国保の加入者が出産でもらえるお金と申請の手続き 2026


この記事のポイント
- ✓国保の加入者が出産でもらえるお金は
- ✓出産育児一時金50万円
- ✓出産手当金がない国保ならではの注意点
フリーランスや自営業で国民健康保険に入っていると、出産のときに会社員と同じお金がもらえるのか、不安になります。「会社員の友人は出産手当金をもらっていたけれど、自分はどうなるのか」「申請はどこにすればいいのか」。国保出産もらえるお金と検索する人の多くは、こうした疑問を抱えているはずです。
結論から言うと、国保の加入者が出産でもらえる主なお金は、出産育児一時金(子ども1人につき原則50万円)、妊婦のための支援給付(合計10万円が基本)、そして子どもが生まれた後の児童手当です。一方で、会社員の健康保険にある「出産手当金」は、国保には原則としてありません。その代わり、国保料と国民年金保険料の免除という形で負担を軽くする制度があり、2026年10月からは国民年金の育児免除も始まりました。
この記事では、厚生労働省、こども家庭庁、日本年金機構、各自治体の公開情報をもとに、国保の加入者が出産の前後に受け取れるお金と、軽くなる負担、それぞれの申請先と期限を、時系列で整理します。これ、知らない人が本当に多いんです。
国保の加入者が出産で受け取れるお金の全体像
最初に、国保の加入者が出産の前後に関わるお金を一覧にしておきます。もらえるお金と、払う額が軽くなるものを分けて考えると整理しやすくなります。
| 種類 | 内容 | 申請先 |
|---|---|---|
| 出産育児一時金 | 子ども1人につき原則50万円 | 市区町村の国保窓口(直接支払制度なら施設経由) |
| 妊婦のための支援給付 | 5万円+妊娠しているこどもの人数×5万円 | 住民票のある市区町村 |
| 児童手当 | 3歳未満は1人あたり月額15,000円 | 現住所の市区町村 |
| 国保料の産前産後免除 | 原則4か月分の保険料を免除 | 市区町村の国保窓口 |
| 国民年金の産前産後免除 | 原則4か月分の保険料を免除 | 市区町村の国民年金窓口 |
| 国民年金の育児免除 | 子が1歳になるまでの保険料を免除 | 市区町村の国民年金窓口 |
このほか、自治体によっては独自の出産祝い金や、子どもの医療費の助成があります。内容は自治体ごとにまったく違うので、住んでいる市区町村の子育て支援のページで確認してください。
ここで押さえておきたいのは、会社員の健康保険との違いです。会社員は、出産のために仕事を休んだ期間の収入を補う「出産手当金」を受け取れますが、国保には原則としてありません。国土交通省の一人親方向けの資料でも、会社員は出産手当金や育児休業給付で収入が補われるが、一人親方は原則として所得補償がなく、出産育児一時金はどちらも受け取れると整理されています。つまり、国保の加入者は、休んでいる間の収入を自分で準備する必要がある、ということです。
出産育児一時金は原則50万円
国保の加入者が出産で受け取るお金の中心は、出産育児一時金です。厚生労働省は、制度をこう説明しています。
公的医療保険の加入者が出産したとき、お子さん1人につき原則50万円がご加入の保険者から支給される制度です。 出典: 厚生労働省「出産育児一時金等について」
支給の条件は、出産した時点で日本の公的医療保険に加入していることと、妊娠4か月(85日)以上での出産であることの2つです。この条件を満たせば、出産の方法や場所は問いません。妊娠4か月以上での死産や流産も対象になります。双子なら2人分、つまり100万円が支給されます。
「原則50万円」とあるのは、産科医療補償制度の対象にならない出産の場合は額が変わるからです。岡山市の案内によると、国保に加入している人が出産したとき50万円が支給され、産科医療補償制度の対象でない場合は48万8千円です。産科医療補償制度とは、出産時の事故で赤ちゃんが重い脳性まひになった場合に、医師の過失の有無に関係なく補償などを行う制度のことです。
出産育児一時金は、令和5年4月に、それまでの原則42万円から原則50万円に引き上げられました。厚生労働省によると、13年ぶりの引き上げです。
注意したいのは、国保に入っていても、別の保険から一時金を受け取る場合があることです。会社を辞めて国保に入った人で、以前の健康保険に1年以上続けて加入していて、退職後6か月以内に出産した場合は、以前の保険から一時金を受け取ることを選べます。厚生労働省も、退職後6か月以内に出産した人は以前加入していた保険者から支給を受けることを選択できると説明しています。2つの保険から重ねて受け取ることはできないので、独立したばかりの人は、どちらに申請するかを先に決めておきましょう。
出産育児一時金の受け取り方と申請の手続き
出産育児一時金の受け取り方には、「直接支払制度」「受取代理制度」「償還払い制度」の3つがあります。どれを使うかで、手続きと、病院の窓口で払う金額が変わります。
直接支払制度とは、出産する病院などが本人に代わって保険者に一時金の申請をし、保険者から病院に一時金が直接支払われる仕組みです。窓口で払うのは、出産費用の総額から一時金を差し引いた残りの額だけになります。厚生労働省によると、手続きは、出産前に施設との間で直接支払制度を使う意思を確認し、施設が「直接支払制度利用に係る合意文書」を作る流れです。入院のときには、保険の資格を確認します。
受取代理制度とは、本人が自分で保険者に申請し、病院が本人に代わって一時金を受け取る仕組みです。出産前に保険者から申請書を取り寄せ、施設に受取代理欄を書いてもらい、保険者に提出します。
償還払い制度とは、病院の窓口で出産費用をいったん全額払い、出産後に自分で保険者に申請して一時金を受け取る仕組みです。宮崎市の案内では、直接支払制度を使わない場合は、医療機関で出産費用をいったん全額払い、出産した日の翌日から起算して2年以内に窓口で申請するとされています。
ここで見落としやすいのが、差額の申請です。出産費用が一時金より少なかった場合、差額を受け取れますが、自動では振り込まれません。岡山市は、出産費用が一時金の額より少額だった場合は、申請をすると差額が支給され、申請を行わないと差額の支給が行われないと注意を呼びかけています。出産後に届く支給決定の通知を確認し、差額があれば忘れずに申請してください。
一時金の申請期限は、出産日の翌日から2年以内です。直接支払制度を使った場合でも、差額の申請には同じ期限があります。直接支払制度に対応していない施設で出産する場合で、出産前の支払いが難しいときは、自治体によっては出産費貸付制度を利用できることがあります。
妊娠中に受け取れる妊婦のための支援給付
妊娠中に受け取れるお金として、2025年度から法律にもとづく制度になったのが「妊婦のための支援給付」です。こども家庭庁によると、令和4年度補正予算から始まった「出産・子育て応援交付金事業」を、令和7年度から法律に基づく制度として実施しています。国保か会社員の保険かに関係なく、妊娠している人が対象です。
支給額は2回に分かれます。妊婦給付認定の後に5万円、妊娠しているこどもの人数を届け出た後に、こどもの人数×5万円です。1人を妊娠している場合は、合計で10万円になります。双子なら5万円+10万円で15万円です。流産や死産の場合も支給の対象になります。
申請の時期は2段階です。こども家庭庁の案内によると、1回目の妊婦給付認定の申請は、医療機関で妊娠が確認された後から行えます。この制度では、医療機関で胎児の心拍が確認できたことをもって「妊娠」と定義しているので、胎児心拍の確認後に、住民票のある市区町村に申請します。2回目の妊娠しているこどもの人数の届出は、出産予定日の8週間前の日から行えます。
この給付は、面談とセットで実施されるのが特徴です。市区町村の相談窓口で、保健師などが妊娠・出産の不安や困りごとの相談に応じ、利用できる制度やサービスを紹介してくれます。自治体の取り組みによっては、現金ではなくクーポンなどでの給付を選べる場合もあります。
フリーランスや自営業の人は、妊娠中も仕事の調整に追われ、自治体の窓口に行く時間を後回しにしがちです。この給付は自分から申請しなければ受け取れないので、妊娠が確認されたら、母子健康手帳の交付とあわせて市区町村に問い合わせておきましょう。
出産費用はいくらかかり、一時金でどこまでまかなえるか
もらえるお金を数える前に、出ていくお金の見通しも立てておきましょう。厚生労働省の資料によると、室料差額、産科医療補償制度の掛金、その他のサービス費用を除いた平均出産費用は、2024年度で52.0万円です。出産育児一時金の50万円を、平均でも上回っていることになります。
実際に請求される金額は、個室を希望したときの差額、夜間や休日の出産の加算、入院日数、無痛分娩など希望して選ぶサービスの有無、地域や施設の種類によって変わります。平均額にはこうした費用の一部が含まれていないため、一時金を差し引いた後に数万円から十数万円の自己負担が出ることがあります。
費用の見通しを立てるには、出産する施設に、標準的な費用と追加でかかる費用の内訳を事前に聞いておくのが確実です。厚生労働省の「出産なび」では、全国の出産施設ごとのサービス内容と出産費用の情報を調べることができます。前々年度に直接支払制度の請求が21件以上あった施設は、直接支払制度を利用する場合、出産なびで費用などの情報を公表することとされています。
出産費用の自己負担と、妊婦のための支援給付の10万円を並べてみると、出産そのものにかかる持ち出しの目安が見えてきます。そのうえで、休む期間の生活費をどう準備するかを考えるのが、国保の加入者にとっての出産のお金の準備の順番です。
国保には原則として出産手当金がない
会社員の健康保険と国保のいちばん大きな違いが、出産手当金の有無です。出産手当金とは、出産のために仕事を休み、その間に給与が支払われなかった場合に、収入を補うために健康保険から支給されるお金のことです。
全国健康保険協会(協会けんぽ)によると、出産手当金は、出産の日(実際の出産が予定日より後のときは出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から、出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間を対象に支給されます。1日あたりの支給額は、直近の標準報酬月額の平均を30で割った額の3分の2です。協会けんぽの例では、標準報酬月額の平均が17万円の人なら1日あたり3,780円になります。
国民健康保険には、この出産手当金が原則としてありません。国民健康保険法第58条は、市町村と組合が出産育児一時金の支給を行うと定める一方で、それ以外の給付については、条例や規約の定めるところにより「傷病手当金の支給その他の保険給付を行うことができる」としています。つまり、出産手当金のような給付は、行うかどうかを保険者が決める任意の給付という位置づけです。国土交通省の資料でも、国民健康保険の所得補償は「なし」とされ、建設業の国民健康保険組合(建設国保)では組合によって出産手当金が受け取れる場合があると紹介されています。
つまり、国保に入っているフリーランスや自営業の人は、出産の前後に仕事を休む期間の生活費を、自分で準備しておく必要があるということです。仮に産前6週間と産後8週間の約3か月半を休むとすれば、その間の売上はなくなるか大きく減ります。一方で、家賃や通信費、事業の固定費は止まりません。
相談の現場で実際にあった例を紹介します。あるデザイナーさんは、出産直前まで仕事を受け、産後1か月で復帰するつもりでした。ところが、産後の体調が思うように戻らず、復帰が2か月遅れました。その間の売上がなく、事業用の口座の残高が尽きかけて、取引先に支払いの前倒しをお願いすることになったそうです。出産の時期は予定どおりにいかないことを前提に、半年程度の生活費を目安に準備しておくと安心です。
国保料の産前産後期間の免除
国保には出産手当金がない代わりに、保険料の負担を軽くする制度があります。その1つが、国民健康保険料の産前産後期間の免除です。
東京都荒川区の案内によると、この制度は子育て世帯の負担軽減と次世代育成支援のため、令和6年1月から始まりました。国保に加入していて、出産予定または出産した人が対象で、妊娠85日(4か月)以上の出産であれば、死産、流産、早産なども含まれます。
免除される期間は、単胎の場合、出産予定月(または出産月)とその前1か月、後ろ2か月の計4か月です。多胎の場合は、出産予定月とその前3か月、後ろ2か月の計6か月になります。免除の対象になるのは、出産する本人の保険料のうち、産前産後期間に相当する部分です。
届出は、出産予定日の6か月前からできます。出産後の届出もできます。荒川区の場合、届出書、母子健康手帳など、顔写真付きの本人確認書類が必要で、オンラインでの申請にも対応しています。届出がなくても出産の事実が確認できれば職権で免除することがあるものの、確認できない場合は免除されないため、忘れずに届け出るよう案内されています。
注意点もあります。荒川区は、産前産後期間の保険料が必ずしも0円になるとは限らず、保険料が賦課限度額に達している場合は免除にならないことがあると説明しています。賦課限度額とは、国保料の年間の上限額のことです。また、免除された結果払い過ぎになった保険料は、原則として還付されます。
手続きの方法や必要書類は自治体によって違うので、住んでいる市区町村の国保の窓口やサイトで確認してください。
国民年金保険料の産前産後免除と、2026年10月に始まった育児免除
国保に入っているフリーランスや自営業の人は、多くの場合、国民年金の第1号被保険者でもあります。第1号被保険者とは、自営業者、フリーランス、学生など、自分で国民年金保険料を納める人の区分のことです。国民年金保険料は、令和8年度で1か月あたり17,920円です。この保険料にも、出産と育児にあわせた免除の制度があります。
1つ目は、産前産後期間の免除です。日本年金機構によると、出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間の国民年金保険料が免除されます。多胎妊娠の場合は、出産予定月の3か月前から6か月間です。平成31年4月から始まった制度で、出産予定日の6か月前から届け出ることができ、出産後の届出もできます。届出先は、住民登録をしている市区町村の国民年金担当窓口で、郵送や電子申請でも手続きができます。
2つ目は、2026年10月に新しく始まった育児免除制度です。日本年金機構によると、子を養育する国民年金の第1号被保険者について、その子が1歳になるまでの期間の国民年金保険料が免除されます。所得要件はなく、子と親子関係があり、同じ住所に住んでいることが条件です。
免除される期間は、産前産後免除を受けた実母の場合、産前産後免除の期間に続く9か月間です。実父や養父母の場合は、子を養育することになった日の属する月から、1歳になる誕生日の前月までの最大12か月間です。夫婦がともに第1号被保険者であれば、夫婦それぞれが対象になります。たとえば、令和9年5月1日に出産した場合、実母は令和9年8月から令和10年4月までの9か月間、実父は令和9年5月から令和10年4月までの12か月間が育児免除の期間になると日本年金機構は例示しています。
どちらの免除も、免除された期間は保険料を納めたものとして老齢基礎年金の額に反映されます。育児免除は、すでに保険料を納めている期間や、ほかの免除・納付猶予が承認されている期間についても、届け出ることで育児免除の期間として扱われ、納めた保険料は充当または還付されます。払わなくてよいのに、将来の年金は減らないということです。産前産後免除と育児免除をあわせると、実母は単胎の場合で最大13か月分の国民年金保険料、金額にして20万円を超える負担が軽くなります。
妊娠から出産後までの手続きを時系列で整理する
もらえるお金と軽くなる負担は、それぞれ申請の時期が違います。窓口もばらばらなので、時系列に並べておくと漏れを防げます。
- 妊娠が分かったら:市区町村で妊娠の届出をして母子健康手帳を受け取る。胎児心拍の確認後に、妊婦のための支援給付の1回目(妊婦給付認定)を申請する
- 出産予定日の6か月前から:国保料の産前産後免除と、国民年金保険料の産前産後免除を届け出る(出産後の届出もできるが、早めが安心)
- 出産する施設が決まったら:直接支払制度か受取代理制度に対応しているかを確認し、出産費用の見込みを聞く。直接支払制度なら施設と合意文書を交わす
- 出産予定日の8週間前から:妊婦のための支援給付の2回目(妊娠しているこどもの人数の届出)を行う
- 出産後すぐ:出生届を出し、出生日の翌日から15日以内に児童手当を申請する。子どもの国保への加入と、医療費助成の手続きも済ませる
- 出産後:国民年金の育児免除を届け出る。出産育児一時金の差額がある場合や、償還払いの場合は一時金を申請する(期限は出産日の翌日から2年以内)
- 翌年の確定申告:医療費控除を受けられるかを確認する
このうち、出産後すぐの手続きは期限が短いので注意が必要です。とくに児童手当は、申請が遅れると遅れた月分を受け取れません。出生届と同じ日に済ませるつもりで、必要なものを確認しておきましょう。
窓口は、妊婦のための支援給付と児童手当が子育て支援の担当、国保料の免除と出産育児一時金が国保の担当、国民年金の免除が国民年金の担当と、同じ市区町村の中でも分かれていることがあります。1回の来庁でまとめて済ませたいときは、事前に電話で、どの窓口で何が必要かを確認しておくと効率よく回れます。夫婦のどちらが世帯主か、どちらが手続きに行くかによっても必要な書類が変わるので、その点もあわせて確認してください。
子どもが生まれた後の児童手当
子どもが生まれた後に受け取れるお金の中心は、児童手当です。こども家庭庁によると、児童手当は、0歳から18歳に達する日以後の最初の3月31日まで、つまり高校生年代までの子どもを養育している人に支給されます。
支給額は、子ども1人あたりの月額で、3歳未満が15,000円、3歳以上高校生年代までが10,000円です。第3子以降は、年齢に関係なく30,000円になります。第3子以降の数え方は、子どもとその兄姉などのうち、年齢が上の子から数えて3人目以降の子です。支給は、2月、4月、6月、8月、10月、12月の偶数月に、それぞれの前月分までの2か月分がまとめて振り込まれます。
ここで大切なのが、申請の期限です。児童手当は、市区町村の認定を受けると、原則として申請した月の翌月分から支給されます。こども家庭庁は、子どもが生まれたときは、出生の日の翌日から15日以内に現住所の市区町村に申請するよう案内しています。出生日が月末に近い場合でも、出生日の翌日から15日以内であれば、申請が翌月になっても申請月分から支給される扱いがあります。申請が遅れると、遅れた月分の手当を受けられなくなります。
里帰り出産で一時的に住所を離れている場合も、申請先は現住所の市区町村です。出生届を出すときに、あわせて児童手当の申請も済ませておくと漏れがありません。子どもの国保への加入手続きも、同じタイミングで行いましょう。
受給が始まった後の手続きも確認しておきます。こども家庭庁によると、以前は毎年6月分以降の児童手当を受けるために現況届の提出が必要でしたが、令和4年6月分以降は原則として提出が不要になりました。ただし、市区町村の判断で引き続き現況届の提出を求めることもできるとされ、一定の事情がある人は引き続き提出が必要です。住所や口座、家族の状況が変わったときは届出が必要になるので、市区町村から届く通知には目を通しておきましょう。
子どもの国保料と医療費の負担を軽くする仕組み
子どもが生まれると、その子も国民健康保険に加入します。国保の保険料には、所得に関係なく加入者1人ごとにかかる「均等割」という部分があり、家族が増えるとその分の保険料がかかります。
これに対して、国保には子どもの均等割を軽くする仕組みがあります。現在は、未就学児に係る均等割保険料を5割軽減する措置があり、2026年5月に成立した健康保険法等の改正で、この対象を未就学児から高校生年代まで広げることが決まりました。法律案の概要によると、この部分の施行は令和9年4月1日です。子育て世帯の国保料の負担が軽くなる方向の見直しです。
医療費の面では、子どもの医療費の自己負担を助成する制度を設けている自治体があります。対象の年齢や所得の条件、窓口での負担の有無は自治体によって大きく違います。子どもの国保の手続きをするときに、医療費の助成の手続きが必要かどうかも窓口で確認しておきましょう。
出産そのものにかかる医療費にも、支えがあります。帝王切開など、出産に保険診療が伴った場合は、1か月の医療費の自己負担に上限を設ける高額療養費の対象になります。入院が予定されている場合は、事前に国保の窓口に相談しておくと、窓口での支払いを自己負担の上限までに抑える方法を案内してもらえます。
確定申告で受けられる医療費控除
国保に入っているフリーランスや自営業の人は、自分で確定申告をします。出産の年は医療費が多くなりやすいので、医療費控除も確認しておきましょう。医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定の額を超えたときに、所得から差し引ける仕組みのことです。
国税庁のタックスアンサーによると、妊娠と診断されてからの定期検診や検査の費用、通院費用は医療費控除の対象になります。出産で入院するときに、通常の交通手段では難しくタクシーを使った場合のタクシー代や、病院に支払う入院中の食事代も、一般的には対象です。一方で、寝巻きや洗面具などの身の回り品の購入費や、実家で出産するために帰省する交通費は対象になりません。
計算するときの注意点は、出産育児一時金を医療費から差し引くことです。国税庁は、出産育児一時金などが支給された場合は、その金額を医療費控除の計算で医療費から差し引かなければならないとしています。なお、会社員の出産手当金は医療費を補う性格のものではないので差し引く必要はないとされていますが、国保の加入者は通常、出産手当金を受け取らないので、この点を気にする場面は少ないはずです。
※医療費控除を受けられるかどうかは、その年の医療費の合計や所得によって変わります。判断に迷うときは、税務署や税理士に確認してください。
2026年の法改正で出産費用の負担はどう変わるか
出産費用をめぐっては、2026年に大きな制度改正が決まっています。厚生労働省によると、「健康保険法等の一部を改正する法律案」が令和8年5月29日に成立しました。この改正には、出産に係る給付体系の見直しが含まれています。
厚生労働省の資料によると、新しい仕組みでは、出産の標準的な費用(手術などが必要になった場合の追加負担や、希望して選ぶサービスを除く)に自己負担がかからないようにするとされています。標準的な費用は医療保険から施設に支払われ、手術などが必要になった場合の追加費用や入院準備に必要な費用には、出産したすべての人に定額の現金給付を支給するとしています。新しい仕組みには、準備の整った施設から順次移行するとされています。
背景には、出産費用の上昇があります。厚生労働省の資料によると、室料差額などを除いた平均出産費用は、2012年度の41.7万円から、2024年度には52.0万円まで上がっています。一時金が50万円に引き上げられても、平均の出産費用がそれを上回る状況になっているのです。
施行の時期は、法律案の概要によると、この部分は公布後2年以内に政令で定める日とされています。2026年10月の時点では、国保の加入者が出産したときは、これまでどおり出産育児一時金(原則50万円)を受け取る仕組みです。出産の予定時期によってどちらの仕組みになるかが変わる可能性があるので、出産する施設と市区町村の窓口で、最新の案内を確認してください。
運営者として見てきた、出産前後の働き方の備え
フリーランスや在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から言えば、出産の時期に困る人の多くは、制度を知らなかったことよりも、休む期間の収入の見通しを立てていなかったことで苦労しています。会社員と違って出産手当金がない以上、休む期間の生活費は、貯蓄か、出産前後にも続けられる仕事のどちらかで支えることになります。
出産を機に、時間や場所の融通が利く仕事へ比重を移す人も少なくありません。文章を書く仕事や編集の仕事は、その代表的な選択肢です。報酬の水準は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で年収と単価の相場を確認できます。また、取引先とのやり取りや見積書、請求書を正確に作れることは、在宅で仕事を続けるうえでの土台になります。文書作成の基本を学ぶなら、ビジネス文書検定の試験の内容と学び方が参考になります。
出産の前に取引先と納期や連絡方法を決め直すときは、条件を書面に残しておくことが大切です。体調の変化で納期を動かす可能性があるなら、なおさらです。発注書や契約書に入れておきたい項目は、フリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストで一覧にしています。
中間に業者が入らない直接の取引は、同じ仕事量でも手元に残る金額が厚くなりやすく、働ける時間が限られる出産前後ほど、その差が生活の余裕につながります。もらえるお金を漏れなく申請し、軽くなる負担を確実に届け出て、休む期間の収入の見通しを立てる。この3つを妊娠中に済ませておけば、出産後の慌ただしい時期を落ち着いて過ごせます。法律と制度はあなたの味方です。使える仕組みは、遠慮せずに使ってください。
よくある質問
Q. 国保の加入者でも出産育児一時金はもらえますか?
もらえます。出産した時点で国民健康保険を含む公的医療保険に加入していて、妊娠4か月(85日)以上での出産であれば、子ども1人につき原則50万円が支給されます。産科医療補償制度の対象外の出産では48万8千円です。直接支払制度を使えば、病院の窓口で払うのは出産費用から一時金を差し引いた額だけになります。申請期限は出産日の翌日から2年以内です。
Q. 国保には出産手当金はありますか?
国民健康保険には、会社員の健康保険にある出産手当金が原則としてありません。建設業の国民健康保険組合など、一部の組合では出産手当金が受け取れる場合があります。その代わり、国保料の産前産後期間の免除や、国民年金保険料の産前産後免除、2026年10月に始まった育児免除で、保険料の負担を軽くする制度があります。
Q. 妊婦のための支援給付はいくらもらえて、いつ申請しますか?
妊婦給付認定の後に5万円、妊娠しているこどもの人数を届け出た後にこどもの人数×5万円が支給され、1人なら合計10万円です。1回目は医療機関で胎児心拍が確認された後から、2回目は出産予定日の8週間前の日から申請できます。申請先は住民票のある市区町村で、保険の種類に関係なく受け取れます。
Q. 国民年金の育児免除は誰が対象になりますか?
令和8年10月1日以降、1歳になるまでの子を養育する国民年金第1号被保険者の実父母・養父母が対象です。所得要件はなく、子と親子関係があり同じ住所に住んでいることが条件です。実母は産前産後免除に続く9か月間、実父などは最大12か月間の保険料が免除され、免除期間は納付したものとして年金額に反映されます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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