町内会の連絡をアプリにするとき、高齢の会員にも届く仕組みの作り方


この記事のポイント
- ✓町内会の連絡アプリを選ぶ前に知っておきたい
- ✓高齢の会員に届かない原因と紙との併用の組み方
- ✓有料サービスの違いと無料の範囲
町内会の連絡アプリを探している役員の多くは、「回覧板を回すのが大変だから楽にしたい」と「でも高齢の会員が取り残されないか心配」という2つの気持ちを同時に抱えています。結論から書くと、連絡をアプリに移すときに大事なのは、どのアプリを選ぶかより先に、アプリを使えない人へ同じ情報が届く経路を決めておくことです。
この記事では、町内会の連絡アプリが広がっている背景、高齢の会員に届かない本当の原因、LINEや自治会専用アプリなど道具ごとの向き不向き、無料で使える範囲と費用がかかる場面、そして紙とアプリを併用する仕組みの作り方を、役員会でそのまま話し合える順番で整理します。
町内会の連絡がアプリへ移り始めている背景
町内会や自治会の連絡は、長く紙の回覧板と掲示板、そして役員による戸別の配布で回ってきました。この形が限界を迎えている理由は、担い手の高齢化と加入率の低下です。配る人が減り、配る家が散らばると、1回の連絡にかかる手間がそのまま特定の役員に集中します。
自治体が自治会のデジタル化を後押しする例も出ています。さいたま市は、令和4年度から自治会の電子回覧板のモデル事業を行い、令和6年度から本格導入に移しました。市のページでは、導入した自治会の数が令和8年4月17日現在で45自治会と公表されています。導入の経緯として、市はこう書いています。
以前から自治会加入率の低下、活動への負担感による役員のなり手不足といった課題があったこと、コロナ禍により非対面での自治会活動を行う必要が生じたことから、自治会活動のデジタル化支援策を検討した結果、自治会電子回覧板モデル事業を実施。 出典: さいたま市 自治会支援アプリの導入について
一方で、スマートフォンの普及は進んでいるものの、年代による差は大きいままです。総務省の令和7年通信利用動向調査では、スマートフォンを持っている世帯の割合が91.8%に達しました。ところが個人のインターネット利用率を年代別に見ると、60〜69歳は9割を超える一方、70〜79歳は7割前後、80歳以上は3割台にとどまっています。
町内会の会員構成は、この調査の「70歳以上」の層が厚いのが普通です。つまり、町内会の連絡をアプリだけに切り替えると、会員の3割から6割に届かなくなる計算になりかねません。アプリ化の話が役員会で揉める理由は、ここにあります。
さいたま市自身も、導入現場の課題として「スマートフォン等端末操作に不慣れな高齢者には、有効活用や利用ができない不安や懸念」と「導入した後も紙回覧との併用となっている」ことを挙げています。紙との併用は失敗ではなく、現実的な着地点として最初から設計に入れておくべきものだと読み取れます。
高齢の会員に届かない原因は「アプリ」より「入口」にある
高齢の会員に連絡が届かないと聞くと、「操作が難しいアプリだから」と考えがちです。ただ、実際につまずく場所はアプリの中より手前にあることが多くあります。
1つ目は、アプリを入れる段階です。App StoreやGoogle Playの操作、Apple IDやGoogleアカウントのパスワード入力で止まる人は少なくありません。家族が設定したスマートフォンを使っている人は、自分のパスワードを覚えていないこともあります。
2つ目は、新しいIDとパスワードを作る段階です。町内会のアプリのために、メールアドレスを入力して確認メールを開き、パスワードを決める。この一連の流れは、若い世代には数分の作業でも、慣れていない人には大きな壁になります。
3つ目は、通知に気づく段階です。アプリを入れても、通知が届かなければ開くきっかけがありません。通知の許可を求める画面で「許可しない」を押してしまい、そのまま気づかないという例はよくあります。
4つ目は、文字の大きさです。スマートフォンの文字を大きくしていても、アプリによっては本文が端末の設定に追従せず、小さいまま表示されることがあります。読めない連絡は、届いていないのと同じです。
この4つを見ると、対策も見えてきます。すでに使っているアカウント(多くの場合LINE)でそのまま入れること、通知の設定を最初の説明会で一緒に済ませること、文字を大きくできることが、高齢の会員に届くかどうかを左右します。アプリの機能の多さより、この入口の低さを比べたほうが、導入後の差になって表れます。
写真の仕事で地域の行事を撮影していると、行事の案内が「LINEで回したから全員知っているはず」と思われていたのに、当日になって「聞いていない」という会員が何人も出る場面に出くわすことがあります。話を聞くと、グループには入っているのに通知を切っていた、トークが流れて見落とした、という理由がほとんどでした。届いたかどうかを確かめる手段がない連絡は、送った側の安心にしかなりません。
町内会の連絡に使われる道具と、合う会・合わない会
町内会の連絡に使われている道具は、大きく4つに分けられます。どれが優れているかではなく、会の規模と目的で合う道具が変わります。
LINEのグループ
すでに多くの会員が使っているため、追加の操作なしで始められるのが最大の強みです。その場の連絡は最も速く届きます。
合わないのは、決まったことを後から探す場面です。トークは時系列で流れていくため、数週間前の総会の議事や、行事の持ち物の案内を探すのに苦労します。写真のアルバムやノートで補えますが、どこに何があるかを把握しているのは作った人だけになりがちです。また、グループに入れるには個別に招待するか招待用のリンクを共有する必要があり、役員の交代時に管理者の引き継ぎが漏れることもあります。
LINE公式アカウント
町内会がお知らせの発信元になり、会員が友だち追加して受け取る形です。会員同士のトークが混ざらないため、お知らせが流れにくいのが特徴です。
注意したいのは配信の上限です。LINEヤフーの公式ページによると、無料のコミュニケーションプランで送れるメッセージは1か月あたり200通です。ここでいう通数は「送った回数×受け取った友だちの数」で数えるため、友だちが100人いる町内会なら、1か月に2回お知らせを送ると上限に達します。それ以上送るにはライトプラン(月額5,000円、税別)やスタンダードプラン(月額15,000円、税別)への変更が必要です(出典: LINE公式アカウントの料金プラン)。
自治会・町内会に特化したアプリ
回覧板、名簿、出欠、安否確認など、自治会の業務に合わせた機能をまとめて持つアプリです。既読の確認ができるものが多く、「誰がまだ読んでいないか」を役員が把握できます。
たとえばJICCIは、自治会・住民の利用料が無料で、アプリ内の広告と地域の店の広告で運営費を賄う形をとっています。公式サイトでは、特化型であることを次のように説明しています。
色々なアプリの寄せ集めではなく、自治会運営に必要な機能がすべて一つにまとまっています。回覧板・名簿・集金・連絡掲示板・地図など、一つのアプリで完結。 出典: jicci.app
有料の特化型サービスもあります。LINEの上で自治会向けの機能を提供するデジ町町内会LINEは、公式サイトによると初期費用と、世帯数に応じた年間利用料(税別)がかかる料金体系で、2026年9月1日に価格を改定し、3か月の無料トライアルを案内しています。さいたま市の例のように、自治体が導入や費用を支援しているアプリもあるため、まずは住んでいる市区町村の地域コミュニティの担当課に支援制度がないか確かめると、選択肢が絞れます。
汎用のグループアプリ
サークルや教室、PTAなどにも使える、掲示板と予定、写真をまとめたアプリです。町内会専用の名簿や安否確認の機能はないものの、子ども会や老人会、防災の自主組織など、町内会の中にある小さな集まりごとに分けて使いやすいのが特徴です。
無料で始められる範囲と、費用がかかる場面
町内会の会計は会費で成り立っているため、アプリに費用をかけるかどうかは総会での説明が必要になります。無料で済むのか、どこから費用が発生するのかを、導入前に整理しておきます。
無料で始められる形は、主に3つです。LINEのグループは通信料以外の費用がかかりません。LINE公式アカウントは、1か月200通までならコミュニケーションプランで0円です。広告モデルの自治会アプリは、会と住民の利用料がかかりません。
費用がかかりやすいのは、次のような場面です。
・LINE公式アカウントで、会員数×配信回数が200通を超える場合
・有料の自治会向けサービスで、初期費用や世帯数に応じた年額が設定されている場合
・写真や動画の保存容量に上限があり、超えた分が有料の場合
・名簿の管理や集金など、業務機能を追加すると料金が上がる場合
広告モデルの無料アプリを選ぶときは、広告がどの程度表示されるか、広告を出す事業者が地域の店に限られるのかを確かめておくと、総会で質問が出たときに答えやすくなります。また、無料で提供している事業者が将来サービスを続けられるかどうかも、選ぶときの見方の1つです。過去の連絡や名簿を別の道具に書き出せるかを確認しておけば、万一の乗り換えでも困りません。
費用の判断では、金額そのものより「誰の手間が減るか」を数字にすると説明しやすくなります。たとえば回覧板の配布に、班長が1回あたり30分かけているとします。年に24回の回覧で12時間、班が10あれば120時間です。この時間が半分になるなら、年間数万円の費用でも会員の納得を得やすくなります。逆に、無料でも手間が減らないなら、導入する意味は薄くなります。
高齢の会員にも届く仕組みの作り方
ここからが本題です。アプリを入れる前に、連絡がどの経路で誰に届くかを1枚の表にしておくと、取りこぼしが防げます。
会員を3つに分ける
最初に、会員を次の3つに分けます。名前の一覧ではなく、班ごとのおおよその人数で十分です。
・アプリで受け取れる人
・家族や近所の人の手助けがあればアプリで受け取れる人
・紙でしか受け取れない人
3つ目の人を「いずれアプリに移ってもらう人」と考えないことが大切です。紙で受け取る人がいる前提で仕組みを組み、その人数が自然に減っていくのを待つほうが、会の中に不満が生まれません。
紙の回覧は「要約版」にする
アプリと紙を併用すると、役員の手間が2倍になるという声が出ます。これを避けるには、アプリの投稿を正本にし、紙は要約版にします。
アプリには写真や地図、詳しい説明を載せ、紙には日時、場所、持ち物、問い合わせ先の4点だけをA4用紙1枚に収めます。印刷する枚数も、紙でしか受け取れない人の世帯数だけで済むため、全戸配布より大幅に減ります。
届いたかを確かめる役を決める
既読の確認ができるアプリでも、確認する人が決まっていなければ意味がありません。班長が月に1回、既読が付いていない会員に声をかける、または電話をかける。この役割を最初に決めておきます。
既読の確認ができない道具を使う場合は、重要なお知らせにだけ「確認しました」と返信してもらう、出欠の回答を求めるといった方法で、届いたかどうかを確かめます。
家族を窓口にする
離れて暮らす子ども世代が、高齢の親の代わりにアプリで連絡を受け取り、電話で伝えるという形も現実的です。名簿に「連絡の受け取り先」の欄を設け、本人以外を登録できるようにしておくと、この形が使いやすくなります。ただし、家族を登録する場合は、本人の同意を得たうえで登録することが前提です。
防災の連絡は別の経路も用意する
災害時の連絡は、アプリが使えない状況も想定しておく必要があります。停電や通信の混雑でアプリが開けないとき、誰がどの家を回るかを、安否確認の担当として班ごとに決めておきます。アプリの安否確認機能は便利ですが、それだけに頼らない設計にしておくと、いざというときに慌てません。
連絡の種類ごとに、届け方を振り分ける
町内会の連絡は、すべてが同じ重さではありません。種類ごとに届け方を振り分けると、紙とアプリの併用でも役員の手間が膨らみません。
| 連絡の種類 | 急ぎ度 | アプリ | 紙 | 確かめ方 |
|---|---|---|---|---|
| 総会・役員会の案内 | 中 | 詳しい資料ごと投稿 | 要約を全戸に配布 | 出欠の回答で確認 |
| 行事の案内 | 中 | 写真や地図を付けて投稿 | 要約を紙のみの世帯へ | 申し込みの数で確認 |
| ゴミ出しの変更 | 高 | 速報として投稿し上に固定 | 掲示板に貼り出す | 班長が声かけ |
| 会費の集金 | 低 | 期日と金額を投稿 | 封筒と一緒に案内 | 集金の記録で確認 |
| 防災・安否確認 | 最高 | 安否の回答を求める | 担当が戸別に訪問 | 回答の一覧で確認 |
| 市からのお知らせ | 低 | 要点と元の資料を投稿 | 従来どおり回覧 | 確認しない |
この表で大事なのは、「確かめ方」の列です。急ぎ度が高い連絡ほど、届いたかどうかを確かめる手段を決めておく必要があります。逆に、市からのお知らせのように急ぎ度が低く、全員が読まなくても困らない連絡まで既読を追いかけると、班長の負担が増えて続きません。
ゴミ出しの変更は、アプリが最も力を発揮する連絡です。収集日が祝日で変わる、集積所の場所が工事で移る、といった連絡は、紙の回覧では全戸に回りきる前に当日を迎えてしまうことがあります。アプリで速報を出し、同じ内容を集積所の掲示板にも貼り出す。この2本立てで、アプリを使わない人にも届きます。
会費の集金は、アプリだけで完結させないほうが無難です。金額や期日の案内はアプリで出せますが、実際の受け渡しや領収の記録は、これまでのやり方を当面続け、会計担当の負担が増えないようにします。集金機能を持つアプリもありますが、会計の仕組みを変えるのは、連絡の移行が落ち着いてからで十分です。
説明会の進め方と、つまずきやすい操作
アプリの定着を左右するのは、最初の説明会です。資料を配って説明するだけでは、家に帰ってから操作できずに終わります。その場で一緒に設定を終えることを目標にします。
当日の準備
会場には、役員のスマートフォンを1台ずつ用意し、iPhoneとAndroidの両方で操作を見せられるようにします。招待用のQRコードや招待コードは、大きな文字で印刷して机に貼っておきます。Wi-Fiが使えない会場では、アプリのダウンロードに時間がかかるため、事前に自宅でインストールだけ済ませてきてもらうよう案内しておくと進みが速くなります。
進め方の目安
1時間の説明会なら、最初の10分で何が変わるかと紙の回覧が続くことを説明し、残りの50分を設定の手伝いにあてます。参加者3〜4人に役員1人が付く形が理想です。
つまずきやすい操作
説明会でよく止まるのは、次の操作です。
・App StoreやGoogle Playのパスワードを求められる
・LINEでのログイン時に「許可する」を押す画面が出る
・通知の許可を求める画面で「許可しない」を押してしまう
・文字を大きくする設定の場所が分からない
・招待コードの入力欄に、全角で数字を入力してしまう
パスワードが分からない人は、その場で無理に進めず、家族に相談してもらう日を改めて設けます。通知の許可は、後から端末の設定で変えられますが、慣れていない人には難しいため、説明会の場で必ず確認します。
説明会のあとに配るもの
ログインの方法と、困ったときの連絡先(班長の名前と電話番号)を書いた紙を1枚渡します。スマートフォンのケースに挟んでおいてもらうと、いざというときに見返せます。
若い世帯や転入者を呼び込む入口にもなる
アプリ化の話は高齢の会員への配慮に目が向きがちですが、もう1つの効果があります。共働きの世帯や転入してきたばかりの世帯が、町内会の活動を知るきっかけになることです。
平日の夜に開かれる集会には出られない、回覧板が回ってきても誰に返せばいいか分からない。こうした世帯は、町内会に関心がないのではなく、関わり方が分からないだけということがよくあります。スマートフォンで行事の写真や予定が見られれば、参加のハードルは大きく下がります。
転入者への案内には、町内会の紹介と加入の方法、アプリの招待コードを1枚にまとめたチラシが役立ちます。転入の挨拶に来た世帯に手渡す、マンションの集合ポストに入れる、といった配り方ができます。アプリの中で過去の行事の写真や会報が読めるようにしておくと、加入するかどうかを判断する材料にもなります。
ただし、転入者が加入する前に見られる情報と、会員だけが見られる情報は分けておく必要があります。行事の写真や名簿は会員だけ、行事の予定や加入の案内は誰でも、というように、公開範囲を情報ごとに決めておきます。招待制や承認制を選べるアプリなら、加入の申し込みを受けてから会員として承認する形がとれます。
若い世帯が加わると、アプリの操作を教える側の人も増えます。説明会で隣に座って手伝う人、高齢の会員の代わりに連絡を確かめる人として、少しずつ役割を担ってもらえれば、役員の負担も分散できます。
役員が交代しても止まらない引き継ぎの決め方
町内会の役員は1年や2年で交代することが多く、アプリの管理が特定の人に依存していると、交代の時期に止まります。導入の段階で、次の3つを決めておきます。
1つ目は、管理者を複数にすることです。会長と副会長、または会長と広報担当など、少なくとも2人に管理者の権限を持たせます。1人が急に役を降りても、もう1人が対応できます。
2つ目は、アカウントを個人ではなく会の名義で持つことです。メールアドレスで登録する道具なら、町内会用のメールアドレスを作り、その情報を引き継ぎの書類に記録しておきます。ただし、パスワードを紙に書いて回すのは避け、会長と会計など限られた人だけが保管する形にします。
3つ目は、運用のルールを1枚の紙にまとめることです。何をアプリに投稿し、何を紙で配るか、誰が既読を確かめるか、転出した会員を誰が外すか。この4点だけでも書いてあれば、新しい役員が迷いません。
引き継ぎの時期には、前の役員と新しい役員が一緒に1回投稿してみる、管理者の権限を移す操作を一緒に行うといった、手を動かす引き継ぎを入れると確実です。書類だけの引き継ぎでは、操作の細かい部分が伝わりません。
導入の手順と、最初の半年でやること
アプリの導入は、決めてから全員が使えるようになるまでに半年ほどかかると見ておくと、焦らずに進められます。
手順1:役員会で目的を1つに絞る
「回覧板の配布を減らしたい」「行事の出欠を集めやすくしたい」「災害時の安否確認に使いたい」など、目的を1つに絞ります。目的が多いと、機能の多いアプリを選んでしまい、使いこなせずに終わります。
手順2:候補を2つまで絞り、役員だけで試す
候補を2つに絞り、役員だけで1か月使ってみます。このとき、役員の中で最も年長の人に実際に操作してもらうと、高齢の会員がつまずく場所が見えてきます。
手順3:総会または回覧で説明する
総会や回覧で、何が変わるのか、紙の回覧は続くのか、費用はかかるのかを説明します。「紙の回覧は続けます」と明言すると、反発が大きく減ります。
手順4:説明会で一緒に設定する
公民館や集会所で、スマートフォンを持ってきてもらい、その場で設定を済ませる説明会を開きます。アプリのインストール、ログイン、通知の許可、文字の大きさの設定までを、役員が隣で手伝います。1回の説明会で全員を設定し終える必要はありません。2回、3回と開き、来られなかった人には個別に訪問します。
手順5:3か月後と6か月後に振り返る
3か月後に、アプリで受け取っている人の数と、紙の配布枚数を数えます。6か月後にもう一度数え、紙の枚数が減っていれば順調です。減っていなければ、説明会のやり方や、アプリを開くきっかけ(重要な連絡をアプリにだけ先に出すなど)を見直します。
名簿と写真の扱いで気をつけること
アプリを使うと、会員の名前や連絡先、行事の写真がサービスの上に保存されます。町内会も個人情報を扱う団体であることに変わりはないため、扱い方を決めておく必要があります。
1つ目は、名簿の公開範囲です。会員全員が全員の電話番号を見られる設定は避け、役員だけが見られるようにするのが一般的です。アプリによっては、会員同士が連絡先を交換せずにやりとりできる仕組みを持つものもあります。
2つ目は、写真の扱いです。子ども会や行事の写真には、子どもの顔が写ります。アプリの写真が会員以外に見られないか、URLを知っていれば誰でも開けてしまう仕組みになっていないかを確かめます。外部に公開したい写真がある場合は、写っている人の同意を得てからにします。
3つ目は、退会や転出のときの扱いです。転出した会員をグループから外す担当を決め、名簿からも削除します。役員の交代時には、管理者の権限を新しい役員に引き継ぎ、前の役員の権限を外します。
4つ目は、データの預け先です。サービスを提供する会社がどこの国の法律に基づいて運営しているか、データがどこに保管されるかは、利用規約やプライバシーポリシーに書かれています。総会で質問が出ることがあるため、選ぶ段階で確認しておくと安心です。個人情報の扱いで判断に迷う場合は、個人情報保護委員会の相談窓口や、市区町村の地域コミュニティの担当課に相談できます。
アプリ化がうまくいかなかった会に共通すること
アプリを入れたものの、半年後には誰も使っていないという例もあります。うまくいかなかった会には、いくつかの共通点があります。
1つ目は、紙の回覧を一気にやめたことです。紙が届かなくなった会員から苦情が出て、役員が個別に説明して回ることになり、かえって手間が増えます。
2つ目は、役員の一部だけが熱心だったことです。導入を進めた役員が交代すると、次の役員が使い方を知らず、自然に紙へ戻ります。引き継ぎの手順書を1枚作り、管理者の権限を複数の役員に持たせておくと、この問題は防げます。
3つ目は、道具を増やしすぎたことです。連絡はLINE、予定は別のカレンダー、写真は共有のドライブ、出欠はフォームという具合に道具が分かれると、会員はどこを見ればいいか分からなくなります。会員から見て「町内会のことはここを見ればいい」という場所を1つに決めることが、定着の近道です。
4つ目は、アプリにしかない情報がなかったことです。紙と全く同じ内容しか載っていなければ、会員がアプリを開く理由がありません。行事の写真、ゴミ出しの変更の速報、防災訓練の動画など、アプリを開くと得をする情報を少しずつ載せていくと、開く習慣が付きます。
LINEのグループが合わなかったときの候補
LINEのグループで連絡が流れてしまう、写真の行き先が分からない、役員が代わるたびに管理が途切れる、という悩みがある会の候補の1つとして、Tsudoo(ツドー)があります。町内会や教室、サークル、PTAなど、続く集まりの連絡、予定、写真、動画を1つの場所に集めるグループアプリです。
公式サイトの記載では、会員はLINEのアカウントでそのまま参加でき、新しいIDとパスワードを作る必要がありません。端末の設定とは別に、アプリの中で本文の文字を大きくする設定があります。掲示板の投稿は上に固定でき、予定の告知と出欠の確認もできます。写真と動画はメンバー以外が見られない形で保存され、1件だけ外部に公開したい場合はその投稿にだけ共有用のURLを発行し、いつでも止められます。参加の方法は、公開、承認制、招待制の3つから選べ、招待コードを配るだけで始められます。
料金は、グループの作成、メンバーの追加、写真の保存が無料で、メンバー数とグループ数に上限はありません。3分以上の動画を合計30時間を超えて保存する場合にだけ、1グループあたり月額525円(税込)の動画保存プランが必要になります。一方で、投票や日程の希望取りの機能はまだなく、過去のLINEのトークを取り込む機能もありません。名簿の管理や集金、災害時の安否確認といった自治会専用の業務機能を求める会には、特化型のアプリのほうが合っています。
Tsudooは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
地域の連絡の仕組みを作る仕事から見えること
町内会のアプリ化は、役員がボランティアで進めることがほとんどです。ただ、規模が大きい自治会や、複数の町内会をまとめる連合会では、導入の支援やマニュアル作り、説明会の運営を外部の人に頼むという選択肢もあります。
運営者として在宅ワークの市場を長く見てきた限りでは、地域や団体のデジタル化を手伝う仕事は、アプリを作る技術そのものより、使う人に合わせて手順を整える力が求められる分野です。アプリの設定代行、操作マニュアルの作成、説明会の資料作りといった仕事は、ITに詳しくない団体ほど需要があります。直接取引で頼める形であれば、限られた会費の中でも依頼しやすく、受ける側の手取りも厚くなるため、双方にとって続けやすい関係が作れます。
アプリそのものを作る側に関心がある人は、アプリケーション開発のお仕事で、受託開発の進め方や求められる経験を確認できます。高齢の利用者に使いやすい画面を考える仕事は、UI/UX・アプリデザインのお仕事で扱っています。報酬の水準を知りたい場合は、ソフトウェア作成者の年収・単価相場で、公的統計をもとにした年収と単価の目安が確認できます。
団体の運営改善を体系的に学びたい人には、経営の仕組みを診断して助言する国家資格である中小企業診断士も参考になります。地域団体や介護事業所のIT化で使える補助金については、介護・福祉事業所のDX化2026|IT導入補助金で介護記録を完全デジタル化で制度の使い方を解説しています。
町内会の連絡をアプリにすることは、紙をなくすことではなく、届け方の選択肢を広げることです。アプリで受け取れる人にはアプリで、紙が必要な人には紙で、確かめる人を決めて届いたかを見る。この3つがそろえば、高齢の会員を取り残さずに、役員の負担を確実に軽くできます。
よくある質問
Q. 町内会の連絡アプリは無料で使えますか?
無料で使える形はあります。LINEのグループは通信料以外の費用がかからず、LINE公式アカウントも1か月200通までなら無料のプランで使えます。自治会向けアプリの中には、広告で運営費を賄い、会と住民の利用料を無料にしているものもあります。一方、初期費用や世帯数に応じた年額がかかる有料サービスもあるため、料金ページで条件を確かめてから選びます。
Q. スマートフォンを持っていない会員にはどう連絡すればいいですか?
紙の回覧を続けるのが現実的です。アプリの投稿を正本にし、紙には日時、場所、持ち物、問い合わせ先だけを1枚に要約して配ると、役員の手間を抑えられます。本人の同意を得たうえで、離れて暮らす家族を連絡の受け取り先として登録し、家族から伝えてもらう方法もあります。
Q. LINEのグループと町内会専用アプリはどう使い分ければいいですか?
その場の速い連絡はLINEのグループが向いています。一方、後から読み返す必要があるお知らせ、既読の確認、名簿や安否確認を扱いたい場合は、町内会専用のアプリのほうが向いています。会員から見て見る場所が分かれすぎないよう、正本となる場所を1つに決めてから使い分けると混乱しません。
Q. アプリの導入を総会で反対されたらどうすればいいですか?
紙の回覧は続けると明言し、何が変わり何が変わらないかを具体的に説明します。役員だけで1か月試した結果や、班長の配布時間がどれだけ減るかを数字で示すと、理解を得やすくなります。費用がかかる場合は、自治体に導入支援の制度がないかも確かめ、無料の範囲で試してから判断する形を提案します。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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