サラリーマンが兼業農家になる|始めるまでの手続きと働き方

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
サラリーマンが兼業農家になる|始めるまでの手続きと働き方

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この記事のポイント

  • ✓兼業農家サラリーマンになるには
  • ✓農地の確保と農業委員会の手続き
  • ✓確定申告の準備が要ります

兼業農家サラリーマンを検索する人の状況は、大きく2つに分かれます。実家の農地を継ぐことになったが手続きが分からない人と、ゼロから農業を副業にしたい人です。結論から言うと、この2つは必要な手続きも難易度もまったく違います。相続で継ぐなら農業委員会への届出で足りますが、新たに農地を借りるなら農地法に基づく許可が必要です。この記事では、兼業農家という言葉の中身、農地を確保するまでの手続き、確定申告と就業規則の扱い、そして収入の実態を順に整理します。

兼業農家という言葉の中身

兼業農家は、統計上の分類から来た言葉です。農業以外の仕事にも従事している世帯員がいる農家を指し、伝統的には所得の比率で2つに分けられてきました。農業からの所得が主なものを第1種兼業農家、農業以外の所得が主なものを第2種兼業農家と呼びます。サラリーマンをしながら農業をする人は、ほぼ第2種に入ります。

近年の統計では、経営の実態に合わせて主業経営体、準主業経営体、副業的経営体という区分も使われています。呼び方は変わっても、実態としては「本業の収入が主で、農業からの収入が従」という形が、日本の農家の多数を占めているという構造は変わっていません。

つまり、兼業農家は例外的な働き方ではありません。むしろ日本の農業を実質的に支えてきた形です。ここを最初に押さえておくと、「サラリーマンが農業をやるのは無理がある」という漠然とした不安が少し整理されます。

実際に兼業で農業をしている人が、どう受け止めているかを見ておきます。

「昔は兼業農家というと、どこか消極的な感じがした」と話す岸さん。家の田畑を維持するためにやらざるをえない仕事、というニュアンスが強かったそうです。岸さんと話していると、消極的とはまるで反対で、生き生きとしています。 「せっかくやるなら稼がないとおもしろくないし、私の場合、農業に直結する仕事だったから、仕事にもいい影響があった。公務員でも、自分が農業をやってると、農家に話すときも説得力が違うし、気持ちがわかる」(岸さん) 出典: agri.mynavi.jp

注目したいのは、本業に良い影響があったという部分です。兼業農家を「本業の収入を補うための手段」として捉えると、作業時間の重さばかりが目につきます。しかし本業と関係のある分野で農業を持つと、本業側の理解が深まるという効果が出ます。この視点は、金融機関、行政、食品メーカー、物流、IT、どの業種の人にも当てはまり得ます。

サラリーマンが兼業農家になる3つの入り方

農地をどう確保するかで、進め方が変わります。

入り方1:実家や親族の農地を継ぐ

もっとも手続きが軽い経路です。相続によって農地を取得した場合、農地法第3条に基づく許可は不要で、農業委員会への届出で済みます。届出の期限は取得を知った日から10か月以内と定められているので、相続が発生したら早めに動いてください。

ただし、手続きが軽いことと、経営が軽いことは別です。親が管理していた面積をそのまま引き継ぐと、作業量が想定を大きく超えることがあります。水田なら水の管理、畑なら草の管理が日常的に発生し、これは週末だけでは回りません。継ぐときには、面積を減らす、作る品目を変える、機械の更新時期を確認する、といった判断を先にしておくべきです。

入り方2:新たに農地を借りる、または買う

ゼロから始める場合は、農地法第3条に基づく農業委員会の許可が必要です。農地は宅地のように自由に売買できません。「農地を農地として適切に使う人にだけ渡す」という考え方で、法律が権利の移動を管理しています。

許可の判断では、取得後に農地のすべてを効率的に利用すること、必要な農作業に常時従事すること、周辺の農地利用に支障を与えないことなどが見られます。ここで押さえておきたいのは、2023年4月1日から、それまで許可要件だった下限面積の定めが廃止されたことです。以前は原則50アール以上を確保しないと許可が出ませんでしたが、この要件がなくなり、小さい面積からでも参入できる制度に変わりました。

正直なところ、この改正の影響はまだ現場に十分伝わっていないと感じます。数年前の記事には「一定の面積を確保しないと農地を借りられない」と書かれたままのものが残っており、そのために諦めている人がいます。実際の要件は自治体の農業委員会に確認してください。制度の一次情報は農林水産省の案内で確認できます。

入り方3:市民農園や体験農園から段階を踏む

農地を取得せずに始める経路です。市民農園や体験農園を利用すれば、農地法の手続きを踏まずに栽培を始められます。収穫物を販売するには規模が足りませんが、自分に作業が続けられるかどうかを確かめるには十分です。

この段階を飛ばして農地を借りると、体力面と時間面の見込みを外すことがあります。週末に半日かがんで草を取る作業が、自分の体にどう来るのか。これは想像では分かりません。1年やってみて続けられそうなら、次の段階として農地の取得に進む。この順番を踏む人のほうが、結果として長く続いています。

農地を確保するときに確認する項目

農業委員会の手続きに進む前に、自分で確認しておくべきことがあります。

第一に、水です。田畑には用水路や井戸から水を引く仕組みがあり、地域の水利組合が管理しています。加入の可否と負担金の額は地域ごとに違い、ここを確認しないまま農地を借りると、水が使えないという事態が起きます。

第二に、道です。農機具を運び込める道幅があるか、トラックが入れるか。軽トラックが入らない農地は、収穫物の運び出しがすべて人力になります。

第三に、周辺との関係です。農業は共同作業が残っている分野です。水路の掃除、草刈り、道の補修といった地域の共同作業に参加を求められることがあります。サラリーマンだと平日の作業に出られないため、事前に事情を伝えておかないと関係が悪くなります。

第四に、機械です。耕運機、草刈り機、運搬車。新品でそろえると数十万円から百万円台になります。中古市場や地域のシェア、親族からの借用を先に検討してください。機械の費用を見込まずに始めると、初年度で資金が尽きます。

第五に、面積です。下限面積の要件が廃止された今、小さく始められます。5アール程度の畑なら、週末の作業でも回せる範囲です。逆に、水田を30アール以上引き受けると、田植えと稲刈りの時期に平日の休みが必要になります。面積は「減らす方向で始めて、余裕があれば増やす」のが安全です。

確定申告をどう扱うか

ここは兼業農家サラリーマンにとって、もっとも実利のある論点です。

農業からの収入は、原則として事業所得のうち農業所得として扱われます。国税庁は青色申告決算書に農業所得用の様式を用意しており、収入から経費を引いた金額が農業所得になります。給与所得のある人が副業で得た所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になる、という一般的な基準はここでも当てはまります。

そして、多くの人が知りたがるのが赤字のときの扱いです。農業は初年度に機械や資材の支出が集中するため、収入より経費が大きくなることが珍しくありません。事業所得として認められる場合、この赤字は給与所得と損益通算できます。つまり、給与から引かれていた所得税の一部が戻る計算になります。

ただし、ここには条件があります。所得の区分が事業所得ではなく雑所得と判断された場合、損益通算はできません。区分の判断は、規模、継続性、営利性などから社会通念上事業と言えるかどうかで行われます。国税庁は帳簿書類の記録と保存がある場合、原則として事業所得として扱う考え方を示しています。逆に言えば、記帳をしていないと事業として見てもらえない可能性が出ます。

だから、始めた月から記録を残してください。売上の日付と金額、経費の内容と金額、領収書。これを年末にまとめてやろうとすると、ほぼ破綻します。会計ソフトを使うなら、freeeやマネーフォワードのような国内サービスに農業所得に対応した機能があります。正確な要件と様式は国税庁の案内で確認してください。

経費として計上できるものも、最初に把握しておいてください。種苗費、肥料費、農薬費、農具費、修繕費、動力光熱費、地代賃借料、そして機械や施設の減価償却費。自宅の一部を作業や事務に使っているなら、その分を按分して計上できる場合もあります。判断に迷う項目は、税務署か税理士に確認するのが確実です。領収書がない支出は原則として経費にできないため、資材を現金で買ったときも必ず受け取ってください。

消費税については、売上規模が小さい段階では納税義務が生じない場合がありますが、取引先が課税事業者で、適格請求書の発行を求められるケースもあります。直売所や飲食店への販売を考えているなら、相手が何を求めるかを取引開始前に確認しておいてください。ここは制度の改正が続いている領域なので、判断は必ず最新の一次情報に当たってください。

青色申告の承認を受けておくと、青色申告特別控除が使えます。事業所得の要件を満たし、複式簿記で記帳して電子申告などの条件を満たせば控除額は65万円です。承認を受けるには事前の申請が必要で、期限を過ぎるとその年は使えません。始めると決めたら、申請の時期を先に調べておいてください。

書類の作成に不慣れな人は、基礎から整えておくと手続きが楽になります。文書作成の基礎を体系的に押さえるビジネス文書検定のような資格は、行政への届出や取引先への書類作成でそのまま役に立ちます。

就業規則と副業の扱い

農業を始める前に、勤務先の就業規則を必ず読んでください。

副業・兼業を認める方向へ制度は動いており、厚生労働省もモデル就業規則を改めています。ただし、自分の会社の規定がどうなっているかは自分で確認するしかありません。届出制なら始める前に出します。許可制なら許可を取ります。禁止されている場合は、そもそも収入を得る形での農業ができません。制度の考え方は厚生労働省の公表資料が一次情報です。

農業が他の副業と違う点として、実家の農地を継いだ場合の扱いがあります。「相続した田んぼを維持しているだけ」という状態でも、収穫物を販売して収入を得ているなら副業に当たります。届出が必要な会社で出していないと、後から問題になります。ここは「家の事情だから」で通ると思っている人が多いので、注意してください。

もう一つ、労働時間の問題があります。副業の労働時間は、雇用契約であれば本業と通算される扱いになりますが、自分で農業を経営する場合は雇用ではないため通算の対象になりません。ただし、繁忙期に睡眠を削って本業に支障が出れば、話は別です。制度上問題がなくても、実務上は働き方の管理が必要になります。

メリットとデメリットを並べて見る

兼業農家のメリットは、収入の面だけではありません。

まず、所得の柱が2本になります。本業の収入に何かあったとき、収穫物という現物と販売経路が残ります。次に、資産としての農地が維持されます。手をつけないまま放置した農地は荒れ、復旧に相当な費用がかかります。維持しているだけで将来の選択肢が残ります。3つ目に、初期の赤字を給与所得と損益通算できる可能性があります。4つ目に、地域との関係が生まれます。都市で働いている人にとって、これは思ったより効きます。5つ目に、本業に知識が還るという効果です。先に引用した事例のとおり、本業と関係のある分野なら説得力が変わります。

デメリットも正確に書きます。第一に、作業が天候に左右されます。週末に作業の予定を立てても、雨なら動けません。翌週にずらすと、別の作業が押します。第二に、繁忙期が固定されます。田植え、収穫、防除の時期は動かせません。第三に、初期投資が回収できない可能性があります。機械と資材に数十万円を投じても、収穫物の販売価格は自分で決められません。第四に、体力の負荷です。デスクワークの人が急に農作業をすると、腰と膝に来ます。第五に、やめるのが難しいことです。農地を借りたら、返すまで管理義務が続きます。

もうひとつ、見落とされやすいデメリットとして社会保険の誤解があります。自分で農業を経営する形なら、給与所得者としての厚生年金と健康保険はそのまま続きます。副業を始めたことで社会保険が二重になる、という心配をする人がいますが、雇用されない形の副業ではその問題は起きません。制度の詳細は日本年金機構の案内で確認できます。ただし、農業者年金のような農業者向けの制度に加入できるかどうかは、従事日数などの要件があるため別に確認が必要です。

この中でもっとも軽視されているのが、第五です。始めるときは前向きな判断だけで動けますが、やめるときは相手方との調整が必要になります。借りる契約を結ぶ段階で、期間と返し方を文書にしておくべきです。契約書に何を書くべきかという観点はフリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストで整理されているチェックリストの考え方が、農地や出荷の契約にもそのまま応用できます。

収入の実態を数字で押さえる

兼業農家の年収については、幅が大きいのでひとつの数字で語れません。整理しておきます。

まず、農業からの収入と、農業からの所得は違います。収入は売上、所得は売上から経費を引いた残りです。米や野菜は資材費と機械費が大きいため、売上が数十万円あっても所得がほとんど残らない、あるいは赤字になることがあります。冒頭に触れた損益通算の話が現実的な論点になるのは、この構造があるからです。

規模別に目安を書きます。市民農園規模の5アール程度なら、販売は直売所やマルシェでの少量出荷が中心で、年間の売上は数万円から数十万円の範囲です。30アールから50アール規模で品目を絞ると、年間の売上が百万円台に届く例が出てきます。ただしこの規模になると、繁忙期に平日の作業が必要になり、有給休暇の使い方まで含めた設計が要ります。

収入を伸ばす方向は、面積を増やすことではありません。単価が高い品目を選ぶ、直接販売の比率を上げる、加工まで手を伸ばす。この3つです。市場出荷だけだと価格を自分で決められないため、面積を倍にしても所得が倍にはなりにくい。逆に直接販売の比率を上げると、同じ収穫量で手元に残る金額が変わります。

未回収のリスクも覚えておいてください。出荷先が代金を払わないという事態は、規模が小さいほど起きやすい。少額だからと諦める人が多いのですが、回収の手段はあります。手続きの選択肢と費用の目安は未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】に整理されているので、取引を始める前に一度読んでおくと、条件交渉の姿勢が変わります。

続けている人が押さえているポイント

うまく回している兼業農家に共通する点を挙げます。

第一に、品目を絞っています。あれもこれも作ると、管理の手間が掛け算で増えます。最初は2品目か3品目に絞り、作業の山が重ならない組み合わせを選んでいます。

第二に、雑草対策を設計しています。兼業で最大の敵は雑草です。毎週行けない前提で、防草シート、マルチ、緑肥といった手段を先に入れています。行ける日に草取りだけで時間が終わる状態を作らないための投資です。

第三に、作業を記録しています。いつ何をしたか、どのくらい時間がかかったか。翌年の計画がこの記録で精度を上げます。

第四に、販売先を先に決めています。作ってから売り先を探すと、価格の交渉力がありません。直売所の登録条件、マルシェの出店枠、近隣の飲食店の需要。栽培を始める前に確認しています。

第五に、家族の合意を取っています。週末に家にいない、繁忙期に家族の予定が動かせない。これは家庭に影響するので、始める前に話をつけておくべきことです。

兼業におすすめしやすい品目と、避けたほうがよい品目

品目の選び方は、収量や売価よりも「作業の山がどこに来るか」で決めるべきです。週末しか動けない前提で考えます。

おすすめしやすいのは、まず葉物野菜です。小松菜、ほうれん草、青ねぎなどは栽培期間が30日から60日程度で、失敗しても作り直せます。回転が速いので、1年のうちに何度も学習の機会が来ます。初年度の練習には向いています。

次に、根菜です。大根、にんじん、さつまいも。植えたあとの管理が比較的軽く、収穫の時期に多少の幅があります。「今週行けなかったから来週」が許される品目は、兼業にとって価値があります。

3つ目に、果樹です。管理の山が剪定と収穫に集中するため、平常時の手間が軽い。ただし植えてから収穫までに数年かかるので、初年度の収入にはなりません。長期で持つ資産として考える品目です。

4つ目に、米です。兼業農家の中心はいまも水稲です。田植えと稲刈りの2つの山に機械と人手が要りますが、それ以外の期間は水の管理が主になります。地域の共同作業や機械の共同利用の仕組みが残っている地域なら、兼業で回せる可能性が高い。ただし水の管理は毎日見るのが理想なので、農地が自宅から遠いと厳しくなります。

避けたほうがよいのは、まず収穫期が長く続く品目です。トマト、きゅうり、なすのような果菜類は、実り始めると数日おきに収穫が必要になります。週1回しか行けないと、採り遅れて商品になりません。家庭用ならよいのですが、販売を前提にすると成立しにくい。

次に、施設栽培です。ハウスを建てると初期投資が大きくなり、温度管理が毎日必要になります。兼業で始める規模ではありません。

3つ目に、畜産です。生き物は毎日世話が必要で、旅行も出張もできなくなります。本業がある状態での参入は現実的ではありません。

品目を決める前に、地元の直売所で何が並んでいるかを見てください。並んでいる品目は、その土地で作れて売れる品目です。並んでいない品目を作ると、栽培の技術と販売先の両方を自分で開拓することになります。最初の1年で2つの未知を同時に抱えるのは、勧められません。

週末だけで年間を回す組み立て方

兼業農家の成否は、年間の作業を週末に割り振れるかどうかで決まります。品目を決めたら、次は暦に落とします。

まず、作業の山を書き出します。米なら、代かきと田植えが春、水の管理が夏、稲刈りと乾燥が秋。野菜なら、播種、定植、追肥、防除、収穫。この山が本業の繁忙期と重なっていないかを確認します。重なっているなら、品目を変えるか、面積を減らすかの判断になります。この確認を飛ばして始めると、初年度の6月あたりで詰みます。

次に、平常時の作業を週単位で見積もります。草の管理、水の確認、資材の補充。10アールの畑で、平常時なら週に2時間から4時間が目安です。繁忙期はこれが1日がかりになります。週末のうち片方だけを農作業に充て、もう片方を休みとして残しておく設計にしておくと、体力が続きます。両日とも農作業に充てる計画は、数ヶ月でやめる原因になります。

3つ目に、行けない週の備えを入れます。出張、家族の予定、体調。年に何回かは必ず行けない週が出ます。そのときに致命傷にならないよう、自動潅水の仕組みを入れる、防草シートを敷く、近隣の農家に見てもらえる関係を作る。この備えの有無が、1年後に続いているかどうかを分けます。

4つ目に、有給休暇の使い方を年初に決めます。田植えと収穫の時期に、平日の1日か2日を確保できるかどうか。ここを年初の段階で職場に伝えておくと、直前の調整で気まずくなりません。制度上は問題なくても、職場の理解は別に作る必要があります。

5つ目に、冬の計画です。品目によっては冬場に作業がほとんどなくなります。この期間を、記録の整理、確定申告の準備、翌年の資材の手配、そして農業以外の収入を作る時間に充てます。手が空く時期にやることを決めておかないと、この数ヶ月が何も残らないまま過ぎます。

20年市場を見てきた立場からの観察と、収入の組み立て方

20年この市場を見てきた立場から言えば、兼業で長く続いている人は、農業だけで収入を組み立てようとしていません。本業の給与、農業からの収入、そしてもう1本、場所を選ばない仕事を持っている人が多いのです。

これには理由があります。農業は繁忙期と閑散期の差が大きく、冬場に手が空く品目も多い。その期間に収入を生む手段を持っていると、年間の収支が安定します。オンラインで完結する仕事は、この役割に向いています。たとえば、業務の進め方を整理する経験がある人ならAIコンサル・業務活用支援のお仕事のような、時間と場所の制約が緩い案件が候補になります。文章を書く仕事なら著述家,記者,編集者の年収・単価相場で相場を確認したうえで、自分の農業の知識を素材にできます。

運営者として見てきた限りでは、額面と手取りの差を軽視している人が多いと感じます。オンラインの仕事を仲介を通して受けると、20%前後の手数料が引かれる経路があります。年間60万円の仕事なら12万円が消える計算です。同じ仕事を手数料0%で直接やり取りできるなら、その分がそのまま手元に残ります。発注する側から見ても、中間マージンが乗らない分、同じ予算でより多く依頼できます。双方が得をする構造なので、続く関係はこの形に寄っていきます。農業の販売でも同じ構図で、市場を通す経路と直接販売の経路では、手元に残る金額が変わります。

会計や税務の知識を副業として活かしている人も見かけます。専門職が副業をどう組むかという観点は会計士の副業ガイド|監査法人勤務でもできる高収入の稼ぎ方【2026年版】で整理されており、本業の資格を農業経営の管理に転用する発想は、兼業農家にも応用が効きます。

兼業農家サラリーマンとして始めるなら、順番は明確です。就業規則を読む、農業委員会に相談する、面積を小さく決める、記録の仕組みを作る。この4つを先に済ませてから、作るものを決めてください。逆の順番で進めると、手続きで止まるか、初年度の収支で止まります。

よくある質問

Q. サラリーマンが農地を借りるには何が必要ですか?

農地法第3条に基づく農業委員会の許可が必要です。農地のすべてを効率的に利用すること、必要な農作業に常時従事することなどが要件として見られます。2023年4月1日から、それまでの下限面積要件は廃止されたため、小さい面積からでも申請できます。要件の詳細は地元の農業委員会に確認してください。

Q. 相続で農地を継いだ場合も許可が要りますか?

相続による取得は農地法第3条の許可は不要で、農業委員会への届出で足ります。届出の期限は取得を知った日から10か月以内です。ただし手続きが軽いだけで、管理の負担は面積に比例します。継ぐ前に面積や品目、機械の更新時期を確認しておいてください。

Q. 農業の赤字は給与所得と損益通算できますか?

事業所得として認められる場合は損益通算できます。雑所得と判断された場合はできません。区分は規模や継続性などから判断され、国税庁は帳簿書類の記録と保存がある場合は原則として事業所得として扱う考え方を示しています。始めた月から記帳を続けてください。

Q. 会社に知らせずに兼業農家を始めても大丈夫ですか?

収穫物を販売して収入を得るなら副業に当たるため、就業規則の確認が必要です。届出制なら始める前に届け出ます。「相続した田んぼを維持しているだけ」という認識でも、販売収入があれば同じ扱いです。後から発覚するほうが問題が大きくなるので、先に確認してください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年5月9日最終更新:2026年9月20日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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