利用規約の作り方|入れる条項と書き方の注意


この記事のポイント
- ✓Webサービスやアプリ
- ✓教室やサロンの利用規約を例に解説します
- ✓民法の定型約款と消費者契約法で無効になりやすい書き方
規約の作り方を調べている人の多くは、Webサービスやアプリを公開する直前、教室やサロンで会員の受付を始める前、あるいは取引先から「利用規約はありますか」と聞かれたときに、急いで形を整えようとしています。ひな型をそのまま写せば見た目は整いますが、自分のサービスに合わない条項や、法律で無効になる書き方が混ざっていると、いざ揉めたときに役に立ちません。この記事では、利用規約に入れる条項、民法と消費者契約法の決まりから見た書き方の注意、作成の手順、変更するときの手続きを順に説明します。規約に書いた問い合わせ窓口に届く連絡を、担当と状況を付けて返信まで管理したい場面では、フォームの作成と回答の管理ができるHalictを使う方法にも触れます。
なお、この記事は規約づくりの考え方と一般的な注意点を整理したもので、個別の事情に合わせた法律相談の代わりにはなりません。料金が高い、解約の条件が複雑、利用者の作品や投稿を扱う、といったサービスでは、公開の前に弁護士に一度見てもらうことをすすめます。
規約が必要になる場面と、規約・規定・会則の違い
規約とは、決まった相手との取引や集まりの運営について、あらかじめ決めておくルールを文章にしたものです。よく似た言葉に「規定」「規程」「会則」「約款」があり、使い分けに迷う人が多いので、最初に整理しておきます。
| 言葉 | 主な使われ方 | 例 |
|---|---|---|
| 規約 | 外部の利用者や会員との約束ごと | Webサービスの利用規約、会員規約 |
| 規定・規程 | 組織の内部のルール | 就業規則、旅費規程、文書管理規程 |
| 会則 | 任意団体やサークルの運営ルール | 町内会の会則、同好会の会則 |
| 約款 | 多数の相手と同じ条件で結ぶ契約の条項 | 保険約款、運送約款 |
この記事で中心に扱うのは、外部の利用者に向けた利用規約です。利用規約が必要になるのは、主に次のような場面です。
- 会員登録をしてもらうWebサービスやアプリを始めるとき
- オンライン講座、教室、サロンなどで、申込みを受けて継続的にサービスを提供するとき
- 利用者が文章や写真を投稿できる場をつくるとき
- 有料の会員制のサービスで、料金の支払いと解約の条件を決めておきたいとき
利用規約がないと、トラブルが起きるたびに「何を約束していたか」を一から話し合うことになります。たとえば、利用者が他の人を誹謗する投稿をしたとき、規約に禁止事項と利用停止の条件が書いてあれば、運営者は書いてあるとおりに対応できます。書いていなければ、停止の根拠を説明するところから始めなければなりません。規約は、運営者を守るためだけのものではなく、利用者が「どこまでしてよいのか」「困ったらどこに連絡すればよいのか」を知るための案内でもあります。
保険や運送の約款がまさにそうですが、多数の人と同じ条件で契約するとき、1人ずつ条件を交渉するのは現実的ではありません。大きな会社が約款の改定のたびに文言を細かく確かめるのは、言葉の選び方1つで利用者の受け取り方や問い合わせの数が変わるからです。小さなサービスの利用規約でも、この考え方はそのまま当てはまります。
利用規約が契約として効く仕組み
利用規約を作っても、利用者がそれに同意していなければ、契約の中身にはなりません。この点について、2020年4月に施行された改正民法で「定型約款」という決まりが設けられました。定型約款とは、不特定多数の人を相手に同じ内容で行う取引のために、事業者があらかじめ用意した条項のまとまりのことです。多くのWebサービスの利用規約は、これに当たります。
民法は、定型約款の個別の条項にも合意したとみなされる場合を、次のように定めています。
定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき。 定型約款を準備した者(以下「定型約款準備者」という。)があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき。 出典: e-Gov法令検索「民法」第548条の2第1項
かみくだくと、利用者が「この規約を契約の中身にする」ことに同意したか、運営者が前もって「この規約が契約の中身になります」と示していれば、利用者が全文を読んでいなくても、個々の条項に同意したものとして扱われる、ということです。実務では、会員登録の画面に「利用規約に同意する」のチェック欄を設け、規約の全文へのリンクをすぐそばに表示する形が一般的です。
ただし、どんな条項でも有効になるわけではありません。同じ条の第2項は、相手の権利を制限したり、義務を重くしたりする条項のうち、取引の実情や社会通念に照らして相手の利益を一方的に害するものは、合意しなかったものとみなすと定めています。運営者に都合のよい条項をいくら並べても、行き過ぎたものは効力を持たない、という歯止めです。
また、民法第548条の3は、利用者から請求があれば、運営者は遅滞なく規約の内容を示さなければならないと定めています。登録の前にこの請求を拒むと、規約への合意そのものが認められなくなります。規約はいつでも誰でも読めるページに公開しておく、というのが最も確実な対応です。
作り始める前に決めておく4つのこと
条項を書き始める前に、次の4つを決めておくと、ひな型のどの部分を使い、どの部分を書き換えるかがはっきりします。
- 利用者は個人(消費者)か、会社や個人事業主か
- 料金は無料か、有料か。有料なら月額か、都度払いか
- 利用者が文章、写真、作品などを投稿したり、アップロードしたりするか
- 運営者が利用者の個人情報をどこまで受け取るか
1つ目が最も大切です。利用者が個人の場合は、後で説明する消費者契約法が適用され、事業者の責任を全部免除するような条項は無効になります。利用者が会社だけのサービスであれば、消費者契約法は適用されませんが、民法の定型約款の決まりは同じように働きます。両方が混ざるサービスでは、個人の利用者を前提に書くのが安全です。
2つ目の料金は、支払いの方法、支払いの時期、途中解約したときの返金の有無を決める出発点になります。月額の会員制なら、自動で更新されることと、解約の締め日を規約に書いておく必要があります。
3つ目の投稿があるサービスでは、投稿された文章や写真の権利が誰に残るのか、運営者がどこまで使ってよいのかを書かなければなりません。ここを曖昧にしたまま公開して、後から利用者と揉める例は少なくありません。
4つ目の個人情報は、利用規約とは別にプライバシーポリシーを用意するのが一般的です。利用規約の中では「個人情報の取扱いはプライバシーポリシーに定めるとおり」と書き、別のページにつなぎます。
利用規約に入れる基本の条項12
多くの利用規約に共通して入っている条項を、目的と書き方の要点とあわせて並べます。すべてが必須というわけではなく、サービスの中身に合わせて取捨選択します。
| 条項 | 何を決めるか | 書き方の要点 |
|---|---|---|
| 1. 適用 | 規約が誰に、どの範囲で適用されるか | 個別の案内やガイドラインも規約の一部になるかを書く |
| 2. 定義 | 規約の中で使う言葉の意味 | 「本サービス」「利用者」「投稿データ」などを最初に決める |
| 3. 登録 | 会員登録の手順と、登録を断る場合 | 虚偽の申告や過去の規約違反を断る理由として挙げる |
| 4. アカウントの管理 | IDとパスワードの管理の責任 | 第三者に使わせない、漏れたら連絡する |
| 5. 料金と支払い | 金額、支払方法、支払時期 | 金額は料金ページを参照する形にしてもよい |
| 6. 禁止事項 | してはいけない行為 | 具体的な行為を列挙し、最後に包括的な項目を1つ設ける |
| 7. 利用停止と登録の抹消 | 規約違反のときの措置 | どんなときに、事前の通知なしで停止するかを書く |
| 8. 退会 | 利用者がやめる手順 | 手順と、退会後のデータの扱いを書く |
| 9. 投稿データの権利 | 投稿の著作権の帰属と利用の範囲 | 利用者に権利が残るのか、運営者がどこまで使えるのか |
| 10. 免責と損害賠償 | 運営者が責任を負う範囲 | 消費者契約法で無効にならない書き方にする |
| 11. 規約の変更 | 規約を変えるときの手続き | 変更の周知の方法と効力が生じる時期を書く |
| 12. 準拠法と裁判管轄 | どの国の法律で、どこの裁判所で争うか | 日本法、運営者の所在地を管轄する地方裁判所とする例が多い |
このほか、サービスの性質によって「サービスの内容の変更と終了」「秘密の保持」「反社会的勢力の排除」「通知の方法」「権利義務の譲渡の禁止」といった条項を追加します。
禁止事項は、利用規約の中で最も読まれる条項です。「法令に違反する行為」「他の利用者や第三者の権利を侵害する行為」「サービスの運営を妨げる行為」のように大きな括りで書くだけでなく、そのサービスで実際に起こりそうな行為を具体的に挙げます。たとえば、オンライン講座なら「講座の動画や資料を録画、転載、配布する行為」、マッチングのサービスなら「サービスの外での取引に誘導する行為」のように書きます。具体例があると、利用者は自分の行為が禁止に当たるかを判断しやすく、運営者も停止の理由を説明しやすくなります。
列挙の最後には「その他、運営者が不適切と判断する行為」のような包括的な項目を1つ入れるのが一般的です。ただし、これだけに頼ると、利用者からは「何をしたら止められるのか分からない」と受け取られます。包括的な項目はあくまで補助として使い、主な行為は具体的に書きます。
書き方の注意:無効になりやすい条項
利用者が個人のサービスでは、消費者契約法を必ず確かめます。消費者契約法とは、事業者と消費者の間にある情報や交渉力の差を踏まえて、不当な勧誘による契約の取消しや、不当な契約条項の無効を定めた法律のことです。消費者庁の説明では、平成28年、30年、令和4年に、無効となる不当な契約条項の追加などの改正が重ねられています。
利用規約で特に問題になりやすいのは、次の4つです。
責任を全部免除する条項
「当社は、本サービスに関して利用者に生じたいかなる損害についても一切責任を負いません」という文は、ひな型でもよく見かけます。しかし、消費者契約法第8条は、事業者の債務不履行や不法行為によって消費者に生じた損害の賠償責任を全部免除する条項を無効としています。さらに、事業者の故意または重大な過失による損害について、責任の一部を免除する条項も無効です。
軽い過失だと明らかにしない一部免除
消費者契約法第8条第3項は、責任の一部を免除する条項であっても、それが軽い過失(重大な過失を除く過失)のときにだけ適用されることを明らかにしていないものは無効と定めています。
当該条項において事業者、その代表者又はその使用する者の重大な過失を除く過失による行為にのみ適用されることを明らかにしていないものは、無効とする。 出典: e-Gov法令検索「消費者契約法」第8条第3項
「法律で許される最大限の範囲で、当社の責任を免除します」のような、どこまで免除されるのか読んでも分からない書き方は、この規定に当たるおそれがあります。責任を一部に限りたいときは、「当社の故意または重大な過失による場合を除き、当社が負う損害賠償の額は、利用者が当該損害の発生した月に当社に支払った利用料金の額を上限とします」のように、対象と上限を具体的に書きます。
高すぎる解約料や遅延損害金
消費者契約法第9条は、解約に伴う違約金が、同じ種類の契約で事業者に生じる平均的な損害の額を超える部分を無効とし、支払いの遅れに対する損害金は年14.6%を超える部分を無効としています。「途中解約の場合は残りの期間の料金を全額いただきます」という条項は、内容によってはこの規定に触れる可能性があります。違約金を定めるときは、なぜその金額になるのかを説明できるようにしておきます。
消費者の利益を一方的に害する条項
消費者契約法第10条は、法律の任意の規定と比べて消費者の権利を制限したり義務を重くしたりする条項で、信義誠実の原則に反して消費者の利益を一方的に害するものを無効とします。「利用者が何も返答しなければ、有料プランへの切り替えに同意したものとみなす」といった、黙っていると契約が成立する形の条項が典型例として条文に挙げられています。
こうした決まりは、条項の文言だけでなく、サービスの中身や料金とあわせて判断されます。ひな型の免責の条項をそのまま使う前に、自分のサービスで起こりうる損害を具体的に想像し、どこまで責任を負うかを決めてから書くのが確実です。
利用規約の作成の手順
ここまでの内容を踏まえて、利用規約を作る手順を6つに分けて整理します。
- サービスの流れを書き出す。登録、利用、支払い、解約、退会の順に、利用者が何をし、運営者が何をするかを箇条書きにします。
- 起こりそうなトラブルを挙げる。支払いの遅れ、なりすまし、迷惑な投稿、システムの停止、データの消失など、実際に起きたら困ることを10個ほど書き出します。
- ひな型や同業のサービスの規約を読む。条項の並びや言い回しの参考にしますが、文章をそのまま写すことは避けます。
- 自分のサービスに合わせて条項を書く。手順1と2で書き出した内容が、どの条項で扱われているかを1つずつ確かめます。
- 消費者契約法と民法の決まりに照らして見直す。特に免責、違約金、自動更新、規約の変更の条項を重点的に確かめます。
- 公開と同意の仕組みを整える。規約のページを公開し、登録の画面に同意のチェック欄とリンクを設け、いつ同意を得たかの記録が残るようにします。
手順2のトラブルの書き出しは、規約の質を大きく左右します。契約のトラブルの多くは、「こんなことが起きるとは思っていなかった」という場面から生まれます。規約も同じで、起きてほしくないことを先に具体的に想像しておくほど、条項の抜けが減ります。
手順6の記録は見落とされがちです。利用者がいつ、どの版の規約に同意したかを残しておくと、後で規約を変更したときや、トラブルの際に「どの規約が適用されるか」を説明できます。会員のデータに同意の日時と規約の版を記録する仕組みを、最初から用意しておくのがおすすめです。
ひな型を使うときの注意
インターネット上には、無料で使える利用規約のひな型が多く公開されています。ひな型は、条項の抜けを防ぐ下書きとしては役に立ちますが、そのまま使うことには次のような落とし穴があります。
- サービスの中身と合わない条項が残る。投稿機能がないのに投稿の権利の条項がある、有料ではないのに支払いの条項がある、といった食い違いは、利用者に「中身を読まずに写した」と受け取られます。
- 古い法律を前提にした書き方が残る。2020年の民法の改正前に作られたひな型には、定型約款の変更の手続きを踏まえていないものがあります。
- 免責の条項が強すぎる。「書き方の注意」の節で見たとおり、責任を全部免除する書き方は、利用者が個人なら無効になります。
- 運営者の名前や連絡先、裁判所の所在地が書き換えられていない。
ひな型は、条項の見出しの一覧として使い、中身は自分のサービスの言葉で書き直すのが基本です。「本サービス」「当社」といった言葉の定義を最初に決め、規約全体で同じ言葉を使うと、読みやすさがぐっと上がります。
文章の書き方では、1つの文に1つの決まりだけを書く、主語を省かない、「など」「その他」を多用しない、といった点に気をつけます。利用者が読んで、自分が何をしてよく、何をしてはいけないかが分かる文章が、結果として運営者を守る規約になります。
マネーフォワードの解説でも、ひな型や記載例はあくまで一例であり、自分の団体に合わせて直すことが前提とされています。
上記の項目はあくまで一例ですので、実際に作成する際は内容を組合や団体に合うものに適宜修正すると良いでしょう。 出典: マネーフォワード クラウド契約「規約とは?規定や会則との違い、作り方などわかりやすく解説」
プライバシーポリシー・特定商取引法の表記との分け方
利用規約と一緒に用意することが多い書類に、プライバシーポリシーと特定商取引法に基づく表記があります。3つは目的が違うので、1つの文書に詰め込まず、別のページに分けます。
| 書類 | 目的 | 根拠になる法律 |
|---|---|---|
| 利用規約 | 運営者と利用者の約束ごと | 民法(定型約款)、消費者契約法 |
| プライバシーポリシー | 個人情報の利用目的や取扱いの公表 | 個人情報保護法 |
| 特定商取引法に基づく表記 | 通信販売の事業者が示す情報 | 特定商取引法 |
個人情報保護法は、個人情報を扱う事業者に対して、利用目的をできる限り特定し、取得したときは利用目的を本人に通知するか公表することを求めています(第17条、第21条)。プライバシーポリシーは、この利用目的の公表を兼ねる文書として使われるのが一般的です。何を書くべきかは、個人情報保護委員会が法令やガイドラインを公開しているので、そちらで確かめます。
有料のサービスをインターネットで申し込ませる場合は、通信販売に当たり、特定商取引法に基づく表記が必要になることがあります。事業者の名前、住所、電話番号、料金、支払いの時期と方法、解約や返品の条件などを示すもので、何が対象になるかは消費者庁の特定商取引法のページに案内があります。
利用規約の中では、プライバシーポリシーや料金ページを参照する形で書いておき、それぞれの文書で詳しく説明します。料金のように変わりやすい情報を規約の本文に直接書くと、値段を変えるたびに規約の変更の手続きが必要になるため、別のページで管理するほうが運用しやすくなります。
問い合わせ窓口の書き方と、届いた連絡の管理
利用規約の最後には、規約やサービスについての問い合わせ先を書きます。メールアドレスだけを書く方法もありますが、利用者の数が増えると、同じ質問が何度も届いたり、誰が返信したか分からなくなったりします。
問い合わせ先を書くときは、次の点を決めておくと、規約の運用がぐっと楽になります。
- 連絡の方法(問い合わせフォーム、メールアドレス、電話)
- 受付の時間と、返信までの目安
- 解約や退会、個人情報の開示の請求など、手続きごとの連絡先
- 規約違反の通報を受け付ける窓口
問い合わせの数が少ないうちは、メールの受信箱と表計算ソフトの一覧で十分に管理できます。受け付けた日、内容、担当、対応の状況、返信した日を1行ずつ記録するだけでも、対応の漏れはかなり減ります。
一方で、問い合わせが毎日のように届き、複数の人で手分けして返信する場面では、受け付けから返信までを1か所で管理できる道具が役に立ちます。選択肢の1つが、Halictです。Halictは、問い合わせ、申込み、アンケートなどのフォームを作り、届いた回答を一覧で管理できるサービスです。公式サイトによると、届いた1件ごとに担当と状況が記録され、返信も同じ画面から送れて、開封まで記録されます。回答はCSVに書き出すこともできます。
料金は、公式の料金ページによると、メンバー1人までのフリープランが0円で、フォームの数と回答の数はどのプランでも無制限です。メンバー3人までのスタータープランは月額2,980円(税抜)、10人までのチームプランは月額7,800円(税抜)で、年払いにすると2か月分が無料になります。Halictは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
規約に問い合わせフォームのURLを書いておくと、利用者は迷わず連絡でき、運営者は届いた連絡を種類ごとに分けて対応できます。規約違反の通報、解約の申出、個人情報の開示の請求のように、対応の手順が決まっているものは、フォームの質問を分けておくと、必要な情報が最初からそろいます。
規約のページの見せ方と同意の取り方
規約の中身が整っても、利用者の目に触れる形が悪いと、同意を得たと言える根拠が弱くなります。民法の定型約款の決まりは、規約を契約の内容とすることへの合意か、そのことをあらかじめ相手に示していたことを求めています。画面の作り方で、この条件を満たしていると説明できるようにしておきます。
同意の画面では、次の点を確かめます。
- 会員登録や申込みのボタンのすぐ近くに、規約の全文へのリンクがある
- 「利用規約に同意する」のチェック欄があり、最初からチェックが入っていない
- チェックを入れないと登録や申込みに進めない
- 規約のページは、ログインしていない人でも読める
- スマートフォンの小さな画面でも、文字が読める大きさで表示される
規約の全文を、登録の画面の小さな枠の中に流し込む形は避けます。利用者が読みにくいうえ、どの版に同意したのかが分かりにくくなります。全文は独立したページにして、条項ごとに見出しを付け、目次から各条項へ移動できるようにすると親切です。
有料のサービスでは、申込みの最終確認の画面に、料金、支払いの時期、契約の期間、解約の方法をあらためて表示します。規約の中に書いてあっても、申込みの直前にもう一度示すことで、「解約の条件を知らなかった」という行き違いを減らせます。
紙の申込書で受け付ける教室やサロンでは、規約を印刷して手渡し、申込書に「利用規約を受け取り、内容に同意します」の署名欄を設けます。規約の版と日付を申込書にも書いておくと、後で規約を変更したときに、どの版で申し込んだかを確かめられます。
規約を変更するときの手順
サービスを続けていると、機能の追加や料金の見直しに合わせて、規約を変更する必要が出てきます。民法第548条の4は、定型約款を利用者の個別の同意なしに変更できる場合を、次の2つに限っています。
- 変更が、利用者の一般の利益に合うとき
- 変更が、契約の目的に反せず、変更の必要性、変更後の内容の相当性、変更することがあると規約に定めていたかどうか、その他の事情に照らして合理的なとき
さらに、変更するときは、効力が生じる時期を決め、規約を変更することと変更後の内容、効力が生じる時期を、インターネットなどの適切な方法で周知しなければなりません。2つ目の場合(利用者の利益になるとは限らない変更)は、効力が生じる時期までに周知していなければ、変更の効力が生じません。
実務では、次の流れで進めると、手続きの抜けを防げます。
- 変更する条項と、変更の理由を整理する
- 利用者にとって不利になる変更かどうかを確かめる
- 効力が生じる日を決める。不利になる変更なら、周知から効力発生まで十分な期間をとる
- お知らせのページ、ログイン後の画面、登録メールアドレスへの通知などで周知する
- 変更前と変更後の規約を保存し、版と日付を記録する
規約の末尾に「制定日」と「最終改定日」を書いておくと、利用者はどの版を読んでいるのかが分かります。過去の版を公開しておくサービスもあり、利用者からの信頼につながります。
利用者に不利な変更、たとえば値上げや無料の範囲の縮小は、周知の方法と期間を慎重に決めます。「いつの間にか条件が変わっていた」と受け取られると、規約の効力の問題とは別に、サービスへの信頼を失います。
任意団体の会則や規約を作る場合
規約の作り方を調べる人の中には、町内会、PTA、サークル、同好会など、任意団体の会則や規約を作りたい人もいます。任意団体の規約は、外部の利用者との約束ではなく、会員同士の運営のルールなので、入れる項目が利用規約とは異なります。
一般的には、次のような項目を入れます。
- 団体の名前と事務所の所在地
- 目的と活動の内容
- 会員の資格、入会と退会の手続き
- 役員の種類、人数、選び方、任期
- 総会や役員会の開き方と、議決の方法
- 会費と会計の処理、会計年度、会計監査
- 規約の変更の方法
自治体によっては、市民活動団体向けに会則のひな型を公開しているところがあります。補助金の申請や公共施設の団体登録で会則の提出を求められる場合は、提出先の自治体の様式や記載例を確かめてから作ると、書き直しの手間が省けます。
任意団体の規約でトラブルになりやすいのは、会費の使い道と、役員の決め方です。誰がどの手続きで決めるのかを、総会の議決の方法とあわせて具体的に書いておくと、会員が入れ替わっても運営が続きます。
規約づくりを依頼する・受けるときの考え方
小さな事業者やフリーランスにとって、規約を一から書くのは負担の大きい作業です。最近は、Webサービスやアプリの開発を依頼するときに、規約やプライバシーポリシーの下書きまで一緒に相談する例も増えています。ただし、法律の判断を含む文書の作成は、弁護士の領域です。開発者やデザイナーが手伝えるのは、サービスの流れを整理して条項の抜けを確かめる作業や、規約のページを読みやすく組む作業までと考えておくのが安全です。
アプリやWebサービスの開発の仕事では、規約の画面と同意の仕組みの実装を頼まれることがあります。開発の仕事の内容や必要なスキルは、アプリケーション開発のお仕事で紹介しています。生成AIを使って業務の文書を整える支援の仕事については、AIコンサル・業務活用支援のお仕事が参考になります。規約の文案の下書きを生成AIに頼むことはできますが、出てきた文章が自分のサービスの中身や現行の法律と合っているかは、人が1条ずつ確かめる必要があります。
事業の仕組み全体から、規約や契約の整え方の相談に乗る専門家もいます。経営の診断と助言を行う国家資格の中小企業診断士は、事業計画の作成や販路の開拓とあわせて、取引条件の見直しの相談を受けることがあります。
在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、取引が長く続く人ほど、仕事を始める前に条件を文章で確かめる習慣を持っています。規約も契約書も、相手を疑うための書類ではなく、お互いが同じ前提で仕事を進めるための道具です。中間の手数料がかからない直接の取引では、条件のすり合わせを当事者同士で行う場面が増えるからこそ、最初に約束ごとを文章にしておく価値が大きくなります。
規約のページや同意の画面のデザインは、読みやすさに直結します。デザインの仕事の相場はデザイナーの年収・単価相場で確かめられます。規約は一度作って終わりではなく、サービスが育つたびに見直すものです。最初の版は完璧でなくてよいので、自分のサービスの言葉で書き、利用者からの問い合わせをきっかけに少しずつ直していくことが、使われる規約への近道です。
よくある質問
Q. 利用規約は自分で作っても法的に有効ですか?
有効です。民法の定型約款の決まりでは、利用者が規約を契約の内容とすることに同意したか、運営者があらかじめそのことを示していれば、個々の条項にも合意したものとして扱われます。ただし、利用者の利益を一方的に害する条項は合意しなかったものとみなされ、利用者が個人なら消費者契約法で無効になる条項もあります。
Q. ひな型をそのまま使っても問題ありませんか?
条項の抜けを防ぐ下書きとしては役に立ちますが、そのまま使うのは避けたほうが安全です。サービスにない機能の条項が残ったり、責任を全部免除する書き方が入っていたりすることがあります。見出しの一覧として使い、中身は自分のサービスの流れに合わせて書き直します。
Q. 利用規約を変更したら、利用者全員の同意が必要ですか?
必ずしも必要ではありません。民法では、変更が利用者の利益に合うときか、契約の目的に反せず合理的なときは、個別の同意なしに変更できます。その場合も、効力が生じる時期を決め、変更の内容をインターネットなどで周知する必要があります。値上げなど不利な変更は、周知の期間を十分にとります。
Q. 利用規約とプライバシーポリシーは1つにまとめてもよいですか?
目的が違うので、別のページに分けるのが一般的です。利用規約は運営者と利用者の約束ごと、プライバシーポリシーは個人情報の利用目的や取扱いを公表する文書です。規約の中では「個人情報の取扱いはプライバシーポリシーに定めるとおり」と書き、リンクでつなぐと読みやすくなります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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