農林水産省の個人情報漏えい|給与事務のメール誤送信 職員と家族4,571人分のマイナンバー 対象と確かめること 2026


この記事のポイント
- ✓農林水産省の情報漏洩として検索される
- ✓2026年1月23日発表の給与支払事務のメール誤送信を公式発表で整理
- ✓一部職員とその家族4,571人分の氏名
農林水産省の情報漏洩として検索されている件は、農林水産省が令和8年(2026年)1月23日に発表した「職員の個人情報の漏えい事案の発生について」です。令和7年分の給与支払事務で、職員の源泉徴収票等に関する情報を省内で一元化する際に、提出先として誤ったメールアドレスを示したため、情報が外部のメールサーバに送信されました。発覚したのは1月19日で、対象は一部職員及びその家族の4,571人分、項目には氏名、生年月日、住所、マイナンバー、給与支給金額、源泉徴収税額、家族の氏名とマイナンバーなどが含まれます。2026年11月1日時点で、農林水産省の報道発表資料の一覧を見る限り、1月23日の発表のあとに新しい報告は出ていません。発表では、流出した情報の活用による被害の情報は確認されていないとされています。補償やお詫びの品については発表に書かれていません。
対象の職員と家族がまずすることは、マイナンバーや給与のことを持ち出して連絡してくる電話やメールに、その場で答えないことです。役所や税務署、勤め先を名乗っていても、いったん切って、自分で調べた番号にかけ直してください。
マイナンバーそのものは、番号だけで手続ができる仕組みにはなっていないと、デジタル庁が説明しています。不安が強いときに取れる手段として、漏えいして不正に用いられるおそれがあると認められる場合には番号を変更できる制度があります。詳しくは後半で説明します。
この記事は、2026年11月1日時点で農林水産省の発表資料と大臣記者会見の概要を開き直して確かめた内容だけで書いています。報道に出ている部署名や人数の内訳など、公式の資料で確かめられなかったことは入れていません。
農林水産省で何が起きたのか
今回の件は、外部から省のシステムに侵入された事案ではありません。メールの送り先を誤ったことによる誤送信です。発表の書き出しも「メールの誤送信により」という言葉を使っています。検索では「情報漏洩」という言葉で調べる人が多いので、記事の題もそれに合わせていますが、本文では農林水産省の言い方に合わせて書きます。
発表の骨子は次のとおりです。
- 対象の事務は、職員給与等に係る令和7年分の税務関係事務
- 職員の源泉徴収票等に関する情報を省内で一元化する際、提出先として誤ったメールアドレスを示した
- そのため、情報が外部のメールサーバに送信された
- 送信されたことが発覚したのは1月19日
- 対象は一部職員及びその家族の4,571人分
- 発表の時点で、流出した情報の活用による被害の情報は確認されていない
源泉徴収票とは、1年間に支払った給与の額と、差し引いた所得税の額などを書いた書類のことです。会社でも役所でも、年末から年明けにかけて、職員一人ひとりの給与や扶養している家族の情報をまとめて、税金の計算や書類の作成をします。今回は、その情報を一か所に集めるための「提出先」として示したメールアドレスが誤っていたため、集めるはずの情報が省の外のメールサーバに届いたという流れです。
発表には、誤っていたメールアドレスがどのようなものだったか、外部のメールサーバがどこの誰のものか、送信されたメールが何通だったかは書かれていません。そのため、この記事でもそれ以上の中身は推測しません。
公表の経緯と2026年11月1日時点の状況
2026年11月1日時点で、農林水産省の公式に出ている情報は次のとおりです。
| 日付 | 出来事 | 分かったこと |
|---|---|---|
| 令和8年1月19日 | 外部のメールサーバへの送信が発覚 | 提出先として誤ったメールアドレスを示していたことが分かった |
| 令和8年1月23日 | 報道発表「職員の個人情報の漏えい事案の発生について」 | 対象は一部職員及びその家族4,571人分。項目と今後の対応を公表 |
| 令和8年1月23日 | 大臣記者会見 | 記者の質問に答え、再発防止の徹底を指示したと説明 |
| 2026年11月1日時点 | 続報なし | 報道発表資料の月ごとの一覧(2026年2月分から10月分まで)と現在の一覧に、この件の続報は見当たらない |
発表文は、次の言葉で始まっています。
令和7年分の給与支払事務に関し、メールの誤送信により、一部職員及びその御家族の氏名やマイナンバー等を含む個人情報が漏えいしたことが判明いたしました。 出典: 農林水産省「職員の個人情報の漏えい事案の発生について」(令和8年1月23日)
同じ日の大臣記者会見では、記者から事実関係と受け止めを聞かれ、大臣が次のように答えています。
このような事案が発生したことは重く受け止めております。今後、同様の事態が生じないように再発防止の徹底を指示をさせていただきました。 出典: 農林水産省「鈴木農林水産大臣記者会見概要」(令和8年1月23日)
会見では、詳細は会見のあとの記者ブリーフィングで説明するとされています。ブリーフィングの中身は省の公式の資料として公開されていないため、この記事では扱いません。
漏えいした情報と対象の人数
発表に挙げられた項目を表にまとめます。農林水産省は、この情報について「漏えいした」と書いています。
| 区分 | 発表で漏えいしたとされた項目 |
|---|---|
| 職員本人 | 氏名、生年月日、住所、マイナンバー |
| 給与と税 | 給与支給金額、源泉徴収税額、保険料等控除情報 |
| 家族 | 家族情報(家族の氏名、マイナンバー) |
| その他 | 発表の書き方は「等」で終わっており、すべての項目が並べられているわけではない |
| 区分 | 発表の記載 |
|---|---|
| 含まれないと明記された項目 | 発表には記載がない |
| 対象の人数 | 一部職員及びその家族 4,571人分 |
発表は項目の並びを「等」で結んでいます。源泉徴収票等に関する情報という書き方なので、源泉徴収票に書かれる項目が中心だと読めますが、ほかに何が含まれていたかは書かれていません。発表に「含まれない」とされた項目も無いため、銀行口座やパスワードなどについては「含まれていない」とも「含まれている」とも、この記事では言えません。
保険料等控除情報とは、給与から差し引く社会保険料や、生命保険料などの控除の額のことです。源泉徴収票には、こうした控除の額が書かれます。
家族情報として家族の氏名とマイナンバーが含まれている点は、ほかの多くの漏えいの事案と違うところです。扶養している配偶者や子ども、親など、職員本人ではない人の番号も対象になっています。職員の人は、家族にこの件を伝えておくことが大切です。
源泉徴収票等に関する情報から分かること
今回の項目が重く受け止められているのは、1枚の書類にまとまった情報の組み合わせに理由があります。項目ごとに、何が分かってしまうのかを整理します。
| 項目 | その項目から分かること |
|---|---|
| 氏名、住所、生年月日 | 本人を特定し、郵便物を送ったり訪ねたりできる |
| 給与支給金額 | 1年間の給与の大まかな水準 |
| 源泉徴収税額 | 給与から差し引かれた所得税の額 |
| 保険料等控除情報 | 社会保険料や生命保険料などの控除の額 |
| 家族の氏名とマイナンバー | 扶養している家族の名前と番号 |
これらがそろうと、相手は「勤め先」「給与の水準」「家族の構成」を知っていることになります。詐欺の電話では、相手が本人しか知らないはずの情報を口にすると、受けた側は本物の担当者だと信じやすくなります。たとえば「昨年の給与のうち、源泉徴収の額に誤りがありました」と言われれば、身に覚えのある話に聞こえます。
もう一つ、農林水産省の職員であることが分かる点もあります。省の名前を出した連絡や、農林水産の分野の仕事に関わる連絡を装われると、仕事の連絡と見分けにくくなります。職場のメールアドレスに届く不審なメールにも、いつも以上に注意してください。
一方で、源泉徴収票等に関する情報に、ネットバンキングのパスワードやクレジットカードの番号が含まれるわけではありません。お金を直接引き出せる情報ではないので、慌てて口座を解約したりカードを止めたりする必要は、発表からは示されていません。気をつけたいのは、知られた情報をきっかけに、本人から追加の情報を聞き出そうとする連絡のほうです。
原因として発表されていること
発表で原因として説明されているのは、提出先として誤ったメールアドレスを示したことです。誤ったアドレスを示した経緯や、なぜ外部のメールサーバに届いたのかについて、細かい説明はありません。
ここで押さえておきたいのは、今回の件が「誰かが省のシステムを攻撃した」話ではないことです。発表は「メールの誤送信」と書いており、不正アクセスやサイバー攻撃という言葉は使っていません。ニュースの見出しだけを見て「農水省が攻撃された」と受け取る人もいますが、公式の説明とは違います。
誤送信の事案では、受け取った側が情報を使ったかどうかが、二次被害の起きやすさに大きく関わります。発表では、流出した情報の活用による被害の情報は確認されていないとされています。受け取った側にメールの削除を依頼したか、削除を確かめたかについては、発表に書かれていません。書かれていないことは、この記事でも「した」とも「していない」とも書きません。
農林水産省の対応
発表の「今後の対応」に書かれていることは次の3つです。
- 漏えいした情報について、関係省庁と連携をとりながら引き続き注意を払う
- 個人情報の厳重かつ適正な管理を徹底する
- 職員に対して、個人情報の取扱い等に関する研修を実施し、再発防止に努める
大臣は記者会見で、再発防止の徹底を指示したと述べています。
補償やお詫びの品、対象の職員や家族への個別の通知の方法については、発表に書かれていません。発表に無いことは、この記事でもあるとは書きません。情報漏えいの事案でお詫び金やポイントが出た例と、利用者が確かめることの考え方は、情報漏洩の補償はもらえるのか|お詫び金・ポイントの例と利用者が確かめること 2026で説明しています。
自分が対象かを確かめる方法
対象は「一部職員及びその家族」です。農林水産省の職員として令和7年分の給与を受け取った人、そしてその人の家族として源泉徴収票等に関する情報に載った人が当てはまる可能性があります。ただし発表は「一部」としており、どの部局の職員が対象かは書かれていません。
職員の人は、まず職場の案内を確かめてください。給与や人事の担当から説明があるはずです。発表資料のお問合せ先は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 担当 | 大臣官房予算課 主計班 |
| 代表 | 03-3502-8111(内線3326) |
| ダイヤルイン | 03-3502-8247 |
このお問合せ先は、報道発表資料に書かれたものです。受付時間は発表に書かれていません。
家族の人は、職員である家族本人に確かめるのが近道です。省からの連絡が家族に直接届くかどうかは、発表からは分かりません。
一般の利用者、たとえば農林水産省に補助金の申請をしたことがある人や、農林水産省のメールマガジンを受け取っている人は、発表の対象として挙げられていません。今回の発表は、職員の給与支払事務の情報の話です。
対象の職員と家族がすること
不審な電話とメールに答えない
漏えいした項目には、氏名、生年月日、住所、給与の額がそろっています。こうした情報を知っている相手からの連絡は、本物らしく聞こえます。たとえば次のような連絡には注意してください。
- 税務署や役所を名乗り、「源泉徴収の手続に誤りがあったので、マイナンバーを確認したい」と言う
- 省や共済の担当を名乗り、「還付金があるので口座番号を教えてほしい」と言う
- 「情報漏えいのお詫びとして給付がある」と言って、手数料の振り込みを求める
発表では、流出した情報の活用による被害の情報は確認されていないとされています。ここに挙げたのは、氏名や住所、給与の額を知っている相手を装う手口として一般に考えられるものです。実際にこうした連絡があったという発表はありません。
電話は、その場で答えずに切ってください。かけ直すときは、相手が言った番号ではなく、自分で調べた公式の番号を使います。メールのリンクも開かず、公式のサイトを自分で開いて確かめます。偽のメールの見分け方と、開いてしまったあとの対処は、フィッシング詐欺メールの見分け方|5秒で振り分ける手順と開いた後の対処にまとめています。
家族に一声かける
家族の氏名とマイナンバーも対象です。扶養している家族、特に高齢の親や、自分でメールや電話の判断をしづらい家族には、「マイナンバーを聞いてくる電話には答えないでほしい」と伝えておくと安心です。子どもの番号が含まれている場合は、保護者が代わりに注意しておきます。
住所が知られたことへの備え
住所と氏名がそろって知られると、郵便物や訪問を使った勧誘や詐欺が来ることがあります。身に覚えのない郵便物に書かれた番号には電話しない、訪問者に個人の情報を話さない、といった基本の対処が役に立ちます。住所が漏れたときに起きることと、防ぎ方の順番は、個人情報が流出して住所が漏れたときの対応|起きることと防ぎ方の順番で説明しています。
しなくてよいこと
発表に挙げられた項目には、パスワードやクレジットカードの番号は含まれていません。発表に書かれていないものについて、慌てて手続をする必要は示されていません。ほかのサービスでパスワードを使い回している人が見直すのはよいことですが、今回の件が理由で必須になるわけではありません。
マイナンバーが知られたときに起きること、起きないこと
マイナンバーが他人に知られると聞くと、不安になる人は多いはずです。ここでは、デジタル庁の公式の説明で確かめられたことだけを書きます。
デジタル庁は、マイナンバーカードの裏面の番号を見られても、番号だけで手続はできないため、情報を引き出したり、直ちに悪用したりすることはできないと説明しています。
マイナンバーカードの裏面に記載されている12桁のマイナンバー(個人番号)を見られても、マイナンバーだけで手続はできないため、情報を引き出したり、直ちに悪用したりすることはできません。 出典: デジタル庁「マイナンバー制度の安全性」
一方で、番号を変える手段もあります。デジタル庁のよくある質問では、マイナンバーは原則として生涯同じ番号を使い続けるものの、漏えいして不正に用いられるおそれがあると認められる場合に限り、本人の申請又は市区町村長の職権により変更できると説明されています(デジタル庁「よくある質問:マイナンバーについて」)。
番号を変えるかどうかは、住んでいる市区町村の窓口に相談して決めることになります。今回の件が「不正に用いられるおそれがあると認められる場合」に当たるかは、市区町村が判断することで、この記事で断定はできません。番号を変えると、勤め先や金融機関などに新しい番号を届け直す手間がかかることも、相談のときに確かめておくとよいでしょう。番号の変更の手続きと、悪用の範囲の考え方は、マイナンバーが漏洩したらどうなる|番号の変更の手続きと悪用の範囲 2026で詳しく説明しています。
マイナンバーで本当に気をつけたいのは、番号そのものよりも、番号と一緒に本人確認の書類や暗証番号を渡してしまうことです。電話やメールで暗証番号を聞かれても、答える必要はありません。役所が電話で暗証番号を聞くことはない、と覚えておくと判断が早くなります。
家族の番号が含まれていた人が相談するときの流れ
家族のマイナンバーが含まれていると知って、どこから手をつければよいか迷う人もいるはずです。ここでは、相談の順番の一例を示します。
- 職員本人が、勤め先の給与や人事の担当に、自分と家族が対象に含まれるかを確かめる
- 対象に含まれる場合、家族に事情を伝え、不審な連絡への注意を共有する
- 番号の変更を考える場合は、家族それぞれが住んでいる市区町村の窓口に相談する
- 不審な連絡があった場合は、記録を残し、次の節で紹介する相談先に伝える
3番で注意したいのは、マイナンバーの変更の相談は、番号の持ち主が住んでいる市区町村で行う点です。進学や就職で別の市区町村に住んでいる子どもや、離れて暮らす親の番号が含まれていた場合は、職員と同じ市区町村とは限りません。また、変更を申請するのは原則として本人です。子どもが未成年の場合は、法定代理人である保護者が手続を進めることになるのが一般的ですが、必要な書類や手順は市区町村によって違うことがあるので、事前に窓口に確かめてください。
家族に伝えるときは、不安をあおるより、具体的に何をすればよいかを伝えるほうが役に立ちます。「マイナンバーを電話で聞かれても答えない」「役所や税務署を名乗る連絡は、いったん切って自分で調べた番号にかけ直す」の2点だけでも、伝わっていれば十分です。
職員の家族が、勤め先の違う会社員であることもあります。その場合、家族の勤め先にもマイナンバーが届けられています。今回の件は農林水産省の事務で起きたことなので、家族の勤め先の事務とは関係がありません。家族が自分の勤め先に何かを届け直す必要は、番号を変更した場合を除いて生じません。
不審な連絡を受けたときの相談先と記録の残し方
マイナンバーや給与のことを持ち出す不審な連絡を受けたら、一人で判断せずに相談できる窓口があります。
| 困っていること | 相談先 |
|---|---|
| 勧誘や請求、契約のトラブル | 消費者ホットライン 188(近くの消費生活センターなどを案内) |
| フィッシングやお金の被害 | 最寄りの警察署、またはサイバー事案に関する通報等のオンライン受付窓口 |
| マイナンバーの番号の変更 | 住んでいる市区町村の窓口 |
| 職場の情報の扱い | 勤め先の給与や人事の担当 |
消費者庁は、困ったときは一人で悩まずに消費者ホットライン188に相談するよう呼びかけています。188は、近くの市区町村や都道府県の消費生活センターなどの相談窓口を案内する番号で、消費者庁につながるものではないと説明されています(消費者庁「消費者ホットライン」)。
警察庁は、フィッシングの被害に遭った場合は、最寄りの警察署又はサイバー事案に関する通報等のオンライン受付窓口に通報・相談するよう案内しています。クレジットカードの不正利用ならカード会社、不正送金なら金融機関というように、被害に遭ったサービスを提供している会社にも相談するよう書かれています(警察庁「フィッシング対策」)。
相談するときに役立つのが、連絡の記録です。次のことを、メモやスマートフォンに残しておきましょう。
- 連絡を受けた日時
- 電話番号、メールアドレス、差出人の名前
- 相手が名乗った組織と担当者の名前
- 相手が知っていた情報と、聞いてきた情報
- 自分が答えてしまった情報があれば、その中身
特に4番は大切です。相手が氏名と住所だけでなく、給与の額や家族の名前まで知っていた場合、今回の件との関わりを考える手がかりになります。職員の人は、こうした連絡があったことを勤め先の担当にも伝えておくと、省が状況を把握する助けになります。
メールの場合は、削除する前にスクリーンショットを撮っておくと、相談のときに見せられます。リンクを開いたり、添付ファイルを開いたりして確かめる必要はありません。
誤送信と不正アクセスを分けて考える
「農林水産省 情報漏洩」と検索すると、ほかの省庁や自治体の漏えいの記事も一緒に出てきます。今回の件と混ぜないために、違いを整理しておきます。
| 種類 | 何が起きたか | 今回の件 |
|---|---|---|
| メールの誤送信 | 送り先を誤り、本来の相手ではないところに情報が届く | 当たる |
| 不正アクセス | 外部の第三者がシステムに侵入して情報を持ち出す | 発表には書かれていない |
| 委託先の事故 | 業務を任せた会社で漏えいが起きる | 発表には書かれていない |
誤送信の事案は、情報が届いた先が限られることが多く、受け取った側に削除を頼めば広がりを抑えられる場合があります。一方で、今回のように外部のメールサーバに届いた場合、そのサーバの持ち主や、メールが保存された期間は外からは分かりません。そのため、受け取った人が見ていないと確かめられない限り、対象の人は念のための注意を続けることになります。
一斉メールの誤送信でメールアドレスが見える状態になった別の事案として、北九州市教育委員会の件があります。経緯と関係者が確かめることは、北九州市教育委員会の情報漏洩|一斉メールの誤送信でメールアドレス23名分 2026年10月の発表と関係者が確かめること 2026で紹介しています。項目の重さが違うので、対処の中身も違う点に注意してください。
給与の情報をメールで集めるときの落とし穴
今回の件は、年末年始の税務の事務の中で起きました。会社でも役所でも、源泉徴収票や扶養控除の申告に関わる情報は、毎年同じ時期にまとめて集めます。この時期に起きやすい事故の形を知っておくと、自分が集める側になったときに役立ちます。
提出先のメールアドレスを示すときに起きやすいのは、次のような誤りです。
- 似た名前の組織のドメインと取り違える
- アドレスの一文字を打ち間違える
- 以前使っていた古いアドレスをそのまま案内する
- 案内文を作った人と、受け取る人が別で、確かめる手順が無い
提出先が誤っていても、送る側は「指示どおりに送った」ので気づきにくいのが、この形の事故の難しいところです。今回も、発覚は提出先を示したあとでした。
機微な情報を集めるときは、メールに直接添付するのではなく、アクセスできる人を限った保存先を使う方法があります。メールは一度送ると取り消せませんが、保存先であれば、誤って共有したと気づいた時点で閲覧の権限を外せます。農林水産省がどのような方法に改めるかは、発表に書かれていないため、この記事では扱いません。
一般に、提出先を示す案内は、作った人とは別の人がアドレスを確かめてから出す、送る前にテストで1通送って届くことを確かめる、といった手順で誤りを減らせます。社員に向けた訓練の考え方は、社員のセキュリティ意識を向上させるフィッシングメール模擬訓練の効果|2026年最新の従業員教育ガイドで紹介しています。
年末年始の税の事務の時期に気をつけたい連絡
今回の件が起きたのは、令和7年分の税務関係事務の時期でした。源泉徴収票の交付、年末調整、確定申告と、年末から春にかけては、税やマイナンバーに関わる正規の連絡が増える時期です。それに伴って、偽の連絡も紛れ込みやすくなります。
この時期によくある正規の連絡と、注意したい連絡を分けておきます。
| 正規の連絡で見かける内容 | 注意したい連絡の特徴 |
|---|---|
| 勤め先から源泉徴収票が交付される | 源泉徴収票の再発行のためと言って、マイナンバーや口座番号を電話で聞く |
| 年末調整の書類の提出を求められる | 書類の提出先として、見慣れないメールアドレスやサイトを案内する |
| 確定申告の時期の案内が届く | 税金の還付があると言って、ATMでの操作を求める |
| マイナンバーの提出を求められる | 期限が今日までと急がせ、すぐに答えるよう迫る |
ATMの前で電話の指示に従って操作するよう求められたら、その場で操作をやめ、警察や相談窓口に相談してください。
正規の連絡か迷ったときは、連絡に書かれた番号やリンクを使わず、勤め先の担当や、税務署、市区町村の公式の窓口を自分で調べて確かめます。手間はかかりますが、確かめる手順を一つ挟むだけで、多くの被害は防げます。
在宅で仕事をする人が気をつけること
在宅で仕事をするフリーランスや個人事業主は、取引先にマイナンバーを渡す立場にも、取引先から個人情報を預かる立場にもなります。講演料や原稿料などの報酬を受け取るとき、支払う側は支払調書を作るために受け取る人のマイナンバーを集めることがあります。今回の件は、集める側の誤りで情報が外に出た例です。
マイナンバーを取引先に渡すときは、相手が示した提出の方法を確かめ、提出先のアドレスや保存先が正しいかに違和感があれば問い合わせてから送ると安心です。メールの本文に番号をそのまま書いて送るように言われた場合も、ほかの方法が無いか聞いてみる価値があります。
あわせて、どの取引先に、いつ、どの方法でマイナンバーを渡したかを一覧にして残しておくと、取引先で漏えいの発表があったときに、自分が対象かどうかをすぐに判断できます。取引をやめた相手には、預けた番号の扱いを確かめておくと、使い終わった情報がいつまでも残る状態を避けられます。複数の取引先と仕事をするフリーランスほど、この一覧が役に立ちます。
自分が取引先の個人情報を預かる場合は、漏えいが起きたときに何が求められるかを知っておくことが大切です。個人情報保護委員会の漏えい等の対応のページでは、民間の事業者に委員会への報告が義務づけられる場合として、要配慮個人情報を含む漏えい等、不正に使われるとお金の被害が出るおそれがある漏えい等、不正の目的で行われたおそれがある漏えい等、本人の数が1,000人を超える漏えい等を挙げています。いずれも、そのおそれがある場合も含まれます。国の行政機関などの場合は、本人の数が100人を超える漏えい等が報告の対象とされています。報告は、発覚したら速やかに行うよう求められています。
同じページでは、漏えい等した情報にマイナンバーが含まれている場合は、事業者も行政機関等も、マイナンバー用の報告フォームから報告するよう案内されています。マイナンバーを含む情報は、ほかの個人情報とは別の決まりで扱われる、と覚えておくとよいでしょう。
個人で仕事をしていると、扱う人数は少なく、1,000人を超えることはまれです。それでも、取引先の顧客名簿や従業員の情報を預かる仕事では、相手の会社が報告の義務を負う場合があります。預かった情報を誤って送ってしまったら、すぐに取引先に知らせることが、相手が期限内に対応するための助けになります。
この件で発表から分からないこと
発表と記者会見の概要を読んでも、分からないことがいくつかあります。分からないことを分からないままにしておくのは落ち着かないものですが、推測で埋めると判断を誤ります。2026年11月1日時点で公式の資料に書かれていないことを並べておきます。
- 誤って示したメールアドレスがどのようなもので、外部のメールサーバが誰のものだったか
- 外部のメールサーバに送信されたメールの通数と、送信された期間
- 受け取った側に削除を依頼したか、削除を確かめたか
- 対象となった職員がどの部局の職員か
- 対象の職員と家族に、どのような方法で知らせたか
- 補償やお詫びの品があるか
これらは、今後の発表で明らかになる可能性もあれば、公表されないままになる可能性もあります。公表されていない段階では、「分からない」ことを前提に、どの場合でも役に立つ対処、つまり不審な連絡に答えないこと、家族と情報を共有すること、迷ったら公式の窓口に確かめることを続けるのが確かな方法です。
続報を確かめる方法
この件の続報が出るとしたら、農林水産省の報道発表資料に載ると考えられます。報道発表資料は月ごとの一覧で確かめられます。2026年11月1日時点では、2026年2月分から10月分までの一覧と、現在の一覧に、この件の続報は見当たりません。
続報を探すときは、ニュースサイトの記事ではなく、農林水産省の公式の発表を開いて確かめてください。報道では、人数の内訳や部署名など、公式の発表に無い情報が書かれていることがあります。公式に書かれていない情報をもとに判断すると、自分が対象かどうかを取り違えるおそれがあります。
職員の人は、省内の案内も合わせて確かめてください。報道発表とは別に、職員向けの説明が出ている可能性があります。
情報を守る力を仕事に生かす
メールの誤送信を防ぐ手順づくり、機微な情報の集め方の設計、漏えいの発表の読み方は、企業や団体の情報管理を支える仕事でも求められる知識です。業務の連絡やお詫びの文書を正確に書く力も、こうした場面で役に立ちます。文書の書き方を体系的に学ぶ手段として、ビジネス文書検定があります。@SOHOのAI・マーケティング・セキュリティのお仕事では、在宅で受けられるセキュリティ関連の仕事の種類と探し方を紹介しています。
2004年から在宅ワークの仲介を続けてきた運営者として見てきた限りでは、長く仕事が続く人ほど、取引先の情報の受け渡しの手順を最初に確かめています。送り先、保存先、使い終わったあとの削除の方法を、仕事を始める前に相手とそろえておくことが、事故を防ぐいちばん確かな方法です。
よくある質問
Q. 農林水産省の補助金を申請したことがある人も、今回の件の対象ですか?
発表の対象は、令和7年分の給与支払事務に関わる一部職員及びその家族の4,571人分です。補助金の申請者やメールマガジンの読者など、一般の利用者は発表の対象として挙げられていません。今回の件は、職員の源泉徴収票等に関する情報を省内で一元化する際の誤送信です。
Q. 不正アクセスやサイバー攻撃があったのですか?
発表は「メールの誤送信」と説明しており、不正アクセスやサイバー攻撃という言葉は使っていません。職員の源泉徴収票等に関する情報を集める際に、提出先として誤ったメールアドレスを示したため、情報が外部のメールサーバに送信されたとされています。発覚は2026年1月19日です。
Q. マイナンバーが漏えいした場合、番号を変えることはできますか?
デジタル庁の説明では、マイナンバーは原則として生涯同じ番号を使いますが、漏えいして不正に用いられるおそれがあると認められる場合に限り、本人の申請又は市区町村長の職権により変更できます。当てはまるかは市区町村が判断するため、住んでいる市区町村の窓口に相談してください。
Q. 2026年11月1日時点で、続報は出ていますか?
2026年11月1日時点で、農林水産省の報道発表資料の一覧を見る限り、2026年1月23日の発表のあとに、この件の続報は出ていません。発表では、流出した情報の活用による被害の情報は確認されていないとされています。続報は農林水産省の報道発表資料で確かめてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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