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富士フイルムメディカルの不正アクセス|医療従事者など約59万人分の個人情報が流出した可能性 2026

@SOHO編集部
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富士フイルムメディカルの不正アクセス|医療従事者など約59万人分の個人情報が流出した可能性 2026

この記事のポイント

  • ✓富士フイルムメディカルの情報漏洩について
  • ✓2025年12月23日の公式発表をもとに整理
  • ✓営業管理システムへの不正アクセスで医療従事者と販売事業者従業員の約59万人分が流出した可能性

富士フイルムメディカルの情報漏洩について、富士フイルムメディカル株式会社は2025年12月23日、同社の営業管理システムが外部から不正アクセスを受け、医療従事者と販売事業者従業員の個人情報の一部、約59万人分が流出した可能性があると発表しました。項目は氏名や職種、一部の人の生年月日・電話番号・メールアドレス・勤務先に係る情報などで、金融機関口座情報、クレジットカード情報、患者様情報、要配慮個人情報は含まれていないと明記されています。 2026年11月1日時点で、同社の重要なお知らせの一覧に続報は掲載されておらず、件数の確定や調査結果の続報は公式サイトに掲載されていません。発表の時点で、情報の公開や不正利用などの二次的被害は確認されていないとされています。 対象になりうる人がまずすることは、富士フイルムメディカルや学会、取引先を名乗る不審なメールのリンクや添付ファイルを開かないこと、そして電話や郵便での連絡を、自分で調べた連絡先で確かめることです。

この記事は、2026年11月1日時点で富士フイルムメディカルの公式発表「不正アクセスによる個人情報流出の可能性に関するご報告とお詫び」を開き直し、書かれている範囲だけで整理しています。報道の数字や推測は入れていません。

富士フイルムメディカルの発表の要点

富士フイルムメディカルは、医療機関向けに画像診断の装置や医療用の機器、医療ITのシステムなどを扱う富士フイルムグループの会社です。今回の発表は、同社サイトの「重要なお知らせ」として掲載されました。

発表の骨子は次のとおりです。

  • 同社の営業管理システムが外部からの不正アクセスを受けた
  • 外部の第三者が、営業管理システムのIDとパスワードを不正に入手し、システムにアクセスした可能性がある
  • アクセスがあったのは2025年6月23日で、流出の可能性が判明したのは2025年10月10日
  • 対象は、同社が保有する医療従事者と販売事業者従業員の個人情報の一部で、約59万人分
  • 金融機関口座情報、クレジットカード情報、患者様情報、要配慮個人情報は含まれていない
  • 発表の時点で、情報の公開や不正利用などの二次的被害は確認されていない
  • 同社が連絡先を把握している人には個別に連絡する

大事なのは、同社が「流出した」と断定しているのではなく、「流出した可能性がある」と書いている点です。この記事でも、その表現のまま扱います。

もう1つ押さえておきたいのは、対象が一般の患者ではないことです。発表は「患者様情報」は含まれていないと明記しています。富士フイルムメディカルの機器がある病院で検査を受けたことがある、というだけで対象になるわけではありません。対象として書かれているのは、医療機関で働く医療従事者と、同社の製品を扱う販売事業者の従業員です。

公表の経緯と、2026年11月1日時点の状況

発表に書かれている日付を時系列で並べます。

日付 出来事
2025年6月23日 外部の第三者が、同社が管理するアカウントのIDとパスワードを用いて営業管理システムにアクセス
2025年10月10日 社内調査の結果、約59万人分の個人情報が流出した可能性があることが判明
2025年12月23日 同社サイトの重要なお知らせで公表

発表の概要の部分は、次のように書かれています。

社内調査の結果、弊社が管理するアカウントのID及びパスワードを用いて弊社の営業管理システムに外部の第三者が2025年6月23日にアクセスし、約59万人分の個人情報が流出した可能性があることが2025年10月10日に判明しました。 出典: 富士フイルムメディカル「不正アクセスによる個人情報流出の可能性に関するご報告とお詫び」

2026年11月1日に、同社サイトの「重要なお知らせ」の一覧と、お知らせ全体の一覧を確かめました。重要なお知らせの一覧で、この件に関するものは2025年12月23日の発表だけで、その後に続報は掲載されていませんでした。お知らせ全体の一覧には、2026年に入ってからも新製品の案内などが並んでいますが、この件の続報はありません。2026年11月1日時点で、続報は公式サイトに掲載されていません。

続報がないということは、件数や項目が変わったという知らせも、調査が終わったという知らせも、公式には出ていないということです。発表は「モニタリングを含む調査を継続」と書いているため、今後新しいことが分かれば、同じ重要なお知らせの一覧に掲載されると考えられます。確かめるときは、メールなどに書かれたリンクからではなく、自分で検索するかブックマークから同社の公式サイトを開きます。

流出した可能性のある情報と含まれない情報

発表は、対象を「医療従事者様」と「販売事業者従業員様」の2つに分けて、流出した可能性のある情報を書いています。含まれない情報と合わせて表にします。

対象 流出した可能性のある情報
医療従事者 氏名、職種
医療従事者(一部の人) 性別、生年月日、年齢、出身地、出身校と卒業年、電話番号、メールアドレス、勤務先に係る情報
医療従事者 所属学会、専門分野、同社の営業管理メモ
販売事業者従業員 氏名、勤務先の名称・住所・電話番号
含まれていないと明記された情報
金融機関口座情報
クレジットカード情報
患者様情報
要配慮個人情報

要配慮個人情報とは、病歴や健康診断の結果、信条など、本人に対する不当な差別や偏見が生じないように特に配慮が必要な個人情報のことです。個人情報保護委員会は、病歴や健康診断その他の検査の結果、診療・調剤情報などをその例として挙げています(個人情報保護委員会「漏えい等の対応とお役立ち資料」)。今回の発表は、こうした情報は含まれていないとしています。

医療従事者の項目のうち、性別から勤務先に係る情報までは「一部の方の」と書かれています。つまり、全員についてこれらの項目がそろっているわけではありません。氏名と職種だけの人もいれば、電話番号やメールアドレスまで含まれる人もいる、という意味です。誰にどの項目が含まれるかは、発表には書かれていません。

販売事業者従業員の項目は、氏名と勤務先の名称・住所・電話番号です。自宅の住所や個人の携帯電話の番号は、発表の項目には書かれていません。

営業管理メモや出身校が含まれることの意味

今回の項目には、ほかの情報漏えいではあまり見ない「出身校と卒業年」「所属学会」「専門分野」「弊社営業管理メモ」が入っています。営業管理システムとは、会社の営業担当者が、取引先の担当者の情報や訪問の記録、商談の進み具合などを記録しておくシステムのことです。

これらの項目は、カード番号や口座番号のように直接お金を引き出せる情報ではありません。一方で、だます側から見ると、相手に「本物の関係者だ」と思わせる材料になりえます。たとえば、次のような連絡が考えられます。

  • 所属学会の名前をかたり、学術集会の参加登録や会費の支払いを求めるメール
  • 出身校と卒業年を知っている同窓生を装い、同窓会の名簿の確認や寄付を求める連絡
  • 専門分野に合わせた新しい装置の案内やセミナーの招待を装い、偽のサイトでログインさせる手口
  • 担当の営業を名乗り、勤務先の電話に「資料を送るのでメールアドレスを教えてほしい」とかけてくる電話

ここに挙げたのは、項目の組み合わせから考えられる手口の例です。発表の時点では、二次的被害は確認されていないとされています。ただ、氏名と勤務先と専門分野がそろうと、文面に具体的な名前が入った、もっともらしい連絡を作りやすくなる点は知っておきたいところです。

営業管理メモの中身は、発表には書かれていません。どんな記録が含まれるかを推測で決めつけず、「自分と同社の担当者とのやり取りの記録が含まれている可能性がある」と受け止めておくのが正確です。

原因について発表で分かっていること

発表に書かれている原因は、外部の第三者が営業管理システムのIDとパスワードを不正に入手し、そのIDとパスワードを使ってシステムにアクセスした可能性がある、というものです。

IDとパスワードが、どのような経路で第三者の手に渡ったのかは、発表に書かれていません。フィッシングで盗まれたのか、ほかの場所から漏れたものが使われたのか、といった点は、2026年11月1日時点で公式には示されていません。この記事では推測で原因を決めつけません。

日付の面では、アクセスがあった2025年6月23日から、流出の可能性が判明した2025年10月10日まで、約3か月半の開きがあります。さらに判明から公表の2025年12月23日まで、約2か月半あります。それぞれの間に何が行われていたかは、発表に「社内調査」と書かれている以外の説明はありません。

IDとパスワードだけで入れるシステムは、そのIDとパスワードが漏れると、正しい利用者と見分けがつかない形で使われてしまいます。会社のシステムで多要素認証が広く使われるようになっているのは、このためです。多要素認証とは、パスワードに加えて、スマートフォンのアプリに表示される確認コードや指紋など、別の手段でも本人であることを確かめる仕組みのことです。パスワードが第三者に知られても、もう1つの手段がなければログインできないため、被害を防ぎやすくなります。多要素認証の考え方と導入の進め方は、MFA(多要素認証)導入のメリットと製品比較|2026年の認証セキュリティ決定版で整理しています。

富士フイルムメディカルの対応

発表に書かれている同社の対応は、次のとおりです。

  • 不正アクセスが判明した後、対象のシステムを遮断した
  • 個人情報保護委員会などの関連機関に報告した
  • モニタリングを含む調査を続けている
  • IDとパスワードの管理体制の強化を含めた再発防止策を実施している
  • 該当する医療従事者と販売事業者従業員のうち、同社が連絡先を把握している人には個別に連絡する

また、関係する人に向けて、不審なメールや連絡を受け取った場合は、記載されたリンクや添付ファイルを開かないよう呼びかけています。

補償やお詫びの品については、発表には書かれていません。この記事でも、補償の有無を推測しません。発表に無いことを理由に「補償がある」「補償がない」と言い切ることはできないため、気になる人は下の窓口で確かめます。

発表から分かることと、まだ分からないこと

情報漏えいの発表を読むときは、書かれていることと書かれていないことを分けて受け止めると、必要以上に不安にならずに済みます。富士フイルムメディカルの発表について、2026年11月1日時点で整理します。

発表から分かることは、次のとおりです。営業管理システムに、外部の第三者が同社の管理するアカウントのIDとパスワードを使って2025年6月23日にアクセスしたこと。約59万人分の個人情報が流出した可能性があると2025年10月10日に判明したこと。対象は医療従事者と販売事業者従業員で、口座、カード、患者様情報、要配慮個人情報は含まれないこと。システムは遮断され、個人情報保護委員会などに報告されたこと。連絡先が分かる人には個別に連絡すること。

一方で、発表からは分からないこともあります。IDとパスワードがどのような経路で第三者に渡ったのか。約59万人のうち、医療従事者と販売事業者従業員がそれぞれ何人なのか。電話番号やメールアドレスまで含まれる「一部の方」が何人なのか。営業管理メモに何が記録されていたのか。個別の連絡がどの方法で、いつまでに届くのか。補償やお詫びの対応があるのか。これらは発表に書かれていません。

分からないことについて、報道やSNSの推測で穴を埋めないことが大切です。特に、件数や原因について発表と違う数字や説明を見かけたときは、同社の公式サイトの重要なお知らせを開いて、同じことが書かれているかを確かめます。公式に書かれていないことは、まだ分かっていないこととして扱うのが正確です。

自分が対象かを確かめる方法

同社は、該当する人のうち連絡先を把握している人には個別に連絡すると書いています。どの方法で連絡するか(郵便、メール、電話など)は、発表には書かれていません。

確かめ方は、次の2つです。

  1. 富士フイルムメディカルから個別の連絡が届いているかを確かめる
  2. 届いていないが気になるときは、発表に載っている窓口に電話で問い合わせる

ここで注意したいのは、個別の連絡が届くことを知っている人ほど、偽の連絡にもだまされやすくなることです。「富士フイルムメディカルです。流出の対象になったので、本人確認のためにこちらのフォームに入力してください」のようなメールが届いた場合、そのリンクは開かず、発表に載っている窓口の電話番号に自分でかけて確かめます。

発表に書かれている窓口は、電話の特設対応窓口です。発表には、メールやフォームで本人確認をするとは書かれていません。

項目 内容
窓口の名前 富士フイルムメディカル株式会社 経営推進本部 DX戦略部 特設対応窓口
電話番号 0120-770-200
受付時間 平日9:00から17:00
発表に添えられた日程の記載 12月23日から29日、1月5日から

日程の記載は、2025年の年末年始の受付についての書き方と読めます。2026年11月1日時点でも、発表のページには同じ記載のまま残っています。電話をかける前に、発表のページを開いて窓口の記載が変わっていないかを確かめてください。

個別の連絡が届いたとき

同社から個別の連絡が届いたら、まず、その連絡に書かれている窓口の電話番号が、同社の公式サイトの発表に載っている番号(0120-770-200)と同じかを確かめます。番号が違う、ほかのサイトでの入力を求めている、といった場合は、同社の名前をかたった偽の連絡かもしれません。

本物の連絡だと確かめられたら、書かれている内容をよく読み、自分にどの項目が関係するのかを控えておきます。連絡の書面やメールは、後で問い合わせるときのために保存しておきます。勤務先の住所に届いた場合は、職場の同僚にも同じ連絡が届いているかもしれないため、部署の中で共有しておくと、院内で注意をそろえやすくなります。

連絡が届かない人も、対象ではないと言い切れるわけではありません。同社は「連絡先を把握している方」に個別に連絡すると書いているため、異動や退職で連絡先が変わった人には届かないことも考えられます。心当たりがある人は、窓口に問い合わせて確かめます。問い合わせるときは、名前、勤務先、職種、同社の製品や担当者と関わりがあった時期を伝えられるよう、手元に控えてからかけると話が早く進みます。受付は平日の日中なので、勤務の合間にかけるときは時間に余裕をもっておきます。

医療従事者がすること

ここからは、対象になりうる医療従事者がすることを、項目に合わせて整理します。

不審なメールのリンクと添付ファイルを開かない

同社が発表で呼びかけているのは、不審なメールや連絡のリンクや添付ファイルを開かないことです。メールアドレスは「一部の方の」項目に入っているため、自分のアドレスが含まれているかどうかは分かりません。含まれている前提で、次の点に気をつけます。

  • 富士フイルムメディカル、学会、出身校の同窓会を名乗るメールのリンクを、すぐに開かない
  • 添付ファイルが「見積書」「製品資料」「参加証」などの名前でも、送り主に心当たりがなければ開かない
  • 迷ったら、ふだん使っている連絡先で同じ案内が出ているかを確かめる

フィッシングメールの見分け方の手順は、フィッシング詐欺メールの見分け方|5秒で振り分ける手順と開いた後の対処で詳しく説明しています。

勤務先にかかってくる電話に気をつける

勤務先に係る情報が含まれる人がいるため、勤務先の電話に、同社の担当者や学会の事務局を名乗る電話がかかってくることも考えられます。その場で個人の携帯電話の番号やメールアドレス、勤務先のシステムのIDを答えないようにします。必要な連絡なら、相手の名前と用件を聞いて一度切り、自分で調べた連絡先にかけ直して確かめます。

電話番号が知られている前提での備えは、電話番号の流出チェックの方法|流出したらどうなるかと迷惑電話・SMSへの備え 2026も参考になります。

パスワードの使い回しを見直す

発表にはパスワードが流出したとは書かれていません。医療従事者のパスワードは項目に入っていません。それでも、学会の会員ページや研修の申し込みサイトなど、医療従事者向けのサービスで同じパスワードを使い回している場合は、今のうちに分けておくと、偽のサイトに入力してしまったときの影響を小さくできます。

しなくてよいこと

発表の項目に金融機関口座情報とクレジットカード情報は含まれていないため、この件だけを理由にカードを止めたり、口座を変えたりする必要はありません。患者様情報も含まれていないため、受け持っている患者に連絡する必要も、発表の内容からは生じません。ただし、勤務先の医療機関として何をするかは、次の節のとおり、医療機関の担当者が判断します。

勤務先の医療機関に伝えておきたいこと

医療従事者に届く偽のメールは、本人だけでなく勤務先の医療機関のネットワークにとっても入り口になりえます。病院のパソコンで偽の添付ファイルを開くと、院内のシステムに影響が広がるおそれがあるためです。

対象になりうる医療従事者は、勤務先の情報システムの担当者や事務長に、次のことを伝えておくと、院内で同じ注意を共有しやすくなります。

  • 富士フイルムメディカルが、営業管理システムへの不正アクセスで医療従事者の情報が流出した可能性があると発表していること
  • 勤務先に係る情報が含まれる人がいること
  • 同社や学会を名乗る不審なメールが届いたら、開かずに担当者に知らせてほしいこと

厚生労働省は、医療機関が守るべき情報システムの安全管理の考え方を「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」として示しています。2026年11月1日時点で掲載されているのは第7.0版(令和8年6月)で、同じページに医療機関・薬局向けのサイバーセキュリティ対策のチェックリストも掲載されています(厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版」)。院内の対応をどうするかは、このガイドラインと医療機関の方針に沿って担当者が決めることです。

院内でメールの訓練を行う考え方は、社員のセキュリティ意識を向上させるフィッシングメール模擬訓練の効果|2026年最新の従業員教育ガイドで紹介しています。医療機関でも、受け取った人が「開かずに担当者に知らせる」までを習慣にできるかどうかが大切です。

販売事業者の従業員がすること

販売事業者従業員の項目は、氏名と勤務先の名称・住所・電話番号です。販売事業者とは、富士フイルムメディカルの製品を医療機関に販売する取引先の会社のことです。この人たちに向けては、取引の関係を利用した連絡に気をつけたいところです。

考えられる例として、次のような連絡があります。

  • 富士フイルムメディカルの担当者を名乗り、「振込先の口座が変わった」と知らせるメール
  • 発注や見積もりの確認を装って、添付ファイルを開かせるメール
  • 新しい取引のシステムに登録するよう求め、偽のサイトでIDとパスワードを入力させる手口

取引先からの振込先の変更や、ふだんと違う手順の依頼は、メールだけで進めず、これまでやり取りしてきた担当者に、すでに知っている電話番号で確かめます。社内で経理や受発注の担当者が別にいる場合は、その人たちにも今回の発表を共有しておくと、だまされる手前で止まりやすくなります。

偽の連絡の具体例と見分け方

対象者に共通する見分け方を、連絡の形ごとに整理します。

メールとSMSの場合

警察庁は、フィッシングのメールの文面には「個人情報の漏えい」「不正アクセス検知」のように、慌てさせてログインさせようとするものが多いと説明しています(警察庁「フィッシング対策」)。今回のような発表の後には、「流出の対象か確認するため」「お詫びの品の送り先を確認するため」と書いたメールやSMSが届くことも考えられます。

送信元の名前やメールアドレスは偽装できるため、見た目だけで本物と判断しないことが大切です。リンクを開く前に、同じ内容が同社の公式サイトの重要なお知らせに出ているかを確かめます。

電話の場合

電話で口座番号やカード番号、暗証番号を聞かれたら、相手が誰を名乗っていても答えません。発表には、電話でこうした情報を確かめるとは書かれていません。いったん切って、発表に載っている窓口の電話番号に自分でかけ直します。相手が教えてきた番号にはかけ直しません。

入力してしまったとき

偽のサイトにIDやパスワードを入力してしまったら、そのIDとパスワードを使っているすべてのサービスで、すぐにパスワードを変えます。勤務先のシステムのIDを入力した場合は、勤務先の情報システムの担当者にすぐ知らせます。カード番号を入力した場合は、カード会社に連絡します。

職場や家族で共有しておく確かめ方の手順

偽の連絡は、本人が外来や手術、出張で手が離せない時間に届くこともあります。代わりに電話を受ける同僚や事務の担当者、家族も同じ動き方ができるよう、確かめ方を表にして共有しておくと安心です。

届いた連絡 確かめる先 その場でしないこと
富士フイルムメディカルを名乗るメール 同社の公式サイトの重要なお知らせ、発表に載っている特設対応窓口 リンクや添付ファイルを開く
同社の担当者を名乗る電話 これまでやり取りしてきた担当者に、すでに知っている番号でかけ直す 携帯電話の番号や勤務先のシステムのIDを答える
学会や研修の事務局を名乗るメール 学会の公式サイトを自分で開いて、同じ案内があるか確かめる 参加費や会費をメールの振込先に払う
出身校の同窓生や同窓会を名乗る連絡 同窓会の公式の連絡先 名簿の確認と言われて個人情報を送る
振込先の変更を知らせる取引先のメール 取引先の担当者に、すでに知っている番号で確かめる メールの指示どおりに振込先を変える

表のとおりに動けば、どの項目が流出していたとしても、だまされる手前で止まれます。連絡を受けた日時、相手の名前や番号、言われた内容はメモに残しておきます。窓口や警察に相談するとき、具体的な記録があると話が早く進みます。

医局や部署の連絡用のグループで共有しておくと、同じ偽のメールが複数の人に届いたときにも気づきやすくなります。偽のメールは、同じ文面が同じ職場の何人かに一斉に届くことがあるためです。

発表に出てくる言葉の意味

発表を読むときに、意味を押さえておきたい言葉を整理します。

言葉 意味
流出した可能性 外部に出たかもしれないが、確かめきれていない状態
二次的被害 流出した可能性のある情報が公開されたり、詐欺などに悪用されたりして起きる被害
営業管理システム 営業担当者が取引先の担当者の情報や商談の記録を管理するシステム
要配慮個人情報 病歴や健康診断の結果など、扱いに特に配慮が必要な個人情報
モニタリング 情報が公開されたり悪用されたりしていないかを見張り続けること

同社の発表では、流出は「可能性」とされ、二次的被害は「確認されておりません」とされています。言い換えると、外部の第三者がシステムにアクセスした可能性は会社が認めている一方で、情報が実際に悪用されたとは書かれていない、という状態です。続報が出たときは、この2点が変わったかどうかを見ると、何が新しく分かったのかを読み取りやすくなります。

学会や同窓会の役員を務めている人が気をつけること

今回の項目には、所属学会と出身校・卒業年が含まれます。学会の事務局や同窓会の役員を務めている人は、会員に向けて届く偽の連絡の名前として、自分の組織が使われるおそれがあることも知っておきたいところです。

たとえば、学会の名前で「学術集会の参加登録の締め切りが近い」「会費が未納になっている」といったメールが会員に届き、偽のサイトで支払わせる手口が考えられます。会員から「このメールは本物か」と問い合わせが来たときに、すぐ答えられるようにしておくと、被害を広げずに済みます。

組織の側でできることは、次のとおりです。

  • 会費や参加費の支払いの案内は、どの方法で送るのか(会員ページ、郵便、決まった送信元アドレスなど)を会員に知らせておく
  • 振込先の口座を変えるときの知らせ方を決めておき、メールだけで変更を知らせない
  • 偽のメールの報告を受けたら、公式サイトで注意を呼びかける

ここに挙げたのは一般的な備えで、富士フイルムメディカルの発表に書かれていることではありません。学会や同窓会の名前をかたる連絡が実際に起きたとは、発表の時点では確認されていません。

困ったときの相談先

偽の連絡にだまされてお金を払ってしまった、カード番号や口座番号を入力してしまった、というときは、次の相談先があります。

困っていること 相談先
今回の件で自分が対象か知りたい 富士フイルムメディカル 特設対応窓口(0120-770-200、平日9:00から17:00)
カードの不正利用、不正な送金 利用しているカード会社、銀行
架空請求や、払ってしまったお金のこと 消費者ホットライン188
フィッシングやサイバー事案の被害 最寄りの警察署、または警察のサイバー事案の相談窓口

消費者庁は、困ったときは一人で悩まずに消費者ホットライン188に相談するよう案内しています(消費者庁「消費者ホットライン」)。警察庁は、フィッシングの被害に遭った場合は最寄りの警察署か、サイバー事案に関する通報等のオンライン受付窓口に通報・相談するよう案内しています。

勤務先のシステムのIDやパスワードを入力してしまった場合は、上の相談先より先に、勤務先の情報システムの担当者に知らせます。院内のほかの人のアカウントや、患者の情報を扱うシステムに影響が広がらないよう、早めの連絡が大切です。

在宅で仕事をする人が気をつけること

医療従事者の中には、医療機関に勤めながら、医療系の記事の監修や翻訳、データの入力などを在宅で受けている人もいます。学会や研究の関係者も同じです。こうした人のメールアドレスに偽の連絡が届くと、在宅の仕事で使っているパソコンやアカウントも狙われることがあります。

在宅で取引先の仕事を受ける人は、取引先から預かった情報を守る立場でもあります。個人情報保護委員会は、事業者が扱う個人データが不正アクセスで盗まれた場合などを、報告が必要になりうる例として挙げています。報告の義務が誰にかかるかは、取引の形や預かっている情報の中身で変わるため、委託元との契約や委託元の指示を確かめます。在宅の仕事で気をつけたい点は次のとおりです。

  • 勤務先のメール、在宅の仕事のメール、私用のメールを分け、パスワードもそれぞれ別にする
  • 医療系の仕事の依頼を装ったメールの添付ファイルを、仕事用のパソコンで不用意に開かない
  • 取引先から預かった資料は、作業が終わったら契約で決めた方法で返すか削除する
  • 偽のサイトに入力してしまったら、取引先に早めに知らせる

自分が被害に遭ったことを早く伝えることは、取引先からの信頼を保つことにつながります。医療系の仕事では、原稿や資料に患者の症例や医療機関の内部の情報が含まれることもあります。こうした資料を扱う仕事では、作業する端末を決めておく、作業が終わった資料を手元に残さない、といった取り決めを、受ける前に取引先と確かめておくと安心です。

アカウントを守る力を仕事に生かす

富士フイルムメディカルの発表から読み取れるのは、IDとパスワードが第三者の手に渡ると、会社のシステムに正しい利用者と同じ形で入られてしまう、ということです。これは会社だけでなく、在宅で仕事をする個人のアカウントにも当てはまります。パスワードを使い回さないこと、多要素認証を設定すること、不審なメールのリンクを開かないことは、自分の情報と取引先の情報の両方を守ります。

在宅ワークの仲介を2004年から続けてきた@SOHO編集部としても、長く仕事を任されている人ほど、預かったデータの扱いや、トラブルがあったときの連絡の早さを大切にしている傾向があると見てきました。セキュリティの知識は、仕事を任される理由の1つになります。在宅で受けられるセキュリティ関連の仕事の種類と探し方は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で紹介しています。ネットワークの基礎から学びたい人には、CCNA(シスコ技術者認定)の資格ガイドも入り口になります。

よくある質問

Q. 富士フイルムメディカルの機器がある病院で検査を受けた患者も対象ですか?

発表は、流出した可能性のある情報に患者様情報は含まれていないと明記しています。対象として書かれているのは、同社が保有する医療従事者と販売事業者従業員の個人情報の一部です。病院で検査を受けたことがあるというだけで、今回の発表の対象になるとは書かれていません。気になる場合は、発表に載っている特設対応窓口で確かめます。

Q. 自分が対象かどうかは、どうすれば分かりますか?

同社は、該当する人のうち連絡先を把握している人には個別に連絡すると発表しています。連絡が届いていないが気になる場合は、特設対応窓口(0120-770-200、平日9:00から17:00)に電話で問い合わせます。メールに書かれたリンクから本人確認をするよう求められても開かず、発表に載っている電話番号に自分でかけて確かめます。

Q. クレジットカードや銀行口座を変える必要はありますか?

発表は、金融機関口座情報とクレジットカード情報は含まれていないと明記しています。この件だけを理由にカードを止めたり、口座を変えたりする必要は、発表の内容からは生じません。ただし、偽のサイトにカード番号を入力してしまった場合や、明細に身に覚えのない支払いがある場合は、すぐにカード会社や銀行に連絡します。

Q. 2026年11月1日時点で続報は出ていますか?

2026年11月1日時点で、同社サイトの重要なお知らせの一覧に、2025年12月23日の発表より後の続報は掲載されていません。発表ではモニタリングを含む調査を続けているとしているため、新しいことが分かれば同じ一覧に掲載されると考えられます。確かめるときは、自分で検索するかブックマークから公式サイトを開きます。

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年11月1日
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