デジタル庁の情報漏えいの可能性|GSSへのVPN経由の不正アクセス 約24.6万件 氏名・メールアドレス・電話番号 対象と確かめること 2026


この記事のポイント
- ✓デジタル庁の情報漏洩について
- ✓VPN機器の脆弱性を使ったGSSへの不正アクセスの公式発表をもとに整理
- ✓約24.6万件の氏名やメールアドレスが漏えいした可能性
デジタル庁は2026年9月11日、同庁が運用するガバメントソリューションサービス(GSS)に外部から不正アクセスがあり、個人情報を含むファイルの一部が外部に漏えいした可能性があると発表しました。第三者がネットワーク接続機器(VPN)の脆弱性を利用して侵入したもので、漏えいした可能性がある個人情報は約24.6万件です。主な項目は氏名、メールアドレス、電話番号、住所などで、マイナンバー、金融機関口座情報、年金番号などは含まれていないと明記されています。 対象はGSSを使う府省庁などの職員と、その業務に携わった公務員、事業者、個人で、一般の人の個人情報は含まれていないとされています。 省庁の仕事に関わったことがある人がまずすることは、デジタル庁や省庁を名乗る不審なメール、電話、SMSに注意し、届いた連絡のリンクや添付ファイルを開かないことです。
公表から2026年11月1日までに、デジタル庁のお知らせの一覧に、件数の確定や調査結果などの続報は掲載されていません。公表の翌日の2026年9月12日に本事案に関するQ&Aのページが更新され、個人情報保護委員会への報告の日付などが書き加えられたのが、確かめられた最後の更新です。この記事は、2026年11月1日時点でデジタル庁の公式発表とQ&Aのページを開き直して確かめた内容だけで書いています。報道の数字や推測は入れていません。
デジタル庁のGSSで何が起きたのか
今回の件を一言でいえば、政府の職員が仕事で使う共通の業務環境に外から侵入され、そこで扱っていたファイルの一部が外に出た可能性がある、という事案です。
デジタル庁の発表によると、2026年6月25日に、保守運用担当者のアカウントを使ってサーバ上の大量のファイルにアクセスが行われたことを検知し、調査を始めました。その後、7月9日に、第三者がネットワーク接続機器(VPN)の脆弱性を利用してシステムに侵入し、不正アクセスを行っていたことが分かりました。VPNとは、離れた場所から組織のネットワークに安全につなぐための仕組みのことです。脆弱性とは、ソフトウェアや機器の弱点のことで、攻撃者に悪用されると、本来は入れない場所に入られてしまいます。
デジタル庁は同じ日に、使われた保守運用担当者のアカウントを止め、侵害された機器と外部との通信を遮断しました。外部の専門事業者の協力を得て調べた結果、個人情報が外部に漏えいした可能性があることを確認し、9月11日に公表しています。
公表文の冒頭は、次のとおりです。
今般、デジタル庁が運用するガバメントソリューションサービス(以下、「GSS」といいます。)において、外部からの不正アクセスにより、GSS上で取り扱っていた個人情報を含むファイルの一部が外部に漏えいした可能性があることが判明しました。 出典: デジタル庁「ガバメントソリューションサービスへの不正アクセスによる職員等の個人情報の漏えいの可能性について」
ここで大事なのは、「漏えいした」と言い切っているのではなく、「漏えいした可能性がある」と書かれている点です。この表現の意味は、後の節で、デジタル庁のQ&Aの説明に沿って取り上げます。
ガバメントソリューションサービス(GSS)とは
GSSという名前を初めて聞く人も多いはずです。デジタル庁の別のお知らせでは、GSSを次のように説明しています。各府省庁の職員が共通して使える業務用パソコンやネットワーク、セキュリティなどの、標準的な業務環境を提供する政府共通のサービスです。言いかえると、省庁ごとにばらばらに用意していた職場のパソコンやネットワークを、政府全体で共通の仕組みにまとめたものです。
同じお知らせによると、GSSは令和3年(2021年)にサービスが始まり、令和8年(2026年)2月時点で18機関、約5万3,000人の職員が使っており、今後は約28万人規模まで広がる見込みとされています。ゼロトラストアーキテクチャという考え方を取り入れていることも紹介されています。ゼロトラストとは、社内のネットワークだから安全とは考えず、アクセスのたびに相手と端末を確かめる設計の考え方のことです。
Q&Aのページでは、ゼロトラストアーキテクチャを採用していたものの、結果として不正アクセスと情報漏えいの可能性が生じたことを重く受け止めている、と説明されています。具体的なセキュリティ対策やシステム構成の詳細は、明らかにすると攻撃者を利することになるため、差し控えるとしています。
GSSは職員が日々の業務で使う環境なので、そこには業務のファイルが保存されています。今回漏えいした可能性があるのは、そうしたファイルの中に含まれていた個人情報です。Q&Aでは、GSSを使う政府の業務に支障は生じていないとも説明されています。
公表の経緯と分かっていること
公式発表とQ&Aから、日付ごとの動きを整理すると次のとおりです。
| 日付 | 公式発表に書かれていること |
|---|---|
| 2026年6月25日 | 保守運用担当者のアカウントを使ったサーバ上の大量のファイルへのアクセスを検知し、調査を開始 |
| 2026年7月9日 | 第三者がVPN機器の脆弱性を利用して侵入していたことが判明。同日、アカウントを停止し、侵害された機器と外部との通信を遮断 |
| 2026年7月15日 | 個人情報保護委員会に報告 |
| 2026年9月11日 | 漏えいした可能性があるとして公表。同日、本事案に関するQ&Aを掲載 |
| 2026年9月12日 | Q&Aに「個人情報保護委員会には報告したのですか」の項目を追記し、被害規模を「件数」の表記に統一 |
検知から公表までおよそ2か月半かかっていることについて、Q&Aでは理由を説明しています。検知した当初は、不正アクセスがあったかどうかや影響の範囲が分かっておらず、侵入経路の分析、漏えいした可能性のある情報の特定、対象者の確認に相当の時間がかかった、という説明です。そのうえで、一定の事実関係を確認できた段階で公表したとしています。
Q&Aの冒頭には、調査は現在も続いており、セキュリティ対策上、公表を差し控える事項があること、今後の調査で内容が更新される場合があることが書かれています。2026年11月1日時点で、件数の確定や最終的な調査結果を知らせる続報は、お知らせの一覧に見当たりません。続報が出た場合は、発表の内容が変わる可能性があるので、本記事の内容とあわせて公式のページを確かめてください。
漏えいした可能性がある情報と含まれない情報
デジタル庁が示した内訳を、漏えいした可能性がある情報と、含まれていないと明記された情報に分けて整理します。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 漏えいした可能性がある件数 | 約24.6万件 |
| 対象の内訳 | GSS利用機関の職員とGSS利用機関の業務に携わった公務員等(独立行政法人の職員を含む)約18.9万件、GSS利用機関の業務に携わった事業者及び個人 約5.7万件 |
| 主な項目と件数(重複あり) | 氏名 約23.6万件、メールアドレス 約23.1万件、電話番号 約9.4万件、住所 約0.1万件 など |
| 含まれていないと明記された情報 | マイナンバー、金融機関口座情報、年金番号等 |
| 一般の人の情報 | 含まれていないことを確認したと発表 |
件数は「重複あり」とされているので、項目ごとの数を合計しても24.6万件にはなりません。1件の中に氏名とメールアドレスの両方が含まれている、という形が多いと読み取れます。
Q&Aでは、漏えいした可能性がある情報の中身について、もう少し詳しく説明しています。システムを使うには利用者登録などの申請書を出す必要があり、そこに代表者の氏名や、業務で使う電話番号、勤務先の住所などを書く必要がありました。その情報が漏えいした可能性がある、という説明です。そのため、電話番号や住所の多くは個人のものではなく、各府省庁の庁舎の所在地や、公務に使う連絡先として登録されたものが大半だと確認したとしています。
一方で、公務員以外の人の情報も含まれています。Q&Aによると、GSSを使う省庁などの業務に携わった企業の従業員や個人事業主、その省庁などが行ったWEB会議に参加した人の氏名のほか、業務で使うメールアドレスや電話番号、事業所の所在地が含まれています。個人事業主の場合、業務用の連絡先が自宅の住所や個人の携帯電話の番号と同じ、ということもあり得ます。自分がどの情報を登録したかを思い出しておくと、この後の確かめ方につながります。
「漏えいした可能性」と書かれている理由
「24万件が漏えいしたのか、可能性とはどういうことか」という疑問には、Q&Aが直接答えています。不正アクセスの痕跡が確認された情報については、対象者の保護を最優先に考え、漏えいした可能性が否定できないものも含めて対象にしているため、「可能性がある」という表現を使っている、という説明です。
つまり、約24.6万件のすべてが外に持ち出されたと確認されたわけではありません。かといって、持ち出されていないと確認されたわけでもありません。否定できないものも広く含めて、対象者に知らせる側に立っている、という意味です。
この違いは、受け取る側の行動にも関わります。「可能性」という言葉を「おそらく大丈夫」と読むのは避けたほうが安全です。対象になったと連絡が来た人は、自分の情報が外に出た前提で、不審な連絡への備えをしておくのが現実的です。反対に、まだ連絡が来ていない段階で、自分の情報が必ず悪用されると考えて慌てる必要もありません。デジタル庁は2026年9月11日の発表時点で、二次被害は確認されていないとしています。
原因:VPN機器の脆弱性について発表で分かっていること
原因について、デジタル庁は、第三者がVPN機器の脆弱性を悪用して不正アクセスを行ったものだと説明しています。発表とQ&Aで分かっていることは次のとおりです。
- 悪用された脆弱性は、当初公表されていた脆弱性の評価では中程度(CVSS値でMediumレベル)だった
- その脆弱性は、攻撃が確認される前に公表されていたものだった
- デジタル庁は、公表された深刻度に応じた一般的な対応よりも早く対処を進めていたが、修正プログラムを当てる前に悪用された
- 具体的な脆弱性の内容は、今後のセキュリティの確保に支障を及ぼすおそれがあるとして、答えを差し控えている
CVSSとは、脆弱性の危険度を0.0から10.0の点数で表す国際的な指標のことです。中程度の評価だった弱点が、実際には侵入の入口になった、という経緯が読み取れます。
どのメーカーのどの機器だったか、どの脆弱性だったかは公表されていません。報道や解説記事でさまざまな推測が出ることがありますが、デジタル庁が答えを差し控えている以上、この記事では書きません。
Q&Aでは、VPN機器はGSSのシステムの一部として、デジタル庁が責任を持って管理していたこと、マニュアルなどを整備し、職員や外部の事業者に委託して管理する体制だったことも説明されています。他のシステムへの不正アクセスや情報漏えいなどの被害は確認されておらず、影響はこのシステムに限られているとしています。
現在の状況については、修正プログラムを適用し、関係するアカウントの認証情報の変更、外部との通信の遮断などの封じ込めの措置を行い、その後、新たな不正アクセスや不審な通信は確認されていない、と説明されています。
デジタル庁の対応と今後の連絡
デジタル庁が発表している対応は、次のとおりです。
- 漏えいした可能性がある個人情報の対象者を特定したうえで、順次、個別に連絡する
- 連絡先が特定できた人から順に連絡を進める(Q&Aの説明)
- 専用の問い合わせ窓口を設け、対象者からの相談や質問に対応する
- 個人情報保護委員会に2026年7月15日に報告した
- 脆弱性管理の方法の見直し、外部からの接続方法の改善など、セキュリティ対策を強める
再発防止の内容として、Q&Aでは、脆弱性管理の強化、外部からの接続環境の見直し、不正な侵入を防ぐ対策に加えて、仮に侵入されても影響を最小限にする対策を強めることが挙げられています。具体的な対策の中身は、今後のシステムの防御に関わるとして公表していません。
補償やお詫びの品については、公式発表にもQ&Aにも書かれていません。書かれていないことについて、この記事で推測はしません。漏えいの補償が一般にどう扱われているかを知りたい場合は、情報漏洩の補償はもらえるのかを整理した記事が参考になります。
自分が対象かを確かめる方法
対象になるのは、GSSを使う機関の職員、その業務に携わった公務員等、その業務に携わった事業者と個人です。自分が当てはまるかどうかは、立場によって考え方が違います。
| 立場 | 当てはまるかを考える手がかり |
|---|---|
| 府省庁や独立行政法人の職員 | 所属する機関がGSSを使っているか。職場からの案内も確かめる |
| 業務に携わった公務員 | GSSを使う機関の業務で、システムの利用者登録や申請書の提出をしたことがあるか |
| 省庁の仕事を受けた企業の従業員 | 取引先の省庁がGSSを使っていて、業務用の連絡先を登録したことがあるか |
| 個人事業主 | 省庁の業務に関わり、氏名や業務用のメールアドレス、電話番号、事業所の所在地を伝えたことがあるか |
| WEB会議の参加者 | GSSを使う省庁が開いたWEB会議に参加し、氏名などを登録したことがあるか |
どの省庁がGSSを使っているかの一覧は、今回の発表には書かれていません。そのため、自分で判断しきれない場合は、デジタル庁の専用の窓口に問い合わせるのが確実です。
デジタル庁は、対象者を特定したうえで、順次、個別に連絡するとしています。連絡の手段(メールか、郵便か、電話か)は発表に書かれていません。連絡が来たときに本物かどうか迷ったら、届いた連絡の中の電話番号やリンクは使わず、この記事の問い合わせ窓口の節にある番号を自分で調べ直してかけるようにしてください。
一般の人の個人情報は含まれていないと発表されています。省庁の仕事にも会議にも関わったことがない人は、今回の件で対象になることはありません。ただし、ニュースを見た人を狙って「あなたの情報が漏れた」と装う連絡が来ることはあり得るので、その備えは次の節以降で取り上げます。
対象かもしれない人がすること
漏えいした可能性がある主な項目は、氏名、メールアドレス、電話番号、住所です。パスワードやマイナンバー、口座の情報は含まれていません。この組み合わせから、起こりやすいのは「名前を知っている相手からの、本物らしいメールや電話」です。項目に合わせて、要ることだけを順に挙げます。
- 仕事用のメールに届く、デジタル庁や省庁、取引先を名乗るメールのリンクと添付ファイルを、送信元を確かめるまで開かない
- 業務用の電話番号にかかってくる、デジタル庁を名乗る電話で、パスワードやカード番号を聞かれても答えない
- SMSで届く「個人情報漏えいの確認」「補償の手続き」などのリンクを押さない
- 自分の業務用の連絡先が個人の携帯電話の番号と同じなら、家族にも不審な電話に注意するよう伝える
- 不審な連絡が来たら、日時と内容を控えておき、必要に応じて専用の窓口に伝える
デジタル庁は、パスワードなどの認証情報やクレジットカード情報などの個人情報を、メールや電話で尋ねることはないと明記しています。この一文を覚えておくだけで、多くの偽の連絡は見分けられます。
パスワードは漏えいした可能性がある情報に含まれていません。それでも、メールアドレスが知られた可能性がある以上、そのアドレスでログインするサービスのパスワードを使い回していないかは見直しておくと安心です。とくに仕事のメールのアカウントそのものは、多要素認証(パスワードに加えて、スマートフォンの確認などを求める仕組み)を設定しておくと、パスワードが別の経路で知られても破られにくくなります。
すでに職場を離れた人や、省庁の仕事が何年も前に終わった人も、登録した情報がファイルに残っていれば対象になり得ます。発表には、対象になる期間の区切りが書かれていません。当時の業務用のメールアドレスを今も使っている場合や、当時の電話番号を今も持っている場合は、その連絡先に届く連絡に注意しておくと安心です。反対に、当時のアドレスがすでに使われていない場合は、デジタル庁からの個別の連絡が届かない可能性もあるので、気になるときは専用の窓口に問い合わせてください。
偽のメールの見分け方を手順で確かめたい場合は、フィッシング詐欺メールの見分け方を整理した記事が役に立ちます。
デジタル庁や省庁を装う連絡の具体例と見分け方
今回の件で漏えいした可能性があるのは、仕事の場面で使う名前と連絡先です。そのため、偽の連絡も仕事の連絡を装って届く可能性が高くなります。デジタル庁が注意を呼びかけているのは、デジタル庁や関係機関を装った不審なメール、電話、SMSです。具体的には、次のような形が考えられます。
- 「GSSの利用者登録の再確認」を名目に、偽のログイン画面へ誘導するメール
- 「情報漏えいの対象者確認のため」として、氏名や生年月日、パスワードの入力を求めるフォーム
- 「お詫びの手続き」「補償金の振り込み」を名目に、口座番号やカード番号を聞く電話
- 取引先の省庁の担当者を名乗り、請求書や資料に見せかけた添付ファイルを送るメール
- 「会議の資料を共有します」と、過去に参加したWEB会議の名前を挙げてリンクを送るメール
最後の2つは、とくに気をつけたい形です。業務で関わった相手の名前や会議の名前が書かれていると、本物の連絡だと思い込みやすくなります。見分けるときは、次の点を確かめます。
- 送信元のメールアドレスのドメイン(@の後ろ)が、これまでやり取りしてきた相手と同じか
- 急がせる言葉(本日中、至急、アカウント停止など)がないか
- いつもと違う経路(初めてのアドレス、初めての電話番号)から届いていないか
- パスワード、カード番号、口座番号など、普段の業務で聞かれない情報を求めていないか
迷ったら、届いたメールに返信するのではなく、これまで使ってきた正しい連絡先で相手に直接確かめるのが確実です。電話も同じで、かかってきた番号にかけ直すのではなく、公式に載っている番号を自分で調べてかけてください。
Studioのフォームの件との違い
デジタル庁の情報漏洩を調べると、別の事案の記事や発表が見つかることがあります。デジタル庁については、ウェブサイト作成サービスのStudioで作ったフォームに関する事案も公表されており、その内容はStudioのフォームの件を整理した記事で取り上げています。
今回のGSSの件は、それとは別の事案です。違いは次の3点です。
- 対象のシステムが違う。今回は政府職員の業務環境であるGSSで、Studioのフォームではない
- 原因が違う。今回は第三者がVPN機器の脆弱性を利用して侵入した不正アクセス
- 対象者が違う。今回はGSSを使う機関の職員と、その業務に携わった公務員、事業者、個人で、一般の人の情報は含まれていない
検索で別の事案の記事に当たった場合は、発表の日付と、対象のシステムの名前(GSSかどうか)を見て、どちらの件かを確かめてください。
職場やチームで注意を伝えるときのポイント
今回の対象には、府省庁の職員だけでなく、委託先の企業の従業員や個人事業主も含まれます。省庁の仕事を複数人のチームで受けている場合、チームの誰かが対象になっている可能性があります。チームのまとめ役や、委託先の窓口を担当している人は、メンバーに注意を伝えておくと、偽の連絡に引っかかる人を減らせます。
伝えるときは、次の点を押さえると誤解が起きにくくなります。
- 発表の日付(2026年9月11日)と、発表したのがデジタル庁であること
- 対象はGSSを使う機関の職員と、その業務に携わった公務員、事業者、個人で、一般の人の情報は含まれていないこと
- 主な項目は氏名、メールアドレス、電話番号、住所などで、マイナンバー、金融機関口座情報、年金番号等は含まれていないこと
- 「漏えいした」と確定したのではなく「漏えいした可能性がある」と発表されていること
- デジタル庁はメールや電話でパスワードやカード情報を尋ねないこと
- 判断に迷ったら、専用の窓口(0120-360-036)に自分でかけて確かめること
社内の連絡用のチャットやメールで伝える場合は、ニュースサイトの記事ではなく、デジタル庁の公式発表のページを示すと、内容の食い違いが起きにくくなります。報道によっては、件数や原因について公式発表にない推測が書かれていることもあるためです。
また、不審なメールを受け取ったメンバーが、それを転送してチームに知らせようとすることがあります。添付ファイルやリンクが付いたまま転送すると、受け取った人が誤って開いてしまうおそれがあります。知らせるときは、件名と送信元のアドレス、届いた日時だけを書いて伝え、本文やファイルはそのまま転送しないようにしておくと安全です。
今後の続報で確かめたい点
2026年11月1日時点の公式発表とQ&Aでは、まだ明らかにされていないことがいくつかあります。続報が出たときに、次の点が書き加えられていないかを確かめると、自分に関係があるかを判断しやすくなります。
| 項目 | 2026年11月1日時点の公式の記載 |
|---|---|
| 件数 | 約24.6万件(漏えいした可能性がある件数)。確定した件数の発表はない |
| 個別の連絡 | 対象者を特定したうえで順次、個別に連絡するとしている。連絡の手段は書かれていない |
| 脆弱性の詳細 | 今後のセキュリティの確保に支障を及ぼすおそれがあるとして、答えを差し控えている |
| 二次被害 | 発表時点で確認されていない |
| 補償やお詫びの品 | 記載はない |
| 再発防止策の中身 | 方向性は示されているが、具体的な内容は差し控えている |
Q&Aのページには「今後の調査により内容が更新される場合があります」と書かれています。更新されたときは、ページの末尾の更新履歴に日付と内容が記されるので、そこを見ると何が変わったかが分かります。2026年9月12日の更新では、個人情報保護委員会への報告の項目が追記され、被害規模の表記が「件数」に統一されました。
問い合わせ窓口
デジタル庁が公表している、対象者向けの問い合わせ窓口は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 窓口の名前 | 対象となる皆様のお問い合わせ窓口(省庁業務サービスグループ GSS班) |
| 専用フリーダイヤル | 0120-360-036 |
| 専用お問い合わせメールアドレス | [email protected](公式のページでは迷惑メール防止のため「@」を「atmark」と表示) |
受付時間は、公式のページに書かれていません。報道機関向けの番号も別に載っていますが、対象者の相談は上の専用の窓口を使います。
問い合わせる前に、次の点を控えておくと話がまとまりやすくなります。
- 自分の立場(職員、業務に携わった公務員、事業者の従業員、個人事業主、WEB会議の参加者)
- 関わった省庁や業務の名前、おおよその時期
- 登録した可能性がある連絡先(業務用のメールアドレス、電話番号)
- 不審な連絡が届いていれば、その日時と内容
窓口に連絡するときも、パスワードやカード番号を伝える必要はありません。デジタル庁はそれらを尋ねないと明記しているので、もし聞かれたら、その連絡先が本当に公式の窓口かを確かめ直してください。調べ直すときは、デジタル庁の公式サイトにある本事案に関するQ&Aのページにも同じ窓口が載っています。
在宅で仕事をする人が気をつけること
今回の件で見落とされやすいのは、対象に「GSS利用機関の業務に携わった事業者及び個人」が含まれている点です。在宅で業務委託の仕事を受けている人の中には、省庁の調査の手伝い、資料の作成、翻訳、デザイン、システムの開発などで、省庁の仕事に関わる人もいます。省庁が開いたWEB会議に、委託先の一員として参加することもあります。そうした人は、自分が対象かどうかを一度確かめておく価値があります。
在宅で働く人は、取引先から顧客の名簿、原稿、デザインのデータなどを預かる立場にもなります。自分のメールやクラウドのアカウントが乗っ取られると、預かった取引先の情報まで外に出るおそれがあります。今回のように仕事の連絡先が知られた可能性がある場合は、その連絡先あてに届く偽のメールが、乗っ取りの入口になり得ます。
個人情報保護委員会の漏えい等の対応のページでは、漏えい等の報告が義務づけられる場合として、要配慮個人情報(病歴など、とくに慎重に扱う情報)を含む漏えい等、不正に使われるとお金の被害が出るおそれがある漏えい等、不正の目的で行われたおそれがある漏えい等、本人の数が多い漏えい等が挙げられています。本人の数の基準は、民間の事業者では1,000人を超える場合、国の行政機関などでは100人を超える場合とされています。不正アクセスによる漏えいは、不正の目的で行われたおそれがある例として示されています。報告は発覚したらまず速やかに行い、不正の目的で行われたおそれがある場合は発覚日から60日以内とされています。
業務委託で個人情報を扱う人が、自分の端末やアカウントから預かった情報を漏らしてしまった場合、まず対応を迫られるのは委託元の取引先です。どこまでが自分の責任になるかは、契約の内容や事情で変わるので、ここでは断定できません。ただ、気づいた時点ですぐ取引先に伝えることが、取引先が必要な手続きを期限内に進めるうえで欠かせない点は変わりません。
今回の件をきっかけに、仕事で使うアカウントについて次の点を見直しておくと安心です。
- 省庁や取引先とのやり取りに使うメールのパスワードが、他のサービスと同じになっていないか
- 仕事で使うメールとクラウドストレージに多要素認証を設定しているか
- 取引先から預かったデータを、仕事が終わった後も手元に残していないか
- 不審なメールを開いてしまったとき、取引先の誰に、どの手段で連絡するかを決めているか
- 業務用の連絡先と個人の連絡先を、できる範囲で分けているか
取引先経由で攻撃を受ける形の全体像を知っておきたい場合は、サプライチェーン攻撃対策の基本を整理した記事が参考になります。小さな事業者やフリーランスが入口として狙われる流れと、今すぐできる防ぎ方がまとめられています。
フリーランス・在宅ワークの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、官公庁や大きな企業の仕事を長く任される人ほど、納品物の質だけでなく、預かった情報の扱い方で信頼を得ています。パスワードの使い回しをやめる、仕事と個人のアカウントを分ける、といった地味な手当てが、そのまま取引先からの評価につながっていきます。中間の手数料が乗らない直接の取引では、こうした信頼がそのまま次の依頼と手取りの厚さに結びつきます。
アカウントを守る力を仕事に生かす
情報の守り方は、自分の身を守る知識であると同時に、仕事として求められる力でもあります。企業や団体の中には、社員向けのセキュリティの研修資料の作成、取引先向けの注意喚起の文面づくり、社内のアカウントの棚卸しの手伝いなどを、外部の人に頼むところがあります。今回のような事案を公式の発表から正確に読み取り、「何が含まれて何が含まれないか」「対象の人は何をすればよいか」を整理する作業も、その一つです。
VPN機器の脆弱性のように、公表された弱点にどれだけ早く対処できるかは、組織の大小を問わず課題になっています。個人で仕事をする人にとっても、自分のパソコンやルーター、使っているソフトの更新を後回しにしないことは、取引先の情報を守るための基本です。
セキュリティの仕事を在宅で受けたい場合、いきなり専門的な診断の仕事を目指す必要はありません。まずは自分のアカウントの管理を整え、事案の発表を正確に読む習慣をつけるところから始められます。@SOHOのAI・マーケティング・セキュリティのお仕事では、在宅で受けられるセキュリティ関連の仕事の種類と探し方を紹介しています。
デジタル庁のGSSの件は、2026年11月1日時点で調査が続いている段階です。省庁の仕事に関わったことがある人は、デジタル庁や省庁を名乗る連絡への注意、仕事のメールのパスワードと多要素認証の見直し、判断に迷ったときの専用窓口への問い合わせの3つを先に済ませ、続報はデジタル庁の公式サイトのお知らせで確かめてください。
よくある質問
Q. 省庁の仕事をしたことがない一般の人も、対象になりますか?
デジタル庁は、一般の方の個人情報は含まれていないことを確認したと発表しています。対象はGSSを使う府省庁などの職員と、その業務に携わった公務員、事業者、個人です。省庁の仕事にもWEB会議にも関わったことがない人は、今回の件の対象にはなりません。ただし、この件を装った偽の連絡には注意してください。
Q. マイナンバーや口座の番号は漏れていませんか?
公式発表では、漏えいした可能性がある個人情報に、マイナンバー、金融機関口座情報、年金番号等は含まれていないことを確認したと明記されています。主な項目は氏名、メールアドレス、電話番号、住所などです。口座やマイナンバーの手続きを今回の件を理由に求められた場合は、偽の連絡を疑ってください。
Q. デジタル庁から連絡が来たら、どう確かめればよいですか?
デジタル庁は、対象者を特定したうえで順次、個別に連絡するとしています。届いた連絡の中の番号やリンクは使わず、公式サイトに載っている専用フリーダイヤル(0120-360-036)に自分でかけて確かめるのが確実です。デジタル庁がメールや電話でパスワードやカード情報を尋ねることはありません。
Q. 補償やお詫びの品はありますか?
2026年11月1日時点で、デジタル庁の公式発表とQ&Aのページに、補償やお詫びの品についての記載はありません。記載がないことを前提に推測で動かず、気になる点は専用の問い合わせ窓口に確かめてください。今後の対応は、公式サイトのお知らせで発表される可能性があります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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