タイムカードをエクセルで集計する|計算式の作り方


この記事のポイント
- ✓タイムカードの打刻をエクセルで集計する方法を
- ✓実働時間・残業・深夜の計算式
- ✓日付をまたぐ勤務の扱い
タイムカードの打刻をエクセルで集計したいと考える人の多くは、「紙のタイムカードを毎月手で足し算していて時間がかかる」「アルバイトが数人いる小さなお店や事務所で、勤怠管理のシステムを入れるほどではない」という状況にあります。エクセルは、時刻の引き算と合計さえ正しく組めば、無料で使える勤怠の集計表になります。この記事では、表の作り方、実働時間・残業・深夜の計算式、日付をまたぐ勤務の扱い、合計が24時間を超えたときの表示、給与への換算、そして記録の保存期間までを、そのまま使える式とあわせて説明します。
タイムカードをエクセルで集計する人が多い理由
勤怠の記録は、従業員を1人でも雇えば必ず必要になります。そのうえで、小さな事業所ほどエクセルで集計する形が選ばれています。
始業と終業の記録は会社の義務
働いた時間を記録することは、会社の任意の取り組みではありません。厚生労働省のガイドラインは、会社が始業と終業の時刻を確認して記録すること、そしてその方法を次のように定めています。
使用者は、労働時間を適正に把握するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること。 (中略)タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること。 出典: 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
ここで大事なのは、「何時間働いたか」の合計だけでなく、「何時に始めて何時に終えたか」を日ごとに残すことです。合計だけの記録では、残業や深夜の時間を後から切り分けられません。タイムカードの打刻をエクセルに写すときも、出勤と退勤の時刻をそのまま入力し、時間の計算は式に任せる作りにします。
紙のタイムカードとエクセルを組み合わせる形
打刻そのものは紙のタイムカードや打刻機で行い、月末にその時刻をエクセルへ入力して集計する、という形が小さなお店や事務所では多く見られます。打刻機は客観的な記録になり、エクセルは計算と一覧の役割を担います。
この組み合わせには、次のような利点があります。
- 打刻機の記録が原本として残るため、入力の誤りがあっても後から照らし合わせられる
- エクセルは多くのパソコンに入っており、新しい道具の契約や月額の費用が要らない
- 給与の計算や、税理士・社会保険労務士への資料の受け渡しに、そのまま使える
一方で、入力の手間と、式の誤りに気づきにくいという弱点もあります。この点は後の節で詳しく扱います。
集計表を作る前に決めておくこと
式を組む前に、表の形と、勤務のルールを決めておきます。ここが曖昧なまま作り始めると、途中で列を足したり式を書き換えたりすることになります。
1人1シート、1か月1枚を基本にする
最も扱いやすいのは、従業員1人につき1枚のシートを作り、1か月の勤務を1枚に収める形です。行に日付を並べ、列に出勤・退勤・休憩などの項目を並べます。
複数の従業員を1枚の表にまとめる形もありますが、式が複雑になり、1人分を直したつもりが他の人の行まで変わってしまう誤りが起きやすくなります。人数が少ないうちは、1人1シートで作り、シートの名前を従業員の名前にしておくと迷いません。
列の項目を決める
1か月の集計表に用意する列は、次のとおりです。
| 列 | 項目 | 入力か計算か |
|---|---|---|
| A | 日付 | 入力 |
| B | 曜日 | 計算 |
| C | 出勤時刻 | 入力 |
| D | 退勤時刻 | 入力 |
| E | 休憩時間 | 入力 |
| F | 実働時間 | 計算 |
| G | 1日8時間を超えた時間 | 計算 |
| H | 深夜の時間(22時から5時) | 計算 |
| I | 備考 | 入力 |
入力する列と計算する列を分け、計算する列には人が手で数字を入力しないようにします。計算する列のセルに色を付けておくと、入力する人が誤って上書きすることを防げます。
勤務のルールを先に確かめる
式の中身は、勤務のルールで変わります。作る前に、次の点を就業規則や雇用契約書で確かめます。
- 所定の労働時間(例: 9時から18時、休憩1時間)
- 休憩の長さと、取る時間帯
- 残業を何分単位で記録するか
- 深夜に働く人がいるか、日付をまたぐ勤務があるか
- 給与が時給か月給か
休憩の長さには、法律の下限があります。労働基準法第34条は、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を、労働時間の途中に与えるよう定めています。集計表の休憩の列は、この下限を割っていないかを見る場所にもなります。
実働時間を計算する式
ここからが、タイムカードをエクセルで集計する中心の部分です。時刻の入力と、実働時間の式を作ります。
時刻は「9:00」の形で入力する
エクセルは、時刻を1日を1とした小数で扱っています。Microsoft のサポートでも、12時は半日なので0.5と表される、と説明されています。この仕組みのおかげで、退勤の時刻から出勤の時刻を引くだけで、働いた時間が出ます。
時刻は、半角で「9:00」「18:30」のように、時と分をコロンでつないで入力します。「9時」「午後6時半」のような書き方では、エクセルが時刻として扱わず、計算ができません。24時間表記で入力し、午後6時は「18:00」と入力します。
基本の式
出勤が C2、退勤が D2、休憩が E2 のとき、実働時間を出す F2 の式は次のとおりです。
=D2-C2-E2
休憩の時間も時刻と同じ形で、「1:00」(1時間)や「0:45」(45分)と入力します。こうすると、たとえば出勤9:00、退勤18:00、休憩1:00なら、実働時間は8:00と表示されます。
この式を F2 に入力したら、セルの右下の小さな四角をドラッグして、月末の行まで式を写します。出勤と退勤が空欄の日は0:00と表示されますが、合計には影響しません。
日付をまたぐ勤務に対応する式
夜の勤務で、22:00に出勤して翌朝6:00に退勤した場合、「6:00から22:00を引く」とマイナスになり、エクセルは「#####」を表示します。
この場合の対処には、2つの方法があります。
1つ目は、翌日の時刻に24時間を足して入力する方法です。翌朝6:00を「30:00」と入力すれば、30:00から22:00を引いて8:00になります。入力する人がこのルールを知っている必要があります。
2つ目は、式の側で日付のまたぎを吸収する方法です。MOD 関数は、割り算の余りを返す関数で、Microsoft のサポートでは「MOD(数値, 除数)」の書式と説明されています。1日を1とする時刻の差を、1で割った余りにすると、マイナスの差が正しい時間に直ります。
=MOD(D2-C2,1)-E2
この式なら、6:00に退勤しても、22:00に出勤した日の実働時間が正しく出ます。日付をまたぐ勤務が1日でもある職場では、最初からこの式で作っておくと、後で式を書き換える手間がありません。ただし、24時間以上続けて働く勤務には使えません。そのような勤務がある場合は、日付と時刻を一緒に入力する作りにします。
合計が24時間を超えたときの表示形式
実働時間の列を月末で合計すると、多くの人が最初につまずく問題が出ます。
合計が少なく表示される理由
F列を SUM 関数で合計すると、本当は160時間働いているのに「16:00」と表示されることがあります。これは、エクセルの通常の時刻の表示形式が、24時間を超えた分を日付に繰り上げて、時刻の部分だけを見せているためです。計算は正しく、見え方だけが違っています。
表示形式を「[h]:mm」に変える
合計のセルを選び、Ctrl キーと 1 を押して「セルの書式設定」を開きます。「表示形式」の「ユーザー定義」を選び、種類の欄に次のとおり入力します。
[h]:mm
Microsoft のサポートでは、この形式を「経過時間(時間単位)」の表示として、たとえば25.02のような24時間を超える時間を表す形式と説明しています。時の「h」を角かっこで囲むと、24時間で繰り上げずに時間をそのまま数え続けます。
合計のセルだけでなく、1日8時間を超えた時間や深夜の時間の合計のセルにも、同じ表示形式を設定しておきます。
時間を「8.5」のような数に直す
給与の計算では、「8:30」ではなく「8.5時間」という数のほうが扱いやすくなります。エクセルの時刻は1日を1とした小数なので、24を掛ければ時間の数になります。
=F2*24
この式を入れたセルは、表示形式を「標準」か「数値」にします。時刻の形式のままだと、おかしな時刻が表示されます。
残業と深夜の時間を切り分ける式
ガイドラインが求めているのは、通常の時間、時間外の時間、深夜の時間を区別できる記録です。割増賃金の計算のためにも、この3つを分けておきます。
1日8時間を超えた時間
労働基準法第32条は、休憩を除いて1日8時間、1週40時間を超えて働かせてはならないと定めています。これを超えた時間が、法律上の時間外労働になります。1日8時間を超えた時間を出す G2 の式は次のとおりです。
=MAX(F2-TIME(8,0,0),0)
TIME 関数は、時・分・秒を指定して時刻を作る関数です。実働時間から8時間を引き、マイナスになる日(8時間に届かない日)は0にするため、MAX 関数で0と比べています。
会社の所定の労働時間が7時間30分の場合、7時間30分を超えて8時間までの30分は、法律上の時間外ではありませんが、会社の決まりで残業代を払う対象になることがあります。どちらの線で残業を数えるかは就業規則によるため、式の「8」の部分を、会社のルールに合わせて変えます。
週40時間を超えた時間
1日8時間以内でも、週6日働けば1週40時間を超えます。週の合計は、日曜日から土曜日などの区切りを決めて、その7行の実働時間を合計して出します。
週の区切りの行に、次のような式で週の合計と、40時間を超えた時間を出します。
=SUM(F2:F8)
=MAX(SUM(F2:F8)-40/24,0)
40時間は、1日を1とする時刻の世界では「40/24」と書きます。1日8時間を超えた分ですでに数えた時間を、週40時間の超過から差し引いて重複を避ける計算が必要になるため、週の超過を扱う職場では、社会保険労務士に一度式を見てもらうと安心です。
深夜の時間(22時から5時)
労働基準法第37条は、午後10時から午前5時までの間に働かせた時間に、通常の賃金の2割5分以上の割増賃金を払うよう定めています。この深夜の時間は、時間外かどうかに関係なく数えます。
出勤が5時以降で、退勤が翌朝5時までに収まる勤務であれば、深夜の時間を出す H2 の式は次のように組めます。
=MAX(0,MIN(D2+1-(D2>=C2),29/24)-MAX(C2,22/24))
少し長い式なので、中身を分けて説明します。
- 「D2+1-(D2>=C2)」は、退勤が出勤より前の時刻(日付をまたいだ)なら1日を足し、そうでなければそのままにする部分
- 「29/24」は翌朝5時、「22/24」は夜10時を、1日を1とする数で表したもの
- 退勤と翌朝5時の早いほうから、出勤と夜10時の遅いほうを引き、マイナスなら0にする
この式は、深夜の時間帯に休憩を取った場合の差し引きまでは行いません。夜の勤務で休憩を取る職場では、休憩の時間帯を記録する列を別に設けて、深夜の時間から差し引きます。
月60時間を超えた時間外労働
時間外労働が1か月60時間を超えた部分には、5割以上の割増賃金が必要です。厚生労働省のリーフレットは、中小企業についても、この割増率の引き上げが2023年4月1日から適用されていることを説明しています。
中小企業の月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率が50%になります (2023年4月1日から) 出典: 厚生労働省「月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます」
月の時間外労働の合計を時間の数に直したセルが G33 なら、60時間を超えた分は次の式で出せます。
=MAX(G33*24-60,0)
残業が多い月がある職場では、この行を用意しておくと、割増率の違う時間を見落としません。
打刻の端数と給与への換算
時間を正しく計算できても、端数の扱いと給与への換算を誤ると、払うべき賃金が合わなくなります。
毎日の打刻を切り捨てない
「15分単位で切り捨てて記録する」という運用は、多くの職場で見られます。しかし、毎日の労働時間を切り捨てると、切り捨てた分の賃金が支払われないことになります。賃金は働いた分を全額払うのが原則なので、エクセルでは1分単位の時刻をそのまま入力して計算し、毎日の切り捨てはしない作りにするのが一般的です。
エクセルには、FLOOR.MATH 関数のように、指定した単位の倍数に切り捨てる関数があります。Microsoft のサポートでは「FLOOR.MATH(数値, 基準値, モード)」の書式と説明されています。たとえば「=FLOOR.MATH(F2,TIME(0,15,0))」とすれば15分単位の切り捨てになりますが、労働時間を減らす方向で使うと賃金の未払いにつながるおそれがあります。端数の扱いを決めるときは、労働基準監督署や社会保険労務士に確認してから式に組み込みます。
時給で給与を出す式
時給の人の給与は、実働時間の合計を時間の数に直し、時給を掛けて出します。時給を J1 のセルに入力しておき、合計の実働時間が F33 なら、式は次のとおりです。
=F33*24*$J$1
「$J$1」のようにドル記号を付けると、式を他のセルに写しても、時給のセルを指したまま変わりません。実働時間の合計にはすでに時間外や深夜の時間も含まれているので、時間外の時間には時給の0.25倍、深夜の時間にも時給の0.25倍の上乗せを別に計算し、最後に足し合わせます。月60時間を超えた時間外の部分は、上乗せを0.5倍にします。
計算の結果には1円未満の端数が出ることがあります。端数を切り捨てるか、四捨五入するかは会社の決まりによります。ROUND 関数や ROUNDDOWN 関数で処理し、どちらを使うかを就業規則と合わせておきます。
曜日を自動で表示する
A列の日付から曜日を出すと、土日や祝日の勤務が見分けやすくなります。B2 に次の式を入れます。
=TEXT(A2,"aaa")
「aaa」は「月」「火」のような曜日の短い表示です。土曜と日曜の行に色を付けるには、「ホーム」の「条件付き書式」から、曜日の列が「土」または「日」の行に色を付けるルールを作ります。
エクセルで集計するメリットとデメリット
タイムカードの集計をエクセルで続けるかどうかは、メリットとデメリットを比べて決めます。
メリット
- 多くのパソコンに入っており、追加の費用がかからない
- 会社の勤務のルールに合わせて、列や式を自由に変えられる
- 給与の計算、税理士や社会保険労務士への資料の受け渡しに、そのまま使える
- 紙のタイムカードと組み合わせれば、原本と集計の両方が手元に残る
従業員が数人で、勤務の形がほぼ同じであれば、エクセルで十分に回せます。インターネットには、無料で使える勤怠のテンプレートも多く公開されています。テンプレートを使う場合も、中の式がこの記事で説明した考え方と合っているかを確かめてから使います。
デメリット
- 打刻の時刻を月末に手で入力するため、入力の誤りが起きやすい
- 式の誤りや、誰かが式を上書きしたことに気づきにくい
- 従業員が増えると、シートが増えて集計の手間が膨らむ
- 有給休暇の残り日数や、月ごとの時間外の上限の管理を、別の表で行う必要がある
- 法律の改正があったとき、式の見直しを自分たちで行う必要がある
特に気をつけたいのが、式の上書きです。計算する列に誰かが手で「8:00」と入力すると、その日は式ではなく数字になり、出勤や退勤を直しても実働時間が変わらなくなります。計算する列のセルは「校閲」の「シートの保護」で保護しておき、入力する列だけを編集できるようにしておくと防げます。
勤怠管理のシステムを検討する目安
エクセルからクラウドの勤怠管理システムへの移行を考える目安は、次のような場面です。
- 従業員が10人を超え、月末の入力に半日以上かかるようになった
- 在宅勤務や直行直帰が増え、紙のタイムカードで打刻できない人が出てきた
- シフトの形が人によって違い、式を共通にできなくなった
在宅勤務の勤怠を整える費用は、条件によって国の助成の対象になることがあります。テレワークの導入に使える助成の種類と条件は、テレワーク 助成金 2026で整理しています。また、勤怠管理のソフトの導入費用には、IT導入補助金が使える場合があります。介護や福祉の事業所の例は、介護・福祉事業所のDX化2026|IT導入補助金で介護記録を完全デジタル化で紹介しています。
タイムカードの記録は何年保存するか
エクセルの集計表と打刻の原本は、作って終わりではなく、決められた期間保存します。
法律は5年、当分の間は3年
労働基準法第109条は、労働者名簿、賃金台帳、賃金その他労働関係に関する重要な書類を5年間保存するよう定めています。厚生労働省の Q&A は、出勤簿やタイムカードの記録、始業と終業の時刻など労働時間の記録に関する書類がこれに含まれること、そして保存期間を次のとおり説明しています。
改正法の施行日以後、上記の記録の保存期間は、現行の3年から5年に延長されます。ただし、経過措置として、当分の間は3年が適用されます。 出典: 厚生労働省「改正労働基準法等に関するQ&A」
法律の本則は5年で、経過措置として当分の間は3年が適用されている、という扱いです。将来の見直しに備え、5年は保存しておく運用にしておくと、後から慌てずに済みます。条文そのものは e-Gov の労働基準法で確かめられます。
保存するのは原本と集計表の両方
エクセルの集計表は、打刻機の記録を写したものです。入力の誤りがあったときに照らし合わせられるよう、紙のタイムカードや打刻機のデータも、集計表と同じ期間保存します。
エクセルのファイルは、月ごとにファイル名を「2026年10月_勤怠」のように日付を入れて保存し、毎月の締めの後に書き換えないようにします。締めた後のファイルを PDF にして別のフォルダに保存しておくと、誤って式が変わっても、当時の集計を確かめられます。
集計表を作った後に確かめること
式を組んだら、実際の給与の計算に使う前に、試しの数字で答え合わせをします。
手計算と突き合わせる
1か月分を試しに入力し、数日分の実働時間を電卓で計算して、エクセルの結果と合っているかを確かめます。特に、日付をまたぐ日、休憩のない日、休日に出勤した日など、ふだんと違う日を選んで確かめます。
確かめるときに見るのは、次の点です。
- 日付をまたぐ勤務で、マイナスや「#####」が出ていないか
- 合計のセルが、24時間を超えて正しく表示されているか
- 深夜の時間が、22時から5時の範囲だけで数えられているか
- 時給の計算で、時間の数(24を掛けたもの)を使っているか
毎月の締めの手順を決める
毎月の集計を同じ手順で行うと、誤りが減ります。たとえば、次のような順番を決めておきます。
- 打刻の原本を見ながら、出勤・退勤・休憩を入力する
- 実働・時間外・深夜の合計を確かめる
- 本人に集計の結果を見せて、確認してもらう
- 給与の計算に回し、ファイルを PDF にして保存する
3つ目の、本人に確認してもらう手順は、打刻の漏れや入力の誤りを早く見つけるのに役立ちます。
集計表でよく起きる誤りと直し方
式が正しくても、入力の仕方で計算が崩れることがあります。毎月の集計で出やすい誤りと、その直し方を整理します。
時刻が文字として入力されている
全角の数字やコロンで「9:00」と入力すると、エクセルはそれを時刻ではなく文字として扱います。見た目は時刻でも、引き算をすると「#VALUE!」というエラーが出ます。セルを選んだときに左寄せで表示されていれば、文字として入っている合図です。
直すには、半角で入力し直します。入力する人が全角のまま打ち込んでしまう場合は、出勤と退勤の列を選び、「データ」の「データの入力規則」で、時刻だけを受け付ける設定にしておくと、誤った入力をその場で止められます。
休憩の入力漏れ
休憩の列が空欄の日は、実働時間が休憩を含んだ長さで計算されます。休憩を取ったのに入力を忘れると、その日の実働時間が1時間長くなり、残業の時間まで変わります。
休憩の長さが毎日同じ職場では、休憩の列に既定の値を最初から入力しておき、休憩を取らなかった日だけ0:00に直す運用にすると、入力漏れが起きにくくなります。逆に、休憩の長さが日によって違う職場では、空欄のままだと気づけるよう、休憩の列が空欄の行に色を付ける条件付き書式を設定しておきます。
出勤だけ、退勤だけが入力されている
打刻を忘れた日は、出勤か退勤のどちらかが空欄になります。このとき実働時間の式は、マイナスや極端に長い時間を返します。打刻を忘れた日の時刻は、本人に確かめ、上司が承認したうえで入力し、備考の列に「打刻忘れ、本人申告」のように経緯を残します。
ガイドラインは、自己申告で時間を記録する場合、実際の労働時間と合っているかを必要に応じて確かめ、補正するよう求めています。打刻忘れの日の扱いを決めておくことは、この確認の手順にもなります。
有給休暇と欠勤を同じ表で記録する
タイムカードの集計表に、休みの記録も一緒に残しておくと、月ごとの勤務の全体が1枚で分かります。
区分の列を設ける
備考の列とは別に、「区分」の列を1つ設け、「出勤」「有休」「欠勤」「休日」「休日出勤」のように、その日の扱いを入力します。区分の列にはプルダウンを設定し、決まった言葉だけを選べるようにしておくと、表記の揺れが起きません。
区分ごとの日数は、COUNTIF 関数で数えられます。区分の列が K列なら、有給休暇を取った日数は次の式で出ます。
=COUNTIF(K2:K32,"有休")
有給休暇の管理簿は別に作る
年に10日以上の有給休暇が与えられる人には、会社が年5日を取らせることが義務になっており、その記録として年次有給休暇管理簿を作ります。管理簿は、前の節で触れた厚生労働省の Q&A でも、保存期間が延長された記録の1つとして挙げられています。
月ごとの集計表は1か月で区切られるため、年単位で見る有給休暇の残りや取得日数の管理には向きません。集計表の区分の列で数えた日数を、年単位の管理簿に毎月写す形にすると、2つの表の役割が分かれて扱いやすくなります。
パートやアルバイトの集計で気をつけること
パートやアルバイトの人は、日によって勤務の時間が違うことが多く、正社員と同じ式では足りない場面があります。
所定の時間が日によって違う
月曜は4時間、土曜は8時間というように、日ごとに所定の時間が違う人の場合、会社の決まりで残業代を払う線も日によって変わります。この場合は、所定の時間を入力する列を1つ設け、「実働時間から所定の時間を引いた分」を会社の決まりの残業として出します。
=MAX(F2-L2,0)
L列に、その日の所定の時間を「4:00」「8:00」のように入力します。法律上の時間外(1日8時間、週40時間を超えた分)とは別の数字になるため、2つの列を分けて残しておくと、割増賃金の計算で取り違えません。
掛け持ちで働く人の時間
労働時間は、事業主が違っても通算して数えるという扱いがあります。副業で別の会社でも働いている人がいる場合、自社の集計表だけでは週40時間を超えたかどうかが分かりません。副業や兼業を認める職場では、本人から他社での勤務の時間を申告してもらう仕組みを、厚生労働省の副業・兼業のガイドラインに沿って決めておきます。
年の途中の働き方の変化を残す
学生のアルバイトが長期の休みだけ勤務を増やすなど、年の途中で働く時間が大きく変わる人もいます。社会保険や雇用保険の加入の条件は週の所定の労働時間などで決まるため、月ごとの集計表で週の実働時間の推移を見ておくと、加入の手続きが必要になったときに早く気づけます。
在宅勤務の勤怠をエクセルで記録するとき
在宅勤務の人は、事務所の打刻機を使えません。在宅の勤怠をエクセルで記録する場合は、記録の取り方を事務所の勤務と分けて決めておきます。
始業と終業の連絡を記録の元にする
在宅勤務では、始業と終業のときにメールやチャットで連絡する運用がよく取られます。この連絡の時刻を、打刻の代わりの記録として集計表に写します。送った時刻がメールやチャットに残るため、後から照らし合わせられる記録になります。
途中で家の用事などで仕事を抜ける「中抜け」がある場合は、抜けた時刻と戻った時刻も連絡し、休憩の列に合計の時間を入力します。中抜けの扱いを休憩とするか、時間単位の有給休暇とするかは、就業規則で決めておきます。
本人の入力と会社の確認を分ける
在宅の人が自分で集計表に時刻を入力する場合は、自己申告の記録になります。ガイドラインに沿って、パソコンの使用時間の記録など客観的な記録と大きな食い違いがないかを、会社が月に1度は確かめます。
本人が入力するシートと、会社が確認して締めるシートを分け、締めた後は本人のシートを編集できないようにしておくと、後から時刻が書き換えられる心配がありません。
勤怠の集計に強い人材と、事務の仕事の広がり
勤怠の集計は、小さな事業所ほど、経営者や事務の担当者が1人で抱えがちな仕事です。在宅で働く人や、業務委託の人に、この集計や給与の計算の準備を任せる形も広がっています。
外部に頼むという選択肢
@SOHOは2004年から在宅ワークとフリーランスの仲介を続けており、勤怠や給与の事務を在宅の人に頼む依頼も扱ってきました。頼まれるのは、エクセルの式を組み直す作業、毎月の打刻の入力、給与の計算の下準備といった、決まった手順を正確に回す仕事です。長く続く人ほど、式を作って納めるだけでなく、締めの手順まで書いて渡し、依頼する側が迷わない形を作っています。
中間の手数料が乗らない直接の取引であれば、同じ予算で依頼する側はより多くの作業を頼め、受ける側は手取りが厚くなります。小さな事業所の事務の仕事は、こうした関係が作りやすい分野です。
事務の仕事と資格の入り口
エクセルでの集計に慣れた人が、事務の仕事を広げる道はいくつかあります。病院やクリニックの受付と会計の事務を目指すなら、医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)が入り口になります。中小企業の業務の仕組みづくりを支える立場を目指すなら、中小企業診断士の学習が、勤怠や業務の流れを見直す力につながります。
勤怠の集計そのものを、エクセルからアプリや仕組みに置き換える仕事もあります。業務の道具を作る仕事の内容はアプリケーション開発のお仕事で、業務への AI の取り入れを手伝う仕事はAIコンサル・業務活用支援のお仕事で紹介しています。タイムカードのエクセル集計は、こうした仕事の小さな入り口にもなります。
よくある質問
Q. エクセルで時間の合計が少なく表示されるのはなぜですか?
エクセルの通常の時刻の表示形式は、24時間を超えた分を日付に繰り上げ、時刻の部分だけを見せているためです。計算そのものは正しく行われています。合計のセルを選んで「セルの書式設定」を開き、「ユーザー定義」で「[h]:mm」と入力すると、24時間を超えた時間もそのまま表示されます。
Q. 夜勤で日付をまたぐと計算がおかしくなります。どうすればよいですか?
退勤の時刻が出勤より前になるため、引き算がマイナスになっています。実働時間の式を「=MOD(退勤-出勤,1)-休憩」の形にすると、日付をまたいでも正しい時間が出ます。翌朝の時刻に24時間を足して「30:00」のように入力する方法もありますが、入力する人全員がそのルールを守る必要があります。
Q. タイムカードを15分単位で切り捨てて集計してもよいですか?
毎日の労働時間を切り捨てると、切り捨てた分の賃金が支払われないことになるため、一般には1分単位で記録して計算します。端数の扱いを会社のルールとして決めたい場合は、式に組み込む前に、管轄の労働基準監督署や社会保険労務士に確認してください。
Q. エクセルの勤怠の集計表は何年保存すればよいですか?
タイムカードや出勤簿など労働時間の記録は、労働基準法で5年間の保存が定められ、経過措置として当分の間は3年が適用されています。将来の見直しに備え、エクセルの集計表と打刻の原本の両方を5年は保存しておくと安心です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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