公務員がメルカリで売るとき|副業に当たる線引き 2026

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
公務員がメルカリで売るとき|副業に当たる線引き 2026

この記事のポイント

  • ✓メルカリは公務員の副業になるのか
  • ✓国家公務員法と地方公務員法の条文
  • ✓国税庁が示す生活用動産の扱い

結論から書きます。自分が使っていた物を処分するためにメルカリで売る行為は、公務員の副業禁止に当たりません。一方で、売るために仕入れた物を継続して売る行為は、法律上の「自ら営利企業を営む」に近づきます。判定の分かれ目は売上の金額ではなく、仕入れの有無と継続性です。

ところが検索結果を見ると、「月いくらまでならセーフ」という金額の話に寄った記事が目立ちます。正直なところ、この整理は危ういと思います。金額が小さくても仕入れて売り続けていれば営利活動ですし、金額が大きくても手持ちの物を処分しただけなら副業ではありません。金額を基準にすると、判断を間違えます。

この記事では、まず条文を確認し、次に税法上の扱いを確認し、その2つを突き合わせて線を引きます。そのうえで、確定申告が必要になる条件と、公務員のまま収入を増やしたい場合に現実的な選択肢を並べます。

判定の軸は金額ではなく、仕入れと継続性

最初に判定の枠組みを示します。公務員がフリマアプリで物を売るとき、問われるのは次の2点です。

1点目は、その物を「売るために取得したか」です。自分が使う目的で買って、使わなくなったから売る。これは資産の処分です。売って利益を出す目的で買って、売る。これは商売です。同じ物を同じ価格で売っていても、取得した目的で性質が変わります。

2点目は、その行為に継続性や反復性があるかです。年に数回、押し入れを整理して出品する。これは処分です。毎週決まった量を仕入れて、毎週出品する。これは事業です。回数と規模が上がるほど、事業と評価される確度が上がります。

この2つが両方そろったとき、つまり売るために仕入れた物を継続して売っているとき、それは「自ら営利企業を営む」行為に該当し得ます。逆に、どちらも当てはまらないなら、売上が年間で50万円あっても営利活動ではありません。

よく見かける「メルカリの売上が20万円を超えたら副業になる」という説明は、正確ではありません。20万円という数字は確定申告が必要かどうかの基準であって、副業禁止に触れるかどうかの基準ではありません。税の手続きの話と、服務規律の話が混ざっているのです。この2つは別の制度なので、別々に確かめる必要があります。

条文を確認する:国家公務員法と地方公務員法

線引きの根拠は法律に書かれています。まず国家公務員の場合、国家公務員法第103条第1項は次の内容を定めています。職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない、というものです。同条第2項により、人事院規則の定めるところによって所轄庁の長の申出により人事院の承認を得た場合は適用されません。

そして第104条は、報酬を得て営利企業以外の事業の団体の役員などを兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要すると定めています。つまり営利企業でなくても、報酬を得て何かに従事するなら許可の対象です。

地方公務員の場合は、地方公務員法第38条第1項です。条文は次のとおりです。

職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。 出典: laws.e-gov.go.jp

注目すべきは「自ら営利企業を営み」という部分です。禁じられているのは営利企業を営むことであって、物を売ること一般ではありません。押し入れの整理は営利企業ではないので、ここに当たりません。

もう一つ、見落とされやすい条文があります。国家公務員法第101条と地方公務員法第35条の職務専念義務です。勤務時間中に出品作業や購入者への返信をしていれば、売上がゼロでもこちらに触れます。実務で問題になるのは、実はこの職務専念義務のほうが多いのです。勤務時間中にスマートフォンで取引メッセージに返信していた、という形です。

加えて、地方公務員法第33条の信用失墜行為の禁止も関係します。偽ブランド品や入手経路が不明な物を売っていた、購入者と深刻なトラブルになって職場に苦情が来た、といった場合はこちらで問題になります。これは金額の大小に関係ありません。

税法上の扱い:生活用動産の譲渡は課税されない

服務規律とは別に、税法でも線が引かれています。国税庁のタックスアンサーには、譲渡所得のうち課税されないものが列挙されています。

家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産の譲渡による所得です。ただし、貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個または1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得は除きます。 出典: nta.go.jp

これが「不用品を売っても税金はかからない」と言われる根拠です。着なくなった服、使わなくなった家具、子どもが卒業した学習机。これらを売った利益は生活用動産の譲渡による所得なので、所得税は課されません。金額の上限もありません。

ただし例外が2つあります。

1つは、引用文の後半にある30万円を超える貴金属、宝石、書画、骨とうです。腕時計や地金、作家物の器などがここに入ります。1個または1組の価額で判定するので、まとめて売った総額ではありません。1点で30万円を超えるものを売る予定があるなら、取得価額が分かる資料を残しておいてください。

2つめは、そもそも生活用動産ではない物です。売るために仕入れた在庫は、あなたの生活に通常必要な動産ではありません。この場合の所得は譲渡所得ではなく、事業所得または雑所得として扱われます。ここで税法上の区分と、服務規律上の区分が一致します。売るために仕入れた物を売っている状態は、税法から見ても事業に近く、法律から見ても営利企業に近いのです。

カードゲームのパックを開けて、出たカードのうち不要なものを売る。この形はよく質問されるのですが、判断は慎重にしたほうがよいと考えています。自分が遊ぶために買ったパックの余りを売っているのか、転売益を狙ってパックを開けているのか。実態がどちらなのかで結論が変わります。後者に近い頻度と規模になっているなら、営利活動として扱われる前提で動くべきです。

転売と判断される4つのサイン

自分の状況がどちらに近いのか、外から見たときの手がかりを4つ挙げます。これは税務や服務の判断でも実際に見られる点です。

1つめは、同じ商品を複数出品しているかどうかです。同一の型番を3個、5個と並べて出品していれば、自分用に買ったものではないと判断されます。サイズ違いや色違いを揃えて出している場合も同じです。

2つめは、出品と入荷の時間的な近さです。発売直後の商品が発売週に出品されている、予約商品が届いた翌日に出品されている。この形は、使う目的で買ったとは説明しにくくなります。

3つめは、出品の間隔が一定かどうかです。整理のための処分は、まとめて出して、しばらく止まります。仕入れて売る行為は、間隔が均等になります。月ごとの出品数を並べると差が出ます。

4つめは、梱包や説明文の作り込みです。商品説明に定型の文面を使い、在庫管理を前提とした書き方をしていれば、事業としての体裁が整っていると見られます。

これらに複数当てはまるなら、金額の大小にかかわらず、事業として扱われる前提で考えてください。逆に、どれにも当てはまらないなら、年間の売上が大きくても処分の範囲です。この4つを自分で確かめておくと、後から質問されたときに説明できる状態になります。

確定申告が必要になるのはどんな場合か

税の手続きのほうを整理します。給与所得者の申告義務について、国税庁は次の条件を示しています。給与を1か所から受けていて、かつその給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、給与所得と退職所得を除く各種の所得金額の合計額が20万円を超える人は、確定申告が必要です。

ここで大事なのは、判定に使うのが「売上」ではなく「所得」だという点です。所得は売上から原価と経費を引いた残りです。仕入れ代金、送料、梱包材、フリマアプリの販売手数料は経費になります。売上が50万円でも、仕入れと送料と手数料で35万円かかっていれば、所得は15万円です。この場合、20万円を超えないので所得税の確定申告義務は生じません。

そして、生活用動産の処分で得た利益はそもそも非課税なので、所得の計算に含めません。押し入れの整理で30万円の売上があっても、申告の対象外です。

ここで注意点を2つ書きます。

1つめは、住民税です。所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要になることがあります。所得税と住民税は別の制度で、20万円の基準は所得税側の話だからです。所得が20万円以下だったから何もしなくてよい、という理解は正確ではありません。

2つめは、経費の証拠です。仕入れた物を売っているなら、仕入れの記録がないと原価を引けません。フリマアプリの購入履歴、クレジットカードの明細、店舗のレシート。これらを残していないと、売上の全額が所得として扱われる可能性があります。記録を残すのは節税のためというより、正しい金額を出すために必要です。

申告の手続き自体は、e-Taxを使えば自宅から完結します。国税庁の確定申告に関する案内に、必要な書類と作成の流れがまとまっています。

住民税の処理で職場に伝わる仕組み

「職場に知られるのか」という点は、多くの方が気にしています。仕組みを正確に書きます。

給与所得者の住民税は、原則として勤務先が給与から差し引いて納める特別徴収です。市区町村は勤務先に、その職員の住民税額を通知します。副業の所得が住民税額に反映されると、通知される税額が給与だけの場合と違ってきます。給与担当者が気づく経路は、ここです。

副業分を自分で納める普通徴収に切り替えられる場合もありますが、これは市区町村の運用によります。給与以外の所得について普通徴収を選べる自治体もあれば、認めていない自治体もあります。そして、切り替えられたとしても、それは事実を隠すための手段ではありません。

そもそも、生活用動産の処分なら所得が発生しないので、住民税額にも影響しません。影響が出るのは事業所得や雑所得が生じている場合です。つまり、この心配が出てくる時点で、すでに処分ではなく営利活動の領域に入っていると考えたほうが正確です。

対応の順番としては、隠す方法を探すより先に、自分の行為がどちらなのかを確かめるのが先です。処分なら心配はいりません。営利活動なら、所属の規則を確認し、必要な手続きを取るのが筋です。国家公務員法第103条第2項は人事院の承認による適用除外を定めていますし、地方公務員法第38条は任命権者の許可を定めています。許可の基準は自治体ごとに規則で定められているので、人事担当の窓口で確かめられます。

処分の重さと、実際に問題になるパターン

懲戒処分の重さは、行為の内容と規模、職務との関係で変わります。公表されている事例を眺めると、フリマアプリ単体で重い処分になっているケースは多くありません。実際に問題が大きくなるのは、次のような組み合わせです。

1つは、勤務時間中の作業です。職務専念義務に触れる行為で、しかも記録が残ります。端末のアクセスログや取引メッセージの送信時刻から確認できてしまいます。

2つは、職務で得た情報や立場を使った場合です。たとえば職務上知り得た入手経路を使う、庁舎内の物品を売る。これは副業の問題ではなく別の問題になります。

3つは、規模が事業といえる水準に達していて、許可を取っていない場合です。継続して仕入れ、継続して売り、年間の所得が数十万円以上ある。この状態で無許可なら、条文に正面から当たります。

4つは、取引トラブルが職場に持ち込まれた場合です。購入者からの苦情が所属先に届けば、信用失墜行為として扱われます。金額が小さくてもこの経路は起こります。

逆に言えば、勤務時間外に、自分の持ち物を、通常の範囲で売っているだけなら、過度に心配する必要はありません。押し入れの整理を禁じる規則はありません。

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ほかのフリマアプリやオークションでも判断は同じか

「メルカリだから問題になるのか、ほかのサービスなら大丈夫なのか」という質問もあります。答えは、サービス名は判断に関係ないということです。

服務規律の側から見ると、条文が問題にしているのは営利企業を営むかどうかと、報酬を得て事業に従事するかどうかです。どのプラットフォームを使ったかは条文に出てきません。オークションサイト、フリマアプリ、リサイクル店への持ち込み、どれも同じ枠組みで判断されます。

税法の側も同じです。生活用動産の譲渡が非課税なのは、売った場所ではなく売った物の性質で決まります。店頭で売っても、アプリで売っても、扱いは変わりません。

違いが出るのは、記録の残り方だけです。アプリを使った取引は、出品日、価格、取引相手、メッセージのやりとりがすべて記録されます。店頭の買取は、買取店の控えしか残りません。この差は、問題が起きたときにどちらが説明しやすいかという意味では、記録があるアプリのほうが有利に働くこともあります。隠しにくいのは事実ですが、処分の範囲で売っているなら記録があるほうが安心です。

なお、ハンドメイド品を継続して売る形は、フリマアプリでも明確に製造販売です。材料を仕入れて作り、売る。これは処分ではありません。手芸が趣味の方が作品を年に数回売る程度なら実態としては趣味の範囲ですが、売るために量産している状態なら営利活動として扱われる前提で考えてください。

家族の名義で出品する形はどうなるか

この質問もよく見かけます。自分は公務員だから、配偶者の名義で出品すれば問題ないのではないか、という発想です。結論を先に書くと、この整理は勧められません。

理由は3つあります。

1つめは、実態で判断されるという点です。名義が誰であっても、仕入れの判断をし、出品文を書き、価格を決め、発送しているのが公務員本人なら、事業を行っているのは本人です。名義を変えても行為の主体は変わりません。税務の場面でも「実質所得者課税の原則」という考え方があり、収入を実際に得ている人に課税されます。名義だけを付け替える処理は通りません。

2つめは、家族に責任が及ぶ点です。配偶者の名義で事業所得が発生すれば、配偶者の所得として申告が必要になります。配偶者が扶養に入っている場合は、扶養の判定にも影響します。自分の問題を避けるために家族の税務に影響を与える形は、後始末が面倒になります。

3つめは、説明できない状態になる点です。もし所属先から確認を求められたとき、「妻の名義です」という説明は、かえって不自然に映ります。隠すつもりだったのかと問われれば、反論しにくくなります。

配偶者が自分の意思で、自分の判断で、自分の物を売っている。これは何の問題もありません。名義を貸す形だけが問題です。この違いは実務上はっきり分かれます。

売上金と記録の残し方

出品を続ける方に向けて、記録の実務を具体的に書きます。ここを整えておくと、どの場面でも説明できる状態になります。

まず、売上金をアプリ内に置いたままにしないことです。売上金がアプリ内に残っていると、いつ、どの取引で、いくら入ったのかを後から追いにくくなります。月に1回、決まった日に銀行口座へ振込を受けるようにすると、通帳に月次の合計が残ります。これだけで記録の骨格ができます。

次に、取引履歴を月ごとに保存することです。フリマアプリの取引履歴は、アプリ側の仕様変更で表示できる期間が変わることがあります。年に1回しか見ないつもりでいると、必要なときに遡れません。月末に画面を保存するか、CSVで出力できるならそれを残しておいてください。

そして、仕入れの記録です。売るために買った物があるなら、購入日、購入先、金額が分かる資料を残します。店舗のレシート、通販の注文確認メール、クレジットカードの明細。このどれかがあれば足ります。逆にこれがないと、売上の全額が所得として扱われる可能性が出てきます。経費を主張するには、経費があったことを示す資料が必要だからです。

送料と手数料も経費です。フリマアプリの販売手数料は、多くのサービスで売上の10%前後です。送料を出品者が負担する設定にしているなら、それも経費になります。梱包材の購入費も同じです。これらは取引履歴から集計できるので、月次で足しておくと年末が楽になります。

記録を付ける目的は、税金を減らすことではありません。自分の行為が処分の範囲なのか事業の範囲なのかを、数字で説明できる状態にしておくことです。押し入れの整理なら、仕入れの記録は存在しないはずです。存在しないことも、一つの説明になります。

出品を続けるなら決めておく3つのルール

処分としての出品を続けるうえで、自分の中で決めておくと安全なルールを3つ挙げます。

1つめは、時間のルールです。出品作業、購入者への返信、発送の準備は、すべて勤務時間外に行うと決めます。取引メッセージの通知を勤務中に見ないよう、通知をオフにするのが確実です。職務専念義務に触れる経路はここしかないので、時間を切るだけで懸念の大半が消えます。

2つめは、対象のルールです。売るのは自分が使った物に限る、と決めます。頼まれて代わりに売る、友人の物を預かって売る、といった形は、判断が難しくなります。自分の物だけなら、いつでも説明できます。

3つめは、頻度のルールです。整理のたびにまとめて出す形にして、毎週の習慣にはしない。前述の4つのサインのうち、出品の間隔が一定かどうかは外から見えてしまう要素です。整理のときに出す、という形を保っていれば、間隔は自然に不規則になります。

この3つを守っていれば、フリマアプリの利用で服務上の問題が生じることは、まず考えにくくなります。逆に、この3つのどれかを崩したくなったときは、収入を目的にした活動に移ろうとしているサインです。そのときは隠す方法を探すのではなく、所属先の規則を読んで手続きを確かめてください。

収入を増やしたいなら、順番を変えたほうが早い

ここまで読んで、「結局メルカリでは稼げないのか」と感じた方もいると思います。整理すると、処分としての出品は自由にできますが、それは収入をつくる手段としては伸びません。手持ちの物には限りがあるからです。一方で仕入れて売る形に踏み込むと、許可の問題が出てきます。

そこで、目的が収入なら別の道を検討したほうが合理的です。国家公務員法第104条も地方公務員法第38条も、報酬を得て事業に従事することを一律に禁じているのではなく、許可の対象としています。許可が下りる余地のある活動と、そもそも許可が要らない活動があります。

不動産賃貸や執筆、講演、地域活動への参加など、従来から許可を得て行われてきた類型があります。近年は自治体側が兼業の基準を公表する動きもあり、公益的な活動については手続きが整理されつつあります。まずは所属先の規則と基準を読むのが出発点です。

そして、退職後や在職中の許可を前提に技術を積むなら、身につける対象を選ぶ価値があります。生成AIの業務導入を支援する領域は、企業側に「導入したいが何から手を付けるか分からない」という状態が多く、整理して伴走できる人が不足しています。どんな業務が発生するのかはAIコンサル・業務活用支援のお仕事に工程ごとにまとまっています。マーケティングやセキュリティと組み合わせた形ならAI・マーケティング・セキュリティのお仕事も参考になります。

文章を書く仕事に関心があるなら、収入水準を先に確かめておくほうがよいでしょう。著述家,記者,編集者の年収・単価相場に公的統計をもとにした水準がまとまっています。技術寄りに進むならソフトウェア作成者の年収・単価相場と見比べると、学習にかける時間の回収期間を比べやすくなります。

資格を学習の地図として使う方法もあります。文書作成の型を押さえたいならビジネス文書検定、ネットワークの基礎から固めたいならCCNA(シスコ技術者認定)のように、出題範囲が公開されているものを選ぶと独学の道筋が立てやすくなります。

市場を長く見てきた立場からの観察

フリーランスと在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から、一つ書いておきたいことがあります。

物を売って収入を得る形と、役務を提供して収入を得る形は、伸び方がまったく違います。物を売る形は在庫と時間が上限になります。役務を提供する形は、同じ相手から継続して依頼が来るようになると、探す手間が減っていきます。運営者として見てきた限りでは、長く続いている人は例外なく後者です。単発の作業を積み上げているのではなく、「この人に任せると自分が楽になる」と思われる関係をつくることに時間を使っています。

もう一つ、額面と手取りの話をします。役務を仲介する仕組みには、報酬から手数料を引く形のものが少なくありません。仮に手数料が20%なら、年間100万円の仕事で20万円が引かれます。これが手数料0%の直接の契約であれば、同じ100万円が手元に残ります。

この差は受け手だけの話ではありません。依頼する側から見ると、中間のマージンが乗らない分、同じ予算でより多くを頼めます。依頼側は同じ金額でより多く、受け手は手取りが厚くなる。両方が得をするこの構造は、市場を長く見てきた中でもっとも健全に回っている形です。金額の大小ではなく、同じ働きで手元に残る量が変わるという質の違いとして受け取ってもらえればと思います。

最後に、公務員の方に向けて。フリマアプリの線引きを気にして時間を使うより、所属先の兼業の基準を1度きちんと読むほうが、得られる情報は多いはずです。禁止されていることと、許可が必要なことと、そもそも自由なことは、全部違います。その3つを自分の職場の規則で分けられれば、判断に迷う場面はかなり減ります。

よくある質問

Q. メルカリで不用品を売るのは公務員の副業禁止に当たりますか?

自分が使っていた物を処分するための出品は、営利企業を営む行為ではないため副業禁止には当たりません。国家公務員法第103条も地方公務員法第38条も、禁じているのは営利企業を営むことや報酬を得て事業に従事することです。ただし勤務時間中に出品や連絡をすれば職務専念義務に触れます。

Q. 売上がいくらを超えたら副業と判断されますか?

金額は判断基準ではありません。分かれ目は、売るために仕入れた物かどうかと、継続性があるかどうかです。売上が大きくても手持ちの物の処分なら処分の範囲で、売上が小さくても仕入れて継続的に売っていれば営利活動に近づきます。よく言われる20万円は確定申告の基準であって服務規律の基準ではありません。

Q. メルカリの売上に税金はかかりますか?

生活に通常必要な動産の譲渡による所得は課税されません。ただし貴金属や宝石、書画、骨とうなどで1個または1組の価額が30万円を超えるものは除かれます。また売るために仕入れた物の売却は生活用動産ではないため、事業所得または雑所得として扱われます。

Q. 確定申告が不要でも何か手続きは必要ですか?

所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要になることがあります。所得税と住民税は別の制度で、給与以外の所得が20万円以下という基準は所得税側の話です。金額が小さくても、お住まいの市区町村の税務担当に確認しておくと後から問い合わせを受ける事態を避けられます。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年7月2日最終更新:2026年9月20日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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