育休手当をもらいながらアルバイトはできるのか|働ける範囲と手続きの注意 2026


この記事のポイント
- ✓支給単位期間ごとの就業日数と賃金額で判定されます
- ✓育児休業給付金を受け取りながら働く場合の支給申請書の書き方
- ✓事業主経由の手続きの流れ
育休手当中のバイトについて調べている人の多くは、「働けるかどうか」よりも一歩先の疑問を持っています。働いた分をどこに、いつ、どうやって申告するのか。書類は誰が出すのか。うっかり書き忘れたらどうなるのか。結論から書くと、育児休業給付金を受け取りながら働くこと自体は制度上ありえますが、その場合は1か月ごとに区切られた「支給単位期間」ごとに、就業した日数と時間、そして受け取った賃金を申請書へ記載する義務が発生します。ここを軽く見て後から修正することになるケースが、実務では一番やっかいです。
この記事では、働ける範囲の基本を確認したうえで、支給申請書のどの欄に何を書くのか、事業主経由の手続きはどう流れるのか、他社でバイトしたときの証明書類はどうするのかという届出の実務に絞って整理します。なお、給付金は就業日数や賃金額によって減額または不支給になります。働き始める前に必ず、管轄のハローワークと勤務先の担当部署の両方へ確認してください。ここは記事を読んで自己判断で済ませてよい領域ではありません。
育休手当の判定は「月」ではなく「支給単位期間」で行われる
まず前提の整理から入ります。育児休業給付金は暦月で判定されるものではありません。育児休業を開始した日を起点に、そこから1か月ごとに区切った期間、これを支給単位期間と呼び、この単位で「支給するか」「減額するか」「不支給にするか」が決まります。
たとえば育休開始日が4月10日なら、第1支給単位期間は4月10日から5月9日まで、第2支給単位期間は5月10日から6月9日までとなります。ここが月末締めの給与計算とズレるため、届出の場面で混乱が起きます。給与明細は4月分と5月分に分かれているのに、申請書に書くのは4月10日から5月9日までの実績です。この読み替え作業を、多くの人が最初の申請でつまずきます。
就業日数と就業時間の2つの物差し
支給単位期間の中で就業した実績は、次の2段構えで判定されます。
- 就業していると認められる日数が10日以下であること
- 10日を超える場合は、就業していると認められる時間が80時間以下であること
このどちらかを満たせば、日数と時間の面では支給の対象になります。逆に言えば、11日働いてしまった時点で、今度は時間の物差しに切り替わり、その期間の合計が80時間を超えていれば、その支給単位期間は丸ごと不支給になります。
注意したいのは「日数」のカウント方法です。1時間だけ働いた日も、8時間働いた日も、同じ1日としてカウントされます。短時間だから軽い、という発想は通用しません。週に3回、2時間ずつのシフトに入ると、月あたりの就業日数は12日前後になり、あっさり日数の枠を超えます。この場合は時間の枠で判定され、合計24時間程度なので支給対象には残りますが、申請書には日数と時間の両方を書くことになります。
なお、支給単位期間が1か月に満たない場合、たとえば育休の最終月などは、日数と時間の上限が期間の長さに応じて按分されます。最後の期間だけ枠が小さくなる点は見落としやすいポイントです。
雇用形態の名前では判定されない
「バイトだからいいのでは」「業務委託なら雇用ではないから対象外では」といった相談は非常に多いのですが、判定の軸は契約の名称ではありません。
育休中に収入を得る方法として、「副業」「アルバイト」「パート」といった形態が検討されることがありますが、育児休業給付金の支給の可否を判断する10日や80時間といった数字に関しては、これらの名称の違いによる取り扱いの差は基本的にありません。重要なのは、実際に「就労」したかどうかという点です。 出典: biz.moneyforward.com
この整理は届出の場面でも効いてきます。申請書に書くのは「アルバイトをしたか」ではなく「就業した日数と時間」なので、契約書のタイトルが何であれ、実態として働いていれば記載対象になると考えて準備するのが安全です。判断に迷うグレーな働き方こそ、事前にハローワークへ照会しておくべき領域になります。
賃金額による減額と不支給のライン
日数と時間の枠内に収まっていても、もう一つ賃金額の判定が待っています。支給単位期間中に支払われた賃金が一定の割合を超えると、給付金は減額され、さらに超えると不支給になります。
育児休業給付金の金額は、育休取得から半年間は給料の67%、それ以降は50%。つまり、育休中のバイトで稼げる金額は、最大でも育休取得から半年間は給料の13%まで、それ以降は30%までということになります。 出典: and-pro.jp
整理すると、休業開始時賃金日額に支給日数を掛けた額を基準として、給付率が67%の期間は13%まで、50%の期間は30%までなら満額が出ます。それを超えると、合計が基準額の80%に収まるように給付金が調整され、賃金だけで80%に達すると給付金はゼロになります。
ここで重要なのは、この判定に使われる賃金額は自己申告ではなく、申請書に記載した額と添付した賃金台帳の内容で判断されるという点です。つまり届出の正確さが、そのまま受け取れる金額に直結します。
2026年時点で押さえておきたい制度の全体像
届出の話に入る前に、2026年時点の制度環境を確認しておきます。ここ数年で育児期の給付制度は複数回にわたって拡充されており、自分がどの給付を受けているのかを正確に把握していないと、申請書の種類自体を間違えます。
現在の柱は、従来からある育児休業給付金です。給付率は休業開始から180日までが休業開始時賃金日額の67%、それ以降が50%という2段階構成が基本になります。これに加えて、両親がともに一定期間の育児休業を取得した場合などに上乗せされる出生後休業支援給付、そして育児のために時短勤務へ切り替えた場合に支給される育児時短就業給付が制度として並んでいます。
自分が受け取っているのがどれなのかで、提出する書類も、就業実績の扱いも変わります。とくに時短就業に関する給付は、そもそも「働くこと」を前提とした制度なので、育児休業給付金の10日や80時間の枠とは考え方が異なります。制度の名称が似ているせいで混同されやすく、勤務先の担当者ですら取り違えることがあります。最新の制度内容は厚生労働省の公表資料で確認するのが確実です。
育休中の就業が増えている背景
制度が複雑になっている一方で、育休中に何らかの形で働く人は着実に増えています。背景にはいくつかの要因があります。
第一に、物価上昇に対して給付率が固定であることです。67%という水準は休業前の手取りに近い設計とされていますが、実際の家計では出産に伴う支出が増えるため、収入が減った実感を持つ家庭は少なくありません。
第二に、在宅で完結する仕事の選択肢が広がったことです。かつては育休中に働くといえば物理的に職場へ出向く必要がありましたが、現在はライティング、データ入力、オンラインアシスタント、デザインなど、自宅で時間を区切って進められる業務が一般化しています。乳児を抱えたまま外出前提のシフトに入るのは現実的ではないため、この変化の影響は大きいと言えます。
第三に、キャリアの断絶に対する不安です。1年前後のブランクが復職後の評価に響くことを懸念して、感覚を鈍らせないために小さく仕事を続けたいという相談は、正直なところ数年前より明らかに増えています。
ただし、この3つの動機はいずれも「働く」ことに向いていて、「届け出る」ことには向いていません。だからこそ手続きが後回しになり、あとで支給額の訂正や返還という形で跳ね返ってくるのです。
支給申請の流れと、誰がいつ何を出すのか
ここからが本題です。育児休業給付金の支給申請は、原則として事業主を経由して管轄のハローワークへ提出します。被保険者本人が直接手続きすることも制度上は可能ですが、その場合でも賃金台帳や出勤簿など事業主が保有する書類が必要になるため、実務上は勤務先の担当部署と連携して進めることになります。
申請の頻度は原則として2か月に1回です。支給単位期間2つ分をまとめて申請する形になるため、「先月バイトしたことを次の申請までに伝えればいい」と考えていると、伝える相手もタイミングも見失います。働いた事実は、その支給単位期間が終わったらすぐ勤務先へ共有しておくのが基本動作です。
初回申請で必要になる書類
初回は受給資格の確認と支給申請をあわせて行うのが一般的です。準備する書類は主に次のようになります。
- 育児休業給付受給資格確認票、および初回の育児休業給付金支給申請書
- 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
- 賃金台帳、出勤簿またはタイムカードなど、休業開始前の賃金と勤務実績を確認できる書類
- 母子健康手帳の写しなど、育児の事実と子の出生日が確認できる書類
- 給付金の振込先口座が確認できる書類
このうち、休業開始時賃金月額証明書が後の判定すべての基準になります。ここで算定された休業開始時賃金日額に支給日数を掛けた額が、先ほど説明した13%や30%、80%の判定基準になるからです。バイトを検討している人は、この基準額が自分の場合いくらになるのかを初回申請の時点で勤務先に確認しておくと、後の計算が一気に楽になります。
2回目以降の申請書で就業実績を書く欄
2回目以降は、育児休業給付金支給申請書に加えて、賃金台帳と出勤簿を添えて提出するのが基本形です。この申請書には、支給単位期間ごとに次の情報を記入する欄があります。
- その支給単位期間中に就業した日数
- 就業日数が10日を超える場合の就業時間
- その支給単位期間中に支払われた賃金の額
つまり、バイトをした場合に「特別な追加書類」を出すというより、通常の申請書の該当欄を正確に埋めることが届出の実体になります。ここを空欄のまま出す、あるいはゼロと書いてしまうことが、最も起こりがちで最も後を引くミスです。
記入にあたっては、日付ベースの実績表を自分で作っておくことを強く勧めます。支給単位期間の開始日と終了日を書き、その間に働いた日付、開始時刻、終了時刻、休憩時間、その日の労働時間を並べた一覧です。表計算ソフトでもノートでも構いません。これがあれば、勤務先の担当者に共有する際も、ハローワークから問い合わせが来た際も、根拠を即座に示せます。
申請期限を過ぎた場合の扱い
支給申請には期限があります。原則として、その支給単位期間の初日から起算して4か月を経過する日の属する月の末日までに提出する必要があります。かなり余裕があるように見えますが、バイトの実績集計に手間取って勤務先への提出が遅れ、そこから社内処理を経てハローワークへ回るとなると、想像より早く期限が近づきます。
期限を過ぎた分については、原則としてその支給単位期間の給付を受けられなくなります。育休は長期間にわたるため、1回の遅れが二度と取り戻せない金額として残ります。就業実績の整理は、月をまたぐ前に片づける習慣にしておくべきです。
バイトをしたときに追加で必要になる証明と記録
同じ勤務先で臨時的に働いた場合と、他社でバイトをした場合とでは、必要になる記録の集め方が変わります。ここは実務で最も相談が集中するところです。
同じ勤務先で臨時的に働いた場合
育児休業中であっても、労使の話し合いに基づいて一時的、臨時的に働くこと自体は否定されていません。ただし、あらかじめ決められた曜日に定期的に出勤するような形は「休業していない」と判断される可能性があります。恒常的な就労と見なされると、育児休業そのものが成立しなくなり、給付の前提が崩れます。
同じ勤務先での就業であれば、出勤簿と賃金台帳にそのまま記録が残るため、書類の準備という意味では最も楽です。担当部署が申請書の該当欄を埋めてくれるケースも多いでしょう。ただし、担当者が育休中の就業を想定していないと、通常の出勤処理と同じ扱いで流されてしまい、申請書の就業日数欄に反映されないことがあります。給付の申請に反映されているかどうかは、必ず自分の目で確認してください。
他社でバイトをした場合
他社での就業は、勤務先の人事担当者には自動的には伝わりません。したがって、自分から実績を申し出る必要があります。ここで用意しておきたいのは次のような資料です。
- バイト先が発行するシフト表、勤務実績表、またはタイムカードの写し
- バイト先の給与明細、または支払調書に相当する支払記録
- 雇用契約書または労働条件通知書の写し
これらを支給単位期間ごとに切り分けて整理し、勤務先の担当部署へ提出します。ハローワークから追加の確認を求められた際にも、この束があれば対応できます。
同時に、就業規則の確認も欠かせません。副業や兼業を許可制としている会社は依然として多く、育休中であっても就業規則の適用は続きます。給付金の要件を満たしていても、社内ルール違反として問題になれば、それは別の話として処理されます。給付の可否と社内規程の可否は、まったく独立した2つの関門だと考えてください。
記録が残りにくい働き方のとき
在宅のデータ入力やライティングなど、始業と終業の打刻がない働き方では、就業時間の証明が難しくなります。この場合は自分で作業ログを残すしかありません。日付、作業内容、開始時刻、終了時刻、実作業時間を毎回記録し、納品物や請求書と紐づけて保管します。
在宅ワークの世界を長く見てきた立場から言うと、作業ログを習慣化している人は、育休のような制度対応の場面で圧倒的に強いです。証明を求められたときに即座に出せるかどうかで、話が5分で終わるか2週間かかるかが変わります。逆に、記録がないまま「だいたい週3回くらい」と説明しても、行政手続きの根拠にはなりません。
届出でつまずきやすい5つのポイント
実際の相談で繰り返し出てくるパターンを、5つに絞って整理します。
支給単位期間をまたぐシフト
深夜勤務や日をまたぐシフトがあると、どちらの支給単位期間に計上するのかで迷います。また、支給単位期間の境目が月の途中にあるため、給与明細をそのまま転記すると期間の切り分けを間違えます。実績表を日付単位で持っておけば、この切り分けは機械的に処理できます。
賃金の締め日と支払日のズレ
申請書に書く賃金額は、その支給単位期間に対応する賃金です。締め日と支払日がずれている場合、実際に振り込まれた月と、判定に使う期間が一致しません。バイト先の給与が翌月払いだと、この差はさらに大きくなります。どの期間の労働に対する賃金なのかを基準に整理してください。
業務委託の報酬をどう扱うか
雇用契約ではなく業務委託で仕事を受けた場合、就業日数や就業時間の考え方が単純ではありません。実際に稼働した日を就業日として扱うのか、成果物の納品日で見るのかは、働き方の実態によって判断が分かれます。この点は自己判断せず、稼働実態を具体的に説明したうえでハローワークに確認するのが唯一の正解です。「たぶん大丈夫」で進めた結果、後から不支給の判定が出て返還を求められるのが最悪のパターンです。
臨時的か恒常的かの線引き
毎週決まった曜日に働く形は、恒常的な就労と評価されるリスクがあります。一方で、繁忙期に数日だけ手伝う、単発の依頼に応じるといった形は臨時的と整理しやすくなります。ただしこの線引きに明確な日数基準があるわけではなく、実態で判断されます。継続的に働きたいのであれば、育児休業を終了して時短勤務へ切り替えるほうが制度的に整合するケースもあります。
申告漏れが後から判明したとき
就業実績を書き漏らしたまま給付を受けていたことが後から分かった場合、支給された給付金の返還を求められます。悪質と判断されれば、返還額に加えて追加の納付を命じられる制度もあります。金額の問題以上に、意図的な不正と扱われるかどうかが分かれ目になるため、気づいた時点で自分から申し出るのが最も傷が浅い対応です。隠し通せる性質のものではありません。
働き始める前に確認すべき相手と、聞くべき質問
ここまで読んで分かるとおり、育休手当中のバイトは「働けるかどうか」より「どう届け出るか」で結果が決まります。そして届出の正解は、個々の事情によって変わります。だからこそ、事前確認が最重要の作業になります。
ハローワークに確認すること
管轄のハローワークへ問い合わせる際は、次の点を具体的に聞いてください。
- 自分の休業開始時賃金日額と、支給単位期間ごとの基準額はいくらか
- 検討している働き方が、就業日数と就業時間としてどうカウントされるか
- 業務委託や在宅の作業について、就業時間の記録方法として何が認められるか
- 就業実績を申請書のどの欄に、どの単位で記載すればよいか
- 他社での就業について、追加で求められる資料はあるか
漠然と「バイトしていいですか」と聞くと、一般論の回答しか得られません。曜日、時間帯、想定される月の日数と時間、契約形態まで具体的に伝えることで、実務に使える回答が返ってきます。雇用保険や給付制度の全体像は厚生労働省のサイトでも確認できますが、個別判断は必ず窓口へ照会してください。
勤務先に確認すること
育児休業を取得している会社に対しては、次の点を確認します。
- 育児休業中の他社就業について、就業規則上の扱いはどうなっているか
- 許可制の場合、申請書式と提出先はどこか
- 給付金の支給申請は誰が担当し、就業実績はいつまでに伝えればよいか
- 自社での臨時的な就業を行う場合、どのような手続きを踏むのか
社会保険料の免除に関する扱いも、あわせて確認しておくと安心です。育児休業中は健康保険と厚生年金保険の保険料が免除される仕組みがありますが、他社で新たに社会保険の被保険者資格を取得するような働き方をすると、状況が変わる可能性があります。年金や健康保険の取り扱いは日本年金機構の情報も参考になりますが、最終的な判断は勤務先と保険者への確認が必要です。
バイト先に伝えること
意外に抜けるのが、バイト先への説明です。育児休業中であること、就業日数と時間に上限があること、勤務実績の証明が必要になる可能性があることを、契約前に伝えておきます。シフトを詰められてから断ると関係が悪化しますし、勤務実績表の発行を後から頼むと嫌がられることもあります。最初に条件として提示しておけば、双方にとって話が早く済みます。
税金と確定申告の扱いも整理しておく
給付と並んで質問が多いのが税金です。ここも届出の一種なので、あわせて整理しておきます。
育児休業給付金は非課税で、所得税も住民税もかかりません。したがって確定申告の対象にも、配偶者控除の判定における所得にも含まれません。一方、バイトで得た賃金は給与所得として課税対象になります。この2つを混ぜて考えると計算が合わなくなります。
年末調整は、主たる給与の支払者が行います。育休中に他社でバイトをした場合、その収入は従たる給与という位置づけになり、給与所得が2か所以上から発生する形になります。従たる給与の収入金額と、給与所得や退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える場合には、確定申告が必要になるのが原則です。業務委託で受け取った報酬は給与ではなく雑所得または事業所得として扱われるため、こちらも合計額の判定に入ります。
住民税については、所得税の確定申告が不要な場合でも、自治体への申告が必要になることがあります。金額が小さいから何もしなくてよい、とは限りません。税務の詳細は国税庁の情報を確認するか、居住地の税務署へ問い合わせるのが確実です。
もう一点、配偶者の扶養との関係も見落とされがちです。育休中は本人の給与収入が大きく減るため、配偶者控除や配偶者特別控除の対象になる可能性があります。ここにバイト収入が加わると判定が変わることがあるため、年間の収入見込みを早めに把握しておくと、年末に慌てずに済みます。
育休中の働き方として現実的な選択肢を考える
制度の話が続いたので、最後に働き方そのものの話をします。届出のしやすさという観点で見ると、育休中に選ぶ仕事には向き不向きがはっきりあります。
向いているのは、稼働日と稼働時間を自分でコントロールでき、記録が残しやすい仕事です。逆に向いていないのは、シフトが固定され、繁忙期に断りにくく、稼働日数が読めない仕事です。給付の判定が日数と時間の枠で行われる以上、自分で枠内に収める設計ができない仕事は、そもそも相性が悪いのです。
在宅で完結する仕事は、この点で有利です。移動時間が発生しないため、同じ稼働時間でも実作業に充てられる割合が高く、乳児の睡眠時間に合わせて細切れに進めることもできます。ただし、細切れに働くと就業日数だけが増えて10日の枠を超えやすくなるため、時間の枠で管理する前提で計画を立てるのが現実的です。
具体的な分野としては、業務改善やツール導入の相談に応じるAIコンサル・業務活用支援のお仕事のように、稼働単位が明確でスポット契約になりやすい領域があります。また、マーケティング施策の運用やセキュリティ関連の実務を扱うAI・マーケティング・セキュリティのお仕事も、成果物単位で区切りやすい仕事が含まれます。開発系の経験がある人であれば、機能単位で受注できるアプリケーション開発のお仕事という選択肢もありますが、こちらは納期の圧が強い案件も多いため、育休中に受けるならスコープを絞る判断が必要です。
単価の見当をつけるには、職種ごとの相場データが役に立ちます。開発職の水準を確認したいならソフトウェア作成者の年収・単価相場、文章まわりの仕事を検討しているなら著述家,記者,編集者の年収・単価相場が参考になります。13%や30%という賃金の枠を意識するうえで、時間単価の目安を先に知っておくと、受ける仕事量の設計がしやすくなります。
復職を見据えて足場を固めたい人には、資格の学習も選択肢になります。文書作成の基礎を体系化できるビジネス文書検定は、事務職や管理部門への復帰を考えている人と相性がよく、ネットワーク分野の実務力を示せるCCNA(シスコ技術者認定)は、IT職としての市場価値を保つ手段になります。学習は就業日数にカウントされないため、給付の判定に影響しないという実務上の利点もあります。
働き方の選び方そのものを整理したい場合は、時間の制約が強い人向けの実例をまとめた大学生におすすめの副業15選|バイトより稼げる在宅ワークランキング【2026年版】や、少額から始める場合の現実的な見通しを扱った大学生がクラウドソーシングでバイト代わりに稼ぐ方法|月3万円の現実が参考になります。スキルを積み上げる観点からの選び方は大学生がクラウドソーシングで稼ぐ方法|バイトよりも将来に役立つスキルが身につくにまとまっています。対象読者は異なりますが、「まとまった時間が取れない中でどう仕事を組み立てるか」という論点は育休中の状況とかなり重なります。
運営者として見てきた、育休中の働き方の実像
在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から、いくつか観察を共有します。
育休中に仕事を始めた人のうち、無理なく続けられているのは、収入の最大化を目的にしていない人たちです。目的が「感覚を鈍らせないこと」「復職後の選択肢を増やすこと」に置かれていると、稼働量が自然と枠内に収まり、届出も破綻しません。逆に、収入を積み増すことが目的になると、稼働が膨らみ、日数と時間の管理が崩れ、結果として給付が不支給になって手取りがかえって減るという逆転が起きます。運営者として見てきた限り、この逆転は珍しくありません。
もう一つ、額面と手取りの話をしておきます。同じ3万円の仕事でも、仲介手数料が引かれるかどうかで受け取れる額は変わります。育休中のように稼働量そのものに上限がある状況では、この差は無視できません。稼働時間を増やして手数料分を取り返すという選択肢が、そもそも取れないからです。だからこそ、限られた稼働で手取りを厚くできる手数料0%の直接取引は、この時期の働き方と構造的に相性がよいと言えます。依頼する側も同じ予算でより多く頼めるため、双方が得をする形になります。
長く続く人ほど、単発の作業をこなすことより、「この人に頼むと楽だ」と思われる関係づくりに時間を使っています。育休中は稼働量を増やせない代わりに、丁寧な報告や納期の確実性といった信頼の部分に力を入れやすい時期でもあります。復職後に仕事の相談が戻ってくるかどうかは、この期間の関わり方でかなり決まります。稼働できる時間が少ないことを引け目に感じる必要はありません。少ない稼働で信頼を積むほうが、長期的には強い資産になります。
最後にもう一度だけ書いておきます。育児休業給付金は、就業日数や賃金額によって減額または不支給になる制度です。この記事は届出実務の全体像を整理したものであり、個別の判断を保証するものではありません。働く前に必ず、管轄のハローワークと勤務先の担当部署へ、具体的な条件を示して確認してください。5分の確認を惜しんだために、数か月分の給付を失う事例を何度も見てきました。順序を守れば、育休中に働くことは十分に現実的な選択肢になります。
よくある質問
Q. 育休手当中にバイトをしたら、どの書類のどこに書けばいいですか?
育児休業給付金支給申請書に、支給単位期間ごとの就業日数、就業日数が10日を超える場合の就業時間、支払われた賃金額を記入する欄があります。特別な追加様式ではなく、通常の申請書の該当欄を正確に埋めるのが届出の基本です。他社でのバイトは勤務先に自動では伝わらないため、自分から実績を申し出る必要があります。
Q. 支給申請はいつまでに出す必要がありますか?
原則として、その支給単位期間の初日から起算して4か月を経過する日の属する月の末日までです。申請は2か月に1回まとめて行うのが一般的で、事業主経由でハローワークへ提出します。バイトの実績集計で社内提出が遅れると期限が近づくため、支給単位期間が終わったらすぐ勤務先へ実績を共有しておくのが安全です。
Q. 在宅の仕事で打刻がない場合、就業時間はどう証明しますか?
日付、作業内容、開始時刻、終了時刻、実作業時間を毎回記録した作業ログを自分で残し、納品物や請求書と紐づけて保管します。業務委託の場合は就業日数や時間のカウント方法が単純ではないため、稼働実態を具体的に説明したうえで、必ず事前にハローワークへ確認してください。自己判断で進めると後から不支給になる恐れがあります。
Q. 就業実績を書き忘れていたことに後から気づいたらどうなりますか?
支給された給付金の返還を求められます。悪質と判断された場合は返還額に加えて追加の納付を命じられる制度もあります。隠し通せる性質のものではないため、気づいた時点で自分からハローワークと勤務先へ申し出るのが最も影響の小さい対応です。訂正の手続きについても窓口で具体的に案内を受けられます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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