アンケートの分析をExcelで行う方法と、集計の進め方


この記事のポイント
- ✓アンケートの分析をExcelで行う方法を
- ✓5段階評価の平均と分布の見方
- ✓報告のまとめ方まで順番に解説します
アンケートの回答がExcelのファイルで手元に届き、「分析しておいて」と頼まれたとき、何から手を付ければよいか迷う人は多いはずです。集計の表は作れても、そこから何を読み取り、どう報告すればよいかが分からない、という声もよく聞きます。
結論を先に書くと、Excelでのアンケートの分析は「目的を1文で決める」「データを整える」「全体を見る(単純集計)」「差を探す(クロス集計)」「理由を探す(自由記述と相関)」「次の行動を書く」の6つの段階で進めると、迷わずに進められます。難しい統計の知識がなくても、Excelの基本の関数とピボットテーブルで、報告に必要な分析のほとんどができます。この記事では、それぞれの段階でExcelのどの機能を使うかを、手順に沿って整理します。分析のあとに、回答してくれた人への返信や担当決めが必要な場合に使えるHalictのような道具も、最後のほうで紹介します。
アンケートの分析で最初に決めること
分析を始める前に、「このアンケートで何を知りたいのか」を1文で書きます。目的が決まっていないと、表やグラフをいくつ作っても、報告の結論が出ません。
目的の書き方の例です。
・新しいサービスの満足度が、利用の期間によってどう違うかを知りたい
・研修のどの内容が、参加者の役に立ったかを知りたい
・解約した人が、何に不満を持っていたかを知りたい
目的が決まると、使う質問と、比べる切り口が決まります。1つめの例なら、「満足度」と「利用の期間」の2つの質問を中心に分析し、他の質問は補足として使います。
アンケートのツールを提供している会社のコラムでは、Excelでの分析について次のように書いています。
マーケティングにおいて、アンケート実施後の集計・分析作業は非常に重要です。できるだけ時間をかけず、コストもおさえて実施したい場合のおすすめの方法は、エクセル(Excel)を利用した集計・分析です。 出典: freeasy24.research-plus.net
専用の分析のソフトを買わなくても、Excelがあれば多くの分析ができます。ただし、Excelは何でもできる分、手順を決めずに触り始めると、表が増えるだけで結論にたどり着けません。次の段階から、順番に進めていきます。
分析の前にデータを整える
Excelでの分析は、データが「1行に1人の回答」「1列に1つの質問」の形になっていることが前提です。いちばん上の行に質問の名前を1行だけ書き、その下に回答を並べます。フォームから書き出したデータは、たいていこの形になっています。
データを整えるときに確かめることは、次の5つです。
1. 表記のゆれ
同じ選択肢が「はい」「はい 」「ハイ」のように違う表記で入っていると、別の答えとして数えられます。列を選んで絞り込みの一覧を開くと、入っている値の種類が一覧で見えるので、ゆれを見つけやすくなります。見つけたら「置換」の機能でまとめて直します。
2. 数字が文字として入っていないか
5段階評価の点数が、数字ではなく文字として入っていると、平均の計算に含まれません。セルの左上に緑の三角の印が出ているときは、文字として入っている合図です。列を選んで数値に変換します。
3. 無回答と0の区別
答えていない質問の欄が空白なのか、0が入っているのかを確かめます。0が入っていると、平均点が実際より低く出ます。無回答は空白のままにしておきます。
4. 対象外や不完全な回答
途中で回答をやめた人、明らかに適当に答えた人、調査の対象外の人の回答をどう扱うかを決めます。除外する回答は削除せず、「除外」の印の列を作り、分析のときに絞り込みで外します。
5. 元のデータを残す
整える前の元のデータは、別のシートかファイルに必ず残しておきます。整える作業で誤って消した回答があっても、元に戻せます。
誤入力や未回答が多いまま分析を始めると、平均点が正しく出ず、改善の検討に使えない結果になってしまいます。分析の失敗の多くは、計算の手順ではなく、この整える段階で起きています。上の5つを確かめてから次に進むだけで、後戻りの作業が大きく減ります。
分析の計画を1枚の表にする
データを整えたら、計算を始める前に、どの質問をどう分析するかを1枚の表に書き出します。分析の計画表と呼ばれるものです。計画を書かずに始めると、思いついた順に表を作り、同じ表を何度も作り直すことになります。
| 知りたいこと | 使う質問 | 分析の方法 | 出すもの |
|---|---|---|---|
| 全体の満足度 | 総合満足度 | 単純集計、平均点、満足の割合 | 横棒グラフ |
| 年代による違い | 総合満足度×年代 | クロス集計 | 100%積み上げ横棒グラフ |
| 不満の理由 | 自由記述 | 話題の分類 | 話題別の件数の表、代表的な回答 |
| 満足度と関係が強い項目 | 総合満足度と各項目の満足度 | 相関 | 相関係数の表 |
計画表は、依頼した人と分析を始める前に共有しておくと、「知りたかったのはそこではない」という食い違いを早めに防げます。分析の途中で新しい疑問が出てきたら、表に行を加えて、同じ形で進めます。
計画表のいちばん右の列に「出すもの」を書いておくのがポイントです。報告書に何枚の表とグラフが並ぶかが最初に見えるので、作業の量と時間の見通しが立ちます。在宅で分析の仕事を受けるときは、この表をそのまま見積もりの根拠にも使えます。
回答率と回答者の偏りを確かめる
分析の結果を読む前に、もう1つ確かめておきたいのが、誰が答えたかです。アンケートを送った人数に対して、何人が答えたか(回答率)と、答えた人に偏りがないかを見ます。
回答率が低いアンケートでは、答えた人が全体を代表していない可能性があります。たとえば、サービスに強い不満がある人や、とても気に入っている人ほど、アンケートに答えやすい傾向があります。答えた人の満足の割合が高くても、答えなかった人の多くが静かに離れている、ということもあり得ます。
確かめ方は簡単です。年代や地域、利用の期間など、アンケートを送った全員について分かっている属性を、答えた人の属性と比べます。送った相手では20代が30%なのに、答えた人では20代が10%しかいなければ、20代の声が結果に十分に反映されていません。その場合は、報告に偏りがあることを書き添え、年代ごとの結果を分けて示します。
回答率そのものも、報告書の調査の概要に必ず書きます。「500人に送り、182人が回答(回答率36.4%)」のように書いておけば、読む人が結果の重みを自分で判断できます。回答率を上げたいときは、次の調査で、質問の数を減らす、所要時間の目安を最初に書く、締め切りの前に一度だけ呼びかけ直す、といった工夫を試します。どの工夫で回答率が変わったかも記録しておくと、次の設計に生かせます。
全体を見る:単純集計
最初の分析は、質問ごとの回答の数と割合を出す単純集計です。全体の傾向をつかむ段階です。
選択式の質問
回答がB列にあり、別のシートのA列に選択肢を並べたとき、各選択肢の回答数は =COUNTIF(回答!B:B, A2) で数えられます。割合は、回答数を回答者の合計で割り、表示形式をパーセントにします。
回答者の合計は、無回答の人を除いた数にします。=COUNTA(回答!B2:B1000) のように、見出しの行を除いた範囲で、空白でないセルの数を数えます。
複数回答の質問
「当てはまるものをすべて選んでください」の質問で、1つのセルに「価格, デザイン」のように複数の答えが入っている場合は、=COUNTIF(回答!C:C, "*価格*") のように、前後に「*」を付けて数えます。複数回答の割合は、分母を回答者の数にし、合計が100%を超えるのが正常です。
単純集計で見るところ
単純集計の表ができたら、次の3つを見ます。
・最も多い答えと、その割合
・予想と違った答え
・無回答が多い質問(質問が分かりにくかった可能性がある)
予想と違った答えは、分析の出発点になります。「満足が多いと思っていたのに、どちらでもないが最も多かった」なら、その理由を次の段階で探します。
5段階評価の質問を分析する
満足度や重要度を「5:とても満足」から「1:とても不満」までの5段階で聞いた質問は、アンケートの中心になることが多い質問です。分析の仕方を詳しく見ていきます。
平均点だけで判断しない
5段階評価の分析では、まず平均点を出します。=AVERAGE(回答!D:D) で、D列の平均点が出ます。ただ、平均点だけでは分からないことがあります。
たとえば、10人のうち全員が3点を付けた場合と、5人が5点、5人が1点を付けた場合は、どちらも平均点は3点です。前者は「可もなく不可もなく」、後者は「好き嫌いがはっきり分かれている」で、意味がまったく違います。
分布を見る
平均点と一緒に、点数ごとの人数(分布)を出します。=COUNTIF(回答!D:D, 5) で5点を付けた人の数、同じように4点から1点まで数えます。分布を横棒のグラフにすると、どの点数に回答が集まっているかが一目で分かります。
中央値と、満足の割合
点数を小さい順に並べたときの真ん中の値(中央値)は、=MEDIAN(回答!D:D) で出せます。極端な点数を付けた人が少しいても、中央値はあまり動きません。
報告では、「4点以上を付けた人の割合(満足の割合)」と「2点以下を付けた人の割合(不満の割合)」を使うと、読む人に伝わりやすくなります。満足の割合は、=COUNTIF(回答!D:D, ">=4")/COUNT(回答!D:D) で出せます。平均点の「3.6点」より、「満足が62%、不満が12%」のほうが、具体的な状況が思い浮かびます。
差を探す:クロス集計
全体の傾向が分かったら、回答者のまとまりごとの差を探します。年代、利用の期間、利用の頻度などで回答者を分け、まとまりごとに結果を比べるのがクロス集計です。
Excelでは、ピボットテーブルを使うと手早く作れます。Microsoftの公式ヘルプ(Excel for Windows)に沿った基本の手順は次のとおりです。
- 回答のデータの中のセルを1つ選ぶ
- 「挿入」のタブから「ピボットテーブル」を選び、「新しいワークシート」に作る
- 「ピボットテーブル フィールド」の画面で、回答者を分ける質問(年代など)を「行」へ、結果の質問(満足度など)を「列」へドラッグする
- 回答の番号などの項目を「値」へドラッグし、件数で数える
- 表の数字を右クリックし、「計算の種類」から「行集計に対する比率」を選んで、行ごとの割合にする
5段階評価なら、満足度の列を「値」に入れ、値フィールドの設定で集計の方法を「平均」にすると、まとまりごとの平均点の表になります。
クロス集計で差が見つかったときは、各まとまりの人数を必ず確かめます。10人のまとまりでは、1人の回答で割合が10ポイント動きます。人数が30人に満たないまとまりの差は、参考の値として扱います。
理由を探す:自由記述を分類する
クロス集計で「20代の満足度が低い」と分かっても、なぜ低いのかは、選択式の質問だけでは分かりません。理由の手がかりになるのが、自由記述の回答です。
分類の手順
自由記述は、そのまま読むだけでは傾向がつかめません。次の手順で分類します。
- 自由記述の回答を、別のシートに回答の番号と一緒に書き出す
- 全部の回答にざっと目を通し、よく出てくる話題を5〜10個書き出す(「価格」「使い方が分かりにくい」「対応が遅い」など)
- 話題ごとに列を作り、その話題に触れている回答に1を入れる
- 話題ごとに1の数を合計し、多い順に並べる
- 話題ごとに、代表的な回答を2〜3件選んでおく
1つの回答が複数の話題に触れていることもあるので、1つの回答に複数の1が入って構いません。
キーワードで当たりを付ける
回答の数が多いときは、キーワードで当たりを付けると早く進みます。自由記述がE列にあるなら、=IF(ISNUMBER(SEARCH("価格",E2)),1,0) のような式で、「価格」という語を含む回答に1を入れられます。ただし、「価格は安い」と「価格が高い」の両方に1が入るので、最後は人の目で読んで確かめます。
クロス集計とつなげる
自由記述の分類ができたら、話題の列を使ってクロス集計をします。「20代では『使い方が分かりにくい』が多い」と分かれば、満足度が低い理由の有力な候補になります。報告では、数字と一緒に代表的な回答をそのまま引用すると、読む人の納得感が高まります。
関係を確かめる:相関
「満足度」と「また使いたいか」のように、2つの点数の質問がどのくらい一緒に動くかを確かめたいときは、相関係数を出します。相関係数とは、2つの数字の動き方がどのくらい似ているかを、-1から1までの数字で表したもので、1に近いほど「一方が高い人は、もう一方も高い」という関係が強いことを示します。
Excelでは、=CORREL(回答!D:D, 回答!F:F) のように、2つの列を指定するとCORREL関数で相関係数が出ます。Microsoftの公式ヘルプでは、3つ以上の項目の組み合わせをまとめて調べたいときは、分析ツールの「相関」を使うと、すべての組み合わせの相関係数を並べた表(相関行列)が作れると説明されています。
相関を使うと、たとえば「総合的な満足度」と「価格」「使いやすさ」「サポート」の各項目の満足度の相関を比べて、総合的な満足度と最も関係が強い項目を探せます。最も関係が強い項目を改善すると、総合的な満足度が上がりやすい、という仮説が立てられます。
ただし、相関は「一緒に動く」ことを示すだけで、原因と結果の関係を示すものではありません。報告では「関係が強い」と書き、「〜が原因で」とは書かないようにします。
Excelの分析ツールを使う
Excelには、統計の計算をまとめて行う「分析ツール」というアドインがあります。アドインとは、Excelにあとから機能を加える仕組みのことです。Microsoftの公式ヘルプによると、分析ツールは「データ」のタブの「データ分析」から使え、表示されていない場合は次の手順で有効にします(Excel for Windows)。
- 「ファイル」から「オプション」を選び、「アドイン」を選ぶ
- 「管理」の欄で「Excel アドイン」を選び、「設定」を選ぶ
- 「分析ツール」にチェックを入れ、「OK」を選ぶ
Excel for Macでは、「ツール」のメニューから「Excel アドイン」を開くと、公式ヘルプに書かれています。
アンケートの分析でよく使うのは、次の2つです。
・基本統計量:平均、中央値、最頻値(最も多い値)、標準偏差(ばらつきの度合い)などを、1回の操作でまとめて出せます
・相関:複数の点数の質問の相関係数を、表の形でまとめて出せます
分析ツールは、計算の結果を値として書き出すので、元のデータを直しても結果は自動では変わりません。データを直したら、もう一度実行します。
前回の調査と比べる
毎年や毎期に同じアンケートを行っている場合は、前回の結果と比べることで、分析の価値が大きく上がります。「満足の割合が62%」という数字だけでは良いのか悪いのか判断できませんが、「前回の55%から7ポイント上がった」と分かれば、取り組みの効果を語れます。
前回と比べるときの手順です。
- 前回と今回の回答のデータを、同じ形(同じ列の並び、同じ選択肢の表記)にそろえる
- 2つのデータを1つのシートに縦につなげ、「調査の時期」の列を加える
- ピボットテーブルで、「調査の時期」を列に、知りたい質問を行に入れて、時期ごとの割合を並べる
- 差の大きい項目を探し、折れ線グラフか、時期ごとの横棒グラフにする
比べるときに気をつけたいのは、質問の文や選択肢が前回と変わっていないかです。質問の言い回しを少し変えただけでも、回答の傾向が変わることがあります。変えた質問は、比較の対象から外すか、報告に「質問の文を変更したため参考の値」と書き添えます。
回答者の顔ぶれの違いにも気をつけます。前回は既存の会員だけに聞き、今回は新しい会員にも聞いた、という場合は、全体の数字の差が、取り組みの効果なのか、回答者の違いなのかが分かりません。会員の種類ごとにクロス集計をして、同じ種類の会員どうしで比べます。
Googleスプレッドシートで分析する場合
会社のパソコンにExcelが入っていない場合や、Googleフォームの回答をそのまま使いたい場合は、Googleスプレッドシートでも、この記事で紹介した分析のほとんどができます。COUNTIF、AVERAGE、MEDIAN、CORREL、SEARCHといった関数は、同じ名前で使えます。
クロス集計に使うピボットテーブルは、Googleの公式ヘルプによると、上部のメニューの「挿入」から「ピボット テーブル」を選び、サイドパネルの「行」「列」「値」の横の「追加」から項目を選んで作ります。割合で表示するには、Googleの公式ヘルプの案内のとおり、「値」の欄の「表示方法」で「デフォルト」をクリックし、メニューから割合の表示を選びます。
一方、Excelの分析ツールにあたる機能は、Googleスプレッドシートには標準では入っていません。基本統計量や相関の表をまとめて出したいときは、関数で1つずつ計算するか、データをExcelに書き出して分析ツールを使います。
分析でやりがちな失敗
最後に、アンケートの分析でよく見かける失敗をまとめておきます。報告書を出す前に、当てはまっていないかを確かめてください。
・割合の分母が質問ごとにばらばらで、どの数字が何人中の割合か分からない
・回答者が10人のまとまりの差を、全体の傾向のように書いている
・相関があることを、原因と結果の関係のように書いている
・自由記述から、主張に都合のよい回答だけを引用している
・グラフの縦の軸が0から始まっておらず、小さな差が大きく見えている
・表とグラフが多すぎて、結論がどこにあるのか分からない
特に最後の失敗は、真面目に分析した人ほど陥りがちです。作った表をすべて本文に並べるのではなく、結論を支える表とグラフだけを本文に入れ、残りは付録に回します。読む人の時間を節約することも、分析の仕事の一部です。
紙のアンケートを入力して分析するとき
店頭や会場で紙のアンケートを集めた場合は、Excelに入力してから分析します。入力の段階での誤りは、あとからは見つけにくいので、入力の仕組みを先に整えておきます。
- 回答用紙の1枚ごとに通し番号を書き、Excelの1列目にも同じ番号を入れる
- 選択式の質問は、選択肢の文ではなく番号(1、2、3)で入力し、番号と選択肢の対応表を別のシートに作る
- 入力する列には、「データの入力規則」で入力できる値を限っておく(5段階評価なら1から5の整数だけ)
- 自由記述は、書かれたとおりに入力し、読めない文字は「(判読不能)」とする
- 入力が終わったら、10枚に1枚ほどを選び、用紙とExcelの内容を見比べる
通し番号を付けておけば、分析の途中で気になる回答があったときに、元の用紙をすぐに探し出せます。入力を複数の人で分担する場合は、表記のゆれが起きやすいので、選択式の質問を番号で入力する決まりを必ず共有します。
分析のあと、改善の効果を確かめる
アンケートの分析は、報告書を出したところで終わりではありません。分析の結果をもとに改善を行い、その効果を次のアンケートで確かめて、初めて1回りが終わります。
効果を確かめるために、報告書の段階で、次の3つを決めておきます。
・どの数字を見るか(例:20代の満足の割合)
・いつ見るか(例:改善から3か月後の次回の調査)
・どのくらい変われば効果ありとするか(例:10ポイント以上の上昇)
あとから数字を見て「少し上がったので効果があった」と判断すると、都合のよい解釈になりがちです。先に基準を決めておけば、効果がなかった場合も、次の手を冷静に考えられます。
改善の取り組みと、その前後の数字を1枚の表に記録しておくと、組織の中で「アンケートをやると何が良くなるのか」を説明する材料になります。アンケートに答える人も、自分の回答が何かを変えたと分かれば、次の調査にも協力してくれやすくなります。
結果をグラフにする
分析の結果は、グラフにすると伝わりやすくなります。質問の形ごとに、向いているグラフが違います。
| 質問の形 | 向いているグラフ |
|---|---|
| 1つだけ選ぶ質問の全体の結果 | 円グラフ、または横棒グラフ |
| 複数回答の質問 | 横棒グラフ(多い順) |
| まとまりごとの比較(クロス集計) | 100%積み上げ横棒グラフ |
| 5段階評価の分布 | 横棒グラフ、または100%積み上げ横棒グラフ |
| 時期ごとの変化 | 折れ線グラフ |
グラフを作るときは、次の点に気をつけます。
・タイトルに、何のグラフか、回答者の数、調査の時期を書く
・選択肢の並び順を、意味の順(満足から不満へ)にそろえる
・強調したいところだけ色を濃くし、他は薄い色にする
・3D(立体)のグラフは、割合が正しく見えにくいので使わない
報告書にまとめる
分析が終わったら、報告書にまとめます。報告を読む人が知りたいのは、「何が分かったか」と「次に何をすればよいか」です。
報告書の流れの例です。
- 調査の概要:目的、期間、方法、回答者の数
- 結論:分かったことを3つ以内で、1つ1文で書く
- 根拠:結論ごとに、表かグラフを1つと、自由記述の代表的な回答を示す
- 次の行動の提案:結論から考えられる改善の案
- 付録:すべての質問の単純集計とクロス集計の表
結論は、「20代の満足度は62%で、全体より15ポイント低い。自由記述では『使い方が分かりにくい』という声が最も多い」のように、数字と理由を組み合わせて書きます。
報告書を作ったあとも、元のデータ、整えたデータ、分析に使ったファイルは、一緒に保存しておきます。「別の切り口でも見たい」と頼まれたときに、すぐに作業を再開できます。
分析のあとに回答者への対応が必要なとき
お客さまや会員へのアンケートでは、分析して報告すれば終わり、とはならない場面があります。自由記述に「連絡がほしい」「不具合がある」と書かれた回答には、誰かが返事をする必要があります。満足度が低かった人に個別に話を聞きたい、ということもあります。
こうした対応を、Excelのファイルに「担当」「対応状況」の列を加えて管理し、返信はメールソフトから送っていると、どの回答に誰が返事をしたかが分からなくなりがちです。分析のためのファイルと、対応のためのファイルが混ざり、どちらが最新かも分からなくなります。
その場面で選択肢になるのがHalictです。Halictは、フォームを作り、届いた回答を1件ごとに担当と状況つきで管理し、同じ画面から返信まで送れるフォームのサービスです。公式サイトによると、集まった回答はリアルタイムで一覧になり、ワンクリックでCSVに書き出せるので、この記事で紹介したExcelでの分析にもそのまま使えます。アンケートを作る段階では、作りたいフォームをひと言で伝えるとAIが質問・選択肢・必須の設定まで組み立てる機能や、回答者に1画面1問ずつ見せる表示、評価や日付を含む12種類の項目、自動返信があります。
料金は公式の料金ページによると、メンバー1人までのフリープランが0円で、フォームの数と回答の数はどのプランでも無制限です。3人までのスタータープランは月額2,980円(税抜)でGoogleスプレッドシートとの連携が加わり、10人までのチームプランは月額7,800円(税抜)で、一斉メールと開封・クリックの計測、Teams・Slack・Chatworkへの通知が使えます。
Halictは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
分析はExcel、回答者への個別の対応はHalictのように、作業ごとに道具を分けると、分析のファイルが対応の記録で散らからずに済みます。
アンケートの分析ができると広がる仕事
アンケートの分析は、マーケティング、商品企画、人事、医療や介護の現場の満足度調査など、多くの職場で必要とされる作業です。Excelで集計し、差と理由を探し、次の行動を提案できる人は、在宅の仕事でも求められています。
フリーランス・在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見ると、分析の仕事で長く頼まれ続ける人は、表を正確に作ることに加えて、「この結果なら、次はこれを確かめましょう」と次の一手を提案できる人です。依頼する側が本当に困っているのは、数字の読み方と、そこから何を決めればよいかです。読み方まで伝えられると、単発の集計の作業が、継続の分析の仕事に変わっていきます。
アンケートの分析やレポートの作成を受ける仕事は、マーケ戦略・分析・レポート作成のお仕事で、仕事の内容や必要なスキルを紹介しています。サイトの利用者の調査や、アクセスの分析と組み合わせる仕事は、Webサイトコンサル・保守・分析のお仕事にまとめています。
調査や分析そのものを専門にする仕事の年収の水準は、研究者の年収・単価相場で、公的な統計をもとに紹介しています。経営の課題を数字から読み解く力を体系的に身につけたい人には、中小企業診断士の学習も参考になります。
Excelでのアンケートの分析は、目的を決め、データを整え、全体、差、理由の順に見ていけば、統計の専門家でなくても十分に進められます。最初の1回で作った表と手順をひな形として保存しておけば、次のアンケートからは、データを差し替えるだけで同じ分析ができます。
よくある質問
Q. Excelでアンケートを分析するとき、最初に何をすればよいですか?
まず、そのアンケートで何を知りたいのかを1文で書きます。目的が決まると、中心に使う質問と、比べる切り口が決まります。そのうえで、データを1行に1人、1列に1つの質問の形に整え、表記のゆれや、数字が文字として入っていないかを確かめてから、単純集計に進むと迷わずに進められます。
Q. 5段階評価の結果は平均点だけで判断してよいですか?
平均点だけでは、全員が真ん中の点を付けた場合と、高い点と低い点に分かれた場合の違いが見えません。点数ごとの人数の分布や、4点以上の割合(満足の割合)、2点以下の割合(不満の割合)も一緒に出すと、実際の状況をつかみやすくなります。報告では割合で伝えるほうが、読む人に伝わりやすくなります。
Q. 自由記述の回答はどうやって分析すればよいですか?
全部の回答に目を通してよく出てくる話題を5〜10個書き出し、話題ごとに列を作って、触れている回答に1を入れて数えます。SEARCH関数で特定の語を含む回答に当たりを付けると早く進みますが、最後は人の目で読んで確かめます。話題の列を使って年代などとクロス集計すると、満足度の差の理由を探す手がかりになります。
Q. Excelの分析ツールが見当たらないときはどうすればよいですか?
分析ツールは最初は有効になっていないことがあります。Windows版のExcelでは「ファイル」から「オプション」、「アドイン」を選び、「管理」で「Excel アドイン」を選んで「設定」を押し、「分析ツール」にチェックを入れます。有効になると、「データ」のタブに「データ分析」が表示され、基本統計量や相関をまとめて計算できます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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