在宅ワークを扶養内で続ける|収入の数え方と届け出の要点 2026


この記事のポイント
- ✓在宅ワークを扶養内で続けるとき
- ✓判定の物差しは税と社会保険で別に動きます
- ✓令和8年分から変わった62万円と136万円
在宅ワークを扶養内で続けたい、という相談で最初に確認するのは「どの扶養の話をしていますか」です。ここが噛み合っていないまま数字を調べると、答えが合いません。
結論から書きます。扶養という言葉は1つの制度ではなく、税の扶養と健康保険の扶養という別々の制度を指しています。物差しが違い、判定する年の区切りも違い、数字も違います。そして令和8年分から、税の側の数字が大きく変わりました。103万円という有名な数字は、もう現行の基準ではありません。
さらに在宅ワークには固有の事情があります。パートの給与とは所得の種類が違うため、同じ収入額でも判定の計算が変わります。家内労働者等の必要経費の特例という、給与にはない枠も使えます。
この記事では、税と社会保険を分けて整理し、令和8年分の数字を一つずつ確かめ、在宅ワーク特有の計算と届け出の順番まで並べます。制度に関わる部分は国税庁と厚生労働省、日本年金機構の今日時点の記載を開いて確認したものだけを書いています。税務や社会保険の個別の判断は事情によって結論が変わるため、最終的な確認先も各節に書きました。
扶養は2つある。税と健康保険で別に判定する
まず全体の地図を作ります。扶養内で働きたいという話には、少なくとも3つの別の論点が含まれています。
1つ目が、税の扶養です。配偶者や親族の収入が一定額以下であれば、扶養している側の所得税と住民税が軽くなります。配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除がこれに当たります。判定するのは、その年の12月31日の状況と、その年1年間の所得の合計です。
2つ目が、健康保険の扶養です。家族の健康保険に被扶養者として入っていれば、自分で保険料を負担せずに医療の給付を受けられます。こちらは年単位の合計ではなく、これから1年間に見込まれる収入で判定されます。
3つ目が、自分自身に税がかかるかどうかです。これは扶養の話とは別で、自分の所得と控除の関係だけで決まります。
この3つは、境目になる金額が全部違います。しかも1つ目は「所得」、2つ目は「収入」で判定します。所得は収入から必要経費や控除を差し引いた後の額なので、同じ数字を両方に当てることはできません。ここを混ぜているのが、情報が混乱する最大の原因です。
以下、この順番で見ていきます。
在宅ワークの収入は給与ではない。所得の種類を先に決める
在宅ワークの収入は、雇われて受け取る給与とは扱いが違います。業務委託や請負で受ける報酬は、事業所得または雑所得になるのが原則です。
国税庁は雑所得を、利子所得から一時所得までのいずれにも当たらない所得と定義し、副業に係る所得を例として挙げています。一方、継続して相当の規模で行っているなら事業所得として扱われます。どちらに当たるかは、記帳や帳簿書類の保存の状況を含めて判断されます。
なぜここが重要かというと、給与には給与所得控除という自動的な引き算があるのに対し、事業所得と雑所得には実際にかかった必要経費を差し引く仕組みしかないからです。令和8年分の給与所得控除は、収入220万円までなら74万円です。つまりパートで136万円受け取った人の所得は62万円になります。
在宅ワークで136万円受け取った人の場合、経費がゼロなら所得も136万円です。同じ収入額でも所得が倍以上違います。この差が、扶養の判定でそのまま効いてきます。
ただし在宅ワークには、給与所得控除の代わりになる特例が用意されている場合があります。それが次の節で扱う家内労働者等の必要経費の特例です。この特例が使えるかどうかで、計算がまったく変わります。
もう1つ確認しておきたいのが、契約の形です。在宅で働いていても、雇用契約でパートとして働いているなら、その収入は給与です。在宅勤務の正社員やパートは給与所得者として扱われます。自分の契約がどちらなのかは、契約書の題名ではなく実態で判断されるため、判断に迷う場合は税務署に確認してください。
令和8年分から数字が変わった。103万円はもう現行ではない
ここが、今いちばん古い情報が残っている部分です。数字を並べます。
令和8年分の基礎控除は、合計所得金額132万円以下の場合104万円です。令和6年分以前は48万円、令和7年分は95万円でした。3年で2倍以上に動いています。
給与所得控除は、令和8年分と令和9年分について、給与等の収入金額2,200,000円までなら740,000円です。令和7年分は1,900,000円まで650,000円でした。
配偶者控除と扶養控除の所得要件は、令和8年分から合計所得金額62万円以下です。国税庁の配偶者控除のページには、給与だけの場合の換算まで書かれています。
(3)年間の合計所得金額が62万円以下(注)(令和7年分は58万円以下、令和2年分から令和6年分までは48万円以下、令和元年分以前は38万円以下)であること。給与のみの場合は給与収入が136万円以下(令和7年分は123万円以下、令和6年分以前は103万円以下) 出典: 国税庁
つまり、給与でいう「扶養の壁」は令和8年分で136万円です。103万円は令和6年分以前の数字で、123万円は令和7年分の数字です。この3つが並んで流通しているため、どの年の話なのかを確かめずに数字だけを見ると間違えます。
注意点として、この改正は令和8年12月1日に施行され令和8年分から適用される扱いになっています。施行日前の適用関係については国税庁が質疑応答をまとめたものを公開しているため、年をまたぐ判断をする場合はそちらも確認してください。
住民税については、所得税とは基準が別に動きます。住んでいる市区町村によって非課税の範囲の取扱いが異なる部分があるため、住民税の判定は市区町村の窓口で確認するのが確実です。
家内労働者等の必要経費の特例。69万円という別の枠
在宅ワークで扶養内を狙うとき、いちばん効くのがこの特例です。知らずに損をしている方が多い部分でもあります。
国税庁のタックスアンサーは次のように説明しています。
事業所得 または 雑所得 の金額は、総収入金額から実際にかかった必要経費を差し引いて計算することになっています。しかし、家内労働者等の場合には、必要経費として69万円まで(令和7年分は65万円、令和2年分から令和6年分までは55万円。以下同じです。)認められる特例があります。 出典: 国税庁
実際にかかった経費が69万円未満でも、必要経費として69万円まで認められます。給与所得控除の74万円に近い枠が、在宅ワークにも用意されているということです。
誰が使えるのかが重要です。同じページの注には、家内労働者等とは家内労働法に規定する家内労働者や、外交員、集金人、電力量計の検針人のほか、特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする人をいうと書かれています。
この「特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行う」という部分が、在宅ワークで論点になります。決まった取引先から継続して仕事を受けている形なら該当する可能性がありますが、不特定多数を相手にしている場合や、物を売っている場合は当たらないと判断されることがあります。自分の働き方が該当するかどうかは税務署で確認してください。ここは断定できる話ではありません。
給与と掛け持ちしている場合の扱いも決まっています。給与の収入金額が69万円以上あるときは、この特例は受けられません。69万円未満のときは、69万円からその給与に係る給与所得控除額を差し引いた残額と、実際にかかった経費とを比べて高いほうが必要経費になります。パートと在宅ワークの両方をしている方は、ここを取り違えやすいので注意してください。
なお、65万円と書いてある解説がまだ大量に流通しています。65万円は令和7年分の数字で、令和8年分は69万円です。
自分に所得税が出はじめるのはどこからか
扶養の話とは別に、自分に税がかかるかどうかも気になるところです。特例が使える場合の目安が、国税庁のページに具体的に書かれています。
この特例に該当する所得しかない人で、その年の総収入金額が173万円以下の場合、総所得金額が基礎控除額の104万円以下となるため本人に所得税は課されません。173万円から69万円を引くと104万円になり、それが基礎控除と同額になるという計算です。
同じページには、総収入金額が131万円以下の場合、扶養者の所得税額の計算上、配偶者控除または扶養控除の対象になるとも書かれています。131万円から69万円を引くと62万円で、これが配偶者控除と扶養控除の所得要件と一致します。
つまり、この特例が使える在宅ワークの場合、覚えておく数字は2つです。131万円までなら家族の税の扶養に入ったまま、173万円までなら自分に所得税がかからない、です。
特例が使えない場合は、実際にかかった経費で計算します。収入から経費を引いた額が62万円以下であれば家族の税の扶養の範囲、104万円以下であれば自分に所得税はかかりません。経費が積み上がる働き方なら、収入が131万円を超えても扶養の範囲に収まることがあります。
給与だけを受けている方の目安も書いておきます。給与収入178万円までであれば、給与所得控除74万円を差し引いた所得が104万円となり、基礎控除と同額になるため所得税はかかりません。160万円という数字は令和7年分の話です。
これらはあくまで他の所得や控除がない場合の目安です。他に収入がある場合、社会保険料控除や生命保険料控除がある場合は結論が変わります。自分の場合の金額は、確定申告書等作成コーナーで実際の数字を入れて確かめるか、税務署で確認してください。
配偶者控除と配偶者特別控除。62万円の先にある段階
配偶者の収入が扶養の範囲を超えたら控除がゼロになる、と思っている方が多いのですが、そうではありません。段階的に減る仕組みが用意されています。
配偶者控除は、配偶者の合計所得金額が62万円以下で、控除を受ける側の合計所得金額が1,000万円以下の場合に適用されます。控除額は、控除を受ける側の合計所得金額が900万円以下なら38万円、900万円超950万円以下なら26万円、950万円超1,000万円以下なら13万円です。
62万円を超えた場合は配偶者特別控除に移ります。国税庁の令和8年分以降の表では、配偶者の合計所得金額が62万円超95万円以下であれば控除額は38万円のまま、95万円超100万円以下で36万円、100万円超105万円以下で31万円と、段階的に下がっていきます。最後は130万円超133万円以下で3万円となり、133万円を超えるとゼロになります。いずれも控除を受ける側の合計所得金額が900万円以下の場合の額です。
ここから言えることは1つです。62万円をわずかに超えたところで、世帯の税負担が急に増えるわけではありません。62万円超95万円以下の範囲では控除額が38万円のまま維持されるため、税の側で言えばこの範囲は段差になっていません。
急に負担が増えるのは、次の節で扱う健康保険の側です。扶養内を意識して働き方を抑えている方が本当に見るべきなのは、税の62万円より、健康保険の基準です。
健康保険の被扶養者。130万円と150万円
健康保険の扶養は、税とは別の制度です。判定するのは所得ではなく収入で、しかもこれから1年間の見込みで判断されます。
原則は年間収入130万円未満です。ただし令和7年10月1日以降の認定については、扶養を受ける方が19歳以上23歳未満である場合の基準が変わりました。厚生労働省は次のように説明しています。
扶養認定を受ける方(配偶者を除く)が19歳以上23歳未満である場合の年間収入要件の額を150万円未満に引き上げました。 出典: 厚生労働省
配偶者は除かれている点に注意してください。学生の年代の子どもが在宅ワークをしている場合は150万円未満、配偶者の場合は130万円未満という整理になります。
一時的に基準を超えた場合の扱いも用意されています。毎年の被扶養者認定の時に、人手不足による労働時間の延長などに伴って一時的に年収が130万円以上となった場合、過去の課税証明書や給与明細書などに加えて、一時的な収入である旨の事業主の証明を添付することで、原則として連続2回までは引き続き扶養に入り続けられます。この取扱いは恒久化されています。
もう1つ、労働契約の内容による判定も導入されています。認定時点で労働契約の内容によって見込まれる年間収入が130万円未満で、他の収入が見込まれず、主として被保険者の収入によって生計を維持していると認められる場合は、原則として被扶養者として扱われます。
在宅ワークで気をつけたいのは、この130万円が「収入」なのか「経費を引いた後」なのかという点です。ここは加入している健康保険によって取扱いが異なります。事業としての収入について、どの経費を差し引いて判定するかの扱いが保険者ごとに違うためです。断定できないので、必ず家族の勤務先の健康保険の窓口、または協会けんぽの各支部に確認してください。この確認を省略して自分で計算し、後から認定を取り消された例があります。
自分で社会保険に入る場合の負担
扶養から外れる判断をするなら、外れた後の負担を先に知っておく必要があります。
在宅ワークが業務委託で、勤務先の社会保険に入らない場合、国民年金と国民健康保険に自分で加入します。国民年金保険料は日本年金機構の記載で、令和8年度は1か月あたり17,920円です。年間では214,000円を超えます。将来の年金額を増やす付加保険料は月額400円で、これは任意です。
国民健康保険の保険料は市区町村によって計算が違い、前年の所得と世帯の人数で決まります。全国一律の数字は出せないため、住んでいる市区町村の国民健康保険の窓口か、公式サイトの試算のページで確認してください。
納付した国民年金保険料は、所得税と個人住民税の計算上、全額が社会保険料控除の対象になります。つまり負担が増えた分の一部は税で戻る形になります。この点を計算に入れずに「扶養を外れると損」と結論を出す方が多いのですが、実際には控除の効果と将来の年金額の増加を合わせて考える必要があります。
判断の目安として、扶養を外れる場合は、増える保険料の額を収入の増加が上回るかどうかを見ます。ただし境目の前後では、収入が増えても手元に残る額が減る範囲が出ます。この計算は世帯の構成と市区町村で変わるため、年金事務所と市区町村の窓口の両方で数字を出してもらってから決めるのが確実です。
パートと在宅ワークを掛け持ちする場合
いま在宅ワークを増やしている方の多くが、パートと掛け持ちしています。この場合、社会保険の適用の判定が別に走ります。
厚生労働省の社会保険適用拡大特設サイトによると、パートやアルバイトが社会保険の加入対象になるのは、勤め先の従業員数が2027年9月までは51人以上、2027年10月以降は36人以上で、週の所定労働時間が20時間以上、学生ではない、そしてフルタイムの従業員と同じく2か月を超えて雇用される見込みであることを満たす場合です。以前は所定内賃金が月額8.8万円以上という賃金の要件もありましたが、令和7年年金制度改正により2026年10月に撤廃されました。
企業規模の基準は段階的に広がります。従業員数36人から50人の企業は2027年10月から、21人から35人の企業は2029年10月から、11人から20人の企業は2032年10月から、10人以下の企業は2035年10月から適用拡大の対象になります。
ここで重要なのは、この判定に在宅ワークの報酬は入らないという点です。社会保険の適用は雇用されている勤務先での労働時間などで判定されるため、業務委託で受けている在宅ワークの報酬は別扱いです。一方、健康保険の被扶養者の130万円の判定には、パートの給与と在宅ワークの収入の両方が入ります。判定の入り口が違うので、片方の数字だけを見ていると読み違えます。
家内労働者等の必要経費の特例についても、掛け持ちだと制約が出ます。給与の収入金額が69万円以上あればこの特例は使えません。パートで月あたり6万円ほど受け取っていると年間で72万円になり、特例の対象から外れます。在宅ワークの経費が少ない方の場合、この点が扶養の判定に直接響きます。掛け持ちの配分を決めるときは、この69万円という線を先に確認してください。
届け出の順番。開業届から確定申告まで
手続きの順番を整理します。在宅ワークを始めて、扶養内で続けるつもりでも、必要な届け出はあります。
最初が開業届です。国税庁の記載では、個人事業の開廃業等届出書の提出期限は「事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで」です。開業から1か月以内という説明が流通していますが、現在の記載と合いません。
青色申告を選ぶ場合は別の期限になります。原則として、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日までです。その年の1月16日以後に新たに事業を開始した場合は、事業開始等の日から2か月以内です。こちらは期限を過ぎるとその年は青色申告ができないため、開業届より先に確認してください。
次が確定申告です。給与を1か所から受けていて、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合、給与所得と退職所得を除く各種の所得金額の合計額が20万円を超えると確定申告が必要です。在宅ワークだけで給与がない場合は、この20万円の特例は当てはまりません。所得が基礎控除などの合計を超えるかどうかで判断します。
そして住民税です。所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要になることがあります。所得税の20万円の特例は住民税にはないため、手続きの窓口は住んでいる市区町村になります。金額が小さいうちから確認しておくと、後から通知が届いて驚くことがなくなります。
最後が、家族の勤務先への連絡です。健康保険の被扶養者の認定は毎年確認されるため、収入が見込みより増えた場合は早めに伝えてください。後から認定を取り消されると、その間の医療費の負担が遡って求められることがあります。
記録の付け方。何を経費として数えるか
扶養内で続けるかどうかを判断するには、自分の数字を持っている必要があります。記録がないと、年末に慌てて計算することになります。
記録するのは4つです。受け取った報酬の額と入金日、取引先ごとの内訳、支払った経費の額と内容、そしてその根拠になる領収書や明細です。表計算ソフトで1枚の表にまとめておけば、確定申告の資料がそのまま作れます。
経費として数えられるものは、その仕事のために使ったと説明できるものです。在宅ワークで多いのは、通信費、パソコンやソフトの費用、事務用品、取引先との連絡にかかる費用、仕事に使う資料の代金です。自宅の家賃や電気代のように、生活と仕事の両方に使っているものは、仕事に使っている割合で按分して計算します。
按分の割合をどう決めるかは、説明できる根拠が必要です。作業に使っている部屋の面積の割合、1日のうち仕事に使っている時間の割合といった基準で計算します。この根拠をメモとして残しておくことが、後で聞かれたときの備えになります。どこまで経費として認められるかは実際の使用状況によって変わるため、金額が大きい場合は税務署で確認してください。
なお、家内労働者等の必要経費の特例を使う場合は、実際の経費が69万円未満なら69万円が認められるため、細かい経費の積み上げが結果に影響しないことがあります。ただし、経費が69万円を超えるなら実額のほうが有利になります。どちらを使うかは年ごとに計算して決めればよいので、記録は毎年付けておいてください。
契約書や発注の条件を残しておくことも、実務では重要です。報酬の支払いが遅れたときや、条件の認識が食い違ったときの土台になります。未払いが起きたときの回収の手順は未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】に整理されています。発注書と契約書に何を書いてもらうべきかはフリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストが具体的です。
学生が在宅ワークをする場合
学生の年代で在宅ワークをしている方は、使える控除と基準が少し違います。
勤労学生控除は、その年の12月31日の現況で3つの要件をすべて満たす場合に27万円の所得控除が受けられる仕組みです。要件は、給与所得などの勤労による所得があること、合計所得金額が令和8年分から89万円以下で、かつ勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること、そして特定の学校の学生や生徒であることです。
給与に換算すると、給与所得控除74万円を足して163万円以下という計算になります。ただし2つ目の要件の後半、勤労以外の所得が10万円以下という条件を見落としやすいので注意してください。
在宅ワークの報酬がこの「勤労による所得」に当たるかどうかは、働き方によって判断が変わります。学校に通いながら業務委託で仕事を受けている場合の扱いは、税務署で確認してください。
健康保険の側は、19歳以上23歳未満であれば令和7年10月1日以降の認定から年間収入150万円未満が基準です。配偶者は除かれます。また、社会保険の適用拡大の要件には「学生ではない」が含まれているため、学生の間は勤務先での社会保険の加入対象から外れる場合があります。ただし休学中や定時制、通信制の方などは加入対象になることがあるため、勤務先に確認が必要です。
扶養控除の側では、19歳以上23歳未満は特定扶養親族に当たり、控除額が63万円になります。給与136万円を超えた範囲についても、特定親族特別控除という段階的な控除が用意されています。適用の範囲と控除額は年分によって変わるため、実際の金額は税務署または確定申告書等作成コーナーで確かめてください。
市場を長く見てきた立場からの観察
在宅ワークと業務委託の市場を20年にわたって見てきた立場から、2つ書いておきます。
1つ目は、扶養内に収めるために仕事を断ることが、長い目で見て損になっている例が多いという点です。理由は2つあります。1つは、断ると次の依頼が来なくなること。もう1つは、税と社会保険の境目が毎年動いていることです。令和6年分の103万円が令和7年分で123万円になり、令和8年分で136万円になりました。3年で30%以上動いています。数年前に決めた「ここまでで抑える」という線が、今年も正しいとは限りません。毎年計算し直す前提で働き方を決めるほうが、結果として収入が伸びています。
2つ目は、間に入る会社の数が手取りを決めているという点です。同じ作業でも、依頼元から直接受けている方と、仲介を経由している方では、手元に残る額が違います。仲介の手数料は、受ける側の報酬から引かれるか、発注側の予算から引かれるかのどちらかです。どちらにしても、間の数が少ないほうが双方に有利になります。発注する側は同じ予算でより多くを頼めて、受ける側は手数料0%の取引なら手取りが厚くなる。扶養の範囲内で働く方にとっては、これが特に効きます。同じ「収入131万円」でも、手数料が引かれていない131万円のほうが、実際にできる仕事の量は少なくて済むからです。
もう1つ、市場の変化も書いておきます。在宅ワークの募集は、扶養内で働きたい層を前提にした設計に寄ってきました。月あたりの稼働時間を区切った契約、繁忙期だけの依頼、期間を決めた案件が増えています。つまり、扶養内で収めながら続けられる形の仕事が、以前より探しやすくなっています。一方で、単価の低い作業の募集も同じだけ増えました。時間あたりの実収入を測らずに受け続けると、扶養の範囲に収まっているのに労働時間だけが伸びる形になります。
扶養内で在宅ワークを続けるなら、決めるべきことは3つです。使えるのが家内労働者等の特例か実額の経費か、健康保険の基準が130万円か150万円か、そして時間あたりいくらで働くか。この3つを数字で持っていれば、年末に慌てることはなくなります。そして毎年、同じ3つを確かめ直してください。数字は動きます。
経費や資格の扱いをもう一段踏み込んで整理したい方には、本業を持ちながら専門の仕事を受ける場合の論点をまとめた会計士の副業ガイド|監査法人勤務でもできる高収入の稼ぎ方【2026年版】が参考になります。事務や文書を扱う仕事に広げるなら、提示できる資格としてビジネス文書検定、収入の相場を測る材料として著述家,記者,編集者の年収・単価相場を並べて見ると、次の一手が決めやすくなります。
よくある質問
Q. 在宅ワークの収入は、いくらまでなら家族の税の扶養に入ったままですか?
令和8年分の配偶者控除と扶養控除の所得要件は合計所得金額62万円以下です。家内労働者等の必要経費の特例が使える場合は必要経費として69万円まで認められるため、総収入131万円以下であれば配偶者控除または扶養控除の対象になります。特例が使えない場合は、収入から実際の経費を引いた額が62万円以下かどうかで判定します。
Q. 健康保険の扶養の130万円は、経費を引いた後の額で判定してよいのですか?
ここは加入している健康保険によって取扱いが異なります。事業としての収入についてどの経費を差し引いて判定するかの扱いが保険者ごとに違うため、家族の勤務先の健康保険の窓口、または協会けんぽの各支部に確認してください。自分で計算して申告し、後から認定を取り消された例があります。
Q. 103万円の壁という言葉を今も見かけますが、これは何の数字ですか?
令和6年分以前の給与収入の基準です。令和7年分は123万円、令和8年分は136万円に変わっています。給与所得控除の最低保障額が令和8年分から74万円に、基礎控除が合計所得132万円以下で104万円になったためです。どの年分の話なのかを確かめずに数字だけを使うと判定を間違えます。
Q. パートと在宅ワークを掛け持ちすると、何に気をつければよいですか?
家内労働者等の必要経費の特例は、給与の収入金額が69万円以上あると使えません。年間の給与が69万円を超える見込みなら、在宅ワークの経費は実額で計算することになります。また、健康保険の被扶養者の判定にはパートの給与と在宅ワークの収入の両方が入る一方、勤務先での社会保険の加入判定は労働時間と賃金だけで決まります。入り口が違うので、それぞれの窓口で確認してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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