国民健康保険の妊婦の免除、対象になる期間と申し出る先 2026


この記事のポイント
- ✓出産予定月の前月から4か月間(多胎は3か月前から6か月間)の所得割と均等割を免除する制度です
- ✓国民年金の産前産後免除と令和8年10月に始まった育児免除との違いまで
- ✓自治体と日本年金機構の情報で整理します
国民健康保険に入っている人が出産するときは、出産の前後の一定期間の保険料が免除される制度があります。令和6年1月に始まった比較的新しい制度で、届け出をしないと免除されない場合があるため、知らないまま保険料を払い続けている人もいます。また、国民年金にも同じような産前産後の免除があり、令和8年10月からは子どもが1歳になるまでの育児免除も始まりました。この記事では、国民健康保険の妊婦の免除について、対象になる人、免除される期間と範囲、届け出の時期と書類を整理し、あわせて国民年金の免除との違いと手続きの順番を説明します。
国保の妊婦の免除とは。出産前後の保険料を軽くする制度
最初に制度の骨組みを確かめます。国民健康保険の産前産後期間の保険料の免除は、子育て世帯の負担を軽くし、次の世代の育成を支えるために設けられた制度です。荒川区は、制度の概要を次のように説明しています。
子育て世帯の負担軽減・次世代育成支援のため、令和6年1月から始まった制度です。産前産後期間相当分の国民健康保険料が免除されます。 出典: city.arakawa.tokyo.jp
会社員として会社の健康保険に入っている人は、産前産後休業の間の健康保険料が免除される仕組みがもともとありました。一方、自営業者やフリーランス、パートで国民健康保険に入っている人には、長くこうした仕組みがありませんでした。国民健康保険の産前産後の免除は、その差を埋めるために始まったものです。
この制度で押さえておきたい点は3つあります。
- 免除の対象は、出産する本人の保険料のうち、所得割と均等割の産前産後期間に当たる分であること
- 届け出は出産予定日の6か月前からでき、出産後でもできること
- 世帯全体の保険料がなくなるわけではなく、0円になるとは限らないこと
所得割とは、前の年の所得に応じてかかる保険料のことで、均等割とは、加入している人1人ごとに同じ額がかかる保険料のことです。国民健康保険の保険料は、こうした区分を組み合わせて世帯ごとに計算されます。妊婦の免除は、このうち出産する本人の所得割と均等割を、産前産後の期間に当たる分だけ年額から差し引く形で行われます。
対象になる人。国保に入っていて妊娠85日以上の出産
対象になるのは、国民健康保険に入っていて、出産を予定している人、または出産した人です。荒川区の案内では、妊娠85日(4か月)以上の出産が対象で、死産、流産、早産、人工妊娠中絶の場合も含まれるとされています。
ここで大切なのは、「出産」の範囲が広いことです。妊娠85日以上であれば、子どもが無事に生まれた場合だけでなく、死産や流産の場合も対象になります。つらい経験のあとで手続きのことまで考えるのは難しいかもしれませんが、届け出をすれば保険料が免除されることを、家族や身近な人が知っておくと助けになります。
対象になるのは国民健康保険に入っている本人です。会社の健康保険に入っている人や、その扶養に入っている人は、この制度の対象ではありません。会社の健康保険には、産前産後休業の間の保険料の免除という別の仕組みがあります。
荒川区のリーフレットでは、令和5年11月1日以降に出産予定または出産した人が対象とされています。ただし、制度が始まったのは令和6年1月なので、それより前の期間の保険料は免除の対象になりません。令和5年11月に出産した場合は、令和6年1月分だけが免除されると説明されています。2026年の今から出産する人にとっては、産前産後の期間のすべてが対象になります。
なお、同業の人が集まって作る国民健康保険組合に入っている人は、組合ごとに扱いが決まっていることがあるので、加入している組合に確かめてください。
免除される期間。単胎は4か月、多胎は6か月
免除される期間は、子どもの数によって変わります。荒川区の案内を表に整理します。
| 区分 | 免除される期間 | 月数 |
|---|---|---|
| 単胎(1人) | 出産予定月(または出産月)の前月から翌々月まで | 4か月 |
| 多胎(双子以上) | 出産予定月(または出産月)の3か月前から翌々月まで | 6か月 |
たとえば、出産予定月が令和9年3月で単胎の場合、令和9年2月、3月、4月、5月の4か月が免除の対象になります。双子の場合は、令和8年12月から令和9年5月までの6か月が対象です。多胎の場合に期間が長くなるのは、出産前に体を休める期間が長く必要になることが多いためです。
注意したいのは、出産の予定月で届け出たあと、実際の出産月が予定とずれた場合です。荒川区の案内では、出産後は出産予定日での届け出はできないとされています。出産前に予定日で届け出ていた場合でも、実際の出産日によって期間がずれることがあるので、出産後に区役所から連絡があったときは確かめてください。
なぜ0円にならないのか。免除の範囲を正しく知る
「保険料が免除される」と聞くと、その期間の保険料がまったくかからなくなると考えがちです。しかし、荒川区は、産前産後期間の保険料が必ずしも0円になるとは限らないと明記しています。その理由を整理します。
1つ目の理由は、免除されるのが出産する本人の所得割と均等割だけだからです。国民健康保険の保険料は世帯ごとに計算され、市区町村によっては、世帯ごとに同じ額がかかる平等割などの区分もあります。こうした区分や、同じ世帯のほかの家族の保険料は免除されません。夫婦ともに国民健康保険に入っている場合、出産する人の分は免除されても、配偶者の分は通常どおりかかります。
2つ目の理由は、保険料の年額に上限があるからです。荒川区は、保険料が賦課限度額の場合は免除にならないことがあると説明しています。賦課限度額とは、所得が高い世帯でも、1年間の保険料がそれ以上にならないように決められた上限のことです。保険料がすでに上限に達している世帯では、本人の分を差し引いても上限額のままになり、結果として免除の効果が出ないことがあります。
3つ目の理由は、免除が月ごとの保険料から直接引かれるのではなく、年額を計算し直す形で行われるからです。荒川区のリーフレットでは、その年度に払う保険料の所得割額と均等割額から、産前産後期間に当たる分が免除されると説明されています。届け出を受け付けたあと、年額の保険料を計算し直して改めて通知する流れです。そのため、免除の分は残りの納期の保険料が下がる形で反映されることが多く、産前産後の月の保険料がちょうど0円になるわけではありません。
すでに払いすぎていた保険料は、原則として還付されます。出産後に届け出た場合も、払った保険料のうち免除の分は戻ってくるので、届け出を忘れていたことに気づいたら、できるだけ早く手続きしてください。
どのくらい軽くなるのか。計算の考え方
免除によって保険料がどのくらい軽くなるのかは、世帯の所得や市区町村の保険料率によって違います。ここでは、計算の考え方を仮の数字で説明します。実際の金額は、届け出のあとに市区町村から届く通知で確かめてください。
仮に、出産する本人の所得割と均等割を合わせた年額が12万円だったとします。国民健康保険の保険料は、年度(4月から翌年3月まで)ごとに計算されるので、1か月あたりに直すと1万円です。単胎の場合は4か月分が免除されるので、年額から4万円が差し引かれ、その年度の本人の所得割と均等割は8万円になります。多胎の場合は6か月分なので、6万円が差し引かれる計算です。
この差し引かれた分は、すでに払った保険料に余りがあれば還付され、まだ払っていない納期があれば、その納期の保険料が下がる形で反映されるのが一般的です。どちらの形になるかは、届け出の時期と納期の進み具合で変わります。
ここで注意したいのは、産前産後の期間が年度をまたぐ場合です。たとえば単胎で出産予定月が4月なら、免除の期間は3月から6月までになり、3月分は前の年度、4月から6月分は新しい年度の保険料から差し引かれます。荒川区のリーフレットでも、その年度に払う保険料の所得割額と均等割額から、産前産後期間に当たる分が免除されると説明されています。2つの年度にまたがるときは、それぞれの年度の通知を確かめてください。
届け出を忘れていた、出産後に気づいた場合
出産の前後は、届け出のことまで気が回らないことも多いはずです。届け出を忘れていたことに出産後に気づいた場合でも、届け出はできます。
荒川区の案内では、出産後の届け出もできるとされ、免除された場合は払いすぎた保険料が原則として還付されるとしています。出産後に届け出る場合は、出産予定日ではなく、実際の出産日をもとに期間が決まります。親子関係を明らかにする書類が必要になることもあるので、窓口で確かめてください。
また、荒川区は、届け出がない場合でも、出産の事実が確認できたときは職権で免除することがあるとしています。ただし、これは確認できた場合に限られ、確認できなければ免除されません。ほかの市区町村でも同じ扱いとは限らないので、気づいた時点で届け出ておくのが確実です。
国民年金の産前産後免除も、出産後に届け出ることができます。日本年金機構は、出産後に届け出る場合、出産日や親子関係を確かめる書類は原則として添付が不要だとしつつ、添付を省くと審査に1か月程度かかる場合があるとしています。急ぐ場合は、母子健康手帳や出生の届け出の受理証明書などを添えて出すと早く進みます。
届け出の時期と、申し出る先
国民健康保険の産前産後の免除は、住んでいる市区町村の国民健康保険の窓口に届け出ます。荒川区の場合は、福祉部国保年金課が担当しています。
届け出の時期は、出産予定日の6か月前からです。出産後でも届け出ができます。出産予定日が分かったら、早めに届け出ておくと、出産前後の慌ただしい時期に手続きをする必要がなくなります。
荒川区の案内では、届け出がない場合でも、出産の事実が確認できたときは、区が職権で保険料を免除することがあるとされています。職権とは、本人の届け出がなくても役所の判断で手続きをすることです。ただし、確認できない場合は免除されないため、忘れずに届け出るよう呼びかけています。届け出をしておくのが確実です。
申し出る先や受け付けの方法は、市区町村によって違います。窓口のほか、郵送やオンラインで届け出られる市区町村もあります。荒川区では、母子健康手帳と顔写真付きの本人確認書類を用意して、オンラインの申請フォームから届け出ることもできます。お住まいの市区町村の国民健康保険の窓口や公式サイトで、届け出の方法を確かめてください。
届け出に必要な書類
荒川区の案内では、届け出に必要な書類として次のものが挙げられています。
- 届出書
- 母子健康手帳など
- 届け出る人の顔写真付きの本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなどのいずれか1つ)
出産後に届け出る場合は、親子関係を明らかにする書類が必要になることがあるとされています。たとえば、子どもと別の世帯で暮らしている場合などです。
母子健康手帳は、出産予定日を確かめるための書類として使われます。妊娠の届け出をして母子健康手帳を受け取ったら、その時点で国民健康保険の免除の届け出もできるようになります。出産予定日の6か月前より早い時期に母子健康手帳を受け取った場合は、6か月前になってから届け出ます。
書類の名前や必要なものは市区町村によって少しずつ違うので、届け出の前に確かめてください。
国民年金の産前産後免除。国保とは別に届け出る
国民健康保険に入っている人の多くは、国民年金の第1号被保険者でもあります。第1号被保険者とは、自営業者やフリーランス、学生、仕事をしていない人など、国民年金だけに入っている人のことです。国民年金にも、出産の前後の保険料が免除される制度があります。
日本年金機構の国民年金保険料の産前産後期間の免除制度の案内では、出産予定日または出産日がある月の前月から4か月間の国民年金保険料が免除されるとされています。多胎の場合は、3か月前から6か月間です。期間の考え方は、国民健康保険の免除とほぼ同じです。
国民年金の産前産後免除には、国民健康保険の免除にはない大きな特徴があります。
産前産後期間の免除制度は、「保険料が免除された期間」も保険料を納付したものとして老齢基礎年金の受給額に反映されます。 出典: nenkin.go.jp
収入が少ない人向けの通常の免除では、免除された期間の年金額は、保険料を全額払った場合より少なくなります。一方、産前産後の免除では、払ったものとして扱われるので、将来の年金が減りません。1か月あたりの国民年金保険料は令和8年度で17,920円なので、4か月の免除で71,680円の負担が減り、しかも将来の年金はそのままです。
国民年金の産前産後免除は、国民健康保険の免除とは別の届け出が必要です。届け出先は、住民登録をしている市区役所・町村役場の国民年金の担当窓口で、郵送や電子申請でも手続きできます。出産予定日の6か月前から届け出られ、出産後でも届け出られます。届け出に使うのは国民年金被保険者関係届書(申出書)で、出産前に届け出る場合は母子健康手帳など、出産予定日と単胎か多胎かを確かめられる書類を添えます。
なお、国民年金の任意加入の期間は、この免除の対象になりません。また、産前産後の免除の期間は、国民年金に上乗せする付加保険料を払うことができます。
令和8年10月に始まった国民年金の育児免除
2026年の出産で特に知っておきたいのが、令和8年10月に始まった国民年金の育児免除です。日本年金機構は、子どもを育てる国民年金の第1号被保険者について、その子どもが1歳になるまでの期間の国民年金保険料が免除される制度が始まったと案内しています。
育児免除の主な内容を整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 1歳になるまでの子を育てる第1号被保険者の実父母・養父母 |
| 要件 | 子と親子関係があり、同じ住所に住んでいること。所得の要件はない |
| 実母の期間 | 産前産後免除の期間に続く9か月間 |
| 実父・養父母の期間 | 子を育て始めた月から1歳の誕生日の前月までの最大12か月間 |
| 年金額への反映 | 払ったものとして老齢基礎年金に反映される |
| 対象外 | 第3号被保険者、任意加入被保険者 |
日本年金機構の国民年金保険料の育児免除制度の案内では、出産予定日が令和9年5月1日の実母の場合、産前産後免除の期間に続く令和9年8月から令和10年4月までの9か月間が育児免除の期間になる例が示されています。つまり、実母は産前産後免除と育児免除を合わせて、出産の前月から子どもが1歳になる前月まで、国民年金保険料の免除を受けられることになります。
育児免除は、夫婦ともに第1号被保険者であれば、夫婦それぞれが対象になります。父親も、子どもを育て始めた月から最大12か月間、国民年金保険料が免除されます。フリーランスの夫婦にとっては、2人分の保険料が同時に免除されることになり、負担の差は大きくなります。
届け出が不要な場合もあります。日本年金機構は、産前産後免除を受けた実母で、マイナンバーを使った情報のやりとりで子どもと同じ世帯であることが確認できる人には、届け出なしで「国民年金保険料育児免除該当通知書」を送ると案内しています。一方、実父や養父母、産前産後免除の届け出を済ませていない実母は、届け出が必要です。届け出は、住民登録をしている市区役所・町村役場の国民年金の窓口か、マイナポータルからの電子申請でできます。
なお、育児免除は国民年金の制度です。国民健康保険の産前産後の免除は、出産の前後の4か月(多胎は6か月)が対象で、子どもが1歳になるまで続くものではありません。子育て中の国民健康保険料について市区町村独自の支援があるかどうかは、お住まいの市区町村の窓口で確かめてください。
会社の健康保険に入っている人との違い
同じ出産でも、会社の健康保険に入っている人と国民健康保険に入っている人では、使える仕組みが違います。違いを知っておくと、働き方を選ぶときや、配偶者と手続きを分担するときに役立ちます。
会社の健康保険に入っている人は、産前産後休業や育児休業の間、健康保険と厚生年金の保険料が免除される仕組みがあります。日本年金機構は、会社員や公務員などの第2号被保険者については、産前産後休業や育児休業の期間の厚生年金保険料などの免除を案内しています。こうした免除は、会社を通じて手続きするのが一般的です。
一方、国民健康保険に入っている人は、ここまで説明してきたとおり、出産の前後の4か月(多胎は6か月)の所得割と均等割が免除されます。国民年金の第1号被保険者であれば、国民年金の産前産後免除と育児免除も使えます。どちらも自分で市区町村に届け出る必要がある点が、会社員との大きな違いです。
夫婦の一方が会社員、もう一方がフリーランスという世帯も少なくありません。この場合、会社員の側は会社を通じた手続き、フリーランスの側は市区町村への届け出と、それぞれ別の手続きになります。誰がどの手続きをするのかを、出産前に夫婦で書き出しておくと漏れを防げます。
父親が第1号被保険者のときの育児免除の届け出
令和8年10月に始まった国民年金の育児免除は、父親も対象になります。父親がフリーランスや自営業で国民年金の第1号被保険者なら、子どもを育て始めた月から1歳の誕生日の前月まで、最大12か月間の国民年金保険料が免除されます。所得の要件はなく、子どもと親子関係があり、同じ住所に住んでいることが条件です。
日本年金機構の案内では、実母の一部は届け出なしで通知書が届く仕組みがありますが、実父は届け出が必要です。届け出は、住民登録をしている市区役所・町村役場の国民年金の窓口に紙で出すか、マイナポータルから電子申請します。要件を満たした日以降、速やかに届け出るよう案内されています。
子どもが生まれて出生の届け出をするときに、父親の育児免除の届け出もあわせて済ませておくと、手続きの漏れを防げます。すでに国民年金保険料を払っていた月がある場合は、届け出をすると育児免除の期間として扱われ、払った保険料は充当または還付されます。
3つの免除を並べて比べる
ここまでの3つの制度を並べて整理します。名前が似ているので、どの制度をどこに届け出るのかを混同しないようにしてください。
| 比べる点 | 国保の産前産後免除 | 国民年金の産前産後免除 | 国民年金の育児免除 |
|---|---|---|---|
| 始まった時期 | 令和6年1月 | 平成31年4月 | 令和8年10月 |
| 対象 | 国民健康保険に入っている出産する人 | 第1号被保険者の出産する人 | 第1号被保険者の実父母・養父母 |
| 期間 | 出産予定月の前月から4か月(多胎6か月) | 出産予定月の前月から4か月(多胎6か月) | 実母は産前産後免除に続く9か月、ほかは最大12か月 |
| 免除の範囲 | 本人の所得割と均等割 | 国民年金保険料 | 国民年金保険料 |
| 将来の給付への影響 | なし(保険料の免除のみ) | 払ったものとして年金に反映 | 払ったものとして年金に反映 |
| 届け出先 | 市区町村の国民健康保険の窓口 | 市区町村の国民年金の窓口 | 市区町村の国民年金の窓口、電子申請 |
国民健康保険の窓口と国民年金の窓口は、同じ市区町村の役所の中にあっても、別の担当であることが多いです。1回の来庁で両方の手続きを済ませたい場合は、国民健康保険の届け出をしたあとに、国民年金の窓口でも産前産後免除の届け出をしたいと伝えてください。窓口によっては、同じ課で両方を受け付けていることもあります。
手続きの順番と、出産前後のスケジュール
出産の前後は、体調の変化や準備で慌ただしくなります。手続きを出産前にできるだけ済ませておくと、出産後の負担を減らせます。目安となる流れを整理します。
- 妊娠の届け出をして、母子健康手帳を受け取る
- 出産予定日の6か月前を過ぎたら、国民健康保険の産前産後免除を届け出る
- 同じ時期に、国民年金の産前産後免除を届け出る
- 出産したら、出生の届け出と子どもの国民健康保険の加入の手続きをする
- 父親が第1号被保険者なら、国民年金の育児免除を届け出る
- 産前産後免除が終わるころに、母親の育児免除の通知書が届くか確かめる。届かなければ届け出る
4つ目の、子どもの国民健康保険の加入も忘れないでください。親が国民健康保険に入っている場合、生まれた子どもも国民健康保険に入る手続きが必要です。
国民年金の保険料を口座振替やクレジットカードで前納している人は、注意が必要です。日本年金機構は、前納による振替の手続きをしている場合、産前産後期間や育児免除期間の前後で振替の方法が変わることがあるとしています。前納している人は、年金事務所に確認してください。
妊娠中に退職した、引っ越す予定がある場合
働き方や住まいが変わる時期と出産が重なることもあります。よくある2つの場面で、手続きの考え方を整理します。
妊娠中に会社を辞めて国民健康保険に入った場合
会社の健康保険から外れて国民健康保険に入った場合は、国民健康保険に入ったあとの期間について、産前産後の免除の対象になります。国民健康保険に入る手続きをするときに、同じ窓口で産前産後の免除の届け出もしておくと、手続きが1回で済みます。
同時に、国民年金も第1号被保険者に切り替わるので、国民年金の窓口で切り替えの手続きと、産前産後免除の届け出をします。配偶者が会社の健康保険に入っていて、その扶養に入る場合は、国民健康保険にも国民年金の第1号被保険者にもならないので、これらの免除の対象ではありません。扶養に入るかどうかで手続きが大きく変わるので、退職前に家族の状況を確かめておいてください。
出産の前後に引っ越す予定がある場合
国民健康保険は、住んでいる市区町村ごとに運営されています。出産の前後に別の市区町村へ引っ越す場合は、引っ越し先の市区町村で改めて国民健康保険に入る手続きが必要です。産前産後の免除の届け出も、引っ越し先の市区町村の窓口で確かめてください。
国民年金の産前産後免除は、日本年金機構の制度なので、引っ越しても免除の記録はそのまま残ります。引っ越しに伴う国民年金の手続きが必要かどうかは、転入先の市区町村の国民年金の窓口で確かめてください。
窓口で確かめておきたいこと
市区町村の窓口で届け出をするときは、次の点を一緒に確かめておくと、あとで慌てずに済みます。
- 届け出のあと、計算し直した保険料の通知がいつごろ届くか
- すでに払った保険料に還付が出る場合、いつどのように戻ってくるか
- 出産の予定日と実際の出産日がずれたときに、追加の手続きが必要か
- 子どもの国民健康保険の加入の手続きと、出産育児一時金の申請の方法
- 国民年金の産前産後免除と育児免除を、同じ日に届け出られるか
4つ目の出産育児一時金は、国民健康保険に入っている人が出産したときに支給されるお金です。支給額や申請の方法、医療機関に直接支払われる仕組みを使えるかどうかは、市区町村の案内で確かめてください。
体調がすぐれない時期は、家族に代わりに窓口へ行ってもらうこともできる場合があります。代理で届け出るときに委任状や代理人の本人確認書類が必要かどうかも、事前に問い合わせておくと無駄足を防げます。
窓口で聞いた内容は、日付と担当の部署の名前と一緒にメモしておくと、出産後に確かめたいことが出てきたときに役立ちます。電話で問い合わせる場合も同じです。
フリーランスの出産と、収入の備え
自営業者やフリーランスとして働く人にとって、出産の前後は収入が大きく減りやすい時期です。会社員なら、会社の健康保険から出産手当金が出たり、雇用保険から育児休業の給付が出たりしますが、国民健康保険には、一般に出産手当金はありません。保険料の免除は、その差を少しでも埋めるための仕組みです。
在宅ワークやフリーランスの市場を長く見てきた立場から言えば、出産や育児で仕事のペースを落としたあとも長く働き続けている人には、取引先との関係を途切れさせない工夫をしている人が多いという共通点があります。休む期間と再開の時期を事前に伝え、小さな仕事だけでも続ける形を選ぶ人もいます。「この人なら戻ってきてまた任せたい」と思ってもらえる関係が、休んだあとの仕事の戻りやすさを左右します。
仲介の手数料が乗らない直接の取引ができると、仕事量を減らしている時期でも手取りを確保しやすくなります。手数料0%の直接取引は、限られた時間で働く時期にこそ、手取りの厚さとして効いてきます。
職種ごとの収入の目安を知っておくと、出産前後の収入の計画を立てやすくなります。著述家,記者,編集者の年収・単価相場では、書く仕事や編集の仕事の年収と案件の単価を確認できます。開発の仕事をしている人は、ソフトウェア作成者の年収・単価相場で、業務委託の単価の目安を比べられます。
休む前後の取引では、契約の内容をはっきりさせておくことも大切です。フリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストでは、発注書や契約書で確かめるべき項目が整理されています。休んでいる間に報酬の支払いが滞った場合の対応は、未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】で確認できます。資格を生かして時間の融通が利く働き方を探している人には、会計士の副業ガイド|監査法人勤務でもできる高収入の稼ぎ方【2026年版】も参考になります。
国民健康保険の妊婦の免除は、出産予定日の6か月前から届け出られ、出産予定月の前月から4か月(多胎は6か月)の所得割と均等割が免除される制度です。国民年金の産前産後免除と育児免除は、それぞれ別に届け出が必要です。出産前に市区町村の窓口で3つの制度をまとめて確かめておくと、出産後の手続きの負担を減らせます。出産後に在宅で仕事を再開したい場合は、アプリケーション開発のお仕事のような職種別のガイドで、時間の融通が利く仕事の中身を確かめておいてください。
よくある質問
Q. 国保の妊婦の免除はいつから届け出られますか?
出産予定日の6か月前から届け出られます。出産後でも届け出られますが、出産後は出産予定日での届け出はできません。届け出先は住んでいる市区町村の国民健康保険の窓口で、市区町村によっては郵送やオンラインでも受け付けています。母子健康手帳と本人確認書類を用意して、早めに手続きしてください。
Q. 産前産後の期間の国保保険料は0円になりますか?
0円になるとは限りません。免除されるのは出産する本人の所得割と均等割の、産前産後の期間に当たる分だけです。市区町村によっては世帯ごとにかかる平等割などの区分があり、それや同じ世帯のほかの家族の保険料はかかります。保険料が年間の上限額に達している世帯では、免除にならないこともあります。年額を計算し直したうえで通知が届きます。
Q. 流産や死産の場合も免除の対象になりますか?
対象になります。荒川区の案内では、妊娠85日(4か月)以上の出産が対象で、死産、流産、早産、人工妊娠中絶の場合も含まれるとされています。国民年金の産前産後免除も同じく、妊娠85日以上の死産や流産が対象です。届け出の書類は市区町村や年金の窓口で確かめてください。
Q. 国保の免除を届け出れば国民年金も免除されますか?
されません。国民健康保険と国民年金の免除は、それぞれ別に届け出が必要です。国民年金の産前産後免除は、市区町村の国民年金の窓口に国民年金被保険者関係届書(申出書)を出します。令和8年10月に始まった国民年金の育児免除も別の制度で、実父や養父母、産前産後免除を届け出ていない実母は届け出が必要です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
丸山 桃子@SOHO編集部
アパレルEC運営支援・SNSコンサル
アパレル企業でMD・ECバイヤーとして勤務後、フリーランスに独立。アパレルブランドのEC運営支援・SNS運用を手がけ、ファッション・EC系の記事を執筆しています。
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