ラオス語の単価の相場|文字単価・時間単価の決まり方と分野別の差

中西 直美
中西 直美
ラオス語の単価の相場|文字単価・時間単価の決まり方と分野別の差

この記事のポイント

  • ラオス語の翻訳の単価はどう決まるのか
  • 文字単価と時間単価の数え方の違い
  • 見積もりの組み立て方までを

ラオス語ができる方から届く相談で、いちばん多いのが単価の話です。「ラオス語 翻訳 単価」と検索して、翻訳会社のサービスページばかりが並んで、結局いくらで受ければいいのか分からなかった。そんな声をよく聞きます。大丈夫です。ラオス語の単価は、実は「相場表を覚える」ものではありません。数え方の型がいくつかあって、そこに分野と納期の係数が乗る。この構造さえ分かれば、初めての見積もりでも自分で組み立てられます。

この記事では、ラオス語の翻訳と通訳の報酬がどう決まっているのかを、数え方の単位から順に分解していきます。読み終わるころには、目の前の依頼メールを見て「これはこのくらい」と言えるようになっているはずです。

ラオス語に「一枚の相場表」が存在しない理由

英語や中国語であれば、翻訳会社の料金ページを何社か見比べれば、だいたいの中央値が見えてきます。ところがラオス語は、同じことをしても幅が広すぎて中央値が取れません。理由は三つあります。

一つ目は、稼働できる訳者の数が極端に少ないことです。ラオス語の話者数そのものは決して小さくありません。

ラオス語はラオスの公用語で、話者数は約3200万人。ラオ語とも呼ばれています。ラオスで300万人、タイで2700万人に使用され、東北タイではイサーン方言と呼ばれています。インターブックスでは世界85言語2500名以上の翻訳者を抱え、25年以上の多言語翻訳とDTPの豊富な経験と実績があります。 出典: interbooks.co.jp

話者は多い。けれども「日本語とラオス語の両方を業務水準で扱える人」となると、母数は一気に細ります。日本国内で日本語能力を業務レベルまで持っているラオス語話者、あるいはラオス語を実務水準まで習得した日本語話者。この二つの層は、どちらも人数が限られます。供給が薄い言語では、価格は需要側の事情に強く引っ張られます。「急ぎで、この分野で、この人でないと困る」という依頼が来たとき、単価は簡単に平均から離れます。

二つ目は、案件の性格が偏っていることです。ラオス語の依頼は、観光や広報のような明るい内容よりも、技能実習や特定技能に関わる社内文書、安全衛生の手順書、雇用契約や生活のルール説明といった、実務の書類に寄ります。こうした文書は分量が読めず、専門用語の密度が高く、誤訳が現場の事故や行政手続の差し戻しに直結します。したがって単価は一般文書より高く設定されるのが普通です。

三つ目は、そもそも「単価」という言葉が二つの意味で使われていることです。翻訳会社がクライアントに提示する販売単価と、その翻訳会社が登録翻訳者に払う支払単価。この二つは同じ言葉で語られながら、金額はまったく違います。ネットで見つかる料金ページは前者です。在宅で受ける側が知りたいのは後者です。ここを混同したまま交渉に入ると、話が噛み合いません。

販売単価と支払単価の差はどのくらいか

翻訳会社は、受注した仕事を訳者に流す前後で、原稿整形、用語集の作成、レイアウト調整、ネイティブチェック、納品後の問い合わせ対応まで引き受けています。その分の取り分が乗るため、クライアント向けの提示額と訳者への支払額には差が生まれます。業界の一般的な構造として、訳者に渡る割合は販売額の4割から6割程度に収まることが多いと言われます。チェッカーを別に立てる案件では訳者の取り分はさらに下がります。

だからこそ、直接取引かどうかで手取りが変わります。同じ予算でも、間に入る層が少なければ、依頼する側はより多く頼めて、受ける側の手取りは厚くなる。これは精神論ではなく、単純な引き算の話です。

単価の数え方は三通りある

ラオス語の仕事の値段は、次の三つのうちどれかで数えられます。どれで数えるかを最初に確定させないまま作業に入ると、納品後に必ずもめます。

原文の文字数で数える

いちばん一般的なのが、原文の文字数に単価を掛ける方式です。翻訳会社の料金ページも、この考え方で組まれています。

翻訳料金は「原文の文字数×文字単価」で算出します。 以下は料金の目安となりますが、文字単価は内容やボリューム、納期、原稿の形式などによっても変動します。原稿をお送りいただけましたら迅速かつ正確なお見積りが可能ですので、是非、弊社のコーディネーターまでお問合せください。お見積りは無料です。 「原文の文字数×文字単価」が10,000円に満たない場合、11,000円(税込)を申し受けます。 出典: amitt.co.jp

ここで押さえておきたいのは、後半の一文です。文字数で計算した結果が一定額に届かない場合は最低料金を適用する、という取り決めが明記されています。この考え方は、在宅で個人が受ける場合にもそのまま応用できます。詳しくは後の節で扱います。

日本語からラオス語へ訳す場合、原文は日本語なので、Wordの文字カウントで数えられます。単価の相場は、一般的な内容で日本語1文字あたり12円から20円程度、専門性の高い分野では20円から30円あたりまで開きます。これはクライアント向けの提示水準に近い帯なので、翻訳会社から下請けで受ける場合は、この半分前後を見ておくと現実的です。

ラオス語を原文にするときの数え方

逆方向、つまりラオス語から日本語へ訳す場合が厄介です。ラオス文字は語と語の間にスペースを入れない書き方をするため、単語数を機械的に数えることが難しく、文字数のカウントもソフトによって結果がずれます。改行や声調記号の扱いでも差が出ます。

実務では、次のどれかで処理されています。

・訳文である日本語の文字数で数える(訳出後に確定する後払い方式) ・原稿を画像やPDFで受け取る場合は、A4一枚あたりの枚数単価で数える ・ラオス語側の概算文字数を双方で確認し、上下10%の誤差は不問とする取り決めを入れる

初めての相手と組むときは、二つ目か三つ目が無難です。訳文文字数で数える方式は、訳者側が意図的に冗長に書けば金額が増える構造になるため、依頼側が嫌がることがあります。もし訳文基準を提案するなら、「日本語として自然な範囲で訳す」と一文添えておくと、相手の警戒が下がります。

時間で数える仕事

通訳、会議の同席、動画への字幕付け、現地とのやり取りの代行といった仕事は、時間で数えます。ラオス語のオンライン通訳では、半日(3時間から4時間)と一日(7時間から8時間)を単位にした半日単価と日単価が標準です。オンラインの短時間案件では、1時間単位や30分単位の設定も増えています。

時間で数えるときに必ず決めておくべきなのが、次の四つです。

・拘束の開始と終了をどこで切るか(接続待機の時間を含むかどうか) ・延長が発生した場合の刻み(15分単位か30分単位か) ・事前資料の読み込みを準備費として別立てにするか、時間単価に織り込むか ・キャンセル料の発生時点(前日か、当日か、開始24時間前か)

このうち、見落とされやすいのが三つ目です。医療や技術の通訳では、事前に用語や資料を頭に入れる時間が実務の半分を占めることも珍しくありません。その時間が無報酬のまま積み上がると、時間単価の数字がどれだけ高くても、実質の時給は下がります。準備を含めた総時間で割り戻して考える習慣をつけてください。

分野で単価が変わる仕組み

同じラオス語でも、扱う内容によって単価は二倍近く変わります。翻訳会社が対応分野を細かく分けて掲示しているのは、そこに価格差があるからです。

アミットでは日本語←→ラオス語だけでなく、英語←→ラオス語や多言語←→ラオス語など、様々な言語ペアの翻訳サービスを提供しています。取り扱い分野は、一般ビジネスやPRから、工業、IT、金融、医療、法律、広報、芸術、エンターテイメント、観光(インバウンド)など多岐にわたります。 各案件に最適な訳者が翻訳することで、質の高い翻訳物を提供しています。アミットの豊富な経験と、蓄積されたノウハウに基づく高品質翻訳サービスは、お客様からの信頼も厚く、90%以上のリピーター率を誇ります。 出典: amitt.co.jp

分野ごとの傾向を、下から順に見ていきます。

一般ビジネス・観光・広報

社内の連絡文書、観光地の案内、飲食店のメニュー、SNSの投稿文などが該当します。用語の密度が低く、原稿の型もある程度そろっているため、単価はいちばん下の帯に置かれます。ただしこの帯は、機械翻訳と生成AIの影響をもっとも受けやすい領域でもあります。近年は「AIで下訳を作ったので、それを直してほしい」という依頼の形が増えました。

この形の依頼を受けるときは、ゼロから訳す場合の6割から7割を目安に見積もると、実作業と釣り合います。安く見積もりすぎると、下訳の質が悪かった場合に全面書き直しになり、結果として最悪の時給になります。受ける前に必ず、下訳の一部を見せてもらってください。

工業・製造・建設・安全衛生

作業手順書、設備のマニュアル、安全教育の資料、点検表などです。ラオス語の依頼で実際にいちばん量が出るのがこの領域です。専門用語の一貫性が厳しく求められ、用語集の作成や維持まで含めて任される場合もあります。単価は一般ビジネスより2割から4割ほど上に置かれるのが通例です。

この領域は、一度入ると継続の依頼が長く続く傾向があります。同じ企業の同じ設備、同じシリーズの手順書が、改訂のたびに回ってくるためです。初回に用語集を丁寧に作っておくと、二回目以降の作業時間が大きく縮み、実質の時給が上がります。単価表の数字だけでなく、この「二回目以降の効率」まで含めて案件を選ぶ視点を持ってください。

医療・法務・公文書

診療の同意書、問診票、雇用契約書、就業規則、行政手続の添付書類などです。誤訳が権利義務や健康に直結するため、単価はいちばん上の帯に置かれます。一方で、求められる水準も跳ね上がります。医療通訳の求人では、資格や経験を条件に挙げるものが目立ちます。

責任の重さと単価は連動します。高い単価が提示されている案件は、それだけ間違えられない案件だということです。自分の守備範囲を超えると感じたら、単価が魅力的でも断る判断が要ります。断ることは信用を落としません。むしろ「この人は無理をしない」という評価につながります。

映像・字幕

動画への字幕付けは、時間で数える方式と、映像の分数で数える方式があります。分数単価の場合、話者の発話密度によって作業量が大きく変わるので、受ける前に必ず尺と話者数を確認してください。字幕は文字数の制約が厳しく、意味を保ったまま短くする作業が加わるため、同じ分量の文書翻訳より手間がかかります。この工程を扱う仕事の全体像は映像翻訳・字幕・通訳のお仕事で整理されています。字幕、吹き替え、逐次通訳と同時通訳の違いなど、時間の数え方が絡む仕事がまとまっているので、時間単価の案件を受ける前に一度目を通しておくと判断が早くなります。

最低料金という考え方

在宅で受ける方が、いちばん取りこぼしているのがここです。

先に引いた料金ページには、計算結果が一定額に届かない場合は最低料金を適用する、という取り決めが書かれていました。これは業界の慣行です。理由は明快で、翻訳という仕事には、分量にかかわらず必ず発生する固定の手間があるからです。原稿を受け取り、内容を把握し、用語を確認し、訳し、見直し、形式を整えて納品し、請求書を出す。この一連の流れは、原稿が50文字でも5,000文字でも、ほぼ同じだけ発生します。

にもかかわらず、個人で受けている方の多くが、最低料金を設定していません。その結果、「一文だけ訳してほしい」という依頼が来たときに、文字単価で計算して数百円で受けてしまう。実作業とやり取りで40分かかっていれば、時給換算は目も当てられません。

最低料金の設定は、次のように考えると決めやすくなります。まず、自分が一件の仕事に最低限かける時間を出します。原稿の確認、翻訳、見直し、納品の連絡までで、短い案件でも30分から60分は見ておくべきです。次に、自分が目標とする時給を掛けます。この金額を最低料金として、料金表の先頭に書いておきます。

「小さな案件でも快く受ける」ことと、「小さな案件を無料同然で受ける」ことは違います。前者は信用になりますが、後者は自分の時間を削っているだけです。最低料金を明示している人は、依頼する側から見ても分かりやすく、むしろ相談しやすい相手になります。

納期と単価の関係

もう一つの係数が納期です。通常の処理量を超える速度を求められる場合、特急料金として上乗せするのが一般的です。上乗せの幅は20%から50%程度で設定されることが多く、休日や深夜の作業が入る場合はさらに乗せます。

自分の一日あたりの処理量を把握しておくと、この判断が速くなります。日本語からラオス語への翻訳であれば、一般的な内容で一日2,000文字から3,000文字、専門性の高い内容で1,500文字前後というのが、無理なく品質を保てる目安です。この数字は人によって違うので、最初の数件で自分の実測値を取っておいてください。実測値があると、「この分量をこの期日で」という相談に対して、感覚ではなく数字で答えられます。

納期の交渉で覚えておきたいのは、値引きの代わりに納期を延ばしてもらう手があることです。「この単価であれば、期日を三日いただければお受けできます」という言い方は、単価を守りながら相手の予算にも配慮する形になります。値段を下げる前に、時間を交渉する。これが単価を崩さないための基本の型です。

見積もりを組み立てる手順

ここまでの要素を、実際の見積もりの形に落とし込みます。手順は五つです。

第一に、数え方の単位を確定します。原文文字数か、訳文文字数か、枚数か、時間か。ここを曖昧にしたまま先に進まないでください。

第二に、原稿を実際に見て、分野と難度を判定します。原稿を見ずに単価だけ答えるのは避けます。「概算でよいので」と言われた場合も、「原稿を拝見してから確定させます」と一言添えて、幅で答えます。

第三に、基準単価を置きます。自分の中で、一般ビジネスの単価をいくらにするかを一つ決めておき、それを起点に分野の係数を掛けます。基準がないと、案件ごとに答えがぶれて、あとで自分の首を絞めます。

第四に、納期の係数を掛けます。通常納期なら等倍、特急なら上乗せです。

第五に、最低料金と比較して、下回っていれば最低料金を適用します。

この五段階を、メモでもスプレッドシートでもよいので、形にして手元に置いてください。依頼が来るたびに考え直すのではなく、当てはめるだけの状態にしておく。それだけで見積もりの返信速度が上がり、返信が速いという理由だけで受注が増えます。

手取りで考える

提示された単価がそのまま手元に残るわけではありません。手取りを計算するときは、次を差し引きます。

・仲介サービスを使う場合の手数料(サービスによって5%から20%程度と幅があります) ・源泉徴収(翻訳料は所得税法上の報酬に該当する場合があり、支払者が差し引いて納付します) ・振込手数料 ・経費(辞書、用語集ツール、通信費、機材)

このうち、手数料の影響がいちばん大きく出ます。年間で100万円の報酬を受け取る場合、手数料20%なら20万円が消えます。これは、単価を2割下げて受けているのと同じことです。単価交渉に神経を使うのであれば、同じだけの神経を、どこ経由で受けるかにも使う価値があります。

源泉徴収については、確定申告で精算されるので取られっぱなしにはなりませんが、資金繰りとしては手元に入る額が減ります。支払調書を保管しておいてください。税の扱いは国税庁のサイトで確認できます(国税庁)。

単価を上げるための現実的な打ち手

単価を上げる方法は、値上げ交渉だけではありません。むしろ交渉以外の部分に、効く手が多くあります。

一つ目は、分野を絞ることです。ラオス語という時点ですでに希少なのに、そこから「製造現場の安全衛生」や「技能実習まわりの社内文書」まで絞ると、代わりが利かない存在になります。代わりが利かない相手に、依頼側は値引きを言い出しにくくなります。

二つ目は、周辺の作業まで引き受けることです。翻訳だけでなく、用語集の整備、レイアウトの調整、現地とのやり取りの窓口まで受けると、一件あたりの金額が上がります。訳文だけを納めるより、相手の手間が減るぶん、単価の話がしやすくなります。

三つ目は、二言語目を足すことです。ラオス語とタイ語は語彙も文字体系も近く、両方を扱える人は市場でとくに重宝されます。イサーン方言の話者が多いという事情も、この二言語の距離の近さを裏づけています。もう一方の言語を業務水準まで持ち上げられれば、受けられる案件の幅は単純に倍近くになります。

四つ目は、証明できるものを持つことです。ラオス語には国内で広く通用する語学検定がありませんが、翻訳の品質そのものを示す仕組みは存在します。日本翻訳連盟が運営するJTF翻訳品質認証は、翻訳サービスの品質管理の枠組みを扱うもので、認証の考え方を知っておくと、依頼側が何を見て発注先を選んでいるかが分かります。言語別の検定という形ではありませんが、品質を担保する仕組みへの理解は交渉の材料になります。近い言語圏の例として、中国語検定(中検)1級のように、通訳や翻訳の実務水準を測る試験がどう設計されているかを見ておくと、自分の力を説明する言葉が増えます。

ラオス語ならではの追加コストを単価に織り込む

ラオス語の仕事には、英語や中国語の案件では発生しない作業が付いてきます。ここを見積もりに入れ忘れると、作業時間だけが増えて金額が変わらないという事態になります。

第一に、フォントと表示崩れの問題です。ラオス文字は上下に記号が重なる構造を持ち、フォントによっては行間で切れたり、記号がずれて表示されたりします。納品先がWordしか使わない場合、こちらで正しく組んだつもりでも、相手の環境で崩れることがあります。この確認と修正のやり取りが、一件あたり30分から60分ほど乗ることは珍しくありません。レイアウト調整まで含む案件では、その分を作業費として別に立てておくべきです。

第二に、用語の標準がそろっていない問題です。技術用語や制度用語について、ラオス語の定訳が一つに定まっていない場合があります。省庁の公式資料に用例がないことも多く、複数の言い方から一つを選んで、その理由を依頼者に説明する必要が出てきます。この判断は訳す作業とは別の知的労働です。用語集の作成を伴う案件では、初回に用語集作成費を計上するのが筋です。

第三に、確認先が限られる問題です。英語であれば辞書とコーパスで裏が取れることも、ラオス語では現地の知人や同業者に確認するしかない場面があります。この確認にかかる待ち時間が、納期の見積もりを狂わせます。納期を約束するときは、確認待ちの余裕を必ず一日から二日は積んでください。

これらを織り込むと、表面上の文字単価が同じでも、実質の時給は変わります。単価の交渉をするときは、「文字単価をいくらに」という話だけでなく、「レイアウト調整は別料金」「用語集の作成は初回に計上」といった条件を並べて提示すると、相手も納得しやすくなります。

支払条件を見積もりと同時に決める

単価の話がまとまっても、支払条件を詰めていないと手取りは安定しません。次の項目は、初回の見積もりの段階で書面に残しておいてください。

・締め日と支払日(月末締め翌月末払いか、納品後30日以内かなど) ・振込手数料をどちらが負担するか ・修正対応の範囲(誤訳の修正は無償、依頼者側の原稿変更に伴う修正は有償など) ・修正の回数の上限 ・原稿の追加が発生した場合の扱い ・支払いが遅れた場合の連絡方法

特に修正対応の範囲は、ラオス語の案件でもめやすい部分です。依頼者側にラオス語が読める人がいない場合、現地の関係者に見せて「ここが違う」と指摘が返ってくることがあります。その指摘が誤訳の指摘なのか、単なる好みの違いなのかを判定する仕組みがないと、無限に直し続けることになります。「誤訳の修正は無償で対応します。表現の好みによる調整は二回まで無償、それ以降は時間単価で対応します」といった線を、最初に引いておいてください。

なお、業務委託で継続的に仕事を受ける立場は、フリーランスの取引に関する法律の保護対象になり得ます。書面での条件明示や、報酬の支払期日についてのルールが定められています。制度の内容は公正取引委員会の情報で確認できます(公正取引委員会)。条件を書面に残すことは、単に自分を守るだけでなく、相手にとっても手続きを整える助けになります。

在宅ワーク市場のデータから見た位置づけ

ここからは、在宅ワークの仕事を長く扱ってきた運営者の立場からの観察です。

まず、言語系の仕事全体を見ると、依頼が集まるのは「訳す力」よりも「相手の業務を分かっている」ところです。二十年この市場を見てきて、単価が高い状態で長く続いている方に共通するのは、訳文の美しさよりも、依頼者の面倒を減らしていることでした。原稿の不備を先に指摘してくれる、用語のゆれを整理して返してくれる、納品形式を相手の作業に合わせてくれる。こうした振る舞いが積み重なると、依頼者は「この人に任せると楽だ」と感じ、価格の比較をやめます。単発の作業として値段を競うのか、任せられる相手として選ばれるのか。この差が、年単位の収入を分けます。

もう一つ、はっきりした傾向があります。同じ仕事でも、間に入る層が薄いほど、依頼者の支払額と受け手の受取額が近づきます。これは受け手だけが得をする話ではありません。依頼する側から見ても、同じ予算でより多くの分量を頼めることになります。中間の取り分がなくなると双方の条件が同時によくなる。この構造は、直接取引の形をとる仲介の場で繰り返し観察してきたものです。単価表の数字を一円上げる交渉より、経路を変えるほうが手取りへの効き目が大きい場面は少なくありません。

翻訳と隣接する仕事の全体像を押さえておくことも、単価戦略として有効です。文書の翻訳だけでなく、言語を教える仕事や、原稿を書く仕事まで視野に入れると、案件の谷を埋められます。翻訳・ライティングレッスンのお仕事には、翻訳と語学レッスン、ライティングの指導といった、言語の力を別の形で使う仕事が集まっています。翻訳の依頼が薄い時期に、レッスンや添削で稼働を埋めている方は珍しくありません。

対応言語を広げる方向では、英語・多言語翻訳のお仕事が参考になります。英語を軸にした案件と、少数言語の案件では、求められるものも単価の決まり方も違います。両方の相場感を持っておくと、自分のラオス語の値づけが市場のどのあたりに位置しているのかを客観視できます。

収入の見通しを立てるときは、職種別の統計も見ておいてください。著述家,記者,編集者の年収・単価相場では、文章を扱う職種の年収分布が確認できます。翻訳は同じ分類に入りませんが、言葉を扱う仕事の報酬水準として近い位置にあり、自分の目標額が現実的かどうかを測る物差しになります。技術系の分野に軸足を移す可能性を考えるなら、ソフトウェア作成者の年収・単価相場も併せて見ておくと、ITの文書を扱う翻訳の値づけを考えるときの参考になります。

最後に、単価に悩んでいる方へ一つだけ。単価が低いことに落ち込む必要はありません。低いのは、あなたの価値が低いからではなく、数え方と条件の詰め方をまだ決めていないからです。数え方を決める、分野を絞る、最低料金を置く、納期を交渉材料にする。この四つを順に整えていけば、同じ実力のままでも受け取る額は変わります。あわてなくて大丈夫です。一件ずつ、条件を書き出すところから始めてください。

よくある質問

Q. ラオス語の翻訳の文字単価はいくらが目安ですか?

日本語からラオス語への翻訳で、一般的な内容なら日本語1文字あたり12円から20円、専門性の高い分野では20円から30円あたりが提示水準の目安です。ただしこれは依頼者向けの価格帯に近く、翻訳会社から下請けで受ける場合はこの半分前後を見ておくと現実的です。

Q. ラオス語から日本語に訳す場合、文字数はどう数えますか?

ラオス文字は語間にスペースを入れないため、機械的なカウントがずれます。実務では訳文である日本語の文字数で数えるか、A4一枚あたりの枚数単価にするか、概算文字数を双方で確認して上下10%の誤差を不問とする取り決めを入れる方法が使われます。初めての相手なら枚数単価が無難です。

Q. 短い依頼を安く受けてしまいます。どうすればよいですか?

最低料金を設定してください。翻訳には分量にかかわらず発生する固定の手間があり、業界でも計算額が一定に満たない場合に最低料金を適用する慣行があります。一件に最低限かかる時間に目標時給を掛けた額を、料金表の先頭に明記しておくと交渉が楽になります。

Q. 単価を上げるには何から手をつけるべきですか?

値上げ交渉より先に、分野を絞ることと最低料金を置くことが効きます。製造現場の安全衛生や社内文書のように領域を狭めると代わりが利かなくなり、値引きを言われにくくなります。あわせて、手数料の低い経路で受けるだけでも手取りは変わります。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年8月3日最終更新:2026年8月31日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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