プロダクトオーナーとは|スクラムでの役割と仕事の中身


この記事のポイント
- ✓プロダクトオーナーとは何かを
- ✓スクラムガイドの定義に沿って解説します
- ✓プロダクトバックログの管理などの仕事の中身
プロダクトオーナーとは、スクラムという開発の進め方の中で、作っている製品やサービスの価値を最大にすることに責任を持つ役割です。「開発チームのリーダーのようなもの」「上司の別名」と思われがちですが、スクラムの決まりの中では、何を作るか、どの順番で作るかを決める役割として、はっきり位置づけられています。初めてプロダクトオーナーを任された人や、求人で見かけて気になった人にとっては、「具体的に毎日何をするのか」「スクラムマスターやプロジェクトマネージャーとどう違うのか」が一番の疑問のはずです。この記事では、スクラムの公式の解説であるスクラムガイドの定義を土台に、仕事の中身、各イベントでの役割、ほかの役割との違い、必要なスキル、なり方と資格までを順番に説明します。作業の一覧と進み具合をチームで共有する道具の選び方として、カンバンやガントチャートなどのボードを切り替えて使えるPinatecaにも後半で触れます。
プロダクトオーナーとは何か
プロダクトオーナーは、英語の Product Owner をそのままカタカナにした言葉で、POと略されることもあります。この役割を定めているのは、スクラムの考案者である Ken Schwaber と Jeff Sutherlandが書いたスクラムガイドです。スクラムガイドは公式サイトで無料で公開されていて、2020年11月の版が最新の版として日本語訳も用意されています。
スクラムガイドは、プロダクトオーナーを次のように説明しています。
プロダクトオーナーは、スクラムチームから生み出されるプロダクトの価値を最大化することの結果に責任を持つ。組織・スクラムチーム・個人によって、その方法はさまざまである。 出典: スクラムガイド(2020年11月・日本語版)
ここでいう「プロダクト」とは、お客様や使う人に価値を届けるための製品やサービスのことです。アプリやWebサービスが代表的ですが、スクラムガイドは、サービスや物理的な製品、もっと抽象的なものもプロダクトになり得ると書いています。「価値を最大化する」とは、限られた人数と時間の中で、使う人や事業にとって効果の大きいものから順に作っていくことだと言い換えられます。
スクラムガイドには、もう1つ大事な決まりがあります。プロダクトオーナーは1人の人間であり、委員会ではない、という点です。複数の部署や役員の意見をまとめる必要があっても、最終的に何を優先するかを決めるのは1人です。ステークホルダー(その製品に利害や関心を持つ社内外の人。営業、経営者、お客様など)が作るものの順番を変えたいときは、プロダクトオーナーを説得する、とまで書かれています。
この決まりがあるのは、意思決定を速くするためです。会議で全員の合意を待っていると、開発する人たちは何を作ればよいか分からないまま待たされます。決める人を1人にしておけば、迷ったときに誰に聞けばよいかがはっきりします。その分、プロダクトオーナーには、周りの意見を聞いたうえで決め切る覚悟と、決めた理由を説明する力が求められます。
スクラムの全体像と、3つの責任
プロダクトオーナーの役割を理解するには、スクラムの全体の仕組みを先に押さえておくと分かりやすくなります。スクラムとは、複雑な問題に取り組むチームが、短い期間で作って確かめる作業を繰り返しながら、少しずつ価値を届けていくための枠組みです。
スクラムガイドによると、スクラムチームはスクラムマスター1人、プロダクトオーナー1人、複数人の開発者で構成され、通常は10人以下です。チームの中にサブチームや上下の階層はなく、全員が1つの目的(プロダクトゴール)に向かいます。
3つの責任の分担は、次のように整理できます。
| 役割 | 主な責任 |
|---|---|
| プロダクトオーナー | プロダクトの価値を最大にする。何をどの順番で作るかを決める |
| 開発者 | 各スプリントで使える成果物を作る。作業の計画と品質に責任を持つ |
| スクラムマスター | スクラムが正しく理解され、チームがうまく機能するよう支える |
スクラムでは、スプリントと呼ばれる1か月以内の決まった長さの期間を繰り返します。長さはチームごとに決め、1週間や2週間で区切る形もあります。スプリントの中には、スプリントプランニング(計画)、デイリースクラム(毎日の短い打ち合わせ)、スプリントレビュー(成果の確認)、スプリントレトロスペクティブ(振り返り)という4つのイベントがあります。
また、スクラムには3つの作成物があります。プロダクトバックログ(製品をよくするために必要なものの一覧)、スプリントバックログ(そのスプリントで取り組む作業と計画)、インクリメント(スプリントで完成した成果物)です。このうちプロダクトバックログの管理が、プロダクトオーナーの仕事の中心になります。
スクラムでは、誰が何をいつどのように行うかをチームの中で決めることが重んじられています。プロダクトオーナーは「何を、どの順番で」を決めますが、「どうやって作るか」は開発者が決めます。この線引きを守ることが、チームがうまく回るかどうかの分かれ目になります。
プロダクトオーナーの仕事の中身
スクラムガイドは、プロダクトオーナーが効果的なプロダクトバックログの管理に責任を持つとして、その例を4つ挙げています。
- プロダクトゴールを決めて、はっきり伝える
- プロダクトバックログアイテムを作り、はっきり伝える
- プロダクトバックログアイテムを並び替える
- プロダクトバックログに透明性があり、見える化され、理解されるようにする
プロダクトゴールとは、プロダクトの将来の目指す姿のことで、チームの長期的な目標です。たとえば「子育て中の人が、スマートフォンだけで保育園の連絡を済ませられる状態にする」のように、誰のどんな状態を目指すのかを言葉にします。プロダクトバックログアイテムとは、その目標に近づくために必要な機能や改善を1つずつ書いたものです。「連絡帳の写真を保護者が保存できる」「欠席の連絡を前日の夜に送れる」のように、具体的に書き出します。
並び替えは、プロダクトオーナーの仕事の中でも最も判断力が問われる部分です。使う人にとっての価値、事業への効果、急ぎ度合い、作る手間、技術的な危うさなどを比べて、上から順に並べます。上にあるものほど、次のスプリントで取り組む候補になります。すべてが大事に見えるからこそ、「今は作らない」と決めることもプロダクトオーナーの大切な仕事です。
透明性を保つとは、チームの誰が見ても、何が上位にあり、なぜその順番なのかが分かる状態にしておくことです。一覧がプロダクトオーナーの頭の中だけにあると、開発者もステークホルダーも先の見通しを持てません。
ここで見落とされやすいのが、これらの作業はプロダクトオーナーが自分で行うことも、ほかの人に任せることもできる、という点です。スクラムガイドは、どちらの場合も最終的な責任はプロダクトオーナーが持つと書いています。実際の現場では、すべてを1人で抱え込んで時間が足りなくなるプロダクトオーナーが少なくありません。
なんでもかんでも自分でやろうとしていることが多いです。プロダクトゴールも自分で考えて、プロダクトバックログアイテムも全部自分で書いて、ステークホルダーの相手も1人でやる、みたいな感じです。これで時間が足りたら逆にすごいです。 出典: ryuzee.com
アイテムの詳細を書く作業は開発者と一緒に行う、ステークホルダーからの要望の聞き取りは営業や企画の人に手伝ってもらう、といった分担をしてかまいません。責任は手放さずに、作業は周りと分け合う。これが長く続けられるプロダクトオーナーの働き方です。
スクラムの各イベントでの役割
プロダクトオーナーは、スクラムの4つのイベントそれぞれで、違う役割を担います。
スプリントプランニングは、スプリントの最初に、そのスプリントで何をするかを決めるイベントです。スクラムガイドでは、スプリントが1か月の場合の時間の上限を8時間としています。ここでプロダクトオーナーは、そのスプリントでプロダクトの価値をどう高められるかを提案し、チーム全体で「このスプリントはなぜ価値があるのか」を表すスプリントゴールを決めます。参加者が、最も重要なアイテムとプロダクトゴールとの関係について話し合う準備ができているかを確かめるのも、プロダクトオーナーの役目です。どのアイテムを、どれだけ取り込むかは、開発者がプロダクトオーナーと話し合いながら選びます。
デイリースクラムは、開発者のための15分のイベントです。プロダクトオーナーは必ず出る必要はありませんが、スプリントバックログの作業に自分も積極的に取り組んでいる場合は、開発者として参加します。出ない場合でも、開発者から質問が来たときにすぐ答えられる状態にしておくことが、チームの手を止めないために大切です。
スプリントレビューは、スプリントの成果を主要なステークホルダーに見せ、プロダクトゴールに向けた進み具合を話し合うイベントです。1か月のスプリントなら時間の上限は4時間です。スクラムガイドは、これを発表会だけで終わらせず、次に何をするかを一緒に考える作業の場にするよう求めています。プロダクトオーナーにとっては、ステークホルダーの反応を聞き、プロダクトバックログの順番を見直す最大の機会です。
スプリントレトロスペクティブは、チームの進め方を振り返り、品質と効果を高める方法を考えるイベントで、スプリントの最後に行います。プロダクトオーナーもスクラムチームの一員として参加し、要望の伝え方やアイテムの書き方など、自分の関わり方の改善点も話し合います。
もう1つ、プロダクトオーナーだけが持つ権限があります。スプリントの途中で、スプリントゴールが意味を失った場合に、スプリントを中止する権限です。市場の状況が急に変わった、方針が大きく変わった、といった場合に使います。めったに使うものではありませんが、この権限を持っていることは、プロダクトオーナーが価値に責任を持つ立場であることを表しています。
スクラムマスター、プロダクトマネージャー、プロジェクトマネージャーとの違い
プロダクトオーナーと混同されやすい役割が3つあります。違いを整理しておくと、求人を読むときや、職場で役割を決めるときに迷わなくなります。
スクラムマスターとの違いは、責任の向きです。プロダクトオーナーは「何を作るか」に責任を持ち、スクラムマスターは「スクラムがうまく機能しているか」に責任を持ちます。スクラムガイドでは、スクラムマスターはチームのメンバーを指導し、作業の障害を取り除き、プロダクトオーナーに対してもプロダクトゴールの決め方やプロダクトバックログの管理の方法を探す手助けをする役割とされています。2つを1人が兼ねると、「早く作ってほしい」立場と「チームの無理を止める」立場がぶつかるため、一般には別の人が担うほうがよいとされています。
プロダクトマネージャーとの違いは、もう少し分かりにくくなります。プロダクトマネージャーは、スクラムに限らず、製品の戦略や事業としての成功に責任を持つ職種の名前です。市場の調査、価格の設定、販売の計画など、開発の外の仕事まで広く担うことがあります。一方のプロダクトオーナーは、スクラムの中で定められた役割の名前です。会社によっては、プロダクトマネージャーがスクラムの中でプロダクトオーナーを兼ねることもあれば、プロダクトマネージャーが戦略を決め、プロダクトオーナーが開発チームとの日々のやりとりを担う形で分けることもあります。どちらの形かは会社ごとに違うので、求人や社内の役割の説明で確かめる必要があります。
プロジェクトマネージャーとの違いは、目的と管理の対象です。プロジェクトマネージャーは、決められた範囲の仕事を、予算と期限の中で終わらせることに責任を持つことが多い職種です。進み具合、費用、人の配置を管理します。プロダクトオーナーは、作る範囲そのものを、価値の大きさに応じて変え続けます。スクラムでは、期限までに全部を作ることより、価値の高いものから順に届けることが重んじられるため、範囲は固定されません。
| 役割 | 主に責任を持つもの | 主な判断 |
|---|---|---|
| プロダクトオーナー | プロダクトの価値 | 何を、どの順番で作るか |
| スクラムマスター | スクラムの機能とチームの有効性 | 進め方の改善、障害の除去 |
| プロダクトマネージャー | 製品の戦略と事業の成功 | 誰に、何を、どう売るか |
| プロジェクトマネージャー | 範囲、予算、期限 | 計画どおりに終わらせる手段 |
プロダクトオーナーに必要なスキル
プロダクトオーナーに求められる力は幅広いですが、大きく分けると次の5つに整理できます。
1つ目は、製品と使う人についての知識です。作っているものの仕組み、使う人がどんな場面で何に困っているか、競合の製品が何を提供しているかを知らなければ、順番を決める根拠が持てません。
限られたコストやリソースの中で、プロダクトの価値を最大限引き出すためには、関連する知識が必須です。また、市場のトレンドを読み解き、最新の技術や情報を得ることも大切です。 出典: hnavi.co.jp
2つ目は、優先順位を決める力です。全員の要望を少しずつかなえようとすると、どれも中途半端になります。価値の大きさと手間を比べ、根拠を持って順番を付け、ときには「やらない」と決める力が要ります。
3つ目は、伝える力と聞く力です。プロダクトゴールやアイテムの意図を開発者に分かる言葉で伝えること、ステークホルダーの要望の裏にある本当の困りごとを聞き出すことの両方が求められます。開発の専門用語をある程度理解しておくと、開発者との会話がずっと楽になります。
4つ目は、決めたことを説明する力です。1人で決める役割だからこそ、選ばれなかった要望の持ち主に、なぜ今はやらないのかを納得してもらう必要があります。数字や使う人の声を根拠に説明できると、信頼が積み上がります。
5つ目は、数字で確かめる力です。作った機能が本当に使われているか、狙った効果が出ているかを確かめなければ、次の順番を正しく決められません。利用の状況やお客様の反応を見て、仮説を立て直す力が要ります。
最初から5つ全部がそろっている人はほとんどいません。営業出身の人は聞く力と伝える力、エンジニア出身の人は技術の理解、企画出身の人は市場の知識というように、得意なところから入り、足りない部分をチームや周りの人に助けてもらいながら伸ばしていく人が多い役割です。
2週間のスプリントで見るプロダクトオーナーの動き方
仕事の中身を具体的に思い浮かべられるよう、2週間のスプリントを例に、プロダクトオーナーの動き方の一例を整理します。スクラムガイドが定めているのはイベントの目的と時間の上限までで、日々の時間の使い方はチームごとに違います。ここで示すのは、1つの組み立て方の例です。
スプリントの初日は、スプリントプランニングから始まります。プロダクトオーナーは前日までに、プロダクトバックログの上位のアイテムが説明できる状態になっているかを確かめておきます。当日は、このスプリントで目指すことを提案し、チームと一緒にスプリントゴールを決めます。
2日目から最終週の半ばまでは、開発者が作業を進める期間です。プロダクトオーナーは、開発者からの質問に答えながら、次のスプリント以降のアイテムの準備を進めます。ステークホルダーから届いた要望を聞き取り、プロダクトバックログに加え、プロダクトゴールに照らして順番を見直します。開発者と一緒にアイテムを小さく分け、内容や大きさを詳しくしていく作業は、スクラムガイドでリファインメントと呼ばれ、継続的に行う活動とされています。作業の大きさの見積もりは、作業をする開発者が責任を持ちます。
この期間には、お客様の声や利用の状況を確かめる時間も確保します。前のスプリントで作った機能がどれだけ使われているか、問い合わせにどんな声が来ているかを見ることで、次に何を上位にすべきかの根拠がそろいます。
最終日には、スプリントレビューで成果をステークホルダーに見せ、反応を聞きます。その場で出た意見をもとに、プロダクトバックログの順番を見直すこともあります。続くスプリントレトロスペクティブでは、チームの一員として進め方を振り返り、要望の伝え方などの改善点を話し合います。翌日には次のスプリントが始まります。
このように、プロダクトオーナーの時間は「今のスプリントを支える仕事」と「次のスプリント以降を準備する仕事」の2つに分かれます。どちらかに偏ると、開発者が待たされるか、次に作るものが決まっていない状態になるため、両方に時間を配分することが大切です。
プロダクトオーナーがつまずきやすい場面と、その対処
プロダクトオーナーを任されたばかりの人がつまずきやすい場面には、いくつかの決まった型があります。前もって知っておくと、慌てずに対処できます。
1つ目は、要望が多すぎて順番が決められない場面です。営業からも経営者からもお客様からも「これが一番大事」と言われ、すべてを上に並べたくなります。対処としては、プロダクトゴールに立ち返ることが有効です。「この要望は、目指す姿に近づくためにどれだけ役立つか」という1つの物差しで比べると、順番を付けやすくなります。物差しを先に関係者と共有しておけば、順番への不満も減ります。
2つ目は、開発者からの質問に答えられず、作業が止まる場面です。会議が多くて席を外しがちなプロダクトオーナーほど、この状態になりやすくなります。質問を受け付ける時間を毎日決めておく、チャットで聞かれたら一定の時間内に返す、アイテムの書き方を開発者と一緒に決めて最初から疑問が出にくくする、といった工夫が効きます。
3つ目は、スプリントの途中で横から仕事が差し込まれる場面です。急ぎの要望が来るたびにスプリントの中身を入れ替えると、チームは何も完成させられなくなります。スクラムガイドは、スプリントの間はスプリントゴールの達成を危うくする変更をしないと定めています。急ぎの要望は、まずプロダクトバックログに入れて、次のスプリントプランニングで判断する、という決まりを関係者と共有しておくと守りやすくなります。
4つ目は、作ったものが使われない場面です。順番どおりに作っても、使う人の反応が思ったほど出ないことはよくあります。ここで大事なのは、失敗とみなして終わらせず、スプリントレビューでステークホルダーの声を聞き、次の順番を見直す材料にすることです。スクラムは、短く作って確かめることを繰り返すための枠組みなので、外れた予想を早く知ること自体に価値があります。
5つ目は、兼務で時間が足りない場面です。企画や営業の仕事を持ったままプロダクトオーナーを兼ねる人は少なくありません。この場合は、最も大事な仕事であるプロダクトバックログの並び替えとスプリントレビューへの参加に時間を優先して使い、アイテムの詳細を書く作業などは開発者や周りの人と分担する形が現実的です。
プロダクトオーナーになるには:経験の積み方と資格
プロダクトオーナーには、決まった資格や試験はありません。スクラムガイドにも、なるための条件は書かれていません。多くの場合、社内の企画担当、プロダクトマネージャー、エンジニア、営業やカスタマーサポートの経験者などが、開発チームの立ち上げや役割の見直しをきっかけに任されます。
経験を積む道として、次のようなものがあります。
- 社内の小さな改善の企画から始め、開発チームとの要望のやりとりを担当する
- 既存のプロダクトオーナーの補佐として、アイテムの作成やステークホルダーの声の聞き取りを手伝う
- 社内の業務の道具づくりなど、規模の小さなプロダクトでプロダクトオーナーを務める
- カスタマーサポートの経験を生かし、使う人の困りごとを要望にまとめる役から入る
体系的に学びたい場合は、民間の研修と認定資格があります。スクラムの普及に取り組む団体のスクラムアライアンス(Scrum Alliance)は、プロダクトオーナー向けに、認定スクラムプロダクトオーナー(CSPO)を入り口として、その上の段階の認定も用意しています。日本では、Scrum Inc. Japan が「Scrum Inc. 認定資格プロダクトオーナー研修」を案内しています。いずれも研修の受講が前提になるものが多く、費用や日程、受講の形式は主催団体の公式ページで今の情報を確かめてください。
資格は、学んだ内容を整理し、社内外に説明する材料にはなりますが、資格があればプロダクトオーナーの仕事がこなせるというものではありません。研修で学んだ考え方を、まず小さなプロダクトで試してみることが、理解を深める一番の近道です。
キャリアの面では、プロダクトオーナーの経験は、プロダクトマネージャー、事業の責任者、新しいサービスの立ち上げを支える仕事などにつながりやすいと言えます。何を作るかを決め、その結果に責任を持った経験は、職種が変わっても生きるからです。いきなり転職を考えるより、今の職場で小さく試してみて、自分に合うかどうかを確かめてから次の一歩を決めるほうが、失敗の少ない進め方です。
プロダクトバックログを共有する道具の選び方
プロダクトバックログは、特別な道具がなくても管理できます。少人数のチームなら、ホワイトボードと付箋、あるいはExcelやGoogleスプレッドシートの表でも十分に始められます。スプレッドシートなら、1行に1アイテムを書き、「優先順位」「状態」「担当」「見積もり」などの列を作れば、並び替えも簡単です。Googleスプレッドシートは、Googleアカウントがあれば無料で使え、複数の人が同時に見られます。
一方で、チームの人数が増えたり、複数のスプリントにまたがって作業を追ったりするようになると、表だけでは不便な場面が出てきます。どのアイテムが作業中で、どれがレビュー待ちかをひと目で見たい、アイテムごとの話し合いの記録をそのアイテムの隣に残したい、締め切りの近いものを日付の順に見たい、といった場面です。
こうした場合は、カードで作業を管理するプロジェクト管理の道具を使う方法があります。その選択肢の1つがPinatecaです。公式サイトによると、Pinatecaには、カンバン、ガントチャート、カレンダー、リスト、ディスカッション、グリッド、時間割、リソースの8種類のボードがあり、無料プランからすべての種類を使えます。カンバンのボードでは、プロダクトバックログアイテムをカードにして「バックログ」「進行中」「レビュー」「完了」のような列を動かし、スプリントごとの進み具合を確かめられます。カードには担当者と締め切りを付けられ、見積もりの工数や優先度のような項目をカスタムフィールドとして追加できます。ワークスペースごとのチャットとカードごとのコメントもあり、アイテムについての話し合いを、そのカードの隣に残せます。料金は、5人までのチームならボード10個まで無料で、6人目または11個目のボードからはスタンダードプラン(1人あたり月額500円・税抜、年払いなら1人あたり月額400円)になると案内されています。なお、Pinatecaはスクラム専用の道具ではなく、スプリントの集計や優先順位の自動の判定といった仕組みを持つものではありません。優先順位を決めるのはあくまでプロダクトオーナーで、道具はその結果をチームに見えるようにするために使う、という分け方が現実的です。Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
どの道具を使う場合でも、大切なのは、プロダクトバックログを1か所にまとめることです。スクラムガイドは、プロダクトバックログをスクラムチームが行う作業の唯一の情報源としています。要望がメール、チャット、表、口頭にばらばらに散っている状態では、どれだけ便利な道具を使っても透明性は保てません。
フリーランスや副業でプロダクトオーナーの経験を生かす
プロダクトオーナーの経験は、会社員として働く場合だけでなく、フリーランスや副業として関わる場合にも生かせます。たとえば、社内に開発の経験者がいない中小企業が、外部の開発者に業務の道具やアプリの開発を頼むとき、「何を作ればよいかを整理して、開発者に伝える人」がいないことが、失敗の大きな原因になりがちです。要望の整理、優先順位付け、開発者との橋渡しを手伝う仕事は、業務委託として依頼されることがあります。
アプリやシステムの開発の仕事の内容は、アプリケーション開発のお仕事で紹介しています。生成AIを業務に取り入れたい企業の相談に乗り、何から始めるかを一緒に決める仕事はAIコンサル・業務活用支援のお仕事が参考になります。どちらも、作る前に「何を、どの順番で」を整理する力が、そのまま求められる分野です。
製品の画面や使い勝手を考える仕事と組み合わせて働く人もいます。デザインの分野の報酬の水準を知りたい場合は、デザイナーの年収・単価相場で市場の相場を確かめられます。事業の戦略や経営の分析まで含めて支援したい場合は、経営の診断と助言のための国家資格である中小企業診断士を学ぶ道もあります。
@SOHOは2004年から在宅ワークとフリーランスの仲介を続けてきました。運営者として長く見てきた限りでは、開発の依頼がうまく進む案件ほど、依頼する側に「最終的に何を優先するかを決める人」がはっきりしています。決める人があいまいな案件では、要望が途中で何度も変わり、受ける側も依頼する側も疲れてしまいます。プロダクトオーナーの考え方は、こうした発注の場面でもそのまま役立ちます。また、依頼する側と受ける側が直接やりとりできる場では、仲介の手数料が間に入らない分、同じ予算でも受け手の手取りが厚くなり、依頼する側はその分を要件の整理や追加の改善に回せます。@SOHOが手数料0%で直接取引できる形を続けているのは、この双方にとっての利点が、長く続く取引の土台になると考えているからです。
プロダクトオーナーは、最初から完璧にこなせる人はいない役割です。まずはスクラムガイドを一度通して読み、小さなプロダクトで「何を、どの順番で作るか」を決める経験を積むところから始めてみてください。
よくある質問
Q. プロダクトオーナーとスクラムマスターは兼任できますか?
スクラムガイドに兼任を禁じる記述はありませんが、一般には別の人が担うほうがよいとされています。プロダクトオーナーは何を作るかに責任を持ち、スクラムマスターはスクラムがうまく機能しているかに責任を持つため、1人で兼ねると「早く作ってほしい」立場と「チームの無理を止める」立場がぶつかりやすくなるからです。
Q. プロダクトオーナーに資格は必要ですか?
必須の資格はありません。社内の企画担当やエンジニア、プロダクトマネージャーなどが任されることが多い役割です。体系的に学びたい場合は、スクラムアライアンスの認定スクラムプロダクトオーナーなど、研修の受講を前提にした民間の認定があります。費用や日程は主催団体の公式ページで確かめてください。
Q. プロダクトオーナーは開発の知識がなくても務まりますか?
務めることはできますが、開発の基本的な用語や仕組みを理解しておくと、開発者との会話がずっと楽になります。どう作るかを決めるのは開発者なので、プログラムを書ける必要はありません。大切なのは、使う人の困りごとと作る手間を比べて順番を決められることで、分からない点は開発者に聞きながら学べば十分です。
Q. プロダクトオーナーが複数人いてもよいですか?
スクラムガイドは、プロダクトオーナーは1人の人間であり、委員会ではないと定めています。複数のスクラムチームが同じプロダクトに取り組む場合も、同じプロダクトゴール、プロダクトバックログ、プロダクトオーナーを共有するとしています。意見を聞く相手は多くてかまいませんが、最終的に順番を決めるのは1人です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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