韓国語の技能実習と特定技能の書類


この記事のポイント
- ✓韓国語ができる人が技能実習や特定技能の分野で関わる書類と
- ✓通訳者がやってよい範囲を整理しました
- ✓行政書士等の独占業務との線引きを
まず、安心してください。韓国語ができるという理由でこの分野の話を持ちかけられて、「自分がやっていい仕事なのか分からない」と足踏みしている方は少なくありません。技能実習や特定技能の周辺には、翻訳と通訳の仕事が確かにあります。ただ、その一部は行政書士や社会保険労務士の独占業務に接していて、線を越えると法律の問題になります。
この記事では、まず書類の全体像を押さえ、次にどこまでが通訳者や翻訳者の仕事で、どこからが確認の要る領域なのかを整理します。皆さんが判断に迷ったときに、何を根拠に誰へ確認すればよいかまで分かる形にしておきます。
制度の全体像を、書類の側から押さえる
技能実習と特定技能は、別の制度
同じ「外国人の受け入れ」という言葉でまとめられがちですが、この二つは目的も根拠法も違います。
技能実習は、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律、いわゆる技能実習法に基づく制度です。技能の移転による国際協力が建前の目的で、受け入れる側は実習実施者、間に入るのが監理団体、制度全体を所管するのが外国人技能実習機構です。実習の内容は技能実習計画として認定を受ける必要があり、この計画が書類の中心になります。
特定技能は、出入国管理及び難民認定法に基づく在留資格です。人手不足の分野に外国人を受け入れることが目的で、受け入れ機関が特定技能雇用契約を結び、1号の場合は支援計画を作って実行します。支援を外部に委託する場合の受け皿が登録支援機関です。
この違いを押さえておかないと、渡された書類が何のためのものか分からないまま訳すことになります。訳す側にとって、制度の理解は語学と同じくらい重要です。
育成就労への移行が決まっている
もう一つ、押さえておきたい動きがあります。2024年に成立した改正法により、技能実習に代わる育成就労という制度を設けることが決まっており、施行に向けた準備が進んでいます。
これは、この分野で仕事を受ける人にとって意味のある変化です。制度が変われば、書類の様式も、説明すべき内容も変わります。訳し慣れた文書がそのまま使えなくなる時期が来るということです。逆に言えば、新しい様式に対応できる人が足りなくなる時期でもあります。
制度の詳細や施行時期については、法務省や厚生労働省が公表する情報を確認してください。この分野は改正が続いているので、数年前の解説記事を根拠にすると誤ります。
どんな書類が、なぜ訳されるのか
技能実習で発生する書類
技能実習の周辺で翻訳の対象になる書類は、おおむね次のように分かれます。
制度の入口にあるのが、技能実習計画の関係書類と雇用契約書、雇用条件書です。実習生本人が内容を理解したうえで署名する必要があるため、母国語版が用意されます。
実習が始まってからは、入国前講習と入国後講習の教材、作業手順書、安全衛生の説明資料、寮の生活ルール、ごみの分別や公共料金の案内といった生活関連の資料が続きます。この生活関連の文書は分量が多く、しかも読み手の日本語の力が低い前提で書く必要があるため、単に訳せばよいというものではありません。
さらに、監理団体が行う定期の監査や訪問指導、母国語での相談対応の記録があります。相談の場面では通訳が入ります。ここで扱われるのは賃金、残業、人間関係、体調といった生々しい内容で、訳す側の負担が大きい領域です。
特定技能で発生する書類
特定技能では、特定技能雇用契約書と、1号特定技能外国人支援計画が中心になります。支援計画には、事前ガイダンス、出入国時の送迎、住居の確保、生活オリエンテーション、日本語学習の機会の提供、相談や苦情への対応、定期的な面談といった項目が並びます。
このうち、事前ガイダンス、生活オリエンテーション、相談対応、定期面談については、外国人が十分に理解できる言語で実施することが求められています。ここが、この分野で通訳と翻訳の需要が生まれる根本の理由です。日本語だけで済ませてはいけない仕組みになっているのです。
「理解できる言語で」という要件の重み
この要件は、形式的に訳せばよいというものではありません。実務では、訳文が正しくても本人が理解していなければ意味がないという場面が起こります。
たとえば、給与明細の控除項目を説明する場面です。所得税、住民税、健康保険、厚生年金、雇用保険。これらを直訳しても、日本の社会保険の仕組みを知らない人には伝わりません。制度そのものを噛み砕いて説明する力が求められます。訳す仕事でありながら、説明する仕事でもあるのです。
韓国語が、この分野で使われる場面
正直に書きます。技能実習と特定技能の分野で、韓国語の需要は他の言語に比べて限られています。送り出しの中心となっている国の言語ではないためです。ここを誤解したまま「需要が大きい」と期待して入ると、思ったより仕事が見つからないという結果になります。
では、どこに仕事があるのか。実務で韓国語が求められるのは、次のような場面です。
一つは、受け入れる側が韓国系の企業や団体である場合です。本社との報告や社内規程が韓国語で作られており、日本語との間で往復が発生します。
二つは、韓国語を理解する人材が関わる場合です。中国東北部には韓国語を日常的に使う人々がおり、実習生や特定技能外国人としてこの言語で意思疎通できることがあります。この場合、中国語と韓国語の両方が使える人材は貴重です。
三つは、制度の比較や調査の文脈です。韓国にも外国人労働者の受け入れ制度があり、日本の制度との比較資料が韓国語で作られていることがあります。その和訳や、日本の制度を韓国語で説明する資料づくりの需要があります。
四つは、韓国からの進出企業が日本で人を雇う際の、労務関連の説明資料です。これは技能実習や特定技能に限らず、外国人雇用全般の書類として発生します。
つまり、この分野で韓国語を活かすなら、技能実習の通訳という枠に自分を限定しないほうがよいということです。外国人雇用に関わる書類全般、あるいは韓国系企業と日本の労務実務をつなぐ仕事、という広さで探すほうが現実的です。
通訳の仕事の探し方や、業務としての形は映像翻訳・字幕・通訳のお仕事にまとまっています。専門分野を持つ通訳者が手配される仕組みは、実際にこう説明されています。
はい、該当分野専門、もしくは経験が豊富な通訳者を手配可能です。より確実な通訳を実施するため、事前の資料提供にご協力いただけますと幸いです。 出典: tratech.co.jp
事前の資料提供という言葉に注目してください。専門分野の通訳は、その場の語学力だけで成立しません。事前に資料を読み込む時間が前提になっています。この準備時間を見積もりに含められるかどうかが、続けられるかどうかを分けます。
通訳者がやってよい範囲と、士業の独占業務
ここが、この記事で最もお伝えしたい部分です。
行政書士法が定めているもの
行政書士法1条の2は、行政書士の業務として、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務または事実証明に関する書類を作成することを定めています。そして同法19条は、行政書士でない者がこれらの業務を行ってはならないと定めています。
入管に提出する在留資格の申請書類は、官公署に提出する書類です。技能実習計画の認定申請や、特定技能の各種届出も同様に扱われます。したがって、報酬を得て業としてこれらの書類を作成する行為は、行政書士の業務の領域に入る可能性があります。
翻訳者や通訳者が関わるのは、原則としてその手前です。本人が理解するために内容を訳す、本人の陳述を訳す、既に作成された書類の内容を口頭で伝える。こうした行為は、書類を作成する行為とは性質が違います。
ただし、境界は事案ごとに違います。「訳しながら空欄を埋めていく」「本人に代わって記載内容を判断する」といった関わり方をすると、実質的に書類の作成に踏み込んでいると評価される可能性があります。この点は自己判断で結論を出さず、依頼元の監理団体や登録支援機関、あるいは行政書士に確認してください。確認したうえで、自分の作業範囲を契約書に書いておくのが最も安全です。
なお、入管への申請の取次については、届出をした行政書士や弁護士などが行える仕組みがあります。誰が取次をするのかは案件ごとに決まっているので、自分がその立場でないなら、その役割を引き受けないことです。
労務と法律の相談に踏み込むとき
書類だけではありません。実習生や特定技能外国人からの相談に通訳として入ると、内容が労働条件や賃金の未払い、解雇といった話に及ぶことがあります。
労働社会保険に関する法令に基づく申請書の作成や、労務管理についての相談に応じることは、社会保険労務士法が定める社会保険労務士の業務に関わります。また、法律事件について報酬を得て法律事務を取り扱うことは、弁護士法72条が禁じています。
通訳として同席し、本人の言葉と相手の言葉を訳す。ここまでは通訳の仕事です。しかし、本人に代わって会社と交渉する、どう請求すべきかを助言する、という段階に入ると、別の領域になります。
現場では、相談者から「どうしたらいいと思いますか」と直接聞かれます。ここで答えたくなる気持ちはよく分かります。ただ、そこは踏みとどまって、専門家につなぐのが正しい対応です。未払いの報酬をどう回収するかといった話は、未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】にあるような手続きの話になります。取引の条件が守られないときの考え方は、フリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストも参考になります。自分が誰につなぐかを、あらかじめ決めておいてください。
実務での線の引き方
抽象論だけでは動けないので、実務的な整理を書きます。
引き受けてよい可能性が高いのは、既にある文書を訳すこと、本人が理解するための説明を訳すこと、会話を訳すこと、教材や生活案内を作ること、既存の訳文を点検することです。
確認が要るのは、申請書類の記入を手伝うこと、書類の内容について判断を示すこと、本人に代わって関係機関とやり取りすることです。
引き受けないほうがよいのは、報酬を得て申請書類を作成すること、労務や法律について助言すること、交渉の代理をすることです。
この三段階を、自分の中で明確にしておいてください。依頼が来たときに「これはどの段階か」と当てはめられれば、迷う時間が減ります。
資格は要るのか
この分野に資格の要件があるのかは、よく聞かれる点です。通訳の分野では、こうした疑問が繰り返し投げかけられています。
韓国の美容外科の通訳者として働くならどのような資格が必要ですか?看護師の資格など必ず必要ですか?高卒でも韓国語が出来れば大丈夫ですか?給料はいい方ですか? 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp
分野は違いますが、構造は同じです。通訳という行為そのものに、業務独占の資格はありません。だから、資格がないから通訳をしてはいけない、ということにはなりません。
一方で、資格がないから何をしてもよい、ということでもありません。制限がかかるのは通訳という行為ではなく、その先にある書類の作成や助言の部分です。ここを混同している人が多いので、繰り返し書いておきます。
語学力を客観的に示す材料としてはTOPIK(韓国語能力試験)の級が使われます。通訳の国家資格としては全国通訳案内士がありますが、これは通訳案内の業務に関わる資格で、技能実習や特定技能の書類とは目的が異なります。混同しないようにしてください。
在宅でできる形と、できない形
この分野の仕事のうち、在宅で完結するものと、そうでないものがあります。
在宅で完結しやすいのは、資料の翻訳、教材や生活案内の作成、既存の訳文の点検、オンラインでの面談通訳、多言語対応の相談窓口です。文書とオンライン会議で完結する部分は、場所を選びません。
一方、現場での立ち会いが必要な場面もあります。入国時の対応、寮への案内、実地の作業指導の通訳。ここは在宅では代替できません。副業として関わるなら、在宅で完結する部分に絞るのが現実的です。
在宅の仕事として組み立てる場合、翻訳だけで稼働が埋まらない時期が必ず来ます。その時期をどう埋めるかは先に考えておいてください。企業向けの資料づくりやマーケティングの周辺業務は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事に整理があります。報酬の水準を見比べる材料としては著述家,記者,編集者の年収・単価相場が使えます。
訳文の品質で、実際につまずくところ
この分野の翻訳は、一般的な文書の翻訳とは違う難しさがあります。指摘されやすい点を挙げておきます。
一つ目は、制度用語の扱いです。監理団体、実習実施者、登録支援機関、支援計画、在留資格、在留カード、資格外活動。これらは日本の制度に固有の言葉で、対応する概念が相手国にあるとは限りません。無理に置き換えると別の制度の話になってしまいます。訳語を決めたら用語集に固定し、同じ文書の中で揺らさないことが最低条件です。訳語の後ろに原語を括弧で添える形が許される案件もあるので、方針は最初に確認してください。
二つ目は、給与と控除の説明です。基本給、時間外手当、深夜手当、法定控除、社会保険料、寮費、水道光熱費。これらを直訳しても、日本の給与の仕組みを知らない人には意味が伝わりません。数字がどう計算されているかまで説明する文章が求められます。訳す仕事でありながら、書き下ろす仕事に近い部分です。
三つ目は、安全衛生の用語です。保護具、危険予知、立入禁止、はさまれ巻き込まれ、緊急停止。ここは誤訳が事故に直結します。分かりにくい訳語を作るより、図や写真と組み合わせて確実に伝わる形にすることが優先されます。訳文だけで完結させようとしないでください。
四つ目は、敬語と文体の階層です。相手は職場で指示を受ける立場にありますが、文書としては本人の権利を説明するものでもあります。命令調になりすぎると威圧的になり、丁寧すぎると要点がぼやけます。読み手が誰で、その文書が何のためにあるのかを考えて、文体の高さを決めます。
五つ目は、数字と日付の書式です。年号、時刻、金額の桁区切り、電話番号の表記。細かいようですが、生活案内の文書では読み手が実際に使う情報なので、間違えると問い合わせが増えます。
こうした点は、一度指摘を受ければ次から直せます。最初の数件で受けたコメントを、自分のチェックリストに足していってください。そのリストが、この分野での自分の資産になります。
仕事は、どこにあるのか
この分野の仕事の入口は、いくつかに分かれます。
一つは、翻訳会社を経由する形です。制度関連の文書を扱う実績のある会社に登録し、案件が来たときに指名される形になります。分野の専門性が求められるため、登録の時点で制度の知識を確認されることがあります。
二つは、監理団体や登録支援機関からの直接の依頼です。継続的に発生する業務なので、一度入ると安定します。ただし、扱う情報が重いぶん、守秘の管理を厳しく求められます。
三つは、企業からの依頼です。外国人を受け入れている企業が、社内資料や作業手順書の多言語化を進める場面で発生します。制度書類そのものより、現場の資料の翻訳が中心になります。
四つは、行政書士事務所や社会保険労務士事務所との連携です。士業の側が書類を作り、その内容を本人に伝える部分で翻訳と通訳が必要になります。この形なら、独占業務との線引きが最初から明確になっているという利点があります。判断に迷いやすいこの分野では、この形が最も安全です。
士業の事務所がどう業務を組み立てているかを知っておくと、連携の話がしやすくなります。資格者側から見た業務範囲と集客の実態は、会計士の副業ガイド|監査法人勤務でもできる高収入の稼ぎ方【2026年版】のような記事に整理があります。分野は違いますが、独占業務を持つ側がどこまでを自分でやり、どこを外に出すのかという構造は共通しています。
最初の一件を、どう進めるか
依頼が来たときの進め方も、順番だけ書いておきます。
まず、その文書が何のための文書なのかを確認します。誰に読ませるのか、いつ使うのか、既存の訳文があるのか。ここを聞かずに訳し始めると、文体も用語も的を外します。
次に、用語の方針を決めます。制度用語をどう扱うか、原語を併記するか、既存の訳文に合わせるか。この確認を最初にやっておくと、後の修正が激減します。
訳す段階では、分からない箇所を飛ばさないでください。制度の文書は、一語の解釈違いが全体の意味を変えます。調べても分からなければ、暫定の訳を入れて申し送りに残します。
納品前のチェックは二段階でやります。一段階目は原文と突き合わせて抜けと誤りを探し、二段階目は訳文だけを読んで、読み手の立場で意味が通るかを見ます。この二つは別の作業です。
納品時には申し送りを添えます。判断に迷った箇所、原文に不整合があると思われた箇所、統一した用語の一覧。この三つを短く書くだけで、次の依頼が来る確率が変わります。
そして、作業が終わったらデータの扱いを確認します。手元に残してよいのか、消すのか、いつまでに消すのか。この確認を自分からするだけで、相手からの信用が変わります。
受けるときに、契約で決めておくこと
この分野の仕事は、扱う情報が重いという特徴があります。個人の在留資格、雇用条件、健康状態、家族の状況。これらは、外に出れば当人の生活に直接影響する情報です。
だから、契約では最低でも次の四つを文字にしておいてください。
作業の範囲。何を訳すのか、どこまでを自分の仕事とするのか。前述の三段階のうち、どこまでを引き受けるのかを明記します。
秘密保持の範囲と期間。作業中の画面を人に見せない、資料を共有設定のフォルダに置かない、終了後にデータをどう扱うか。ここまで決めます。
報酬と支払期日。特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律では、発注事業者は給付を受領した日から60日以内のできる限り短い期間内に支払期日を定めることとされています。
そして、判断を求められたときの扱い。「法令の解釈や労務に関する判断は行わず、依頼元または専門家に確認する」と一文入れておくだけで、現場での断り方が楽になります。
運営者として見てきたこと
在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から、この分野について観察を書きます。
まず、この領域で長く仕事を続けている人は、語学力だけで選ばれていません。制度の変化を追いかけていて、様式が変わったときに自分から声をかけられる人が残っています。訳す力は入口の条件であって、差がつくのはその後です。
次に、日本語の側の力が想像以上に効いています。訳文を受け取るのは日本の担当者と、日本語が得意でない外国人本人の両方です。前者には正確さが、後者には分かりやすさが求められます。この二つを同時に満たす文章は、韓国語ができるだけでは書けません。
もう一つ、運営者として見てきた限りでは、この分野で信頼されている人は、断るべきところで断っています。「それは私の範囲外なので、行政書士の先生に確認してください」と言える人のところに、継続の依頼が来ています。何でも引き受ける人は、一度の事故で関係が終わります。
最後に、手取りの構造に触れておきます。翻訳や通訳の仕事は、間に会社が入ることが多く、発注元が払った金額と受け手が受け取る金額に差が生まれます。手数料0%で直接やり取りできる形なら、同じ予算で発注者はより多く頼めますし、受け手の手取りは厚くなります。ただし直接取引では、契約と守秘の管理を自分で背負うことになります。扱う情報が重いこの分野では、その責任も含めて引き受けられるかを考えてから移るのが順序です。
制度は変わり続けます。皆さんが持っている語学力は、その変化の中でずっと必要とされます。範囲を正しく理解して、安心して受けられる形を作っていってください。
補足として、情報の集め方も書いておきます。この分野は制度の改正が続くため、まとめ記事だけを読んでいると古い前提のまま作業することになります。所管する省庁が公表する資料を一次の情報源とし、様式が改まったときには必ず原本に当たってください。厚生労働省は https://www.mhlw.go.jp/ 、法務省は https://www.moj.go.jp/ で制度の情報を公開しています。依頼元の監理団体や登録支援機関も最新の様式を持っているので、作業を始める前に「これが最新版か」と一言確認する習慣をつけると、訳し直しを避けられます。
もう一つ、体調の話をしておきます。相談対応の通訳は、精神的な負担が大きい仕事です。賃金の未払い、体調不良、家族の事情。重い話を訳し続けると、訳す側にも影響が出ます。連続で受けない、相談対応と文書翻訳を混ぜて配分する、といった調整を自分で行ってください。長く続けるための現実的な工夫です。
よくある質問
Q. 韓国語ができれば、技能実習の申請書類を作る仕事を受けられますか?
書類の作成そのものは慎重な確認が必要です。行政書士法1条の2は、報酬を得て官公署に提出する書類を作成することを行政書士の業務とし、同法19条は行政書士でない者がこれを行ってはならないと定めています。入管に提出する書類はこれに該当しうるため、翻訳や通訳として関わる範囲にとどめ、記入や作成に踏み込む場合は依頼元や行政書士に確認してください。
Q. 技能実習と特定技能では、訳す書類は同じですか?
別の制度なので書類も異なります。技能実習では技能実習計画の関係書類、雇用条件書、講習の教材、生活関連の案内、母国語相談の記録などが中心です。特定技能では特定技能雇用契約書と1号特定技能外国人支援計画が中心で、事前ガイダンス、生活オリエンテーション、定期面談などを外国人が理解できる言語で実施する必要があるため、そこに通訳と翻訳の需要が生まれます。
Q. 実習生から「どうしたらいいですか」と相談されたら答えてよいですか?
通訳として言葉を訳すことと、助言することは別です。労務管理についての相談に応じることは社会保険労務士法が定める業務に関わり、法律事件について報酬を得て法律事務を扱うことは弁護士法72条が禁じています。相談内容が賃金の未払いや解雇に及んだ場合は、自分で結論を出さず、依頼元や弁護士など専門家につないでください。
Q. この分野で韓国語の需要はどれくらいありますか?
送り出しの中心となる国の言語ではないため、他言語に比べると限られます。実際に韓国語が使われるのは、受け入れ側が韓国系の企業である場合、韓国語を理解する人材が関わる場合、韓国の制度に関する資料の和訳、韓国からの進出企業の労務関連の資料といった場面です。技能実習の通訳という枠に限定せず、外国人雇用に関わる書類全般で探すほうが現実的です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
前田 壮一@SOHO編集部
元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身
大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。
関連記事
カテゴリから探す

クラウドソーシング入門
クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド
職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク
副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス
フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金
確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ
プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング
サービス比較・おすすめランキング

AI活用
職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド
市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド
クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア
転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人
看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人
薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人
介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人
保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人
医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険
生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人
無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース
バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

シニア・50代
シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ
サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック
暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス
経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材
フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方
子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金
個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

アウトソーシング・外注ガイド
SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方







