複数の案件を同時に進めるタスク管理|優先順位の付け方


この記事のポイント
- ✓複数案件のタスク管理を
- ✓緊急度と重要度での優先順位の付け方
- ✓1週間と1日の計画への落とし込み
複数の案件を同時に抱えると、どれから手を付ければよいか分からなくなり、気づけば締切の近いものから慌てて片付ける毎日になりがちです。複数案件のタスク管理でいちばん効くのは、新しい道具を探すことより、すべての作業を1か所に書き出し、決まった基準で順番を付け、1週間の時間の枠に割り振ることです。この記事では、作業の書き出し方、緊急度と重要度による優先順位の付け方、1日の計画への落とし込み方、締切が重なったときの連絡のしかた、案件の受け方の見直しまでを順に説明します。1人なら紙やスプレッドシートで十分に回せますが、複数人で担当と期限と進み具合を共有したくなったときのために、国産のプロジェクト管理の Pinateca を使う方法にも触れます。
複数の案件を同時に進めるときに起きやすいこと
複数の案件を並行して進めていると、どの人にも似たようなつまずきが起きます。代表的なのは次の4つです。
- やるべき作業が頭の中やメール、チャットに散らばり、抜け漏れが出る
- 目の前の小さな依頼に追われ、期限の遠い大きな作業が後回しになる
- 案件を切り替えるたびに、どこまで進んだかを思い出すのに時間がかかる
- 締切が同じ週に重なり、どれかが遅れる
このうち3つ目の「切り替えの負担」は、見落とされやすい落とし穴です。人は同時に2つのことに集中しているつもりでも、実際には作業の間を行き来しているだけだと言われます。
私たちは一度にひとつのことしか集中できない。複数の作業を同時にこなしていると思っていても、実際にやっていることは、作業の間を行ったり来たりしているだけなのだ。2つの作業の間で集中の対象をパッパッと変えているだけというのが現実だ。(中略)脳には切り替え時間が必要で、集中する先を切り替えた後、再び元の作業に100%集中できるまでには何分も時間がかかるという。(引用:『スマホ脳』アンデュ・ハンセン より) 出典: giginc.co.jp
複数案件のタスク管理とは、言いかえると、この切り替えの回数を減らし、切り替えたときに「次に何をするか」がすぐ分かる状態を作ることです。1日に5つの案件を少しずつ触るより、午前は案件A、午後は案件Bと時間の塊で分けたほうが、同じ時間でも進む量が大きくなります。
もう1つ大事なのは、「忙しい」と「進んでいない」を分けて考えることです。メールの返信や細かな修正依頼に追われていると、1日中働いた手応えがあるのに、肝心の納品物はほとんど進んでいないということが起こります。タスク管理の目的は、作業の量を減らすことではなく、限られた時間を、成果につながる作業に確実に振り向けることにあります。
案件を同時に抱える働き方が増えている背景
会社員の副業でも、独立したフリーランスでも、1つの取引先だけと仕事をするより、複数の案件を並行して受ける働き方が一般的になっています。1社に頼っていると、その取引が終わったときに収入が途切れるため、複数の取引先を持つことは収入を安定させる手段でもあります。
こうした働き方を支える制度も整ってきました。2024年11月1日には、フリーランス・事業者間取引適正化等法が施行されています。厚生労働省の案内によると、この法律は、個人で働くフリーランスに仕事を頼む発注事業者に対して、取引条件をはっきり示すこと、納品を受けた日から原則60日以内に報酬を払うこと、ハラスメントへの対策をとることなどを求めています。取引条件を書面やメールで示すことが義務になったことで、受ける側も、案件ごとの納期や範囲を記録として残しやすくなりました。
在宅で仕事を受ける人の働き方については、厚生労働省が「自営型テレワークの適正な実施のためのガイドライン」を示しています。この中では、注文する側が納期を決めるときの考え方として、次のように書かれています。
成果物の納期(役務の提供である場合は、役務が提供される期日又は期間)については、自営型テレワーカーの作業時間が長時間に及び健康を害することがないように設定すること。その際には、通常の労働者の 1 日の所定労働時間の上限(8 時間)を作業時間の上限の目安とすること。 出典: 厚生労働省「自営型テレワークの適正な実施のためのガイドライン」
このガイドラインは発注する側に向けたものですが、受ける側にとっても目安になります。複数の案件を合計して、1日に何時間働く計算になるのかを把握していないと、気づかないうちに長時間の作業が続きます。案件の数が増えるほど、作業時間を見積もり、1日の上限を自分で決めることが大切になります。
まず全部を1か所に書き出す
優先順位を付ける前に、抱えている作業をすべて1か所に書き出します。頭の中だけで管理していると、思い出したものから手を付けることになり、抜け漏れが起きます。書き出す場所は、ノート、付箋、スプレッドシート、アプリのどれでも構いません。大事なのは「ここを見ればすべてある」という場所を1つに決めることです。
書き出す項目
1つの作業につき、次の項目を書きます。
| 項目 | 書く内容の例 |
|---|---|
| 案件名 | 取引先と案件が分かる短い名前 |
| 作業 | 「トップページの文章を書く」のように、動詞で終わる1つの作業 |
| 期限 | 取引先と約束した日。自分で決めた目標日とは分けて書く |
| 見積もり時間 | その作業にかかりそうな時間 |
| 状態 | 未着手、作業中、確認待ち、完了 |
| 次の一手 | 再開したときに最初にやること |
「作業」は、30分から2時間ほどで終わる大きさに分けるのが目安です。「サイトを作る」のように大きなままだと、どこまで進んだか分からず、手を付けるのも重く感じます。「素材を受け取る」「構成案を作る」「1ページ目を作る」のように、終わったかどうかが判断できる大きさまで分けます。
相手待ちの作業も書く
複数案件で特に忘れやすいのが、「取引先からの返事を待っている」作業です。素材の到着待ち、確認待ち、請求書の入金待ちなど、自分の手を離れているものも、状態を「確認待ち」にして書き出しておきます。返事が来ないまま期限が近づいたときに、催促の連絡を入れるきっかけになります。
案件ごとの約束ごとも残す
案件ごとに、納品の形式、連絡の手段、修正の回数、請求のタイミングなど、約束ごとが違います。作業の一覧とは別に、案件ごとのメモに約束ごとを残しておくと、切り替えたときに思い出す手間が減ります。
優先順位の付け方
書き出した作業に順番を付けます。順番の付け方はいくつもありますが、複数案件では次の3つの基準を組み合わせると迷いにくくなります。
緊急度と重要度で4つに分ける
まず、作業を「緊急かどうか」と「重要かどうか」の2つの軸で4つに分けます。
| 区分 | 例 | 扱い |
|---|---|---|
| 緊急で重要 | 明日が納期の納品物、障害の対応 | 最優先で今日やる |
| 緊急ではないが重要 | 来月納期の大きな作業、見積もり、学習 | 時間の枠を先に確保する |
| 緊急だが重要ではない | 急ぎの細かな問い合わせ、日程の調整 | まとめて短時間で処理する |
| 緊急でも重要でもない | 目的のない調べもの | 一覧から外すか後回しにする |
複数案件で差がつくのは、2つ目の「緊急ではないが重要」な作業です。ここを放っておくと、やがて全部が「緊急で重要」に変わり、締切が重なる原因になります。期限の遠い大きな作業ほど、早いうちに時間の枠を確保しておくことが、結果的にいちばんの近道です。
締切から逆算する
次に、期限のある作業は、締切から逆算して「いつまでに何を終えるか」を決めます。納品日の前日を完成日にし、その前に確認の時間、さらにその前に作業の時間を並べます。取引先の確認に3日かかるなら、自分の締切は納品日の3日前です。取引先と約束した期限と、自分の目標日を分けて書いておくと、余裕のなさに早く気づけます。
前後の関係を見る
ほかの作業の前提になっている作業は、順番を上げます。たとえば、取引先に質問を送らないと進まない作業があるなら、質問を送る作業を最初にやります。自分が止めている作業を先に片付けると、相手の作業も進み、全体の待ち時間が減ります。
金額で順番を決めない
報酬が高い案件を優先したくなる気持ちは自然ですが、順番は期限と影響の大きさで決めるのが基本です。報酬の少ない案件でも、遅れれば信頼を失い、次の依頼につながらなくなります。どの案件も約束を守ることが、結果として次の仕事を呼びます。
それでも迷うときの決め方
基準を当てはめても順番が決まらないときは、「この作業を今日やらなかったら、誰が困るか」を考えます。取引先の次の作業が止まるもの、自分の別の作業が止まるもの、誰も困らないもの、の順に並べると、自然に順番が決まります。また、同じくらいの優先度の作業が並んだときは、短時間で終わるものを先に片付けると、一覧の数が減って全体を見渡しやすくなります。ただし、短い作業ばかりを選び続けると大きな作業が残るので、1日のうち最初のまとまった時間は、大きな作業に充てると決めておきます。
1週間と1日の計画に落とし込む
順番が決まったら、実際の時間の枠に割り振ります。ここで計画が現実とずれると、優先順位を付けても結局は締切に追われることになります。
1週間の枠を先に決める
週の初めに、その週に使える作業時間を数えます。打ち合わせや家の用事を除いて、たとえば平日に1日6時間なら、週で30時間です。そこに、案件ごとの見積もり時間を割り振ります。合計が使える時間を超えるなら、その週のうちに終わらない作業を決め、早めに取引先と相談します。見積もりはずれるものなので、使える時間の2割ほどは予定を入れずに残しておくと、急な修正にも対応できます。
案件ごとに時間の塊を作る
1日の中では、案件ごとに時間の塊を作ります。「月曜と水曜の午前は案件A」「火曜の午後は案件B」のように決めておくと、切り替えの回数が減ります。メールやチャットの返信は、1日に2回から3回、時間を決めてまとめて処理すると、作業の途中で集中が途切れにくくなります。
1日の終わりに「次の一手」を書く
その日の作業を終えるときに、各案件の「次の一手」を一覧に書きます。翌日にその案件を開いたとき、最初にやることが書いてあれば、思い出す時間がかからずにすぐ作業に入れます。複数案件の管理で最も手軽で効果の大きい習慣です。
週の終わりに振り返る
週の最後に15分ほど時間をとり、見積もりと実際にかかった時間を比べます。毎回、見積もりの1.5倍かかっているなら、次からの見積もりを1.5倍にします。この振り返りを続けると、見積もりの精度が上がり、受けられる案件の量を判断しやすくなります。
紙やスプレッドシートで管理する方法
1人で数件の案件を回すなら、専用のアプリを使わなくても、紙やスプレッドシートで十分に管理できます。道具より、毎日同じ場所を見る習慣のほうが大切です。
紙のノートと付箋
紙なら、見開きの左に案件ごとの作業の一覧、右にその週の時間の枠を書きます。付箋に作業を1つずつ書き、「未着手」「作業中」「確認待ち」「完了」の4つの欄に貼って動かす方法もあります。手で動かす手応えがあり、机の前の壁に貼っておけば、いつでも全体が目に入ります。弱点は、外出先から見られないことと、案件が増えると貼る場所が足りなくなることです。
スプレッドシート
ExcelやGoogleスプレッドシートなら、前の節の「書き出す項目」をそのまま列にした表を作ります。期限の列で並べ替えれば、近い順に並びます。状態の列にフィルタを付ければ、「確認待ち」だけを抜き出して催促の連絡を入れる、といった使い方もできます。条件付き書式で、期限が3日以内のものに色を付けておくと、見落としが減ります。
スプレッドシートは自由に列を作れる一方で、作業ごとのやり取りや添付ファイルを残す場所がなく、複数人で同時に編集すると、誰がどこを変えたか分かりにくくなります。1人で使う分には問題になりにくいですが、外注先や仲間と分担し始めると、限界が見えてきます。
カレンダーと組み合わせる
作業の一覧とは別に、時間の枠はカレンダーで管理すると分かりやすくなります。打ち合わせなどの予定だけでなく、「案件Aの作業」という時間の塊もカレンダーに入れておくと、空いているように見えて実は作業の時間だった、という予定の重なりを防げます。
作業の一部を人に任せるときの分け方
案件の数が自分1人の時間を超えるようになったら、作業の一部を外注先や仲間に任せることも選択肢になります。ただし、任せ方を誤ると、説明や確認に時間を取られ、自分でやるより手間がかかることもあります。任せる前に、どの作業をどう切り出すかを決めておきます。
任せやすい作業を選ぶ
任せやすいのは、手順がはっきりしていて、終わったかどうかを判断しやすい作業です。たとえば、素材の整理、決まった形式への入力、文字起こし、画像の書き出し、資料の下調べなどです。反対に、取引先との調整や、全体の方向を決める作業は、任せると行き違いが起きやすいので、自分の手元に残します。
任せるときに伝える5つのこと
作業を任せるときは、次の5つを最初に書いて渡します。
- 目的:何のための作業か
- 範囲:どこからどこまでをやってもらうか
- 期限:いつまでに渡してほしいか
- 形式:どの形で渡してほしいか(ファイルの形式、置き場所、ファイル名の付け方)
- 確認の窓口:分からないことがあったときに誰に聞けばよいか
この5つがそろっていると、任された側は迷わずに作業に入れます。口頭だけで伝えると、あとで「聞いていない」という行き違いが起きやすいので、文章で残しておきます。
自分の作業の一覧にも残す
任せた作業は、自分の手を離れても、作業の一覧から消さずに、担当者の名前と期限を付けて残しておきます。状態を「依頼中」にしておけば、期限が近づいたときに確認の連絡を入れられます。任せた作業が遅れると、自分の納期にも影響するため、自分の作業と同じように見守る必要があります。担当者が2人、3人と増えると、誰が何を持っているかを1人用の一覧で追うのは難しくなります。
複数人で担当と期限を共有したいとき
案件の数が増え、外注先や仲間と作業を分担するようになると、1人用の一覧では回らなくなります。誰がどの作業を持っているか、いつまでに終わるか、いまどこまで進んでいるかを、関わる人全員が同じ画面で見られる必要が出てきます。こうした段階で役立つのが、カードで作業を管理するプロジェクト管理の道具です。
無料から試せる選択肢の1つが、国産のプロジェクト管理の Pinateca です。Pinatecaの公式の案内によると、カンバン、ガントチャート、カレンダー、リスト、縦横2軸のマトリクスに自由に並べられるグリッド、人やチームごとの負荷の偏りを見るリソースなど、8種類のボードが最初からすべて使えます。カードには見積もりの工数、優先度、顧客名といった項目を自由に追加でき、部署や案件ごとにワークスペースを分けて、メンバーと見える範囲を区切れます。自分宛てのメンション、担当の割り当て、締切は受信箱に集まり、社外のゲストの招待にも対応しています。5人まで無料で、クレジットカードの登録も要りません。人数の上限がない有料のスタンダードプランは、1人あたり月額500円(税抜、年払いなら月額400円)です。Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
この記事で説明した方法に当てはめると、次のような使い方になります。
- 案件ごとにボードを作り、作業を1枚ずつカードにする
- カンバンの列を「未着手」「作業中」「確認待ち」「完了」にして、カードを動かす
- グリッドのボードで、緊急度と重要度の2軸に作業を並べる
- ガントチャートで、案件をまたいだ締切の重なりを確かめる
- リソースのボードで、特定の人に作業が偏っていないかを見る
1人で数件を回している段階なら、紙やスプレッドシートのほうが手早いこともあります。共有する相手ができたとき、締切の重なりを目で確かめたくなったときが、道具を切り替える目安です。
案件ごとの資料と連絡を探さずに済む整理のしかた
複数の案件を切り替えるたびに時間を取られる原因の1つが、資料ややり取りを探す手間です。「あの素材はどのメールに付いていたか」「先週の打ち合わせで決まった修正はどこに書いたか」を探しているうちに、作業に入る前に30分が過ぎてしまうことがあります。作業の一覧と同じくらい、資料と連絡の置き場所を決めておくことが、切り替えの負担を減らします。
フォルダの名前をそろえる
パソコンの中では、案件ごとに1つのフォルダを作り、その下を「受領した素材」「作業中」「納品物」「請求と契約」のように同じ構成でそろえます。フォルダ名の頭に取引先名、続けて案件名と開始した年月を付けておくと、名前で並べたときに取引先ごとにまとまります。どの案件でも同じ構成にしておけば、案件を切り替えても、目的のファイルがどこにあるかを考えずに済みます。
ファイル名に日付と版を入れる
納品物のファイル名には、日付と版の番号を入れます。「提案書_最終」「提案書_最終2」のような名前は、どれが最新か分からなくなる原因です。「提案書_20261103_v2」のように、日付と版を決まった形で付けると、並べたときに新しい順が分かり、取引先とのやり取りでも「v2の3ページ目」と正確に指し示せます。
連絡の窓口を案件ごとに決める
取引先によって、メール、チャット、プロジェクト管理の道具など、連絡の手段が違います。案件ごとに「この案件の連絡はここ」と決め、案件ごとのメモに書いておきます。メールなら、取引先ごとにラベルやフォルダを作り、届いたら振り分けるようにします。決まったことは、やり取りの中に埋もれさせず、作業の一覧の該当する作業の欄に書き写しておくと、あとで探さずに済みます。
進み具合を取引先に伝える習慣
複数の案件を並行していると、取引先からは「いまどこまで進んでいるのか」が見えにくくなります。問い合わせが来てから答えるのではなく、こちらから定期的に進み具合を伝えると、取引先の不安が減り、急な確認の連絡に作業を中断される回数も減ります。
報告の頻度を最初に決める
案件を受けるときに、「毎週金曜に進み具合をお送りします」のように、報告の頻度を決めておきます。期間の短い案件なら、作業の区切りごとでも構いません。決めた頻度を守ることで、取引先は報告を待てばよいと分かり、途中で何度も確認されることがなくなります。
報告に書く3つのこと
報告は長くなくて構いません。次の3つを書けば十分です。
- 終わったこと:前回の報告から終わった作業
- 次にやること:次の報告までに進める作業
- 相談したいこと:確認が必要な点、判断を仰ぎたい点
例文を示します。「〇〇様 今週の進み具合をお送りします。終わったこと:トップページと会社案内のページの構成案を作成しました。次にやること:来週は、構成案に沿ってトップページの文章を作成します。相談したいこと:会社案内のページに載せる沿革の資料をいただけますでしょうか。来週水曜までにいただけると、予定どおり進められます。」
遅れの兆しも報告に書く
報告の中で、遅れそうな兆しを早めに伝えておくと、本当に遅れそうになったときの相談がしやすくなります。「素材の到着が予定より遅れているため、来週の作業は文章から先に進めます」のように、状況と対応をあわせて書くと、取引先も安心できます。
無理なく続けるための作業時間の上限
複数の案件を抱えると、終わらない作業を夜や休日に持ち越すことが増えます。短い期間なら乗り切れても、それが続くと集中力が落ち、作業の質が下がり、かえって遅れを生みます。前に触れたガイドラインでも、1日8時間が作業時間の上限の目安として示されていました。自分で働く時間を決める立場だからこそ、上限も自分で決めておく必要があります。
1日の終わりの時刻を決める
作業を始める時刻だけでなく、終える時刻も決めます。終わりの時刻が決まっていると、その時刻までに何を終えるかを逆算して考えるようになり、1日の計画が現実的になります。終わらなかった作業は、次の一手を書いて翌日に回します。
休みの日を先に決める
週に1日は、案件の作業をしない日を先に決め、カレンダーに入れておきます。休みの日を先に確保しておけば、その前提で週の作業時間を数えることになり、受ける案件の量も自然に調整されます。急ぎの連絡にだけ対応する日、のように決めておくのも1つの方法です。
作業時間を記録する
案件ごとに、実際にかかった時間を記録しておくと、自分の働き方を客観的に見られます。記録はスプレッドシートに1行ずつ書くだけでも十分です。週の合計が予定より大きく超えている状態が続くなら、案件の量か見積もりのどちらかを見直す時期です。作業時間の記録は、時間で報酬を決める案件の請求の根拠にもなります。
締切が重なったときの調整と連絡
どれだけ計画しても、急な修正や体調の不良で、締切が重なることはあります。大事なのは、重なりに気づいた時点ですぐに動くことです。
まず影響の小さい順に調整する
締切が重なったら、まず自分の中で調整できることを探します。緊急でも重要でもない作業を後に回す、細かな連絡をまとめて処理する時間を減らす、といった方法です。それでも足りない場合は、取引先に相談します。
早めに、具体的に相談する
納期の相談は、気づいた時点で早めに伝えるほど、相手も調整しやすくなります。伝えるときは、遅れる理由を長く書くより、いつまでに何を渡せるかを具体的に示します。
例文を示します。
「〇〇様 いつもお世話になっております。〇日納品予定の△△について、ご相談です。現在、全体の7割まで進んでおりますが、確認に時間をかけたい箇所があり、〇日の午前に完成版をお渡しする形に変更させていただけないでしょうか。〇日の時点で、完成している部分を先にお送りすることもできます。ご都合を伺えますと幸いです。」
途中の段階のものを先に渡す、範囲を分けて段階的に納品する、といった代わりの案を一緒に示すと、相手も判断しやすくなります。
同じことを繰り返さない
締切が重なった原因を、週の振り返りで確かめます。見積もりが甘かったのか、受けた案件の量が多すぎたのか、相手待ちの作業の催促が遅れたのか。原因によって、次に変えることが違います。
案件の受け方を見直す
タスク管理の工夫で回らないときは、そもそも受けている案件の量や形が、使える時間に合っていない可能性があります。
受ける前に作業時間を見積もる
新しい案件の話が来たら、受ける前に作業時間を見積もり、いまの週の枠に入るかを確かめます。入らないなら、納期を後ろにずらせないか相談するか、今回は見送ります。無理に受けて遅れるより、正直に伝えたほうが、次の機会につながります。
断るときの伝え方
断るときは、感謝と、受けられない理由を短く伝え、可能なら受けられる時期を示します。「ご依頼ありがとうございます。現在、〇月末まで予定が埋まっており、ご希望の納期でのお引き受けが難しい状況です。〇月以降であれば対応できますので、またお声がけいただけますと幸いです」のように伝えます。
案件の形をそろえる
内容の近い案件をそろえると、切り替えの負担が減ります。同じ種類の作業なら、道具も手順も共通なので、案件を変えても頭の切り替えが小さくて済みます。得意な分野に案件を寄せていくことは、作業の効率を上げるだけでなく、単価を上げる交渉の材料にもなります。
複数の案件を並行する仕事と、市場の傾向
複数の案件を並行して進める働き方は、職種によって形が違います。業務の改善やAIの活用を支援する仕事では、複数の企業を同時に支援することが多く、打ち合わせの準備、資料の作成、導入後のフォローが案件ごとに並行して走ります。こうした仕事の内容は AIコンサル・業務活用支援のお仕事 で紹介されています。支援先ごとに課題も進み具合も違うため、案件ごとの約束ごとと次の一手を記録しておく習慣が、仕事の質に直結します。
アプリやシステムの開発の仕事では、新規の開発と、既存のシステムの保守を同時に受けることがよくあります。保守の案件は急な不具合の対応が入りやすく、新規の開発の時間を圧迫しがちです。開発の仕事の種類は アプリケーション開発のお仕事 にまとまっています。保守の対応時間を週の枠にあらかじめ確保しておくと、新規の開発が遅れにくくなります。
経営の助言を行う専門家も、複数の企業を並行して支援する代表的な職種です。経営の診断と助言を行う国家資格については 中小企業診断士 のページで、試験や仕事の内容を確かめられます。デザインの仕事では、案件ごとに確認と修正の往復が多く、相手待ちの作業の管理が要になります。デザイン職の働き方と相場は デザイナーの年収・単価相場 で確認できます。
在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、長く仕事が続く人ほど、案件の数を増やすことより、引き受けた案件を確実に終わらせることに時間を使っています。進み具合をこまめに伝え、遅れそうなときは早めに相談する人は、「この人に任せると安心」と思われ、継続の依頼や紹介につながっていきます。また、中間の手数料が乗らない直接の取引では、同じ予算で依頼する側はより多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなります。無理に案件の数を追わなくても、1件ごとの手取りが厚ければ、使える時間に合った量の案件で仕事を回しやすくなります。
複数案件のタスク管理は、全部を1か所に書き出し、緊急度と重要度と締切で順番を付け、案件ごとの時間の塊に割り振るところから始まります。1人なら紙やスプレッドシートで十分に回り、共有する相手ができたらボードで見える化する、という順番で道具を選べば、無理なく続けられます。
よくある質問
Q. 複数の案件を抱えたとき、最初に何をすればよいですか?
抱えている作業をすべて1か所に書き出します。案件名、作業、期限、見積もり時間、状態、次の一手の6つを書いておくと、順番を付けやすくなります。相手からの返事待ちの作業も忘れずに書き出し、状態を「確認待ち」にしておくと、催促の連絡を入れる時期を逃しません。
Q. 優先順位はどのように決めればよいですか?
緊急度と重要度の2つの軸で作業を4つに分け、期限のある作業は締切から逆算して完成日を決めます。ほかの作業の前提になっている作業は順番を上げます。特に「緊急ではないが重要」な作業は、早めに時間の枠を確保しておくと、締切が重なるのを防げます。
Q. タスク管理は紙とアプリのどちらがよいですか?
1人で数件の案件を回すなら、紙やスプレッドシートでも十分に管理できます。外注先や仲間と作業を分担し、担当と期限と進み具合を共有したくなったときは、カードで作業を管理するプロジェクト管理の道具が便利です。大切なのは、毎日同じ場所を見る習慣です。
Q. 締切が重なりそうなときはどうすればよいですか?
重なりに気づいた時点で、すぐに取引先へ相談します。遅れる理由を長く書くより、いつまでに何を渡せるかを具体的に示し、完成している部分を先に渡す、段階的に納品するといった代わりの案も添えると、相手が判断しやすくなります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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