子育てしながら訪問介護事業所で働く|シフトの融通と、頼れる制度


この記事のポイント
- ✓子育て中のママが訪問介護事業所で働くとき
- ✓シフトの融通はどこまで利くのか
- ✓朝夕に集中する訪問の時間帯
訪問介護事業所は「子育てと両立しやすい」と紹介されることが多い職場です。1件ごとに利用者さんの家へ行き、終われば次の家へ移る働き方なので、1日の中で働く時間を区切りやすいのは確かです。
ただ、ご相談を受けていると、入ってから「思っていた融通と違った」と感じる方も少なくありません。理由の多くは、訪問介護事業所の中で仕事がどう組まれているかを知らないまま応募していることにあります。
この記事では、訪問介護事業所の1日がどう動くのか、子育て中の人がどの時間帯に入りやすいのか、求人票のどこを見れば実態が分かるのか、そして急に休むときに頼れる法律上の制度まで、順番に整理します。
訪問介護事業所の1日は、朝と夕方に訪問が集中する
最初に知っておきたいのは、訪問介護の仕事は1日の中で均等に発生しないという点です。利用者さんの生活に合わせてサービスが入るため、訪問が集中する時間帯と、比較的すいている時間帯がはっきり分かれます。
訪問が重なる3つの山
1つ目の山は朝です。起床の介助、着替え、排せつの介助、朝食の準備や服薬の確認など、身体介護が集中します。ご家族が出勤する前に入ってほしいという依頼も多く、7時台から9時台に訪問が重なります。
2つ目の山は昼です。昼食の準備や食事の介助、排せつの介助が中心で、11時台から13時台に訪問が集まります。
3つ目の山は夕方です。夕食の準備、入浴や清拭、就寝前の着替えや排せつの介助が入り、17時台から19時台に訪問が重なります。朝と夕方は、ちょうど保育園の送迎や子どもの食事の時間と重なります。
子育て中の人が入りやすいのは「山と山の間」
逆に、10時前後から15時ごろまでの時間帯は、掃除や洗濯、買い物代行といった生活援助、通院の付き添いなどが入ることが多く、朝や夕方ほど依頼が密集しません。保育園に子どもを預けている時間帯と重なるので、子育て中のヘルパーさんはこの時間帯を中心に入るケースが多くなります。
ここで大事なのは、事業所の側から見ると「朝と夕方に入れる人が足りない」という構造があることです。つまり、昼間だけ働きたい人は、事業所にとって必ずしもいちばん欲しい人材ではありません。面接で「朝夕は入れません」と伝えたときに、どの程度の件数を回してもらえるかは事業所ごとにかなり差があります。
子育て中の登録ヘルパーの1日の例
山と山の間で働くと、実際の1日はどうなるのか。保育園に子どもを預けて、平日の日中だけ入る場合の典型的な組み方を示します。
・8時30分 保育園に子どもを送る ・9時30分 1件目の訪問。掃除と洗濯の生活援助を1時間 ・10時45分 2件目の訪問。買い物代行と昼食の下ごしらえを1時間 ・12時00分 3件目の訪問。昼食の介助と服薬の確認を30分 ・12時45分 休憩と、スマートフォンで記録の入力 ・14時00分 4件目の訪問。通院から戻った方の着替えと排せつの介助を30分 ・15時00分 終了。夕食の買い物をして、17時に保育園へお迎え
この例では、訪問そのものの時間は3時間ですが、移動や記録を含めると9時過ぎから15時まで動いています。家を出てから帰るまでの拘束時間と、賃金が出る時間がどう対応しているのかは、あとで説明する移動時間の扱いに直結します。
また、4件目のように昼過ぎの訪問が入るかどうかは、利用者さんの状況次第です。昼の山を過ぎると依頼が少なくなる地域もあり、その場合は午前中の2件から3件で終わる日も出てきます。
シフトを組んでいるのはサービス提供責任者
訪問の予定を組むのは、多くの事業所でサービス提供責任者(サ責)と呼ばれる職員です。利用者さんのケアプランに沿って訪問介護計画を作り、どのヘルパーをどの家に何時に入れるかを調整しています。
介護保険の指定基準では、訪問介護事業所には訪問介護員等を常勤換算で2.5人以上置くこと、サービス提供責任者を利用者40人ごとに1人以上置くことが定められています。常勤換算2.5人というのは、フルタイムの職員が2人半いるのと同じ労働量という意味で、実際には短時間のヘルパーさんを何人も組み合わせて満たしている事業所が多いのが実情です。
この構造を知っておくと、融通の利き方が見えてきます。サ責が1人で多くの利用者さんを抱えている事業所では、急な変更に対応する余力がありません。サ責が複数いて、登録ヘルパーの人数にも余裕がある事業所ほど、子どもの行事や体調不良による変更を吸収しやすくなります。
雇用形態で変わる融通の幅
訪問介護事業所で働く人の雇用形態は、大きく分けて登録ヘルパー、パート、常勤(正社員)、そしてサ責の4つです。同じ事業所の中でも、雇用形態によって任される範囲とシフトの自由度がまったく違います。
正社員もある程度シフトの調整をできる場合があります。しかし、家事や育児などのプライベートの事情に合わせてより柔軟に働きたい場合、正社員以外の雇用形態で訪問介護を行うほうが向いていると感じるかもしれません。 出典: job.kiracare.jp
登録ヘルパー
登録ヘルパーは、事業所に登録しておき、自分が入れる曜日と時間帯を伝えて、その範囲で訪問を割り振ってもらう働き方です。多くは直行直帰で、事業所に顔を出すのは月に数回の会議や研修のときだけという人もいます。
融通がいちばん利くのはこの形です。週に2日、午前中だけ、といった入り方もできます。一方で、訪問した時間だけに賃金が出る時給計算の契約が多く、利用者さんの入院や施設入所で担当が減ると、そのまま収入が減ります。月の収入が安定しないという点は、先に理解しておく必要があります。
パート
パートは、勤務日と勤務時間をあらかじめ決めて雇用契約を結ぶ形です。たとえば「月水金の9時から15時」と決め、その時間の中で訪問や記録、事業所内の業務を行います。訪問がない時間も事業所で待機や事務をするので、勤務時間分の賃金が出ます。
登録ヘルパーより収入は安定しますが、決めた時間帯には入る前提になるので、融通は少し狭くなります。
常勤とサービス提供責任者
常勤のヘルパーは、朝から夕方まで訪問が詰まることが多く、朝夕の山の時間帯も担当します。土日の訪問や、ほかのヘルパーが休んだときの代わりに入る役割も回ってきやすくなります。
サ責になると、シフト作成、利用者さんやケアマネジャーとの調整、新しいヘルパーの同行指導、そしてヘルパーが急に休んだときの穴埋めが仕事に加わります。つまり、事業所の中でいちばん「融通を利かせる側」に回るのがサ責です。子どもが小さいうちにサ責を引き受けると、自分の子どもの発熱と、ほかのヘルパーの欠勤が同じ朝に重なったときに身動きが取れなくなります。
これ、知らない人が本当に多いんです。資格を取って給与が上がるからとサ責を目指すのは悪いことではありません。ただ、子育て期にどの立場で働くかは、給与だけでなく「誰が穴を埋める役なのか」まで考えて選んだほうが、あとで苦しくなりません。
求人票で「融通」の実態を読み取る箇所
「子育て中のママ歓迎」「シフト相談OK」と書かれた求人は多くあります。ただ、この言葉だけでは実態が分かりません。訪問介護事業所の求人票では、次の項目を見ると、働き始めてからの姿がかなり具体的に見えてきます。
移動時間と待機時間の賃金
訪問介護の働き方で、法律上いちばんトラブルになりやすいのが移動時間の扱いです。利用者さんの家から次の家へ移動する時間は、事業所の指示で移動しているのであれば、原則として労働時間にあたります。厚生労働省は、訪問介護の労働者について、移動時間や待機時間、報告書の作成時間などが労働時間として扱われるべきことを通達で示しています。
つまり、「訪問した時間しか時給が出ない」という契約でも、移動時間を含めた実労働時間で最低賃金を下回っていれば違法になり得る、ということです。求人票に「移動手当」「移動時間も時給対象」などの記載があるか、面接で「移動時間はどう計算していますか」と聞いてみてください。答えがあいまいな事業所は、ほかの労務管理も雑なことが多いものです。
※実際に未払いが疑われるときは、労働基準監督署や弁護士に相談してください。
キャンセル時の扱い
利用者さんの急な入院や体調不良で、当日に訪問がなくなることがあります。このとき、登録ヘルパーの賃金が出るかどうかは事業所によって違います。「キャンセル補償あり」「前日以降のキャンセルは一定額を支給」といった記載があるかを確認しましょう。子育て中は、せっかく子どもを預けたのに収入がゼロになる日が続くと、両立そのものが苦しくなります。
直行直帰と、事業所に寄る頻度
直行直帰ができるかどうかで、保育園の送迎との相性が大きく変わります。事業所に朝寄ってから訪問に出る決まりだと、そのぶん家を出る時間が早くなります。また、記録を紙で書いて事業所に持ち帰る運用か、スマートフォンの記録アプリで完結する運用かも確認したい点です。
担当の固定と、土日祝の扱い
担当する利用者さんが固定されているかどうかも重要です。固定であれば、毎週同じ曜日の同じ時間に同じ家へ行くことになり、生活のリズムが作りやすくなります。一方、固定の担当があると、その時間に休みたいときの代わりを探すのが難しくなる面もあります。
土日祝の訪問が必須かどうか、年末年始やお盆の訪問をどう割り振っているかも、面接で具体的に聞いておきましょう。「土日は入れる人だけ」と言いつつ、実際には全員で順番に回している事業所もあります。
在籍しているヘルパーの顔ぶれ
最後に、同じように子育て中のヘルパーさんが何人在籍しているかを聞いてみてください。人数が多い事業所は、急な休みを互いに埋め合う文化ができていることが多く、休みを伝えるときの心理的な負担も軽くなります。
面接でそのまま使える確認の質問
求人票に書かれていないことは、面接で聞くしかありません。聞きにくいと感じるかもしれませんが、事業所にとっても、入ってから「聞いていなかった」と辞められるほうが困ります。次の質問は、遠慮せずに使ってください。
・移動時間と、記録を書く時間は、どのように賃金を計算していますか ・当日キャンセルになった場合、賃金はどうなりますか ・朝8時台と夕方17時以降に入れない場合、週に何件くらい担当できそうですか ・子どもの発熱で当日休むときは、誰に何時までに連絡すればよいですか ・子の看護等休暇は有給ですか、無給ですか ・土日祝や年末年始の訪問は、どのように割り振っていますか ・担当する利用者さんを2人以上のヘルパーで受け持つ体制はありますか
答えを聞いたら、その場でメモしておきましょう。雇用契約書や労働条件通知書を受け取ったとき、面接で聞いた内容と違う点がないかを突き合わせるためです。労働条件は書面で明示することが法律で義務づけられているので、口頭の説明だけで済ませず、書面を必ず受け取ってください。
子どもの急な発熱で休むとき、事業所の中で起きていること
子育て中に働くうえで避けられないのが、子どもの急な発熱です。保育園から朝や昼に呼び出しがかかることは珍しくありません。このとき訪問介護事業所の中で何が起きているかを知っておくと、休み方の工夫が見えてきます。
代わりを探すのはサ責
ヘルパーが休む連絡を入れると、サ責はまず、その時間に入れるほかのヘルパーを探します。見つからなければ、サ責自身が訪問に行きます。それも難しいときは、利用者さんやご家族、ケアマネジャーに連絡して、訪問時間をずらせないか、別の日に振り替えられないかを相談します。
身体介護、たとえば排せつの介助や服薬の確認は、時間をずらすことが難しい支援です。一方、掃除や買い物などの生活援助は、ご本人やご家族の了解があれば日時を変更しやすい支援です。つまり、休んだときの影響は、担当している支援の中身で大きく変わります。
休みやすさを上げるための工夫
子育て中のヘルパーさんが実際に工夫しているのは、次のような点です。
・朝一番の訪問は、体調の急変が読めないので、なるべく担当しない ・生活援助中心の担当を多めにしてもらう ・同じ利用者さんを担当するヘルパーを2人以上にしてもらい、互いに代われるようにする ・発熱の兆しがあった前夜のうちに、サ責へ一報を入れておく
特に最後の「前夜の一報」は効果があります。朝7時に連絡を受けて代わりを探すのと、前夜9時に「明日休むかもしれません」と聞いておくのとでは、サ責の動ける幅がまったく違うからです。
私が受けた相談から
以前、訪問介護事業所で登録ヘルパーとして働く方から相談を受けました。子どもの発熱で月に3回休んだところ、次の月から担当件数を大きく減らされ、「辞めてほしいという意味なのか」と悩んでいました。
事情を聞くと、事業所側は嫌がらせのつもりではなく、「急に休まれると利用者さんに迷惑がかかるので、休んでも影響の小さい担当に替えた」という判断でした。ただ、その説明が本人に一切ないまま件数だけが減っていたのです。
育児を理由とした不利益な取り扱いは、法律で禁止されています。一方で、担当の組み替え自体は、利用者さんの安全を守るための業務上の判断として行われることもあります。大切なのは、減らされた理由を事業所に確認し、話し合うことです。この方は、面談で「生活援助中心なら件数を戻したい」と伝え、翌々月には元の件数近くまで戻りました。黙って我慢するのでも、すぐ辞めるのでもなく、まず理由を聞く。これが最初の一歩です。
パートや登録ヘルパーでも使える、法律上の制度
「正社員じゃないから育児の制度は使えない」と思い込んでいる方がとても多いのですが、これ、知らない人が本当に多いんです。育児・介護休業法の制度の多くは、パートや契約社員でも一定の条件を満たせば使えます。
子の看護等休暇
子どもの病気やけが、予防接種や健康診断の付き添いのために取れる休暇です。2025年4月の法改正で、名前が「子の看護等休暇」に変わり、対象となる子どもの範囲が小学校3年生修了までに広がりました。取得できる理由にも、感染症による学級閉鎖や、入園式・卒園式などの行事が加わっています。
日数は、子ども1人なら年5日、2人以上なら年10日です。時間単位で取ることもできます。同じ改正で、「継続して雇用された期間が6か月未満の人」を労使協定で対象から外す仕組みが廃止されました。つまり、入社して間もないパートの方でも使えるようになった、ということです。
なお、この休暇を有給にするか無給にするかは法律で決まっておらず、事業所の就業規則次第です。求人票や面接で確認しておきましょう。
所定外労働の制限と、時間外労働・深夜業の制限
小学校に入学する前の子どもを育てている人は、事業所に請求すれば、決められた勤務時間を超える残業を免除してもらえます。以前は3歳未満が対象でしたが、2025年4月から小学校就学前まで広がりました。
さらに、就学前の子どもを育てる人は、時間外労働を月24時間、年150時間までに制限するよう求めることや、夜22時から朝5時までの深夜の勤務を免除してもらうことも請求できます。訪問介護では夜間の巡回や夕方の訪問が延びることがあるので、覚えておいて損はありません。
短時間勤務と、柔軟な働き方を実現するための措置
3歳未満の子どもを育てる人は、1日の所定労働時間を原則6時間とする短時間勤務の制度を使えます。
2025年10月からは、3歳から小学校入学前の子どもを育てる人向けに、事業主が「始業時刻の変更」「テレワーク」「保育施設の設置運営など」「養育両立支援休暇」「短時間勤務」の中から2つ以上の措置を用意し、働く人がその中から選べるようにすることが義務になりました。訪問介護ではテレワークは難しいので、始業時刻の変更や短時間勤務、休暇の制度が選ばれることが多いはずです。自分の事業所がどの措置を用意しているかは、就業規則で確認できます。
育児休業
有期雇用のパートでも、子どもが1歳6か月になるまでに契約が満了して更新されないことが明らかでなければ、育児休業を取ることができます。2022年4月の改正で、「引き続き雇用された期間が1年以上」という要件は原則としてなくなりました。
ただし、労使協定によって、週の所定労働日数が2日以下の人などを対象から外している事業所もあります。登録ヘルパーのように勤務日が決まっていない働き方の場合、自分がどう扱われるかは事前に確認が必要です。※個別の適用関係で揉めたときは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。
お金の制度と、扶養の範囲で働くときの注意
制度を使うとき、あわせて気になるのが収入の面です。訪問介護事業所で働くときに押さえておきたいお金の制度を整理します。
雇用保険と育児休業給付
育児休業中に受け取れる育児休業給付金は、雇用保険から支給されます。雇用保険に入るのは、原則として週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上雇用される見込みがある人です。
給付を受けるには、休業を始める前の2年間に、賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上ある月(または就業時間が80時間以上の月)が12か月以上必要です。給付額は、休業開始から180日目までは休業前賃金の67%、それ以降は50%が目安です。
2025年4月からは、両親がそれぞれ14日以上の育児休業を取った場合に上乗せされる出生後休業支援給付と、2歳未満の子を育てるために時短勤務をして賃金が下がった人に支給される育児時短就業給付も始まっています。
つまり、登録ヘルパーとして週20時間に届かない働き方をしていると、雇用保険に入っておらず、これらの給付の対象にならないことがあります。出産を控えている方は、今の働き方で雇用保険に入っているかを給与明細で確認してください。
社会保険と扶養
配偶者の扶養の範囲で働きたいという方も多いと思います。社会保険(健康保険と厚生年金)の扶養から外れる目安は、一般に年収130万円です。また、従業員が51人以上の事業所では、週20時間以上などの条件を満たすと、年収130万円に届かなくても自分で社会保険に加入することになります。訪問介護事業所は小規模なところも多いので、勤め先の規模によって扱いが変わる点に注意してください。
登録ヘルパーの場合、月によって訪問件数が変わるので、年末に近づいてから「このままだと扶養を超える」と気づくことがあります。月ごとの収入をメモしておき、秋の時点でサ責と件数を相談しておくと、12月に急に訪問を断るような事態を避けられます。
※扶養や税金の具体的な判断は、配偶者の勤務先の健康保険組合や税務署に確認してください。制度は改正が続いており、国税庁や厚生労働省の最新情報を見るのが確実です。
保育園の就労証明と、登録ヘルパーの落とし穴
子育て中に訪問介護事業所で働くとき、見落とされやすいのが保育園の入園や継続の手続きとの関係です。
就労時間の下限
保育園に子どもを預けるには、保護者が働いていることなどの「保育を必要とする事由」が必要です。国の基準では、就労を理由にする場合、1か月あたり48時間から64時間までの範囲で市区町村が定める時間以上働いていることが条件になります。実際の下限は自治体によって違い、入園の選考では働く時間が長いほど点数が高くなる仕組みが一般的です。
登録ヘルパーが困りやすい点
ここで問題になるのが、登録ヘルパーのように働く時間が月ごとに変わる働き方です。就労証明書には、事業所が「月あたりの就労時間」を記入します。訪問した時間だけを数えると、移動時間が含まれず、実際に拘束されている時間より短く書かれてしまうことがあります。
先ほど触れたとおり、事業所の指示による移動時間は労働時間にあたり得ます。事業所に就労証明書を頼むときは、訪問時間だけでなく移動時間を含めた実際の勤務時間で記入してもらえるか、相談してみてください。
また、利用者さんの入院などで担当件数が減ると、就労時間が自治体の下限を割ることがあります。保育園の継続に影響が出る可能性があるので、件数が減ったときは早めにサ責へ相談し、別の担当を回してもらえないか話しておきましょう。
パートや常勤に切り替える選択肢
就労時間を安定させたいなら、勤務日と時間を決めたパート契約に切り替える方法もあります。同じ事業所で登録ヘルパーからパートへ移る人は珍しくありません。保育園の点数や育児休業給付のことを考えると、子どもが小さいうちほど、契約上の勤務時間がはっきりしている働き方のほうが守られやすいという面があります。
施設やデイサービスと比べたときの、訪問介護事業所の向き不向き
同じ介護の資格を持っていても、働く場所によって子育てとの両立のしやすさは変わります。訪問介護事業所を選ぶかどうか、ほかの職場と比べて考えてみましょう。
特別養護老人ホームなどの入所施設
入所施設は24時間365日動いているので、夜勤や早番、遅番のシフトがあります。日勤のみの契約もありますが、人員が足りない施設では夜勤を頼まれることがあります。一方で、職員の人数が多いので、急に休んだときに同じフロアの誰かがカバーしてくれるという安心感はあります。
デイサービス
デイサービスは利用者さんが日中に通ってくる場所なので、勤務はおおむね8時半から17時半ごろまでに収まります。夜勤はありません。ただ、送迎の時間が決まっているため、始業と終業の時刻は動かしにくく、保育園の送迎時間と合わない場合は調整が必要です。
訪問介護事業所の特徴
訪問介護事業所の強みは、働く時間の単位を細かく区切れることです。1件30分から1時間程度の訪問を組み合わせるので、「子どもを送ってから3件だけ入る」といった働き方が現実的にできます。
一方で、利用者さんの家では原則として1人で支援を行います。判断に迷ったときにすぐ隣の職員に聞けないこと、休んだときに代わりを探す手間が施設より大きいことは、弱みとして理解しておく必要があります。
介護職の給与水準は、職場の種類や地域、雇用形態によって幅があります。介護職員の平均的な年収や時給の相場をまとめたページとして介護職員の年収・単価相場があり、訪問介護のパートや登録ヘルパーの時給が相場と比べてどの位置にあるかを確かめる目安になります。
運営者として見てきたこと
在宅で働く人の市場を長く見てきた立場から言えば、子育てと仕事を長く両立できている人には共通点があります。それは、「休みやすい職場」を探すことより、「休むときに周りが困らない仕組み」を自分から職場と一緒に作っていることです。担当を2人体制にしてもらう、前夜に一報を入れる、件数が減ったら理由を聞く。どれも小さなことですが、この積み重ねで事業所との信頼関係ができ、融通が利くようになっていきます。
もう1つ、両立に行き詰まったときに一人で抱え込まないことも大切です。子育てと仕事の両立、職場の選び直し、今後のキャリアについての悩みは、専門の相談者に話すことで整理できることがあります。働き方やキャリアの相談を受ける仕事の内容をまとめた職場・転職・キャリア相談のお仕事を読むと、どんな相談先があり、どんな支援を受けられるのかがつかめます。
子育て中に訪問介護事業所で働くことは、仕組みを知っていれば十分に現実的な選択です。朝夕の訪問の山、雇用形態ごとの役割、求人票の読み方、そして子の看護等休暇や残業の免除といった制度。どれも知っているかどうかで、働きやすさが大きく変わります。遠慮せずに使える制度は使ってください。法律はあなたの味方です。
よくある質問
Q. 子育て中でも訪問介護事業所の正社員として働けますか?
働くことはできますが、常勤は朝夕の訪問や土日、ほかのヘルパーの代わりを担当しやすく、融通は利きにくくなります。3歳未満の子どもがいれば1日6時間の短時間勤務を使えるので、正社員のまま時短で働く方法もあります。まず就業規則で使える制度を確認し、面接で朝夕や土日の担当の有無を具体的に聞いておくと安心です。
Q. 登録ヘルパーでも子の看護等休暇は取れますか?
雇用契約を結んでいる労働者であれば、パートや登録ヘルパーでも原則として取得できます。2025年4月の改正で、入社6か月未満の人を労使協定で除外する仕組みも廃止されました。ただし週の所定労働日数が2日以下の人は除外されている場合があり、有給か無給かも事業所次第なので、就業規則で確認してください。
Q. 訪問と訪問の間の移動時間にお給料は出ますか?
事業所の指示で利用者さんの家から次の家へ移動する時間は、原則として労働時間にあたります。訪問時間分しか時給が出ない契約でも、移動時間を含めた実労働時間で最低賃金を下回ると問題になり得ます。求人票の移動手当の有無を確認し、面接で計算方法を聞いておきましょう。未払いが疑われる場合は労働基準監督署に相談できます。
Q. 保育園の就労時間の条件を登録ヘルパーで満たせますか?
自治体の下限(国の基準では月48〜64時間の範囲で市区町村が設定)を超えていれば満たせます。ただ登録ヘルパーは担当件数で就労時間が変わるため、利用者さんの入院などで下限を割ることがあります。就労証明書は移動時間を含めた実労働時間で書いてもらえるか事業所に相談し、安定させたいならパート契約への切り替えも検討してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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