子育てしながら訪問歯科で働く|シフトの融通と、頼れる制度


この記事のポイント
- ✓子育てしながら訪問歯科で働きたい歯科衛生士・歯科助手に向けて
- ✓訪問歯科の1日と子育ての時間がぶつかる場面
- ✓休みやすさを決める人員体制
「子どもが小さいうちは、夜まで診療がある外来は難しい。でも、歯科の仕事は続けたい」。
子育て中の歯科衛生士さんや歯科助手さんから、こうした声をよく聞きます。そのときに候補に挙がりやすいのが、訪問歯科です。
訪問歯科は、日中に施設や自宅を回る仕事なので、夕方には終わる職場が多く、日曜や祝日も休みやすい傾向があります。ただ、実際に働いてみると、「思ったより時間が読めない」「子どもの急な発熱で休みにくい」と感じる場面もあります。
大丈夫です。どこでつまずきやすいかを先に知っておけば、職場選びの段階でかなり避けられます。この記事では、訪問歯科の1日と子育ての時間がどこでぶつかるのか、休みやすさを決める人員体制、シフトの組み方、そして頼れる制度までを順番にお話しします。
子育て中の人に訪問歯科が選ばれる理由
外来の歯科医院は、仕事帰りの患者さんに合わせて夜19時や20時まで診療しているところが少なくありません。土曜や日曜に診療する医院も多く、保育園のお迎えや、家族で過ごす休日と合わせにくいのが悩みどころです。
訪問歯科は、この時間の構造が違います。
患者さんは介護施設で暮らす人や、自宅で療養している人です。施設の生活リズムや、ご家族、ヘルパーさんの都合に合わせて訪問するため、仕事は平日の日中に集まります。終業は17時半から18時ごろに設定されている求人が多く、日曜と祝日を休みにしている職場が目立ちます。
また、午前だけ、午後だけといった時間帯で人を募集していることがあり、短い時間から働き始めやすいのも特徴です。
訪問歯科そのものは、通院が難しい人のための制度として広がってきました。利用するご家族の声を載せている歯科医院のページには、こんな言葉があります。
口腔内の悩みがいくつかあり受診させたいと思っていましたが、歯医者さんに出かけて診療を受けることに不安を感じていました。今回はじめて訪問歯科を利用させていただきましたが、治療についても大変詳しくご説明いただき、適切な処置をしてくださったので、本人も大変喜んでおります。自宅でなら安心して治療を受けられるので、引き続き訪問歯科診療をお願いすることにしました。大変良い制度だと思います。 出典: mamatokodomo-kobe.com
高齢の人が増えるなかで、こうした訪問の需要は伸び続けています。働き手が足りていない分野でもあるので、子育て中の人の働き方に合わせてシフトを組む職場が出てきているのは、自然な流れといえます。
一方で、「日中の仕事だから子育てと両立しやすい」と言い切れるほど単純ではありません。次の節で、ぶつかりやすい場面を具体的に見ていきます。
訪問歯科の1日と、子育ての時間がぶつかる場面
訪問専門のクリニックでよくある1日は、こんな流れです。
朝8時半ごろに出勤し、その日の患者さんの情報を確認して、ポータブルの機材や口腔ケアの物品を車に積み込みます。午前は介護施設を回り、1か所で数人から十数人の患者さんを順番に診ます。昼は移動の合間に休憩を取り、午後は自宅で暮らす患者さんを1件ずつ訪ねます。夕方に医院へ戻り、器具の洗浄と滅菌、記録、翌日の準備をして終業です。
この流れのなかで、子育てとぶつかりやすい場面が3つあります。
1つ目は、朝の出発時刻です。
外来なら、始業の数分前に着けば間に合います。でも訪問では、車が出る時刻が決まっていて、その前に積み込みを終える必要があります。保育園の開園時刻と出発時刻の間に余裕がないと、毎朝が綱渡りになります。
2つ目は、夕方の帰院時刻です。
最後の訪問先から医院に戻る時刻は、渋滞や患者さんの体調で簡単にずれます。定時が17時半でも、実際に戻るのが18時を過ぎる日があると、お迎えの時間に響きます。
3つ目は、急なお休みです。
訪問歯科は、歯科医師、歯科衛生士、ドライバーや歯科助手の少人数で1台の車に乗って回ります。外来のように、別のスタッフがすぐ代わりに入れる体制ではないことが多いのです。子どもの発熱で朝に休みの連絡を入れると、その日の訪問そのものが組み直しになることもあります。
こういう相談がよくあります。「休むたびに、チームの予定を全部崩してしまう気がして、つらくなる」。
その気持ちは、とても自然なものです。ただ、これはあなた個人の問題ではなく、職場の体制の問題であることがほとんどです。
ぶつかる場面があると分かっていれば、先に手を打つこともできます。
朝の出発時刻については、家から医院までの時間と、保育園の開園時刻を並べて書き出してみると、無理があるかどうかがすぐに分かります。余裕がないなら、朝の積み込みは前日の夕方に済ませておける職場か、出発の遅い午後の枠で働けるかを確かめます。
夕方の帰院時刻については、最後の訪問先が医院から近い順に組まれているかがポイントです。訪問の順番を工夫している職場では、帰りの時刻がずれにくくなります。お迎えのある日だけ、最後の訪問を他のスタッフに任せてもらえるかも、聞いておきたいところです。
急なお休みについては、家族や地域の預け先と、職場の代わりの体制の両方を用意しておくことが大切です。どちらか片方だけに頼ると、結局どこかで無理が出ます。病児保育の登録、祖父母やパートナーとの分担、職場での代わりの人。この3つを重ねておくと、休む連絡を入れるときの気持ちの重さがずいぶん違ってきます。
次の節では、職場の体制をどう見分ければよいかをお話しします。
休みやすさを決めるのは、人員体制
子育て中の人が訪問歯科で長く働けるかどうかは、個人の頑張りより、職場の人員体制で決まる部分が大きいです。
見ておきたいのは、訪問チームが何台あって、歯科衛生士が何人いるかです。
たとえば、車が1台で歯科衛生士が1人だけの職場では、その人が休めば訪問が止まります。車が3台あって歯科衛生士が5人いる職場なら、1人が休んでも、他のチームから応援を出したり、訪問先を振り替えたりしやすくなります。
外来と訪問を兼務している医院も、休みやすさの面では強みがあります。外来にいるスタッフが訪問に回ることができれば、急な欠員を埋めやすいからです。
もうひとつ大切なのは、訪問の予定を誰が組んでいるかです。
地域連携の担当者や事務のスタッフが施設との日程調整をしている職場では、急な変更があっても、その人が訪問先に連絡を入れてくれます。反対に、現場の歯科衛生士が施設やご家族との連絡まで引き受けている職場では、休む日の朝に自分で電話をかけ回ることになりかねません。
訪問先の施設との関係も、休みやすさに影響します。
介護施設の職員さんとの信頼関係ができている職場では、「今日は行けなくなったので、来週に振り替えさせてください」という相談がスムーズに通ります。施設の職員さんがどんな人員と勤務で回っているかを知っておくと、日程の相談をするときに相手の事情を想像しやすくなります。介護の現場の働き方や待遇の水準は介護職員の年収・単価相場にまとまっているので、連携する相手の状況をつかむ手がかりにしてください。
子育て中の人がすでに働いている職場かどうかも、ひとつの目安です。先輩に子育て中の人がいると、急な休みへの理解があり、シフトの組み方にもノウハウがたまっています。面接では、遠慮せずに「お子さんのいるスタッフの方はいますか」と聞いてみてください。
シフトの融通は、どんな形で利くのか
訪問歯科で子育てと両立している人の働き方には、いくつかの型があります。自分の生活に合う型を先に思い描いておくと、求人を選ぶ軸がはっきりします。
ひとつは、午前だけの勤務です。
介護施設への訪問は午前に集まりやすいので、9時から13時ごろまでの枠で人を募集していることがあります。午後の居宅訪問や夕方の片付けに入らない分、帰りの時刻がずれにくく、お迎えの時間を確保しやすい働き方です。
ふたつ目は、週の日数を減らす働き方です。
週3日、フルタイムの時間で働き、残りの日は家のことや子どもの行事に充てる形です。訪問先の施設は曜日ごとに決まっていることが多いので、「月曜と水曜と金曜はこの施設」というように、担当を固定しやすいのが利点です。担当が固定されると、施設の職員さんや患者さんとも顔なじみになり、仕事も進めやすくなります。
みっつ目は、外来と訪問の組み合わせです。
同じ医院の中で、平日は訪問、土曜の午前だけ外来に入るといった組み方をしている人もいます。家族が土曜に子どもを見られる家庭では、平日の勤務時間を短くしながら、働く時間の合計を確保できます。
扶養の範囲で働きたい人は、年収の見込みも考えておきましょう。
社会保険の扶養の目安になる130万円や、勤め先の規模によって加入の対象になる基準など、税と社会保険の扶養の決まりは近年見直しが続いています。訪問手当や交通費の扱いによって年収の計算が変わることもあるので、働き始める前に職場へ確認し、家族とも話しておくと安心です。
ただし、融通が利くかどうかは、求人票の「シフト相談可」という一言だけでは分かりません。実際に何時から何時の勤務の人がいるのか、急な休みのときは誰が代わるのかを、具体的に聞くことが大切です。
施設中心か居宅中心かで、両立のしやすさは変わる
同じ訪問歯科でも、主な訪問先が介護施設なのか、自宅なのかによって、子育てとの組み合わせやすさが変わります。求人票ではひとまとめに「訪問歯科」と書かれていることが多いので、ここは意識して見ておきたいところです。
施設中心の職場は、時間が読みやすい傾向があります。
特別養護老人ホームや有料老人ホームなど、1か所で何人もの患者さんを順番に診るため、移動は少なめです。施設ごとに訪問する曜日と時間が決まっていて、職員さんが患者さんの準備をしてくれることも多く、1日の流れがほぼ毎週同じになります。朝の出発と夕方の帰院の時刻が安定しやすいので、保育園の送り迎えと合わせやすい働き方です。
一方で、施設中心の職場は、1日に診る人数が多くなりがちです。
次々と患者さんを診ていくので、体力的には忙しく感じる日もあります。インフルエンザなどの感染症が施設ではやった時期には、訪問が急に中止になったり、感染対策が一段と厳しくなったりすることもあります。家に小さな子どもがいる人にとっては、自分が感染を持ち帰らないための気配りも必要になります。
居宅中心の職場は、1件ずつじっくり関わる仕事です。
ご家族やヘルパーさんの都合に合わせて訪問するため、時間の約束が細かく、1件の滞在時間も長くなりやすい傾向です。移動の回数が増えるので、渋滞や前の訪問の延長で、帰りの時刻がずれる日も出てきます。その代わり、患者さんやご家族とゆっくり話せる時間があり、生活の変化をそばで見守れるやりがいがあります。
子育てとの両立を優先するなら、最初は施設中心の職場や、施設への訪問を担当する枠から始めるのがひとつの考え方です。
子どもが大きくなって時間に余裕が出てきたら、居宅の訪問にも入っていく。そんなふうに、ライフステージに合わせて担当を変えられる職場だと、長く働き続けやすくなります。面接では、訪問先の施設と居宅の割合と、担当の変更に応じてもらえるかを聞いてみてください。
頼れる制度:職場で使える休みと働き方の決まり
子育てしながら働く人を支える決まりは、法律でいくつも定められています。これは、小さな歯科医院でも大きな医療法人でも、雇われて働く人なら基本的に同じように使えるものです。
まず、育児休業です。
原則として子どもが1歳になるまで取ることができ、保育園に入れないなどの事情があれば、最長で2歳まで延ばせます。父親が子どもの生まれた直後に取れる産後パパ育休という仕組みもあります。
次に、短時間勤務の制度です。
3歳未満の子どもを育てている人は、申し出れば、1日の所定労働時間を原則6時間にする短時間勤務を利用できます。訪問歯科なら、午前の施設訪問と昼過ぎの記録までで終わるような組み方が考えられます。
子どもが病気やけがをしたときのための休みもあります。
子の看護等休暇といい、子ども1人なら年5日、2人以上なら年10日まで取れます。2025年4月の改正で、対象が小学校3年生の修了までに広がり、学級閉鎖や入園式、卒園式などでも使えるようになりました。
残業をしないようにする仕組みもあります。
2025年4月からは、小学校に入る前の子どもを育てる人が、残業の免除を申し出られるようになりました。訪問から戻ったあとの片付けが長引きがちな職場でも、この決まりを知っていると、職場と話し合うときの支えになります。
さらに2025年10月からは、3歳から小学校に入る前の子どもを育てる人に向けて、始業時刻の変更、テレワーク、短時間勤務などの中から、職場が2つ以上の選択肢を用意することが義務になりました。
制度の詳しい内容は、厚生労働省のページで確認できます。
ひとつ気を付けたいのは、職場の労使協定によって、入社して間もない人などが一部の制度の対象外になっている場合があることです。転職してすぐに使いたい制度があるなら、応募の段階で就業規則の扱いを確かめておきましょう。
頼れる制度:お金の面の支え
休みや働き方の決まりと合わせて、お金の面の支えも知っておくと、先の見通しが立てやすくなります。
育児休業を取っている間は、雇用保険から育児休業給付金が出ます。
休業を始めてから180日までは、休業前の賃金の67%、それ以降は50%が目安です。育児休業中は社会保険料が免除される仕組みもあるので、手取りで見ると、休業前との差は数字の印象ほど大きくならないことがあります。
2025年4月からは、新しい給付も始まりました。
ひとつは、出生後休業支援給付金です。子どもが生まれた直後の一定期間に、両親がそれぞれ14日以上の育児休業を取ると、最大28日分、賃金の13%が上乗せされます。
もうひとつは、育児時短就業給付金です。2歳未満の子どもを育てるために短時間勤務をして賃金が下がった人に、原則として時短勤務中の賃金の10%を支給する仕組みです。
こうした給付は、雇用保険に入っていることが前提です。
歯科医院は小さな職場も多く、雇用保険や社会保険の加入の扱いが職場によって違うことがあります。パートで働く場合も、週の労働時間などの条件を満たせば雇用保険に入ります。求人票の「社会保険完備」の中身が何を指しているのか、健康保険はどこに加入するのかを、面接で確かめておくと安心です。
私自身、子どもが小さかったころ、制度があることを知らないまま「休ませてください」と頭を下げ続けていた時期がありました。あとになって、自分が使える決まりがいくつもあったと知り、もっと早く調べていればよかったと思いました。制度は、知っている人のほうが、気持ちに余裕を持って使えます。
求人票と面接で確かめたいこと
子育て中の人が訪問歯科の職場を選ぶときに、確かめておきたいことをまとめます。書かれていなければ、面接や見学で質問して大丈夫です。
・車が出る時刻と、医院に戻る時刻の実際 ・午前のみ、週3日など、実際にどんな時間帯で働いている人がいるか ・子育て中のスタッフがいるか、急な休みのときは誰が代わるか ・訪問のチームが何台あり、歯科衛生士が何人いるか ・施設やご家族との日程調整を誰が担っているか ・直行直帰ができるか、医院に一度寄る必要があるか ・育児休業や短時間勤務を実際に使った人がいるか ・雇用保険と社会保険の加入の扱い
特に大切なのは、「制度があるか」ではなく「実際に使った人がいるか」を聞くことです。
就業規則に書かれていても、使った人がいない職場では、申し出たときに戸惑われることがあります。反対に、すでに何人も使っている職場なら、シフトの組み方にも慣れています。
見学ができる場合は、訪問に同行させてもらうのが一番です。
朝の積み込みから夕方の帰院までを一緒に過ごすと、時間の読めなさがどれくらいあるのか、チームの雰囲気がどうなのかが、肌で分かります。子どもを預けられる日を1日つくって、同行してみる価値は十分にあります。
面接で遠慮してしまう人も多いのですが、条件をきちんと聞くことは、わがままではありません。入ってから「こんなはずじゃなかった」となるほうが、職場にとっても本人にとってもつらいことです。
ブランクから戻るときの準備
出産や育児でしばらく現場を離れていた人が、訪問歯科で復帰するケースは少なくありません。ブランクがあることを気にして、応募をためらう人もいます。
でも、訪問歯科は、外来の最新の治療や機材の知識より、口腔ケアや、患者さんとの関わり方が中心になる仕事です。ブランクがあっても、入りやすい分野のひとつです。
とはいえ、少し準備をしておくと、最初の数か月がずっと楽になります。
まず、口腔ケアと、食べ物を飲み込む機能についての基礎知識です。歯科衛生士の研修団体や地域の歯科医師会が、訪問や嚥下に関する研修を開いています。オンラインで受けられるものや、無料で参加できる勉強会もあるので、子どもが寝たあとの時間で少しずつ学べます。
次に、高齢の患者さんに多い病気や薬の基本です。高血圧、糖尿病、脳梗塞のあと、認知症など、訪問先で出会うことの多い状態を知っておくと、申し送りの内容が理解しやすくなります。
ブランクが長くて手技そのものに不安がある人は、復職を支える研修を探してみてください。
都道府県の歯科衛生士会などが、しばらく現場を離れていた人に向けて、基本的な手技や感染対策をあらためて学べる研修を開いていることがあります。同じように復帰を目指す人と知り合えるので、「不安なのは自分だけじゃない」と感じられるのも、こうした場のよいところです。
職場の側に、復帰した人を受け入れる段取りがあるかどうかも大切です。
最初の数週間は先輩の訪問に同行して見学する、口腔ケアだけの患者さんから担当を始める、といった段階を踏んでくれる職場なら、焦らずに感覚を取り戻せます。面接では「ブランクのある人が入ったとき、最初はどんなふうに仕事を覚えていきましたか」と聞いてみると、受け入れの実際が見えてきます。
運転に自信がない人は、復帰の前に練習しておくと安心です。機材を積んだ車で、施設の狭い駐車場に停める場面もあります。
そして、家族との段取りです。
子どもが熱を出したとき、誰が迎えに行くのか。病児保育やファミリー・サポートは使えるのか。住んでいる地域の制度を先に調べて、登録まで済ませておくと、いざというときに慌てずに済みます。
両立のなかで揺れる気持ちとの付き合い方
子育てしながら働いていると、気持ちが揺れる日があります。
「子どもに寂しい思いをさせていないかな」「職場に迷惑をかけてばかりだな」。そんなふうに、両方に対して申し訳なさを感じてしまうことは、とても多いです。
こういう相談がよくあります。
訪問歯科で働き始めて半年ほどの方が、「患者さんのところでは笑顔でいられるのに、家に帰ると疲れて子どもに優しくできない」と話してくれました。仕事にも子育てにも手を抜けない人ほど、自分を責めてしまいます。
大丈夫です。その疲れは、あなたが両方を大切にしている証拠です。
気持ちが揺れたときに役立つのは、「全部を完璧にしようとしない」と決めることです。たとえば、訪問の日は夕食を簡単なものにする、週に1回は家族にお迎えを頼む、といった小さな手放しを先に決めておきます。
もうひとつは、話せる相手を持つことです。
同じ職場の子育て中の先輩、同じ保育園の保護者、家族。1人で抱え込まないだけで、気持ちはずいぶん軽くなります。働き方そのものに迷いが出てきたときは、キャリアの相談に乗ってくれる専門家に話してみるのもひとつの方法です。キャリアコンサルタントの資格ページでは、働き方や職業選びの相談に乗る専門家がどんな知識を身に付けているのかが紹介されているので、相談先を探すときの参考になります。
転職や働き方の見直しそのものを誰かと一緒に整理したい人は、職場・転職・キャリア相談のお仕事も参考になります。キャリア相談の担当者がどんな相談に向き合っているのかが分かり、自分の迷いをどこに持ち込めばよいかの見当が付きます。
長く続けている人に共通していること
フリーランスや在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から言えば、子育てと仕事を長く両立している人ほど、「働く時間の長さ」より「任せてもらえる関係」を大事にしています。
運営者として見てきた限りでは、長く続く人は、限られた時間の中で、相手が楽になる仕事の仕方を身に付けています。訪問歯科でいえば、施設の職員さんへの申し送りを短く分かりやすくまとめる、次の担当者が困らない記録を残す、といった積み重ねです。そうした信頼があると、急なお休みをお願いするときにも、周りが自然に手を貸してくれます。
訪問歯科は、日中の仕事が中心で、子育ての時間と組み合わせやすい面を持っています。一方で、少人数のチームで動くため、職場の人員体制によって休みやすさは大きく変わります。
車が出る時刻と戻る時刻、チームの人数、制度を使った人がいるか。この3つを確かめるだけでも、職場選びの失敗はぐっと減ります。
そして、法律で決まっている休みや給付は、遠慮なく使ってよいものです。あなたは一人じゃありません。制度も、同じように働く仲間も、ちゃんと味方になってくれます。
よくある質問
Q. 子育て中でも訪問歯科の歯科衛生士として働けますか?
働けます。訪問歯科は平日の日中に仕事が集まり、夕方に終わる職場や日曜祝日が休みの職場が多い傾向です。ただし少人数のチームで動くため、急な休みへの対応は職場の人員体制で大きく変わります。チームの台数や歯科衛生士の人数、子育て中のスタッフがいるかを面接で確かめましょう。
Q. 訪問歯科で午前のみや週3日の勤務はできますか?
介護施設への訪問は午前に集まりやすいため、9時から13時ごろの枠で募集している職場があります。訪問先は曜日ごとに決まっていることが多く、週3日で担当を固定する働き方もしやすい分野です。求人票の「シフト相談可」だけで判断せず、実際にその時間帯で働いている人がいるかを聞くことが大切です。
Q. 小さな歯科医院でも育児休業や短時間勤務は使えますか?
育児休業や短時間勤務、子の看護等休暇は法律で定められた制度で、雇われて働く人なら職場の規模に関係なく基本的に使えます。ただし労使協定で入社して間もない人などが対象外になっている場合があるため、転職直後に使いたい制度があるなら、応募の段階で就業規則の扱いを確かめておきましょう。
Q. ブランクがあっても訪問歯科に復帰できますか?
訪問歯科は最新の治療機材の知識より、口腔ケアや患者さんとの関わり方が中心になるため、ブランクがあっても入りやすい分野です。復帰前に口腔ケアや嚥下の研修を受けておく、高齢者に多い病気や薬の基本を押さえる、運転に慣れておく、といった準備をしておくと最初の数か月が楽になります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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