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求人の年収表記の裏を読み、実際の支給額を見分ける方法

@SOHO編集部
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求人の年収表記の裏を読み、実際の支給額を見分ける方法

この記事のポイント

  • ✓求人の年収が嘘なのではと感じたときに
  • ✓表記の裏を読む方法を職業安定法の指針と厚生労働省の公式解説から整理します
  • ✓想定年収とモデル年収の違い

求人に「年収500万円」と書いてあったのに、入社してみたら届かなかった。あるいは、面接で聞いた話と求人の数字が合わない。求人の年収が嘘なのではと感じたとき、多くの場合、数字そのものより「その数字が何を含んでいるか」が説明されていないことが原因です。この記事では、職業安定法にもとづく厚生労働省の指針と公式の解説を手がかりに、年収表記の裏を読む方法と、応募から内定までの各段階で実際の支給額を確かめる手順を整理します。読み終えるころには、求人の数字を「もらえる額」と「もらえるかもしれない額」に分けて読めるようになるはずです。

求人の年収が実態と合わないと感じる理由

求人の年収と実際の支給額がずれる理由は、大きく3つに分けられます。

ひとつめは、年収の数字に、毎月確実に支払われる給与以外のものが含まれていることです。賞与、残業代、成果に応じたインセンティブなどは、会社の業績や本人の働き方によって変わります。これらを最も良い条件で積み上げた数字を「年収例」として示していれば、多くの人はその額に届きません。

ふたつめは、条件の前提が書かれていないことです。「入社3年目のモデル年収」なのか、「管理職のモデル年収」なのか、「前年度に最も成果を上げた人の年収」なのかで、同じ数字でも意味がまるで違います。前提が書かれていない数字は、読む側が都合よく解釈してしまいます。

みっつめは、額面と手取りの違いです。求人の年収は、税金や社会保険料を差し引く前の額面で書かれるのが一般的です。毎月の給与から引かれる額を考えずに年収の数字だけを見ると、実際に口座に入る額との差に驚くことになります。

このうち、ひとつめとふたつめは、求人を出す側の書き方の問題です。そして職業安定法は、求人の情報について、実際より良く見せる書き方を禁じています。まずは、その決まりを確かめておきます。

法律は「実際より高く見せる表示」を禁じている

職業安定法の第5条の4は、求人や労働者の募集の情報を広告などで出すとき、うその表示や誤解を生じさせる表示をしてはならないと定めています。この決まりは2022年10月の法改正で強められ、求人を出す企業だけでなく、職業紹介事業者(いわゆる人材紹介会社)や求人サイトなどの募集情報等提供事業者にも、求人情報を正確で最新の内容に保つ義務が課されました。

厚生労働省は、この条文について事業者が守るべき内容を指針として示しています。その中の「誤解を生じさせる表示の禁止」には、賃金について次のように書かれています。

賃金等(賃金形態、基本給、定額的に支払われる手当、通勤手当、昇給、固定残業代等に関する事項をいう。以下同じ。)について、実際の賃金等よりも高額であるかのように表示してはならないこと。 出典: mhlw.go.jp

同じ指針には、職種や業種について、実際の業務の内容と大きくかけ離れた名前を使ってはならないことも書かれています。厚生労働省の求職者向けリーフレットは、うその表示の例として「実際よりも高額な賃金を表示した求人が掲載されている」ことや、「正社員」とうたいながら実際にはアルバイト・パートの求人だったことを挙げ、求人情報と実際の労働条件が違うなどのトラブルが起きた場合は、近くの都道府県労働局に相談するよう案内しています。

ここで押さえておきたいのは、法律が禁じているのは「うその数字」だけではないということです。数字そのものは事実でも、前提を隠して実際より高く見せる書き方は「誤解を生じさせる表示」に当たりえます。読む側としては、数字の前提が書かれているかを確かめることが、見分けの第一歩になります。

年収表記の種類と、それぞれの読み方

求人に書かれる年収には、いくつかの種類があります。呼び方は会社によって違いますが、中身はおおむね次のように分けられます。

想定年収は、その求人で採用された人に、会社が支払うことを想定している年収の幅です。「想定年収400万円から550万円」のように幅で示され、経験や能力によってどこに当てはまるかが決まります。幅の下限が、最低限期待できる水準と考えるのが安全です。

モデル年収は、特定の条件の社員が実際に受け取っている、または受け取ると想定される年収の例です。「入社5年目・主任・年収520万円」のように、年次や役職と組み合わせて示されます。応募する自分がその条件に当てはまらなければ、参考程度にしかなりません。

年収例や年収実績は、実在する社員の年収を示したものです。誰の例なのか、何人のうちの何番目なのかが書かれていない場合は、最も高い人の例が選ばれている可能性を考えて読みます。

前年度実績の賞与込み年収は、前の年の賞与の支給実績をもとに計算した年収です。賞与は会社の業績で変わるため、前年度の実績が今年も続く保証はありません。

どの種類の年収でも、確かめることは同じです。その数字に何が含まれていて、自分が当てはまる条件はどれか。この2点が分からない数字は、判断の材料として使わないほうが安全です。

年収を分解して読む

年収の数字をうのみにしないためには、毎月の給与の内訳まで分解して読むのが確実です。求人票や募集要項で、次の項目を一つずつ確かめてください。

基本給は、給与の土台になる部分です。賞与や退職金、残業代の計算の基礎になることが多く、基本給が低く手当が多い給与体系では、年収の見た目ほど将来の伸びが期待できないことがあります。

手当は、役職手当、資格手当、住宅手当、家族手当などです。誰にでも支払われる手当なのか、条件を満たした人だけに支払われる手当なのかで意味が変わります。家族手当や住宅手当が年収例に含まれている場合、独身で実家から通う人には当てはまりません。

固定残業代は、一定時間分の残業代をあらかじめ毎月の給与に含めて支払う仕組みです。月給が高く見えても、その中に何十時間分もの残業代が含まれていることがあります。読み方は次の節で詳しく説明します。

賞与とインセンティブは、支払われるかどうか、いくら支払われるかが業績や成果で変わる部分です。年収の数字のうち、どれだけがこの変動する部分なのかを確かめると、実際の支給額の幅が見えてきます。

分解した結果、「毎月確実に支払われる額 × 12か月」が年収の数字よりかなり低いなら、その差の部分は「もらえるかもしれない額」です。生活の計画は、確実に支払われる部分を基準に立ててください。

固定残業代の表示は3点セットで読む

求人の年収や月給が実態より高く見える原因として、特に多いのが固定残業代です。厚生労働省の指針は、固定残業代を採用する場合、求人で次の3つを明らかにするよう求めています。

  1. 固定残業代の計算方法(何時間分の残業代で、金額はいくらか)
  2. 固定残業代を除いた基本給の額
  3. 固定残業時間を超える残業や休日・深夜の労働には、割増賃金を追加で支払うこと

厚生労働省の「知って役立つ労働法」も、固定残業代の記載が分かりにくい場合は会社に確認し、必要に応じてハローワークや労働局に相談するよう案内しています。

求人で「月給30万円(固定残業代含む)」としか書かれていない場合、この3つのうち少なくとも2つが欠けています。何時間分がいくら含まれているのか、残りの基本給はいくらなのかが分からなければ、自分の労働時間と給与の関係を判断できません。

3点がそろっている求人でも、固定残業時間の長さには注意が必要です。たとえば月給のうち45時間分が固定残業代になっている場合、それだけの残業が日常的に発生する職場である可能性があります。固定残業時間は、その会社で見込まれている残業の量を示す手がかりとして読むことができます。

なお、厚生労働省の「確かめよう労働条件」の解説では、固定残業代として支払った額が、法律で決められた方法で計算した割増賃金の額を下回る場合は、差額を支払う必要があるという判例が紹介されています。実際の残業が固定残業時間を超えたのに追加の支払いがない場合は、条件と実態が合っていないことになります。

数字を分解して比べる計算の例

分解の考え方を、架空の求人で試してみます。2つの求人があり、どちらも「年収450万円」と書かれているとします。

求人Aは、月給30万円、賞与は前年度実績で年2か月分、という内容です。ところが月給30万円には、45時間分の固定残業代7万円が含まれています。基本給にあたる部分は23万円で、賞与が基本給の2か月分なら46万円です。月給30万円の12か月分360万円に賞与46万円を加えると406万円になり、450万円には届きません。450万円という数字は、残業がさらに多い月の残業代や、業績が良い年の賞与を上乗せした例だと考えられます。

求人Bは、基本給28万円、固定残業代なし、残業は月平均10時間で全額支給、賞与は前年度実績で年3か月分という内容です。基本給の12か月分で336万円、賞与が84万円、残業代が年間で数十万円見込まれ、450万円前後に届く計算です。

同じ年収の表記でも、求人Aは「長く働いて、条件が良ければ届く額」、求人Bは「普通に働けば届く見込みの額」です。さらに、求人Aでは賞与や退職金の計算の土台になる基本給が低いため、長く勤めたときの差も大きくなります。

この計算に特別な知識は要りません。求人票から基本給、固定残業代、賞与の月数を拾い、確実に支払われる部分と、条件次第で変わる部分に分けるだけです。数字が拾えない項目があれば、それが面接で聞くべき点になります。

賞与は「明示しなければならない賃金」の外にある

年収の数字を読むうえで知っておきたいのが、賞与の扱いです。職業安定法では、労働者を募集する事業者は、業務の内容、契約期間、就業の場所、労働時間、賃金の額などの労働条件を、応募する人に書面などで明示しなければなりません。厚生労働省の解説によると、この明示が必要な「賃金」からは、臨時に支払われる賃金や賞与などが除かれています。

つまり、賞与は求人の段階で必ず示さなければならない項目ではありません。賞与を年収に含めて表示する場合も、その額が保証されているわけではないということです。「賞与年2回」と書かれていても、何か月分支払われるのか、業績によってどのくらい変わるのかは、別に確かめる必要があります。

確かめるときは、次の3点を聞くと実態がつかめます。前年度と前々年度の支給実績は何か月分だったか。支給額は会社の業績と個人の評価のどちらで、どのくらい変わるか。入社した年は支給対象になるか、なる場合は満額か。

とくに3つめは見落とされやすい点です。賞与の計算期間の途中で入社した場合、最初の賞与は減額されるか、支給されないことがあります。入社1年目の年収が求人の年収例に届かない理由の多くは、ここにあります。

試用期間中の条件も年収を左右する

もう一つ、年収に影響するのが試用期間です。会社によっては、採用後の一定期間を試用期間とし、その間の賃金を本採用後より低く設定していることがあります。「研修期間」「見習い期間」と呼ばれることもあります。

厚生労働省の「知って役立つ労働法」は、試用期間がある場合、求人票や募集要項に試用期間があることと、その間の労働条件を明示しなければならないと説明しています。試用期間についての明示がない場合や、記載が分かりにくい場合は、会社に確認するほか、紹介を受けたハローワークや労働局に相談するよう案内しています。

試用期間が3か月から6か月あり、その間の月給が本採用後より数万円低ければ、入社1年目の年収はその分だけ下がります。求人の年収が本採用後の条件で計算されているのか、試用期間を含めた1年目の見込みなのかを確かめておくと、入社後の思い違いを防げます。

昇給と評価の仕組みも確かめる

入社したときの年収だけでなく、その後どう変わるかも、求人を読むうえで大切な情報です。厚生労働省の指針は、求人で賃金について明示するときに、賃金の形態、基本給、定額的に支払われる手当、通勤手当とあわせて、昇給に関する事項を示すよう求めています。

昇給の書き方にも、読み方のこつがあります。「昇給あり」とだけ書かれている場合、毎年必ず上がるのか、評価が良い場合だけ上がるのか、上がるとしてどのくらいなのかは分かりません。「昇給年1回(前年度実績 平均月額5,000円)」のように、回数と実績が書かれていれば、入社後の見通しを立てやすくなります。

評価の仕組みも確かめておきたい点です。成果に応じたインセンティブが年収の大きな部分を占める求人では、どのような基準で成果が評価され、その基準を満たしている人がどのくらいいるのかによって、実際の支給額が大きく変わります。「頑張り次第で年収1,000万円も可能」という表記は、可能かどうかではなく、実際にその額に届いている人がどのくらいいるのかを聞くと実態が見えてきます。

面接で聞くなら、「入社3年後の年収は、平均的な評価の場合どのくらいになりますか」という質問が使えます。平均的な社員の伸び方を答えられる会社は、評価と昇給の仕組みが整っていると考えられます。

年収以外の表示も、あわせて確かめる

年収の数字に気を取られると、ほかの表示を読み飛ばしがちです。しかし、求人の表示の問題は年収に限りません。厚生労働省の指針とリーフレットからは、注意したい表示がいくつか読み取れます。

ひとつは雇用の形です。リーフレットには、うその表示の例として「正社員」とうたいながら実際にはアルバイト・パートの求人だった例が挙げられています。正社員という言葉は法律で定義された用語ではないため、契約期間の定めがあるか、更新の上限があるかを労働条件の書面で確かめる必要があります。

もうひとつは職種の名前です。指針は、職種や業種について、実際の業務の内容と大きくかけ離れた名前を使ってはならないとしています。「企画職」「コンサルタント」と書かれていても、実際の業務が飛び込みの営業や電話での勧誘ばかりということがあります。業務の内容の欄に、1日の仕事の流れが具体的に書かれているかを確かめてください。

さらに、労働者の募集と、請負契約での受注者の募集が混同されないように表示することも、指針は求めています。雇用の求人だと思って応募したら、実は業務委託の契約だったということがないよう、契約の形がどちらなのかも最初に確かめておきます。

求人サイトや人材紹介会社にも、正確に保つ義務がある

求人の情報は、企業が自社のサイトに出すだけでなく、求人サイトや人材紹介会社を通じて届くことも多くあります。2022年10月の職業安定法の改正で、こうした事業者にも、求人情報を正確で最新の内容に保つための措置が義務づけられました。

厚生労働省の解説によると、求人を出す企業は、募集を終えたり内容を変えたりしたら速やかに情報の提供をやめるか内容を変え、求人サイトなどにもその反映を依頼し、いつの時点の情報なのかを明らかにすることが求められています。求人サイトや人材紹介会社の側も、情報の訂正を求められたら遅滞なく対応すること、情報が正確でないと分かったら依頼主に確認するか提供をやめることなどが求められています。求人サイトなどの事業者には、求職者からの苦情を適切かつ迅速に処理することも義務づけられました。

求職者の側から見ると、使える手が増えたということです。求人サイトに載っていた条件と実際の条件が違っていた場合、そのサイトの問い合わせ窓口に申し出ることができます。求人の情報がいつの時点のものかが示されているかも、確かめる価値があります。古い条件のまま掲載が続いている求人は、今の条件と違っている可能性があります。

額面と手取りの差を見込んでおく

求人の年収は、税金や社会保険料を差し引く前の額面で書かれるのが一般的です。実際に口座に振り込まれる手取りは、額面から次のようなものを差し引いた額になります。

・健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などの社会保険料
・所得税
・住民税(前の年の所得をもとに、原則として翌年の6月から差し引かれる)

社会保険料の率は、加入する健康保険や年齢によって変わります。雇用保険料の率は年度ごとに決まり、令和8年度の一般の事業では、労働者の負担は1,000分の5です。税金は扶養する家族の有無や各種の控除によって変わります。そのため、手取りが額面の何割になるかを一律に言うことはできませんが、額面の年収そのままを生活費の計画に使うと、毎月の収支が合わなくなります。

転職のときは、住民税の扱いにも注意が必要です。住民税は前の年の所得に対してかかるため、前職の給与が高かった人は、転職後の給与が下がっても、しばらくは前の年の所得に応じた住民税を払うことになります。転職直後の手取りが想像より少ないと感じる原因の一つです。

通勤手当の扱いにも注意します。求人の年収に通勤手当が含まれている場合、その分は通勤にかかる実費の補填であって、自由に使える収入ではありません。年収の数字に通勤手当が入っているかどうかで、生活に使える額の見え方が変わります。入社後は、最初の給与明細で、総支給額、各手当、差し引かれた保険料と税金の内訳を必ず確かめてください。

正確な手取りを知りたい場合は、内定後に会社から示される労働条件の書面で月給の内訳を確かめ、社会保険料と税金の見込みを人事担当者に聞くのが確実です。

面接と内定のときに確かめる質問

求人の数字の前提は、面接や内定の段階で確かめるのが一番確実です。聞きにくいと感じるかもしれませんが、労働条件の確認は応募する側の当然の権利です。聞き方を工夫すれば、印象を悪くすることはありません。

面接で確かめたい質問の例です。

・「求人にある年収の幅のうち、私の経験だとどのあたりを想定されていますか」
・「モデル年収の例は、入社何年目、どの役職の方の例でしょうか」
・「月給のうち、基本給と各手当、固定残業代はそれぞれいくらですか」
・「前年度の賞与は何か月分の支給実績でしたか。入社1年目の扱いはどうなりますか」
・「試用期間はありますか。その間の給与は本採用後と同じですか」

質問するときは、「入社後の生活の計画を立てたいので」と理由を添えると、答える側も具体的に説明しやすくなります。答えが曖昧なまま「入ってから決まります」と言われた場合は、内定の段階で書面にして確かめることにします。

答えはその場でメモし、面接のあとに日付と相手の名前を添えて記録しておきます。あとで条件が違ったときに、どの時点で何を聞いたかを示せる記録になります。

内定時の労働条件の書面で最終確認する

求人や面接で聞いた条件は、最終的には内定後に会社から渡される労働条件の書面で確かめます。労働基準法の第15条は、会社が労働契約を結ぶときに労働条件を明示することを義務づけており、そのうち契約期間、就業の場所と業務の内容、労働時間や休日、賃金の決め方と計算・支払いの方法、退職に関する事項などは、原則として書面で示さなければなりません。働く人が希望すれば、電子メールなどで受け取ることもできます。

2024年4月からは、明示の内容が増えました。すべての労働契約で、雇い入れ直後の就業場所と業務の内容に加えて、将来の配置転換などで変わりうる範囲も示す必要があります。有期の契約では、更新の上限の有無と内容も示されます。

書面を受け取ったら、求人や面接で聞いた条件と一つずつ照らし合わせます。月給の内訳、固定残業代の時間数と金額、賞与の扱い、試用期間の有無と条件。どれかが違っていたら、入社を承諾する前に理由を聞きます。厚生労働省の「確かめよう労働条件」も、求人票の条件と面接で説明された条件が違う場合は、まずその違いがなぜ生じたのかを確かめることが第一だとしています。

書面を出してもらえない、口頭で済ませようとする会社は、法律の義務を果たしていません。入社を決める前に、この点だけは必ず確かめてください。

入社後に条件が違っていたときの考え方と相談先

入社してから、求人や面接で聞いた条件と実際の支給額が違うと気づいた場合の考え方です。

厚生労働省の「確かめよう労働条件」の解説では、求人広告に書かれた条件が直ちに契約の内容になるわけではないものの、採用の過程で双方が条件の変更に合意したと認められる特段の事情がなければ、求人時の条件が契約の内容になると考えられる、という考え方が裁判例とともに紹介されています。求人票の賃金の見込み額を、会社がみだりに大きく下回る額で確定すべきではないとした裁判例も挙げられています。個別の事情で結論は変わるので、まずは記録をそろえて相談することが大切です。

相談先は、用件によって使い分けます。ハローワークの求人票と条件が違う場合は、ハローワークの窓口かハローワーク求人ホットラインに申し出ます。ハローワークが事実を確かめ、企業に必要な指導を行います。求人サイトや人材紹介会社を通じた求人で表示に問題がある場合は、都道府県労働局の需給調整事業部(課・室)が担当です。賃金の未払いなど労働基準法にかかわる問題は労働基準監督署、どこに相談すればよいか分からない場合は、労働局や労働基準監督署に置かれた総合労働相談コーナーが予約不要・無料で相談を受け付けています。

相談のときは、求人票や求人広告の画面、面接のメモ、労働条件の書面、給与明細をそろえておきます。求人の画面は掲載が終わると見られなくなるので、応募した時点で保存しておくのが確実です。

応募した求人は、その日のうちに保存しておく

条件の違いに気づいたとき、手元に求人の内容が残っていないと、何が約束されていたのかを示せません。求人サイトの掲載は、募集が終わると見られなくなります。企業の採用ページも、次の募集のときに書き換えられます。応募した求人は、その日のうちに保存しておく習慣をつけてください。

保存の方法は簡単です。求人の画面全体をスクリーンショットで残すか、ブラウザの印刷機能でPDFとして保存します。ファイル名に応募した日付と会社名を入れておくと、あとで探しやすくなります。求人票を紙で受け取った場合は、写真を撮って同じように保存します。

あわせて、面接や電話でのやり取りも記録します。いつ、誰と、どの条件について、どのような説明を受けたかを、その日のうちにメモに書き残します。メールで条件の確認をしておくのも有効です。「本日の面接でご説明いただいた条件を確認させてください」と、聞いた内容を箇条書きにして送れば、相手の返信がそのまま記録になります。

条件を確認するメールを書くときは、事実を簡潔に、誤解のない言葉で書くことが大切です。仕事の文書を正確に書く力は、ビジネス文書検定で体系的に学べます。条件の確認だけでなく、入社後の報告や依頼の文書にも役立つ力です。

業務委託の募集で「年収」と書かれていたら

最近は、雇用ではなく業務委託(フリーランスとしての契約)の募集で、「年収600万円以上可能」のように年収を示す例も見かけます。業務委託の報酬は、作業量や単価で決まるもので、会社員の給与のように毎月決まった額が支払われるとは限りません。

厚生労働省は、フリーランスの募集を広告で行う場合でも、募集主の名前、住所、連絡先、業務内容、就業場所、報酬の6つの情報を書く必要があるとしています。業務委託の募集で年収だけが大きく書かれ、単価や作業量の目安が示されていない場合は、その年収がどのような前提で計算されたのかを必ず確かめてください。

確かめるのは、1件あたりや1時間あたりの単価、1か月にどれだけの量の仕事が見込めるか、その見込みが保証されているかどうかです。また、業務委託では社会保険料や税金を自分で納め、仕事の道具や通信費も自分で負担するのが一般的です。会社員の年収と同じ数字でも、手元に残る額はかなり違います。年収の数字を比べるときは、この負担の違いも差し引いて考えてください。

職業別の水準と比べて、数字の現実味を確かめる

求人の年収が実態に合っているかを判断するもう一つの方法は、その職業全体の水準と比べることです。同じ職業の平均的な水準から大きく外れた数字には、何か前提が隠れていると考えるのが自然です。

たとえば開発の仕事なら、ソフトウェア作成者の年収・単価相場で職業全体の年収の水準を確かめられます。文章や編集の仕事なら、著述家,記者,編集者の年収・単価相場が目安になります。求人の年収例がこうした水準を大きく上回っている場合は、管理職の例なのか、残業や成果報酬を最大限に積み上げた例なのかを確かめる価値があります。

求人を長く見てきた運営者として感じるのは、条件を正直に書く会社ほど、数字の前提を細かく書いているということです。「基本給いくら、固定残業代は何時間分でいくら、賞与は前年度実績何か月分」と分解して書かれた求人は、応募する側が判断しやすく、入社後の思い違いも起きにくくなります。反対に、年収の大きな数字だけが目立つ求人ほど、内訳を聞くと説明が曖昧になる傾向があります。

業務委託の仕事でも同じことが言えます。仲介の手数料が乗らない直接の取引では、同じ予算で発注者はより多くの作業を頼め、受ける側は手取りが厚くなります。数字の大きさではなく、内訳と手取りで比べる。この見方を身につけておくと、雇用の求人でも業務委託の案件でも、条件の良し悪しを冷静に判断できます。求人の表示を読み解く力は、自分の身を守るためだけのものではありません。だます側の手口や、誤解を生む表示の型を理解している人は、企業の側で情報の正確さやセキュリティを守る仕事でも重宝されます。この分野でどのような依頼があるかは、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で確かめられます。業務の仕組みづくりを支援する仕事の依頼内容と求められる技能は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で紹介しています。

よくある質問

Q. 求人の年収が実際より高く書かれているのは違法ですか?

職業安定法の第5条の4は、求人情報について、うその表示や誤解を生じさせる表示を禁じています。厚生労働省の指針は、賃金を実際より高額であるかのように表示してはならないとしています。個別の求人が違反に当たるかは事情によるため、求人情報と実際の条件が違う場合は、都道府県労働局に相談してください。

Q. 想定年収とモデル年収はどう違いますか?

想定年収は、採用された人に会社が支払うことを想定している年収の幅で、経験や能力によってどこに当てはまるかが決まります。モデル年収は、入社何年目や役職などの条件をもつ社員の例です。自分がその条件に当てはまらなければ参考程度にとどめ、想定年収の下限を目安に考えるのが安全です。

Q. 固定残業代込みの月給はどう読めばよいですか?

固定残業代の時間数と金額、それを除いた基本給、固定残業時間を超えた分の割増賃金を追加で支払うことの3点がそろっているかを確かめます。厚生労働省の指針は、この3点を求人で明らかにするよう求めています。固定残業時間が長い場合は、それだけの残業が見込まれている職場だと読むこともできます。

Q. 入社後に給与が求人と違っていたらどうすればよいですか?

まず会社に違いが生じた理由を確かめます。ハローワークの求人ならハローワークの窓口かハローワーク求人ホットライン、求人サイトなどの表示の問題なら都道府県労働局、賃金の未払いなら労働基準監督署が相談先です。どこに相談すべきか迷ったら、総合労働相談コーナーが予約不要・無料で受け付けています。

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年4月15日最終更新:2026年10月2日
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