アンケートのクロス集計をExcelで行う手順と、見やすい表の作り方


この記事のポイント
- ✓アンケートのクロス集計をExcelで行う手順を
- ✓ピボットテーブルとCOUNTIFS関数の2つのやり方
- ✓見やすい表とグラフの作り方まで順番に解説します
アンケートのクロス集計をExcelでやるように頼まれたものの、「ピボットテーブルをどこから触ればいいのか分からない」「表はできたけれど、何を読めばいいのか分からない」と止まっている人は少なくありません。単純な集計なら関数1つで済みますが、クロス集計は、表の形を決めるところから考える必要があります。
結論を先に書くと、Excelでのクロス集計は「回答のデータを1行1回答の形に整える」「ピボットテーブルで行と列に質問を割り当てる」「件数ではなく行ごとの割合で読む」の3つを押さえれば、誰でも作れます。この記事では、クロス集計の考え方から、Excelでの具体的な手順、見やすい表とグラフの作り方、読み間違えないための注意点までを順番に整理します。集計のあとに、回答してくれた人への返信や担当決めが必要な場合に使えるHalictのような道具も、最後のほうで紹介します。
クロス集計とは何か
クロス集計とは、2つの質問の回答を掛け合わせて、表にまとめる集計のことです。たとえば「満足度」の質問と「年代」の質問を掛け合わせると、年代ごとの満足度の違いが見えます。
アンケートの集計には、大きく分けて2つの段階があります。
1つめは、単純集計です。質問ごとに、選択肢ごとの回答の数と割合を出します。GT集計(グランドトータルの略)とも呼ばれます。「満足が60%、不満が15%」のように、全体の傾向が分かります。
2つめが、クロス集計です。単純集計では見えなかった、質問と質問の関係を見ます。全体では満足が60%でも、20代では40%、50代では75%というように、回答者のまとまりごとに差があることが分かります。
アンケートの集計を専門に行う調査会社のコラムでは、クロス集計の位置づけを次のように説明しています。
本稿では、単純集計(GT集計)からは読み取れなかった、質問と質問の関係性を知りたい場合に手軽に結果を見ることができるエクセルの『ピボットテーブル』という機能を使ってクロス集計をする方法を解説します。 出典: asmarq.co.jp
クロス集計は、アンケートの結果から「次に何をすればよいか」を考える材料になります。満足度が低いまとまりが分かれば、そのまとまりに向けた改善を考えられます。単純集計だけで報告を終えると、「全体ではまあまあ満足」という、行動につながらない結論になりがちです。
クロス集計表の形を理解する
クロス集計表は、行と列の2つの向きに質問を割り当てた表です。表の左側に縦に並ぶ項目を「表側(ひょうそく)」、表の上に横に並ぶ項目を「表頭(ひょうとう)」と呼びます。
| 年代 | 回答数 | 満足 | どちらでもない | 不満 |
|---|---|---|---|---|
| 20代 | 50 | 40.0% | 36.0% | 24.0% |
| 30代 | 80 | 55.0% | 30.0% | 15.0% |
| 40代 | 90 | 62.2% | 25.6% | 12.2% |
| 50代以上 | 60 | 75.0% | 18.3% | 6.7% |
| 全体 | 280 | 58.6% | 27.1% | 14.3% |
この表では、表側に年代、表頭に満足度を置いています。表側には「回答者を分ける質問(属性)」を、表頭には「知りたい結果の質問」を置くのが基本です。年代や性別、利用の頻度、地域などの属性で回答者を分け、それぞれのまとまりで結果がどう違うかを見ます。
表の中の数字は、行ごとの割合にしておくと読みやすくなります。行ごとの割合とは、各行の回答数を100%として、選択肢ごとの割合を出したものです。上の表なら、20代の50人のうち40.0%が満足、という読み方になります。各行の合計が100%になるので、年代どうしを横に比べられます。
表の左から2列目に、各行の回答数(n数と呼ばれます)を必ず書いておきます。割合だけを並べると、5人のまとまりの40%と、500人のまとまりの40%が同じに見えてしまいます。
Excelでクロス集計をする前の準備
クロス集計を始める前に、回答のデータを整えます。ここを丁寧にやるほど、あとの作業が楽になります。
1行に1人の回答、1列に1つの質問
Excelでの集計は、「1行に1人の回答」「1列に1つの質問」の形が前提です。いちばん上の行には、質問の名前(「年代」「満足度」など)を1行だけ書きます。GoogleフォームやMicrosoft Formsの回答を書き出したデータは、たいていこの形になっています。
紙のアンケートを入力する場合も、この形で入力します。セルを結合したり、1人の回答を複数の行に分けたりすると、ピボットテーブルが正しく動きません。Microsoftの公式ヘルプでも、ピボットテーブルを作るデータは、1つの見出しの行がある列にまとめる必要があると案内されています。
表記のゆれをそろえる
同じ選択肢が「20代」「20歳代」「20代」のように違う表記で入っていると、別の項目として数えられます。並べ替えや絞り込みで項目の一覧を確かめ、表記をそろえます。全角と半角、前後の空白の違いは、見た目では気づきにくいので、「置換」の機能でまとめて直します。
自由記述や年齢を、まとまりに分ける
年齢を数字で聞いている場合は、そのままでは表側に使えません。「20代」「30代」のようなまとまりの列を新しく作ります。年齢がB列にあるなら、新しい列に =IF(B2>=50,"50代以上",IF(B2>=40,"40代",IF(B2>=30,"30代","20代以下"))) のような式を入れて、まとまりの名前を出します。
まとまりの分け方は、各まとまりの人数がおおむね30人以上になるように決めると、割合の比較が安定します。人数が少ないまとまりは、隣のまとまりとまとめます。
回答の除外を決めておく
途中で回答をやめた人、明らかに適当に答えた人(すべての質問で同じ選択肢を選んでいるなど)、対象外の人の回答をどう扱うかを決めます。除外した回答は削除せず、「除外」の印を付けた列を作って、集計のときに絞り込みで外します。あとから「なぜ件数が合わないのか」と聞かれたときに説明できます。
ピボットテーブルでクロス集計表を作る手順
Excelでクロス集計をするいちばん手早い方法が、ピボットテーブルです。ピボットテーブルとは、データの一覧から、項目ごとの件数や合計を自動で数えて表にする機能のことです。Microsoftの公式ヘルプ(Excel for Windows)の手順に沿って紹介します。
- 回答のデータの中のセルを1つ選ぶ
- 「挿入」のタブから「ピボットテーブル」を選ぶ
- ピボットテーブルを作る場所で「新しいワークシート」を選び、「OK」を押す
- 右側に出る「ピボットテーブル フィールド」の画面で、表側にしたい質問(例:年代)を「行」の欄へドラッグする
- 表頭にしたい質問(例:満足度)を「列」の欄へドラッグする
- 回答の数を数えるために、回答者を1人ずつ区別できる項目(回答の番号やタイムスタンプなど)を「値」の欄へドラッグする
手順6で、文字の入った列を「値」に入れると、Excelは自動的に件数(個数)で数えます。数字の列を入れると合計で数えられるので、その場合は「値」の欄の項目の右の矢印から「値フィールドの設定」を開き、集計の方法を「個数」に変えます。公式ヘルプでも、値の欄の項目は既定では合計で表示され、文字として扱われるデータは個数で表示されると説明されています。
これで、年代ごとに満足度の選択肢の件数が並んだ表ができます。回答のデータに行を追加したときは、ピボットテーブルの中で右クリックして「更新」を選ぶと、新しい回答が表に反映されます。
件数を割合に変える
ピボットテーブルでできた表は、最初は件数の表です。年代ごとに人数が違うので、件数のままでは比べられません。行ごとの割合に変えます。
- 表の中の数字を右クリックする
- 「計算の種類」(Excelの版によっては「値の表示方法」)を選ぶ
- 「行集計に対する比率」を選ぶ
公式ヘルプでは、値を合計ではなく「総計に対する比率」として表示する例が紹介されています。クロス集計で年代どうしを比べるなら、「総計」ではなく「行集計」に対する比率を選びます。各行の合計が100%になり、年代ごとの違いが読めるようになります。
件数と割合の両方を並べたい場合は、同じ項目を「値」の欄に2回入れ、片方を件数、もう片方を割合の表示にします。公式ヘルプにも、計算と比率の両方を表示するには、項目を値の欄に2回ドラッグして、それぞれの設定を変える方法が書かれています。ただ、件数と割合が交互に並ぶ表は見にくくなりがちなので、報告用の表では「n数の列」と「割合の列」に分けて作り直すのがおすすめです。
関数でクロス集計表を作る方法
ピボットテーブルは手早い反面、表の形を自由に変えにくく、報告書にそのまま貼ると見栄えが整わないことがあります。決まった形の表を毎回作るなら、COUNTIFS関数で作る方法も覚えておくと便利です。COUNTIFS関数とは、複数の条件にすべて当てはまるセルの数を数える関数のことです。
回答のデータが「回答」という名前のシートにあり、B列に年代、C列に満足度が入っているとします。集計用のシートに、表側(A列)に年代、表頭(1行目)に満足度の選択肢を並べ、交わるセルに次の式を入れます。
=COUNTIFS(回答!$B:$B, $A2, 回答!$C:$C, B$1)
$の付け方がポイントです。「$A2」はA列を固定し、「B$1」は1行目を固定しています。こうしておくと、1つのセルに入れた式を表全体にコピーするだけで、すべてのマスが埋まります。
割合の表は、件数の表の隣に作ります。各行の合計を =SUM(B2:D2) で出し、割合のセルに =B2/$E2 のような式を入れて、表示形式をパーセントにします。
関数で作った表は、回答のデータが増えても式がそのまま働くので、毎月や毎回の定点のアンケートで同じ形の表を作るときに向いています。
Googleスプレッドシートで同じ集計をする場合
会社のパソコンにExcelが入っていない場合や、Googleフォームの回答をそのまま集計したい場合は、Googleスプレッドシートのピボットテーブルでも同じクロス集計ができます。Googleの公式ヘルプに沿った手順は次のとおりです。
- 回答のデータの範囲を選ぶ(列ごとに見出しが付いている必要があります)
- 上部のメニューの「挿入」から「ピボット テーブル」を選ぶ
- 右のサイドパネルで、「行」の横の「追加」から表側の質問(年代など)を選ぶ
- 「列」の横の「追加」から表頭の質問(満足度など)を選ぶ
- 「値」の横の「追加」から回答の番号などの項目を選び、集計の方法を件数(COUNTA)にする
割合で表示するには、公式ヘルプによると、「値」の欄の「表示方法」で「デフォルト」をクリックし、メニューから割合の表示を選びます。行ごとの合計に対する割合を選べば、Excelの「行集計に対する比率」と同じ表になります。
Googleフォームの回答がつながったスプレッドシートでピボットテーブルを作ると、新しい回答が届くたびに表が自動で更新されます。回答の受付中に途中経過を見たいときに便利です。ただし、回答の受付中は数字が動き続けるので、報告書に使う数字は、締め切りのあとに確定させます。
公式ヘルプでは、ピボットテーブルのセルをダブルクリックすると、そのセルの数字のもとになった回答の行だけが新しいシートに表示される、とも案内されています。「20代で不満と答えた人の自由記述を読みたい」というときに、この機能を使うと、該当する回答だけをすぐに取り出せます。Excelのピボットテーブルでも、セルをダブルクリックすると、もとの行が新しいシートに書き出されます。
5段階評価の質問をクロス集計するとき
満足度を「5:とても満足」から「1:とても不満」までの5段階で聞いている場合は、割合のほかに、平均点でクロス集計する方法もあります。
ピボットテーブルなら、満足度の列を「値」の欄に入れ、値フィールドの設定で集計の方法を「平均」に変えます。表側に年代を入れれば、年代ごとの平均点が並びます。関数で作るなら、AVERAGEIFS関数を使い、=AVERAGEIFS(回答!$C:$C, 回答!$B:$B, $A2) のように、年代の条件に合う回答の平均を出します。
平均点は1つの数字で比べられるので、まとまりが多いときの一覧に向いています。ただし、平均点だけでは、「全員が3点」と「半分が5点で半分が1点」の違いが見えません。平均点の表と一緒に、「4点以上の割合(満足の割合)」と「2点以下の割合(不満の割合)」も並べておくと、読み間違いが減ります。
4点以上の割合は、COUNTIFS関数で、=COUNTIFS(回答!$B:$B, $A2, 回答!$C:$C, ">=4")/COUNTIFS(回答!$B:$B, $A2) のように出せます。分子が「その年代で4点以上を付けた人の数」、分母が「その年代の回答者の数」です。
できあがった表を確かめる手順
クロス集計表は、式の範囲の指定を1か所誤るだけで、数字がずれます。報告に使う前に、次の4つを確かめます。
- 全体の行の数字が、単純集計の結果と一致するか
- 各行の回答数の合計が、集計の対象にした回答の数と一致するか
- 行ごとの割合の合計が、どの行も100%になっているか(複数回答の質問は除く)
- 「無回答」の人数が、どこにも入らずに消えていないか
4つめの無回答は、見落とされがちです。年代の質問に答えていない人は、年代別の表のどの行にも入りません。各行の合計が全体より少ないときは、無回答の行を作って表に加えるか、表の注に「年代の無回答の8人を除く」のように書きます。
可能なら、集計した人とは別の人が、この4つを確かめます。2人目は式を読む必要はなく、数字の合計が合っているかを見るだけで、多くの誤りに気づけます。
複数回答の質問をクロス集計するとき
「当てはまるものをすべて選んでください」という複数回答の質問は、クロス集計で最もつまずきやすいところです。
フォームから書き出したデータでは、複数回答の答えが1つのセルに「価格, デザイン, 品質」のようにカンマで区切られて入っていることがあります。このままではピボットテーブルで正しく数えられません。
方法は2つあります。
1つめは、選択肢ごとに列を分ける方法です。「価格」「デザイン」「品質」のように選択肢ごとの列を作り、選んでいれば1、選んでいなければ0を入れます。元の回答がB列にあるなら、「価格」の列に =IF(ISNUMBER(SEARCH("価格",B2)),1,0) のような式を入れます。こうしておけば、年代ごとに1の数を合計すれば、選んだ人の数が出ます。
2つめは、COUNTIFS関数で、条件に「価格」のように前後に「」を付けて数える方法です。「」は、前後に何が入っていてもよいという意味の記号です。
複数回答の割合は、分母を「回答した人の数」にします。選ばれた数の合計を分母にすると、1人が何個選んだかで割合が変わってしまいます。複数回答の割合は、合計が100%を超えるのが正常です。報告書には「複数回答のため合計は100%になりません」と添えておきます。
見やすいクロス集計表の作り方
クロス集計表は、作るだけなら手順どおりに進めればできますが、読む人に伝わる表にするには、もう一手間かけます。
n数を必ず書く
先に書いたとおり、各行の回答数を必ず添えます。全体の行も入れておくと、各まとまりが全体と比べて高いのか低いのかが分かります。
小数点以下の桁をそろえる
割合は小数点以下1桁にそろえます。桁がばらばらだと、数字の大小が目で追いにくくなります。表示形式でそろえ、元の数字は丸めずに保存しておきます。
全体より高いところに色を付ける
全体の割合より5ポイント以上高いマスを薄い色で塗る、のように、差が大きいところに目印を付けると、どこを読めばよいかが一目で分かります。Excelの「条件付き書式」を使えば、決めた条件に合うマスに自動で色を付けられます。色は1〜2色にとどめ、強い色を使いすぎないようにします。
選択肢の並び順を意味の順にする
ピボットテーブルは、項目を五十音順や数字の順に並べます。満足度なら「満足」「やや満足」「どちらでもない」「やや不満」「不満」のように、意味の順番に並べ替えます。ピボットテーブルの項目は、ドラッグで並べ替えられます。
表のタイトルに条件を書く
「年代別 サービスの満足度(n=280、2026年9月調査)」のように、表のタイトルに何と何を掛け合わせたか、回答者の数、調査の時期を書きます。表だけを抜き出して資料に使われても、意味が伝わります。
クロス集計のグラフの選び方
クロス集計の結果をグラフにするなら、100%積み上げ横棒グラフ(帯グラフ)が基本です。年代ごとに1本の横棒を作り、棒の中を選択肢の割合で塗り分けます。どの年代で「満足」の部分が長いかが、ひと目で比べられます。
Excelでは、割合の表を選び、「挿入」のタブのグラフから横棒グラフの「100%積み上げ横棒」を選ぶと作れます。ピボットテーブルからそのまま作るなら、ピボットグラフの機能も使えます。
グラフを作るときの注意点です。
・棒の並び順を表と同じにする(横棒グラフは上下が逆に並ぶことがあるので、軸の設定で順序を逆にする)
・選択肢の色は、満足を濃い色、不満を別の系統の色にして、真ん中の「どちらでもない」は灰色にする
・棒の中に割合の数字を表示する(小さすぎる部分は省いてよい)
・全体の棒をいちばん上か下に置いて、基準にする
複数回答の質問は、合計が100%にならないので帯グラフは使えません。選択肢ごとに、まとまりどうしの割合を並べた棒グラフにします。
クロス集計を読み間違えないための注意点
クロス集計表は、作り方より読み方で失敗することが多い集計です。次の点に気をつけます。
人数が少ないまとまりの差を信じすぎない
10人のまとまりでは、1人の回答が10ポイントの差になります。n数が30人に満たないまとまりの差は「参考の値」として扱い、強い結論を出さないようにします。報告書では、そのまとまりの数字に印を付けて、人数が少ないことを示しておきます。
差があっても、原因とは限らない
「50代は満足度が高い」と分かっても、年齢が満足度を上げているとは限りません。50代は利用の期間が長い人が多く、長く使っているから満足している、ということもあります。別の属性(利用の期間など)でもクロス集計をして、どちらの影響が大きいかを確かめます。
表側と表頭を逆にしない
表側に結果の質問を、表頭に属性を置くと、割合の向きが変わり、読み方を誤りやすくなります。「属性を表側、結果を表頭、行ごとの割合」という基本の形を守ります。
掛け合わせを増やしすぎない
属性を3つ以上掛け合わせると、各マスの人数がすぐに少なくなります。まず2つの掛け合わせで大きな差を探し、差が見つかったところだけを詳しく見る、という順番で進めます。
次のアンケートはクロス集計を前提に設計する
クロス集計で苦労した経験は、次のアンケートの設計に生かせます。集計の段階で困ることの多くは、アンケートを作る段階で防げるからです。
1つめは、属性の質問を選択式にすることです。年齢や地域を自由記述で聞くと、集計の前にまとまりへ分ける作業が必要になります。「20代」「30代」のような選択肢で聞けば、そのまま表側に使えます。
2つめは、知りたい掛け合わせを先に決めておくことです。「利用の期間ごとに満足度を比べたい」と決まっていれば、利用の期間を聞く質問を忘れずに入れられます。集計の段階で「この属性を聞いておけばよかった」と気づいても、もう聞き直せません。
3つめは、必要な人数から逆算して回答を集めることです。年代を4つに分けて比べたいなら、各年代で30人ずつ、合計で120人以上の回答が目安になります。回答が特定の年代に偏りそうなら、呼びかける先を増やします。
4つめは、選択肢の数をそろえることです。満足度を5段階で聞くなら、他の評価の質問も5段階にそろえておくと、表やグラフの形がそろい、報告書が読みやすくなります。
アンケートを作る前に、完成したクロス集計表の枠(表側と表頭だけを書いた空の表)を1枚作ってみるのがおすすめです。枠を作ると、どの質問が必要で、どの質問が要らないかがはっきりします。依頼主と一緒にこの枠を確かめておけば、集計が終わってから「この切り口でも見たかった」と言われる手戻りも減らせます。
集計を報告書にまとめるときの流れ
クロス集計表とグラフができたら、報告書にまとめます。読む人が知りたいのは、表の数字そのものより「何が分かったか」と「次に何をするか」です。
報告書の流れの例です。
- 調査の概要(目的、期間、方法、回答者の数)
- 全体の結果(単純集計の要点)
- 分かったこと(クロス集計で見えた差を、1つの発見につき1つの表かグラフで示す)
- 次の行動の提案(差が見えたまとまりに向けた改善案)
- 付録(すべてのクロス集計表)
分かったことは、「20代の満足度は全体より18.6ポイント低い」のように、数字と一緒に1文で書きます。そのうえで、自由記述の回答から20代の不満の理由を拾い、改善の提案につなげます。
集計そのものの考え方について、アンケートの集計の手引きを公開している会社は、次のように書いています。
『クロス集計完全マニュアル』を無料ダウンロードするエクセル(関数)を使ったクロス集計のやり方クロス集計は、エクセルを使っておこなうのが一般的です。下記は、アンケート集計結果のローデータをもとに完成した、クロス集計表のアウトプットイメージ例です。 出典: freeasy24.research-plus.net
ローデータとは、集計する前の、1人ずつの回答そのもののことです。報告書を作ったあとも、ローデータと集計に使ったファイルは一緒に保存しておきます。後日「別の属性でも見たい」と頼まれたときに、すぐに作り直せます。
集計のあとに回答者への対応が必要なとき
社外のお客さまや会員へのアンケートでは、集計して終わりにならない場面があります。自由記述に「連絡がほしい」「この点を直してほしい」と書かれていた回答には、誰かが返事をする必要があります。クロス集計で満足度の低いまとまりが分かったら、そのまとまりの回答者に個別に話を聞きたい、ということもあります。
こうした対応を、表計算ソフトのファイルに「担当」「対応状況」の列を加えて管理し、返信はメールソフトから送る、という形で回していると、どの回答に誰が返事をしたのかが分からなくなりがちです。
その場面で選択肢になるのがHalictです。Halictは、フォームを作り、届いた回答を1件ごとに担当と状況つきで管理し、同じ画面から返信まで送れるフォームのサービスです。公式サイトによると、集まった回答はリアルタイムで一覧になり、ワンクリックでCSVに書き出せるので、この記事で紹介したExcelでのクロス集計にもそのまま使えます。回答者に1画面1問ずつ見せる表示、12種類の項目、自動返信、作りたいフォームをひと言で伝えるとAIが質問の構成を組み立てる機能もあります。
料金は公式の料金ページによると、メンバー1人までのフリープランが0円で、フォームの数と回答の数はどのプランでも無制限です。3人までのスタータープランは月額2,980円(税抜)でGoogleスプレッドシートとの連携が加わり、10人までのチームプランは月額7,800円(税抜)で、一斉メールと開封・クリックの計測、Teams・Slack・Chatworkへの通知が使えます。
Halictは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
集計と分析はExcel、回答者への個別の対応はHalictのように、作業ごとに道具を分けると、それぞれの作業が散らかりません。
クロス集計ができると広がる仕事
アンケートの集計と分析は、マーケティング、商品企画、人事、行政の窓口など、多くの職場で必要とされる作業です。Excelでクロス集計を組み立て、そこから読み取れることを報告書にまとめられる人は、在宅の仕事でも求められています。
フリーランス・在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見ると、集計の仕事で継続して頼まれる人は、表を作るだけで終わらせず、「この差が大きいので、ここを深掘りしてはどうか」と一言添えられる人です。依頼する側は、数字の表よりも、そこから何を判断すればよいかに困っています。表の作り方に加えて、読み方まで提案できると、単発の集計の作業が、継続の分析の仕事に変わっていきます。
アンケートの設計から集計、報告までを支援する仕事は、生成AIを使った業務改善の相談とも重なります。仕事の内容はAIコンサル・業務活用支援のお仕事で紹介しています。マーケティングの調査や分析に関わる仕事は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事にまとめています。
調査や分析そのものを専門にする仕事の年収の水準は、研究者の年収・単価相場で、公的な統計をもとに紹介しています。経営の課題を数字から読み解く力を体系的に身につけたい人には、中小企業診断士の学習も参考になります。
Excelでのクロス集計は、データを整え、ピボットテーブルか関数で表を作り、行ごとの割合で読む、という流れを一度身につければ、どんなアンケートにも応用できます。最初の1回は時間がかかっても、作った表をひな形として保存しておけば、次からは回答のデータを差し替えるだけで済みます。
よくある質問
Q. クロス集計と単純集計はどう違うのですか?
単純集計は、質問ごとに選択肢の回答数と割合を出す集計で、全体の傾向が分かります。クロス集計は、2つの質問を掛け合わせて、年代ごとの満足度のように、回答者のまとまりごとの違いを見る集計です。単純集計で全体をつかみ、クロス集計で差のあるまとまりを探す、という順番で進めると、改善につながる発見が得やすくなります。
Q. ピボットテーブルで件数ではなく割合を表示するにはどうすればよいですか?
表の中の数字を右クリックし、「計算の種類」(版によっては「値の表示方法」)から「行集計に対する比率」を選びます。各行の合計が100%になり、年代などのまとまりどうしを横に比べられるようになります。件数も残したい場合は、同じ項目を値の欄に2回入れ、片方を件数、もう片方を割合にする方法があります。
Q. 複数回答の質問はどうやってクロス集計すればよいですか?
1つのセルにカンマ区切りで答えが入っている場合は、選択肢ごとに列を作り、選んでいれば1、選んでいなければ0を入れる形に直すと、ピボットテーブルや関数で数えやすくなります。割合の分母は、選ばれた数の合計ではなく回答した人の数にします。複数回答の割合は合計が100%を超えるのが正常です。
Q. クロス集計で人数が少ないまとまりはどう扱えばよいですか?
人数が少ないまとまりでは、1人の回答で割合が大きく動くため、差を強い結論にしないことが大切です。目安として30人に満たないまとまりの数字は参考の値として扱い、表に印を付けておきます。隣のまとまりとまとめて人数を確保する方法もあります。各行の回答数を表に必ず書いておくと、読む人も判断しやすくなります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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