アンケートのバイアスとは|回答が偏る原因と防ぐ質問の作り方


この記事のポイント
- ✓アンケートのバイアスとは何か
- ✓回答が偏る原因を「誰に聞くか」「どう聞くか」「どう答えるか」「どう並べるか」に分けて整理
- ✓NGとOKの質問の書き換え例
アンケートを取ってみたら、思っていたより評価が高すぎる、あるいは誰に聞いても同じような答えばかりで判断の材料にならない。そんなとき、原因の多くは回答者ではなく、アンケートの作り方の側にあります。この記事では、アンケートのバイアスとは何かを最初に整理し、回答が偏る原因を「誰に聞くか」「どう聞くか」「どう答えるか」「どう並べるか」の4つに分けて説明します。そのうえで、偏りを生む質問を言い換えた例と、作る段階から偏りを抑える7つの手順、集めたあとに結果を読み違えないための注意点までを順に紹介します。社外の人から集めた声に、担当を決めて返信まで対応したい場合の道具として、受付から対応までを扱うフォームのHalictにも触れます。
アンケートのバイアスとは何か
バイアスとは、もともと「偏り」や「傾き」を意味する言葉です。アンケートのバイアスとは、質問の仕方や回答者の選び方などが原因で、集まった答えが本当の姿からずれてしまうことを指します。調査のサービスを提供しているSurveyMonkeyは、次のように説明しています。
アンケートバイアスとは、調査者が回答者に何らかの影響を与えたことが原因で生じるフィードバックの偏りを指します。調査手法が特定の結果へと誘導するようなものである場合にアンケートバイアスが生じ、ターゲット層を正確に反映しない結果につながります。 出典: jp.surveymonkey.com
ここで大切なのは、バイアスは「回答者が嘘をついた」ことではないという点です。回答者はたいてい誠実に答えています。それでも、質問の言葉づかい、選択肢の並び、誰にアンケートが届いたか、といった作り手の選択によって、答えは簡単に一方へ傾きます。言い換えると、バイアスの多くは作る側が防げるものです。
アンケートのバイアスは、大きく2つの系統に分けて考えると整理しやすくなります。
- 誰に聞いたかで生まれる偏り:回答者の集まり方が、本当に知りたい人たち全体とずれている
- どう聞いたかで生まれる偏り:質問の言葉、選択肢、順番、回答者の心理によって答えがずれる
前者はサンプリングのバイアスと呼ばれます。サンプリングとは、知りたい人たち全体の中から、実際にアンケートを送る人を選ぶことです。後者は回答のバイアスと呼ばれ、質問文や回答の場面で生まれます。この記事では、回答のバイアスをさらに「聞き方」「答え方のくせ」「並べ方」の3つに分けて見ていきます。
社内の満足度調査、研修のアンケート、商品の購入者アンケートなど、どの場面でもバイアスはゼロにはなりません。目指すのは、偏りを完全になくすことではなく、偏りの大きな原因を作る段階で取り除き、残った偏りを意識して結果を読むことです。
バイアスが判断を誤らせる3つの場面
バイアスがあると、何が困るのでしょうか。数字が少しずれるだけなら大きな問題には見えませんが、実際にはその数字をもとに決めたことが外れる、という形で影響が出ます。よくある場面を3つ挙げます。
1つ目は、研修や講座の改善です。研修の最後に講師の前で紙のアンケートを配り、その場で回収すると、回答者は講師に気をつかって高い評価を付けやすくなります。満足度が高いので内容を変えずに続けたところ、現場では研修の内容が使われていなかった、ということが起こります。アンケートの数字は良かったのに、研修の目的は果たせていなかったわけです。
2つ目は、商品やサービスの見直しです。購入者に満足度を聞いたところ評価が高かったので、価格を上げても問題ないと判断した。ところが、アンケートに答えたのは常連の人ばかりで、一度買ってやめた人の声は入っていなかった。この場合、値上げで離れる人を見落とすことになります。
3つ目は、社内の制度づくりです。働き方についての社内アンケートで「今の制度に満足している」という答えが多かったので、制度を変えなかった。しかし実際には、不満を持つ人ほど「書いても変わらない」と答えておらず、しばらくして退職が続いた。回答率の低い部署に目を向けていれば、早く気づけた可能性があります。
3つに共通するのは、アンケートの数字そのものは正しく集計されているのに、集まり方や聞き方の偏りのせいで、知りたかったこととずれた答えになっている点です。バイアスに気をつけるのは、数字をきれいにするためではなく、その数字で下す判断を外さないためです。
誰に聞くかで生まれる偏り
総務省統計局の学習サイトでは、調べたい集団全体を母集団、その一部を取り出して調べることを標本調査と呼び、標本は偏りが生じないように選ぶ必要があると説明しています。
標本調査(サンプル調査)とは対象となるもの一部を調査して、全体を推定する方法です。全数調査に比べて手間や費用を省くことができますが、標本誤差が生じてしまうため、標本は偏りが生じないように選ぶ必要があります。 出典: stat.go.jp
会社や学校で行うアンケートでも、考え方は同じです。誰に届けるかの段階で生まれる代表的な偏りを3つ紹介します。
届ける範囲の偏り
アンケートを届けた範囲そのものが、知りたい人たち全体とずれている状態です。たとえば、顧客の満足度を知りたいのに、メールマガジンの登録者だけに送ると、メールを読む習慣があり、ある程度好意を持っている人に回答が偏ります。社内アンケートをTeamsの特定のチャネルだけで告知すると、そのチャネルを見ない現場の人の声が抜けます。
自分から答えに来る人の偏り
回答するかどうかを回答者が自分で決める形では、強い意見を持つ人ほど答えに来ます。とても満足した人と、強い不満を持つ人が多く集まり、「特に何とも思っていない」大多数の声が薄くなります。これを自己選択のバイアスと呼びます。口コミの評価が極端に割れやすいのも、同じ仕組みです。
答えなかった人の偏り
送った相手のうち、答えなかった人たちに特徴がある場合の偏りです。忙しい部署ほど回答率が低い、不満がある人ほど「どうせ変わらない」と答えない、といった状態では、集まった答えが実態より楽観的になります。回答率を見るだけでなく、部署や年代ごとの回答率に差がないかを確かめると、この偏りに気づけます。回答の締め切りの前に、答えていない人にもう一度だけお願いの連絡をすると、忙しくて後回しにしていた人の答えを集めやすくなります。何度も催促すると、かえって雑な答えが増えるので、お願いは1回か2回にとどめます。
この3つは、質問をどれだけ工夫しても直りません。誰に届けるか、どうやって答えてもらうかを、質問を作る前に決めておく必要があります。
聞き方で生まれる偏り
質問文そのものが答えを引き寄せてしまう偏りです。統計局の学習サイトは、調査票の作り方として、答えを誘導する質問、あいまいな言葉、2つのことを1問で聞く質問を避けるよう具体例つきで説明しています。
答えを誘導する質問
質問の中に、ある答えを選ばせたい気持ちがにじむ書き方です。統計局の例では、「運動の時間を増やしたいと思いますか」とだけ聞く場合と、運動不足で病気になる人が増えているという前置きを付けてから聞く場合を比べ、後者は危機感をあおる文章が入っているため結果に歪みが生じると説明しています。研修のアンケートで「本日の充実した研修の感想を教えてください」と書くのも、同じ種類の誘導です。
2つのことを1問で聞く質問
「講師の説明と資料は分かりやすかったですか」のように、2つの対象を1問に入れる書き方です。説明は分かりやすかったが資料は読みにくかった人は、どちらで答えればよいか迷い、結果も解釈できなくなります。ダブルバーレル質問と呼ばれ、統計局も「同一の質問項目に2つの質問を入れない」ことを挙げています。
あいまいな言葉を使う質問
「最近」「よく」「たまに」のように、人によって受け取り方が違う言葉です。統計局の例では、「最近、映画館に何回行きましたか」の「最近」が人それぞれの感覚で異なるため、「1か月以内」のように期間をはっきり書くよう案内しています。
権威や世間の意見を持ち出す質問
「専門家の多くが勧めている方法について、どう思いますか」のように、権威のある人や多数派の意見を添えると、回答者はそれに合わせやすくなります。賛否を聞くときは、判断の材料になる事実だけを示し、誰がどう言っているかは書かないのが基本です。
前提を押しつける質問
「新しい制度でどのくらい便利になりましたか」という質問は、便利になったことを前提にしています。不便になった人や変わらなかった人は、答えようがありません。まず「変わりましたか」と聞き、変わったと答えた人にだけ「どう変わりましたか」と聞く2段階の形にすると、前提の押しつけを避けられます。質問を書いたら、その質問に「いいえ」や「変わらない」と答えたい人が答えられるかを確かめると、この種類の偏りに気づけます。
答え方のくせで生まれる偏り
質問文に問題がなくても、人には答えるときのくせがあります。作り手がそれを知っておくと、質問の形を変えるだけで偏りを小さくできます。
「はい」と答えやすいくせ
はいかいいえで答える質問や、「そう思う」から「そう思わない」までで答える質問では、内容にかかわらず肯定の側を選びやすい傾向があります。黙従傾向と呼ばれます。すべての質問を「〜はよかったですか」という肯定の形でそろえると、この傾向がそのまま結果に乗ります。対策として、一部の質問を「〜で困ったことはありましたか」のように反対向きの形にする方法があります。ただし、反対向きの質問を混ぜすぎると読み違いが増えるので、混ぜるのは数問にとどめます。
よく見られたいくせ
回答者は、社会的に望ましいと思われる答えを選びやすくなります。社会的望ましさのバイアスと呼ばれます。社内アンケートで「上司に相談しにくいと感じますか」と聞いても、記名式なら正直に答えにくくなります。匿名であることをはっきり伝える、回答が誰に読まれるかを書く、といった工夫が効きます。
真ん中を選びやすいくせ
5段階の評価で「どちらとも言えない」に答えが集まる傾向です。中心化傾向と呼ばれます。考えるのが面倒なとき、本音を出したくないときに起きやすくなります。真ん中の選択肢をなくして4段階にする方法もありますが、本当に中間の意見を持つ人に無理に選ばせることにもなるため、何を知りたいかで決めます。真ん中に答えが集まって判断に使えないときは、評価の質問のあとに「そう答えた理由」を短く書いてもらう欄を1つだけ付けると、真ん中を選んだ人が何に迷ったのかが見えてきます。全部の質問に理由の欄を付けると負担が大きくなるので、いちばん知りたい質問だけに付けるのがコツです。
思い出し違い
「この1年で何回利用しましたか」のように過去を思い出してもらう質問では、記憶があいまいになり、印象の強い出来事や最近の出来事に答えが引っ張られます。期間を短くする、「先月」のように区切りのはっきりした期間で聞く、記録を見ながら答えられる質問にする、といった工夫で小さくできます。
並べ方で生まれる偏り
同じ質問でも、どの順番で並べるか、選択肢をどう並べるかで答えが変わります。統計局の学習サイトは、質問の順番による誘導について、次の例を挙げています。
例えば、「高齢化問題についてどう思いますか?」という質問の後に「今の政治に望む事は何ですか?」という質問をすると、普段は経済対策を第一にやって欲しいと考えていても、この時に限って「高齢化対策」や「年金対策」と回答してしまう場合があります。 出典: stat.go.jp
前の質問で考えたことが、後ろの質問の答えに持ち越される現象で、キャリーオーバー効果と呼ばれます。全体の満足度を聞く前に、不満の点を細かく聞くと、全体の満足度は低めに出やすくなります。全体の評価を知りたいなら、細かい質問より先に聞くのが基本です。
選択肢の並べ方にも偏りがあります。紙や画面で選択肢を読む形では、上のほうにある選択肢が選ばれやすく、読み上げて聞く電話の調査では、最後に聞いた選択肢が選ばれやすい傾向があると言われます。選択肢に自然な順番がないとき(好きな機能、利用のきっかけなど)は、回答者ごとに並びを入れ替える設定がアンケートの道具にあれば使います。年代や回数のように順番に意味がある選択肢は、入れ替えずに小さい順に並べます。
統計局はあわせて、回答しやすい質問から順に聞くこと、関連する質問は続けて聞くことも挙げています。答えにくい質問を最初に聞くと、途中でやめる人が増え、最後まで答えた人だけに偏った結果になるからです。
選択肢の作り方で生まれる偏り
質問文がよくできていても、選択肢の作り方で答えが偏ることがあります。見落とされやすい4つの点を紹介します。
選択肢に漏れがある
「利用のきっかけ」を聞く質問で、選択肢に「知人の紹介」「Webの検索」「チラシ」しかないと、SNSで知った人は近いものを選ぶか、答えをやめてしまいます。その結果、SNS経由の人がいないように見えてしまいます。選択肢を考えたら、最後に「その他(自由記述)」を付け、試しの回答で「その他」に何が書かれるかを見て、多いものを選択肢に加えます。
選択肢が重なっている
年齢を「20〜30歳」「30〜40歳」のように区切ると、30歳の人はどちらを選べばよいか分かりません。統計局の学習サイトが勧めるとおり、選択肢は重なりなく、漏れなく作るのが基本です。年齢なら「20〜29歳」「30〜39歳」のように区切ります。回数や金額も同じで、境目の数字がどちらにも入らないかを必ず確かめます。
肯定と否定の数がそろっていない
「とても満足」「満足」「やや満足」「不満」の4つを並べると、肯定の側が3つ、否定の側が1つになり、答えは肯定に寄ります。評価の選択肢は、真ん中をはさんで肯定と否定の数と強さをそろえます。「とても満足」と対になるのは「とても不満」で、「満足」と対になるのは「不満」です。
「分からない」「当てはまらない」がない
その質問に答える立場にない人まで、無理にどれかを選ぶことになります。たとえば、サポート窓口を使ったことがない人に窓口の満足度を聞くと、なんとなく真ん中を選び、結果がぼやけます。「利用したことがない」の選択肢を付けるか、前の質問で利用した人だけに聞く形にします。オンラインのアンケートの道具には、前の答えによって次の質問を出し分ける機能があることが多いので、使えるなら活用します。
オンラインのアンケートで起きやすい偏り
いまのアンケートの多くは、フォームのURLを配ってスマートフォンやパソコンで答えてもらう形です。紙の調査とは違う種類の偏りも生まれます。
画面で読まれ方が変わる
スマートフォンの画面では、長い選択肢の一覧は下のほうが見切れ、上のほうの選択肢が選ばれやすくなります。表の形で何問も並べる質問は、スマートフォンでは横に長くなり、同じ列をまとめて選ぶ答え方が増えます。作ったら必ず自分のスマートフォンで開き、回答者と同じ画面で最後まで答えてみます。
謝礼が答え方を変える
謝礼を用意すると回答数は伸びやすい一方で、謝礼が目当ての人が早く終わらせようとして、内容を読まずに答えることがあります。回答にかかった時間が極端に短い答えや、すべて同じ選択肢を選んだ答えは、集計の前に別に分けて確かめます。謝礼の内容や渡し方は、本来答えてほしい人たちに合うものかどうかも考えます。
同じ人が何度も答える
URLを配る形では、同じ人が何度も答えられる設定になっていることがあります。回答を1人1回に限る設定があるなら使い、使えない場合は、メールアドレスなどで重複がないかを集計の前に確かめます。
答える前に離れる人
最初の画面で質問の数が多く見えたり、個人情報の入力から始まったりすると、答える前に離れる人が増えます。離れた人の特徴は記録に残らないため、気づきにくい偏りです。最初の質問は答えやすいものにし、個人情報が必要なら最後に聞く順番にすると、離れる人を減らせます。
偏りを生む質問と、言い換えた質問の例
ここまでの内容を、よく見かける質問の書き換え例にまとめます。
| 偏りを生む質問 | 原因 | 言い換えた質問 |
|---|---|---|
| 本日の充実した研修の感想を教えてください | 答えを誘導する言葉 | 本日の研修の内容について、満足度を5段階で選んでください |
| 講師の説明と資料は分かりやすかったですか | 2つのことを1問で聞いている | 講師の説明は分かりやすかったですか/資料は読みやすかったですか |
| 最近、当店を何回利用しましたか | 期間があいまい | 9月の1か月間に、当店を何回利用しましたか |
| 多くの専門家が勧めるこの方法に賛成ですか | 権威を持ち出している | この方法に賛成ですか、反対ですか |
| 上司に不満はありますか(記名式) | よく見られたい心理 | 匿名の調査で、上司に相談しにくいと感じる場面があるかを聞く |
| 新しい制度は便利になりましたよね | 同意を求める形 | 新しい制度で、手続きの手間は変わりましたか |
言い換えのコツは、形容詞と前置きを削り、聞きたい対象を1つに絞り、期間や範囲を数字で示すことです。書き換えたら、質問だけを読んで「作り手がどちらの答えを望んでいるか」が分からないかどうかを確かめます。分かってしまうなら、まだ誘導が残っています。
偏りを抑えるアンケートの作り方 7つの手順
バイアスは作ったあとで直すより、作る段階で抑えるほうがずっと楽です。次の7つの手順で進めると、大きな偏りの多くを最初に取り除けます。
- 何を決めるための調査かを1文で書く。目的があいまいだと、関係のない質問が増え、回答者が疲れて答えが雑になります
- 知りたい人たち全体を決め、その全員に届く方法を選ぶ。届かない人がいるなら、別の手段で補う
- 集計したい表を先に描く。統計局も、結果表をイメージしながら調査項目を作るよう勧めています。表に使わない質問は削ります
- 質問文を書き、前の節の書き換え例に照らして誘導、2つの対象、あいまいな言葉がないかを見直す
- 質問と選択肢の順番を決める。全体の評価を先に、細かい質問を後に、答えにくい質問は最後にします
- 回答のしやすさを整える。匿名かどうかを明記し、所要時間の目安を書き、質問の数を絞ります
- 本番の前に、立場の違う3〜5人ほどに試しに答えてもらい、迷った質問や意味を取り違えた質問を直す
特に効くのは7番目の試しの回答です。作った本人には質問の意図が分かっているので、あいまいさに気づけません。試しに答えてもらった人に「どの質問で迷いましたか」と1つだけ聞くと、直すべき場所がすぐに見つかります。
質問の数の目安も決めておきます。回答に5分以上かかるアンケートは、後半になるほど同じ選択肢を続けて選ぶ、自由記述を空欄にする、といった手抜きの答えが増えやすくなります。所要時間の目安を最初に示し、それを超えない数に絞ると、最後まで同じ集中で答えてもらいやすくなります。
集めたあとに結果を読み違えないための注意点
作る段階で気をつけても、偏りは少しは残ります。集計と読み取りの段階で、残った偏りに気づくための見方を4つ紹介します。
回答率と回答者の内訳を先に見る
結果の数字より先に、何人に送って何人が答えたか、部署や年代の内訳が送った相手の内訳とずれていないかを見ます。特定の部署だけ回答率が低いなら、全体の数字はその部署の声を反映していません。結果を報告するときも、回答率と内訳を必ず添えます。
自由記述の声を数字と並べて読む
選択式の結果だけを見ると、「満足が8割」のように良い面だけが目に入りがちです。自由記述に同じ不満が何度も出ていないかを並べて読むと、数字に表れない問題に気づけます。
作り手の期待に合う結果ほど疑う
作った人が期待していたとおりの結果が出たときほど、質問に誘導がなかったかを見直します。人は自分の考えに合う情報を重く見る傾向があり、これは集計する側にも起きます。結果を読む人を、作った人とは別の人にするのも有効です。
内訳のずれを集計で補う
回答者の内訳が、送った相手全体の内訳とずれていると分かったときは、全体の数字だけで判断せず、内訳ごとに分けて集計します。たとえば、20代の回答が少なく50代の回答が多いなら、年代別に満足度を出し、年代ごとの傾向を見たうえで全体を考えます。調査の専門家は、回答の少ない層の答えに重みを付けて全体の数字を補正する方法を使うこともありますが、補正しても答えなかった人の考えが分かるわけではありません。社内や顧客のアンケートでは、まず内訳ごとに分けて見ること、そして回答の少ない層には別の方法で話を聞くことを優先します。
前回と比べるときは聞き方をそろえる
毎年同じアンケートを取るなら、質問文、選択肢、順番、届ける方法を前回とそろえます。質問を少し変えただけで数字が動くことがあり、変化が本当の変化なのか、聞き方の違いなのかが分からなくなります。
配る前に確かめる点検表
アンケートを配る直前に、次の項目を1つずつ確かめます。作った人とは別の人に点検してもらうと、見落としに気づきやすくなります。
- 調査の目的が1文で書けていて、すべての質問がその目的に結びついている
- 知りたい人たち全体に届く配り方になっている。届かない人がいれば、別の手段を用意している
- 質問文に「充実した」「便利な」のような評価を含む言葉が入っていない
- 1つの質問で聞いている対象が1つだけになっている
- 「最近」「よく」のような言葉を、期間や回数の数字に置き換えている
- 評価の選択肢は、肯定と否定の数と強さがそろっている
- 選択肢に重なりと漏れがなく、「その他」や「利用したことがない」が必要な質問には付いている
- 全体の評価を先に、細かい質問を後に聞く順番になっている
- 匿名かどうか、回答が誰に読まれどう使われるかを冒頭に書いている
- スマートフォンで最後まで答えてみて、所要時間の目安と合っている
すべてにはいと言えれば、少なくとも作り手の側で防げる大きな偏りは取り除けています。点検表は、毎回同じものを使うことにも意味があります。担当者が替わっても同じ水準で作れるようになり、前回の結果と比べるときの聞き方もそろいます。
社外から集めた声に担当を決めて対応したいとき
顧客アンケートや問い合わせを兼ねたアンケートでは、集めた声の中に、返事が必要なものが混ざります。「この機能が使えなくて困っている」「連絡がほしい」と書いてくれた人に返事をしないままだと、次のアンケートで答えてくれる人が減り、結果として「答えなかった人の偏り」を自分たちで大きくしてしまいます。声を集めることと、届いた声に対応することは、セットで考える必要があります。
件数が少ないうちは、回答の一覧を表計算ソフトに書き出し、担当者と対応状況の列を追加して管理する方法で十分です。件数が増え、複数の人で対応を分けるようになると、誰が返信したのか、どこまで進んだのかが表とメールソフトに分かれて追いにくくなります。
この段階で使える選択肢の1つが、受付から対応までを扱うフォームのHalictです。公式の案内によると、フォームから届いた1件ごとに担当者と状況(ステージ)を割り当てられ、ステージの変更、担当者の割り当て、メモ、メールの送信が対応の履歴として時系列で記録されます。回答者への返信も同じ画面から送れます。回答者の画面には1問ずつ質問が表示される形で、テキスト、選択肢、評価、日付など12種類の項目を使ってフォームを作れます。集まった回答は一覧で確かめられ、CSVに書き出して集計に使えます。フォームの数と回答の数はどのプランでも無制限で、1人で使うならフリーのプランから始められます。Halictは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
道具を選ぶときも、バイアスの考え方は役に立ちます。回答者が答えやすく、途中でやめにくい形を選ぶほど、「答えなかった人の偏り」は小さくなります。どの道具を使う場合でも、本番の前に試しの回答で使い勝手を確かめてから配ると安心です。
運営者の目で見た、調査の仕事と専門家への頼み方
在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、アンケートの作成や集計は、社内では「誰でもできる仕事」として扱われやすい一方で、外部の専門家に頼む会社も増えている分野です。調査の設計、集計と分析、報告書づくりは、それぞれに専門の知識があり、研究や統計の素養を持つ人が在宅で受けているケースも見られます。調査の専門職がどのくらいの報酬で働いているかは、研究者の年収・単価相場で目安を確かめられます。
頼む側が気をつけたいのは、「質問は自分たちで作るので、集計だけお願いします」という頼み方です。この記事で見てきたとおり、バイアスの多くは質問と届け方の段階で生まれ、集計では直せません。外部に頼むなら、目的と、知りたい人たち全体と、集計したい表のイメージを伝えたうえで、質問の見直しから入ってもらうと、結果の使い道がはっきりします。
もう1つ見てきたのは、仲介の手数料がかからない直接の取引のほうが、こうした相談が続けやすいことです。中間のマージンが乗らない分、頼む側は同じ予算で質問の見直しや追加の分析まで頼みやすく、受ける側も手取りが厚いので、1回きりの集計ではなく翌年の調査まで見据えた提案をしてくれる傾向があります。調査は毎年同じ聞き方で続けて初めて変化が読めるものなので、長く付き合える相手を見つけることが、結果の質を上げる近道になります。
経営の判断にアンケートを使う機会が多い方は、調査の設計から経営の分析までを体系的に学べる中小企業診断士の内容も参考になります。顧客の声を集めてマーケティングに活かす仕事に関心があるなら、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で、どのような仕事があり、どんな力が求められているかを確かめられます。
よくある質問
Q. アンケートのバイアスを完全になくすことはできますか?
完全になくすことはできません。回答者を選ぶ段階でも、質問を読んで答える段階でも、少しずつ偏りは生まれます。目指すのは、誘導する言葉や2つのことを1問で聞く質問など、大きな原因を作る段階で取り除き、残った偏りを意識して結果を読むことです。回答率や回答者の内訳を結果と一緒に示すと、読む人も偏りを考慮して判断できます。
Q. 5段階評価と4段階評価はどちらがよいですか?
目的によって選びます。5段階は真ん中の「どちらとも言えない」があるため答えやすい反面、真ん中に答えが集まりやすくなります。4段階は賛否のどちらかに寄せてもらえますが、本当に中間の意見を持つ人に無理に選ばせることになります。毎年比べる調査なら、どちらにするかより、前回と同じ段階数にそろえることのほうが大切です。
Q. 社内アンケートで本音を書いてもらうにはどうすればよいですか?
匿名であることをはっきり書き、回答が誰に読まれ、どう使われるかを最初に説明します。記名式のままでは、上司や制度への不満は書きにくくなります。部署の人数が少ないと回答者が特定されやすいので、集計の単位を大きくする配慮も必要です。前回の結果を受けて何を変えたかを伝えると、次回から本音を書いてくれる人が増えやすくなります。
Q. 回答数が少ないと結果は使えませんか?
回答数が少なくても、傾向をつかむ材料にはなります。ただし、数人の答えで割合が大きく動くため、「何割が満足」と数字だけで判断するのは危険です。回答数と回答率を必ず添え、自由記述の内容と合わせて読みます。答えた人に偏りがないか、部署や年代の内訳を送った相手と比べて確かめることも大切です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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