エムスリーのMR君 個人情報漏えい|m3.com会員等25,775名と製薬企業の担当者2,260名 確かめること 2026


この記事のポイント
- ✓エムスリーの情報漏洩について
- ✓2026年10月15日の初報と10月23日の第2報をもとに整理
- ✓MR君への不正アクセスで
エムスリーの情報漏洩について、エムスリー株式会社は2026年10月15日、製薬企業向けサービス「MR君」のシステムが第三者による不正アクセスを受け、保有する個人情報の一部が外部に漏えいしたことが判明したと発表しました。10月23日の第2報で人数が示され、漏えいが確認されたのは、m3.com会員様等25,775名と製薬企業のご担当者様2,260名です。含まれるのは氏名、勤務先、一部の方のメールアドレスなどで、ログインパスワード、保有するm3ポイント等は含まれていません。2026年11月1日時点で第2報より後の報は出ておらず、補償やお詫びの品についての記載はありません。
利用者がまずすることは3つです。m3.comの会員の人は、2026年10月22日以降にエムスリーから届く個別のメールを確かめること。エムスリーや製薬企業の担当者を名乗るメール、SMS、電話で、パスワードやカード番号、口座の情報を求められても応じないこと。そして、不審な連絡や身に覚えのない利用に気づいたら、エムスリーの窓口に連絡することです。
この記事では、エムスリーの公式発表に書かれていることだけをもとに、初報から第2報までの経緯、漏えいが確認された項目と含まれない項目、原因、会社の対応、対象かどうかの確かめ方、問い合わせ窓口を整理します。後半では、医師と製薬企業の担当者の関係が知られた場合に気をつけたい連絡の形と、仕事でm3.comを使う人の注意をまとめます。
エムスリーが発表した内容(2026年11月1日時点)
エムスリーは、医師などの医療従事者向けサイト「m3.com」を運営する会社です。今回不正アクセスを受けた「MR君」は、同社が製薬企業向けに運営しているサービスです。MRとは、医薬情報担当者のことで、製薬企業で医師に薬の情報を届ける仕事をする人を指します。
同社は、コーポレートサイトの「投資家情報・プレスリリース」に、2026年10月15日付で「不正アクセスによる個人情報漏えいに関するお詫びとお知らせ」、10月23日付でその第2報を掲載しています。第2報の冒頭は次のとおりです。
2026年10月14日(水)、当社が運営する製薬企業向けサービス「MR君」のシステムにおいて、第三者による不正アクセスを確認いたしました。調査の結果、一部のm3.com会員様等および製薬企業のご担当者様に関する情報が漏えいしたことを確認しております。 出典: エムスリー「不正アクセスによる個人情報漏えいに関するお詫びとお知らせ(第2報)」
エムスリーの書き方は「漏えいしたことを確認」です。「おそれ」や「可能性」ではなく、漏えいを確認したと書いている点に注意してください。一方で、第2報は「漏えいした情報が不特定多数に公開された事実や、不正利用された事実は確認されておりません」とも書いています。漏えいは確認されたものの、ネット上に公開されたり悪用されたりしたことは、2026年10月23日の時点で確認されていない、という意味です。
第2報で分かったことを表にまとめます。
| 項目 | 第2報(2026年10月23日)の内容 |
|---|---|
| 不正アクセスを確認した日 | 2026年10月14日(水) |
| 対象のサービス | 製薬企業向けサービス「MR君」のシステム |
| m3.com会員様等 | 25,775名(うち、6名はメールアドレスを含む) |
| 製薬企業のご担当者様 | 2,260名(うち、264名はメールアドレスを含む) |
| 不特定多数への公開・不正利用 | 確認されていない |
| 経路の遮断 | 判明後、同日中に遮断。不正取得経路の封じ込めは完了 |
| 個別の連絡 | 対象の会員には2026年10月22日(木)以降、登録のメールアドレス宛てに順次 |
人数は「いずれかの漏えいが確認された人数の総数」として示されています。m3.com会員様等と製薬企業のご担当者様は別々に数えられており、エムスリーは2つを足した合計を出していません。この記事でも、合計の人数は書きません。
公表の経緯:初報から第2報まで
この件の公表は、2026年10月15日の初報と、10月23日の第2報の2回です。2026年11月1日にエムスリーのコーポレートサイトのニュース一覧を確かめたところ、第2報より後の報は掲載されていませんでした。
時系列で並べると次のとおりです。
- 2026年10月14日(水):MR君のシステムで第三者による不正アクセスを確認。同日、一部の医師会員と製薬企業の担当者の情報が漏えいしたことを確認し、判明した不正アクセスの経路を遮断
- 2026年10月15日:初報を公表。対象は「一部の医師会員様(医師会員全体の1割未満)」と「製薬企業のご担当者様(数百名規模)」で、人数と詳細は精査中と発表
- 2026年10月22日(木):対象となる会員に、登録のメールアドレス宛てで順次個別の連絡を開始
- 2026年10月23日:第2報を公表。人数を25,775名と2,260名と示し、項目に「当社サービスのご利用に関する情報等」と「製薬企業が当社サービスに登録していた情報(担当関係等)」が加わった
- 2026年11月1日時点:第2報より後の報は出ていない
初報と第2報では、対象の呼び方が変わっています。初報は「医師会員様」と書いていましたが、第2報は「m3.com会員様等」と書き、注記で「一部、m3.com会員様以外の、製薬企業からお預かりしている医師の皆様の情報も含まれております」と説明しています。つまり、m3.comに会員登録していない医師でも、製薬企業がエムスリーに預けていた情報として対象になっている場合があります。
製薬企業の担当者の人数は、初報の「数百名規模」から第2報で2,260名になりました。初報の時点では精査中だったものが、調査が進んで確定に近い数字が出た、という流れです。
なお、エムスリーは2026年10月21日に、クラウドサービス「Studio」への不正アクセスに伴う別のサイトでの個人情報漏えいの可能性についても発表しています。これはMR君とは別の事案で、この記事では扱いません。
漏えいが確認された項目と、含まれない項目
第2報は、漏えいが確認された情報に含まれるものを、対象ごとに分けて書いています。表にすると次のようになります。
| 区分 | m3.com会員様等 | 製薬企業のご担当者様 |
|---|---|---|
| 漏えいが確認された情報に含まれるもの | 氏名、勤務先、一部の方のメールアドレス、一部の当社サービスのご利用に関する情報等、お取引先の製薬企業が当社サービスに登録していた情報(担当関係等) | 氏名、勤務先、一部の方のメールアドレス等 |
| メールアドレスを含む人数 | 6名 | 264名 |
| 含まれないと明記された情報 | ログインパスワード、保有するm3ポイント等 | ログインパスワード、保有するm3ポイント等 |
| 当社で保持していないと明記された情報 | クレジットカード番号等 | クレジットカード番号等 |
まず、メールアドレスが含まれるのは一部の人だけです。m3.com会員様等では25,775名のうち6名、製薬企業のご担当者様では2,260名のうち264名と書かれています。ほとんどの人は、氏名と勤務先などが対象で、メールアドレスは含まれていないことになります。
次に、m3.com会員様等の項目にある「お取引先の製薬企業が当社サービスに登録していた情報(担当関係等)」です。発表はこれ以上の説明をしていませんが、言葉どおりに読むと、どの製薬企業のどの担当者が、どの医師を担当しているか、といった関係の情報が含まれていると考えられます。この情報は、それ自体でお金に結びつくものではありませんが、後で説明するように、本物らしい連絡を作る材料になりえます。
ログインパスワードと保有するm3ポイント等は含まれていないと明記されています。また、クレジットカード番号等の情報は、エムスリーでは保持していないと書かれています。パスワードが漏れたわけではないので、対象の人がすぐにm3.comのパスワードを変えなければならない、という発表ではありません。
原因:第三者による不正アクセス
初報は原因について「現在、不正アクセスが可能となった原因について詳細な調査を進めております。現時点では、第三者による不正アクセスによるものと確認しております」と書いています。
第2報には、原因の詳細を説明する項目はありません。第2報で書かれているのは、「現時点で判明している不正取得経路の封じ込めは完了しており、新たな情報の不正取得は確認されておりません」という対応の状況です。どのような手口で不正アクセスされたのか、どの部分の弱さが使われたのかは、2026年11月1日時点の公式発表では明らかにされていません。
この記事では、原因を「第三者による不正アクセスで、詳しい原因は調査中と発表」とだけ書きます。報道や推測で手口を補うことはしません。不正取得経路とは、攻撃者が情報を取り出すのに使った道筋のことで、封じ込めとは、その道筋を使えないようにすることを指します。
エムスリーは初報で「監督官庁への報告など必要な対応を進めている」と書き、第2報では「監督官庁への報告など必要な対応を実施した」と書いています。今後について、第2報は「引き続き調査を進め、新たな事実が判明した場合は速やかにお知らせいたします」としています。原因が明らかになったときは、続報で公表されると考えられます。
エムスリーの対応
初報と第2報に書かれているエムスリーの対応は次のとおりです。
- 不正アクセスの判明後、同日中に判明した経路を遮断し、影響範囲の特定と並行して防御策を強化した
- 不正取得経路の封じ込めを完了し、新たな情報の不正取得は確認されていない
- 監督官庁への報告など必要な対応を実施した
- 対象となる会員に、2026年10月22日(木)以降、登録のメールアドレス宛てに順次個別に連絡している
- 対象となる製薬企業には、エムスリーの担当者から順次連絡している
- 当社の各サービスを対象とした防衛強化と、再発防止策の強化を進める
個別の連絡について、第2報は大事な一文を添えています。
当社からお送りする個別連絡で、パスワード、クレジットカード情報、銀行口座情報等の入力や提供をお願いすることはありません。 出典: エムスリー「不正アクセスによる個人情報漏えいに関するお詫びとお知らせ(第2報)」
エムスリーを名乗る連絡で、パスワードやカード情報、口座情報の入力を求められたら、それはエムスリーの個別連絡ではないと判断できます。
補償やお詫びの品については、初報にも第2報にも記載がありません。この記事でも、補償があるかどうかを推測して書くことはしません。ほかの会社の漏えいで補償がどう扱われているかを知りたい人は、情報漏洩の補償はもらえるのか|お詫び金・ポイントの例と利用者が確かめること 2026が、会社ごとの例と、利用者が確かめる点を整理しています。
自分が対象かを確かめる方法
対象かどうかを確かめる一番の手がかりは、エムスリーからの個別の連絡です。立場ごとに確かめ方が違うので、分けて説明します。
m3.comの会員の人
エムスリーは、対象となる会員に、2026年10月22日(木)以降、登録のメールアドレス宛てに順次個別の連絡をしていると発表しています。確かめる順番は次のとおりです。
- m3.comに登録しているメールアドレスの受信箱で、エムスリーからの連絡が届いていないかを見る。迷惑メールのフォルダも確かめる
- 届いていたら内容を読む。ただし、パスワードやカード情報、口座情報の入力を求める内容なら、エムスリーの個別連絡ではないので応じない
- m3.comに登録しているメールアドレスを、すでに使っていないアドレスにしていないかを思い出す
3つ目には理由があります。第2報は「登録メールアドレスの変更等の理由により個別メールをお届けできない会員様等につきましては、本お知らせをもって個別のご連絡に代えさせていただきます」と書いています。昔のアドレスのまま登録している人は、対象でも個別のメールが届かないことがあります。気になる場合は、後の節の窓口に問い合わせてください。
m3.comに登録していない医師
第2報の注記にあるとおり、対象には、m3.comの会員以外で、製薬企業からエムスリーが預かっている医師の情報も含まれています。m3.comに登録していない医師は、エムスリーからの個別のメールが届かないこともありえます。製薬企業の担当者とやり取りのある医師で、自分の情報が対象か気になる場合は、日ごろ付き合いのある製薬企業の担当者に、エムスリーから連絡があったかを尋ねる方法もあります。
製薬企業の担当者
エムスリーは、対象となる製薬企業には、同社の担当者から順次連絡していると発表しています。製薬企業の担当者個人は、自分の会社の情報管理の担当部署に、エムスリーから連絡が来ているかを確かめてください。
どの立場の人も、エムスリーを名乗る連絡が本物かどうか迷ったら、その連絡に書かれた番号やリンクではなく、エムスリーの公式サイトから窓口を確かめて問い合わせます。
担当関係が知られたときに気をつけたい連絡
この件で特に気をつけたいのは、m3.com会員様等の項目に「お取引先の製薬企業が当社サービスに登録していた情報(担当関係等)」が含まれている点です。
ふつうの漏えいなら、届く偽の連絡は「○○社です。あなたの情報が漏れました」といった、会社を名乗るものが中心です。ところが、医師と製薬企業の担当者の関係が知られると、攻撃者は「いつもお世話になっている○○製薬の△△です」と、実在の担当者の名前を名乗って連絡できるようになります。実在の担当者の名前と会社名が合っていると、受け取った医師は本物だと思いやすくなります。
エムスリーの発表は、不正利用された事実は確認されていないと書いています。この記事で書いているのは、漏えいした項目から一般に考えられる注意点で、こうした連絡がすでに届いているという意味ではありません。そのうえで、医師の人が気をつけたい連絡を挙げます。
- 担当者の名前で届く、ふだんと違うアドレスからのメール
- 新しい資料や講演会の案内として、ログインやアカウントの作成を求めるメール
- 「エムスリーの件でアカウントの確認が必要です」と、パスワードの入力を求める連絡
- 講演料や謝礼の振込のためとして、口座情報やマイナンバーを求める連絡
- 至急の対応を求め、ふだん使っている連絡の経路を使わせない連絡
これらに当てはまる連絡が来たら、ふだんから使っている連絡先で、担当者本人に確かめてください。担当者の名刺の番号や、製薬企業の代表番号などが使えます。連絡に書かれた番号に電話するのは避けます。偽の連絡なら、その番号も攻撃者が用意したものかもしれないからです。
製薬企業の担当者の人は、反対に、自分の名前を使った偽の連絡が医師に届くおそれがあると考えてください。担当している医師に「当社からパスワードや口座の情報をメールでお尋ねすることはありません」と伝えておくと、医師が偽の連絡に気づきやすくなります。
不審なメール・SMS・電話への備え
エムスリーは、初報と第2報の両方で「当社を装った不審なメール、SMS、お電話等にご注意ください」と呼びかけています。漏えいの発表の後には、その会社を名乗る偽の連絡が出回ることがあるためです。
メール、SMS、電話のそれぞれで、気をつけたい点をまとめます。
メール
- 差出人の表示名ではなく、実際のメールアドレスを確かめる
- メールのリンクからログインしない。m3.comを開くときは、ブックマークや公式アプリを使う
- 添付ファイルを開く前に、送り主に別の経路で確かめる
- パスワード、カード情報、口座情報の入力を求められたら応じない
SMS
- SMSのリンクは押さない。宅配の不在通知やアカウントの停止を装うものが多い
- SMSで届いた番号に電話をかけない
- 身に覚えのない確認コードが届いたら、誰にも伝えない
身に覚えのない確認コードが届いたときの考え方は、認証コードが勝手に届くのはなぜ|放置してよいかと乗っ取りを防ぐ確認 2026で説明しています。
電話
- エムスリーや製薬企業を名乗る電話で、パスワードや口座の情報を聞かれたら答えない
- いったん電話を切り、公式サイトに載っている番号にかけ直して確かめる
- 「今すぐ対応しないとアカウントが止まる」と急がせる電話ほど、時間をとる
フィッシング詐欺のメールを見分ける手順は、フィッシング詐欺メールの見分け方|5秒で振り分ける手順と開いた後の対処に、開いてしまった後の対処とあわせてまとめています。
漏えいした項目ごとに、することを整理する
漏えいが確認された項目によって、気をつけることは変わります。第2報に書かれた項目ごとに、することを表にまとめます。
| 漏えいが確認された項目 | 考えられる悪用の形 | すること |
|---|---|---|
| 氏名、勤務先 | 勤務先あての郵便や電話で、本人を名乗る、または本人あてに偽の連絡をする | 勤務先の事務に、本人を名乗る問い合わせや不審な郵便に注意してもらう |
| 一部の方のメールアドレス | エムスリーや製薬企業を装ったフィッシングメール | メールのリンクからログインしない。パスワード等の入力を求めるメールに応じない |
| 一部の当社サービスのご利用に関する情報等 | 利用の内容に触れて、本物らしく見せた連絡 | 利用の内容が書かれていても、それだけで本物と判断しない |
| 製薬企業が登録していた情報(担当関係等) | 担当者の名前を名乗る連絡 | ふだん使っている連絡先で、担当者本人に確かめる |
表の「考えられる悪用の形」は、項目から一般に考えられるもので、エムスリーがそうした被害を確認したという意味ではありません。第2報は、不正利用された事実は確認されていないと書いています。
メールアドレスが含まれるのは一部の人だけなので、多くの人にとっては、メールよりも勤務先あての電話や郵便、担当者を名乗る連絡のほうに注意が要ります。自分のメールアドレスが含まれているかどうかは、エムスリーからの個別の連絡や、窓口への問い合わせで確かめてください。
リンクを押してしまったときと、情報を入力してしまったとき
不審な連絡のリンクを押したり、情報を入力したりしてしまった場合も、落ち着いて順番に対処すれば被害を小さくできます。
リンクを押しただけで、何も入力していない場合は、開いたページを閉じます。ウイルス対策ソフトで端末を検査しておくと安心です。
IDやパスワードを入力してしまった場合は、次の順番で対処します。
- 入力したサービスのパスワードを、公式サイトや公式アプリから開いてすぐに変更する
- 同じパスワードを使っているほかのサービスも変更する
- そのサービスで多要素認証を使えるなら設定する
- ログインの履歴に、心当たりのない端末や地域がないかを確かめる
多要素認証とは、パスワードに加えて、スマートフォンの認証アプリや確認コードなど、別の要素を組み合わせてログインする仕組みです。パスワードが盗まれても、もう1つの要素がなければログインできません。仕組みと導入のしかたはMFA(多要素認証)導入のメリットと製品比較|2026年の認証セキュリティ決定版で説明しています。
クレジットカードの番号を入力してしまった場合は、カードの裏面に書かれた番号でカード会社に連絡し、利用を止めてもらいます。口座の情報を入力してしまった場合は、取引のある金融機関に連絡します。病院や会社の端末で入力した場合は、自分だけで判断せず、情報システムの担当者に知らせてください。
エムスリーが漏えいを確認した項目には、パスワードもカード番号も含まれていません。そのため、上の手順が要るのは、偽の連絡に応じて自分から入力してしまった場合です。漏えいの対象になっただけで、すぐにカード会社に連絡する必要があるわけではありません。
病院や製薬企業で情報管理を担当する人がすること
この件の対象は、医師個人と製薬企業の担当者個人です。ただ、勤務先の情報が含まれているため、病院や製薬企業の組織としても備えておくと、偽の連絡による被害を防ぎやすくなります。
病院の事務や情報システムの担当者ができることは、次のとおりです。
- 院内の医師に、エムスリーの第2報の内容と、エムスリーは個別の連絡でパスワードやカード情報、口座情報を求めないことを知らせる
- 製薬企業の担当者を名乗る連絡が、いつもと違うアドレスや電話番号から届いたら、事務の窓口に相談するよう伝える
- 院内のメールの仕組みで、外部から届いたメールに目印を付ける設定があれば使う
- 不審な連絡の相談が来たら、日時と内容を記録し、同じ連絡がほかの医師に届いていないかを確かめる
製薬企業の情報管理の担当者ができることは、次のとおりです。
- エムスリーからの連絡の内容を社内で共有し、対象の担当者に知らせる
- MRに、担当している医師へ「当社からパスワードや口座の情報をメールでお尋ねすることはありません」と伝えてもらう
- 自社の名前や担当者の名前を使った不審な連絡の相談を受け付ける窓口を、社内で決めておく
- 自社のドメインに似たアドレスからのメールが出回っていないかに注意する
組織で取り組むと、1人では気づけない偽の連絡も、相談が集まることで早く見つけられます。
続報を追うときに見る場所
エムスリーは第2報で「引き続き調査を進め、新たな事実が判明した場合は速やかにお知らせいたします」と書いています。2026年11月1日時点では第2報より後の報は出ていませんが、今後、原因の詳細や対応の追加が発表される可能性があります。
続報を追うときは、エムスリーのコーポレートサイトの「投資家情報・プレスリリース」を見ます。初報も第2報も、この一覧にPDFで掲載されています。SNSで流れてくる情報や、まとめサイトの記事は、内容が古かったり、ほかの会社の事案と混ざっていたりすることがあるので、数字や項目は公式の発表で確かめてください。
エムスリーから個別のメールを受け取った人は、そのメールを削除せずに保存しておきます。後から問い合わせるときや、エムスリーを名乗る別の連絡が届いたときに、本物の連絡と見比べる手がかりになります。
また、エムスリーは2026年10月21日に、クラウドサービス「Studio」に関わる別の事案も発表しています。同じ会社の名前が出てくるため、続報を読むときは、題に「MR君」や「第2報」などの語があるかを見て、どの事案の発表かを確かめてください。
問い合わせ窓口
第2報に載っている問い合わせ先は次のとおりです。
| 立場 | 問い合わせ先 |
|---|---|
| 会員 | エムスリー株式会社 m3.com カスタマーサポート [email protected] |
| お取引先(製薬企業) | 対象の製薬企業へは、エムスリーの担当者から順次連絡 |
| 株主・投資家 | エムスリー株式会社 IR担当 [email protected] |
| 報道関係者 | エムスリー株式会社 広報担当 [email protected] |
会員向けの問い合わせ先は、初報ではm3.comの問い合わせのページが案内されていましたが、第2報ではメールアドレス [email protected] が書かれています。電話番号と受付時間は、初報にも第2報にも載っていません。この記事でも、載っていない番号は書きません。
問い合わせる前に、次のことをまとめておくと話が早く進みます。
- m3.comに登録している氏名とメールアドレス
- エムスリーから個別のメールを受け取ったかどうかと、受け取った日時
- 不審な連絡を受けた場合は、その日時、差出人、内容
問い合わせのメールに、パスワードやカード番号を書く必要はありません。エムスリーは、個別の連絡でパスワードやカード情報、口座情報の入力や提供を求めることはないと発表しています。問い合わせの返事として、そうした情報を求められた場合は、相手が本物かどうかを疑ってください。
医療の現場で連絡を受ける人ができる日ごろの備え
医師や病院のスタッフには、製薬企業や医療関係のサービスから、たくさんの連絡が届きます。その中に偽の連絡が混ざると、見分けるのは簡単ではありません。この件の対象かどうかにかかわらず、日ごろからできる備えを挙げます。
1つ目は、連絡の経路を決めておくことです。製薬企業の担当者とのやり取りは、名刺に書かれたアドレスや、病院で決めた窓口を通すようにします。いつもと違う経路で届いた連絡は、それだけで確かめる理由になります。
2つ目は、医療関係のサービスのアカウントを分けて管理することです。m3.comなどのサービスのパスワードを、ほかのサービスと同じにしないようにします。パスワード管理アプリを使うと、サービスごとに長く複雑なパスワードを設定しても覚える必要がありません。使い回しをやめる具体的な手順は、IDとパスワード管理を安全にする方法|使い回しをやめる具体手順にまとめています。医療関係のサービスは、勤務先の病院の端末と自宅の端末の両方から使うことが多いので、どの端末にパスワードを保存しているかも一度見直しておくと安心です。共用の端末にパスワードを保存したままにしていると、ほかの人がそのままログインできてしまいます。病院の共用端末では、使い終わったらログアウトする習慣をつけてください。
3つ目は、病院の中で相談できる相手を決めておくことです。不審な連絡が来たとき、情報システムの担当者や事務の担当者にすぐ相談できれば、同じ連絡がほかの医師に届いていないかも分かります。
4つ目は、患者の情報を扱う端末で、不審なリンクや添付ファイルを開かないことです。病院の端末がウイルスに感染すると、自分の情報だけでなく、患者の情報にも影響が及ぶおそれがあります。
在宅で仕事をする人が、取引先の情報を預かる立場として気をつけること
m3.comは医師などの医療従事者向けのサイトです。医師が副業として医療記事の監修や執筆を在宅で受けている場合や、製薬企業の資料作りを在宅で手伝っている人のように、仕事の中で医療関係の情報やサービスに触れる人もいます。そうした人は、自分の情報が漏れる側だけでなく、取引先や患者の情報を預かる側でもあります。
個人情報保護委員会は、漏えいやその恐れが起きたときの対応を公式ページ「漏えい等の対応とお役立ち資料」で説明しています。そこでは、個人情報保護委員会への報告が義務になる場合として、次の4つが挙げられています。
- 要配慮個人情報が含まれる個人データの漏えい等(又はそのおそれ)
- 不正に利用されることにより財産的被害が生じるおそれがある個人データの漏えい等(又はそのおそれ)
- 不正の目的をもって行われたおそれがある行為による個人データの漏えい等(又はそのおそれ)
- 個人データに係る本人の数が1,000人を超える漏えい等(又はそのおそれ)
要配慮個人情報とは、病歴や健康診断の結果、診療・調剤情報など、取り扱いに特に配慮が要る情報のことです。委員会は例として「病院における患者の診療情報や調剤情報を含む個人データを記録したUSBメモリーを紛失した場合」を挙げています。医療関係の仕事で患者の情報に触れる人は、この種類の情報が人数に関係なく報告の対象として挙げられている点を覚えておいてください。詳しくは個人情報保護委員会「漏えい等の対応とお役立ち資料」で確かめられます。
個人で仕事を受けている人に、どの義務がかかるかは、扱っている情報や取引の形で変わります。この記事で個別に判断することはできません。委員会のページには、個人の相談を受け付ける「個人情報保護法相談ダイヤル」(03-6457-9849)が載っているので、迷ったときはこうした公的な窓口に相談してください。
日々の仕事で気をつけたいことは、次のとおりです。
- 仕事で使うアカウントには多要素認証を設定する
- 取引先から預かった資料は、案件が終わったら取り決めに沿って削除する
- 患者の情報が入った資料を、個人用のメールやクラウドに保存しない
- 不審な連絡に応じてしまったら、隠さずに取引先に知らせる
在宅で受けられるセキュリティ関連の仕事に関心がある人は、@SOHOのAI・マーケティング・セキュリティのお仕事で、仕事の種類と探し方を紹介しています。まずは自分のアカウントの設定を見直し、事案の発表を正確に読む習慣をつけるところから始められます。
よくある質問
Q. m3.comの会員なら、全員がこの件の対象ですか?
全員ではありません。2026年10月23日の第2報で漏えいが確認されたのは、m3.com会員様等25,775名と製薬企業のご担当者様2,260名です。対象の会員には10月22日以降、登録のメールアドレス宛てに順次個別の連絡が届いています。登録アドレスを変えていて連絡が届かない人もいるため、気になる場合は窓口に問い合わせてください。
Q. m3.comのパスワードは変えたほうがいいですか?
エムスリーは、ログインパスワードは漏えいした情報に含まれていないと発表しています。そのため、この件だけを理由に急いで変える必要はありません。ただし、ほかのサービスと同じパスワードを使っている場合や、不審なメールのリンクから入力してしまった場合は、公式サイトから開いて変更し、多要素認証も設定してください。
Q. 製薬企業の担当者を名乗る不審な連絡が来たらどうすればいいですか?
連絡に書かれた番号やリンクは使わず、名刺の番号や製薬企業の代表番号など、ふだん使っている連絡先で担当者本人に確かめてください。第2報では、漏えいした項目に医師と製薬企業の担当関係等が含まれています。パスワードや口座情報を求める連絡には応じないことが大切です。
Q. 問い合わせはどこにすればいいですか?
会員の人は、第2報に載っているエムスリー株式会社 m3.com カスタマーサポート([email protected])に問い合わせます。対象の製薬企業へは、エムスリーの担当者から順次連絡すると発表されています。電話番号と受付時間は、2026年11月1日時点の発表には載っていません。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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