程度まで
所要時間は、フォームの冒頭に必ず書きます。「所要時間は約3分です」と書いてあるだけで、答え始めてもらえる割合が変わります。書いた時間は、実際に自分で答えてみて測ります。作った本人は質問の意味を知っているので速く答えられますが、初めて見る人は読むのに時間がかかります。家族や同僚に一度答えてもらって測ると、実際の時間に近づきます。
設問を減らすときは、最初に決めた「何を決めるために集めるのか」に戻ります。その答えを聞いても、決めることが変わらない質問は外します。「年齢」や「職業」のような属性の質問も、結果を属性ごとに分けて見る予定がないなら、聞く必要はありません。
自由記述の質問は、回答する人の負担がもっとも大きい形式です。1つのアンケートに1〜2問までに絞り、必須にはしないのが基本です。自由記述を必須にすると、「特になし」のような答えが増えるうえ、そこで答えるのをやめる人も出てきます。
質問の順番と、答えやすい聞き方
設問の数を絞ったら、次は順番と聞き方を整えます。同じ質問でも、並べ方と言葉の選び方で、答えやすさと回答の質が変わります。
順番は「答えやすいものから」
最初の質問は、迷わずに答えられるものにします。「講座に参加したのは何回目ですか」のような、事実を選ぶだけの質問です。最初に重い質問を置くと、そこでやめる人が増えます。
全体の流れは次の順が基本です。
- 事実を選ぶ質問(利用の回数、参加した日など)
- 評価を選ぶ質問(満足度、分かりやすさなど)
- 理由や要望を聞く質問(選択式で)
- 自由記述(任意)
- 属性の質問(必要な場合のみ。年齢、職業など)
属性の質問を最後に置くのは、最初に個人のことを聞かれると警戒する人がいるからです。本題に答えた後なら、抵抗が小さくなります。
答えを誘導しない
聞き方で答えが偏ることがあります。次のような聞き方は避けます。
・「大変好評をいただいている〇〇講座について、満足しましたか」のように、前置きで評価を示す
・「講座の内容と講師の説明に満足しましたか」のように、1つの質問で2つのことを聞く
・「はい」と答えやすい言い回しだけを並べる
2つ目は、内容には満足したけれど講師の説明は分かりにくかった、という人が答えられなくなります。1つの質問では1つのことだけを聞きます。
選択肢は、もれなく重ならず
選択式の質問では、選択肢が重なっていないか、当てはまるものが無い人がいないかを確かめます。年齢を聞くなら「20〜29歳」「30〜39歳」のように区切りを重ねず、最後に「その他」や「答えたくない」を用意しておくと、答えられずにやめる人を減らせます。
満足度のような評価の質問は、5段階で聞くのが一般的です。「とても満足」「満足」「どちらとも言えない」「不満」「とても不満」のように、真ん中を挟んで良い側と悪い側が同じ数になるように並べます。
依頼文の書き方と、謝礼の考え方
アンケートのURLを送るときの依頼文も、回答率を左右します。依頼文に入れる要素は次の5つです。
- 何のためのアンケートか(結果をどう使うか)
- 所要時間と問数
- 締め切りの日付
- 回答の扱い(個人が特定される形で公開しない、など)
- 問い合わせ先
1つ目は、「今後のサービス改善のため」のような決まり文句より、具体的に書いたほうが答えてもらえます。「いただいた回答をもとに、来年度の講座の日程と内容を決めます」と書けば、答える人は自分の回答が何に使われるかを想像できます。
4つ目の回答の扱いは、特に自由記述で本音を書いてもらいたい場合に大切です。名前やメールアドレスを聞く場合は、その情報を何に使うかも書いておきます。個人情報を集める場合の利用目的の示し方は、個人情報保護委員会 の事業者向けの案内でも確かめられます。
謝礼を用意するかどうかは、相手との関係と、設問の数で決めます。関係の浅い相手に10問以上をお願いするなら、ちょっとしたお礼があると回答率は上がります。一方で、謝礼を目当てに内容を読まずに答える人も混ざるため、回答の質を見分ける工夫が必要になります。既存のお客様への満足度の調査なら、謝礼よりも「回答をもとに何を変えたか」を後で伝えるほうが、次回以降の協力につながります。
依頼を送る時期と時間帯
同じ依頼文でも、送る時期と時間帯で集まり方が変わります。相手の生活のリズムに合わせて、答える余裕がある時間に届くようにします。
時期でもっとも効くのは、体験の直後です。講座やイベントのアンケートは、終わったその日か翌日に送ります。数日たつと、内容の記憶が薄れて答えにくくなり、「後で答えよう」と思ったまま忘れられます。商品の購入者へのアンケートは、商品が届いて使い始めた頃を見計らって送ると、使った感想を具体的に書いてもらえます。
避けたい時期もあります。年末年始や大型連休の直前、年度末のような、相手が忙しい時期です。法人の担当者に頼むアンケートなら、月末や月初の締めの作業が重なる日も避けます。
時間帯は、相手が誰かで変わります。会社員に向けたアンケートなら、出勤前や昼休みにスマートフォンで見てもらえる時間帯、事業者に向けたアンケートなら、業務の始まる時間の少し後が読まれやすい時間です。メールの配信の道具の多くは送る時刻を予約できるので、作業した時刻に関係なく、届けたい時刻を選べます。
同じ相手に何度もアンケートを送る場合は、間隔にも気を配ります。毎月のように依頼が届くと、相手は答えることに疲れ、回答率が少しずつ下がっていきます。年に何回まで頼むかを決め、聞きたいことは1回にまとめるようにします。
締め切りとリマインドの設計
アンケートの回答は、依頼を送った直後に集中し、その後は急に減っていきます。何もしないと、最初の数日で集まった分で終わってしまいます。そこで、締め切りとリマインドを最初から計画に入れておきます。
目安になる流れは次のとおりです。
・1日目:依頼を送る。締め切りは1週間後から10日後に設定する
・4〜5日目:まだ答えていない人に、1回目のリマインドを送る
・締め切りの前日:最後のリマインドを送る
・締め切り後:お礼と、結果をいつ共有するかを伝える
締め切りを長くしすぎると、「後で答えよう」と思ったまま忘れる人が増えます。1週間から10日程度が、忘れずに答えてもらえる長さの目安です。
リマインドは、すでに答えた人には送らないのが理想です。答えた人に「まだの方は」というメールが届くと、手間を取らせたうえに、ちゃんと送れたか不安にさせます。答えた人と答えていない人を分けるには、回答者のメールアドレスを集めるか、一人ひとりに別のURLを送る仕組みが必要になります。
リマインドの文面は、最初の依頼文より短くします。締め切りの日付と、所要時間と、URLの3つがあれば十分です。
集めた後に回答者へのフォローが必要な場面
アンケートは、集めて集計したら終わり、という使い方が多いものです。ただ、場面によっては、回答者一人ひとりへの対応が必要になります。
・満足度の調査で「とても不満」と答えた人に、事情を聞いて対応したい
・自由記述に、問い合わせや要望が書かれている
・イベントの参加の意向を聞き、参加すると答えた人に案内を送りたい
・回答者に、お礼と結果の共有を個別に送りたい
こうした場面では、回答を集計の表に並べるだけでは足りません。誰がその回答に対応するのか、対応が済んだのか、を一件ずつ記録する必要があります。表計算ソフトに担当者や状況の列を追加して手で埋め、返信は別のメールソフトで送る、という運用はよく見られますが、件数が増えると、誰が誰に返したかが追えなくなります。
回答の受付から返信までを1つの画面で扱える道具を無料から試す
アンケートの回答に、担当を決めて個別に返事をする場面が多いなら、受付から返信までを1つの画面で扱える道具を選ぶ方法があります。
その1つが Halict です。公式サイトによると、Halict はフォームを作って受け付けた回答を一件ごとに担当と状況つきで管理し、返信も同じ画面から送れて、開封まで記録される、受付から対応までのフォームの道具です。公式サイトに挙げられている主な機能は次のとおりです。
・作りたいフォームを一言で伝えると、AIが質問や選択肢、必須の設定まで下書きを作る
・回答する人には目の前の1問だけを表示する、1画面1問の形式
・テキスト、選択肢、評価、日付、メールなど12種類の項目
・届いた一件ごとに担当と状況が残り、同じ画面から返信を送れる
・自動返信、CSVの書き出し
・有料のプランでは、Googleスプレッドシートとの連携、Teams・Slack・Chatwork への通知、一斉メールと開封・クリックの計測、メールのひな形
1画面1問の形式は、この記事で扱った回答率の話と関係があります。回答する人には今の1問だけが見え、進み具合が表示されるので、残りの量に圧倒されずに最後まで進めやすくなります。回答の一覧は、ワンクリックでCSVに書き出して集計に回せます。
料金はメンバーの人数で決まり、公式の料金ページでは、フリーのプランは0円でメンバー1人まで、フォームの数と回答の数はどのプランでも無制限と書かれています。3人まで使うスターターは月額2,980円(税抜)、10人まで使うチームは月額7,800円(税抜)で、年払いは2か月分が無料になります。回答者全員へのお礼と結果の共有を一斉メールで送り、開封まで確かめたい場合は、チームのプランが対象です。
集計だけが目的のアンケートなら、Googleフォームのような無料の道具で十分です。回答の後に個別の対応が発生するアンケートを、ひとりで回しているなら、フリーのプランで1つ作って、回答の受付から返信までを試してみると判断しやすくなります。
Halictは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
回答の質を確かめるためのチェック
回答が集まったら、集計の前に回答の質を確かめます。すべての回答が丁寧に書かれているとは限らないからです。
確かめる点は次のとおりです。
・同じ人が何度も回答していないか(メールアドレスや送信の時刻で確かめる)
・すべての評価の質問で同じ選択肢を選んでいる回答が多すぎないか
・自由記述に、質問と関係のない文字が並んでいないか
・回答にかかった時間が極端に短いものがないか(記録できる道具の場合)
明らかに内容を読まずに答えた回答は、集計から外すかどうかを決めます。外す基準は、集計を始める前に決めておきます。結果を見てから都合の悪い回答を外すと、結果が歪みます。
回答の件数そのものが少なかった場合も、すぐに結論を出さず、誰が答えたのかを見ます。たとえば講座の参加者30人のうち8人しか答えていないなら、その8人は講座に強い関心を持っている人か、強い不満を持っている人に偏っている可能性があります。答えなかった22人の意見は、結果に入っていません。件数が少ないときは、結果を「答えた人の傾向」として扱い、全体の意見と言い切らないようにします。次の回は、依頼の時期や経路を変えて、答えてもらえる人の幅を広げる工夫をします。
回答の質を上げる工夫として、本題の途中に「この質問では『どちらとも言えない』を選んでください」のような確認の質問を1つ入れる方法も、調査会社ではよく使われています。謝礼のある大規模なアンケートで、読まずに答える人を見分けるための方法です。
紙とWebを併用するときの集め方
会場やお店でアンケートを集める場合、紙の用紙とWebのフォームを併用する場面がよくあります。併用すると回答の機会は広がりますが、集計の段階で2つの回答を1つにまとめる手間が生まれます。最初から次の点を決めておくと、その手間を小さくできます。
1つ目は、紙とWebで質問の文と選択肢を完全にそろえることです。紙では「満足」、Webでは「やや満足」のように言葉がずれていると、集計のときにどちらに数えるか迷います。Webのフォームを先に作り、その画面を見ながら紙の用紙を作ると、ずれが起きにくくなります。
2つ目は、紙の回答を入力する先を、Webの回答が溜まる表と同じにすることです。Googleフォームのように回答がスプレッドシートに保存される道具なら、紙の回答を担当者がフォームから入力し直す方法がいちばん確実です。列の並びや選択肢の書き方が、Webの回答と自動でそろいます。
3つ目は、紙の用紙に通し番号を振っておくことです。入力した後で、どの用紙を入力したかを確かめられるので、二重に入力したり、入力し忘れたりするのを防げます。入力が終わった用紙は、集計が終わるまで番号順に保管しておきます。
紙の用紙にQRコードを印刷しておくと、スマートフォンで答えたい人はその場でWebから回答でき、紙の入力の件数そのものを減らせます。高齢の方が多い会場では紙、若い世代が多い会場ではQRコードを大きく示す、というように、会場の顔ぶれで重心を変えると集まり方が変わります。
社内のアンケートで気をつけること
社員や職員に向けたアンケートは、お客様向けとは別の難しさがあります。回答する人が、答えた内容で自分が評価されるのではないかと心配するからです。特に、職場の環境や上司への意見を聞くアンケートでは、本音が集まらないと、取った意味がなくなります。
社内のアンケートで回答の質を保つには、次の点を依頼文と設計の両方で守ります。
・記名か無記名かを、依頼文の最初に書く
・無記名にするなら、部署や年代の選択肢を細かくしすぎない(少人数の部署では個人が分かってしまう)
・誰が回答を見るのか、結果をどの範囲に共有するのかを書く
・回答しなかったことで不利益がないことを書く
2つ目は見落とされがちです。無記名と書いてあっても、「部署」と「年代」と「勤続年数」を組み合わせれば、数人しかいない部署では誰の回答かが分かります。回答する人もそれに気づくので、正直に答えなくなります。属性の質問は、結果を分けて見るために最低限必要なものだけにします。
結果の共有も大切です。社内のアンケートは、同じ相手に何度も協力を頼むことになります。前回の結果と、それを受けて何を変えたのかを伝えておくと、次の回答率が保たれます。何も変わらなかった場合も、検討した結果と理由を伝えるほうが、何も伝えないよりも信頼を損ないません。
集めた回答を集計する前に整えること
回答の収集が終わったら、集計の前に回答の表を整えます。この段階を飛ばして集計を始めると、後から数字が合わなくなります。
整える作業は次の順で進めます。
- 回答の表をコピーし、元の表には手を付けずに残す
- テストで送った回答や、重複した回答を外す
- 自由記述の表記の揺れ(全角と半角、「特になし」「なし」など)をそろえる
- 複数の選択肢を選べる質問は、選択肢ごとに列を分けて、選んだかどうかで表す
- 集計から外した回答と、その理由を別の表に記録する
1つ目は、作業の間違いに備えるためです。元の表を残しておけば、途中で何かを消してしまっても、最初からやり直せます。
4つ目は、Excelやスプレッドシートで集計するときに効いてきます。Googleフォームのチェックボックスの回答は、選んだ選択肢がカンマで区切られて1つのセルに入ります。このままでは選択肢ごとの数を数えにくいため、選択肢ごとの列に分けておくと、後の集計が簡単になります。
単純集計(質問ごとに、それぞれの選択肢を選んだ人数と割合を数えること)と、クロス集計(年代別、利用の回数別のように、2つの質問を掛け合わせて数えること)のどちらを行うかも、この段階で決めておきます。クロス集計をするなら、掛け合わせる質問の回答に空欄がないかも確かめます。
結果を回答者に共有する
アンケートの最後の仕事は、答えてくれた人に結果を伝えることです。この一手間を省く運営者は多いのですが、次にアンケートを頼むときの回答率に大きく影響します。
共有する内容は、全部の集計表である必要はありません。次の3つを短くまとめれば十分です。
・何件の回答をいただいたか
・主な結果(満足度の割合や、多かった要望の上位)
・結果を受けて、何を変えるか、何を続けるか
自由記述の中に、そのまま伝えたい声があれば、個人が特定されない形で1〜2件紹介すると、答えた人に「読まれている」ことが伝わります。
共有の方法は、メール、ホームページのお知らせ、次回の講座の冒頭での口頭の報告など、相手に届きやすい経路を選びます。回答者のメールアドレスを集めている場合は、一斉のメールで送ると確実です。ただし、その場合は、アンケートの依頼の段階で、結果の共有のために連絡することを伝えておきます。
アンケートの設計と集計を、仕事として受ける側から見る
アンケートの設計や集計、結果の報告は、在宅で受けられる仕事としても依頼が出ています。小さな会社や団体では、アンケートを取りたいけれど、質問の作り方や集計の仕方に自信がない、という担当者が多いからです。
アンケートの結果を分析し、報告書にまとめる仕事は、データの扱いに慣れた人に向いています。調べて分析する仕事の相場は、研究者の年収・単価相場で確かめられます。結果をグラフや資料に見やすく整える仕事は、デザイナーの年収・単価相場の中で扱われる仕事と重なります。生成AIを使って自由記述を分類する、といった新しいやり方を提案する仕事は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で業務の内容が紹介されています。
フリーランス・在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見ると、アンケートの仕事で次の依頼につながる人は、集計の表を納めて終わりにしません。「この結果から、次に何を変えるとよいか」まで一言添えています。依頼主が本当に欲しいのは集計の数字ではなく、決めるための材料だからです。中間の仲介料がかからない直接の取引であれば、同じ予算で依頼主はより多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなります。結果の読み方まで提案できる人ほど、長く頼まれます。
よくある質問
Q. アンケートの回答率を上げるにはどうすればよいですか?
設問の数を絞り、所要時間をフォームの冒頭に書くことがもっとも効きます。関係の浅い相手なら5問前後で3分以内が目安です。依頼文には、結果を何に使うか、締め切り、回答の扱いを書きます。締め切りは1週間から10日後にし、途中と締め切りの前日にリマインドを送ると、依頼の直後に集中する回答を後半にも伸ばせます。
Q. アンケートは何件集めればよいですか?
目的と対象の範囲で変わります。社内や講座の参加者のように対象が少ない場合は、全員からの回答を目指します。一般の消費者の傾向をつかみたい場合は、統計の一般的な目安として、誤差を前後5%ほどに収めるにはおよそ400件の回答が必要とされています。件数より先に、何を決めるために集めるのかを決めておくと、必要な件数も決めやすくなります。
Q. 無料でアンケートを集める方法はありますか?
Googleフォームのような無料のフォーム作成サービスを使えば、作成から公開、回答の集計まで無料で行えます。URLをメールやチャット、SNSで配り、紙の案内にはQRコードを印刷すると、紙とスマートフォンの両方から回答を集められます。つながりのない一般の人の意見が必要な場合は、調査会社のパネルなど有料の手段が必要になります。
Q. アンケートで個人情報を集めるときの注意点は何ですか?
名前やメールアドレスを聞く場合は、その情報を何に使うかをフォームの冒頭や依頼文に書いておきます。結果の共有やお礼の連絡に使うだけなら、そのように書きます。必要のない個人情報は聞かないのが基本で、属性の質問も、結果を分けて見る予定がないなら外します。Googleフォームでは、結果の概要の表示の設定によって他の回答者に回答が見えることがあるため、公開前に確かめます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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