在宅で応募できる挿絵の募集はどこにあるか|書籍や記事の挿絵を描く前の準備

@SOHO編集部
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在宅で応募できる挿絵の募集はどこにあるか|書籍や記事の挿絵を描く前の準備

この記事のポイント

  • ✓在宅で応募できる挿絵の募集を
  • ✓出版社や編集プロダクション
  • ✓クラウドソーシングなど募集の出どころ別に整理しました

挿絵の仕事を在宅で受けたいと考えたとき、多くの人が最初につまずくのは「募集がどこに出ているのか分からない」という点です。挿絵の仕事は、イラスト全般の求人に比べて表に出てくる募集が少なく、出版社や編集者が付き合いのある描き手に直接声をかけて決まることも多い仕事です。一方で、書籍、雑誌、Webメディアの記事、教材、企業の資料など、挿絵が必要な場面は多く、作業はほとんどが自宅で完結します。この記事では、挿絵の募集が出ている場所、応募の前に用意するもの、契約で確かめる権利の扱い、料金と修正の決め方を順に整理します。

挿絵の仕事とはどんなものか

挿絵とは、文章の内容を補ったり、読む人の理解を助けたりするために、文章に添えて入れる絵のことです。小説の場面を描いた絵、実用書の手順を示した絵、記事の内容を表した絵、教科書や問題集の図や人物の絵など、文章とセットで使われる絵は広い意味で挿絵にあたります。

挿絵の仕事の特徴は、絵そのものより文章が主役であることです。描き手は、原稿を読んで内容を理解し、文章が伝えたいことを絵で補う必要があります。自分の描きたいものを自由に描くイラストの仕事とは違い、編集者や著者の意図をくみ取り、指定された大きさや色数、締め切りに合わせて描く力が求められます。

挿絵の仕事は、在宅で受けやすい仕事でもあります。原稿や指示書をメールやファイル共有で受け取り、自宅で描いて、データで納品する形がほとんどです。打ち合わせもオンラインで済むことが多く、出版社やメディアのある都市に住んでいなくても仕事を受けられます。

挿絵が求められる場面

挿絵の募集を探すには、どんな場面で挿絵が使われているかを知っておくと、探す先が見えてきます。

書籍

小説、エッセイ、実用書、児童書、学習参考書など、書籍には多くの挿絵が使われます。小説では章の扉や印象的な場面の絵、実用書では手順や道具の説明の絵、児童書では物語の場面の絵が求められます。1冊の中で何点もの挿絵を描くことが多く、絵の雰囲気を最後まで統一する力が必要です。

雑誌とWebメディアの記事

雑誌の記事やWebメディアの記事にも挿絵が使われます。記事の冒頭に入れる絵、内容を分かりやすくする説明の絵、人物の絵などです。Webメディアは記事の本数が多く、継続して依頼を受けやすい場面です。締め切りが短いことが多いため、早く描ける力が求められます。

教材と学習の資料

教科書、問題集、通信教育の教材、企業の研修の資料などにも挿絵が使われます。学ぶ内容を分かりやすくする説明の絵が中心で、正確さが求められます。年齢に合った絵柄や、誤解を招かない表現が大切です。

企業の資料と広報

企業のパンフレット、社内報、マニュアル、ウェブサイトの説明のページなどにも挿絵が使われます。サービスの使い方を示す絵や、社員を描いた絵などです。企業の雰囲気に合わせた絵柄が求められます。

個人の著者や自費出版

電子書籍や自費出版の本を作る個人の著者から、表紙や挿絵を頼まれることもあります。出版社を通さないため、著者と直接やり取りして描く形になります。

在宅で応募できる挿絵の募集が出ている場所

出版社や編集プロダクションの描き手の募集

出版社や、書籍や雑誌の編集を請け負う編集プロダクションの中には、ウェブサイトで描き手を募集しているところがあります。常に募集しているところもあれば、特定の企画のために募集するところもあります。応募の方法は、作品のファイルやポートフォリオのURLを送る形が多く、送った作品は描き手の登録の資料として保管され、企画に合う絵柄が必要になったときに声がかかります。

出版社の中には、作品の持ち込みを受け付けているところもあります。持ち込みとは、自分の作品を出版社に見せて、仕事につなげることです。オンラインで作品を送る形の持ち込みを受け付けている出版社もあります。

デザイン会社や広告の制作会社

書籍の装丁やレイアウトを担当するデザイン会社、広告の制作会社も、挿絵の描き手を探しています。デザイナーが挿絵を必要としたときに、付き合いのある描き手に頼む形が多いため、こうした会社に作品を見てもらっておくと、仕事につながることがあります。

クラウドソーシングと仲介サイト

企業や個人が仕事を募集し、描き手が応募する仲介のサイトにも、挿絵の募集が出ています。Webメディアの記事の挿絵、電子書籍の挿絵、絵本の挿絵などの募集が見られます。実績がなくても応募できる募集があり、最初の実績を作るきっかけになります。一方で、応募が集まりやすく、料金が低めの募集も多いため、条件をよく確かめる必要があります。

求人サイトの在宅の募集

求人サイトにも、在宅でイラストを描く仕事の募集が出ています。ただし、求人サイトの「イラスト」「在宅」の募集には、挿絵を描く仕事だけでなく、デザインの補助、画像の加工、データの入力などの事務作業が混ざっていることがあります。在宅の仕事の募集の中には、障がいのある人向けの雇用の枠や、在宅の内職として、絵の仕事とは関係のない作業の募集も含まれます。募集の名前だけで判断せず、仕事の中身を読んで確かめてください。

ポートフォリオのサイトとSNS

イラストの作品を公開できるポートフォリオのサイトやSNSに作品を載せておくと、編集者やデザイナーが作品を見て、直接依頼してくることがあります。描き手を探す側は、作品の一覧を見て絵柄を確かめ、依頼の連絡をします。作品を公開するときは、仕事の依頼を受け付けていることと、連絡先を分かるように書いておきます。

公募とコンテスト

絵本や児童書の出版社、雑誌などが、作品の公募やコンテストを行うことがあります。入賞すると出版や仕事の依頼につながることがあり、実績にもなります。応募の条件や、応募した作品の権利の扱いは公募ごとに違うため、必ず募集の要項を読んでから応募します。

応募の前に用意するポートフォリオ

挿絵の仕事に応募するときに欠かせないのが、自分の作品をまとめたポートフォリオです。依頼する側は、ポートフォリオの作品を見て、依頼したい絵柄かどうか、指定どおりに描ける人かどうかを判断します。

挿絵のポートフォリオで大切なのは、自分の描きたい絵だけでなく、「文章に添える絵」を描けることを示すことです。好きなキャラクターの絵や1枚絵の作品が多いと、挿絵として文章の内容を描けるかどうかが伝わりません。次のような作品を入れておくと、挿絵の描き手として判断しやすくなります。

  • 短い文章の場面を描いた絵(文章を添えて、何を描いたかが分かるようにする)
  • 手順や説明を示した絵(料理の手順、道具の使い方など)
  • 同じ人物を、違う場面や表情で描いた絵(雰囲気を統一できることを示す)
  • 白黒で描いた絵と、カラーで描いた絵(書籍の本文は白黒のことが多い)
  • 小さな大きさで使われることを想定した、線の少ない絵

作品の数は多すぎる必要はありません。10〜20点程度を目安に、受けたい仕事に合った作品を選んで並べます。作品ごとに、使った道具、描くのにかかった時間、想定した用途を短く添えておくと、依頼する側は作業の進め方を想像しやすくなります。

ポートフォリオに入れる作品は、自分で権利を持っているものにします。他人のキャラクターを描いた作品(いわゆる二次創作)は、仕事の実力を示す作品としては扱いにくいため、オリジナルの作品を中心にしてください。すでに仕事で描いた作品を載せる場合は、依頼主に掲載の許可を取ってからにします。

在宅で挿絵を描くための道具と環境

在宅で挿絵の仕事を受けるには、データで納品できる作業環境を整えておく必要があります。

描く道具は、パソコンとペンタブレットや液晶タブレット、またはタブレット端末とペンの組み合わせが一般的です。紙に描いて読み取る方法でも仕事はできますが、修正の依頼に素早く応じるには、デジタルで描けるほうが有利です。描画のソフトは、依頼主から納品の形式(レイヤーを分けたデータか、1枚にまとめた画像か)を指定されることがあるため、主な形式で書き出せるものを使います。

データの管理も大切です。描きかけのデータが消えると、締め切りに間に合わなくなります。作業中のデータは、外付けのディスクやクラウドの保存先にこまめに控えを保存しておきます。案件ごとにフォルダを分け、原稿、指示書、ラフ、仕上げのデータを整理しておくと、修正の依頼が来たときにすぐに対応できます。

データのやり取りには、メールの添付のほか、ファイルの共有サービスが使われます。印刷用の絵はファイルが大きくなりやすいため、大きなファイルを送れる方法を用意しておきます。依頼主が使うサービスを指定することもあるので、その使い方にも慣れておきます。

作業する時間の確保も考えておきます。挿絵の仕事は、1点を仕上げるのにまとまった時間が必要です。在宅で仕事をする場合、家事や家族の予定と重ならない時間帯を、作業の時間として決めておくと、締め切りを守りやすくなります。

書籍の挿絵で求められる技術的な準備

書籍や雑誌の挿絵では、印刷に合わせたデータの作り方を知っておく必要があります。画面で見る絵と、紙に印刷する絵では、求められるデータの形が違うためです。

まず、解像度です。印刷に使う絵は、画面で見るだけの絵より高い解像度が求められます。依頼主から、仕上がりの大きさと解像度が指定されることが多いので、描き始める前に必ず確かめます。小さな解像度で描いた絵を、あとから大きくすることはできません。

次に、色の形式です。印刷では、画面の色の表し方とは違う色の形式が使われることがあります。書籍の本文は白黒で印刷されることが多く、カラーで描いた絵を白黒にすると、色の違いが分からなくなることもあります。白黒の印刷が前提の場合は、最初から白黒で描くか、濃淡で区別できるように描くかを確かめておきます。

さらに、絵の周りの余白や、裁ち落とし(紙の端まで絵を印刷するために、仕上がりより大きめに描く部分)の指定もあります。こうした指定は、本の作りによって違うため、依頼主の指示書をよく読んで描きます。分からない点は、描き始める前に質問しておくと、描き直しを防げます。

Webメディアの挿絵の場合は、画面で見ることが前提のため、画像の大きさとファイルの形式(PNGかJPEGかなど)を確かめます。スマートフォンの小さな画面で見られることが多いため、小さく表示しても分かる絵にすることが大切です。

応募の文面の書き方

挿絵の募集に応募するときや、出版社や編集プロダクションに作品を送るときは、短い文面で自分のことを伝えます。読む側は多くの応募に目を通すため、要点が分かる文面にすることが大切です。

文面に入れておきたいのは、次のような内容です。

  • 名前(ペンネームを使う場合はその名前)と連絡先
  • 得意な絵柄と、得意な題材(人物、動物、料理、風景など)
  • 描ける形式(白黒、カラー、印刷用のデータの作成の経験)
  • ポートフォリオのURL
  • 1か月に受けられるおおよその点数と、対応できる締め切りの目安
  • 挿絵や絵の仕事の経験(あれば)

文面の例を示します。「はじめまして。〇〇と申します。人物と日常の場面を、やわらかい線で描くことを得意としています。白黒とカラーの両方に対応でき、印刷用のデータの作成にも対応できます。作品はこちらのポートフォリオでご覧いただけます。1か月に10点程度の挿絵をお受けできます。ご検討いただけましたら幸いです。」

応募の文面は、丁寧であることより、相手が知りたいことが書かれていることが大切です。長い自己紹介より、どんな仕事を任せられるかが伝わる内容を優先します。

契約で確かめる権利の扱い

挿絵の仕事で最も注意が必要なのが、描いた絵の権利の扱いです。文化庁の著作権のテキストでは、著作権には2つの種類があると説明されています。1つは著作者人格権(作者の気持ちや名誉を守るための権利)で、作者だけが持つ権利のため、ほかの人に譲ることはできません。もう1つは著作権(財産権)で、土地の所有権と同じように、譲ったり相続したりできる権利です。

挿絵の仕事の契約では、描いた絵の著作権を依頼主に譲るのか、描き手が持ったまま使うことを許すのかを決めます。文化庁のテキストでは、著作権を譲る場合の注意として、次のように書かれています。

著作権法では譲渡人の保護規定(第 61 条第 2 項)があり、二次的な利用に関する権利(第 27 条、第 28 条)については、契約において特掲されていないときは、譲渡した者に留保されたものと推定する旨、規定されているため、これらの権利を含めた著作権の譲渡を受ける際、契約書に「すべての著作権(著作権法第 27 条及び第 28 条の権利を含む)を譲渡する」と記載しておく必要があります。 出典: bunka.go.jp

かみくだいて言うと、絵を作り変えて別の作品にする権利(翻案の権利など)は、契約書にはっきり書かれていなければ、譲った側(描き手)に残っていると考えられる、ということです。依頼主から「すべての著作権を譲渡する」という契約書を示された場合は、描いた絵を依頼主が自由に作り変えたり、別の商品に使ったりできるようになることを理解したうえで、条件を判断する必要があります。

同じテキストでは、著作者人格権を行使しないという取り決め(不行使の特約)が契約に入ることがあり、その場合は、依頼主が絵を改変したり、描き手の名前を表示しなかったりしても異議を述べられないという不利益が生じるため注意が必要だとも説明されています。

挿絵の仕事の契約で確かめておきたいのは、次のような点です。著作権の詳しい考え方は、文化庁の著作権テキスト(令和8年度)で確かめられます。

  • 著作権を依頼主に譲るのか、使うことを許すだけなのか
  • 使ってよい範囲(その本だけか、広告や関連の商品にも使うか、重版や電子書籍にも使うか)
  • 使う期間
  • 絵を修正したり、一部を切り出したりすることがあるか
  • 描き手の名前を表示するか
  • 描き手が自分の実績として公開してよいか、公開してよい時期はいつか
  • 著作者人格権を行使しないという取り決めがあるか

権利の扱いによって、適切な料金も変わります。依頼主が絵を幅広く使える契約ほど、描き手が将来その絵から得られたはずの利益を手放すことになるため、料金を高く設定するのが一般的な考え方です。

発注する側に求められる決まり

個人で働くフリーランスに仕事を頼む事業者には、取引の条件をはっきり示すことなどが法律で求められています。令和6年11月1日に施行された、いわゆるフリーランス・事業者間取引適正化等法です。厚生労働省のページでは、発注する事業者に、取引の条件の明示、受け取った日から原則60日以内の報酬の支払い、ハラスメント対策の体制の整備などが義務付けられると説明されています(厚生労働省のフリーランス・事業者間取引適正化等法のページ)。

挿絵の仕事でも、依頼の内容、報酬の額、支払いの期日などが、メッセージや書面で示されるのが本来の形です。条件があいまいなまま描き始めると、あとで報酬や修正の扱いで揉める原因になります。依頼主から条件が示されない場合は、描き手の側から条件をまとめて確認し、了承をもらっておくと安心です。

編集者とのやり取りで気を付けること

挿絵の仕事は、編集者とのやり取りの丁寧さで評価が大きく変わります。在宅の仕事では顔を合わせる機会がないため、メッセージのやり取りが信頼を作る主な手段になります。

まず、返信の早さです。すぐに答えられない質問でも、受け取ったことと、いつまでに答えるかを先に返しておくと、相手は予定を立てやすくなります。

次に、質問のまとめ方です。原稿を読んで分からない点が出てきたら、1つずつ送るのではなく、まとめて番号を付けて送ります。「3ページ目の場面は朝と夜のどちらでしょうか」「主人公の髪の長さに指定はありますか」のように、答えやすい形で聞くと、やり取りの回数が減ります。

さらに、提出物の名前の付け方です。ラフや仕上げのファイルには、何点目の絵か、何回目の修正かが分かる名前を付けます。編集者は複数の描き手や書籍を同時に担当していることが多く、ファイルの名前が分かりやすいと、確認の手間が減ります。

修正の指示を受けたときは、指示の内容を自分の言葉で確かめてから直します。「人物をもう少し大きく、とのことですので、画面の3分の2程度まで大きくします」のように返すと、受け取り方の行き違いを防げます。

料金と修正の決め方

挿絵の料金は、絵の点数、大きさ、カラーか白黒か、描き込みの量、使う範囲、権利の扱い、締め切りによって決まります。同じ大きさの絵でも、背景まで細かく描く絵と、人物だけの簡単な絵では、かかる時間が大きく違います。

料金を決めるときは、1点あたりにかかる時間を基準に考えます。ラフ(下書き)を描く時間、修正に応じる時間、仕上げの時間をそれぞれ見積もり、自分の時間に見合う料金かを確かめます。最初のうちは見積もりが外れやすいので、1件ごとに実際にかかった時間を記録しておくと、次の見積もりの精度が上がります。イラストやデザインの仕事の収入の水準は、デザイナーの年収・単価相場で確かめられます。

修正の扱いも、最初に決めておくべき大切な点です。挿絵の仕事は、ラフの段階で依頼主に確認してもらい、方向が決まってから仕上げるのが一般的です。ラフの段階での修正は無料で応じ、仕上げたあとの大きな変更は追加の料金にする、といった決まりを最初に伝えておくと、修正が何度も続いて作業が膨らむことを防げます。

途中で依頼が取り消された場合の扱いも、事前に決めておきます。ラフまで描いた段階で取り消された場合に、どこまでの作業に料金が支払われるかを決めておくと、トラブルを避けられます。

挿絵の仕事の進め方

挿絵の仕事は、おおむね次の流れで進みます。

  1. 依頼の内容を確かめる(点数、大きさ、色、締め切り、使う範囲、権利の扱い、料金)
  2. 原稿と指示書を受け取り、内容を読み込む
  3. 描く場面や構図を考え、ラフを描いて提出する
  4. 依頼主の確認を受け、修正の指示があればラフを直す
  5. ラフが決まったら、仕上げの絵を描く
  6. 指定の形式でデータを書き出して納品する
  7. 納品後の小さな修正に応じる

1の依頼の内容の確認では、絵を使う媒体と、読む人の年齢層も聞いておきます。同じ場面でも、小学生向けの学習教材と、大人向けの小説では、ふさわしい絵柄や描き込みの量が違います。読む人が誰なのかが分かると、絵の方向を決めやすくなり、ラフの段階での行き違いが減ります。

2の原稿の読み込みは、挿絵の質を左右する大切な工程です。文章の内容と食い違う絵を描くと、読む人を混乱させます。登場人物の服装や持ち物、場面の時間帯や季節など、文章に書かれていることを確かめて、絵に正しく反映させます。文章に書かれていないことを描く場合は、編集者や著者に確認します。

3のラフの段階では、構図の案を複数出すと、依頼主が選びやすくなります。ラフは細かく描き込む必要はなく、構図と人物の配置、雰囲気が分かれば十分です。

1冊の挿絵を担当するときの予定の立て方

書籍の挿絵を1冊分担当するときは、全体の予定を立ててから描き始めます。たとえば、20点の挿絵を2か月で納品する場合、次のように工程を分けて考えます。

最初の1〜2週間で原稿を読み込み、全点のラフを描いて提出します。全点のラフをまとめて見てもらうと、編集者は本全体の流れの中で絵の配置や雰囲気を確かめられます。次の1週間でラフの修正に応じ、すべての構図を決めます。残りの期間で仕上げの絵を描き、数点ずつ納品していきます。最後の1週間は、修正への対応と、予定がずれたときのための余裕にあてます。

予定を立てるときは、1点の仕上げにかかる時間を、これまでの記録から見積もります。仕上げの時間を少なく見積もると、終盤で締め切りに追われることになります。本業や家庭の予定も書き込み、作業できない日を先に除いておくと、現実的な予定になります。

予定がずれそうなときは、早めに編集者に伝えます。書籍の制作は、挿絵のあとにレイアウトや印刷の工程が控えているため、直前の連絡では調整が難しくなります。

注意したい募集

挿絵やイラストの募集の中には、注意が必要なものもあります。応募する前に、次のような点を確かめてください。

  • 応募や登録の条件として、登録料や講座の受講料を先に求める
  • コンテストの応募の条件として、応募した作品のすべての権利を無償で主催者に渡すことになっている
  • 「試しに1点描いてほしい」と言って、報酬なしで本番に使う絵を描かせようとする
  • 会社の名前や連絡先、仕事の条件がはっきりしない

試し描き(テスト)を求められること自体は珍しくありませんが、テストの絵がそのまま本番に使われないか、テストに報酬が出るかを確かめておきます。権利の扱いが一方的な条件や、お金を先に払う条件には、慎重に判断してください。

AIの画像生成と挿絵の仕事

最近は、AIで画像を作る技術が広がり、挿絵の仕事にも影響が出ています。依頼主の中には、AIで作った画像を使わないよう指定する会社や、反対にAIを使った作業を前提にする会社もあります。

挿絵の仕事を受けるときは、AIの画像生成を使ってよいかどうかを、依頼主の方針として確かめておきます。使ってよい場合でも、どの工程で使ったかを伝えるよう求められることがあります。依頼主に断りなくAIで作った画像を納品すると、権利の扱いや品質の面で問題になるおそれがあります。

また、自分の作品がAIの学習に使われることを心配する描き手もいます。作品をポートフォリオのサイトやSNSで公開するときは、そのサイトの利用規約で、投稿した作品がどう扱われるかを確かめておきます。

AIが使われる場面が増えても、文章の内容を読み込み、編集者や著者の意図をくみ取って絵にする力は、人の描き手に求められ続ける力です。挿絵の仕事では、絵の技術と同じくらい、この読解とやり取りの力を磨いておくことが大切です。

最初の実績を作るための進め方

挿絵の仕事の経験がない人が最初の実績を作るには、次のような方法があります。

1つめは、仲介サイトで小さな募集から受けることです。Webメディアの記事の挿絵や、個人の著者の電子書籍の挿絵など、点数の少ない募集から始めると、仕事の流れを覚えながら実績を作れます。

2つめは、知人の活動を手伝うことです。知人が作る冊子や、地域の団体の広報誌、個人のブログなどに挿絵を描き、作品として使わせてもらう許可を取ります。報酬が少なくても、実際に文章に添えて使われた挿絵は、ポートフォリオの説得力を高めます。

3つめは、自分で挿絵の作品を作ることです。著作権の切れた古い文学作品の一場面を描く、自分で書いた短い文章に挿絵を付ける、といった形で、文章と絵がセットになった作品を作ります。

最初の仕事は、締め切りより早めに納品し、修正にも丁寧に応じることを心がけます。最初の依頼主の評価が、次の仕事を受けるきっかけになります。

会社員の副業として受けるときの注意

会社員が副業で挿絵の仕事を受ける場合は、まず勤め先の就業規則で副業が認められているかを確かめます。絵の仕事は名前が出ることがあるため、副業が認められていても、届け出が必要な会社があります。

副業の収入があると、税金の申告が必要になることがあります。会社員の場合、給与以外の所得の合計が一定の額を超えると確定申告が必要になります。所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額です。絵を描くための道具やソフトの費用は、必要経費として扱える場合があります。申告の要否や経費の扱いは、国税庁の案内や税務署で確かめてください。

時間の管理も大切です。挿絵の仕事は締め切りが決まっているため、本業が忙しい時期に重なると、締め切りを守れなくなるおそれがあります。受ける仕事の量は、本業の予定を見て、無理のない範囲にとどめます。

運営者として見てきた、挿絵の仕事が続く人

在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者の立場から見ると、挿絵やイラストの仕事を長く続けている人には共通点があります。それは、絵の上手さだけでなく、依頼主の手間を減らすやり取りを心がけていることです。原稿をよく読んで質問を先にまとめて送る、ラフの段階で構図の案を複数出す、締め切りの前に進み具合を伝える、といった積み重ねが、「次もこの人に頼みたい」という評価につながっています。

依頼主との直接の取引も、続けやすさに関わります。仲介の手数料がかからない手数料0%の直接取引では、依頼する側は同じ予算で多くの点数を頼め、受ける側は手取りが厚くなります。同じ編集者や著者と長く付き合うと、絵柄の好みや作品の世界観を理解したうえで描けるようになり、仕事の質も上がります。

挿絵の仕事は、募集を待つだけでなく、作品を見てもらえる場所を自分で増やしていくことで広がる仕事です。文章に添える絵を中心にしたポートフォリオを用意し、権利と料金の取り決めを確かめながら、小さな仕事から実績を積み重ねていってください。デザインやイラストの仕事を長く続けるための考え方は、Webデザイナー 年収のリアル:30代フリーランスが語る稼ぎ方とキャリアパスも参考になります。収入の水準を確かめたいときは、デザイナーの年収・単価相場で職種ごとの目安を見られます。

よくある質問

Q. 在宅で応募できる挿絵の募集はどこで探せばよいですか?

出版社や編集プロダクションの描き手の募集、デザイン会社や広告の制作会社、仲介サイトやクラウドソーシング、求人サイトの在宅の募集、ポートフォリオのサイトやSNS、出版社の公募やコンテストが主な探し先です。挿絵の仕事は付き合いのある描き手に直接声がかかることも多いため、作品を見てもらえる場所を増やしておくことが大切です。

Q. 挿絵のポートフォリオにはどんな作品を入れればよいですか?

文章の場面を描いた絵、手順や説明を示した絵、同じ人物を違う場面で描いた絵、白黒とカラーの絵など、文章に添える絵を描けることが伝わる作品を入れます。10〜20点程度を目安に、受けたい仕事に合う作品を選びます。他人のキャラクターを描いた作品より、オリジナルの作品を中心にしてください。

Q. 挿絵の著作権は依頼主に譲るものですか?

契約によって違います。著作権を依頼主に譲る場合と、描き手が持ったまま使うことを許す場合があります。文化庁の著作権テキストでは、作り変えて別の作品にする権利などは、契約書にはっきり書かれていなければ譲った側に残ると推定されると説明されています。使う範囲、期間、名前の表示とあわせて確かめてください。

Q. 挿絵の料金はどのように決めればよいですか?

絵の点数、大きさ、カラーか白黒か、描き込みの量、使う範囲、権利の扱い、締め切りをもとに、1点あたりにかかる時間を基準に考えます。ラフでの修正は無料、仕上げ後の大きな変更は追加料金、といった修正の決まりも最初に伝えておきます。途中で取り消された場合の扱いも事前に決めておくと安心です。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年9月12日最終更新:2026年10月16日
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