国保に加入する妊婦が受けられる手当と保険料免除の範囲 2026

@SOHO編集部
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国保に加入する妊婦が受けられる手当と保険料免除の範囲 2026

この記事のポイント

  • ✓国保に加入する妊婦が受けられる手当(国保妊娠手当)を一次資料で整理
  • ✓妊婦のための支援給付10万円
  • ✓出産育児一時金50万円

国保に加入している人が妊娠すると、まず気になるのが「会社員のように手当はもらえるのか」「保険料は免除されるのか」という点です。国保妊娠手当という言葉で調べる人の多くは、フリーランスや自営業、パートで勤め先の保険に入っていない人、退職して国保に切り替えた人です。

結論から言うと、国保の加入者が妊娠・出産で受けられる支援は、思っているよりも多くあります。ただし、会社員の健康保険にある「出産手当金」は、多くの市区町村の国保にはありません。その代わりに、妊婦健診の助成、妊婦のための支援給付、出産育児一時金、国保の保険料の軽減、国民年金保険料の免除といった仕組みが用意されています。これ、知らない人が本当に多いんです。

さらに、国保の保険料は「免除」ではなく「軽減」、国民年金は「免除」と、言葉の使い方も制度によって違います。この記事では、国保に加入する妊婦が受けられるお金と負担の軽減を、時期ごとに整理し、それぞれどこに申請すればよいのかを厚生労働省、こども家庭庁、日本年金機構、国税庁の公式の案内をもとに説明します。

国保の妊婦が受けられる支援の全体像

まず、妊娠から出産後までに受けられる主な支援を、時期の順に並べておきます。

時期 支援の名前 内容 申請・届出先
妊娠が分かったとき 妊婦健診の公費助成 14回程度の健診費用を助成 市区町村
胎児の心拍確認後 妊婦のための支援給付(1回目) 5万円 市区町村
出産予定日の8週間前から 妊婦のための支援給付(2回目) 子どもの人数×5万円 市区町村
出産予定月の前月から 国保の保険料の産前産後軽減 4か月分の所得割・均等割を減額 市区町村の国保窓口
出産予定月の前月から 国民年金の産前産後免除 4か月分の保険料を免除 市区町村の国民年金窓口
出産したとき 出産育児一時金 子ども1人につき原則50万円 市区町村の国保窓口
産前産後免除の後 国民年金の育児免除 子が1歳になるまで免除 市区町村の国民年金窓口
出産後 児童手当 3歳未満は1人あたり月額15,000円 市区町村
翌年の確定申告 医療費控除 健診や出産費用を所得から控除 税務署

表を見ると分かるとおり、申請先のほとんどは住んでいる市区町村です。ただし、同じ市役所の中でも、母子保健の担当、国民健康保険の担当、国民年金の担当と窓口が分かれていることが多く、1か所で全部が終わるとは限りません。妊娠の届出をして母子健康手帳を受け取るときに、ほかの手続きの窓口も一緒に聞いておくと効率的です。

国保組合(同じ業種の人が集まってつくる国民健康保険組合)に加入している人は、出産育児一時金や保険料の扱いが組合の規約で決まるため、申請先も組合になります。資格確認書に書かれた保険者の名前で、自分が市区町村の国保か組合かを確認してください。

国保に出産手当金がない理由

会社員の健康保険にある「出産手当金」とは、出産のために仕事を休んで給与が出ない期間に、生活費の一部として健康保険から支給されるお金のことです。国保に加入する妊婦がまず知っておくべきなのは、この手当が国保では原則として受けられないという点です。

理由は、国民健康保険法の仕組みにあります。国民健康保険法第58条の第2項では、市区町村や国保組合は「傷病手当金の支給その他の保険給付を行うことができる」とされています。つまり、出産手当金や傷病手当金は、国保では行っても行わなくてもよい給付という位置づけです。会社員の健康保険のように、法律で必ず支給すると決まっている給付ではありません。

国保の加入者には、自営業やフリーランスのように給与を受け取っていない人が多く、「休業して給与がなくなった分を補う」という考え方が当てはまりにくいことが背景にあります。実際に、多くの市区町村の国保では出産手当金の仕組みは設けられていません。国保組合の中には独自に設けているところもあるので、組合に加入している人は規約を確認してください。

注意したいのは、パートやアルバイトとして働いていて、勤め先の健康保険に加入している人です。この場合は国保ではなく勤め先の健康保険の加入者なので、要件を満たせば出産手当金の対象になります。社会保険の加入要件は「週20時間以上」「2か月を超える雇用の見込み」「学生でない」などで、所定内賃金が月額8.8万円以上という賃金の要件は2026年10月に撤廃されました。自分がどちらの保険に入っているかで受けられる手当が大きく変わるので、勤務条件と保険証の代わりに届いた資格確認書を照らし合わせておきましょう。

妊婦健診の費用の助成

妊娠が分かってから出産までの間に受ける妊婦健康診査(妊婦健診)は、病気の治療ではないため、基本的に健康保険の対象外です。その費用を軽くするために、市区町村が公費で助成しています。こども家庭庁は、健診の回数と助成について次のように説明しています。

妊婦健診の頻度は、国の告示(妊婦に対する健康診査についての望ましい基準)により妊娠週数に応じて以下のように推奨されており、妊婦1人につき出産までに14回程度です。 出典: こども家庭庁 妊婦健診に関する取組み

具体的には、市区町村に妊娠の届出をすると、母子健康手帳と一緒に妊婦健診の受診票(補助券)が渡されます。健診のときにこの受診票を医療機関に出すと、助成の範囲内の費用は窓口で支払わずに済みます。助成の額や対象になる検査の範囲は市区町村ごとに違うので、受診票に書かれた内容を確認してください。

この助成は、国保の加入者でも会社員の健康保険の加入者でも同じように受けられます。加入している保険ではなく、住民票のある市区町村が実施しているからです。里帰り出産で住所地以外の医療機関で健診を受ける場合は、受診票が使えないことがあり、その場合は後から払い戻しの申請をする仕組みを設けている市区町村が多くあります。

健診の費用のうち、助成を超えて自分で払った分は、後で説明する医療費控除の対象になります。領収書は捨てずに保管しておきましょう。

妊婦のための支援給付で受け取れる10万円

こども家庭庁が進める「妊婦のための支援給付」は、妊娠した人に市区町村から支給される給付です。加入している保険に関係なく、国保の加入者も対象です。案内のリーフレットによると、支給は2回に分かれています。

1回目は、医療機関で胎児の心拍が確認された後に「妊婦給付認定」を申請すると、5万円が支給されます。2回目は、出産予定日の8週間前の日以降に、妊娠している子どもの人数を届け出ると、人数×5万円が支給されます。単胎なら合計10万円、双子なら合計15万円です。

流産や死産の場合も支給の対象になります。その場合は、医療機関で流産等が確認された日以降に届け出ることができます。また、自治体によっては、現金ではなくクーポンなどで受け取る方法を選べることもあります。

この給付の特徴は、保健師などとの面談とセットで実施されることです。申請のときに妊娠や出産の不安を相談でき、出産後まで続けて支援を受けられます。フリーランスで働く人は、仕事と出産の両立について相談できる相手が身近にいないことも多いので、面談の機会は積極的に使う価値があります。

申請先は、住民票のある市区町村の「妊婦のための支援給付」の担当窓口です。

出産育児一時金の受け取り方

出産したときに国保から支給されるのが、出産育児一時金です。子ども1人につき原則50万円で、産科医療補償制度に加入していない医療機関での出産や妊娠22週未満の出産では48万8千円になります。条件は、出産した時点で国保に加入していることと、妊娠4か月(85日)以上での出産であることの2つで、死産や流産も含まれます。

受け取り方には、病院が保険者に直接請求する「直接支払制度」、本人が申請して受け取りを病院に任せる「受取代理制度」、いったん全額を支払ってから申請する「償還払い制度」の3つがあります。多くの人が使う直接支払制度なら、窓口で支払うのは出産費用と一時金の差額だけです。出産費用が一時金より安かった場合は、差額を受け取るための申請が必要になることが多く、申請の期限は出産日の翌日から2年以内です。

会社の健康保険に1年以上続けて加入していた人が、退職後6か月以内に出産した場合は、前の健康保険から受け取ることも選べます。どちらか一方からしか受け取れないので、前の保険に独自の上乗せ給付があるかなどを比べて決めます。

出産育児一時金の条件や申請先、必要書類の詳細は、別の記事で詳しく整理しています。ここでは、妊娠中から出産後までの支援の1つとして、手続きの時期を押さえておいてください。

国保の保険料は「免除」ではなく「軽減」

この記事のタイトルにもある「保険料免除の範囲」で、いちばん誤解されやすいのが国保の保険料の扱いです。国民年金の保険料は出産の前後に「免除」されますが、国保の保険料(市区町村によっては国民健康保険税)は全額が免除されるわけではなく、一部が「軽減(減額)」される仕組みです。

令和6年1月から始まった国保の保険料の産前産後軽減は、出産する本人にかかる保険料のうち、所得割額(所得に応じた部分)と均等割額(加入者1人ごとにかかる部分)を、一定の期間だけ減額するものです。期間は、出産予定月(または出産月)の前月から翌々月までの4か月で、多胎の場合は出産予定月の3か月前から6か月になります。

減額されないのは、平等割額(1世帯ごとにかかる部分)と、同じ世帯のほかの家族にかかる保険料です。群馬県太田市の案内でも、産前産後期間の国保税が0円になるとは限らないと明記されています。また、40歳以上の人に上乗せされる介護分の扱いも、市区町村の案内で確認が必要です。

届出は出産予定日の6か月前から可能で、出産後に届け出ることもできます。母子健康手帳など出産予定日が分かる書類と、世帯主と出産する人のマイナンバーが分かるものを持って、国保の窓口に届け出ます。死産や流産の場合は、医師の診断書などが必要になります。

出産後に届け出る場合も軽減は受けられますが、さかのぼれる期間には限りがあります。保険料の通知が届いてから「高い」と気づくことのないよう、妊娠の届出と同じ時期に済ませておくのが安心です。

子どもが生まれた後の国保の保険料

子どもが生まれて国保に加入すると、その子の分の保険料もかかります。ここでも負担を軽くする仕組みがあります。厚生労働省は、未就学児の保険料について次のように説明しています。

また、子育て世帯の経済的負担軽減の観点から、国・地方の取組として、未就学児の均等割保険料(税)を軽減する制度が令和4年4月から開始されました。 具体的には、未就学児に係る均等割保険料(税)について、その5割が公費により軽減されます。 出典: 厚生労働省 国民健康保険の保険料・保険税について

未就学児とは、6歳になった後の最初の3月31日までの子どものことです。この軽減は申請しなくても自動的に適用されることが一般的です。

また、令和8年度からは、子育て支援の財源として「子ども・子育て支援金」が医療保険とあわせて徴収されるようになりました。国保の加入者は保険料(税)の一部として納めますが、市区町村の案内では、18歳未満の加入者には支援金分の均等割はかからないとされています。

さらに、令和8年3月に国会へ提出された健康保険法等の改正法案には、国保の子どもの均等割保険料の5割軽減を、未就学児から高校生年代まで広げる内容が含まれています。法律案の段階なので、実際の適用は成立後の案内で確認してください。

国民年金保険料の産前産後免除と育児免除

国保に加入しているフリーランスや自営業の人の多くは、国民年金の第1号被保険者(自分で保険料を納める人)でもあります。国民年金には、出産の前後と育児の期間に保険料が免除される制度が2つあります。

1つ目は、平成31年4月から始まった産前産後免除です。日本年金機構は次のように説明しています。

次世代育成支援の観点から、国民年金第1号被保険者が出産した際に、出産前後の一定期間の国民年金保険料が免除される制度が平成31年(2019年)4月から始まりました。 産前産後期間の免除制度は、「保険料が免除された期間」も保険料を納付したものとして老齢基礎年金の受給額に反映されます。 出典: 日本年金機構 国民年金保険料の産前産後期間の免除制度

免除される期間は、出産予定月(または出産月)の前月から4か月間で、多胎妊娠の場合は3か月前から6か月間です。国保の保険料の軽減と違い、こちらは保険料の全額が免除されます。引用にあるとおり、免除された期間も保険料を納めたものとして年金額に反映されるので、つまり将来の年金が減らない免除です。届出は出産予定日の6か月前からでき、住民登録をしている市区町村の国民年金の窓口に出します。郵送や電子申請でも手続きできます。

2つ目は、2026年(令和8年)10月から新しく始まった育児免除です。1歳になるまでの子を養育する第1号被保険者は、届け出ることで所得に関係なく保険料が免除されます。実母の場合は、産前産後免除の期間に続く9か月間、父親や養父母の場合は、子を養育することになった月から1歳の誕生日の前月までの最大12か月間です。この期間も、保険料を納めたものとして年金額に反映されます。

夫婦がともに第1号被保険者であれば、両方が育児免除の対象になります。会社員の配偶者に扶養されている第3号被保険者は、もともと保険料の負担がないため対象外です。

帝王切開など保険が使える出産と高額療養費

妊娠と出産は病気ではないため、正常な分娩や妊婦健診は健康保険の対象外です。ところが、妊娠中や出産のときに医療的な処置が必要になった部分は、通常の病気やけがと同じように国保の対象になり、窓口での負担は原則3割になります。たとえば、帝王切開、吸引分娩や鉗子分娩、切迫早産での入院、妊娠高血圧症候群の治療などがこれにあたります。

保険の対象になった医療費が高額になった場合に使えるのが、高額療養費制度です。高額療養費とは、1か月の医療費の自己負担が上限額を超えたときに、超えた分が払い戻される仕組みのことです。上限額は年齢と所得の区分によって決まり、見直しも続いているので、具体的な金額はお住まいの市区町村の案内で確認してください。

入院が決まったときに知っておきたいのが、窓口での支払いを最初から上限額までに抑える方法です。群馬県太田市の国保の案内では、70歳未満の加入者が限度額適用認定証を医療機関に示すと、窓口での支払いが自己負担限度額までになると説明されています。あわせて、マイナ保険証で受診する場合は、限度額適用認定証の交付申請や医療機関への提示は不要とされています。マイナ保険証を使っていない人は、入院の前に国保の窓口で認定証を申請しておくと、退院時にまとまった金額を立て替えずに済みます。ただし、市区町村によっては国保の保険料を納め終えていることが交付の条件になっています。

出産育児一時金と高額療養費は、別々の制度です。帝王切開で出産した場合でも、出産育児一時金は通常どおり支給されます。保険の対象になった部分の自己負担が上限を超えれば高額療養費も受けられるので、両方の手続きを確かめておきましょう。

医療費控除で戻るお金

妊娠と出産にかかった費用の一部は、確定申告で医療費控除の対象になります。医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、その超えた分を所得から差し引ける仕組みのことです。所得税と翌年の住民税が軽くなります。

国税庁は、出産に関する費用の扱いを具体的に示しています。

(1)妊娠と診断されてからの定期検診や検査などの費用、また、通院費用は医療費控除の対象になります。 出典: 国税庁 No.1124 医療費控除の対象となる出産費用の具体例

同じページでは、出産で入院するときに通常の交通手段が使えずタクシーを利用した場合のタクシー代や、入院中に病院に支払う食事代も、一般的に対象になるとされています。一方で、実家で出産するために帰省する交通費や、入院のために買った寝巻きや洗面用具は対象になりません。

注意したいのは、出産育児一時金を受け取った場合、その金額を医療費から差し引いて計算する点です。たとえば出産費用が55万円で一時金を50万円受け取った場合、医療費控除の対象になるのは差額の5万円です。健診の自己負担分や、帝王切開など保険の対象になった治療の自己負担分と合計して、一定額を超えるかを確かめます。

フリーランスは毎年確定申告をする人が多いので、医療費控除を加えるのは難しくありません。領収書と、通院の交通費の記録を家計簿などに残しておきましょう。具体的に控除できるかどうかは、個別の事情で変わるため、迷うときは税務署に確認してください。

流産や死産になったときに受けられる支援

妊娠中に流産や死産を経験した場合も、受けられる支援があります。つらい時期に手続きのことを考えるのは難しいものですが、知っておくと後で助けになります。

出産育児一時金は、妊娠4か月(85日)以上であれば、死産や流産、人工妊娠中絶の場合も支給の対象です。厚生労働省の案内でも、出産方法や出産場所を問わず対象になるとされています。妊娠22週未満の場合は、支給額が48万8千円になります。

国保の保険料の産前産後軽減と、国民年金の産前産後免除も、妊娠85日以上の死産や流産、早産を含みます。日本年金機構の案内では、死産の届出をする場合に死産証明書、死胎埋火葬許可証、母子健康手帳、医療機関が発行した死産等の証明書のいずれかを添えるよう示されています。

妊婦のための支援給付も、流産や死産の場合に支給の対象となります。医療機関で流産等が確認された日以降に、市区町村の窓口に届け出ることができます。

いずれも、出産後(流産・死産の後)に届け出ても受けられる制度ですが、さかのぼれる期間に限りがあるものもあります。体と気持ちが落ち着いてから、家族に手続きを頼むことも含めて、無理のない範囲で進めてください。市区町村の母子保健の窓口では、手続きだけでなく、心と体のケアについても相談できます。

妊娠中に収入が減ったときの保険料の相談先

フリーランスや自営業の人は、妊娠中の体調によっては仕事を減らさざるを得ないことがあります。収入が大きく減ったときには、産前産後軽減とは別の仕組みで保険料の負担を軽くできる場合があります。

国保の保険料(税)には、前年の世帯の所得が一定の基準を下回る場合に、加入者1人ごとにかかる均等割と1世帯ごとにかかる平等割を7割、5割、2割のいずれかで減額する仕組みがあります。厚生労働省の案内によると、これは法令で定められた所得基準に基づく減額です。所得の申告をしていないと判定ができないため、収入が少なかった年も住民税の申告や確定申告をしておくことが大切です。

さらに、その年の所得が著しく減ると見込まれる場合などには、市区町村の条例に基づいて保険料の減免が受けられることがあります。太田市の案内では、病気やけが、事業の著しい損失や休業などで、その年の所得見込額が大きく減る場合が減免の対象として挙げられています。対象になるかどうかは市区町村の判断なので、まずは国保の窓口で相談してください。原則として、納期限が過ぎた分や納付済みの分は対象にならないので、早めの相談が大切です。

国民年金にも、所得が少ない人のための免除や納付猶予の制度があります。こちらは前年の所得をもとに審査されます。所得による全額免除では、免除された期間の年金額が納めた場合より少なく計算されます。一方、産前産後免除は納めたものとして扱われるので、出産前後の4か月は産前産後免除を届け出たほうが年金額の面で有利です。その前後の期間について、所得による免除や納付猶予の申請を検討してください。

出産後に忘れたくない児童手当の申請

出産後すぐに必要な手続きが、児童手当の申請です。児童手当は、0歳から高校生年代までの子を育てている人に支給されるもので、国保か会社員の保険かは関係ありません。こども家庭庁の案内によると、支給額は3歳未満が1人あたり月額15,000円、3歳以上高校生年代までが月額10,000円で、第3子以降はどちらも月額30,000円です。支給は偶数月に、前月分までの2か月分がまとめて振り込まれます。

ここで大切なのが申請の期限です。児童手当は、原則として申請した月の翌月分から支給されます。出生日の翌日から15日以内に申請すれば、出生日が月末に近くても出生の翌月分から受け取れますが、申請が遅れると、遅れた月の分は原則として受け取れません。里帰り出産で一時的に住所地を離れている場合も、申請先は現住所の市区町村です。

出生届と同じタイミングで児童手当の申請も済ませるよう、出産前に段取りを決めておくと安心です。

妊娠が分かったら早めに済ませたい手続きの順番

ここまでの支援を、実際に動く順番に並べ直しておきます。

最初に行うのは、市区町村への妊娠の届出です。母子健康手帳と妊婦健診の受診票を受け取ります。胎児の心拍が確認されていれば、このときに妊婦のための支援給付の1回目の申請と面談も進められることが多くあります。

次に、出産予定日の6か月前になったら、国保の保険料の産前産後軽減と、国民年金の産前産後免除を届け出ます。どちらも母子健康手帳など出産予定日が分かる書類で手続きできます。窓口が別なので、同じ日にまとめて回ると手間が減ります。

妊娠の後期に入ったら、出産する病院で直接支払制度を使うかを確認し、合意文書を交わします。出産予定日の8週間前の日を過ぎたら、妊婦のための支援給付の2回目として子どもの人数を届け出ます。帝王切開などの可能性がある場合は、マイナ保険証を使うか、限度額適用認定証を用意しておきます。

出産後は、出生届と同時に児童手当を申請し、赤ちゃんを国保に加入させます。出産費用が一時金より安かった場合は差額を申請し、国民年金の育児免除も届け出ます。翌年の確定申告では、医療費控除を忘れずに加えます。この順番をメモにして母子健康手帳に挟んでおくと、手続きの漏れを防げます。

実際の相談で多いつまずき

匿名化した相談例を紹介します。

あるフリーランスのイラストレーターさんは、妊娠中に国民年金の産前産後免除の届出はしたものの、国保の保険料の軽減には別の届出が必要だと知りませんでした。同じ市役所でも、年金と国保は担当が違うからです。出産の数か月後に保険料の通知を見て気づき、窓口で届出をして減額を受けました。つまり、年金の免除と国保の軽減は、別々に届け出る必要があるということです。

別の人は、会社を辞めて国保に切り替えた後に妊娠が分かり、「前の会社の出産手当金がもらえるはず」と考えていました。ところが、出産手当金を退職後も受け取れるのは、退職の時点で既に出産手当金を受けているか受けられる状態にあり、それまでに一定期間加入していた場合などに限られます。妊娠前に退職している場合は、一般的に対象になりません。個別の事情で判断が分かれるので、前の会社の健康保険に問い合わせてください。

このように、制度の名前が似ていても、申請先と条件はそれぞれ違います。判断に迷うときは、自分で結論を出さずに担当の窓口で確かめるのが確実です。

フリーランスの妊婦が仕事の面で準備しておくこと

国保の加入者の多くは、業務委託で仕事を受けているフリーランスです。出産手当金がない分、仕事の面での備えが家計に直結します。

まず、取引先との関係です。2024年11月に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法では、発注者は取引条件を明示し、原則として成果物を受け取った日から60日以内に報酬を支払うことが求められています。また、6か月以上続く業務委託では、フリーランスから申し出があれば、妊娠や出産、育児と仕事を両立できるよう配慮することが発注者に求められています。休む期間や納期の調整は、早めに相談しておくほど受け入れられやすくなります。取引条件の書面で確かめるべき項目は、フリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストで一覧にしています。

次に、休業中の資金の見通しです。妊婦のための支援給付や出産育児一時金は、出産のための費用に充てるもので、生活費の補てんではありません。出産前に納品した仕事の入金時期を確認し、休業の数か月を乗り切れる資金計画を立てておきましょう。報酬の支払いが遅れたときの対処は、未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】で、支払督促の手順と費用を説明しています。

運営の現場から見えること

フリーランスや在宅ワークの市場を長く見てきた立場から言えば、妊娠や出産をきっかけに働き方を組み立て直す人は少なくありません。会社員から在宅の業務委託に移る人もいれば、出産後に少しずつ仕事を再開する人もいます。

その中で感じるのは、制度を知っているかどうかで、出産前後の家計の余裕が変わるということです。国保の保険料の軽減、国民年金の免除、妊婦のための支援給付は、どれも届け出なければ受けられないか、受け取りが遅れます。一つひとつは数万円単位でも、合わせると無視できない金額になります。

復帰後の仕事選びでは、育児と両立しやすい在宅の仕事の相場を知っておくと計画が立てやすくなります。文章を書く仕事なら、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で年収や単価の傾向を確認できます。プログラミングの経験がある人は、ソフトウェア作成者の年収・単価相場が参考になります。仲介の手数料がかからない直接の取引であれば、限られた稼働時間でも受け手の手取りが厚くなり、発注者も同じ予算で多く頼めます。

法律と制度は、知って使う人の味方です。妊娠が分かったら、この記事の表を手元に置いて、市区町村の窓口で一つずつ手続きを進めてください。

よくある質問

Q. 国保に加入している妊婦は出産手当金をもらえますか?

多くの市区町村の国保には出産手当金の仕組みがありません。国民健康保険法で、出産手当金のような給付は市区町村や国保組合が任意で行えるものとされているためです。国保組合の中には独自に設けているところもあるので、加入先の規約を確認してください。勤め先の健康保険に加入している人は、要件を満たせば出産手当金の対象になります。

Q. 国保の保険料は出産前後に全額免除されますか?

全額免除ではなく、一部が減額されます。出産予定月の前月から4か月間(多胎は6か月間)、出産する本人の所得割額と均等割額が減額され、世帯ごとにかかる平等割額などは残ります。全額が免除されるのは国民年金保険料のほうです。国保の軽減と年金の免除は窓口が別なので、それぞれ届け出てください。

Q. 妊婦のための支援給付は国保の加入者も受け取れますか?

受け取れます。この給付は加入している保険ではなく、住民票のある市区町村が実施しているためです。胎児の心拍確認後に申請すると5万円、出産予定日の8週間前の日以降に子どもの人数を届け出ると人数×5万円が支給されます。保健師などとの面談とセットなので、市区町村の担当窓口に問い合わせてください。

Q. 国民年金の育児免除はいつから利用できますか?

2026年10月から始まりました。1歳になるまでの子を養育する国民年金の第1号被保険者が対象で、所得に関係なく保険料が免除されます。実母は産前産後免除に続く9か月間、父親などは最大12か月間が対象です。免除された期間は、保険料を納めたものとして老齢基礎年金の額に反映されます。届出先は市区町村の国民年金窓口です。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年1月28日最終更新:2026年10月5日
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