厚生年金の妊婦の保険料免除は、対象の期間と申し出る先を整理する 2026

@SOHO編集部
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厚生年金の妊婦の保険料免除は、対象の期間と申し出る先を整理する 2026

この記事のポイント

  • ✓厚生年金の妊婦の保険料免除を
  • ✓日本年金機構の案内で整理します
  • ✓免除されるのは産前42日から産後56日までの産休期間で

妊娠が分かって会社に報告したあと、給料明細の社会保険料の欄を見て「産休中もこれを払い続けるのだろうか」と気になる人は多いはずです。厚生年金の保険料は給料から毎月引かれる金額の中でも大きく、収入が減る時期に払い続けるのは負担に感じます。

結論を先に書きます。会社員として厚生年金に入っている人は、出産のために会社を休んでいる期間、厚生年金と健康保険の保険料が免除されます。本人の負担分だけでなく、会社の負担分も免除です。しかも、免除された期間は、将来の年金額を計算するときに保険料を納めた期間として扱われます。

ただし、免除は妊娠しただけで始まるわけではありません。対象になるのは「産前産後休業」で実際に休んでいる期間で、申し出るのは本人ではなく会社です。この記事では、日本年金機構の案内に書かれている内容をもとに、免除の対象になる期間、月の数え方、申し出の流れ、そして会社員以外の人の制度までを順番に整理します。

結論。免除されるのは「産休で休んだ期間」、申し出るのは会社

日本年金機構は、産前産後休業中の保険料免除について、次のように説明しています。

産前産後休業期間(出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産の日後56日までの間で、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間)について、健康保険・厚生年金保険の保険料は、被保険者が産前産後休業期間中に事業主が年金事務所に申し出ることにより被保険者・事業主の両方の負担が免除されます。 出典: nenkin.go.jp

この文から読み取れる要点は4つです。

・免除されるのは、厚生年金の保険料と健康保険の保険料の両方
・本人の負担分と会社の負担分の両方が免除される
・対象は、出産の前後の決まった範囲の中で、妊娠や出産を理由に働かなかった期間
・申し出るのは会社(事業主)で、年金事務所などに書類を出す

ここでいう「被保険者」とは、厚生年金や健康保険に加入している本人のことです。「事業主」は、雇っている会社のことです。

「妊婦の免除」という言葉で調べると、妊娠が分かった時点から保険料が免除されるように読める情報もありますが、そうではありません。妊娠中でも働いている期間は、通常どおり保険料がかかります。免除の対象になるのは、出産予定日の42日前から産後56日までの範囲で、実際に休んでいる期間だけです。

また、本人が年金事務所に申請する制度でもありません。本人は会社に産休を取ることを伝え、会社が「産前産後休業取得者申出書」という書類を日本年金機構に出します。手続きの主役は会社だという点を、最初に押さえておいてください。

対象になる期間。産前42日から産後56日まで

免除の対象になる期間を、もう少し細かく見ます。

産前の期間は、出産の日以前42日です。双子以上を妊娠している多胎妊娠の場合は98日になります。出産が予定日より遅れた場合は、出産予定日を基準に数えます。つまり、予定日の42日前から休み始めて、実際の出産が予定日より遅れた場合、その遅れた日数は産前の期間に含まれます。

産後の期間は、出産の日の翌日から56日までです。

出産の意味についても、日本年金機構は定義を示しています。ここでいう出産とは、妊娠85日(4か月)以上の分娩のことで、早産、死産、流産、人工妊娠中絶を含みます。出産に至らなかった場合でも、妊娠4か月以上であれば対象になりうるという点は、知っておいてほしい情報です。

そして、この範囲の中で「妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間」が免除の対象です。産前の42日の間でも、本人の希望で働き続けていた日は対象になりません。産前の休業は本人が請求して取るものなので、働き続けることもできるからです。

一方、産後については、労働基準法で会社は産後8週間を経過しない女性を働かせてはならないとされています。ただし、産後6週間を経過した女性が請求し、医師が支障がないと認めた業務に就かせることはできるとされています。日本年金機構のページでも、この労働基準法の決まりが紹介されています。

なお、給料が出ているかどうかは関係ありません。日本年金機構は、申出書の提出にあたって、産前産後休業期間中の給与が有給か無給かは問わないとしています。会社の制度で産休中も給料が出る場合でも、休んでいれば免除の対象になります。

免除される月の数え方。始まりの月と終わりの月

社会保険料は月単位で計算されるので、免除も月単位で決まります。日本年金機構の説明では、免除される期間は「産前産後休業開始月から終了日の翌日の属する月の前月まで」です。ただし、産前産後休業の終了日が月の末日の場合は、終了した月まで免除になります。

言葉だけでは分かりにくいので、例で確かめます。

・産休が2月10日に始まり、5月20日に終わった場合  終了日の翌日は5月21日で、その属する月は5月です。その前月の4月までが免除になるので、免除は2月、3月、4月の3か月です。5月分は通常どおり保険料がかかります。

・産休が2月10日に始まり、5月31日に終わった場合  終了日が月の末日なので、5月まで免除になります。免除は2月から5月の4か月です。

始まりの月は、月の途中から休み始めても、その月から免除になります。2月10日に休み始めた場合、2月の1日から9日まで働いていても、2月分は免除です。

この数え方を知っておくと、産休明けに育児休業を続けて取る場合の流れも理解しやすくなります。後の節で触れますが、産休が終わって育児休業に入ると、育児休業中の免除に切り替わります。

予定日と実際の出産日がずれたときの扱い

出産は予定日どおりにいかないことのほうが多いものです。予定日と実際の出産日がずれたとき、免除の期間がどう変わるのかを例で確かめておきます。

まず、出産が予定日より早かった場合です。たとえば出産予定日が6月20日で、実際には6月10日に生まれたとします。産前の期間は実際の出産日である6月10日を基準に数え直すことになり、産後の56日も6月10日の翌日から数えます。そのため、産休の終わりが予定より早まります。終わりの日が月をまたいで前に動けば、免除される月も1か月減ることがあります。

次に、出産が予定日より遅れた場合です。出産予定日が6月20日で、実際には6月30日に生まれたとします。産前の期間は予定日の6月20日を基準に数えるので、6月21日から30日までの10日間は、産前の期間が延びた扱いになります。そのうえで、産後の56日は実際の出産日である6月30日の翌日から数えます。結果として、産休全体が予定より長くなり、終わりの日が後ろへ動きます。

どちらの場合も、出産前に申出書を出していたなら、会社は「産前産後休業取得者変更(終了)届」で期間を直します。この届が出ていないと、実際に休んだ期間と年金機構の記録がずれたままになります。出産したら、なるべく早く出産日を会社に伝えてください。

出産手当金も同じ考え方で計算されます。協会けんぽの案内では、出産が予定日より遅れた場合、その遅れた期間についても出産手当金が支給されるとされています。予定日より遅れて生まれても、その分だけ受け取れる日数が減るわけではありません。

いくら免除されるか。保険料率18.3%で試算する

免除される金額は、その人の給料の水準で変わります。厚生年金の保険料は、毎月の給料をもとに決める「標準報酬月額」に保険料率をかけて計算します。標準報酬月額とは、毎月の給料を一定の幅で区切った等級にあてはめた金額のことです。

厚生年金の保険料率について、日本年金機構は、平成16年から段階的に引き上げられてきたが平成29年9月を最後に引き上げが終わり、18.3%で固定されていると説明しています。この保険料を、会社と本人が半分ずつ負担します。

仮に標準報酬月額が30万円の人で計算してみます。

・厚生年金の保険料の総額 30万円×18.3%=54,900円
・本人の負担分 54,900円÷2=27,450円
・会社の負担分 27,450円

この人が産休で4か月免除されると、本人の負担分だけで109,800円の保険料がかからなくなります。会社の負担分も同じ額だけ免除されます。

さらに、健康保険の保険料も免除されます。健康保険の保険料率は、加入している健康保険によって違い、全国健康保険協会(協会けんぽ)では都道府県ごとに決まっています。40歳以上の人は介護保険料も合わせて健康保険と一緒に納めているので、厚生年金と健康保険を合わせると、免除の効果はさらに大きくなります。

ここで強調しておきたいのは、免除されても将来の年金が減らないという点です。日本年金機構は、免除期間中も被保険者の資格に変更はなく、将来年金額を計算する際は保険料を納めた期間として扱われると明記しています。払わなくてよいのに、払ったものとして扱われる。これがこの制度の大きな特徴です。

申し出の手順と期限

手続きの流れを、日本年金機構の案内に沿って整理します。

まず、本人が会社に産前産後休業を取ることを伝えます。申し出を受けた会社が、「健康保険・厚生年金保険 産前産後休業取得者申出書」を日本年金機構に提出します。提出先は事務センターまたは管轄の年金事務所で、提出方法は電子申請、郵送、窓口への持参(年金事務所のみ)です。添付書類は不要とされています。

提出の時期について、日本年金機構は次のように定めています。

申出書の提出は、産前産後休業をしている間または産前産後休業終了後の終了日から起算して1カ月以内の期間中に行わなければなりません。 出典: nenkin.go.jp

つまり、産休に入ってから、産休が終わって1か月以内までに出す必要があります。出産前に出すこともでき、出産後に出すこともできます。

出産前に申出書を出した場合で、実際の出産日が予定日と違ったときは、産休の期間が変わります。この場合、会社は「産前産後休業取得者変更(終了)届」を提出します。予定より早く職場に戻った場合も同じです。予定日どおりに出産した場合や、出産後に申出書を出した場合は、変更届は不要とされています。

本人が気をつけたいのは、会社に任せきりにしないことです。小さな会社では、社会保険の手続きに慣れた担当者がいないこともあります。産休に入る前に「産前産後休業取得者申出書を出してもらえますか」と一言確かめておくと、出し忘れを防げます。産休中に給料明細が届くなら、保険料が引かれていないかを確認するのも有効です。

もう1つ、出産日が確定したら、会社にすぐ連絡してください。変更届が必要になるかどうかは出産日で決まるので、会社が出産日を知らないと手続きが止まってしまいます。

誤解しやすい点。免除されるもの、されないもの

保険料の免除について、よく混同される点を整理しておきます。

1つ目は、免除されるのは社会保険料のうち健康保険と厚生年金の保険料だという点です。40歳以上の人が健康保険と一緒に納めている介護保険料も、健康保険の保険料と一体で扱われます。一方、所得税や住民税は保険料ではないので、この制度では免除されません。特に住民税は前の年の所得に対してかかるため、産休中で給料がなくても納める必要があります。

2つ目は、雇用保険料の扱いです。雇用保険料は、その月に支払われた給料に保険料率をかけて計算します。産休中に給料が出なければ、雇用保険料もかかりません。ただし、これは免除の制度によるものではなく、計算のもとになる給料がないためです。会社から給料が一部出る場合は、その額に応じて雇用保険料がかかります。

3つ目は、免除は届け出があって初めて始まるという点です。産休を取っただけで自動的に免除されるわけではありません。会社が申出書を出さなければ、保険料は通常どおり請求されます。申出書の期限は、産休が終わった日から1か月以内です。この期限を過ぎてしまうと、免除を受けられなくなるおそれがあります。

4つ目は、免除を受けても年金の加入が途切れるわけではないという点です。免除の期間中も、厚生年金と健康保険の資格はそのまま続きます。病院にかかるときは、これまでどおり保険証やマイナ保険証を使えます。

この4つを押さえておけば、給料明細を見たときに「なぜこの欄だけ引かれているのか」と戸惑うことが減るはずです。

産休中のお金。出産手当金と出産育児一時金

保険料の免除とは別に、産休中の生活を支えるお金の制度もあります。健康保険から出る出産手当金です。出産手当金とは、出産のために会社を休み、給料を受けられない間の生活を支えるために健康保険から出るお金のことです。

全国健康保険協会(協会けんぽ)の案内では、被保険者が出産のため会社を休み、その間に給与の支払いを受けなかった場合、出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間を対象として支給されるとされています。出産が予定日より遅れた場合は、その遅れた期間も支給の対象です。

1日あたりの金額は、支給開始日以前の12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額を30で割り、その3分の2にあたる額です。協会けんぽの計算例では、標準報酬月額の平均が17万円の場合、17万円÷30で約5,670円、その3分の2で1日あたり3,780円になっています。

休んだ期間に会社から給料が出ている場合でも、その日額が出産手当金の日額より少なければ、差額が支給されます。

ここで、保険料の免除との違いを整理しておきます。保険料の免除は、給料が出ていても出ていなくても、休んでいれば対象です。出産手当金は、給料が十分に出ていない場合に支給されます。2つは別の制度なので、両方を受けられることも多いはずです。

出産の費用そのものについては、健康保険から出産育児一時金が支給されます。こちらは出産にかかる費用を補うための一時金です。具体的な金額や受け取り方は、加入している健康保険に確かめてください。

産休のあとに続く制度。育児休業の免除と、年金を守る特例

産休が終わったあとも、保険料と年金を守る制度が続きます。

1つ目は、育児休業中の保険料免除です。日本年金機構は、育児・介護休業法による満3歳未満の子を育てるための育児休業等の期間について、会社が申し出ることで、健康保険と厚生年金の保険料が本人と会社の両方とも免除されると説明しています。こちらも、免除期間は保険料を納めた期間として扱われます。手続きは「育児休業等取得者申出書」で、産休とは別の書類です。

産休の免除期間と育休の免除期間が重なる場合は、産休の免除が優先されます。産休から続けて育休に入る場合でも、会社が2種類の書類を出す必要があることは覚えておいてください。

2つ目は、職場に戻ったあとの保険料の見直しです。産休明けや育休明けに短時間勤務などで給料が下がった場合、通常の見直しの条件に当てはまらなくても、復帰後3か月間の給料の平均をもとに、4か月目から標準報酬月額を改定できる仕組みがあります。産休明けの場合は「産前産後休業終了時報酬月額変更届」を会社経由で出します。

3つ目は、将来の年金を守る特例です。子どもが3歳になるまでの間、短時間勤務などで給料が下がり、標準報酬月額が下がった場合でも、本人が申し出れば、子どもが生まれる前の高い標準報酬月額で年金額を計算してもらえます。日本年金機構は、この仕組みを「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」と呼び、養育期間中の報酬の低下が将来の年金額に影響しないようにするための措置だと説明しています。保険料は下がった給料に応じて安くなり、年金は下がる前の水準で計算される、という仕組みです。

この3つ目は、本人が申し出ないと使えません。復帰後に給料が下がったら、会社に「養育期間標準報酬月額特例申出書」を出してもらえるか確かめてください。

パートナー側の手続き。父親の育休と保険料

出産する本人だけでなく、パートナーの側にも保険料の免除の制度があります。妊娠中から2人で確かめておくと、出産後の家計の見通しが立てやすくなります。

パートナーが会社員として厚生年金に加入している場合、育児休業を取れば、その期間の健康保険と厚生年金の保険料が免除されます。日本年金機構の案内では、育児休業の手続きの説明に「産後パパ育休」も含まれています。産後パパ育休とは、子どもが生まれてから8週間以内に、父親などが分けて取れる育児休業の仕組みのことです。手続きは、本人の申し出を受けた会社が育児休業等取得者申出書を提出する形で、産休と同じく会社が行います。

パートナーがフリーランスや自営業で国民年金の第1号被保険者である場合は、2026年10月に始まった国民年金の育児免除の対象になります。実父の場合は、子を育てることになった月から、1歳の誕生日の前月までの最大12か月間、保険料が免除されます。所得の制限はありません。本人が市区町村の窓口に届け出る必要があります。

夫婦の一方が会社員で、もう一方がフリーランスという家庭も増えています。その場合は、会社員の側は会社を通じた手続き、フリーランスの側は自分で市区町村に届け出る手続きと、2つの流れが同時に走ることになります。どちらがいつまでに何を出すのかを、紙に書き出しておくと漏れを防げます。

会社の役員や経営者の場合

会社の役員や、小さな会社を経営している人が出産する場合はどうなるか。日本年金機構は、事業主などであっても被保険者であれば、産前産後休業期間中の保険料免除を受けられるとしています。

ただし、同じページに、育児休業期間中の保険料免除は受けられないとも書かれています。育児休業は雇われて働く人のための制度なので、役員には当てはまらないからです。役員として社会保険に入っている人は、産休の間は免除を受けられても、そのあとの育児の期間は免除が続かないことを前提に、資金の計画を立てる必要があります。

会社員ではない人。国民年金の産前産後免除と育児免除

フリーランスや自営業の人、会社を辞めて国民年金に加入している人は、厚生年金の免除の対象ではありません。代わりに、国民年金の制度があります。

国民年金の第1号被保険者とは、20歳以上60歳未満の自営業者、フリーランス、学生、無職の人などで、自分で国民年金の保険料を納めている人のことです。この人たちには、出産の前後の保険料が免除される制度があります。

日本年金機構によると、出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間の国民年金保険料が免除されます。多胎妊娠の場合は、出産予定日または出産日が属する月の3か月前から6か月間です。免除された期間も、保険料を納めたものとして老齢基礎年金の額に反映されます。

手続きは本人が行います。届出は出産予定日の6か月前からでき、出産後でも届け出られます。提出先は住民登録をしている市区町村の国民年金の窓口で、郵送や電子申請もできます。出産前に届け出るときは、母子健康手帳など出産予定日を確認できる書類が必要です。

さらに、2026年10月からは、国民年金の育児免除という新しい制度が始まりました。日本年金機構は次のように案内しています。

子を養育する国民年金第1号被保険者(20歳以上60歳未満の自営業者、農業者、学生、無職の方等)について、その子が1歳になるまでの期間に係る国民年金保険料の納付が免除される制度が2026(令和8)年10月から新たに始まりました。 出典: nenkin.go.jp

所得に関係なく、届け出ることで免除されます。産前産後免除を受けた実母の場合は、産前産後の免除期間に続く9か月間が免除になります。実父や養父母の場合は、子を育てることになった月から、1歳の誕生日の前月までの最大12か月間です。夫婦ともに第1号被保険者であれば、両方が対象になります。

ただし、会社員や公務員に扶養されている配偶者(第3号被保険者)は、もともと自分で保険料を納めていないので、この育児免除の対象ではありません。

国民年金の保険料は、令和8年度で1か月あたり17,920円です。産前産後の4か月と育児免除の9か月を合わせると、最大で13か月分が免除になり、その期間も年金額に反映されます。フリーランスとして働く人にとって、届け出るかどうかで大きな差が出る制度です。

会社に伝える時期と、確かめておきたいこと

最後に、会社員の人が妊娠を会社に伝えてから産休に入るまでに、確かめておきたいことを整理します。

会社に伝える時期は、法律で決まっているわけではありません。ただ、保険料の免除の手続きは会社が行うので、産休に入る日が決まったら早めに伝えておくと、会社も準備ができます。

確かめておきたいのは、次の点です。

・産前産後休業取得者申出書を、いつ出してもらえるか
・出産日が予定日と違った場合、誰にどう連絡すればよいか
・産休中に給料が出るかどうか(出産手当金の申請に関わる)
・出産手当金の申請書を、誰が健康保険に出すか
・育児休業に続けて入る場合、育児休業等取得者申出書も出してもらえるか
・住民税の支払い方(産休中は給料から引けない場合がある)

最後の住民税は、保険料の免除とは関係なく、前の年の所得に対してかかります。産休中は給料がないか少ないため、給料からの天引きができず、自分で納めることになる場合があります。会社の担当者と、支払い方を相談しておいてください。

出産を機に退職を考えている人は、退職の時期を決める前に、ここで挙げた制度への影響を確かめてください。厚生年金と健康保険の資格は退職によって失われるので、退職したあとの月は、そもそも会社員としての保険料の免除の対象ではなくなります。退職後は国民年金と国民健康保険に切り替えるか、家族の扶養に入るかで、使える制度が変わります。出産手当金についても、退職後に受け取れるかどうかには条件があります。退職日を1日ずらすだけで扱いが変わることもあるので、会社の担当者や加入している健康保険に、退職前に相談しておくのが確実です。

保険料の免除も、出産手当金も、会社の協力があって初めてきちんと受けられる制度です。分からないことがあれば、会社の担当者か、年金事務所、加入している健康保険に問い合わせて、自分の状況での扱いを確かめるのが確実です。

出産までの時系列で見る手続きの流れ

ここまでの内容を、会社員の人の時系列に並べ直しておきます。それぞれの手続きを誰が行うのかにも注目してください。

妊娠が分かってから産休に入るまでの間に、本人は会社に出産予定日と産休を取りたい時期を伝えます。会社の担当者と、産前産後休業取得者申出書の提出時期、出産手当金の申請の段取り、育児休業を続けて取るかどうかを確認しておきます。

産休に入ったら、会社は産前産後休業取得者申出書を提出できるようになります。産休に入る前に出すことはできないので、休みが始まってから出すことになります。

出産したら、本人は会社に出産日を連絡します。出産前に申出書が出ていて、出産日が予定日と違えば、会社は変更届を出します。出産手当金の申請書には、医師などが出産を証明する欄があるので、入院中に記入してもらえるよう準備しておくと手間が減ります。

産休が終わって育児休業に入るなら、会社は育児休業等取得者申出書を出します。産休が終わってから1か月以内という産休の申出書の期限も、ここで改めて確かめておきます。

職場に戻ったら、給料が下がった場合に備えて、産前産後休業終了時報酬月額変更届や、育児休業等終了時報酬月額変更届、養育期間の特例の申出書を出すかどうかを会社と相談します。特に養育期間の特例は、本人が申し出なければ使えない制度です。

このように並べると、本人が自分で行う手続きは意外に少なく、多くは会社に伝えて出してもらう手続きだと分かります。だからこそ、伝えるべきことを伝え、出してもらったかを確かめることが、本人にできる一番大切な行動です。

会社員以外の働き方を選ぶ人への考察

妊娠と出産をきっかけに、働き方を見直す人もいます。会社に戻らずに、在宅で業務委託の仕事を受ける働き方に移るという選択です。

在宅ワークの求人情報を扱う立場から見ると、出産を機にフリーランスに移った人が最初に戸惑うのは、制度の主語が変わることです。会社員のときは、保険料の免除も出産手当金も、会社が手続きをしてくれました。国民年金の産前産後免除や育児免除は、本人が市区町村に届け出なければ始まりません。

もう1つ、フリーランスとして仕事を受けるときは、発注する側との約束の決め方が大切になります。フリーランス法では、継続して業務を委託する事業者に対し、育児や介護と仕事の両立への配慮を求める指針が定められています。出産や育児の予定がある場合に、納期や作業量を相談できる関係を最初から作っておくことが、無理なく続けるための土台です。フリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストでは、発注書や契約書に必ず書いておくべき項目を、チェックリストの形で整理しています。

在宅で受けられる仕事の中では、文章を書く仕事が始めやすい分野の1つです。著述家,記者,編集者の年収・単価相場では、書く仕事の年収の水準と、在宅で受ける場合の単価の考え方を確かめられます。子育てと両立しやすい時間の使い方を考えるうえでも参考になります。

文書の基本を固めておきたい人には、ビジネス文書検定も選択肢です。ビジネス文書の形式や敬語、分かりやすい構成を問う検定で、取引先とのやり取りや見積書、請求書の作成に役立ちます。

会社員のまま産休と育休を取る場合も、フリーランスに移る場合も、使える制度はあります。違うのは、手続きをするのが会社か自分かという点です。自分の立場でどの制度が使えるのかを、出産の前に確かめておくことが、安心して出産を迎えるための第一歩になります。

よくある質問

Q. 妊娠が分かった時点から厚生年金の保険料は免除されますか?

免除されません。対象になるのは、出産予定日以前42日(多胎妊娠は98日)から出産の翌日以後56日までの範囲で、妊娠や出産を理由に実際に休んでいる期間です。その範囲の中でも本人の希望で働いた日は対象外です。妊娠中でも働いている期間は、通常どおり厚生年金と健康保険の保険料がかかります。

Q. 保険料の免除は自分で年金事務所に申請するのですか?

本人ではなく会社が申し出ます。本人が会社に産休を取ることを伝え、会社が産前産後休業取得者申出書を事務センターまたは年金事務所に提出します。提出期限は、産休の間か、産休が終わった日から1か月以内です。出し忘れを防ぐため、産休に入る前に会社の担当者へ確認しておくと安心です。

Q. 保険料が免除されると将来の年金は減りますか?

減りません。日本年金機構は、産前産後休業の免除期間中も被保険者の資格に変更はなく、将来の年金額を計算する際は保険料を納めた期間として扱うと説明しています。本人と会社の両方の負担が免除されたうえで、払ったものとして扱われる仕組みです。育児休業中の免除も同じ扱いです。

Q. フリーランスで国民年金に加入している場合も免除はありますか?

あります。国民年金の第1号被保険者は、出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間(多胎妊娠は6か月間)の保険料が免除されます。さらに2026年10月からは、子が1歳になるまでの育児免除が始まり、実母は産前産後の免除に続く9か月間が対象です。どちらも本人が市区町村に届け出る必要があります。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年1月30日最終更新:2026年10月2日
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