複数回答のアンケートをエクセルで集計するときの、データの並べ方と数え方


この記事のポイント
- ✓複数回答のアンケートをエクセルで集計する方法を
- ✓データの並べ方から解説します
- ✓1つのセルにまとまった回答の数え方
アンケートの集計をエクセルで任されたものの、「当てはまるものをすべて選んでください」という複数回答の質問だけ、どう数えればよいのか分からない。そんな場面は、事務の仕事でも在宅の仕事でもよくあります。複数回答の集計でつまずく原因の多くは、関数の難しさではなく、データの並べ方と、割合を出すときの分母の決め方にあります。この記事では、複数回答のアンケートをエクセルで集計するときの、データの並べ方と数え方を順番に整理します。フォームで回答を集める段階から整えておく方法として、受付から対応までを1つにまとめるフォームのサービスのHalictにも触れます。
複数回答の集計が難しく感じる理由
アンケートの質問には、大きく分けて単一回答と複数回答の2つがあります。単一回答とは、「性別」「年代」のように、選択肢の中から1つだけを選ぶ質問のことです。複数回答とは、「利用したことのあるサービスをすべて選んでください」のように、当てはまるものをいくつでも選べる質問のことです。
単一回答なら、1人の回答は1つのセルに1つの値として入るので、選択肢ごとに数えれば集計できます。合計は回答者の人数と一致し、割合を足せば100%になります。
複数回答では、1人が2つも3つも選ぶので、次のような違いが出てきます。
・1人の回答が1つのセルに「メール, チャット, ビデオ会議」のようにまとめて入っていることがある
・選択肢ごとの合計を足すと、回答者の人数より多くなる
・割合を足すと100%を超える
この3つを知らずに単一回答と同じやり方で集計すると、数え漏れや、割合の誤りにつながります。逆に言えば、この3つへの対処を決めておけば、複数回答の集計は難しくありません。
アンケートの集計を初めて任された人からは、「関数を覚えなければと焦っていたけれど、実際に必要だったのは表の形を整えることだった」という声をよく聞きます。まず小さく、10人ほどのデータで試してから全体に広げると、失敗しても戻りやすくなります。
集計を始める前の下準備
関数を入れる前に、データそのものを確かめておくと、あとで集計をやり直す手間が減ります。次の5つを順番に確かめます。
回答者に番号を振る
1行が1人の回答になっているかを確かめ、左端の列に回答者の番号を振ります。フォームから書き出したデータには、回答の日時が入っていることが多いので、日時の順に並んだ状態で1から番号を振っておくと、あとで元のデータと照らし合わせるときに迷いません。
テストの回答を取り除く
アンケートを公開する前に、作った人が動作を確かめるために回答していることがあります。テストの回答が混ざったまま集計すると、数字がずれます。回答の日時が公開前のもの、名前の欄に「テスト」と入っているものなどを確かめて、集計の対象から外します。外す場合も、行を削除せずに「対象外」の印を付けておくと、あとから理由を説明できます。
同じ人の重複した回答を確かめる
同じ人が2回送信していることがあります。メールアドレスや社員番号など、1人を見分けられる項目があれば、COUNTIF関数で同じ値が2回以上出てくる行を探します。
=COUNTIF($C$2:$C$101,C2)
この式で2以上になった行が、重複の候補です。どちらの回答を残すかは、アンケートの目的に合わせて決めます。一般には、後から送った回答を有効にすることが多いでしょう。
無回答の扱いを決める
複数回答の質問に何も選ばなかった人がいる場合、その人を分母の回答者に含めるかどうかを決めておきます。質問が必須でなかった場合は、「当てはまるものがない」のか、「答えたくなかった」のかが区別できません。集計の前に、無回答の人数を数えて記録しておき、報告にも書き添えます。
作業用のシートを分ける
元のデータのシートはそのまま残し、コピーしたシートで作業します。さらに、集計の結果を表示するシートを別に作ると、どこに何があるかが分かりやすくなります。「元データ」「作業」「集計」の3つのシートに分けておくのが、扱いやすい形です。
データの並べ方は2種類ある
複数回答のデータの並べ方には、大きく分けて2つの形があります。どちらの形で手元にあるかによって、集計のやり方が変わります。
形A:1つのセルに回答がまとまっている
フォームのサービスから回答を書き出すと、複数回答の質問は、1人の回答が1つのセルに、区切り文字でつながった形で入っていることがあります。
| 回答者 | 利用したことのあるサービス |
|---|---|
| 1 | メール, チャット |
| 2 | ビデオ会議 |
| 3 | メール, チャット, ビデオ会議 |
| 4 | 電話, メール |
この形は、見た目には分かりやすいのですが、そのままでは選択肢ごとの数を数えにくい形です。
形B:選択肢ごとに列が分かれている
もう1つは、選択肢ごとに列を作り、選んだ場合は1、選ばなかった場合は0を入れる形です。
| 回答者 | メール | チャット | ビデオ会議 | 電話 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 1 | 1 | 0 | 0 |
| 2 | 0 | 0 | 1 | 0 |
| 3 | 1 | 1 | 1 | 0 |
| 4 | 1 | 0 | 0 | 1 |
このように、選んだかどうかを1と0で表した列のことを、集計の分野では「ダミー変数」と呼ぶことがあります。難しい言葉ですが、要は「はい」なら1、「いいえ」なら0にした列のことです。
形Bにしておくと、列ごとに合計を出すだけで選択肢ごとの人数が分かり、ほかの質問との掛け合わせの集計(クロス集計)や、ピボットテーブルでの集計もしやすくなります。手間はかかりますが、集計を何度もやり直す可能性があるなら、最初に形Bに直しておくのがおすすめです。
形Aのまま数える方法:COUNTIFとワイルドカード
形Aのまま、選択肢ごとの人数を数えたいときは、COUNTIF関数とワイルドカードを組み合わせます。COUNTIF関数とは、指定した範囲の中で、条件に合うセルの数を数える関数のことです。
ワイルドカードとは、「どんな文字でもよい」という意味を持つ記号のことです。マイクロソフトのサポートページでは、COUNTIFS関数の説明の中で、ワイルドカードについて次のように書かれています。
条件には、半角の疑問符 (?) または半角のアスタリスク (*) をワイルドカード文字として使用することができます。 ワイルドカード文字の疑問符は任意の 1 文字を表し、アスタリスクは 1 文字以上の任意の文字列を表します。 出典: Microsoft サポート
この性質を使って、「メール」という文字を含むセルの数を数えます。回答がB2からB101のセルに入っているとすると、式は次のとおりです。
=COUNTIF(B2:B101,"*メール*")
「メール」の前後にアスタリスクを付けることで、「メール」の前後にどんな文字があっても、「メール」を含むセルとして数えられます。選択肢の名前を別のセルに入力しておき、そのセルを参照する形にすると、選択肢ごとに式を書き直さずに済みます。たとえば、D2に「メール」と入力してある場合は次のように書きます。
=COUNTIF($B$2:$B$101,"*"&D2&"*")
この式を下のセルにコピーすれば、D3、D4に入力したほかの選択肢の人数も、同じ式で数えられます。
部分一致の落とし穴
この方法には注意点があります。選択肢の名前の一部が、別の選択肢の名前に含まれていると、数え過ぎが起きることです。
たとえば、選択肢に「メール」と「メールマガジン」があると、「メール」で数えたときに、「メールマガジン」だけを選んだ人まで「メール」として数えてしまいます。同じように、「会議」と「ビデオ会議」、「電話」と「携帯電話」のような組み合わせも危険です。
これを避けるには、次のどちらかを行います。
・選択肢の名前を、ほかの選択肢の一部にならない名前にしておく(アンケートを作る段階で決めておく)
・形Bに直してから数える
すでに集まったデータで選択肢の名前を変えられない場合は、次の形Bへの変換を使うのが確実です。
形Aから形Bに直す方法
形Aのデータを形Bに直す方法は、使っているエクセルの版によって選べるものが変わります。
方法1:区切り位置で列に分ける
どの版でも使えるのが、「区切り位置」の機能です。マイクロソフトのサポートページでは、区切り位置指定ウィザードを使って、1つのセルのテキストを複数のセルに分割する手順が案内されています。
- 分割したい回答が入った列を選ぶ
- 「データ」タブの「区切り位置」を選ぶ
- 「区切り記号付き」を選んで「次へ」をクリックする
- 区切り文字(コンマなど)を選ぶ。プレビューで分かれ方を確かめる
- 「次へ」をクリックし、表示先を選んで「完了」をクリックする
区切り位置で分けると、1人の回答が横のセルに並びます。ただし、並ぶ順番は人によって違うので、この形のままでは形Bにはなっていません。分けた範囲全体を対象に、選択肢ごとの数をCOUNTIF関数で数えます。たとえば、C2からF101に分かれた回答が入っているなら、次のように数えます。
=COUNTIF($C$2:$F$101,"メール")
区切り位置で分けたあとは、1つのセルに1つの選択肢しか入っていないので、ワイルドカードを使わずに完全に一致するものだけを数えられます。部分一致の落とし穴も避けられます。
注意したいのは、区切り文字の後ろに空白が入っている場合です。「メール, チャット」のようにコンマの後ろに空白があると、分けたあとのセルに「 チャット」のように先頭の空白が残り、完全一致で数えられなくなります。区切り位置のウィザードで、区切り文字としてコンマと一緒にスペースも選んでおくか、分けたあとでTRIM関数で空白を取り除いておきます。
方法2:TEXTSPLIT関数で分ける
Microsoft 365のエクセルや、Excel 2024を使っているなら、TEXTSPLIT関数でも分けられます。マイクロソフトのサポートページでは、TEXTSPLIT関数は列と行の区切り記号を使ってテキスト文字列を分割する関数と説明されています。適用対象として挙げられているのは、Excel for Microsoft 365とExcel 2024で、Excel 2021は含まれていません。
B2の回答をコンマで分けるなら、式は次のとおりです。
=TEXTSPLIT(B2,",")
コンマと空白の両方で区切りたいときは、配列定数で複数の区切り記号を指定できると、マイクロソフトのTEXTSPLIT関数の説明ページに書かれています。
方法3:1と0の列を関数で作る
形Bそのものを作りたいときは、選択肢ごとの列に、その選択肢を含むかどうかを判定する式を入れます。B2の回答に「メール」が含まれていれば1、なければ0を返す式は、たとえば次のとおりです。
=IF(COUNTIF(B2,"*メール*")>0,1,0)
ここでも部分一致の落とし穴は同じなので、選択肢の名前が別の選択肢の一部になっていないかを先に確かめます。区切り位置やTEXTSPLITで分けた結果に対して、完全一致で判定すると、より確実です。
Googleスプレッドシートで集計する場合
回答をGoogleスプレッドシートで受け取っている場合は、エクセルに移さずにそのまま集計することもできます。COUNTIF関数、COUNTIFS関数、SUM関数は、Googleスプレッドシートでも同じ考え方で使えます。
1つのセルにまとまった回答を分けるには、SPLIT関数を使います。Googleのドキュメントエディタのヘルプでは、SPLIT関数の形を「SPLIT(テキスト, 区切り文字, [各文字での分割], [空のテキストを削除])」と説明しています。B2の回答をコンマで分けるなら、次のように書きます。
=SPLIT(B2,",")
GoogleのSPLIT関数のヘルプには注意点も書かれています。初期の設定では、区切り文字に指定した文字の1つ1つで分割されるため、「, 」のように2文字を区切りに指定すると、コンマと空白のそれぞれで分割されます。選択肢の名前の中に空白が入っていると、名前の途中で分かれてしまうので、「各文字での分割」をFALSEにしておくと安全です。
エクセルとGoogleスプレッドシートのどちらで集計するかは、報告を受け取る人がどちらで開くかで決めると、あとのやりとりが楽になります。どちらで集計した場合も、分母とnを書き添える、元のデータを残しておく、という基本は同じです。
形Bで数える方法:合計と人数
形Bにできたら、集計はとても簡単になります。
選択肢ごとの人数は、その列の合計です。メールの列がB2からB101なら、次の式で人数が出ます。
=SUM(B2:B101)
回答者の人数は、回答者の列の数を数えるか、行の数から分かります。複数回答の質問に1つも選ばなかった人(無回答)がいる場合は、その人を回答者に含めるかどうかを決めておく必要があります。選択肢の列がすべて0の人を数えたいときは、行ごとに合計を出す列を作り、合計が0の行を数えます。
=COUNTIF(F2:F101,0)
この「行ごとの合計」の列は、1人あたりいくつの選択肢を選んだかを表します。全員の平均を出せば、1人あたりの平均の選択数が分かり、回答の傾向をつかむ手がかりになります。
割合の分母をどちらにするか
複数回答の集計で、最も誤解が起きやすいのが割合です。割合の分母には、2つの考え方があります。
| 分母 | 計算のしかた | 割合を足すと | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 回答者数 | 選択肢を選んだ人数 ÷ 回答者の人数 | 100%を超える | 「何人に1人がそのサービスを使っているか」を知りたいとき |
| 回答数の合計 | 選択肢を選んだ数 ÷ すべての選択の合計 | 100%になる | 「選ばれた回答全体の中での内訳」を知りたいとき |
たとえば、回答者が100人で、メールを選んだ人が70人、チャットを選んだ人が50人、ビデオ会議を選んだ人が40人、電話を選んだ人が20人だったとします。この例では、回答者数を分母にすると、メールは70%、チャットは50%、ビデオ会議は40%、電話は20%で、合計は180%になります。
一方、選ばれた数の合計は180なので、回答数の合計を分母にすると、メールは約39%、チャットは約28%、ビデオ会議は約22%、電話は約11%で、合計が100%になります。
アンケートの報告では、回答者数を分母にするのが一般的です。「回答者の70%がメールを使っている」という表現は、読み手にとって意味が分かりやすいからです。回答数の合計を分母にすると、「メールが39%」という数字になり、「回答者の39%がメールを使っている」と読み違えられるおそれがあります。
どちらを使う場合も、表やグラフの近くに「複数回答のため、合計は100%を超える」「n=100(回答者数)」のように、分母を書き添えておくことが大切です。nとは、集計の対象になった人数のことです。
クロス集計:属性ごとに比べる
複数回答の結果を、年代や部署などの属性ごとに比べたいときは、COUNTIFS関数を使います。COUNTIFS関数とは、複数の条件をすべて満たすセルの数を数える関数のことです。
形Bのデータで、A列に年代、B列にメールの1と0が入っているとき、「30代でメールを選んだ人数」は次のように数えます。
=COUNTIFS(A2:A101,"30代",B2:B101,1)
このとき、割合の分母は「30代の回答者の人数」です。
=COUNTIF(A2:A101,"30代")
年代のように属性の種類がいくつもある場合は、属性の名前を縦に、選択肢の名前を横に並べた表を作り、COUNTIFS関数の条件に、行と列の見出しのセルを参照させると、1つの式をコピーするだけで表全体を埋められます。
属性ごとに分母が変わるので、表を作るときは、属性ごとの人数の列を必ず添えます。人数が少ない属性の割合は、1人の違いで大きく変わるので、読み取るときに注意が必要です。
形Aのままクロス集計をしたい場合も、COUNTIFS関数の条件にワイルドカードを使えば数えられます。ただし、部分一致の落とし穴があるので、できるだけ形Bに直してから行うほうが安全です。
ピボットテーブルで一度に集計する
選択肢が多い場合や、属性の種類が多い場合は、ピボットテーブルを使うと一度に集計できます。ピボットテーブルとは、表のデータを、行と列の見出しを選ぶだけで自動的に集計してくれるエクセルの機能のことです。
形Bのデータでピボットテーブルを作るときは、次のように設定します。
- データの範囲を選び、「挿入」タブから「ピボットテーブル」を選ぶ
- 行に年代などの属性を入れる
- 値に、選択肢の列(メール、チャットなど)を入れ、集計の方法を「合計」にする
これで、属性ごとに、各選択肢を選んだ人数が一覧になります。値の集計方法を「平均」にすると、1と0の平均がそのまま「選んだ人の割合」になるので、回答者数を分母にした割合を一度に出せます。
形Aのままでは、ピボットテーブルで選択肢ごとに数えることはできません。ピボットテーブルを使いたいときこそ、形Bに直しておく意味があります。
「その他」の自由記述の扱い
複数回答の質問には、「その他(具体的に)」という選択肢と、内容を書く欄が付いていることがよくあります。この欄の扱いを決めておかないと、集計の最後で手が止まります。
まず、「その他」を選んだ人数は、ほかの選択肢と同じように数えます。そのうえで、書かれた内容を1件ずつ読み、既存の選択肢に当てはまるものがあれば、その選択肢に振り替えるかどうかを決めます。たとえば、「その他」に「Zoom」と書かれていて、選択肢に「ビデオ会議」がある場合です。
振り替えるかどうかは、集計の方針として最初に決め、報告にも書いておきます。振り替えると選択肢の人数が変わるので、振り替えの前と後のどちらの数字を報告するかを、依頼した人と確かめておくと安心です。
書かれた内容が多い場合は、似た内容をまとめて、新しい分類を作ることもあります。「その他」の中に同じ内容が多く集まっていたら、次のアンケートでは選択肢に加える候補になります。集計は、次のアンケートを良くするための材料でもあります。
単一回答と組み合わせて読む例
複数回答の結果は、単一回答の質問と組み合わせると、読み取れることが増えます。
たとえば、「この1年で利用したことのある連絡の手段(複数回答)」と、「最も満足している連絡の手段(単一回答)」の2つの質問があるとします。複数回答の結果からは、どの手段が広く使われているかが分かります。単一回答の結果からは、どの手段が最も好まれているかが分かります。
この2つを比べると、「多くの人が使っているけれど、最も満足している人は少ない手段」や、「使っている人は少ないけれど、使っている人の満足度は高い手段」が見えてきます。後者の手段を使っている人の割合を分母に、満足している人の割合を出すと、手段ごとの満足の度合いを比べられます。
形Bのデータなら、この比べ方もCOUNTIFS関数で計算できます。「ビデオ会議を使っていて、最も満足している手段にビデオ会議を選んだ人」は、ビデオ会議の列が1で、満足の列が「ビデオ会議」の行を数えれば出せます。分母は、ビデオ会議の列の合計です。
グラフの選び方
複数回答の結果をグラフにするときは、横棒グラフを選ぶのが基本です。
円グラフは、全体を100%として内訳を示すためのグラフです。回答者数を分母にした複数回答の割合は合計が100%を超えるので、円グラフにすると、実際とは違う印象を与えてしまいます。
横棒グラフなら、選択肢ごとの割合をそれぞれ独立した長さで示せるので、合計が100%を超えても誤解を招きません。選択肢を割合の大きい順に並べ替えてからグラフにすると、どれが多く選ばれたかがひと目で分かります。
属性ごとに比べたいときは、横棒グラフを属性ごとに並べるか、選択肢ごとにまとめた集合横棒グラフにします。グラフのタイトルの近くに、「複数回答」と「n=100」のような分母を書き添えるのを忘れないようにしましょう。
よくある失敗と防ぎ方
複数回答の集計で起きやすい失敗を整理します。
表記の揺れで数え漏れる
自由に入力できる欄で「その他」の回答を集めていると、「Teams」「teams」「チームズ」のように、同じものが違う表記で入ってきます。集計の前に、表記をそろえる作業が必要です。フォームで選択肢を用意し、自由入力を減らすことが、最も確実な予防策です。
区切り文字の後ろの空白
前に説明したとおり、区切り文字の後ろに空白があると、分けたあとのセルに空白が残り、完全一致で数えられなくなります。TRIM関数で空白を取り除くか、区切り文字として空白も指定します。
分母の書き忘れ
割合だけを報告書に書き、分母を書き忘れると、読み手が数字の意味を取り違えます。「回答者100人のうち70%」と「選ばれた回答のうち39%」は、意味がまったく違います。表とグラフには、必ず分母を書き添えます。
元のデータを上書きする
区切り位置で分ける作業は、元のデータを上書きすることがあります。作業の前に、元のデータのシートをコピーして残しておくと、やり直しが必要になったときに戻れます。
回答を集める段階から整えておく
ここまで見てきたように、複数回答の集計の手間の多くは、回答がどんな形で手元に届くかで決まります。集計の作業を減らすには、回答を集める段階から整えておくことが効果的です。
まず、選択肢の名前を決めるときに、ほかの選択肢の一部にならない名前にしておきます。「その他」を選んだ人の具体的な内容は、別の欄で自由に書いてもらいます。
次に、回答の書き出しの形を確かめておきます。フォームのサービスによって、複数回答が1つのセルにまとまって書き出されるもの、選択肢ごとに列が分かれて書き出されるものがあります。本番のアンケートを始める前に、自分で数件のテスト回答をしてCSVに書き出し、エクセルで開いて形を確かめておくと、集計の段階で慌てずに済みます。
フォームのサービスを選ぶ段階で、回答の管理や書き出しのしやすさも比べておくと、集計の手間を減らせます。その候補の1つがHalictです。公式サイトによると、Halictは受付から対応までを1つにまとめるフォームのサービスで、テキスト、選択肢、評価、日付、メールなど12種類の項目を使ってフォームを作れます。集まった回答はリアルタイムに一覧で確認でき、ワンクリックでCSVに書き出して、集計や共有にそのまま使えると書かれています。
料金は人数で決まる仕組みで、フォームの数と回答の数は、どのプランでも無制限とされています。フリープランは月額0円でメンバー1人まで使え、CSVの書き出しや自動返信も含まれます。Googleスプレッドシートとの連携は、メンバー3人までのスターター(月額2,980円・税抜)から使えると案内されています。回答が届くたびにスプレッドシートに行が増えていく形にしておけば、エクセルに取り込む前の手作業を減らせます。
Halictは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
集計の結果を伝わる形にまとめる
集計が終わったら、結果を読む人に伝わる形にまとめます。数字を並べるだけでは、読み手は何が大事なのかをつかめません。
まず、一番伝えたいことを1文で書きます。「回答者の70%がメールを使っており、ほかの手段より多い」のように、数字と結論をセットにします。
次に、その根拠となる表やグラフを示します。表には分母を書き、グラフは大きい順に並べます。
最後に、数字から言えることと言えないことを分けて書きます。たとえば、ある属性で割合が高く見えても、その属性の人数が少ない場合は、「人数が少ないため参考値」と書き添えます。
報告書の最初には、アンケートの概要を短く書いておきます。いつ、だれを対象に、どの方法で集め、何人から回答があったか。この4つが書かれていれば、読み手は数字の重みを自分で判断できます。たとえば「社員を対象に、10月1日から10月7日までフォームで回答を集め、100人から回答を得た」のように書きます。回答を集めた人数が分かっていれば、回答した人の割合(回収率)も添えておくと、結果がどのくらい全体を表しているかの目安になります。
アンケートの集計とまとめは、事務の仕事でも、在宅で受ける仕事でもよく求められる作業です。データを正しく扱い、読み手に伝わる形にまとめる力は、どの職場でも評価されます。
アンケートの集計を仕事にする
アンケートの集計や分析は、在宅で受けられる仕事の1つでもあります。企業の顧客満足度の調査、自治体や団体の利用者アンケート、イベントの参加者アンケートなど、集計を外部に頼みたい場面は多くあります。
在宅ワークやフリーランスの市場を20年見てきた運営者の立場から言えば、集計の仕事で長く頼られる人は、関数の知識よりも、「分母はどちらか」「この数字は何人の回答か」を依頼者に確かめる丁寧さを持っています。数字の意味を取り違えないことが、結果の信頼につながるからです。
こうした仕事を企業から直接受けると、仲介する会社の取り分が乗らないため、依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側は手元に残る金額が厚くなります。手数料0%で直接取引できる場は、こうした双方にとって無理のない関係を作りやすい環境です。
業務の効率化やデータの活用を支援する仕事の内容は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で紹介しています。調査や分析を本業にする人の収入の水準は、研究者の年収・単価相場で確かめられます。データをもとに中小企業の経営に助言する道に進みたい人には、中小企業診断士のような資格もあります。まずは身近なアンケートの集計から小さく始めて、自分に合う関わり方を探してみてください。
よくある質問
Q. 複数回答の割合は、回答者数と回答数のどちらで割ればよいですか?
報告では回答者数を分母にするのが一般的です。「回答者の何%がその選択肢を選んだか」が分かりやすいからです。この場合、割合の合計は100%を超えます。回答数の合計で割る方法もありますが、どちらを使う場合も、表やグラフに分母とnを必ず書き添えてください。
Q. 1つのセルに「A, B, C」とまとまった回答はどう数えますか?
COUNTIF関数でワイルドカードを使い、「A」のように選択肢を含むセルを数えられます。ただし、選択肢の名前が別の選択肢の一部になっていると数え過ぎるので、「データ」タブの「区切り位置」やTEXTSPLIT関数で列に分けてから、完全一致で数えるほうが確実です。
Q. 複数回答の結果を円グラフにしてもよいですか?
回答者数を分母にした複数回答の割合は合計が100%を超えるため、円グラフは向きません。全体の内訳に見えてしまい、誤解を招きます。選択肢ごとの割合を横棒グラフで示し、大きい順に並べるのが基本です。グラフの近くに「複数回答」と分母を書き添えましょう。
Q. TEXTSPLIT関数が使えないエクセルではどうすればよいですか?
マイクロソフトのサポートでは、TEXTSPLIT関数の適用対象はMicrosoft 365とExcel 2024です。それ以外の版では、「データ」タブの「区切り位置」で列に分けるか、IF関数とCOUNTIF関数を組み合わせて、選択肢ごとに1と0の列を作る方法を使います。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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